特許第6612036号(P6612036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612036
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】層状構造を有するシステム
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20191118BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20191118BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20191118BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20191118BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20191118BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20191118BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20191118BHJP
   F23D 14/48 20060101ALI20191118BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   F01D25/00 L
   F01D25/00 X
   F02C7/00 C
   F02C7/00 D
   F01D5/28
   F01D9/02 101
   F23R3/42 A
   F23R3/42 D
   B22F3/105
   F23D14/48 B
   B22F3/16
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-29122(P2015-29122)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-212073(P2015-212073A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】14/189,734
(32)【優先日】2014年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ウェストン・マクマハン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・デイヴィッド・マイヤーズ
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−526975(JP,A)
【文献】 特開2003−307102(JP,A)
【文献】 実開昭62−040232(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B22F 1/00−8/00
C22C 1/04−1/05
C22C 33/02
F01D 1/00−11/24
F01D 25/00
F02C 7/00
F23D 14/00−14/18
F23D 14/26−14/84
F23R 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状構造を備えるターボ機械構成要素を含むシステムであって、
前記層状構造が、
第1の合体層と、
第2の合体層と、
前記第1および第2の合体層の間に配置された中間層と、
を備え、
前記第1および第2の合体層が、前記中間層よりも高い合体度を有し、
前記中間層が、前記第1の合体層の少なくとも第1の部分と前記第2の合体層の第2の部分との間の熱バリア、音響バリア、またはそれらの組み合わせとして機能するように構成された空状態領域を備え、
前記第1の合体層、前記第2の合体層、前記中間層、またはそれらの任意の組み合わせが、複数のそれぞれの領域を有し、前記複数の領域の各々の領域が、異なる合体度を有し、
前記空状態領域は、周囲に比べて減圧されている領域である、
システム。
【請求項2】
層状構造を備えるターボ機械構成要素を含むシステムであって、
前記層状構造が、
第1の合体層と、
第2の合体層と、
前記第1および第2の合体層の間に配置された中間層と、
を備え、
前記第1および第2の合体層が、前記中間層よりも高い合体度を有し、
前記中間層が、前記第1の合体層の少なくとも第1の部分と前記第2の合体層の第2の部分との間の熱バリア、音響バリア、またはそれらの組み合わせとして機能するように構成された空状態領域を備え、
前記第1の合体層、前記第2の合体層、または前記中間層のうちの少なくとも1つが、傾斜機能材料を含み、
前記空状態領域は、周囲に比べて減圧されている領域である、
システム。
【請求項3】
前記ターボ機械構成要素が、タービンノズル、タービンフレーム、シール、燃焼器ライナ、燃焼器キャップ、燃料ノズル、圧縮機ブレード、タービンブレード、圧縮機ホイール、タービンホイール、シュラウドセグメント、ガスプレミキサ、液体燃料噴射器、燃焼器−タービントランジションピース、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、回転機械システム、高温ガス流路機械システム、またはそれらの組み合わせを備える請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記中間層が、部分的に合体したコバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、クロム−ニッケル基合金、またはニッケル基合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の合体層、前記第2の合体層、または前記中間層のうちの少なくとも1つが、前記層状構造の少なくとも一部にわたって変化する断面厚さを有する、請求項1乃至のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の合体層が、前記中間層を通過する1つまたは複数の延長部によって前記第2の合体層に直接接続された、請求項1乃至のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、全体的には、層状構造を組み込んだシステム、および、層状構造を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
とりわけ、燃料ノズル、圧縮機ブレード、タービンブレード、圧縮機ホイール、タービンホイール、シュラウドセグメント、および、燃焼器−タービントランジションピース、などの、様々な機械構成要素(例えば、ターボ機械構成要素)は、高温(例えば、排気温度は、540℃(1000°F)程度であり得る)の下で動作する。これらの構成要素は、一般的に、動作中に受ける高いレベルの熱応力および熱膨張に適した材料で構成される。しかしながら、そのような構成要素を適切な材料で作製することができるとしても、構成要素の寿命は、高熱暴露、熱膨張、および熱収縮により、少なくとも部分的に制限される。例えば、機械構成要素は、具体的には熱膨張および収縮による、熱応力および摩耗の影響を受けやすい様々なジョイントおよび幾何学的形状を含む可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許出願公開第2010026397号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
当初に特許請求される発明の範囲に見合った特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求される発明の範囲を限定することを意図せず、これらの実施形態は、本発明の可能な形態の簡潔な要約を提供することのみを意図する。実際には、本発明は、以下に述べる実施形態と同様であってよい、またはそれらと異なってよい様々な形態を包含することができる。
【0005】
第1の実施形態では、システムは、層状構造を含む。層状構造は、第1および第2の合体層と、2つの合体層の間に配置された中間層とを含む。第1および第2の合体層は、中間層よりも高い合体度を有する。
【0006】
第2の実施形態では、機械構成要素を製造する方法は、層状構造を形成するために、適用するエネルギー源の変化する強度を使用することによって、粉末を焼結するステップを含み、機械構成要素は、層状構造を含む。
【0007】
第3の実施形態では、機械構成要素は、プロセスによって形成される。プロセスは、粉末を焼結するために、チャンバ内に堆積された粉末にエネルギー源を適用するステップを含む。プロセスは、また、少なくとも第1の焼結層と、第2の焼結層と、中間層とを有する層状構造を画定する断面幾何学的形状の全体にわたって、程度を変化させて粉末を焼結するステップを含み、機械構成要素は、層状構造を含む。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明が、図面を通して同様の文字が同様の部分を表す添付図面を参照して読まれたときに、よりよく理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ターボ機械システムの一実施形態のブロック図である。
図2図1のターボ機械システムで使用されるターボ機械構成要素の一実施形態の概略斜視図である。
図3図2のターボ機械構成要素の一部の実施形態の概略断面図である。
図4図3のターボ機械構成要素の層状領域の一実施形態の概略断面図である。
図5図3のターボ機械構成要素の層状領域の一実施形態の概略断面図である。
図6図3のターボ機械構成要素の層状領域の一実施形態の概略断面図である。
図7図3のターボ機械構成要素の層状領域の一実施形態の概略断面図である。
図8図3のターボ機械構成要素の層状領域の一実施形態の概略断面図である。
図9図3のターボ機械構成要素の層状領域の一実施形態の概略断面図である。
図10図3のターボ機械構成要素の製造方法の一実施形態を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つまたは複数の具体的な実施形態が、以下に説明される。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様のすべての特徴は、本明細書では説明されない場合がある。任意のそのような実際の実施態様の開発では、任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトのように、システム関連およびビジネス関連の制約の順守などの、実施態様によって異なる可能性がある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施形態特有の決定を行わなければならないことを認識すべきである。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者の設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを認識すべきである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味することを意図している。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包含的であり、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0012】
以下に詳細に論じるように、(例えば、機械構成要素の)層状構造は、層状構造の性能(例えば、熱効率、排気物質、耐久性、持久性、および/または部品寿命)を最終的に改善する方法を使用して製造することができる。層状構造は、機械構成要素、例えば、長期間にわたって熱的および機械的応力を受ける機械構成要素のすべてまたは一部であってよい。いくつかの実施形態では、そのような機械構成要素は、ターボ機械、回転機械、高温ガス流路機械、またはなにか他の機械に組み込むことができる。機械構成要素は、ターボ機械のタービンの構成要素であってよく、タービンは、ガスタービン、蒸気タービン、水力タービン、および/または風力タービンを含むことができる。層状構造は、ターボ機械構成要素、例えば、ブレード(例えば、回転ブレードまたは固定ベーン)、タービンノズル、タービンフレーム、シール、燃焼器ライナ、燃焼器キャップ、燃料ノズル、圧縮機ブレード、圧縮機ホイール、タービンホイール、シュラウドセグメント、ガスプレミキサ、液体燃料噴射器、または、燃焼器−タービントランジションピースのすべてまたは一部であってよい。いくつかの実施形態では、層状構造および/または機械構成要素は、一体に形成された(例えば、ジョイントなしの)ワンピース構造であってよい。他の実施形態では、(例えば、機械構成要素の)層状構造は、別々に製作され、互いに接合された複数の部分を含むことができる。明確にするために、層状構造は、本明細書では機械構成要素として論じられる場合があり、機械構成要素は、本明細書ではターボ機械構成要素として論じられる場合があり、ターボ機械構成要素の特定の実施形態が説明される場合がある。しかしながら、上記で説明したように、本開示による技術は、任意の機械、機械構成要素、および/または層状構造に適用可能であってよいことを理解すべきである。
【0013】
具体的には、本開示の実施形態では、ターボ機械システムは、1つまたは複数のその層を合体(例えば、高密度化)層に焼結することによって製造された層状ターボ機械構成要素を含むことができる。「焼結する」という用語は、本開示によれば、合体層を達成するために使用される特定の製造技術を指すことを意図し、「合体層」は、例えば、粉末から高密度化された層を指す。換言すれば、焼結は、(例えば、直接金属レーザ焼結(DMLS:Direct Metal Laser Sintering)、直接金属レーザ熔解(DMLM:Direct Metal Laser Melting)、選択的レーザ焼結(SLS:Selective Laser Sintering)、電子ビーム熔解(EBM:Electron Beam Melting)、または任意の他の適切な付加的な製造プロセスによって)粉末を焼結または合体層に合体する製造プロセスであってよい。粉末は、上記のプロセスのうちの1つによって焼結することができる金属を含むことができる。構成要素を形成するために粉末を焼結することによって、構成要素は、溶接または他の接合プロセスなどの高価で時間がかかる製造プロセスを使用することなく製造することができる。加えて、層状構造、機械構成要素、またはターボ機械構成要素の1つの領域は、同じターボ機械構成要素の別の領域の層が焼結される方法とは異なる特定の方法で焼結された層を有することができる。層(および、その変形)は、熱応力、熱膨張、および、システムの動作中にそれぞれの領域が受ける他のそのような力に対処するために、構成要素の様々な領域の特性(例えば、熱的、機械的)を適合させるように構成することができる。
【0014】
具体的には、構成要素または構造の焼結層は、構成要素または構造の特定の領域での構成要素のヤング率、弾性率、および/または熱膨張係数を(例えば、事実上ゼロに等しくなるまで)低減するように構成することができ、構成要素または構造の所望の挙動に応じてポアソン比に影響を与えることもできる。例えば、各焼結層の1つまたは複数の部分の厚さは、1つの部分が別の部分よりも大きい程度まで膨張することを可能にするように、変化させることができる。構成要素の焼結層は、また、温度勾配が構成要素に悪影響を与える可能性がある値を超えないように、構成要素の1つの領域から他の領域までの温度勾配および/または熱伝導率の操作を可能にするように構成される。特定の実施形態では、構成要素の焼結層は、例えば、低減した酸化および/または腐食から利益を得ることができる構成要素の領域で使用するための所望の材料を選択することによって、構成要素の一部の酸化および/または腐食を低減するように構成することができる。
【0015】
さらに、特定の実施形態では、1つまたは複数の焼結層は、低密度または空状態(例えば、真空)層が熱バリアおよび/または機械的応力分散器(後述する)として機能するように、他の焼結層よりも低密度であってよく、または空状態(例えば、真空)にさえされてよい。非限定的な例として、ターボ機械の高温領域で動作する燃料ノズルなどのターボ機械構成要素は、上記で説明した熱バリアから利益を得ることができる。例えば、ターボ機械の燃料ノズルは、最大540℃(1000°F)以上の温度を含む可能性がある圧縮機吐出温度で酸化剤(例えば、空気)に暴露されるステムを含む可能性がある。燃料ノズルの先端は、最大1930℃(3500°F)以上の温度を含む可能性がある燃焼器からの火炎放射および対流に暴露される可能性がある。低密度層または空状態層による上記で説明した熱バリアを含むことによって、燃料で濡れた表面、および、したがって、燃料で濡れた表面と接触する燃料ノズルを通ってくる燃料を、そうでなければ燃料の流れ、分解、濃度、および/または有効性に影響を及ぼす可能性がある上記で説明した高温に暴露されることからブロックすることができる。
【0016】
さらに、本開示による(例えば、周囲の層よりも高密度化されていない)未高密度化粉末による焼結層は、力/エネルギーの分散を可能にすることによって、構造の他の領域(例えば、層)に付与される機械的応力を少なくとも部分的に低減することができる。一例として、低密度層は、ターボ機械構成要素の共振応答を低減することができる。換言すれば、未高密度化粉末による焼結層は、共振エネルギーが構造全体にわたってではなく、非焼結粉末にわたって分散されるように、層状構造内の音響バリアとして機能することができる。例えば、いくつかのターボ機械構成要素は、動的圧力振動、および、振動による他の空気機械的ノイズを受ける。したがって、高い動的圧力振動および他の空気機械的ノイズを受けるそのようなターボ機械構成要素の共振応答領域を「抑える」または減少させるために、未高密度化または低密度化粉末層の現在考えられる実施形態を、そのようなターボ機械構成要素内に戦略的に配置することができる。
【0017】
ここで図面に移り、最初に図1を参照すると、タービンシステム10の一実施形態のブロック図が示されている。本開示は、任意のターボ機械システムに関連することができること、および、本明細書で論じるタービンシステム10は、本開示が適合する範囲を限定しないことに留意すべきである。ターボ機械システムは、ロータと流体との間、またはその逆でのエネルギーの移動を伴う任意のシステムに関係することができ、タービンシステム10は、ターボ機械システムの一実施形態の典型として機能することのみを意図している。さらに、本明細書に記載の特定の技術は、熱機械的応力を受ける任意の構成要素(例えば、燃焼プロセス、熱機関、などを利用する任意の機械)にも適用することができる。図示のタービンシステム10は、数ある特徴の中で、燃料ノズル12と、燃料供給部14と、燃焼器16とを含む。図示のように、燃料供給部14は、液体燃料、および/または天然ガスなどの気体燃料を、タービンシステム10へ、燃料ノズル12を介して燃焼器16内に送る。加圧された酸化剤(例えば、空気)と混合した後、矢印18によって示すように、燃焼器16内で点火が生じ、結果として生じる排気ガスは、タービン20内のブレードを回転させる。タービン20内のブレードとシャフト22との間の結合は、図示のように、タービンシステム10全体にわたるいくつかの構成要素にも結合されたシャフト22の回転を引き起こすことになる。例えば、図示のシャフト22は、圧縮機24および負荷26に駆動結合される。理解されるように、負荷26は、発電プラントまたは車両などの、タービンシステム10の回転出力を介してパワーを生成することができる任意の適切なデバイスであってよい。
【0018】
空気源28は、導管を介して空気取入口30に空気を送ることができ、空気取入口30は、次いで、空気を圧縮機24内に送ることができる。圧縮機24は、シャフト22に駆動結合された複数のブレードを含む。シャフト22がタービン20内の排気ガスの膨張の結果として回転すると、シャフト22は、また、圧縮機ブレードを回転させ、これは、矢印32として示す圧縮空気を生成するように空気取入口30からの空気を圧縮する。圧縮空気は、燃料ノズル12および燃焼器16に送られる。燃料ノズル12は、次いで、空気/燃料混合物を生成するために、圧縮空気と燃料とを混合することができる。タービン20を通過した後、排気ガスは、排気口34でシステムを出る。
【0019】
図示のガスタービン10の動作の燃焼段階中、温度は、上記で説明したように、約540℃(約1000°F)以上である可能性がある。実際には、図1のタービンシステム10および他の同様のターボ機械システムに含まれる構成要素の多く、および、特に、燃焼器16と関連して働くものは、高い熱負荷の下で動作する。例えば、燃焼器16もしくは燃焼器16からの燃焼生成物と熱的に連通する、および/または、燃焼器24からの排出加圧空気と熱的に連通する任意の構成要素は、タービンシステム10の高温ガス流路に沿っているとみなすことができる。本実施形態によれば、この高温ガス流路に沿って配置された構成要素の任意のものまたは組み合わせは、本明細書に記載の技術を使用して製造することができる。非限定的な例として、これらの構成要素は、燃焼器24のブレードおよび/またはホイール、タービン20のブレードおよび/またはホイール、燃料ノズル12、燃焼器16のライナ、燃焼器16のトランジションピース、燃焼器16の拡散板、タービン20のシュラウドセグメント、などを含むことができる。
【0020】
さらに、図2および図3には、本開示によって製造される燃料ノズル12の一実施形態が示されている。本開示による燃料ノズル12は、上記で論じた付加的な製造技術のいずれかを使用して構成される。再び、図2および図3の燃料ノズル12の図示の実施形態は、本開示から利益を得ることができるターボ機械構成要素の単なる典型的な実施形態である。多くのターボ機械構成要素は、それらが高い熱応力下で動作してもしなくても、本明細書で論じる実施形態から利益を得ることができる。
【0021】
図2および図3に示す燃料ノズル12の実施形態は、圧縮された酸化剤(例えば、空気)を燃料と混合し、混合物を燃焼器16に送達する役割を果たすことができる。燃料ノズル12は、軸36を中心とすることができ、燃料ノズル12の内管41の外側表面40上に配置されたブレード38は、燃料および空気を軸36の周りに旋回させることによって、圧縮空気と燃料との混合を促進させることができる。燃料は、(例えば、内管41内の)燃料ノズル12の中心の内部燃料室内に方向42に下方に移動することができ、燃料は、燃料室からブレード38内に出て、ブレード38を通過して孔44を介して外へ出る。したがって、酸化剤が、内管41の内側からブレード38の孔44を通って酸化剤の流路内に排出される燃料と混合するように、圧縮された酸化剤は、内管41の外側、かつブレード38に沿って部分的に延びる(または、他の実施形態では、完全に延びる)外管45の内側を方向42に進むことができる。したがって、動作中、燃料は、(例えば、内管41と外管45との間の)ブレード38の周りの空気流内に噴射され、空気/燃料混合物は、矢印46によって示すように、燃料ノズルから出る。いくつかの実施形態では、空気/燃料混合物の流れを(例えば、矢印46によって示すように)軸36とほぼ平行に伸びる流路に沿って燃焼器16(図示せず)の方に導く別個のハウジングによって、燃料ノズル12全体を囲むことができる。燃料ノズル12は、ガスタービンシステム10内の燃焼器16の近くに配置され、燃料ノズル12は、高温の下で動作する可能性があり、結果として高い熱応力を受ける可能性がある。
【0022】
一実施形態によれば、より低い重量および/または所望の幾何学的形状も達成しながら、これらの高い熱応力に対処するために、燃料ノズル12のすべてまたは一部は、そのような方法で製造することができる。例えば、ブレード38、内管41、および/または外管45は、上述し、以下で詳細に論じる付加的な製造技術のうちの任意のもの、または組み合わせを使用して製造することができる。燃料ノズル12のもしくは任意の他の高温ガス流路ターボ機械構成要素の全体は、本開示による技術によって一体に形成することができ、または、燃料ノズル12のもしくは任意の他の高温ガス流路ターボ機械構成要素の個々の部分(例えば、ブレード38、内管41、および外管45)は、個別に形成し、互いに接合することができる。ターボ機械構成要素(例えば、燃料ノズル12)全体を一体に形成することによって、製造プロセスを合理化することができる。加えて、ターボ機械構成要素(例えば、燃料ノズル12)またはターボ機械構成要素の一部を形成するために、上記で言及した、(例えば、図3および図10を参照して)以下に詳細に論じる付加的な製造プロセスおよび技術を使用することによって、一実施形態では、ターボ機械構成要素またはターボ機械構成要素の一部は、一般的には鋳造などの他の製造技術を使用して達成されない、変化する密度、変化する特定の材料の量、などの変化する材料構造を有することができる。この変化した材料構造は、燃料ノズル12の異なる部分で異なる熱的および/または機械的特性を達成するために使用することができる。
【0023】
ここで図3に移ると、燃料ノズル12の一部の一実施形態が、図2の線3−3に沿った断面正面図で示されている。図示の実施形態では、様々な層が燃料ノズル12を形成し、層は、製造中に焼結または合体(例えば、高密度化)されている。図示の実施形態は、第1の層50(例えば、第1の合体層)と、第2の層52(例えば、第2の合体層)と、中間層54(例えば、中間合体層)とを含む。ターボ機械構成要素に関連する特定のタイプの幾何学的形状のため、構成要素の1つの領域は、構成要素の別の領域内の第2の層52に遷移する第1の層50を有することができ、またはその逆であってよいことに留意すべきである。したがって、ターボ機械構成要素(例えば、図3の燃料ノズル12)全体を論じるために使用する第1の層50および第2の層52という用語は、燃料ノズル12が複数の層を含むことを明確にするため、および、2つの層の間に配置される中間層54を区別するために含まれる。しかしながら、(例えば、本開示の後の図面に関して)ターボ機械構成要素の特定の領域の局所的な断面を論じるとき、第1の層50および第2の層52は、異なっていてよく、それぞれの領域内に異なる幾何学的形状および/または特性を含むことができる。
【0024】
所望の層(例えば、第1の層50、第2の層52、および中間層54)を達成するために、本開示にしたがって付加的な製造技術を使用することができる。例えば、図示の実施形態では、燃料ノズル12は、下から上に(例えば、逆方向42)に製作することができる。換言すれば、第1の層50、第2の層52、および中間層54を有する、長手方向軸36に垂直な第1の断面スライスは、粉末の層に熱源を選択的に適用することによって生成することができる。熱源は、手動で、または、プロセッサによって実行されると熱源を選択的に適用する命令の1つまたは複数のセットを記憶する有形の機械可読非一時的媒体を有するコンピューティングデバイスを介して、選択的に適用することができる。第1の断面スライスが上記の技術によって生成されると、第1の断面スライスの上部に堆積された粉末の層に適用される同じ技術によって、第2の断面スライスを生成することができる。技術は、燃料ノズル12または任意の他のターボ機械構成要素が作製されるまで、繰り返すことができる。熱源を選択的に適用することによって(例えば、強度が変化する熱源を選択的に適用することによって、または、一定の強度の熱源を変化する時間の間選択的に適用することによって)、断面スライスの各層(例えば、第1の層50、第2の層52、および中間層54)を、断面スライスの他の層(例えば、第1の層50、第2の層52、および中間層54)に対して異なる程度に焼結/合体することができる。例えば、中間層54は、第1の層50および第2の層52よりも低い程度に焼結することができる。本開示の焼結技術の実施形態を、図10を参照してより詳細に論じる。
【0025】
図3の図示の実施形態を続けると、第1の層50および第2の層52は、全体的に中間層54に接合する。この実施形態では、中間層54は、第1および第2の層50、52と比較して、より低い程度に焼結される。一実施形態では、第1および第2の層50、52は、完全に焼結する(例えば、製造プロセスおよび/もしくは製造機器によって可能な最も高い程度に焼結する)ことができ、または、部分的にのみ、しかし、互いとおよび/または中間層54と比較して異なる程度に焼結することができる。非限定的な例として、中間層54は、部分的に合体したコバルト−クロム、ステンレス鋼、インコネル、チタン、またはニッケル基合金を含むことができる。各層は、ターボ機械構成要素の様々な領域で様々な焼結技術を使用して構成することができる。例えば、燃料ノズル12の第1の領域55は、第1の層50、第2の層52、および中間層54を含むことができ、第1および第2の層50、52は、完全に焼結され(例えば、層を生成するために使用される付加的な製造技術の能力に関して完全に焼結され)、中間層54は、第1および第2の層50、52よりも低い程度に焼結される。図示の燃料ノズル12またはターボ機械構成要素の第2の領域56は、層の機能的に段階的な焼結を含むことができる(例えば、層は、領域の1つの部分中の単一の焼結された材料であり、層が領域の第2の部分中の単一の焼結された材料になるまで、徐々に別の焼結された材料になる)。さらに、図示の燃料ノズル12または他のターボ機械構成要素の第3の領域58は、第3の領域の1つの部分から第3の領域の別の部分まで焼結の程度が徐々に低下する焼結層を含むことができる(例えば、層を形成するために使用される材料は、変化しない)。さらに、図示の燃料ノズル12またはターボ機械構成要の第4の領域60は、第1の層50と第2の層52との間を、中間層54を通って延びる延長部62(例えば、ロッド、または別の延長特徴部)を含むことができる。さらに、第5の領域64は、断面の厚さが変化する1つまたは複数の焼結層(例えば、第1の層50、第2の層52、および/または中間層54)を含むことができる。さらに、第6の領域66は、空状態層(例えば、粉末がなく、領域を満たす空気または別の気体を有する領域、粉末で満たされているが、真空の領域、または、粉末がなく、真空の領域)を含むことができる。「真空」という用語は、大気圧よりも低い、またはなにか他の基準点よりも低いガス圧を有する領域の状態を指すことができる。
【0026】
上記で論じた様々な構成は、任意のターボ機械構成要素の任意の組み合わせで、および任意の領域で使用することができることに留意すべきである。燃料ノズル12の実施形態、ならびに各領域のそれぞれの位置および配置は、上記で論じたように、各々、典型的な例であることを意図している。
【0027】
第1の層50、第2の層52、および中間層54の一実施形態は、線4−4内でとった図である図4に示されている。図示の実施形態では、第1および第2の層50、52は、完全に焼結することができ、中間層54は、第1および第2の層50、52よりも低い程度に焼結することができ、または、部分的に焼結する(例えば、製造プロセスおよび/または製造機器が与える最も高い可能な焼結の程度よりも低い程度に焼結する)ことができる。換言すれば、第1および第2の層50、52は、製造機器の能力に対して100%焼結されているとみなすことができ、中間層54は、製造機器の能力に対して100%未満焼結されているとみなすことができる。したがって、第1および第2の層50、52中の合体した粉末は、より密集しており(例えば、より高密度であり)、中間層54中の合体した粉末は、中間層54中の合体した粉末が粉末粒子間に空間を含むことができるように、より密集しておらず(例えば、より低密度であり)、これは、粉末粒子が、粒子の位置および周囲の構造を移動させることなく、広がることを可能にすることができる。したがって、図示の実施形態での中間層54は、第1および第2の層50、52中の粉末粒子間の空間と比較して、より大きい空間が中間層54中の各粉末粒子間にあることができることを示すために、点として描かれている。
【0028】
中間層54の部分的な焼結は、中間層54(例えば、焼結部分および/または非焼結部分)が加熱されたときに膨張することを可能にすることができる。したがって、中間層54は、熱膨張係数の影響を低減または無効にすることができる。すなわち、中間層54は、より大きい程度の熱膨張を可能にすることができ、これは、ターボ機械構成要素の構造的完全性に対する膨張の影響を軽減する。さらに、中間層54は、前述のように、熱バリアとして機能することができ、および/または、動的圧力振動、もしくはターボ機械構成要素に関連する他の空気機械的ノイズ源への共振応答のダンパとして機能することができる。さらに、剛性を増すために、第1および第2の層50、52を完全に焼結する(例えば、上記で説明したように完全に焼結する)ことができ、これは、構成要素が他の外部負荷(例えば、空気力学的な力、および/または動作中に受ける他の力)の下に置かれたときに安定性を提供することができる。いくつかの実施形態では、中間層54に対する第1および第2の層50、52の焼結のパーセントの比率は、5:1〜5:4、4:1〜4:3、もしくは3:1〜3:2の範囲内、またはそれらの任意の部分範囲内であってよい。
【0029】
中間層54は、第1および第2の層50、52と比べて異なる熱膨張係数を有することができることにも留意すべきである。このようにして、所与の熱的刺激による膨張の程度は、中間層54の大きさおよび幾何学的形状を制御することによって、制御することができる。さらに、中間層54は、中間層54が第1および第2の層50、52と比較して同様のまたは同じ程度の焼結を有する場合よりも、第1および第2の層50、52がより均等に熱膨張することを可能にすることができる。
【0030】
第1の層50、第2の層52、および中間層54の別の実施形態は、図3の線5−5内でとった第4の領域64の図である図5に示されている。図示の実施形態では、中間層54は、第1および第2の層50、52よりも低い程度に焼結することができ、第1および第2の層50、52は、完全に焼結することができ、または中間層54よりも高い程度に焼結することができる。この実施形態では、これらの層のうちの1つまたは複数は、第4の領域64(または、ノズル12の任意の他の部分)内で変化する断面厚さを有することができる。例えば、第4の領域64の1つの部分では、各層の第1の断面厚さ67は、第4の領域64の第2の部分での各層の第2の断面厚さ68よりも大きい。特定の実施形態では、第1の層50のみ、第2の層52のみ、中間層54のみ、またはこれらの層の任意の組み合わせは、変化する断面厚さを含むことができる。変化する断面厚さは、図5の実施形態に示すように漸進的もしくはテーパ状であってよく、または段階的であってもよいことにも留意すべきである。実際には、断面厚さは、任意の方法で変化することができ、一般的に、構成要素の意図された幾何学的形状、または構成要素の特定の領域の熱的考察に基づいて、増加または減少させることができる。例えば、第4の領域64の特定の部分での熱膨張を変化させる(例えば、減少させる)ために、中間層54のより大きい断面厚さを含むことができる。同様に、剛性を高めることによって、より大きい負荷(例えば、空気力学的力)を受ける領域を適応させるために、第1の層50または第2の層52のより大きい断面厚さを特定の領域に含むことができる。
【0031】
図3の線6−6内でとった第2の領域58が、図6に示されている。図6に示す実施形態では、第2の領域58は、矢印70によって示す方向に焼結の漸減する層が存在する中間層54の実施形態を含む。矢印70によって示す方向は、単なる典型であることに留意されたい。焼結の程度は、例えば、矢印70に対して横(例えば、垂直)方向に漸減させることができる。さらに、焼結の程度は、中間層54から第1の層50に向かって、もしくは、中間層54から第2の層52に向かってより高くてもよく、または、中間層54の中心(もしくは、他の点、線、ブロック、もしくは領域)から、1つまたは複数の方向に(例えば、第1および/もしくは第2の層50、52に向かって、もしくは任意の他の方向に)より高くてもよい。さらに、焼結の程度の変化は、漸進的でなくてもよい(例えば、段階的であってもよい)。換言すれば、所与の層の焼結の程度の変化は、方向性であってよく、または方向性でなくてもよく、増加または減少してもよく、漸進的であってよく、または漸進的でなくてもよい。一般的に、より高い焼結の程度を有する第2の領域58の第1の部分は、その部分に加えられるより大きい外部負荷を処理するためのより剛性の高い構造を可能にすることができ(例えば、その部分の剛性を高めることができ)、より低い焼結の程度を有する第2の領域58の第2の部分は、熱膨張に対するより高い可撓性を可能にすることができ、それによって、第2の領域58(または、ノズル12のすべてまたは一部)の構造的完全性に対する熱膨張の影響を軽減する。他の実施形態では、変化する焼結の程度は、上記で説明したように、第1の層50、第2の層52、中間層54、またはそれらの任意の組み合わせで生じることができる。
【0032】
図3の線7−7内でとった第1の領域56の一実施形態の断面図が、図7に示されている。図示の実施形態では、中間層54は、機能的に勾配している(例えば、前述のように、ある材料から別の材料に漸進的に変化している)。例えば、第1の領域56中の中間層54の1つの部分は、第1の材料72、例えば、コバルトクロムで焼結される。第1の材料72は、次いで、第1の領域56の第2の部分中の第2の材料74、例えば、ニッケル基合金に漸進的に置換される(例えば、材料が漸進的に変化する)。したがって、第1の領域56は、第1の材料72のみを含む部分と、第1および第2の材料72、74の組み合わせ(例えば、遷移領域)を含む部分と、第2の材料74のみを含む部分とを含むことができる。このようにして、ターボ機械構成要素の1つの部分または領域が第1の材料72の特性から利益を受け、同時に、ターボ機械構成要素の第2の部分または領域が第2の材料74の特性から利益を受け、同時に、中間または遷移領域が両方を有することから利益を受け、同時に、(例えば、第1および第2の材料72、74が異なる特性を有する状況で)異なる材料が互いに相互作用することによって生じる追加の応力を軽減するように、中間層54は、機能的に勾配することができる。例えば、特定の領域での酸化/腐食が低減または排除されるように、材料を、構成要素の特定の領域で選択することができる。
【0033】
別の非限定的な例として、第1の材料72は、中間層54の剛性を高めることができ、第2の層74は、中間層54のより高い可撓性を可能にする。「機能的に勾配する」は、2つ以上の材料を含むことができること、および、機能的勾配の方向は、方向の任意の1つまたは組み合わせであってよく、矢印70によって示す方向に限定されないことに留意すべきである。例えば、他の実施形態では、方向は、矢印70によって示す方向に対して横(例えば、実質的に垂直)、または、任意の他の1つまたは複数の方向であってよく、2つ以上の材料を含むことができ(例えば、2つ以上の材料の混合物が存在してよく)、および/または、機能的勾配は、第1の材料72から第2の材料74に、第3の材料に、などであってもよい。さらに他の実施形態では、傾斜機能焼結は、中間層54の代わりにもしくは追加で、第1の層50、第2の層52で、または、第1、第2、もしくは中間層50、52、54の任意の組み合わせで生じてもよい。
【0034】
第5の領域66の一実施形態が、図3の線8−8に内でとった断面図である図8に示されている。図示の実施形態では、中間層54は、空状態領域に対応する、またはそうでなければ、空状態領域を含む(例えば、中間層54は、密封され、実質的に物質がない)。空状態領域は、第5の領域66の第1の層50と第2の層52との間の熱バリアまたは断熱層として機能することができる。換言すれば、一実施形態では、中間層54のすべてまたは一部に対応する空状態層は、第1の層50から第2の層52に熱エネルギーを伝導することができず、または、より一般的には、第1および第2の層50、52の間の熱伝導を低減することができる。加えて、空状態領域(例えば、図示の実施形態の中間層54)は、従来の製造技術を利用する従来の構成と比較して、第1の層50および第2の層52の、ならびに一般的に構成要素の他の部分の濡れた内側表面の温度の低下を引き起こすことができる。これは、例えば、液体燃料噴射器内の液体燃料の熱暴露をブロックすることができる。したがって、本実施形態による熱バリアは、燃料で濡れた表面、および、したがって、燃料で濡れた表面と接触する燃料噴射器を通ってくる燃料が、高温および関連する熱応力に完全に暴露されるのをブロックすることができる。
【0035】
ターボ機械構成要素の第3の領域60の一実施形態が、図3の線9−9内でとった断面図である図9に示されている。図示の実施形態では、図3に関連して上述したように、延長部62が、第1のおよび第2の層50、52の間に配置(例えば、接続)されてよく、中間層54を貫通して完全にまたは部分的に延びることができる。特定の実施形態では、延長部62は、第1および第2の層50、52と一体に形成することができる。他の実施形態では、延長部62は、別々に作製し、第1の層50と第2の層52との間に結合することができる。いずれの場合も、延長部62は、前述の材料のいずれかから焼結することができ(例えば、延長部62は、層50、52、および54と同じ材料であってよく、または、延長部62は、異なる材料であってもよい)、延長部62の周りに配置された中間層54は、第1の層50、第2の層52、および/または延長部62と比較してより低い程度に焼結することができる。延長部62は、延長部62を含むターボ機械構成要素の部分の剛性を高めるように機能することができ、同時に、中間層54は、熱膨張から結果として生じる応力を軽減する。したがって、延長部62は、構成要素の断面にわたる異なる熱膨張係数を可能にしながら、構成要素全体の強度を増強するように機能することができる。延長部62は、第1の層50と第2の層52との間の熱的連通を促進するように構成することもできる。例えば、延長部62を含むターボ機械構成要素の領域は、層状構造の一方の側(例えば、第1の層50の近く)で、層状構造の他方の側(例えば、第2の層52の近く)よりも高い温度を受ける可能性がある。例えば、第2の層52が第1の層50のためのヒートシンクとして機能するような方法で、熱エネルギーを第1の層50から延長部62を介して第2の層52に分散させることができる。特定の実施形態では、この方法で熱負荷を分配することは、第1の層50および/または第2の層52の局所的な高温領域の発生を低減することができる。これは、ターボ機械構成要素の特定の領域が熱膨張/熱応力の変化によって障害を起こす可能性を低減することができる。
【0036】
上述したように、本開示の層状構造は、開示した実施形態を使用して構成されていない他の非層状構造に対して、構成要素の幾何学的形状の選択における増加した柔軟性を可能にする。例えば、開示した技術なしでは、第1および第2のターボ機械構成要素間のスロット接続は、動作中の構成要素の熱膨張の原因となる空間を含む可能性がある。これは、2つの構成要素間のシール不良をもたらす可能性がある。本明細書で論じた焼結層状構造では、熱膨張は、外側への膨張に限定されず、空間、および/または、所定の位置に固定されていない粒子を含むことができる中間層54に向かって内向きにも生じることができる。したがって、本実施形態による焼結層を有する第1のターボ機械構成要素と焼結層を有する第2のターボ機械構成要素との間のスロット接続による類似した構成は、(熱膨張の原因となる空間なしで)よりしっかりした取り付けの接続を可能にすることができ、シール、および、特定の実施形態では全体としてのターボ機械システムの動作効率を改善する。
【0037】
様々な焼結層を有するターボ機械構成要素の上記で論じた実施形態の各々は、1つまたは複数の付加的な製造技術を含む方法によって製造することができる。そのような方法88の一実施形態は、図10の流れ図として示されている。方法88は、本明細書に記載の動作を実行するための専用機器および1つまたは複数のプロセッサベースのコントローラを有する付加的な製造システムによって実行することができる。例えば、方法88を実行する付加的な製造システムは、プロセッサによって実行されると、システムの様々な構成要素に方法88の動作を実行させる命令の1つまたは複数のセットを記憶する有形の機械可読非一時的媒体を有する1つまたは複数のコンピューティングデバイスを有することができる。そのようなシステムを使用する1つまたは複数の構成要素の製造を容易にするために、コンピュータ支援設計(CAD:computer−aided design)図面/ファイル、3Dソリッドモデル、材料組成入力、などの、特定の入力をシステムに提供することができる。
【0038】
方法88では、ターボ機械構成要素の層状構造または断面スライス構造を、例えば、ソリッドモデルによって定義することができる(ブロック90)。例えば、ソリッドモデルは、燃料ノズル、トランジションピース、タービンブレードまたは圧縮機、シュラウド、ホイール、シール、などの幾何学的形状を定義することができる。ブロック90によって表される動作は、非限定的な例として、非一時的記憶媒体からのソリッドモデルにアクセスする、ファイルを適切なコンピュータベースのアプリケーション(例えば、システムに記憶された製造ソフトウェア)にロードする、などの、製造システムによって実行される動作を含むことができる。
【0039】
特定の付加的な製造技術は、特定のデバイス/構成要素を層ごとに生成することができるので、方法88は、ソリッドモデルをデジタルスライスまたは断面に分割すること(ブロック91)を含むこともできる。例えば、上記で説明したコンピュータベースのアプリケーションは、ソリッドモデルをデジタルスライスまたは断面にスライスすることができる。いくつかの実施形態では、例えば、特定の特性(例えば、硬度、熱伝導率、など)の程度が変化する層状構造を生成するために、被加工物の様々な層、または1つもしくは複数の層の様々な部分の焼結/合体の程度に関して、入力を提供することもできる。
【0040】
例えば、真空、円筒ころ、ならびに/または、粉末(例えば、セラミックおよび/もしくは金属粉末)を少なくとも部分的に空状態にされたチャンバ(例えば、周囲に比べて減圧下のチャンバ)内に運び、堆積させることができるなにか他の機器を使用して、粉末をチャンバ内に堆積させることができる(ブロック92)。例えば、粉末を粉末貯蔵容器から構築チャンバ内に押し出すために、円筒ころを使用することができる。粉末貯蔵容器は、粉末を上方に押し出すことができ、円筒ころは、粉末が粉末貯蔵容器の上部から構築チャンバ内に押し出されるように、粉末貯蔵容器の上部を横切って構築チャンバに向かって転がることができる。方法88のいくつかの実施形態では、例えば、図8の空状態領域を生成するために、中間層54の位置に対応する粉末の部分を空状態にすることができる。
【0041】
粉末が適切に配置された後、または配置しながら、エネルギー源が(例えば、レーザを介して)粉末に適用される(ブロック94)。それぞれ、ブロック94および95に示すように、ブロック91から(例えば、コンピュータ数値制御(CNC:computer numerical control)により)青写真として得られたデジタル断面を使用して、エネルギー源を導くことができる。焼結/合体されている特定の層の幾何学的形状は、製造システムがエネルギーを適用する領域によって画定することができ、部分のいくつかの特性は、粉末の特定の領域内に蓄積されるエネルギー量によって決定することができる。例えば、一般的な意味で、レーザビーム/電子ビームによって提供されるより大きい束(例えば、より多くのエネルギー)は、粉末のより多くの焼結/合体をもたらすことができ、結果としてより高い硬度をもたらし、システムによって蓄積されるより少ないエネルギーは、構成要素の構造的により柔軟な部分をもたらすことができる。例えば、上記で論じた延長部62は、ターボ機械構成要素の層と一体に形成されている場合、最終的に三次元のロッド状構造をもたらすことができる中間層54の断面の矩形に沿って、粉末により多くのエネルギー量を提供することによって形成することができる。実際には、例えば、図4図6および図9に示す実施形態を生成するために、同様の手法を用いることができる。
【0042】
さらに他の実施形態では、ブロック92〜95によって表される動作は、追加のタイプの粉末(例えば、異なる金属/合金/セラミック)をチャンバ内に提供すること、および、これらの粉末を製造されている構成要素の特定の部分/領域内に取り込むことを含むことができる。実際には、例えば、図7に示す実施形態を生成するために、そのような技術を使用することができる。したがって、エネルギーの適切な量の提供に応じて、粉末は、ブロック90にしたがって画定されるデジタル断面の幾何学的形状を有する物理的断面内に合体される(ブロック96)。デジタル断面から連続的な層またはスライスを生成するために、方法88のすべてまたは一部(例えば、ブロック92〜ブロック96のプロセス)を繰り返すことができ、各層またはスライスは、第1の層50、第2の層52、または中間層54のうちの1つまたは複数を有し、各断面は、ターボ機械構成要素がソリッドモデルの物理的複製として構築されるまで、先行する断面の上に物理的に構築される。各断面が構築され、構造が完成すると、上記で説明したプロセスから取り残された不要な粉末は、アセンブリから除去することができる。
【0043】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また、当業者が、任意のデバイスまたはシステムを製作および使用すること、ならびに、任意の組込み方法を実行することを含む、本発明を実施することを可能にするために、例を使用する。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の文言と実質的な違いを持たない等価な構造要素を有する場合、本発明の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
10 タービンシステム
12 燃料ノズル
14 燃料供給部
16 燃焼器
18 矢印
20 タービン
21
22 シャフト
24 圧縮機
26 負荷
36 軸
38 ブレード
40 外側表面
41 内管
42 方向
44 孔
45 外管
46 矢印
50 第1の層
52 第2の層
54 中間層
55 第1の領域
56 第2の領域
58 第3の領域
60 第4の領域
64 第5の領域
66 第6の領域
67 第1の断面厚さ
68 第2の断面厚さ
70 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10