特許第6612295号(P6612295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612295
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】管材および管材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20191118BHJP
   C22C 38/04 20060101ALI20191118BHJP
   C22C 38/14 20060101ALI20191118BHJP
   C21D 8/10 20060101ALI20191118BHJP
   B21B 21/00 20060101ALI20191118BHJP
   C22C 38/50 20060101ALN20191118BHJP
【FI】
   C22C38/00 301Z
   C22C38/04
   C22C38/14
   C21D8/10 A
   B21B21/00
   !C22C38/50
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-150138(P2017-150138)
(22)【出願日】2017年8月2日
(65)【公開番号】特開2019-26914(P2019-26914A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】597110836
【氏名又は名称】丸嘉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】森川 勉
(72)【発明者】
【氏名】土田 雄一郎
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−131189(JP,A)
【文献】 特開2000−309850(JP,A)
【文献】 特開平11−092860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00−38/60
C21D 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.05〜0.25重量%のC、0.15〜0.35重量%のSi、0.3〜1.5重量%のMn、0.035重量%以下のS、0.030重量%以下のPを含み、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼材からなり、
フェライト組織が、平均結晶粒径が1.5μm以下の等軸結晶となっている、
管材。
【請求項2】
請求項1記載の管材であって、
前記鋼材は、さらに、0.005〜0.05重量%のNbおよび0.01〜0.08重量%のTiのうちの少なくとも一方を含む、
管材。
【請求項3】
請求項1または2記載の管材であって、
前記鋼材は、さらに、0.040〜0.10重量%のVを含む、
管材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか記載の管材の製造方法であって、
記管材よりも内径および外径が大きく、かつ、前記管材よりも肉厚の素管に、減面率が85%以上の温間縮径加工を施す、管材の製造方法
【請求項5】
前記温間縮径加工は、強圧下圧延により行われる、請求項4記載の管材の製造方法
【請求項6】
請求項4または5記載の管材の製造方法であって、
前記温間縮径加工が施された管材に、さらに、冷間縮径加工を施す、管材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、強度が高い鋼管を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に対しては、燃費改善に対する要求がますます高まり、自動車の更なる軽量化が強く要請されるようになってきている。そのため、自動車に使用される部品においては、鋼製の線材や棒材から成形されていた従来の部品を、鋼製の管材(以下、「鋼管」、あるいは、単に「管材」とも呼ぶ)から成形された部品に置き換えることが進められている。また、従来から管材を成形して製造されていた部品についても、軽量化のために薄肉化が求められる一方、十分な強度を維持することが求められている。このような要請は、自動車用部品の製造に使用される管材に限らず、鉄道車両や航空機等の移動体用の部品や各種機械装置に使用される部品等の製造に使用される管材に共通している。
【0003】
一般的に、部品の成形に使用される管材は、外径および内径(管径)を部品の大きさに合わせるため、管径が当該管材よりも大きい厚肉の管材(素管)に冷間引抜加工を施すことにより製造される。しかしながら、冷間引抜加工によって得られる管材の強度を十分に高くすることは、必ずしも容易ではない。そこで、組成が適宜調整され、冷間引抜加工により予め所望の形状に形成された管材に、焼入や焼戻し等の熱処理を施して、強度を高くすることが行われている。例えば、特許文献1においては、エアバッグ用の管材を製造するため、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)等を添加した鋼管に冷間引抜加工を施し、その後、所定の温度条件で焼入および焼戻しを行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−76034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、焼入や焼戻し等の熱処理を行う場合、熱処理を行うのに伴って酸洗および中和が必要となり、また、酸洗を行うのに伴ってベーキングが必要となる。そのため、管径を縮小する冷間引抜加工においては、エネルギーの消費量を低減することができるものの、熱処理と、ベーキングとにおいて多くのエネルギーが消費されるため、管材の製造工程全体としてのエネルギーの消費量は多くなる。
【0006】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、強度が高い鋼管を製造する際のエネルギー消費量を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
0.05〜0.25重量%のC、0.15〜0.35重量%のSi、0.3〜1.5重量%のMn、0.035重量%以下のS、0.030重量%以下のPを含み、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼材からなり、フェライト組織が、平均結晶粒径が1.5μm以下の等軸結晶となっている、管材。
【0009】
本適用例において使用される鋼材において、平均結晶粒径が1.5μm以下の等軸結晶となったフェライト組織は、上記鋼材からなる原料材(素管)に温間縮径加工を施すことにより得られる。このように、フェライト組織を平均結晶粒径が1.5μm以下の等軸結晶とすることにより、管材の強度を十分に高くすることができる。そのため、本適用例の管材の製造にあたっては、熱処理を省略することができるので、エネルギーを大量に消費する熱処理、酸洗・中和およびベーキングが省略できる。その結果、温間縮径加工に要するエネルギーは多くなるものの、管材の製造工程全体としてのエネルギーの消費量をより少なくすることができ、強度が高い鋼管である管材を製造する際のエネルギー消費量を低減することができる。
【0010】
[適用例2]
適用例1記載の管材であって、前記鋼材は、さらに、0.005〜0.05重量%のNbおよび0.01〜0.08重量%のTiのうちの少なくとも一方を含む、管材。
【0011】
NbとTiとは、フェライト組織の微細化を促進する元素である。そのため、NbとTiとの少なくとも一方を添加することにより、フェライト組織の平均結晶粒径をより小さくし、管材の強度をより高くすることができる。
【0012】
[適用例3]
適用例1または2記載の管材であって、前記鋼材は、さらに、0.040〜0.10重量%のVを含む、管材。
【0013】
Vは、耐力を向上させる元素である。そのため、Vを添加することにより、管材の耐力をより高くすることができる。
【0014】
[適用例4]
前記管材は、前記管材よりも内径および外径が大きく、かつ、前記管材よりも肉厚の素管に、減面率が85%以上の温間縮径加工を施すことにより製造されている、適用例1ないし3のいずれか記載の管材。
【0015】
温間縮径加工における減面率を85%とすることにより、管材のフェライト組織の平均結晶粒径をより確実に1.5μm以下とすることができる。
【0016】
[適用例5]
前記温間縮径加工は、強圧下圧延により行われる、適用例4記載の管材。
【0017】
強圧下圧延では、一回の加工における減面率を高くすることが容易である。そのため、より少ない加工回数で減面率を85%以上とすることができるので、管材の製造工程を短縮することができる。
【0018】
[適用例6]
適用例4または5記載の管材であって、前記温間縮径加工が施された管材に、さらに、冷間縮径加工を施すことにより製造されている、管材。
【0019】
温間縮径加工により、微細化された等軸結晶となっているフェライト組織は、冷間縮径加工を行うことで、等軸結晶の状態が維持されたままさらに微細化されるので、管材の伸び、絞りおよび低温脆性が良好に維持される。一方、冷間縮径加工を行うことにより、加工硬化が発生し、管材の強度や硬度が高くなる。そのため、後加工の容易性を維持しつつ、管材の強度や硬度をさらに高くすることが可能となる。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、管材、管材の製造方法およびその製造方法で製造された管材、それらの管材および製造方法を利用した各種部品等の態様で実現することができる
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】高強度の管材を製造するための管材製造工程を示すフローチャート。
図2】温間縮径加工の具体例を示す説明図。
図3】従来工程の一例を示すフローチャート。
図4】小径管の結晶組織写真。
図5】引張試験の結果を示すグラフ。
図6】シャルピー衝撃試験の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
A1.管材の製造工程:
A2.温間縮径加工:
A3.鋼材の組成:
A4.従来の管材製造工程:
B.実施例:
B1.評価の概要:
B2.評価結果:
C.変形例:
【0023】
A.実施形態:
A1.管材の製造工程:
図1は、本発明の一実施形態として高強度の管材を製造する管材製造工程を示すフローチャートである。なお、図1の各ステップにおいて、右側に示した数値は、各ステップにおけるCO排出原単位、すなわち、製品としての管材(製品管材)を1トン(t)加工する際に排出されるCOの重量をキログラム(kg)で表した数値であり、エネルギーの消費量を表している。また、図1に示す製造工程の終端において、下段に示した数値は、本実施形態の管材製造工程で排出されるCOの総排出量をCO排出原単位で表している。
【0024】
図1に示す本実施形態の管材製造工程では、まず、ステップS100において、管材の原材料である鋼管(素管)を準備する。素管としては、マンネスマン法等の熱間圧延により製造されたシームレス鋼管等が使用される。このようなシームレス鋼管は、通常、長尺の状態で提供されるので、素管の準備にあたっては、長尺のシームレス鋼管が適宜の長さに切断される。
【0025】
次いで、ステップS110において、準備された素管を酸性溶液に浸漬して素管に付着したスケール等を除去する酸洗と、酸洗後の素管をアルカリ性溶液に浸漬して酸洗に用いた酸性溶液を中和することとが行われる。なお、酸洗に換えて、ショットブラスト等の物理的手法によりスケール等の除去を行うものとしても良い。また、スケールの除去に併せて、防錆皮膜を形成する防錆皮膜処理を行うことも可能である。なお、素管の状態によっては、ステップS110の酸洗・中和、あるいは、その他の方法によるスケールの除去を省略することも可能である。
【0026】
ステップS120では、素管の温度を再結晶温度域(600〜650℃)に維持した状態で縮径加工(温間縮径加工)を行う。ここで、縮径加工とは、管材の内径および外径(以下、「管径」と総称する)を小さくする加工を謂う。本実施形態においては、温間縮径加工は、素管を加熱し、加熱された素管にピルガー圧延を施すことにより行われる。この温間縮径加工を行うことにより、素管から管径が縮小された管材(小径管)が得られる。なお、温間縮径加工の具体的な内容については、後述する。
【0027】
ステップS130では、ステップS120の温間縮径加工によって生じた小径管の曲がりを矯正する。なお、小径管の長さが十分に短く、温間縮径加工により曲がりがほとんど発生していない場合や、温間縮径加工で得られる小径管の曲がりが許容範囲である場合等には、ステップS130の曲がりの矯正を省略することも可能である。
【0028】
ステップS140では、製品管材の形状に合わせて寸法を調整するため、小径管に仕上げのための冷間圧延(仕上冷間圧延)を施し、ステップS150では、仕上冷間圧延で生じた曲がりを矯正する。仕上冷間圧延は、例えば、3ロールダイス方式の圧延装置によって行うことができる。なお、寸法調整が不要である場合、ステップS140,S150を省略することも可能である。仕上冷間圧延の後、ステップS160では、製品管材の長さに合わせて小径管を切断する。これにより、製品管材として、所望の形状に加工された高強度の管材が得られる。
【0029】
A2.温間縮径加工:
図2は、温間縮径加工の具体例を示す説明図である。温間縮径加工は、まず、図2(a)に示すように、素管10を加熱する。図2の例では、素管10の加熱は、高周波加熱装置100を用いた誘導加熱によって行われる。具体的には、素管10をコイル110に挿入した後、高周波電源120からコイル110に高周波電力を供給することにより、素管10が加熱される。加熱温度は、温間縮径加工が終了する時点において、管材の温度が再結晶温度域に維持されるように設定される。但し、加熱温度は、脱炭や、フェライト組織(結晶粒)の粗大化を抑制するため、710℃以下とするのが好ましい。
【0030】
次いで、加熱された素管10には、図2(b)に示すように、ピルガー圧延が施される。図2(b)は、ピルガー圧延装置200と、素管10、小径管20および縮径加工途中の管材(中間管材)90とを、軸線cを含みロール軸214(後述する)に垂直な面で切断した様子を示している。
【0031】
図2(b)に示すように、ピルガー圧延装置200は、一対のロールダイス210と、マンドレル220と、ロッド230とを備えている。ロールダイス210は、ロール本体212と、ロール軸214とを有しており、ロール本体212はロール軸214の周りで回転可能となっている。ロール本体212には、外周側からロール軸214方向に向かって設けられ、ほぼ半円形の溝(カリバー)219が設けられている。カリバー219は、その内径がロール本体212の周方向に徐々に変化するように形成されている。
【0032】
マンドレル220は、素管10側(上流側)から小径管20側(下流側)に向かって外径が小さくなるように形成された円錐台状の部材である。マンドレル220は、その上流側のロッド230に取り付けられており、軸線cを中心にロッド230を回転させることにより、マンドレル220も回転する。
【0033】
図2(b)に示すように、ロール本体212は、中間管材90の外周側に配置され、マンドレル220は、中間管材90の内周側に配置される。そして、カリバー219の内面を中間管材90の外周面に押し当てた状態で、一対のロールダイス210を、上流側と下流側との双方向に、同時に往復移動させる。これにより、中間管材90は、その内面がマンドレル220に接触するまで変形する。このようにロールダイス210を往復移動させるとともに、マンドレル220を回転させて、素管10、中間管材90および小径管20(被加工材)を回転させる。このロールダイス210の往復移動と、被加工材の回転とを繰り返すことにより、小径管20が得られる。
【0034】
ピルガー圧延時、カリバー219の内面と中間管材90の外周面が接触している位置(接触位置)pにおいて、中間管材90には、図2(b)の白抜き矢印で示すように、その外周側と内周側との双方において、強い圧縮応力が加わる。このように中間管材90に強い圧縮応力が加わることにより、中間管材90の結晶粒が微細化され、縮径加工が完了した小径管20の結晶粒が小さくなる。また、本実施形態では、温間で、すなわち中間管材90の温度を再結晶温度域に維持した状態でピルガー圧延を行っているため、結晶粒が等軸結晶となり、縮径加工された小径管20の強度等を等方的にすることができる。
【0035】
また、このような結晶粒の微細化は、ピルガー圧延における減面率を高くすることにより促進される。そのため、本実施形態では、ピルガー圧延における減面率を85%以上とすることにより、ピルガー圧延後の小径管20におけるフェライト組織の平均結晶粒径(結晶粒度)を十分に小さく(1.5μm以下に)している。なお、減面率とは、加工前の管材の断面積に対する断面積の減少率を謂い、加工前の管材の断面積S0と、加工後の管材の断面積S1とを用いて、以下の式によって与えられる。
減面率=(S0−S1)/S0
【0036】
本実施形態では、このように、結晶粒度を十分に小さくすることにより、熱処理等を施すことなく、強度(引張強さおよび耐力)や硬度を十分に高くすることができる。また、結晶粒度を十分に小さくすることにより、靱性を高くし、特に極低温(−100℃)における脆性を改善することができる。さらに、結晶粒が等軸結晶となり、強度等が等方的となるため、製造された製品管材をさらに加工して最終製品としての部品を形成した際に、方向による強度等の違いを考慮する必要がなくなるので、最終製品としての部品の形成をより容易にすることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、図1に示すように、温間縮径加工(ステップS120)を行った後、製品管材の製造が終了するまでの間に、仕上冷間圧延(ステップS140)や曲がりの矯正(ステップS130,S150)が行われる。しかしながら、これらの加工を行っても、結晶粒の微細化は進行するものの、結晶粒の形状は、等軸結晶の状態に維持される。従って、製品としての管材、すなわち、製品管材においても、フェライト組織は、結晶粒度が1.5μm以下の等軸結晶に維持される。
【0038】
さらに、製品管材を加工して最終製品となる部品を作成する場合、絞り加工、扁平加工、およびセレーション加工等の冷間加工や、溶接等の接合加工、切削加工等(以下、総称して「後加工」とも呼ぶ)が行われる。しかしながら、これらの加工を行っても、結晶粒が微細化された状態が維持されるため、温間縮径加工により達成された強度や靱性等の機械的特性は、最終製品の部品においても維持される。
【0039】
また、本実施形態では、ピルガー圧延を温間で行っているため、ピルガー圧延時の中間管材90の変形抵抗が小さい。そのため、ピルガー圧延における減面率を高くしても、割れ等の発生が抑制される。そのため、図1に示すように、1回の温間縮径加工(ピルガー圧延)を行うことで、所望の減面率となるように素管を加工し、高強度の製品管材を製造することができる。なお、1回の温間縮径加工における減面率を低くし、2回以上の温間縮径加工を行って、所望の減面率となるように素管を加工するものとしても良い。但し、工程を短縮し、COの排出量をより少なくすることができるので、より少ない回数の温間縮径加工で素管から小径管を形成するのが好ましい。
【0040】
さらに、本実施形態では、ピルガー圧延を温間で行っているため、ピルガー圧延における加工硬化は、冷間加工に比べて非常に少ない。そのため、仕上冷間圧延(図1のステップS140)やその後の曲がりの矯正(ステップS150)を省略した場合、製品管材の伸びや延性(絞り)が高くなり、後加工がより容易となる。
【0041】
また、上述のように、仕上冷間圧延や曲がりの矯正を行った場合においても、結晶粒が微細化された等軸結晶の状態に維持されるので、製品管材の伸び、絞りおよび低温脆性は良好に維持される。一方、仕上冷間圧延を行うことにより、加工硬化が発生し、製品管材の強度や硬度が高くなる。そのため、仕上冷間圧延を行うことにより、後加工の容易性を維持しつつ、製品管材の強度や硬度をさらに高くすることが可能となる。なお、仕上冷間圧延は、冷間における縮径加工でもあるので、冷間縮径加工とも呼ぶことができる。
【0042】
なお、図2の例では、素管10の加熱を高周波加熱装置100により行っているが、素管10の加熱は、トンネル型コイル加熱装置等の別種の加熱装置を用いて行うことも可能である。素管10の加熱に使用される加熱装置は、加熱後の素管10の温度低下を抑制するため、ピルガー圧延装置200の近くに配置するのが好ましい。
【0043】
また、中間管材90の温度低下を抑制するため、ピルガー圧延装置200において中間管材90と接触する金型(ロール本体212やマンドレル220)の温度を適宜調整するものとしても良い。さらに、小径管20や製品管材の表面肌を良好な状態とし、また、ロール本体212を保護するため、接触位置pの付近に潤滑油を供給するのがより好ましい。この場合、中間管材90の温度低下を抑制するため、潤滑油の温度を適宜調整するものとしても良い。
【0044】
A3.鋼材の組成:
上述のように、製品としての管材には、最終製品の部品を形成するため、冷間加工や、接合加工、切削加工等の後加工が行われる。そのため、管材に用いられる鋼材の組成は、加工変形性、溶接性および切削性が十分に高くなるように決定される。また、組成の決定に際しては、含有元素の種類によっては、ピルガー圧延によるフェライト組織の微細化が促進されることも考慮される。具体的には、鋼材は、以下に示すように含有元素を含み、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物であるものとした。なお、以下では、各含有元素の含有量を、重量%で表している。
【0045】
炭素(C)は、引張強さを高くする元素であるが、含有量が高くなると加工硬化を生じやすい。しかしながら、本実施形態においては、縮径加工を温間で行うため、Cの含有量を比較的高くすることができる。そのため、Cの含有量は、0.05〜0.25%とする。但し、Cの含有量が高くなると、溶接性が低下するため、Cの含有量の上限は、0.20%とするのが好ましい。また、Cの含有量が高くなると、後加工時の加工硬化による延性の低下が顕著となるため、Cの含有量の上限は、0.15%とするのがより好ましい。
【0046】
マンガン(Mn)は、Cと同様に引張強さを高くする元素であり、Cの効果を補完する。そこで、引張強さを十分に高くするため、Mnの含有量を0.3〜1.5%とする。なお、本実施形態においては、Cの含有量を低く設定しているので、Mnの含有量の下限は、0.40%とするのが好ましい。また、Mnの含有量が高くなると、加工硬化が促進されるので、Mnの含有量の上限は、1.0%とするのが好ましい。
【0047】
シリコン(Si)は、フェライト変態を促進する元素であり、添加により加工変形性を確保することができる。そのため、Siの含有量の下限は、0.15%とする。一方、Siの含有量が多くなると、延性が低下する。そのため、Siの含有量の上限は、0.35%とする。
【0048】
リン(P)および硫黄(S)は、被削性を改善させるために有効な元素である。しかしながら、PおよびSは、靱性および延性を低下させ、後加工時に加工限界割れ等を生じさせる虞があるため、Pの含有量は、0.030%以下とし、Sの含有量は、0.035%以下とするのが好ましい。
【0049】
チタン(Ti)およびニオブ(Nb)は、窒化物がフェライト組織の結晶の成長を抑制する元素であり、TiおよびNbの少なくとも一方を添加することにより、フェライト組織の微細化を促進するとともに、フェライト組織の結晶粒度のばらつきを小さく(均質化)することができる。TiとNbとのうちいずれか一方を添加する場合、入手の容易性および鋼材価格の低廉化の観点から、Tiを添加するのが好ましい。フェライト組織を微細化および均質化する効果を発現させるため、Tiを添加する場合には、その含有量を0.01〜0.08%とし、Nbを添加する場合には、その含有量を0.005〜0.05%とする。
【0050】
バナジウム(V)は、降伏応力(耐力)を向上させる元素である。Vは、また、炭化物がフェライト組織の結晶の成長を抑制する。そのため、Vを添加することにより、フェライト組織を微細化するとともに、フェライト組織を均質化することができる。Vを添加する場合には、これらの効果を発現させるため、Vの含有量は、0.040〜0.10%とする。
【0051】
なお、Nb、TiおよびVは、必ずしも添加する必要はない。但し、Nb、TiおよびVは、上述のように、結晶粒の微細化を促進する。そのため、Nb、TiおよびVのいずれをも添加しない場合、これらのいずれかを添加して同条件で温間縮径加工を行った場合と比較して、結晶粒度が若干(0.2〜0.5μm程度)大きくなる。また、結晶粒度の若干の粗大化に伴って、強度(引張強さおよび耐力)が20〜50MPa、伸びが2〜3%、硬度(ビッカース硬さHV)が8〜12HV低下する。そのため、強度、伸びおよび硬度をより高くすることができる点で、Nb、TiおよびVの少なくとも1つを添加するのが好ましい。一方、目標とする製品管材の強度等によっては、鋼材価格を低減できる点で、これらの添加を省略するのが好ましい。
【0052】
銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)を添加すると、鋼材の価格が高くなり、また、鋼材のリサイクル性が低下する。そのため、Cu、Ni、CrおよびMoは、添加しないことが好ましい。従って、Cu、Ni、CrおよびMoは、不可避的含有量以上に含有されていないことが好ましく、含有量の上限は、いずれも0.30%以下とする。
【0053】
A4.従来の管材製造工程:
図3は、従来の技術を用いて高強度の管材を製造する管材製造工程(従来工程)の一例を示すフローチャートである。なお、図3においても、図1と同様に、各ステップの右側に当該ステップにおけるCO排出原単位を示し、終端の下段に従来工程で排出されるCOの総排出量を示している。
【0054】
図3に示すように、従来工程は、主として、縮径加工を冷間で行っている点(ステップS222,S224)、焼入・焼戻しを行っている点(ステップS232)、焼入・焼戻しの実施に伴い酸洗・中和を行っている点(ステップS234)、酸洗・中和に伴いベーキングを行っている点(ステップS262)、および、仕上冷間圧延(ステップS140)が省略されている点で、図1に示す本実施形態の管材の製造工程と異なっている。他の点は、本実施形態の管材の製造工程と同様である。
【0055】
図3に示すように、従来工程においては、素管に冷間引抜(「抽伸」とも呼ばれる)加工を施すことにより(ステップS222,S224)、小径管を得ている。この冷間引抜加工では、寸法精度を高くすることができるため、仕上冷間圧延(ステップS140)を省略することができる。しかしながら、冷間引抜加工で得られた小径管は、その強度が低く(引張強さで600MPa以下)、高強度(引張強さで1000MPa以上)の管材を得るためには、小径管に焼入・焼戻しの処理(ステップS232)を施す必要がある。また、焼入・焼戻しを行うことにより、焼入・焼戻しで生じたスケールを除去する酸洗・中和(ステップS234)を行い、さらに、酸洗・中和により生じる水素脆化を抑制するため、ベーキング(ステップS262)を行うことが必要となる。
【0056】
このように、従来工程では、縮径加工を冷間引抜加工で行うため、縮径加工そのものにおけるCO排出原単位は87.8kg/tとなり、本実施形態の340kg/t(図1参照)よりも少なくなる。しかしながら、従来工程では、上述のように、焼入・焼戻しの処理(ステップS232)と、ベーキング(ステップS262)とが必要となるため、COの総排出量は、1331.1kg/tとなり、本実施形態の477.6kg/tよりも多くなる。このように、温間で縮径加工を行う本実施形態によれば、高強度の管材の製造工程としては、従来工程よりもCOの総排出量を低減することが可能である。
【0057】
さらに、従来工程で行われる冷間引抜加工では、結晶粒度が10〜20μmと大きくなる。また、結晶粒度を小さくするために、焼入・焼戻しの処理(ステップS232)に換えて、高周波焼入処理を行っても、結晶粒度は、6〜12μm程度となる。一方、本実施形態によれば、結晶粒度を1.5μm以下とすることで、熱処理を行うことなく小径管の強度および靱性を十分に高くすることができる。
【0058】
加えて、冷間引抜加工は加工限界が低く、1回の加工における減面率を大きくすると、破断や割れが発生する虞がある。そこで、一般的には、冷間引抜加工で縮径加工を行う場合、図3に示すように、冷間引抜加工が複数回(図3の例では2回)行われる。そのため、従来工程で管材の製造した場合、本実施形態よりも、製造工程が長くなる。
【0059】
また、冷間引抜加工を複数回行った場合、冷間引抜加工を繰り返し行うことにより加工硬化が生じ、硬度や引張強さが高くなるものの、伸びや延性(絞り)が低下する。この加工硬化は、複数回の引抜加工による全体としての減面率が大きいほど顕著となり、加工硬化が進行すると引抜加工そのものが困難となる。特に、冷間引抜加工では、硬度が290HVを超えると破断や割れが発生する可能性が高くなるため、硬度が290HV以上の管材を製造することは極めて困難である。一方、本実施形態によれば、結晶粒度を1.5μm以下とすることで、熱処理を行うことなく硬度を十分に高くすることができる。
【0060】
B.実施例:
B1.評価の概要:
本発明の効果を確認するため、実施例および比較例として、組成が異なる5種の鋼材(鋼材A〜D,X)からなる素管を準備し、準備した素管に縮径加工を行って試料となる小径管を作成した。なお、準備した素管に使用した5種の鋼材の組成は、次の表1の通りである。
【表1】
【0061】
表1に示すように、試料の作成に使用した鋼材(鋼材A〜D,X)のうち、実施例としての試料に使用した鋼材(鋼材A〜D)は、それぞれ、SAE1005、SAE1010、SAE1015およびSAE1025をベースに、Nb、TiおよびVを添加した。また、比較例の一つとして、後述するように、冷間縮径加工の後、焼入・焼戻しを行う従来工程で作成した試料には、C含有量が高い(0.35%)SCM435を使用した。
【0062】
これらの5種の鋼材(鋼材A〜D,X)からなる素管のうち、鋼材A〜Dからなる素管については、ピルガー圧延により温間縮径加工を行い、4つの試料(実施例1〜4)を作成した。なお、実施例1,2については、減面率を90.9%とし、実施例3,4については、減面率を85.2%とした。また、比較例として、実施例3にも用いた鋼材Cからなる素管を減面率70.2%で温間縮径加工した試料(比較例1)と、鋼材Cからなる素管を減面率20.2%で冷間縮径加工した試料(比較例2)と、鋼材X(SCM435)からなる素管を減面率20.2%で冷間縮径加工した後、焼入・焼戻しを行った試料(比較例3)とを作成した。これら各試料について、使用した鋼材と、素管および縮径加工後の小径管の管径と、縮径加工における減面率と、縮径加工の際の温度条件と、熱処理(焼入・焼戻し)の有無とは、次の表2の通りである。なお、表2から分かるように、縮径加工後の小径管の管径は、いずれの試料においても同一とした。そのため、縮径加工の減面率は、管径が適宜設定された素管を準備することにより、調整した。
【表2】
【0063】
このようにして試料を作成した後、得られた試料について、結晶粒度、機械特性および低温脆性の評価を行った。結晶粒度は、試料である小径管を軸方向(縦方向)および径方向(横方向)に切断し、切断により現れた切断面(縦断面および横断面)を顕微鏡により観察することにより行った。機械特性の評価は引張試験により行い、低温脆性の評価はシャルピー衝撃試験により行った。
【0064】
B2.評価結果:
図4は、結晶粒度の評価結果を示す試料(小径管)の結晶組織写真である。図4(a)は、比較例として冷間縮径加工を行った試料(比較例2)の横断面の結晶組織を示し、図4(b)は、実施例として温間縮径加工を行った試料(実施例3)の横断面の結晶組織を示している。
【0065】
図4(a)に示すように、冷間縮径加工を行った試料(比較例2)では、結晶粒の微細化が進んでおらず、結晶粒度は約20μmであった。一方、温間縮径加工を行った試料(実施例3)では、図4(b)に示すように、結晶粒の微細化が進み、結晶粒度は1.5μm以下となっていた。また、結晶組織写真は示していないが、実施例3では、縦断面においても結晶粒の形状は等方的であり、結晶粒が等軸結晶となっていることが確認できた。さらに、図4(b)に示すように、結晶粒(フェライト組織)の間には、パーライトが存在することが確認できた。この結果から、温間縮径加工を行い、結晶粒を微細化することにより、切削時の切粉の寸断性を良好にし、切削性を高くすることが可能であることが分かった。
【0066】
図5は、機械特性評価としての引張試験の結果を示すグラフである。図5の横軸は歪(伸び)を表し、縦軸は、応力を表している。図5に示すように、冷間縮径加工のみを行い、焼入・焼戻しを行っていない試料(比較例2)は、伸びが35%に到達しているものの、引張強さが550MPaに止まった。また、C含有量が高い鋼材X(SCM435)を用い、冷間縮径加工の後に焼入・焼戻しを行った試料(比較例3)では、引張強さが1100MPaに到達し、硬度が340HVを超えた。また、伸びが10%となり、加工変形性の良否の目安である9%を超えたものの、歪が12%を超えると破断が発生した。このことから、冷間縮径加工で製造される小径管において、強度を高くするために、C含有量を高くし、焼入・焼戻しを行うと、加工変形性を高くすることが困難であることが確認できた。一方、温間縮径加工を行った試料(実施例3)では、引張強さが1100MPaとなり、温間縮径加工を行うことにより、強度を十分に高くすることが可能であることが確認できた。また、実施例3では、伸びが11%に到達するとともに、歪が20%を超えるまで破断が発生しなかった。このことから、温間縮径加工を行い、結晶粒を微細化することにより、強度を十分に高くしつつ、加工変形性を十分に確保することが可能であることが分かった。
【0067】
図6は、低温脆性評価としてのシャルピー衝撃試験の結果を示すグラフである。図6の横軸はシャルピー衝撃試験を行った温度(シャルピー試験温度)を表し、縦軸は脆性破面率を表している。図6に示すように、冷間縮径加工を行った試料(比較例2)では、0℃以下になると脆性破面率が上昇しはじめ、−100℃になると脆性破面率が95%となった。このことから、冷間縮径加工を行った場合、極低温(−100℃)における脆性を改善することが困難であることが分かった。一方、温間縮径加工を行った試料(実施例3)では、−150℃以下となって初めて脆性破面率が上昇し、−150℃以上では、脆性破壊が生じなかった。この結果から、温間縮径加工を行い、結晶粒を微細化することにより、極低温における脆性を改善することが可能であることが分かった。
【0068】
以上、図4ないし図6においては、実施例3および比較例2として作成した試料について、それらの結晶粒度、機械特性(引張強さ・伸び)および低温脆性の評価結果について説明した。また、図5においては、比較例3として作成した試料について、引張強さおよび伸びの評価結果を示した。これらの実施例および比較例(実施例3、比較例2,3)と、他の実施例および比較例とについての、機械特性の評価結果と、結晶粒度の評価結果とを、以下の表3に示す。
【表3】
【0069】
表3に示すように、温間縮径加工の減面率85%以上とすることにより、結晶粒度を1.5μm以下とすることができた。また、結晶粒度を1.5μm以下とすることにより、焼入・焼戻しを行った管材と同等の強度区分10.9(JIS規格B1051、引張強さ:1040MPa以上・耐力:940MPa以上)が達成できることが分かった。また、伸びは、いずれも10%以上となり、加工変形性の良否の目安となる9%を上回った。さらに、ビッカース硬さHVも、いずれも330HV以上となり、強度区分10.9で規定された硬度(320HV以上)が得られることが分かった。なお、表3には示していないが、実施例1〜4のいずれも、−100℃において脆性が見られなかった。
【0070】
一方、Nb、TiおよびVを添加した鋼材(鋼材C)を用いた場合においても、減面率70.2%で温間縮径加工を行った試料(比較例1)では、結晶粒度が2〜3μmとなった。このように、結晶粒度が2〜3μmとなることにより、引張強さが900MPa、耐力が840MPaとなり、十分な強度(強度区分10.9)が得られなかった。これらのことから、Nb、TiおよびVを添加した鋼材を用いる場合においても、十分な強度を得るためには、結晶粒度を1.5μm以下とすることが必要であると判断できる。
【0071】
C.変形例:
本発明は上記実施形態および実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
C1.変形例1:
上記実施形態では、温間縮径加工をピルガー圧延によって行っているが、温間縮径加工は、一般に、加工中の中間管材に強い圧縮応力が加わる圧延方法(強圧下圧延)で行えばよい。このようにしても、加工中の中間管材には、外周側と内周側との双方において、強い圧縮応力が加わり、フェライト組織の微細化が促進される。そのため、強圧下圧延が施された小径管においても、結晶粒度を1.5μm以下とし、十分に強度の高い小径管を得ることができる。なお、強圧下圧延の方法としては、ピルガー圧延のほか、3ロールダイス方式の圧延等を採用することができる。但し、管径の異なる小径管の製造がより容易であり、また、小径管の量産がより容易となる点で、強圧下圧延方法としては、ピルガー圧延を採用するのが好ましい。
【0073】
C2.変形例2:
上記実施形態では、強圧下圧延であるピルガー圧延により温間縮径加工を行っているが、温間縮径加工は、強圧下圧延以外の方法で行うことも可能である。例えば、温間で素管に引抜加工を施し、小径管を製造することも可能である。なお、この場合においても、減面率を85%以上にすれば、フェライト組織を結晶粒度が1.5μm以下の等軸結晶とすることができるので、十分に強度の高い小径管を得ることができる。但し、引抜加工では、温間であっても1回の加工における減面率を高くすることが困難である。そのため、引抜加工で減面率を85%以上とするためには、通常、複数回の引抜加工を行うこととなり、小径管の製造工程が長くなる。一方、強圧下圧延では、1回の加工における減面率を高くすることが容易であり、小径管の製造工程を短縮することができる。この点において、温間縮径加工は、強圧下圧延で行うのが好ましい。
【符号の説明】
【0074】
10…素管
20…小径管
90…中間管材
100…高周波加熱装置
110…コイル
120…高周波電源
200…ピルガー圧延装置
210…ロールダイス
212…ロール本体
214…ロール軸
219…カリバー
220…マンドレル
230…ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6