特許第6612210号(P6612210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612210
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/71 20060101AFI20191118BHJP
   A01D 43/06 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   A01D34/71
   A01D43/06
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-252088(P2016-252088)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-102203(P2018-102203A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】厨川 浩二
(72)【発明者】
【氏名】金子 瑠南
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−105954(JP,A)
【文献】 特開2008−213685(JP,A)
【文献】 特開2009−005660(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/087795(WO,A1)
【文献】 特開2016−187979(JP,A)
【文献】 特開平04−283136(JP,A)
【文献】 特開平09−104279(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0271994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/00 −43/16
A01D 34/412−34/90
A01D 75/28
A01B 63/00 −63/12
A01D 67/00
B60P 1/00 − 9/00
E01H 1/00 −15/00
B65F 3/00 − 3/28
E02F 9/20 − 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
回収物を収容する水平位置と前記回収物を排出する傾斜位置との間で変位可能に前記車体に設けられた収容容器と、
前記車体と前記収容容器との間に設けられ、前記車体に対する前記収容容器の角度である収容容器角を変位させる駆動装置と、
水平面に対する前記車体の傾斜角度である車体傾斜角を検出する傾斜角センサと、
前記駆動装置の駆動を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記車体傾斜角に応じて前記駆動装置を制御し、前記駆動装置が前記収容容器角を増加させるべく駆動しているときに、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた場合には、前記駆動装置の駆動を禁止することを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記車体傾斜角が所定の第1傾斜角判定値以上の場合に前記駆動装置の駆動を禁止し、前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値より小さい場合には、前記収容容器角が所定の角度となるまで前記駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値より小さい第2傾斜角判定値より小さい場合に、前記駆動装置の駆動速度を所定の第1駆動速度とし、
前記車体傾斜角が前記第2傾斜角判定値以上であり前記第1傾斜角判定値より小さい場合に、
前記駆動装置の駆動速度を前記第1駆動速度よりも小さい所定の第2駆動速度とすることを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
車体と、
回収物を収容する水平位置と前記回収物を排出する傾斜位置との間で変位可能に前記車体に設けられた収容容器と、
前記車体と前記収容容器との間に設けられ、前記車体に対する前記収容容器の角度である収容容器角を変位させる駆動装置と、
水平面に対する前記車体の傾斜角度である車体傾斜角を検出する傾斜角センサと、
前記駆動装置の駆動を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記車体傾斜角に応じて前記駆動装置を制御し、前記駆動装置が前記収容容器角を増加させるべく駆動しているときに、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた場合には、前記収容容器角を減少させるべく前記駆動装置を駆動させることを特徴とする作業機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記車体傾斜角が所定の第1傾斜角判定値以上の場合に前記駆動装置の駆動を禁止し、前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値より小さい場合には、前記収容容器角が所定の角度となるまで前記駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値より小さい第2傾斜角判定値より小さい場合に、前記駆動装置の駆動速度を所定の第1駆動速度とし、
前記車体傾斜角が前記第2傾斜角判定値以上であり前記第1傾斜角判定値より小さい場合に、
前記駆動装置の駆動速度を前記第1駆動速度よりも小さい所定の第2駆動速度とすることを特徴とする請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記駆動装置が前記収容容器角を増加させるべく駆動しているときに、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた場合には、前記第1駆動速度以下の駆動速度で前記収容容器角を減少させるべく前記駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた後、前記駆動装置に前記収容容器角を減少させるべく駆動させているときに、前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値以下となった場合には、前記収容容器角を大きくする方向に前記駆動装置を駆動させることを特徴とする請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記収容容器が前記傾斜位置となった後に前記収容容器角を小さくする方向に前記駆動装置を駆動させるときには、前記駆動装置を最も大きな速さで駆動させることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つの項に記載の作業機。
【請求項10】
前記車体傾斜角は前記車体の進行方向の前後方向についての水平面に対する傾斜角、及び進行方向の左右方向についての傾斜角を含むことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つの項に記載の作業機。
【請求項11】
前記車体傾斜角は前記駆動装置によって前記収容容器が傾動される方向についての前記車体の水平面に対する傾斜角を含むことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つの項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関し、更に詳細には、芝刈機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
刈芝を収容する収容容器が機体に傾動可能に取り付けられ、収容容器の傾動によって収容容器から刈芝を排出する芝刈機が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−189718号公報
【特許文献2】特開2015−92845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような芝刈機では刈芝を排出するときに、重量のバランスが崩れ、芝刈機が転倒する虞がある。地面が傾斜した場所ではより重量バランスが崩れやすく、刈芝を排出するときに芝刈機が転倒しやすくなる。
【0005】
また、芝刈機に収容容器を有する自走式の補機を設け、その自走式の補機に自走させて刈芝を廃棄させることができれば刈芝の廃棄は容易になる。このような自走式の補機は芝刈機本体より軽量となるため、収容容器を傾動させ刈芝を排出するときに転倒する虞が大きい。
【0006】
本発明は、収容容器を傾動させることによって収容容器内の回収物を排出する作業機において、回収物を排出する際に転倒し難い作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、車体(72)と、回収物を収容する水平位置と前記回収物を排出する傾斜位置との間で変位可能に前記車体に設けられた収容容器(88)と、前記車体と前記収容容器との間に設けられ、前記車体に対する前記収容容器の角度である収容容器角を変位させる駆動装置(98)と、水平面に対する前記車体の傾斜角度である車体傾斜角を検出する傾斜角センサ(108)と、前記駆動装置の駆動を制御する制御装置(104)とを有し、前記制御装置は、前記車体傾斜角に応じて前記駆動装置を制御する作業機が提供される。
【0008】
この態様によれば、作業機が載置される地面の傾斜角に基づいて、駆動装置の駆動を制御することができるため作業機が転倒し難い。
【0009】
上記態様において、前記制御装置は、前記車体傾斜角が所定の第1傾斜角判定値以上の場合に前記駆動装置の駆動を禁止するとよい。
【0010】
この態様によれば、駆動装置の駆動によって作業機が転倒しうる傾斜角度を有する斜面において駆動装置が駆動しないため作業機が転倒し難い。
【0011】
上記態様において、前記制御装置は、前記車体傾斜角に応じて前記駆動装置の駆動速度を変更するとよい。
【0012】
この態様によれば、斜面の勾配に応じて収容容器の変位速度を変更できるため、作業機が転倒し難い。
【0013】
上記態様において、前記制御装置は、前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値より小さい第2傾斜角判定値より小さい場合に、前記駆動装置の駆動速度を所定の第1駆動速度とし、前記車体傾斜角が前記第2傾斜角判定値以上であり前記第1傾斜角判定値より小さい場合に、前記駆動装置の駆動速度を前記第1駆動速度よりも小さい所定の第2駆動速度とするとよい。
【0014】
この態様によれば、勾配の大きい斜面では、勾配の小さい斜面に比べて、収容容器が低速で変位するため作業機が転倒し難い。更に、勾配の小さい斜面では、勾配の大きい斜面に比べ、収容容器が本体に対してより早く変位するため排出処理が速やかに行われる。
【0015】
上記態様において、前記制御装置は、前記駆動装置が前記収容容器角を増加させるべく駆動しているときに、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた場合には、前記駆動装置の駆動を禁止するとよい。
【0016】
この態様によれば、作業機が、車体傾斜角が時間変化する不安定な斜面上にあるときに駆動装置が駆動を停止するため、作業機が転倒し難い。
【0017】
上記態様において、前記制御装置は、前記制御装置は、前記駆動装置が前記収容容器角を増加させるべく駆動しているときに、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた場合には、前記収容容器角を減少させるべく前記駆動装置を駆動させるとよい。
【0018】
この態様によれば、作業機が、車体傾斜角が時間変化する不安定な斜面上にあり、駆動装置の駆動によって転倒しつつあるときに、駆動装置が逆方向に駆動し、収容容器が元の位置に向けて移動するため、作業機が転倒し難い。
【0019】
上記態様において、前記制御装置は、前記駆動装置が前記収容容器角を増加させるべく駆動しているときに、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた場合には、前記第1駆動速度以下の駆動速度で前記収容容器角を減少させるべく前記駆動装置を駆動させるとよい。
【0020】
この態様によれば、不安定な斜面上において駆動装置の駆動によって作業機が転倒しつつあり、駆動装置が逆方向に駆動する場合には、勾配の小さい斜面に比べ、低速で収容容器を変位させるため駆動するため、作業機が転倒し難い。
【0021】
上記態様において、前記制御装置は、前記車体傾斜角の時間変化率が所定の閾値を超えた後、前記駆動装置に前記収容容器角を減少させるべく駆動させているときに、前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値以下となった場合には、前記収容容器角を大きくする方向に前記駆動装置を駆動させるとよい。
【0022】
この態様によれば、不安定な斜面上において作業機が転倒しつつあるときに、駆動装置が収容容器角を減少させるべく駆動することによって、車体が安定になった場合には、収容容器が傾動し回収物が排出される。
【0023】
上記態様において、前記制御装置は、前記車体傾斜角が前記第1傾斜角判定値以下である場合には、前記収容容器角が所定の角度となるまで前記駆動装置を駆動させるとよい。
【0024】
この態様によれば、作業機が転倒する虞の小さい斜面上にあるとき、確実に回収物を排出させることができる。
【0025】
上記態様において、前記制御装置は、前記制御装置は、前記収容容器が前記傾斜位置となった後に前記収容容器角を小さくする方向に前記駆動装置を駆動させるときには、前記駆動装置を最も大きな速さで駆動させるとよい。
【0026】
この態様によれば、回収物が排出された後に、収容容器が傾斜位置から水平位置に戻るまでの時間が短くなるため、回収物の排出完了までの時間が短くなる。
【0027】
上記態様において、前記車体傾斜角は進行方向の前後方向についての前記車体の水平面に対する傾斜角、及び進行方向の左右方向についての前記車体の水平面に対する傾斜角を含むとよい。
【0028】
この態様によれば、車体傾斜角を簡便に取得できる。また、制御装置の処理が簡素となる。
【0029】
上記態様において、前記車体傾斜角は前記駆動装置によって前記収容容器が傾動される方向についての前記車体の水平面に対する傾斜角を含むとよい。
【0030】
この態様によれば、重心の移動を簡便に把握することができ、制御装置の処理が簡素となる。
【発明の効果】
【0031】
以上の構成によれば、収容容器を傾動させることによって収容容器内の回収物を排出する作業機において、回収物を排出する際に転倒し難い作業機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による作業機を乗用芝刈機に適用した一つの実施形態を示す側断面図(刈芝収容用補機が降下した状態の側断面図)
図2】本実施形態による乗用芝刈機を示す側断面図(刈芝収容用補機が持上げられた状態の側断面図)
図3】本実施形態による乗用芝刈機の刈芝収容用補機の機械室部分の平面図
図4】本実施形態による乗用芝刈機の開閉プレートの正面図
図5】本実施形態による乗用芝刈機の刈芝収容用補機の走行時の単機状態を示す側断面図
図6】本実施形態による乗用芝刈機の刈芝収容用補機のダンプ動作時の単機状態を示す側断面図
図7】本実施形態による乗用芝刈機の制御系のブロック線図
図8】本実施形態の乗用芝刈機に搭載される補機制御装置の刈芝排出処理のフローチャート
図9】本実施形態の乗用芝刈機に搭載される補機制御装置のシャッタ開閉処理のフローチャート
図10】勾配が小さい刈芝廃棄場所における本実施形態の刈芝収容用補機の動作を示すタイムチャート
図11】勾配が大きく不安定な刈芝廃棄場所における本実施形態の刈芝収容用補機の動作を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明による作業機を乗用芝刈機に適用した一つの実施形態を、図1図11を参照して説明する。
【0034】
乗用芝刈機10は、作業用本機20と、作業用本機20の後部に切り離し可能に連結された刈芝(回収物)収容用補機70とを有する。
【0035】
作業用本機20は、図1及び図2に示されているように、作業用本機20の構造体(第1の構造体)である本機フレーム22及び本機フレーム22の前部に設けられた前部車体28と、本機フレーム22に設けられた左右の前輪24及び後輪26(第1の走行装置)と、前部車体28内に設けられた内燃機関30と、本機フレーム22に設けられ、内燃機関30に供給する燃料を貯容した燃料タンクおよび燃料ポンプを含む燃料供給部(第1のエネルギー源)32と、前部車体28に設けられたステアリングホイール34と、本機フレーム22上に設けられた運転座席38とを有する。内燃機関30は各前輪24を回転駆動する第1の走行駆動装置をなすと共に後述する送風ファン46及び刈刃48を回転駆動する駆動部をなす。
【0036】
作業用本機20の走行及び制動は、本機フレーム22に設けられたアクセルペダル62及びブレーキペダル64によって従来の乗用芝刈機と同様に行われる。
【0037】
本機フレーム22の下部には作業部である刈刃装置40が設けられている。刈刃装置40は、下方開口のハウジング42と、垂直な回転軸44によってハウジング42内に配置された送風ファン46及び刈刃48とを含む。回転軸44は、ベルト伝動機構45及びクラッチ31を介して内燃機関30に動力伝達関係で連結され、内燃機関30によって選択的に回転駆動される。ハウジング42は刈芝排出用の排出ダクト50を有する。本機フレーム22は排出ダクト50を後述する刈芝収容用補機70の刈芝収容室90に接続する接続ダクト52を有する。
【0038】
排出ダクト50には排出ダクト50から刈刃48及び送風ファン46が発生する気流に乗って接続ダクト52へ向かう刈芝の方向を変更するシャッタ66及びシャッタ66の角度を変更する電動式のシャッタアクチュエータ68が設けられている。
【0039】
作業用本機20は、更に、前部車体28内に設けられた電子制御装置である本機制御装置54及び刈芝収容用補機70との間に無線通信を行う無線通信機56と、本機フレーム22に設けられた二次電池であるバッテリ58と、前部車体28に設けられた表示・操作部60とを有する。表示・操作部60は、液晶ディスプレイ及びタッチパネルを含むものやスイッチ等を含むものであってよく、後述する刈芝の廃棄実行ボタン(不図示)を含む。バッテリ58は内燃機関30に駆動される発電機(不図示)によって充電される。
【0040】
刈芝収容用補機70は、図1図6に示されているように補機フレーム72と、補機フレーム72に設けられた左右の前輪74及び後輪76(第2の走行装置)とを含む台車78と、左右の後輪76を個別に回転駆動する電動モータ82を含む左右の走行駆動装置80(第2の走行駆動装置)とを有する。各走行駆動装置80は、電動リニアアクチュエータである後輪持ち上げアクチュエータ(昇降装置)84によって補機フレーム72に取り付けられ、後輪持上げアクチュエータ84の伸縮によって後輪76が地面より上方に持ち上げられた上昇位置と後輪76が地面に接地する降下位置との間に昇降する。
【0041】
補機フレーム72上には、補機フレーム72の前部を左右に延在する支持軸86によって刈芝収容容器88が水平軸線周りに傾動(ダンプ動作)可能に設けられている。
【0042】
刈芝収容容器88は、前部の全域に亘って開口する回収物排出開口90Aを有する略長方体の箱形をなし、刈刃装置40からの刈芝(回収物)を収容する刈芝収容室90を画定している。支持軸86には開閉プレート92が固定されており、支持軸86の回動によって開閉プレート92が刈芝収容容器88の回収物排出開口90Aを開閉する。刈芝収容容器88と開閉プレート92とは支持軸86を共通の傾動(回動)中心とする。
【0043】
この構成により、刈芝収容用補機70の構造体(第2の構造体)は補機フレーム72、刈芝収容容器88及び開閉プレート92を含んで構成される。
【0044】
開閉プレート92には、図4に示されているように刈芝取入開口92Aが形成されている。刈芝取入開口92Aは、図2に示されているように、作業用本機20に連結された刈芝収容用補機70が持上げ位置にあるときに、接続ダクト52の出口に整合する。なお、刈芝収容容器88には排気領域(不図示)が設けられている。排気領域は空気の通過を許し、刈芝の通過を許さない構造になっている。
【0045】
刈芝収容容器88には刈芝収容室90に収容された刈芝の収容量を検出すべく刈芝収容室90の内圧を検出する圧力センサ120が設けられている。刈芝収容容器88の上部には、刈芝収容用補機70の周辺環境を検出する外界検出装置としてのカメラ122及び赤色ランプ等を含む警告器124が設けられている。
【0046】
補機フレーム72は、機械室94と電気室96とを上下2段に構成している。機械室94には刈芝収容容器88の底部に設けられ、刈芝収容容器88を傾動駆動するダンプアクチュエータ98及び開閉プレート92を開閉駆動する開閉アクチュエータ100が配置されている。ダンプアクチュエータ98にはダンプアクチュエータ98の作動状態から補機フレーム72に対する刈芝収容容器88の傾斜角(ダンプ角)を検出するダンプ角センサ102が設けられている。
【0047】
刈芝収容容器88を、図1及び図5に示されているように刈芝収容容器88の底面が補機フレーム72の上面に重なる略水平な水平位置と、図6に示されているように、前記水平位置から支持軸86の中心軸線周りに時計廻り方向に回動して尻上がりに傾斜した傾斜位置との間に変位可能に形成されている。ダンプアクチュエータ98は、電動リニアアクチュエータによって構成され、刈芝収容容器88を水平位置と傾斜位置との間に傾動駆動する。ダンプアクチュエータ98は刈芝収容容器88が前記水平位置にある時に刈芝収容容器88に当接するストッパ99が設けられている。
【0048】
開閉アクチュエータ100は、電動モータによって構成され、歯車列101によって支持軸86に動力伝達関係で連結されている。開閉アクチュエータ100は、開閉プレート92を、回収物排出開口90Aを閉じる閉位置(図5参照)と、閉位置から支持軸86を中心して前方に回動した開位置(図6参照)の間で傾動駆動する。開閉プレート92は、開位置において刈芝収容容器88の前部下方に下り勾配に傾斜している。開閉プレート92は、開位置において刈芝収容容器88から排出される刈芝を案内するシュータをなす。
【0049】
ダンプアクチュエータ98及び開閉アクチュエータ100は共に機械室94に設けられているため、これらの保守等を一括して行うことができる。
【0050】
電気室96は、防水・防塵構造の気密室であり、補機制御装置104と、刈芝収容用補機70の地理的な自己位置を検出するGPS(自己位置検出装置)106と、水平面に対する台車78の傾斜角(台車角)を検出する加速度センサやジャイロセンサ等による台車角センサ108と、作業用本機20との無線通信機110と、二次電池によるバッテリ112と、バッテリ112の残量を検出するバッテリ残量センサ114とを集中的に収容している。これにより、バッテリ112を含むこれらの電装機器を一つの電気室96において集中管理することができると共に、これらの電気配線を短縮することができる。
【0051】
作業用本機20には刈芝収容用補機70を作業用本機20の後部に切り離し可能に連結するラッチ装置130が設けられている。ラッチ装置130は、本機フレーム22の後部の左右2箇所に設けられており、各々、本機フレーム22の後部に左右に延びる軸線を中心として回動可能に設けられたフック部材132及びフック部材132を回動する電動モータによるラッチアクチュエータ134を含む。開閉プレート92にはフック部材132が係合可能な係合用開口136が形成されている。ラッチアクチュエータ134は本機制御装置54によって制御される。
【0052】
各フック部材132は、各ラッチアクチュエータ134によって、図1に示されている解放位置と、図2に示されているラッチ位置との間に回動駆動され、解放位置にある状態で、刈芝収容用補機70が作業用本機20の後部の連結位置に前進走行することにより、係合用開口136に進入する。この状態で、各フック部材132がラッチ位置に回動することにより、各フック部材132が係合用開口136に係合した状態で、刈芝収容用補機70は、作業用本機20に対して上方に持ち上げられる。この持上げ状態では、前輪74及び後輪76の全てが地面から離れる。これにより、これら前輪74及び後輪76が作業用本機20の操舵・走行に影響を与えない。
【0053】
刈芝収容用補機70が作業用本機20に連結された状態では、補機フレーム72は、刈芝収容容器88及び開閉プレート92を介して本機フレーム22に上下移動できないように固定される。
【0054】
刈芝収容用補機70が作業用本機20と連結された状態では、図1及び図2に示されているように、刈芝収容容器88は水平位置にあり、開閉プレート92が閉位置にある。
【0055】
このように、フック部材132及びラッチアクチュエータ134は、作業用本機20と刈芝収容用補機70とを選択的に連結するラッチ装置と、作業用本機20に対して刈芝収容用補機70を上方に変位させるリフト装置とを兼ねている。
【0056】
本機フレーム22には左右2箇所に連結検出スイッチ(連結検出装置)138が設けられている。各連結検出スイッチ138は、刈芝収容用補機70が作業用本機20との連結位置に位置した時に開閉プレート92によって押圧されることにより、刈芝収容用補機70が連結位置に位置したことを検出する検出スイッチ(連結検出装置)138が左右2箇所に設けられている。ラッチアクチュエータ134は、刈芝収容用補機70が連結位置に位置したことを全ての連結検出スイッチ138が検出したときにフック部材132を解放位置からラッチ位置へ回動させる。なお、連結検出スイッチ138は開閉プレート92に設けられていてもよい。
【0057】
本機フレーム22の後端には接続ダクト52より下方に延在する接続用部材140が設けられている。刈芝収容用補機70の持上げ状態において接続用部材140の下端は補機フレーム72の前方に対向し、双方の対向部分に作業用本機20側の信号線と刈芝収容用補機70側の信号線とを接続する信号コネクタ142が設けられている。また、接続用部材140及び補機フレーム72には、刈芝収容用補機70の持上げ状態においてバッテリ58とバッテリ112とを接続する電力接続部144が設けられている。
【0058】
補機制御装置104は、マイクロコンピュータを含む電子制御装置であり、図7に示されているようにダンプ角センサ102、GPS106、台車角センサ108、バッテリ残量センサ114、圧力センサ120、信号コネクタ142の各々から各種信号を入力すると共に、カメラ122から映像信号を入力し、走行駆動装置80、後輪持上げアクチュエータ84、ダンプアクチュエータ98、後輪持上げアクチュエータ84、開閉アクチュエータ100、警告器124の作動を制御する。また、補機制御装置104には無線通信機110が接続されている。
【0059】
補機制御装置104はダンプ角センサ102の出力を受け取り、刈芝収容容器88の補機フレーム72に対する角度である収容容器角φを検出する。但し、収容容器角φは水平位置であるときを基準(0度)とし、傾動角度が大きくなる方向を正として定義される。また、刈芝収容容器88は傾斜位置にあるときの収容容器角φを廃棄角φとする。本実施形態では廃棄角φは50度に設定されている。
【0060】
補機制御装置104は台車角センサ108の出力に基づいて、台車78の水平面に対する補機制御装置104の進行方向の前後方向の傾斜角度である前後車体傾斜角θ、及び、左右方向の左右車体傾斜角θを検出する。よって、台車角センサ108は台車78の水平面に対する傾斜角センサとして機能する。但し、前後車体傾斜角θ及び、左右車体傾斜角θは、共に正負を区別せず、絶対値のみで定義されるものとする。
【0061】
補機制御装置104はダンプアクチュエータ98の作動を所定の駆動速度となるように指示する。ここでは、補機制御装置104が指示する駆動速度は、ダンプアクチュエータ98が最も大きな速さで駆動したときを100%とし、ダンプアクチュエータ98の刈芝収容容器88を上昇させる方向の駆動を正とし下降させる方向の駆動を負とするパーセント率で表す。
【0062】
バッテリ112は、走行駆動装置80を含む刈芝収容用補機70の全ての電気機器の電源であり、バッテリ残量センサ114によるバッテリ残量の監視のもとに電力接続部144を介してバッテリ58の電力によって充電される。
【0063】
つぎに、上述の構成による乗用芝刈機10の動作について説明する。
【0064】
芝刈りは、図2に示されているように、刈芝収容用補機70が作業用本機20に連結されて持上げられ、かつ後輪76が後輪持上げアクチュエータ84によって上昇位置に持ち上げられた状態において行われる。作業用本機20が内燃機関30による後輪26の駆動によって走行し、クラッチ31が接続されて内燃機関30によって送風ファン46及び刈刃48が回転することによって芝刈りが行われる。芝刈り時には、刈芝収容用補機70の前輪74及び後輪76が持ち上げられて接地していないので、前輪74及び後輪76が作業用本機20による乗用芝刈機10の走行・操舵の障害になることがない。
【0065】
この場合、刈芝収容用補機70全体が作業用本機20に対して持ち上げられていることに加えて、後輪76が補機フレーム72に対して持ち上げられているから、駆動車輪である後輪76が前輪74より大径であっても、後輪76が接地することがない。これにより、刈芝収容用補機70全体の作業用本機20に対する持ち上げ量が少なくて済む。
【0066】
刈刃48によって刈り取られた刈芝は、刈刃48及び送風ファン46の回転によって生じる気流に乗ってハウジング42から排出ダクト50を通って接続ダクト52へ向い、更に刈芝取入開口92Aを通って刈芝収容室90に収容される。芝刈りの進行によって刈芝収容室90に収容される刈芝が増大し、これに伴い刈芝収容室90の排気領域が刈芝に徐々に塞がれて減少する。そして、刈芝収容室90の上方の排気領域の減少に伴い刈芝収容室90の内圧が増大する。
【0067】
刈芝収容室90に収容された刈芝が満杯に近い所定値に達すると、圧力センサ120によって検出される刈芝収容室90の内圧が所定値に達し、このこと示す信号が信号コネクタ142を介して本機制御装置54に伝達される。この信号の伝達によって、刈芝の廃棄を行う旨の表示が表示・操作部60に行われる。
【0068】
この状態下で、表示・操作部60が備えている廃棄実行ボタン(不図示)が操作されると、本機制御装置54による制御のもとに作業用本機20の走行が停止されると共に、クラッチ31が切断されて送風ファン46及び刈刃48の回転が停止する。
【0069】
これらの停止動作に並行して後輪76が後輪持上げアクチュエータ84によって降下位置に降下すると共に、フック部材132がラッチアクチュエータ134によって図1に示されている解放位置に回動移動する。これにより、刈芝収容用補機70は、図1に示されているように、前輪74及び後輪76をもって着地すると共に、作業用本機20から切り離し可能になる。
【0070】
フック部材132が解放位置に回動移動すると、補機制御装置104による制御のもとに走行駆動装置80による後輪76の駆動によって刈芝収容用補機70が作業用本機20に対して所定量だけ真後へ移動し、刈芝収容用補機70が作業用本機20から切り離される。
【0071】
切り離しが完了すると、補機制御装置104は、この時点でGPS106によって検出された刈芝収容用補機70の自己位置の情報を基点位置として取り込み、基点位置から予め設定されている回収物運搬先である刈芝廃棄場所への走行ルートを設定する。その後、設定された走行ルートに従って左右の走行駆動装置80の各電動モータ82が補機制御装置104によって個別に制御される。これにより、刈芝収容用補機70は、図4に示されている単機で、走行ルートに従って刈芝廃棄場所へ向けて自動運転で無人走行(自律走行)する。旋回を含む刈芝収容用補機70の走行方向の変更は、左右の電動モータ82の駆動速度差によって行われ、特別な操舵装置を必要としない。
【0072】
刈芝収容用補機70が刈芝廃棄場所に到着すると走行を停止し、補機制御装置104が図8のフローチャートに示される刈芝排出処理を行う。以下では、その詳細について説明する。
【0073】
刈芝排出処理の最初のステップST1では、補機制御装置104は所定のフラグである芝捨フラグ、安全フラグ、初期化フラグ、及び排出完了フラグを全て0に初期化する。初期化後、補機制御装置104はステップST2を実行する。
【0074】
ステップST2では、補機制御装置104は芝捨フラグが1であるかを判定し、1である場合にはステップST3を実行し、1以外である場合にはステップST4を実行する。
【0075】
ステップST3において、補機制御装置104は安全フラグが1であるかを判定し、1である場合にはステップST5を実行し、1以外である場合にはステップST6を実行する。
【0076】
ステップST6において、補機制御装置104は初期化フラグが1であるかを判定し、1である場合にはステップST7を実行し、1以外である場合にはステップST8を実行する。
【0077】
ステップST8において、補機制御装置104は収容容器角φを検出し、収容容器角φが廃棄角φより小さいかを判定する。小さい(φ<φ)場合にはステップST9を実行し、廃棄角以上(φ≧φ)の場合にはステップST50を実行する。本実施形態では、廃棄角φは50度に設定されている。
【0078】
ステップST50において、補機制御装置104は、図9のフローチャートに示されるシャッタ開閉処理を行う。シャッタ開閉処理では、まず、補機制御装置104は、開閉プレート92を開位置に移動させるべく開閉アクチュエータ100を駆動させる(ST51)。その後、補機制御装置104は所定のタイマである第1タイマをスタートさせ(ST52)、その後、補機制御装置104は第1タイマがスタートしてから、開閉プレート92を開くのに要する時間、及び刈芝の排出に要する時間の和以上の長さに設定された所定の時間を経過しているかを判定するステップST53を行う。所定の時間を経過したと判定したときにはステップST54を実行し、経過していないと判定したときにはステップST53に戻り所定の時間の経過を待つ。
【0079】
ステップST54において、補機制御装置104は開閉プレート92が閉位置に移動させるべく開閉アクチュエータ100を駆動させる。その後、補機制御装置104は所定のタイマである第2タイマをスタートさせる(ST55)。その後、補機制御装置104は第2タイマがスタートしてから開閉プレート92を閉じるのに要する時間以上の長さの所定の時間を経過しているかを判定するステップST56を実行する。ステップST56において経過したと判定したときには、シャッタ開閉処理を終了し、経過していないと判定したときにはステップST56に戻り所定の時間の経過を待つ。
【0080】
ステップST50(シャッタ開閉処理)が完了すると、図8に示されるように、補機制御装置104はステップST10を実行する。
【0081】
ステップST10において、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98を−100%の駆動速度で駆動させる。その後、補機制御装置104はステップST11を実行する。
【0082】
ステップST11において、補機制御装置104は初期化フラグを1に設定する。設定完了後、補機制御装置104はステップST12を実行する。
【0083】
ステップST12において、補機制御装置104は排出完了フラグが1であるかを判定し、1でないときにはステップST2へ戻り、1であるときには刈芝排出処理を完了する。
【0084】
ステップST2において芝捨フラグが1でないと判定されたときには、補機制御装置104はステップST4を実行する。ステップST4では、補機制御装置104は前後車体傾斜角θ、及び、左右方向の左右車体傾斜角θを検出する。検出された前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θが共に第2傾斜角判定値θより小さい場合にはステップST13を実行し、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θのいずれか一方が第2傾斜角判定値θ以上の場合には、ステップST14を実行する。本実施形態では第2傾斜角判定値θは6度に設定されている。
【0085】
ステップST13において、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98を所定の正の値である第1駆動速度vで駆動させる。本実施形態では第1駆動速度vは+70%に設定されている。
【0086】
ステップST15では、補機制御装置104は芝捨フラグを1に設定する。更に、ステップST4と同様に、補機制御装置104は前後車体傾斜角θ、及び、左右車体傾斜角θを検出して、それぞれ初期前後車体傾斜角θLi、及び初期左右車体傾斜角θHiとして記憶し、補機制御装置104はステップST12に進む。
【0087】
ステップST14では、補機制御装置104は前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θを検出する。前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θが共に、第2傾斜角判定値θよりも大きい所定の角度である第1傾斜角判定値θより小さいかを判定する。小さい場合には補機制御装置104はステップST16を実行し、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θのいずれか一方が第1傾斜角判定値θ以上である場合には、補機制御装置104はステップST17を実行する。本実施形態では第1傾斜角判定値θは10度に設定されている。
【0088】
ステップST16において、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98を第1駆動速度vよりも小さい所定の正の値である第2駆動速度vで駆動させる。本実施形態では第2駆動速度vは+50%に設定されている。その後、補機制御装置はステップST15を実行する。
【0089】
ステップST14において、補機制御装置104は、前後車体傾斜角θ、又は、左右車体傾斜角θのいずれかが第1傾斜角判定値θ以上であると判定した場合にはステップST17に進む。ステップST17において、補機制御装置104は芝捨フラグを0に設定する。その後、補機制御装置104はステップST12を実行する。
【0090】
ステップST3において安全フラグが1であると判定したときには、補機制御装置104はステップST5を実行する。ステップST5では、補機制御装置104は前後車体傾斜角θ、及び、左右車体傾斜角θを検出して、前後車体傾斜角θが初期前後車体傾斜角θLi以下(θ≦θLi)であり、且つ、左右車体傾斜角θが初期左右車体傾斜角θHi以下(θ≦θHi)であるかを判定する。補機制御装置104はθ≦θLiであり、且つ、θ≦θHiであると判断したときにはステップST18を実行し、それ以外のときにはステップST12を実行する。
【0091】
ステップST18において補機制御装置104は、ダンプアクチュエータ98の駆動速度を+10%のとする。その後、補機制御装置104は、ステップST19を実行する。
【0092】
ステップST19において、補機制御装置104は安全フラグを0に設定する。設定完了後、補機制御装置104はステップST12を実行する。
【0093】
ステップST6において初期化フラグが1であると判定したときには、補機制御装置104はステップST7を実行する。ステップST7では、補機制御装置104は収容容器角φを検出し、収容容器角φが所定の微小角δ以下であるかによって概ね0であるか(φ≒0)を判定する。概ね0である(φ≦δ)場合にはステップST20を実行し、それ以外、即ち、微小角δより大きい場合(φ>δ)にはステップST12を実行する。
【0094】
ステップST20において、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98の駆動を停止する。駆動停止後、補機制御装置104は、ステップST21を実行する。
【0095】
ステップST21において、補機制御装置104は排出完了フラグを1とする。その後、補機制御装置104はステップST12を実行する。
【0096】
ステップST8において、収容容器角φが廃棄角φよりも小さいと判定した場合には、補機制御装置104はステップST9を実行する。ステップST9において、補機制御装置104は、台車角センサ108の出力に基づいて前後車体傾斜角θの時間変化率(Δθ)、及び左右車体傾斜角θの時間変化率(Δθ)を算出する。但し、ここでは時間変化率Δθ、及びΔθは、それぞれ前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θの単位時間当たりの変化量の絶対値を意味する。前後車体傾斜角θの時間変化率(Δθ)及び左右車体傾斜角θの時間変化率(Δθ)が共に所定の時間変化率閾値Δθthよりも小さいとき(Δθ<Δθth、且つΔθ<Δθth)には、補機制御装置104はステップST12に進み、それ以外(Δθ≧Δθth、又はΔθ≧Δθth)のときにはステップST22を実行する。本実施形態では、Δθthは5度/秒に設定されている。
【0097】
ステップST22において、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98の駆動速度を−50%でとする。その後、補機制御装置104はステップST23を実行する。
【0098】
ステップST23において、補機制御装置104は安全フラグを1に設定する。設定完了後、補機制御装置104はステップST12を実行する。
【0099】
図10のタイムチャートに基づいて、刈芝収容用補機70の刈芝排出処理における動作について説明する。図10では刈芝廃棄場所における地面は安定であり、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θは共に5度であり時間変化はない。
【0100】
刈芝収容用補機70が刈芝廃棄場所に到着する(時刻t=t)と、補機制御装置104はステップST1、ST2と順に実行した後、ステップST4を実行する。前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θは共に第2傾斜角判定値θよりも小さいため、補機制御装置104はステップST13に進み、ダンプアクチュエータ98を第1駆動速度v(+70%)で駆動させる。これによって、ダンプアクチュエータ98が駆動されて刈芝収容容器88が尻上がり傾斜の傾斜位置にむけて移動する。その後、ステップST15を実行し、補機制御装置104は初期前後車体傾斜角θLi、及び初期左右車体傾斜角θHiとして記憶すると共に、芝捨フラグを1に設定する。その後、補機制御装置104はステップST12を実行する。このとき、排出完了フラグは0であるため、補機制御装置104はステップST2に戻る。
【0101】
収容容器角φが廃棄角φ(50度)となり、刈芝収容容器88が傾斜位置となるまでの間(図9のt=t〜t)、補機制御装置104は、ステップST2、ST3、ST6、ST8、ST9、ST12の順に繰り返し実行する。
【0102】
収容容器角φが廃棄角φ以上となる(t=t)と、補機制御装置104は、ステップST8において収容容器角φが廃棄角φ以上であると判定し、ステップST50のシャッタ開閉処理を実行する。ステップST50では、まず、補機制御装置104は開閉アクチュエータ100を駆動させ開閉プレート92を開位置に移動させる。このとき、刈芝収容室90内の刈芝が回収物排出開口90Aから開閉プレート92をシュータとして刈芝収容用補機70の前方にある刈芝廃棄場所に落下し刈芝の廃棄が行われる。開閉アクチュエータ100が駆動を開始してから所定の時間経過すると、補機制御装置104は開閉アクチュエータ100を逆方向に駆動させ開閉プレート92を閉位置に移動させる。開閉プレート92が閉位置となった後、ステップST50が完了する(t=t)。
【0103】
その後、補機制御装置104はステップST10において、ダンプアクチュエータ98の駆動速度を−100%とし、刈芝収容容器88を水平位置に向かって変位させる。その後、ステップST11において、補機制御装置104は初期化フラグを1に設定し、ステップST12を実行後、ステップST2へ戻る。
【0104】
シャッタ開閉処理が完了した後、収容容器角φが0度となるまでの間(図9のt=t〜t)においては、補機制御装置104は、ステップST2、ST3、ST6、ST7、ST12の順に繰り返し実行する。
【0105】
収容容器角φが0度となる(t=t)と、補機制御装置104は、ステップST2、ST3、ST6、ST7の順に実行した後、ステップST20を実行する。ステップST20において、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98の駆動を停止し、その後、ステップST21において排出完了フラグを1に設定する。ステップST21の後、ステップST12において、補機制御装置104は排出完了フラグが1であることを判定し刈芝排出処理を終了させる。
【0106】
その後、PS106によって検出された刈芝収容用補機70の自己位置に基づいて、設定された走行ルートに従って左右の走行駆動装置80が補機制御装置104によって個別に駆動されることにより、刈芝収容用補機70は、図5に示されている単機で、走行ルートに従って基点位置へ向けて自動運転で無人走行する。
【0107】
このように、刈芝収容用補機70は自動運転によって無人で刈芝廃棄場所に往復移動する。
【0108】
補機制御装置104が往路及び復路を含めて無人走行している際には、補機制御装置104はカメラ122の画像信号に基づいて刈芝収容用補機70の周辺環境を監視し、走行ルートに障害物等がある場合には往路及び復路の走行ルートを障害物等との衝突を回避する走行ルートに変更する。これにより、補機制御装置104と障害物等との衝突が未然に回避される。なお、カメラ122の画像信号は補機制御装置104の無線通信機110によって作業用本機20の無線通信機56に送信され、補機制御装置104の周辺環境が表示・操作部60に画面表示されてよい。
【0109】
刈芝収容用補機70が基点位置に戻ると、刈芝収容用補機70は作業用本機20の真後から所定量だけ前進移動する。刈芝収容用補機70の前進によって連結検出スイッチ138が押されると、本機制御装置54による制御によってラッチアクチュエータ134が駆動されてフック部材132が解放位置からラッチ位置へ回動すると共に、補機制御装置104による制御のもとに後輪持上げアクチュエータ84が駆動されて後輪76が上昇位置に移動する。これにより、刈芝収容用補機70は、図2に示されているように、作業用本機20との連結・持上げ状態に戻り、芝刈りの再開が可能な状態になる。
【0110】
次に、乗用芝刈機10の効果について、図10と、図10の場合よりも、刈芝廃棄場所が勾配の大きく、その勾配が変動しやすい斜面に設けられた場合の図11とを参照して説明する。
【0111】
図11に示されるように、刈芝収容用補機70が勾配の大きい斜面上にあり、前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θのいずれかが第1傾斜角判定値θ以上の場合がある(例えばt=t11〜t12)。この場合、補機制御装置104は、ステップST2の実行後、ステップST4において、前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θが第2傾斜角判定値θ以上と判定し、ステップST14を実行する。ステップST14において、前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θが第1傾斜角判定値θよりも大きいと判定し、ステップST17を実行する。補機制御装置104はステップST17において芝捨フラグを0に設定し、その後、ステップST12を実行し、ステップST2へ戻る。
【0112】
このように、前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θのいずれかが第1傾斜角判定値θ以上の場合、補機制御装置104はステップST2、ST4、ST14、ST17、ST12を順に繰り返し実行し、ダンプアクチュエータ98を駆動させない。よって、ダンプアクチュエータ98の駆動によって刈芝収容用補機70が転倒しうる前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θが第1傾斜角判定値θ以上となる斜面においてダンプアクチュエータ98の駆動が禁止されるため、刈芝収容用補機70が転倒し難くなる。
【0113】
図11に示されるように、前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θのいずれかが第2傾斜角判定値θ以上であり、且つ、前後車体傾斜角θ及び左右車体傾斜角θが共に第1傾斜角判定値θより小さい場合がある(例えば、t=t12〜t13)。このとき、まず、補機制御装置104は、ステップST2の実行後、ステップST4において、前後車体傾斜角θ、又は左右車体傾斜角θが第2傾斜角判定値θ以上であると判定し、ステップST14を実行する。ステップST14において、前後車体傾斜角θ及び左右車体傾斜角θが第1傾斜角判定値θより小さいと判定し、ステップST16を実行する。ステップST16では、ダンプアクチュエータ98の駆動速度を第2駆動速度v(+50%)とし、その後、ステップST15を実行する。ステップST15では、補機制御装置104は初期前後車体傾斜角θLi、及び初期左右車体傾斜角θHiを記憶すると共に、芝捨フラグが1を設定する。これらの処理が完了した後、補機制御装置104はステップST12を実行する。
【0114】
ステップST12を実行後、補機制御装置104はステップST2を実行する。芝捨フラグが1であると判定し、ステップST3、ST6、ST8と進み、ステップST9へ進む。ステップST9では、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θの時間変化率が共に時間変化率閾値Δθth以下(Δθ≦Δθth、且つ、Δθ≦Δθth)と判定すると、ステップST12へ進む。よって収容容器角φが廃棄角φに到達するまで、且つ、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θの時間変化率が時間変化率閾値Δθth以下である限り、ステップST2、ST3、ST6、ST7、ST12を繰り返し実行する。このとき、ダンプアクチュエータ98はステップST16で設定された第2駆動速度v(+50%)で駆動する(t=t12〜t13)。一方、図10の時刻t=t〜tに示されるように、前後車体傾斜角θ及び左右車体傾斜角θが第2傾斜角判定値θより小さい場合には、ダンプアクチュエータ98は第1駆動速度v(+70%)で駆動する。
【0115】
刈芝収容用補機70が急勾配を有する斜面上にある場合(図11)には、ダンプアクチュエータ98の駆動速度は第2駆動速度vとなるのに対して、緩勾配を有する斜面上にある場合(図10)には、その駆動速度は第1駆動速度vとなる。そのため、急勾配を有する斜面上に刈芝収容用補機70がある場合には収容容器角φの時間変化率は小さく、刈芝収容容器88が補機フレーム72に対してゆっくりと傾動し、刈芝収容用補機70が転倒し難くなる。緩勾配を有し転倒の虞の小さい斜面上では、ダンプアクチュエータ98の駆動速度が大きいため、刈芝収容容器88が早く傾動し排出処理が速やかに行われる。
【0116】
刈芝収容容器88が傾動しているときに刈芝収容用補機70の重心の移動等により斜面が陥没・崩落し刈芝収容用補機70が転倒することがある。
【0117】
図11では、収容容器角φの増加中に、補機制御装置104が前後車体傾斜角θの時間変化率Δθが時間変化率閾値Δθthより大きくなった場合(t=t13)が示されている。このとき、補機制御装置104は、ステップST9において時間変化率Δθが時間変化率閾値Δθthより大きいと判定し、ステップST22を実行する。ステップST22では補機制御装置104はダンプアクチュエータ98の駆動速度を−50%に設定するため、ステップST22の実行後、収容容器角φは減少する(t=t13〜t14)。
【0118】
時間変化率Δθが時間変化率閾値Δθthを超えたとき、刈芝収容用補機70が載置された斜面が、ダンプアクチュエータ98の駆動により崩落や陥没の虞のある不安定な状態になったことを意味する。このとき、補機制御装置104はダンプアクチュエータ98を収容容器角φが減る方向に駆動させるため、刈芝収容用補機70の重心はダンプアクチュエータ98の駆動前の位置へ移動する。そのため、刈芝収容用補機70が転倒し難くなる。
【0119】
このとき、ダンプアクチュエータ98の駆動速度は−50%に設定され、その絶対値は第1駆動速度v(+70%)よりも小さい。そのため、不安定な斜面上において逆方向に駆動するときのダンプアクチュエータ98の駆動速度の絶対値が勾配の小さい斜面(例えば図10)での駆動速度である第1駆動速度vの絶対値よりも小さいため、刈芝収容容器88が低速で変位し刈芝収容用補機70が転倒し難くなる。
【0120】
ステップST22の後、補機制御装置104はステップST23を実行し安全フラグを1にする。その後、補機制御装置104はステップST12、ST2を順に実行し、ステップST3において安全フラグが1であると判定し、ステップST5に進む。ステップST5では、前後車体傾斜角θがステップST15で記憶された初期前後車体傾斜角θLi以下(θ≦θLi)であり、且つ、左右車体傾斜角θが初期左右車体傾斜角θHi以下(θ≦θHi)であるかと判定する。これを満たさない(θ>θLi、又はθ>θHi)ときには、補機制御装置104はステップST12を実行する。よって、前後車体傾斜角θが初期前後車体傾斜角θLi以下であり、且つ、左右車体傾斜角θが初期左右車体傾斜角θHi以下となるまでは、補機制御装置104は、ステップST2、ST3、ST5、ST12の順に繰り返し実行する。
【0121】
このように収容容器角φを減らす方向にダンプアクチュエータ98を駆動させることよって、図11の時刻t=t14に示されるように、前後車体傾斜角θが初期前後車体傾斜角θLi以下であり、且つ、左右車体傾斜角θが初期左右車体傾斜角θHi以下となる場合がある。
【0122】
このとき、補機制御装置104はステップST5において、前後車体傾斜角θが初期前後車体傾斜角θLi以下(θ≦θLi)であり、且つ、左右車体傾斜角θが初期左右車体傾斜角θHi以下(θ≦θHi)であると判定し、ステップST18において、ダンプアクチュエータ98の駆動速度を+10%に設定する。そのため、図11に示されるように収容容器角φは増大する(t=t14〜t15)。
【0123】
ステップST18を実行した後、補機制御装置104はステップST19を実行し安全フラグを0にする。その後、前後車体傾斜角、及び左右車体傾斜角の時間変化率が時間変化率閾値Δθthを超えない限り、補機制御装置104は、ステップST12、ST2、ST3、ST6、ST8、ST9を順に繰り返し実行し、収容容器角φが廃棄角φに到達する(t=t15)まで待機している。
【0124】
また、収容容器角φが廃棄角φに到達すると、補機制御装置104はステップST8を実行した後、ステップST50を実行する。ステップST50において、開閉プレート92が開かれ刈芝収容室90から刈芝が排出される。ステップST50の後、ステップST10においてダンプアクチュエータ98の駆動速度が−100%に設定され、刈芝収容容器88が水平位置に戻る(t=t17)。
【0125】
このように、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θが変動した後、前後車体傾斜角θが初期前後車体傾斜角θLi以下(θ≦θLi)であり、且つ、左右車体傾斜角θが初期左右車体傾斜角θHi以下(θ≦θHi)となると、ダンプアクチュエータ98は刈芝収容容器88の傾斜位置に向けて変位させ、傾斜位置になると刈芝の排出が行われる。そのため、刈芝の排出をより確実に行うことができる。
【0126】
図10、及び図11に示されるように、前後車体傾斜角θ、及び左右車体傾斜角θが共に第1傾斜角判定値θより小さいときには、収容容器角φが廃棄角φとなるまで、刈芝収容容器88が補機フレーム72に対して傾動し刈芝の廃棄が行われる。よって、転倒の虞が小さい傾斜を有する斜面に刈芝収容用補機70があるときに確実に刈芝の廃棄を行うことができる。
【0127】
ステップST50のシャッタ開閉処理が行われた後、ステップST10において補機制御装置104はダンプアクチュエータ98の駆動速度を−100%に設定し、最も大きな速さで駆動させる(図10のt=t〜t及び、図11のt=t16〜t17)。よって、刈芝排出後に刈芝収容容器88が傾斜位置から水平位置に戻るまでの時間が短くなるため、刈芝の排出が完了するまでに要する時間が短くなる。
【0128】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、上記実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0129】
なお、上記実施形態では、ステップST4において、前後車体傾斜角θ、及び、左右車体傾斜角θを用いたが、いずれか大きい方の角度を車体傾斜角度θとして、第2傾斜角判定値θより小さいかどうかを判定してもよい。ステップST14も同様に、いずれか大きい方の角度を車体傾斜角度θとして、車体傾斜角度θが第1傾斜角判定値θより小さいかどうかを判定してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、ステップST9において前後車体傾斜角θの時間変化率Δθ、又は、左右車体傾斜角θの時間変化率Δθが時間変化率閾値Δθthより小さいと判定した直後にステップST22が実行されていたが、ステップST22を実行する前に、所定の時間に渡って、ダンプアクチュエータ98の駆動を停止させてもよい。刈芝収容用補機70がダンプアクチュエータ98の駆動によって勾配が変化する不安定な斜面上にあるときダンプアクチュエータ98を停止させることによって、斜面が安定になるまでダンプアクチュエータ98の駆動が停止され、刈芝収容用補機70が転倒し難くなる。
【0131】
なお、上記実施形態では、ステップST4、ST14において、前後車体傾斜角θ、及び、左右車体傾斜角θを用いて車体及び斜面の傾斜角度を判定していたが、前後、左右方向には限定されない。但し、前後、左右方向の台車78の傾斜角に基づくことで斜面の傾斜角をより簡便に把握できると共に、補機制御装置104の処理が簡素になる。
【0132】
また、刈芝が排出される方向に刈芝収容用補機70の重心移動が行われ、この重心移動によって主に刈芝収容用補機70が転倒する場合には、ステップST4、ST14において刈芝が排出される方向についての刈芝収容用補機70の傾斜角を用いてもよい。例えば、上記実施形態のように、刈芝収容用補機70が前方に刈芝を排出するときには、前後方向についての前後車体傾斜角θを用いて判定してもよい。このように構成することによって、より補機制御装置104の処理が簡素になる。
【0133】
また、シャッタ開閉処理において、開閉プレート92を閉じるタイミングは、カメラ122の画像信号(撮像画像)によって、刈芝の排出状態を監視して設定されてもよい。
【0134】
なお、補機制御装置104が往路及び復路において何らかの障害によって走行停止になった場合や、刈芝収容容器88のダンプ動作不良や開閉プレート92の開閉不良等が生じた場合には、警告器124の点灯、警報によって作業者に通報してよい。
【0135】
カメラ122の画像信号が補機制御装置104の無線通信機110によって作業用本機20の無線通信機56に送信され、補機制御装置104の周辺環境が表示・操作部60に画面表示される場合には、補機制御装置104の周辺環境の画面表示のもとに、作業用本機20において、無線通信によって刈芝収容用補機70を遠隔操作することも可能である。
【0136】
また、上記実施形態では、乗用芝刈機10に設けられた刈芝収容用補機70の転倒が防止されていたが、刈芝収容用補機70には限定されず、例えば、刈芝収容容器88を備え、その刈芝収容容器88を傾動させることによって刈芝を廃棄する乗用芝刈機10にも適用することができる。また、上記実施形態では本発明を乗用芝刈機10に適用した例が示されていたが、芝刈機には限定されず、路上清掃車や収穫作業を行う農業機械などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0137】
10 :乗用芝刈機
72 :補機フレーム(車体)
88 :刈芝収容容器(収容容器)
98 :ダンプアクチュエータ(駆動装置)
104 :補機制御装置(制御装置)
108 :台車角センサ(傾斜角センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11