【実施例】
【0072】
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
実施例及び比較例における各測定方法は以下のとおりである。
[イオンクラスター径の測定方法]
イオンクラスター径は小角X線散乱(SAXS)により測定した。SAXS測定はイオン交換膜がコーティング層を有する場合はコーティング層をブラシで除去した後、層Aと層Bを剥離し、それぞれの層のみからなる単層膜について、25℃において水に含浸させた状態で測定を行った。SAXS測定は、リガク製SAXS装置NanoViewerを用いた。小角領域は試料―検出器間距離841mmで検出器としてPILATUS100Kを用い、広角領域は試料―検出器間距離75mm、検出器にイメージングプレートを用いて測定を行い、両プロフィールを合体させることにより0.1°<散乱角(2θ)<30°の範囲の散乱角における散乱データを得た。試料は7枚重ねた状態で測定を行い、露光時間は小角領域、広角領域測定とも15分とした。二次元検出器によりデータを取得した場合には円環平均等合理的な手法によりデータを一次元化した。得られたSAXSプロフィールに対しては、検出器の暗電流補正等、検出器に由来する補正、試料以外の物質による散乱に対する補正(空セル散乱補正)を実施した。SAXSプロフィールに対するX線ビーム形状の影響(スメアの影響)が大きい場合はX線ビーム形状に対する補正(デスメア)も行った。こうして得られた一次元SAXSプロフィールに対し、橋本康博、坂本直紀、飯嶋秀樹 高分子論文集 vol.63 No.3 pp.166 2006に記載された手法に準じてイオンクラスター径を求めた。すなわち、イオンクラスター構造が粒径分布を持つコアーシェル型の剛体球で表されると仮定し、このモデルに基づく理論散乱式を用いて実測のSAXSプロフィールのイオンクラスター由来の散乱が支配的な散乱角領域のSAXSプロフィールをフィッティングすることで平均クラスター直径(イオンクラスター径)、イオンクラスター個数密度を求めた。このモデルにおいて、コアの部分がイオンクラスターに相当し、コアの直径がイオンクラスター径となるものとした。なお、シェル層は仮想的なものでシェル層の電子密度はマトリックス部分と同じとした。またここではシェル層厚みは0.25nmとした。フィッティングに用いるモデルの理論散乱式を次の式(A)に示す。また、フィッティング範囲は1.4<2θ<6.7°とした。
【0074】
【数1】
【0075】
上記において、Cは定数、Nはクラスター個数密度、ηはコア、つまりイオンクラスター部分とその周りの仮想的なシェルを剛体球と仮定した場合のその体積分率、θはブッラグ角、λは用いるX線波長、tはシェル層厚み、a
0は平均イオンクラスター半径、Γ(x)はガンマ関数、σはイオンクラスター半径(コア半径)の標準偏差を示す。P(a)はコア半径aの分布関数を表し、ここではaの体積分布がSchultz−Zimm分布p(a)に従うとする。Mは分布を表すパラメータである。Ib(q)は測定時の過剰な水由来の散乱、熱散漫散乱を含むバックグラウンド散乱を表しており,ここでは定数と仮定する。フィッティングの際には上記パラメータのうち、N、η、a
0、σ、Ib(q)を可変パラメータとする。なお、本明細書において、イオンクラスター径とは、イオンクラスターの平均直径(2a
0)を意味する。
【0076】
[加水分解工程後の各層の厚みの測定方法]
加水分解工程後であって、電解前のイオン交換膜の、層A−1側、又は層B側から断面方向へ幅約100μmで切り落とし、含水した状態で断面を上部に向けて光学顕微鏡を用いて厚みを実測した。その際、切り落とす部分は隣り合う強化芯材の中間部分(谷部)であり、得られた断面図において測定する箇所は、
図1で示すと、隣り合う強化芯材3の中間部分であり、(α)から(β)へ向かう方向を厚み方向として層Aと層Bの厚みを測定した。
【0077】
[電解性能評価]
電解槽として、
図2に示す電解槽13の構成を次のように変更したゼロギャップ電解槽を用いた。すなわち、電解槽13におけるイオン交換膜1と陽極11及び陰極12との位置関係を、イオン交換膜1と陽極11とが接した状態及びイオン交換膜1と陰極12とが接した状態(いわゆる「ゼロギャップ」の状態)となるように変更した電解槽を用意した。このゼロギャップ電解槽を用いて、下記の条件で電解を行い、電解電圧、電流効率、生成する苛性ソーダ中の塩化ナトリウム量に基づいて電解性能を評価した。なお、イオン交換膜が陰極及び陽極の電極表面全体で接する場合も、電極表面のある点で接する場合も、ゼロギャップの状態であるものとした。
陽極側に塩化ナトリウムの濃度が3.5規定(N)の濃度となるように調整しつつ食塩水を供給し、陰極側の苛性ソーダ濃度を10.8規定(N)に保ちつつ水を供給した。食塩水の温度を85℃に設定して、6kA/m
2の電流密度で、電解槽の陰極側の液圧が陽極側の液圧よりも5.3kPa高い条件で電解を行った。
電解7日間の苛性ソーダに含まれる塩化ナトリウムの濃度をJIS規格K1200−3−1の方法で測定した。電解生成した苛性ソーダに硝酸を加えて中和し、硫酸鉄(III)アンモニウム溶液、チオシアン酸水銀(II)を加え、溶液を呈色させた。その溶液をUV計により吸光光度分析することによって苛性ソーダ中の塩化ナトリウム濃度を測定し、7日目の測定値を苛性ソーダ中の塩化ナトリウム濃度として求めた。UV計には、JASCO製V−630spetrophotometerを用いた。
また、電流効率は、生成された苛性ソーダの質量、濃度を測定し、一定時間に生成された苛性ソーダのモル数を、その間に流れた電流の電子のモル数で除することで求めた。
【0078】
[強度試験]
強度試験としては、加水分解後(電解前)のイオン交換膜を用い、JISK6732に準じて引張強度及び引張伸度の測定を行った。
【0079】
[実施例1]
含フッ素重合体A−1として、下記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と下記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。なお、イオン交換容量は中和滴定で確認した。以下の実施例及び比較例でも同様にイオン交換容量を確認した。
CF
2=CX
1X
2 (1)
CF
2=CF−(OCF
2CYF)
a−O−(CF
2)
b−SO
2F (2)
【0080】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0081】
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と下記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m当量/gのポリマーを得た。
CF
2=CF−(OCF
2CYF)
c−O−(CF
2)
d−COOR (3)
【0082】
なお、含フッ素重合体A(A−1、A−2)は、より詳細には、以下に示す溶液重合により作製した。
まず、ステンレス製20LオートクレーブにCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
2COOCH
3とHFC−43−10mee溶液を仕込み、容器内を充分に窒素置換した後、さらにCF
2=CF
2(TFE)で置換し、容器内の温度が35℃で安定になるまで加温してTFEで加圧した。
次いで、重合開始剤として(CF
3CF
2CF
2COO)
2の5%HFC43−10mee溶液を入れて、反応を開始した。この際、連鎖移動剤としてメタノールを加えた。35℃で攪拌しながらTFEを断続的にフィードしつつ、途中でメタノールを入れ、TFE圧力を降下させて、TFEを所定量供給したところで重合を停止した。未反応TFEを系外に放出した後、得られた重合液にメタノールを加えて含フッ素系重合体を凝集、分離した。さらに、乾燥した後、重合体Aを得た。得られた含フッ素系重合体は2軸押出し機にてペレット化した。
また、含フッ素重合体Bは、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
2COOCH
3の代わりにCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
2SO
2Fを仕込み、連鎖移動剤を使用せず、途中でメタノールの代わりに(CF
3CF
2CF
2COO)
2の5%HFC43−10mee溶液を加える以外は重合体Aと同様の方法で得た。以下の実施例及び比較例でも同様に含フッ素重合体A及びBのペレットを得た。
【0083】
得られたフッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a1)を得た。該フィルム(a1)の断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A−2の厚みが80μm、層Bの厚みが13μmであった。なお、層A−2と層Bとは偏光をかけることによって区別した。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b1)を得た。
【0084】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b1)、強化芯材、2層フィルム(a1)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。
【0085】
強化芯材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製100デニールのテープヤーンに900回/mの撚りをかけ糸状としたものと、補助繊維(犠牲糸)の経糸として30デニール、6フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りをかけたもの、緯糸として35デニール、8フィラメントのPET製の糸に10回/mの撚りをかけたものを準備し、これらの糸をPTFE糸が24本/インチ、犠牲糸がPTFEに対して4倍の64本/インチとなるよう交互配列で平織りして厚み100μmの織布を得た。得られた織布を加熱された金属ロールで圧着し織布の厚みを70μmに調製した。このとき、PTFE糸のみの開口率は75%であった。
【0086】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて1時間塩交換処理を行った。
【0087】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0088】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.91であった。測定結果を表1に示す。
【0089】
[実施例2]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0090】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体と前記一般式(2)(a=1、b=2、Y=CF
3)で表わされる単量体とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0091】
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m当量/gのポリマーを得た。
【0092】
得られたフッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a2)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A−2の厚みが80μm、層Bの厚みが13μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b2)を得た。
【0093】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b2)、強化芯材、2層フィルム(a2)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0094】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で50℃の温度で24時間加水分解し、その後、90℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて0.5時間塩交換処理を行った。
【0095】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液にイオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0096】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.93であった。測定結果を表1に示す。
【0097】
[実施例3]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0098】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0099】
含フッ素重合体層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比7.3:1で共重合し、イオン交換容量が0.91m当量/gのポリマーを得た。
【0100】
フッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a3)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、含フッ素重合体層A−2の厚みが80μm、含フッ素重合体層Bの厚みが13μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの含フッ素重合体層A−1の単層フィルム(b3)を得た。
【0101】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b3)、強化芯材、2層フィルム(a3)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0102】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で50℃の温度で24時間加水分解し、その後、95℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて1時間塩交換処理を行った。
【0103】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加えボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0104】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.86であった。測定結果を表1に示す。
【0105】
[実施例4]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0106】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比6:1で共重合し、イオン交換容量が0.95m当量/gのポリマーを得た。
【0107】
含フッ素重合体層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比8:1で共重合し、イオン交換容量が0.85m当量/gのポリマーを得た。
【0108】
フッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み100μmの2層フィルム(a4)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、含フッ素重合体層A−2の厚みが85μm、含フッ素重合体層Bの厚みが15μmであった。また、単層Tダイにて厚み25μmの含フッ素重合体層A−1の単層フィルム(b4)を得た。
【0109】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b4)、強化芯材、2層フィルム(a4)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0110】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて1時間塩交換処理を行った。
【0111】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加えボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0112】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.93であった。測定結果を表1に示す。
[実施例5]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0113】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0114】
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m当量/gのポリマーを得た。
【0115】
得られたフッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a1)を得た。該フィルム(a1)の断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A−2の厚みが80μm、層Bの厚みが13μmであった。なお、層A−2と層Bとは偏光をかけることによって区別した。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b1)を得た。
【0116】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b1)、強化芯材、2層フィルム(a1)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。
【0117】
強化芯材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製100デニールのテープヤーンに900回/mの撚りをかけ糸状としたものを24本/インチとなるよう平織りして厚み100μmの織布を得た。得られた織布を加熱された金属ロールで圧着し織布の厚みを70μmに調製した。このとき、PTFE糸のみの開口率は75%であった。
【0118】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて1時間塩交換処理を行った。
【0119】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0120】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.95であった。測定結果を表1に示す。
【0121】
[比較例1]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0122】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0123】
含フッ素重合体層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比8.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.80m当量/gのポリマーを得た。
【0124】
得られたフッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a5)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A−2の厚みが80μm、層Bの厚みが13μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b5)を得た。
【0125】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b5)、強化芯材、2層フィルム(a5)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0126】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて1時間塩交換処理を行った。
【0127】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加えボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0128】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。電解は含フッ素重合体層Aが陽極側に向けて配置された前述の電解槽で、6kA/m
2の電流密度で、温度を85℃に設定して7日間行った。測定した項目は、電解電圧、電流効率、生成する苛性ソーダ中の塩化ナトリウム量であり、それぞれ、電解開始後7日目の測定値で電解性能を評価した。この時、(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.98であった。電流効率は実施例1と同様の方法により測定した。
【0129】
[比較例2]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0130】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表わされる単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0131】
含フッ素重合体層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m当量/gのポリマーを得た。
【0132】
得られたフッ素重合体A−2とフッ素重合体Bを、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a6)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、層A−2の厚みが80μm、層Bの厚みが13μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b6)を得た。
【0133】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b6)、強化芯材、2層フィルム(a6)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材としては、実施例1と同様のものを用いた。
【0134】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で50℃の温度で0.5時間加水分解し、その後、95℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて5時間塩交換処理を行った。
【0135】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0136】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.77であった。測定結果を表1に示す。
【0137】
[比較例3]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表される単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表される単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0138】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表される単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表される単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gのポリマーを得た。
【0139】
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比8.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.80m当量/gのポリマーを得た。
【0140】
フッ素重合体A−2とフッ素重合体Bをし、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a5)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、含フッ素重合体層A−2の厚みが75μm、層Bの厚みが15μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b5)を得た。
【0141】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b5)、強化芯材、2層フィルム(a5)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材は、実施例1と同様のものを用いた。
【0142】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で75℃の温度で0.75時間加水分解し、その後、85℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて塩交換処理を行った。
【0143】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に平均一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0144】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.98であった。測定結果を表1に示す。
【0145】
[比較例4]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表される単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表される単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0146】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表される単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表される単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.98m当量/gのポリマーを得た。
【0147】
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比8.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.80m当量/gのポリマーを得た。
【0148】
フッ素重合体A−2とフッ素重合体Bをし、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み93μmの2層フィルム(a5)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、含フッ素重合体層A−2の厚みが75μm、層Bの厚みが15μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b5)を得た。
【0149】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b5)、強化芯材、2層フィルム(a5)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材は、実施例1と同様のものを用いた。
【0150】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で90℃の温度で0.75時間加水分解し、その後、85℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて塩交換処理を行った。
【0151】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に平均一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0152】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.97であった。測定結果を表1に示す。
【0153】
[比較例5]
含フッ素重合体A−1として、前記一般式(1)で表される単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表される単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5:1で共重合し、イオン交換容量が1.05m当量/gのポリマーを得た。
【0154】
含フッ素重合体A−2として、前記一般式(1)で表される単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(2)で表される単量体(a=1、b=2、Y=CF
3)とをモル比5.7:1で共重合し、イオン交換容量が0.99m当量/gのポリマーを得た。
【0155】
層Bを形成する含フッ素重合体Bとして、前記一般式(1)で表わされる単量体(X
1=F、X
2=F)と前記一般式(3)で表わされる単量体(c=1、d=2、Y=CF
3、R=CH
3)とをモル比7.5:1で共重合し、イオン交換容量が0.89m当量/gのポリマーを得た。
【0156】
フッ素重合体A−2とフッ素重合体Bをし、2台の押し出し機、2層用の共押し出し用Tダイ、及び引き取り機を備えた装置により、共押しを行い、厚み105μmの2層フィルム(a5)を得た。該フィルムの断面を光学顕微鏡で観察した結果、含フッ素重合体層A−2の厚みが80μm、層Bの厚みが25μmであった。また、単層Tダイにて厚み20μmの層A−1の単層フィルム(b5)を得た。
【0157】
内部に加熱源及び真空源を有し、表面に多数の微細孔を有するドラム上に、透気性のある耐熱離型紙、単層フィルム(b5)、強化芯材、2層フィルム(a5)を順番に積層し、230℃の温度及び−650mmHgの減圧下で各材料間の空気を排除しながら一体化し、複合膜を得た。強化芯材は、実施例1と同様のものを用いた。
【0158】
この複合膜をDMSO30質量%、4.0規定(N)のKOHを含む水溶液中で80℃の温度で0.5時間加水分解し、その後、50℃の条件下、0.6規定(N)NaOH溶液を用いて塩交換処理を行った。
【0159】
水とエタノールの50/50質量部の混合溶液に、イオン交換容量が1.0m当量/gのCF
2=CF
2とCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)O(CF
2)
3SO
2Fの共重合体を加水分解してなるスルホン酸基を有するフッ素系重合体を20質量%溶解させた。その溶液に平均一次粒子径1μmの酸化ジルコニウム40質量%加え、ボールミルにて均一に分散させた懸濁液を得た。この懸濁液を前記加水分解及び塩交換処理後のイオン交換膜の両面にスプレー法により塗布し乾燥させる事により、コーティング層を形成させた。
【0160】
上記のようにして得られたイオン交換膜について、電解を行った。(電解後の層Bのイオンクラスター径)/(電解前の層Bのイオンクラスター径)の値は0.97であった。測定結果を表1に示す。
【0161】
上記実施例及び比較例のイオン交換膜の組成及び特性等を表1に示す。
【0162】
【表1】
【0163】
実施例1〜4のイオン交換膜は、電解性能が良好であり、かつ引張強度及び引張伸度の強度評価の結果も電解に十分耐え得る値を示した。
一方、比較例1のイオン交換膜は、強度評価の結果は良好であったものの電解電圧が実施例1〜4に比べて高かった。
比較例2のイオン交換膜は、強度評価の結果は良好であったものの電解電圧が大きく上昇した。
比較例3〜4のイオン交換膜は、強度評価の結果は良好であったものの電解電圧が実施例1〜4に比べて高かった。
比較例5のイオン交換膜は、強度評価の結果は良好であったものの電解電圧が実施例1〜4に比べて高かった。
【0164】
本出願は、2015年5月18日出願の日本特許出願(特願2015−101292号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。