(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611910
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】FRPシートプレス成形方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/46 20060101AFI20191118BHJP
B29C 69/02 20060101ALI20191118BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20191118BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20191118BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
B29C70/46
B29C69/02
B29C70/54
B29C45/14
B29C43/20
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-507411(P2018-507411)
(86)(22)【出願日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】JP2017011773
(87)【国際公開番号】WO2017164323
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2016-60726(P2016-60726)
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 基樹
(72)【発明者】
【氏名】林 健二
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−148124(JP,A)
【文献】
特開2010−274636(JP,A)
【文献】
特開昭62−127214(JP,A)
【文献】
特開平05−185466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00−70/88
B29C 45/00−45/24
B29C 43/00−43/34
B29C 41/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチックのシート材を用いてプレス成形品を成形するFRPシートプレス成形方法であって、
加熱した前記繊維強化プラスチックを、複数の平面部と、前記平面部同士の間で前記シート材の状態を基準に前記平面部と高さ位置が異なる平面を形成する絞り部とを備えた成形型を閉じてキャビティー内でプレス成形するプレス工程と、
前記成形型の閉じた状態を前記プレス工程から維持したまま、前記繊維強化プラスチックと前記キャビティーとの間に生じている隙間に樹脂を加圧注入して、前記繊維強化プラスチックの面及び前記樹脂の面を前記キャビティーに当接させる補充工程と、を備え、
前記プレス工程では、前記繊維強化プラスチックの前記絞り部に対応する部分を中心に、前記高さ位置が異なる平面の形成箇所の前記繊維強化プラスチックが絞られることによって密度が低下し、
前記補充工程では、プレスされた前記繊維強化プラスチックが絞られて密度が低下する前記高さ位置が異なる平面の形成箇所に対応する部分に格子状に備えられた複数のリブ成形用溝を樹脂充填用のランナーとして用いるFRPシートプレス成形方法。
【請求項2】
成形型を用いて、繊維強化プラスチックのシート材でプレス成形品を成形するFRPシートプレス成形装置であって、
前記成形型は、キャビティーに繋がるスプルーと、複数の平面部と、前記平面部同士の間で前記シート材の状態を基準に前記平面部と高さ位置が異なる平面を形成する絞り部とを備え、
加熱した前記繊維強化プラスチックを、前記成形型を閉じて前記キャビティー内でプレス成形し、前記繊維強化プラスチックの前記絞り部に対応する部分を中心に、前記高さ位置が異なる平面の形成箇所の前記繊維強化プラスチックが絞られることによって密度を低下させてから、
前記成形型の閉じた状態を維持したまま、前記繊維強化プラスチックと前記キャビティーとの間に生じている隙間に前記スプルーを介して樹脂を加圧注入して、前記繊維強化プラスチックの面及び前記樹脂の面を前記キャビティーに当接させ、
プレスされた前記繊維強化プラスチックが絞られて密度が低下する前記高さ位置が異なる平面の形成箇所に対応する部分に格子状に備えられた複数のリブ成形用溝を樹脂充填用のランナーとして用いるFRPシートプレス成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチックを用いてプレス成形品を成形するFRPシートプレス成形方法及び装置、並びにFRP成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
FRP材料(繊維強化プラスチック)を用いてプレス成形品を成形する技術は、プレス成形する型内に樹脂を充填する工程を有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−185466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される技術は、特に表面外観の向上を狙いとするものであり、その実施には、型閉じ時に、一定距離型開きする工程を加える必要がある。また、材料の強度によっては、スタンピング時に表裏のキャビティーに材料が完全には当接できず、プレス成形品の裏面に凹凸が生じてしまう。このため、プレス成形品の歩留まりが悪い。
【0005】
本発明は、型締め後に型の開閉調整を行うことなく歩留まりを向上させることが可能なFRPシートプレス成形方法及び装置、並びにFRP成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、繊維強化プラスチック(例えば、後述のシート材SM)を用いてプレス成形品(例えば、後述のプレス成形品PM)を成形するFRPシートプレス成形方法であって、加熱した前記繊維強化プラスチックを、成形型(例えば、後述の金型2,3)を閉じてキャビティー(例えば、後述のキャビティー5)内でプレス成形するプレス工程と、前記成形型の閉じた状態を前記プレス工程から維持したまま、前記繊維強化プラスチックと前記キャビティーとの間に生じている隙間(例えば、後述の隙間IS)に樹脂(例えば、後述の溶融樹脂MP)を加圧注入して、前記繊維強化プラスチックの面及び前記樹脂の面を前記キャビティーに当接させる補充工程と、を備えることを特徴とするFRPシートプレス成形方法を提供する。
【0007】
このように、FRPシートプレス成形方法によれば、繊維強化プラスチックが絞られて密度が低下した部分に対し、樹脂を加圧注入することで、繊維強化プラスチックの密度を上げる(戻す)ことができる。このため、成形型の型締め後に型の開閉調整を行うことなく、キャビティーの成形面形状に沿ったプレス成形品を成形することができる。ひいては、プレス成形品の歩留まりを向上させることができる。
【0008】
そして、前記キャビティーは、複数のリブ成形用溝(例えば、後述のリブ成形用溝6)を備え、前記補充工程では、前記複数のリブ成形用溝を樹脂充填用のランナーとして用いることが好ましい。
【0009】
これにより、繊維強化プラスチックとキャビティーとの間に生じている隙間が小さくて、加圧注入した樹脂の流動距離が短く、リブ成形用溝が存在しない場合に未充填となる部分が想定されるときであっても、確実に樹脂を充填することができる。また、製造されたプレス成形品については、リブによる基材自体の強度・剛性の補強効果も期待できる。
【0010】
あるいは、上記目的を達成するため本発明は、成形型(例えば、後述の金型2,3)を用いて、繊維強化プラスチック(例えば、後述のシート材SM)でプレス成形品(例えば、後述のプレス成形品PM)を成形するFRPシートプレス成形装置であって、前記成形型は、キャビティー(例えば、後述のキャビティー5)に繋がるスプルー(例えば、後述のスプルー7)を備え、加熱した前記繊維強化プラスチックを、前記成形型を閉じて前記キャビティー内でプレス成形してから、前記成形型の閉じた状態を維持したまま、前記繊維強化プラスチックと前記キャビティーとの間に生じている隙間(例えば、後述の隙間IS)に前記スプルーを介して樹脂(例えば、後述の溶融樹脂MP)を加圧注入して、前記繊維強化プラスチックの面及び前記樹脂の面を前記キャビティーに当接させるように用いるFRPシートプレス成形装置を提供する。
【0011】
このように、FRPシートプレス成形装置によれば、繊維強化プラスチックが絞られて密度が低下した部分に対し、樹脂を加圧注入することで、繊維強化プラスチックの密度を上げる(戻す)ことができる。このため、成形型の型締め後に型の開閉調整を行うことなく、キャビティーの成形面形状に沿ったプレス成形品を成形することができる。ひいては、プレス成形品の歩留まりを向上させることができる。
【0012】
そして、前記キャビティーは、複数のリブ成形用溝(例えば、後述のリブ成形用溝6)を備え、前記複数のリブ成形用溝は、樹脂充填用のランナーとして用いられることが好ましい。
【0013】
これにより、繊維強化プラスチックとキャビティーとの間に生じている隙間が小さくて、加圧注入した樹脂の流動距離が短く、リブ成形用溝が存在しない場合に未充填となる部分が想定されるときであっても、確実に樹脂を充填することができる。また、製造されたプレス成形品については、リブによる基材自体の強度・剛性の補強効果も期待できる。
【0014】
あるいは、上記目的を達成するため本発明は、成形型(例えば、後述の金型2,3)のキャビティー(例えば、後述のキャビティー5)内でプレス成形された繊維強化プラスチック(例えば、後述のシート材SM)と、前記繊維強化プラスチックと前記キャビティーとの間に生じていた隙間(例えば、後述の隙間IS)に加圧注入されて、前記繊維強化プラスチックの面及び自身の面を前記キャビティーに当接させていた樹脂(例えば、後述の溶融樹脂MP)と、を備えるFRP成形品を提供する。
【0015】
このように、FRP成形品によれば、繊維強化プラスチックが絞られて密度が低下していた部分に対して、樹脂が加圧注入されて、繊維強化プラスチックの密度が戻されている。このため、成形型の型締め後に型の開閉調整を行うことなく、キャビティーの成形面形状に沿ったものとすることができる。ひいては、歩留まりを向上させて製造することができる。
【0016】
そして、前記樹脂は、樹脂充填用のランナーとして前記キャビティーが備える複数のリブ成形用溝(例えば、後述のリブ成形用溝6)を流れていたものであることが好ましい。
【0017】
これにより、リブによる基材自体の強度・剛性の補強効果が期待できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、型締め後に型の開閉調整を行うことなく歩留まりを向上させることが可能なFRPシートプレス成形方法及び装置、並びにFRP成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るFRPシートプレス成形装置1を示す縦断面図である。
【
図2】(A)はFRPシートプレス成形装置1の要部を示す拡大断面図であり、(B)は比較例の要部を示す拡大断面図である。
【
図3】プレス成形品PMを成形する流れを示すFRPシートプレス成形装置1の拡大断面図であり、(A)は複数のリブ成形用溝6に溶融樹脂MPを充填した状態を示し、(B)は複数のリブ成形用溝6から、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISに溶融樹脂MPを加圧充填している状態を示し、(C)はシート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISに対する溶融樹脂MPの充填が完了した状態を示す。
【
図4】(A)は成形中のシート材SM及び溶融樹脂MPの形状を示す概略図であり、(B)はシート材SM及び溶融樹脂MPの密度の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るFRPシートプレス成形装置1を示す縦断面図である。
図2(A)は、FRPシートプレス成形装置1の要部を示す拡大断面図である。
図2(B)は、比較例の要部を示す拡大断面図である。
図3は、プレス成形品PMを成形する流れを示すFRPシートプレス成形装置1の拡大断面図である。
図3(A)は、複数のリブ成形用溝6に溶融樹脂MPを充填した状態を示す。
図3(B)は、複数のリブ成形用溝6から、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISに溶融樹脂MPを加圧充填している状態を示す。
図3(C)は、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISに対する溶融樹脂MPの充填が完了した状態を示す。
図4(A)は、成形中のシート材SM及び溶融樹脂MPの形状を示す概略図である。
図4(B)は、シート材SM及び溶融樹脂MPの密度の分布を示すグラフである。
図5は、プレス成形品PMの外観斜視図である。
【0021】
図1に示すFRPシートプレス成形装置1は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)のシート材(FRP(Glass/Carbon)シート材)SMをプレス成形する等してプレス成形品(FRP成形品)PM(
図5参照)を製造する際に用いられる。具体的に、FRPシートプレス成形装置1は、上下一対の金型2,3と射出成形機4等を備えている。
【0022】
上下一対の金型2,3は、射出成形機4によって、互いに当接させられて数百トン以上の力が掛けられる。これら上下一対の金型2,3は、互いの間に、シート材SMをプレスする空間となるキャビティー5を構成する。下側の金型3は、上側の金型2と対面してキャビティー5を構成する部分であって、且つプレスされたシート材SMが絞られて密度が低下する箇所に対応する部分に、複数のリブ成形用溝6を格子状(ワッフル状)に有する。また、下側の金型3は、複数のリブ成形用溝6等に繋がるスプルー7、すなわちキャビティー5に繋がるスプルー7を有する。キャビティー5には、シート材SMが配置されると共に、スプルー7及び複数のリブ成形用溝6を介して、射出成形機4から溶融樹脂MPが加圧注入される。複数のリブ成形用溝6は、樹脂充填用のランナーとして用いられる。
【0023】
射出成形機4は、上下一対の金型2,3を互いに当接させて数百トン以上の力を掛ける。この射出成形機4は、上下一対の金型2,3の互いの間に構成されたキャビティー5に対し、スプルー7及び複数のリブ成形用溝6を介して溶融樹脂MPを加圧注入する。
【0024】
次に、
図1を参照しながら、FRPシートプレス成形装置1によるFRPシートプレス成形方法について説明する。
【0025】
FRPシートプレス成形装置1を用いたFRPシートプレス成形方法は、シート材SMを用いてプレス成形品PMを成形する方法である。このFRPシートプレス成形方法は、プレス工程と、補充工程とを備えている。
【0026】
プレス工程では、加熱したシート材SMを、金型2,3を閉じてキャビティー5内でプレスする。
【0027】
補充工程では、金型2,3の閉じた状態をプレス工程から維持したまま、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間IS(
図3参照)に溶融樹脂MPを加圧注入して、シート材SMの面及び溶融樹脂MPの面をキャビティー5に当接させる。
【0028】
次に、
図2を参照しながら、FRPシートプレス成形装置1によるFRPシートプレス成形方法の着想のポイントについて説明する。
【0029】
通常、加圧注入した溶融樹脂MPの流動距離Lは、溶融樹脂MPの種類ごとに、溶融樹脂MPを注入した空間の厚み(板厚)Tとの関係L/Tで決まっている。この関係L/Tは、ポリアミド樹脂(PA)の場合、L/T=300である。例えば、ポリアミド樹脂である溶融樹脂MPを広範囲(L=600m)に流す場合には、
図2(B)に示すように、板厚T=2mmが必要となる。すなわち、薄肉(例えば、1mm)のシート材SMを加圧するために2mm厚の溶融樹脂MPを加圧注入する必要があり、プレス成形品PMが重くなると共にコストが高くなってしまう。
【0030】
このため、加圧するためだけの層の厚みTは出来るだけ薄くすることが考えられるが、この場合、上記の関係L/Tから溶融樹脂MPの流動距離Lが短くなり、未充填の空間が想定される。そこで、
図2(A)に示すように、複数のリブ成形用溝6をワッフル状に配置し、当該複数のリブ成形用溝6をランナーとして活用することで、実質流動距離を短くし、薄肉の加圧層成形を可能にする。
【0031】
次に、
図3を参照しながら、FRPシートプレス成形装置1によるFRPシートプレス成形方法における補充工程のメカニズムについて説明する。
【0032】
スプルー7(
図1参照)を介して加圧注入された溶融樹脂MPは、
図3(A)に示すように、比較的空間の大きいリブ成形用溝6に充填される。そして、リブ成形用溝6に充填された溶融樹脂MPは、
図3(B)に示すように、リブ成形用溝6から、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISに充填加圧される。この時、溶融樹脂MPの実質流動距離は短い。その後、
図3(C)に示すように、溶融樹脂MPの充填が完了する。
【0033】
次に、
図4を参照しながら、FRPシートプレス成形装置1によるFRPシートプレス成形方法におけるシート材SMの密度の回復について説明する。
【0034】
図4(A)に示すように、下側の金型3は、平面部3a,3b同士の間に、絞り賦形(ハット形状断面)を構成する絞り部3cを備え、当該絞り部3cに複数のリブ成形用溝6を有している。
【0035】
プレス工程を経たシート材SMは、
図4(B)に実線で示すように、金型3の絞り部3cに対応する部分を中心に、絞られることによって密度が低下する。その後、補充工程を経たシート材SMは、
図4(B)に一点鎖線で示すように、加圧注入された溶融樹脂MPを媒体として、低下していた密度が上がる(戻る)。
【0036】
次に、
図5を参照しながら、FRPシートプレス成形装置1によるFRPシートプレス成形方法によって成形されたプレス成形品PMの構造について説明する。
【0037】
図5に示すように、プレス成形品(FRP成形品)PMは、シート材SMとINJ成形部位PRとを備えている。
【0038】
シート材SMは、金型2,3(
図3参照)のキャビティー5(
図3参照)内でプレス成形された繊維強化プラスチックである。
【0039】
INJ成形部位PRは、シート材SMとキャビティー5との間に生じていた隙間IS(
図3参照)に加圧注入されて、シート材SMの面及び自身の面をキャビティー5に当接させていた溶融樹脂MPが硬化したものである。このINJ成形部位PRは、格子状の複数のリブPR1と薄肉加圧層PR2とが一体に形成されたワッフル状のものである。
【0040】
以上説明した本実施形態のFRPシートプレス製造方法によれば、以下のような効果を奏する。
【0041】
すなわち、FRPシートプレス成形方法は、繊維強化プラスチックのシート材SMを用いてプレス成形品PMを成形する方法であって、加熱したシート材SMを、金型2,3を閉じてキャビティー5内でプレス成形するプレス工程と、金型2,3の閉じた状態をプレス工程から維持したまま、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISに溶融樹脂MPを加圧注入して、シート材SMの面及び溶融樹脂MPの面をキャビティー5に当接させる補充工程と、を備えている。
【0042】
このように、FPRPシートプレス成形方法によれば、シート材SMが絞られて密度が低下した部分に対し、溶融樹脂MPを加圧注入することで、シート材SMの密度を上げる(戻す)ことができる。このため、金型2,3の型締め後に型の開閉調整を行うことなく、キャビティー5の成形面形状に沿ったプレス成形品PMを成形することができる。ひいては、プレス成形品PMの歩留まりを向上させることができる。
【0043】
そして、キャビティー5は、複数のリブ成形用溝6を備え、補充工程では、複数のリブ成形用溝を樹脂充填用のランナーとして用いることが好ましい。
【0044】
これにより、シート材SMとキャビティー5との間に生じている隙間ISが小さくて、加圧注入した溶融樹脂MPの流動距離が短く、リブ成形用溝6が存在しない場合に未充填となる部分が想定されるときであっても、確実に溶融樹脂MPを充填することができる。また、製造されたプレス成形品PMについては、リブPR1による基材自体の強度・剛性の補強効果も期待できる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 FRPシートプレス成形装置
2,3 金型(成形型)
3a,3b 平面部
3c 絞り部
4 射出成形機
5 キャビティー
6 リブ成形用溝
7 スプルー
SM シート材(繊維強化プラスチック)
MP 溶融樹脂(樹脂)
PR INJ成形部位(樹脂)
PR1 リブ
PR2 薄肉加圧層
IS 隙間
PM プレス成形品(FRP成形品)