(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
各種電子装置では印刷配線基板が多用されているが、パターンの印刷は印刷パターンを形成したステンレスの薄板であるメタルマスクを張設治具に張力を付加しない状態で取り付け、又は小型のメタルマスクをポリエステルメッシュあるいはナイロンメッシュあるいはステンレスメッシュを張設治具に取り付け、張設治具を拡張することによりメタルマスクに張力を付加し、スキージで半田ペースト等のインクを印刷配線基板に移行させるスクリーン印刷が行われている。
【0003】
メタルマスクあるいはメタルマスクが取り付けられたスクリーンメッシュを保管するときにはメタルマスクを張設治具に取り付けた状態で保管するのが最も理想的であるが、拡縮機構を有するスクリーン張設治具は高価であるばかりでなく、重たく、嵩張るのでメタルマスクを張設治具に取り付けた状態で保管あるいは輸送することは、非効率的である。
【0004】
そのため、非使用時にはメタルマスクあるいはスクリーンメッシュを張設治具から取り外した状態で保管し、使用時にメタルマスクあるいはスクリーンメッシュを張設治具の取り付けることが行われている。
しかし、メタルマスク,スクリーンメッシュ及び張設治具は単純な長方形であるため、誤った向きに取り付けてしまい、、印刷に支障が生じることがある。
【0005】
図1に、張設治具とメタルマスクあるいはスクリーンメッシュの関係を示す。
なお、以降の説明では説明を簡便にするためメタルマスクを使用する場合についてのみ説明する。
この図において(a)は張設治具1、(b)は(a)に示した張設治具に張設するメタルマスク2、(c)はメタルマスク2をスクリーン印刷枠3に取り付けた状態である。
【0006】
(a)に示す張設治具1は4本の中空の治具枠部材4,5,6,7とL字形の脚が挿入されるコーナー部材8,9,10,11から構成され、各々の治具枠部材と各々のコーナー部材とは固定的な結合はされていないため、各々の治具枠部材は各々のコーナー部材に対して移動可能である。このことにより治具枠部材4と6の間隔および治具枠部材6と7の間隔が変更可能であり、取り付けられたメタルマスクの張力が張設される。
【0007】
この他に4本の治具枠部材が固定的に接続されており、治具枠部材中の収容された可動部材にメタルマスクが取り付けられ、可動部材が移動することにより取り付けられたメタルマスクの張力が張設される張設治具あるいは治具枠部材中に収容された可動部材を軸により回転させるが回転することにより取り付けられたメタルマスクの張力が張設される張設治具もある。
【0008】
メタルマスク2に印刷パターン12、この例では英文字「F」が形成されている。
以後この明細書中では、印刷パターン12として英文字「F」を用いて説明する。
【0009】
図2にメタルマスクを張設治具に取り付ける場合の方向を説明する。
メタルマスク自体には表裏を区別する構造はない。そのため、張設治具1への取り付け姿勢には、表裏天地転倒により次の(a),(b),(c),(d)の4通りの姿勢がある。
(a)に示した印刷パターン12aの「F」は正しい姿勢である。
(b)に示した印刷パターン12bの「F」は正立しているが裏返しである。
(c)に示した印刷パターン12cの「F」は倒立している。
(d)に示した印刷パターン12dの「F」は倒立し、裏返しである。
これらから理解されるように、正しい張設姿勢は取りうる4つの姿勢の中で唯一(a)だけである。
【0010】
張設治具にメタルマスクを取り付ける構成として、張設治具に設けられた係合ピンにメタルマスクに形成された係合孔を係合させて直接に取り付ける構成と、メタルマスクを張設枠体に取り付け、張設枠体を張設治具に取り付ける構成があり、これらの取付構成を発明者はWO2007/091630号公報で示した。
【0011】
メタルマスクを張設治具に直接に取り付ける構成を
図3に示す。
(a)に示した張設治具13の治具枠部材4,5,6,7の内側部各々に延長部材15,16,17,18が設けられ、延長部材の各々には
係合ピン19が均一な間隔で設けられている。
係合ピン19を延長部材15,16,17,18ではなく枠部材4,5,6,7に設けることにより、延長部材を省略した構成もある。
【0012】
(b)に示したメタルマスク14は厚さが0.15mm程度の長方形のステンレス薄板に印刷パターン12である英文字「F」がエッチング加工やレーザ加工により形成されている。
【0013】
メタルマスク14の周縁部には
係合ピン19に対応する
係合孔20が均一な間隔で形成されている。
【0014】
印刷を行う際には、メタルマスク14の
係合孔20を張設治具13の
係合ピン19に係合させることによってメタルマスク14を張設治具13に取り付け、張設治具13の対向する枠部材4,6及び5,7の間隔を変更することにより、対向する
係合ピンの間隔を変更することによりメタルマスク14に付加される張力を印刷に適するように調節する。
【0015】
図4に示したのは押さえ枠を使用するメタルマスク及び張設治具である。
この図において、(a)に示したのは張設治具、(b)に示したのは(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスク、(c)に示したのは押さえ枠の使用方法である。
【0016】
(a)に示す張設治具81は4本の中空の枠部材4,5,6,7と各枠部材の開口端に脚が挿入されることにより枠部材を繋ぐコーナー部材8,9,10,11から構成され、コーナー部材8と9、11と10の距離、コーナー部材8と11、9と10の距離が変更可能とされている。
【0017】
長方形である張設治具41の枠部材4,5,6,7の内側部各々のの枠部材表面から少し離れた位置に延長部材15,16,17,18が設けられ、各々の延長部材には
係合ピン19が
係合ピンの頭部が枠部材が形成する表面から突出しないように設けられている。
【0018】
また、延長部材15,16,17,18に位置決め案内孔24,25,26,27が形成されている。これらの位置決め案内孔中24,25,26,27は各々の延長部材15,16,17,18の中央に形成されている。
【0019】
(b)に示したメタルマスク22では、周縁部に係止孔20が形成され、さらに加えて位置決め案内孔28,28,30,31が各々の周縁部の中央に形成されている。
【0020】
(c)に示した押さえ枠ツール23には、4本の位置決めピンが設けられている。これらの位置決めピンは押さえ枠各々の枠片の中央に設けられている。
【0021】
図5に示したのはメタルシートのコーナーに切り欠き部が形成され、張設治具のコーナー部材に切り欠き部に対応する突設部が形成されたメタルシート及び張設器具である。
【0022】
メタルマスクのコーナー部には張設治具により張力を付加したときにコーナー部に生じる応力を緩和するために、必要に応じて切り欠き部がメタルマスクの4隅に形成されたものがある。
【0023】
この切り欠き部が形成されたメタルマスクを張設治具に取り付けると張設治具の4隅に開口が存在することになり、この開口により作業者が負傷する危険性がある。
この危険性を排除するために各コーナー部材に突設片を設けることがある。
【0024】
図5(b)に示されたメタルマスク42の4隅には4分円状の切り欠き部51,52,53,54が形成されている。
また、(a)に示された張設治具41の4隅のコーナー部材43,44,45,46には各々突設片47,48,49,50が設けられている。
【0025】
メタルマスクを張設枠体に取り付け、張設枠体を張設治具に取り付ける構成を
図6に示す。
(a)に示した張設治具101は、4本の中空の治具枠部材109,110,111,112と中空の治具枠部材の各々の開口端にL字形の脚が挿入されるコーナー部材105,106,107,108から構成されている。
張設治具101は、治具枠部材109,110,111,112の張設枠を取り付ける図示していない側の形状が異なる他は、
図1に示した張設治具1と同じ形状及び機構を有している。
【0026】
同(b)に示した張設枠102は厚さ数mmのアルミウム材等からなる直線状の張設枠部材113,114,115,116から構成され、張設治具の治具枠部材109,110,111,112と対向する面に係合溝118,119,120、121が形成されている。
張設枠102は張設枠部材113,114,115,116が溶接等の手段により固定的に一体に形成されたものと、張設枠部材113,114,115,116の両端部に開口部が形成され、開口部にL字形のコーナー部材の端部が挿入され、張設枠が変形可能なものがある。
なお、以降の説明では説明を簡便にするため張設枠部材が一体に形成された場合についてのみ説明する。
【0027】
張設枠102には、厚さが0.15mm程度の長方形のステンレス薄板に印刷パターン104である英文字「F」がエッチング加工やレーザ加工により形成されたメタルマスク103が張設枠102の係合溝が形成されていない側の面に接着等の手段により固定されている。
【0028】
(c)及び(d)に張設枠を張設治具に取り付ける構成を示す。
(c)は張設枠が張設治具に取り付けられていない状態を示す断面図であり、(d)は取り付けられた状態を示す断面図である。
(c)に示すように、張設治具201の治具枠部材109及び111の張設枠部材113及び115に対向する面には断面鳩尾状の係合凸条121及び123が設けられている。
張設枠部材113及び115の治具枠部材109及び111に対向する面には断面鳩尾状の係合凹条118及び120が形成されている。
図示しない治具枠部材110及び112も図示した治具枠部材109及び111と同様な構造を有している。
【0029】
なお、治具枠部材109,110,111,112に断面鳩尾状の係合凸条を、張設枠部材113,114,115,116に断面鳩尾状の係合凹条を設けるのに代えて、治具枠部材109,110,111,112に断面鳩尾状の係合凹条を、張設枠部材113,114,115,116に断面鳩尾状の係合凸条を設けこともできる。
【0030】
(d)に示すように、治具枠部材109の係合凸条121を張設枠部材113の係合凹溝118に係合し、治具枠部材111の係合凸条を張設枠部材115の係合凹溝120に係合し、矢印で示したように治具枠部材109と111との間隔を変化せせることにより、メタルマスク103の張力が変化する。
【0031】
図7により、張設枠と張設治具の取付構造及び取付関係を説明する。
(a)に示した張設治具101は張設枠102が取り付けられる側の面であり、(b)及び(c)に示した張設治具102は張設治具101に取り付けられる側の面である。
【0032】
張設治具101の4本の中空の治具枠部材109,110,111,112とこれらの治具枠部材の各々の開口端にL字形の脚が挿入されるコーナー部材105,106,107,108から構成されている。
治具枠部材109,110,111,112の張設枠が取り付けられる側の面には、各々断面鳩尾状の凸条121,122,123,124が形成されている。
治具枠部材109,110,111,112の張設枠取付面の形状が異なる他は、張設治具101は
図1に示した張設治具1と同じ形状及び同じ機構を有している。
【0033】
(b)に示した張設枠102は厚さ数mmのアルミウム材等からなる直線状の張設枠部材113,114,115,116を溶接等の手段により一体に形成し、張設治具101と対向する面に断面鳩尾状の係合凹溝117,118,119,120が形成され、張設枠102の係合凹溝が形成されていない面には印刷パターン104である英文字「F」が形成されたメタルマスク103が貼り付けられている。
【0034】
張設枠102は張設枠部材113,114,115,116が溶接等の手段により固定的に一体に形成されたものと、張設枠部材113,114,115,116の両端部に開口部が形成され、開口部にL字形のコーナー部材の端部が挿入され、張設枠が変形可能なものもある。
【0035】
なお、治具枠101に係合凹溝を形成し、張設枠102に係合凸条を形成することも可能である。
【0036】
張設枠102は一方の面に係合凹溝117,118,119,120が形成され、他方の面にメタルマスクが貼り付けられているため、
図2(b)あるいは
図2(d)に示したような裏返しの取付はあり得ず、
図5(b)に示した正立した印刷パターン「F」104あるいは
図5(c)に示した倒立した印刷パターン「F」104の取付のみがある。
【0037】
図8及び
図9に示したのは、メタルマスクが貼り付けらた張設枠を治具枠のコーナー部材に形成された係合突起と張設枠部材のコーナーに形成された係止孔とを係合させることによりメタルマスクを治具枠に取り付ける構成である。
【0038】
図8(a)に示した張設治具201は、4本の中空の治具枠部材209,210,211,212と中空の治具枠部材の各々の開口端にL字形の脚が挿入されるコーナー部材205,206,207,208から構成されている。
張設治具201は、コーナー部材205,206,207,208の張設枠を取り付ける図示していない側の形状が異なる他は、
図1に示した張設治具1と同じ形状及び機構を有している。
【0039】
(b)に示した張設枠202は厚さ数mmのアルミウム材等からなる直線状の張設枠部材213,214,215,216から構成され、張設治具のコーナー部材205,206,207,208と対向する面に係止孔217,218,219,220が形成されている。
張設枠202は張設枠部材213,214,215,216が溶接等の手段により固定的に一体に形成されたものと、張設枠部材213,214,215,216の両端部に開口部が形成され、開口部にL字形のコーナー部材の端部が挿入され、張設枠が変形可能なものがある。
なお、以降の説明では説明を簡便にするため張設枠部材が一体に形成された場合についてのみ説明する。
【0040】
張設枠202には、厚さが0.15mm程度の長方形のステンレス薄板に印刷パターン204である英文字「F」がエッチング加工やレーザ加工により形成されたメタルマスク203が張設枠202の係合溝が形成されていない側の面に接着等の手段により固定されている。
【0041】
(c)及び(d)に張設枠を張設治具に取り付ける構成を示す。
(c)は張設枠が張設治具に取り付けられていない状態を示す断面図であり、(d)は取り付けられた状態を示す断面図である。
(c)に示すように、張設治具202のコーナー部材206及び207の張設枠のコーナー部に対向する面にはの係合突起221及び222が設けられている。
張設枠部材213及び214の接合部で治具枠201のコーナー部材206に対向する面には係止孔218が形成され、張設枠部材214及び215の接合部で治具枠201のコーナー部材207に対向する面には係止孔219が形成されている。
治具枠部材201の他のコーナー部材208及び205も図示したコーナー部材206及び207と同様な構造を有している。
【0042】
なお、治具枠に突起を、張設枠に係止孔を設けるのに代えて、治具枠に係止孔を、張設枠係合突起を設けこともできる。
【0043】
(d)に示すように、治具枠のコーナー部材206の係合突起121を張設枠部材の係止孔218に係合し、コーナー部材207の係合突起222を張設枠部材の係止孔219に係合し、矢印で示したようにコーナー部材206と207との間隔を変化せせることにより、メタルマスク103の張力が変化する。
【0044】
図9により、張設枠と張設治具の取付構造及び取付関係を説明する。
(a)に示した張設治具201は張設枠202が取り付けられる側の面であり、(b)及び(c)に示した張設治具202は張設治具201に取り付けられる側の面である。
【0045】
(a)に示した張設治具201は、4本の中空の治具枠部材209,210,211,212とこれらの治具枠部材の各々の開口端にL字形の脚が挿入されるコーナー部材205,206,207,208から構成されている。
コーナー部材205,206,207,208の張設枠が取り付けられる側の面には、各々係合突起221,222,223,224が形成されている。
コーナー部材205,206,207,208の張設枠取付面の形状が異なる他は、張設治具201は
図1に示した張設治具1と同じ形状及び同じ機構を有している。
【0046】
(b)に示した張設枠202は厚さ数mmのアルミウム材等からなる直線状の張設枠部材213,214,215,216を溶接等の手段により一体に形成し、張設治具101のコーナー部材と対向する面に係止孔217,218,219,220が形成され、張設枠202の係止孔が形成されていない面には印刷パターン204である英文字「F」が形成されたメタルマスク203が貼り付けられている。
【0047】
張設枠202は張設枠部材213,214,215,216が溶接等の手段により固定的に一体に形成されたものと、張設枠部材213,214,215,216の両端部に開口部が形成され、開口部にL字形のコーナー部材の端部が挿入され、張設枠が変形可能なものもある。
【0048】
なお、治具枠201に係止孔を形成し、張設枠202に係合突起を形成することも可能である。
【0049】
張設枠202は一方の面に係止孔217,218,219,220が形成され、他方の面にメタルマスクが貼り付けられているため、
図2(b)あるいは
図2(d)に示したような裏返しの取付はあり得ず、
図7(b)に示した正立した印刷パターン「F」204あるいは
図7(c)に示した倒立した印刷パターン「F」204の取付のみがある。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、この出願に係る発明の実施例を説明する。
実施例は、初めに係合ピンと係合孔によりメタルマスクを張設治具に直接に張設するものを説明し、次いで張設枠を用いてメタルマスクを張設治具に間接に張設するものを説明する。
【実施例1】
【0079】
実施例1〜7は係合ピン及び係合孔を取付方向規制部として利用する。
図10及び
図11で実施例1の張設治具及びメタルマスクを説明する。
図10は実施例1の張設治具及びメタルマスクの構造であり、
図11により実施例1の機能すなわちメタルマスクの張設治具への取付方向がどのようにして決められるかを説明する。
【0080】
図10において(a)は張設治具、
図10(b)メタルマスクである。
(a)に示す張設治具1は4本の中空の治具枠部材4,5,6,7とL字形の脚が挿入されるコーナー部材8,9,10,11から構成され、各々の治具枠部材と各々のコーナー部材とは固定的な結合はされていないため、各々の治具枠部材は各々のコーナー部材に対して移動可能である。このことにより治具枠部材4と6の間隔および治具枠部材6と7の間隔が変更可能であり、取り付けられたメタルマスクの張力が張設される。
【0081】
張設治具51は4本の中空の枠部材4,5,6,7と各枠部材4,5,6,7の開口端に端部が挿入されることにより枠部材4,5,6,7を結合するコーナー部材8,9,10,11から構成され、コーナー部材8と9、9と10、コーナー部材10と11、コーナー部材11と8と9の距離が変更可能とされている。
各々の枠部材は、各々のコーナー部材に対して固定的な結合はされていないため、各々の枠部材は各々のコーナー部材に対して移動可能である。
【0082】
コーナー部材8と9、コーナー部材10と11の距離が各々変更されると、それにつれて枠部材5と枠部材7の間隔が変化する。
また、コーナー部材8と11、コーナー部材9と10の距離が各々変更されると、それにつれて枠部材4と枠部材6の間隔が変化する。
【0083】
この他にコーナー部材間の距離を変更させるのではなく、枠部材を長手方向とは直角な方向に移動させることにより、枠部材に設けられた係合部の間隔を変化させる張設治具もある。
【0084】
また、係合部が設けられた枠部材を長手方向軸を中心として回転させることにより、係合部の実質的な間隔を変化させる張設治具もある。
【0085】
長方形を形成する張設治具51の枠部材4,5,6,7の内側部各々に延長部材15,16,17,18が設けられ、各々の延長部材には複数の係合ピン19が均一な間隔で設けられている。
【0086】
なお、係合ピンを延長部材15,16,17,18ではなく枠部材4,5,6,7に設けた張設治具もある。
【0087】
なお、使用する張設治具はどの実施例においても共通しているため、他の実施例においては説明を省略する。
【0088】
係合ピン19の径は張設治具51の治具枠部材4に形成された延長部材15の1つのコーナー部材9近くに配置された1個の係合ピン54を除いて同じ形状であり、係合ピン54の径は他の3つのコーナーに設けられた係合ピン53,55,56係合ピンよりも大径とされ取付方向規制部として機能する。
【0089】
係合ピン54の径は大径でなく小径とすることも可能である。
【0090】
また、径が異なる係合ピンの数を複数とすることも可能である。
【0091】
さらに、径が異なる係合ピン54の位置は非均一な位置であれば、隅以外の位置も可能である。
【0092】
(b)に(a)に示した張設治具に取り付けて用いるメタルマスク52を示す。
メタルマスク52は厚さが0.15mm程度の長方形のステンレス薄板に印刷パターン12として英文字「F」がエッチング加工やレーザ加工により形成されている。
【0093】
メタルマスク52の周縁部には係合ピン19に対応する係合孔20が均一な間隔で形成されている。
【0094】
メタルマスク52の1つのコーナーに設けられた係合孔58の径が他の3つのコーナーに設けられた係合孔57,59,60よりも大径となっている。
係合孔58の径は大径でなく小径とすることも可能である。
また、径が異なる係合孔の数を複数とすることも可能である。
さらに、径が異なる係合孔58の位置は非均一な位置であれば、隅以外の位置も可能である。
【0095】
図11(a),(b),(c),(d)に示されたメタルマスクの方向は
図2で説明したメタルマスクと同じである。
(a)に示したのは正立した裏側の面であり、印刷パターン12は正しい方向に取り付けられている。
(b)に示したのは正立した表側の面であり、印刷パターン12は正立はしているが裏返しに取り付けられている。
(c)に示したのは倒立した裏側の面であり、印刷パターン12は裏側ではあるが倒立して取り付けられている。
(d)に示したのは倒立した表側の面であり、印刷パターン12は表側が倒立して取り付けられている。
【0096】
これらの図において白丸で示されているのはメタルマスクに形成された係合孔であり、メタルマスクの外側に黒丸で示されているのは張設治具に設けられた係合ピンである。
また、54は他の係合ピンよりも径大の係合ピンであり、58は他の係合孔よりも径大の係合孔である。
【0097】
(a)に示した取付方向では径大の係合ピン54に径大の係合孔58が対応しており、メタルマスクを張設治具を取り付けることができる。
【0098】
(b)に示した取付方向では径大の係合ピン54に係合孔55が対応しており、径大の係合ピン54を係合孔55に嵌合することができないため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
【0099】
(c)に示した取付方向では径大の係合ピン54に係合孔60が対応しており、径大の係合ピン54を係合孔58に嵌合することができないため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
【0100】
(d)に示した取付方向では径大の係合ピン54に係合孔59が対応しており、径大の係合ピン54を係合孔59に嵌合することができないため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
【0101】
実施例1の説明では係合ピン54及び係合孔58の径がその他の係合ピン及び係合孔よりも大径であるとして説明したが、小径であっても実施可能である。
【0102】
ここで説明した事象はメタルマスクの取付方向を目視により確認する必要がないため作業者の注意力の限界、汚れが付着したメタルマスクを使用する等の障害がある場合でも、メタルマスクを張設治具に正しい方向に確実に取り付けることができる。
【0103】
係合ピン54及び係合孔58は複数個とすることもでき、その取付位置も非対称な位置であれば隅以外のどの位置に配置することもできる。
【0104】
また、他の係合ピン19及び係合孔20とは径が異なる係合ピン54及び係合孔58付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例2】
【0105】
図12に実施例2を示す。この図において(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設されるメタルマスクである。
なお、実施例2については、実施例1と共通する部分の説明は繁雑になるため省略し、実施例1と異なる事項についてのみ説明する。
また、係合ピンと係合孔の機能は
図11で説明した係合ピンと係合孔との機能と共通するので同様に省略する。
【0106】
長方形を形成する張設治具61の枠部材4,5,6,7の内側部各々に延長部材15,16,17,18が設けられ、各々の延長部材には複数の係合ピン19が均一な間隔で設けられている。
また、長方形であるメタルマスク62の周縁に複数の係合孔20が均一な間隔で設けられている。
【0107】
係合ピン19の形状は張設治具61の治具枠部材4に形成された延長部材15の1つのコーナー部材9近くに配置された1個の係合ピン64を除いて同じ形状である。
【0108】
係合ピン19の径は張設治具61の治具枠部材4に形成された延長部材15の1つのコーナー部材9近くに配置された1個の係合ピン64を除いて同じ円筒形状であり、係合ピン64の形状は4角柱形状となっている。
【0109】
係合ピン19及び係合孔20の形状は円柱及び円孔以外のどのような形状も可能であり、係合孔64及び係合孔68の形状は角柱及び角孔以外の係合ピン19及び係合孔20の形状と異なるどのような形状とすることもできる。
【0110】
また、係合孔64及び係合孔68は複数個とすることもでき、その配置位置も非対称な位置であれば隅以外のどの位置に配置することもできる
【0111】
また、他の係合ピン19及び係合孔20とは形状が異なる係合ピン63及び係合孔64付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例3】
【0112】
図13に実施例3の張設治具及びメタルマスクを示す。この図において、(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスクである。
なお、実施例4についても、実施例1と共通する部分の説明は繁雑になるため省略し、実施例1と異なる事項についてのみ説明する。
また、係合ピンと係合孔の機能は
図11で説明した係合ピンと係合孔との機能と共通するので同様に省略する。
【0113】
実施例3では、特定のコーナー部材付近、この実施例の場合コーナー部材9付近の延長部材15に形成された係合ピン68の位置が他の係合ピンの配列位置関係から外れた位置、この実施例の場合には隣接する係合ピン19同士の間隔よりも大きな間隔を有する位置、に配置され、メタルマスク67の係合孔69の位置が他の係合孔の配列位置関係から外れた位置、この実施例の場合には隣接する係合孔20同士の間隔よりも大きな間隔を有する位置、に配置されている。
【0114】
また、係合ピン68の位置及び係合孔69の位置は
図13に示すように隣接する他の係合ピンの配列方向及び隣接する他の係合孔の配列から外れた位置、言い換えれば枠部材4に近い位置あるいは遠い位置78及び79とすることも可能である。
【0115】
また、他の係合ピン19及び係合孔20とは配置位置が異なる係合ピン68及び係合孔69付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例4】
【0116】
図14に実施例4の張設治具及びメタルマスクを示す。
(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスクである。
なお、実施例4についても、実施例1と共通する部分の説明は繁雑になるため省略し、実施例1と異なる事項についてのみ説明する。
また、係合ピンと係合孔の機能は
図11で説明した係合ピン5と係合孔との機能と共通するので同様に省略する。
【0117】
実施例4では、メタルマスク42の張設治具41への取付方向を決めるために、特定のコーナー部、この実施例の場合コーナー部材9近くの係合ピン43及び係合孔44の数を変化、この実施例4の場合は1個増加、させて
係合ピンの配置密度を変化させている。
【0118】
係合ピン43及び係合孔44の数は増加させるのではなく減少させることもでき、その数は1個以上にすることもできる。
【0119】
また、他の係合ピン19及び係合孔20とは配置密度が異なる係合ピン73及び係合孔74付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例5】
【0120】
図15に実施例5の張設治具及びメタルマスクを示す。
(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスクである。
なお、実施例5についても、実施例1と共通する部分の説明は繁雑になるため省略し、実施例1と異なる事項についてのみ説明する。
また、
図6で説明した事項も実施例5と共通するので同様に省略する。
【0121】
実施例5では、メタルマスク47の張設治具46への取付方向を決めるために、特定のコーナー部材、この実施例の場合コーナー部材9近くの係合ピン43及び係合孔44を他の係合ピン19及び係合孔14が配列される直線から外れた位置、この実施例5の場合は枠部材4から離れた位置、に配置している。
【0122】
係合ピン48及び係合孔49の位置は枠部材4に近い位置にすることもできる。
【0123】
係合ピン48及び係合孔49の位置はコーナー部材9に近い位置あるいは遠い位置にすることもできる。
【0124】
また、他の係合ピン19及び係合孔20とは外れた位置に配置された係合ピン73及び係合孔74付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例6】
【0125】
図16及び
図17により実施例6の張設治具及びメタルマスクを説明する。
図16は実施例6の張設治具及びメタルマスクの構造であり、
図17によりメタルマスクの張設治具への取付方向がどのようにして決められるかを説明する。
【0126】
図16の(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスクである。
【0127】
この図において、張設治具81の延長部材16,17に設けられた係合ピン及びメタルマスク82に形成された対応する係合孔は直線状に配列されている。
一方、、延長部材15,18に配置された係合ピン及びメタルマスク82に形成された対応する係合孔は曲線状、この実施例の場合は中央部が枠部材4,7から離れる方向に湾曲した形状にされている。
【0128】
メタルマスク82を張設治具81へ取付る方向がどのようにして決められるかを
図17により説明する。
なお、
図17(a),(b),(c),(d)に示されたメタルマスクの方向は
図6と同じなので、繁雑にならないよう再度の説明は省略する。
この図において、メタルマスクの外側に示された直線及び曲線は張設治具81に設けられた係合ピンの配列形状であり、メタルマスク82の内側に示された直線及び曲線は係合孔の配列形状である。
【0129】
(a)に示した正しい取付方向では係合ピンの配列83と係合孔の配列87、係合ピンの配列86と係合孔の配列90が対応しており、メタルマスクを張設治具を取り付けることができる。
【0130】
(b)に示した左右裏返しの取付方向では係合ピンの配列83と係合孔の配列57は対応しているが、係合ピンの配列86と係合孔の配列90が対応していないため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
【0131】
(c)に示した上下裏返しの取付方向では係合ピンの配列86と係合孔の配列80は対応しているが、係合ピンの配列53と係合孔の配列87が対応していないため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
【0132】
(d)に示した天地逆転の取付方向では係合ピンの配列83と係合孔の配列87、係合ピンの配列86と係合孔の配列90が共に対応していないため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
【0133】
係合ピンの配列53,56と係合孔の配列87,90は対向する位置の形状が異なっていれば湾曲の方向、形状はどのようなものであってもよい。
【0134】
また、直線状に配列されていない係合ピン配列83,86及び係合孔配列87,90付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例7】
【0135】
実施例7〜9では、係合ピン及び係合孔を取付方向規制部として利用しない。
図18に示したのはこの出願に係る発明の実施例7であり、
図4に示された押さえ枠を使用するメタルマスク及び張設治具に関するものである。
この図において、(a)に示したのは張設治具、(b)に示したのは(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスク、(c)に示したのは押さえ枠である。
【0136】
(a)に示す張設治具81は4本の中空の枠部材4,5,6,7と各枠部材の開口端に脚が挿入されることにより枠部材を連結するコーナー部材から構成され、コーナー部材間の距離が変更可能とされている。
【0137】
長方形である張設治具91の枠部材4,5,6,7の内側部各々のの枠部材表面から少し離れた位置に延長部材が設けられ、各々の延長部材には係合ピンが
係合ピンの頭部が枠部材が形成する表面から突出しないように設けられている。
【0138】
また、各延長部材に位置決め孔94,25,26,27が形成されている。これらの位置決め孔中25,26,27は各々の延長部材の中央に形成されているが、位置決め孔94は延長部材86の中央ではない位置に形成されている。
【0139】
(b)に示したメタルマスク92では、周縁部に係合孔が形成され、さらに加えて位置決め案内孔95,29,30,31が形成されている。
これらの位置決め案内孔中29,30,31は各々の周縁部の中央に形成されているが、位置決め案内孔95は周縁部の中央ではない位置に形成されている。
【0140】
(c)に示した押さえ枠ツール93には、4本の位置決めピン96,34,35,36が設けられている。これらの位置決めピン中34,35,36は押さえ枠ツールの枠辺の各々中央に設けれられているが、位置決めピン96は中央ではない位置に形成されている。
【0141】
張設治具枠91の位置決め案内孔94、メタルマスク92の位置決め孔95、押さえ枠ツール93の位置は対応している。
【0142】
各々中央に設けられていない位置決め案内孔94及び95,位置決め案内ピン95は前に説明した実施例の係合孔,係合ピンと同じ機能を有しており、メタルマスクの張設治具への取付方向が決定される。
【0143】
また、位置決め孔と位置決め案内孔との関係は1個の位置決め孔と位置決め案内孔の大きさを異ならせる、あるいは形状を異ならせるようにしてもよい。
【0144】
また、他の位置決めピン34〜36,位置決め案内孔29〜31及び位置決め孔25〜27とは異なる位置,径又は形状である位置決めピン96,位置決め案内孔95及び位置決め孔94に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例8】
【0145】
図19及び
図20により実施例8の張設治具及びメタルマスクを説明する。
(a)に示したのは張設治具、(b)に示したのは(a)に示した張設治具に張設されるメタルシート、(c)に示したのはメタルシートを張設治具に取り付けた状態の拡大図である。
【0146】
図5により説明したように、メタルマスクのコーナー部には張設治具により張力を付加したときにコーナー部に生じる応力を緩和するために、必要に応じて切り欠き部がメタルマスクの4隅に形成される。
【0147】
この切り欠き部が形成されたメタルマスクを張設治具に取り付けると張設治具の4隅に開口が存在することになり、この開口により作業者が負傷する危険性があり、この危険性を排除するために各コーナー部材に突設片を設ける。
【0148】
図19(b)に示されたメタルマスク72の4隅には4分円状の切り欠き部55,57,58が形成されている。
また、(a)に示された張設治具91のコーナー部材43,93,45,46には各々突設片51,94,53,54が設けられている。
【0149】
4カ所の切り欠き部の中で切り欠き部55,57,58は同一半径の4分円、であり、切り欠き部95は切り欠き部55,57,58より径小の4分円、である。
4個の突設片の中で突設片51,53,54は同一半径の4分円、であり、突設片94は突設片51,53,54より径小の4分円、である。
【0150】
(c)に示した拡大図にあるように、小径の切り欠き部95に小径の突設片94が対応しているときに、メタルマスク92は張設治具91に取り付けられる。
【0151】
メタルマスク92を張設治具91へ取付る方向がどのようにして決められるかを
図20により説明する。
なお、
図20(a),(b),(c),(d)に示されたメタルマスクの方向は
図11と同じなので、繁雑にならないよう再度の説明は省略する。
【0152】
(a)に示した正しい方向では小径の突設片94と小径の切り欠き部95、その他の大径の突設片と大径の切り欠き部が対応しており、メタルマスクを張設治具に取り付けることができる。
【0153】
(b)に示した左右裏返しの方向では小径の切り欠き部95に大径の突設片51が対応するため、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
なお、このとき小径の突設片94は大径の切り欠き部55に対応している。
【0154】
(c)に示した天地逆転の方向では小径の切り欠き部95に大径の突設片54が対応しているため、メタルマスクを張設治具を取り付けることができない。
なお、このとき小径の突設片94は大径の切り欠き部58に対応している。
【0155】
(d)に示した上下裏返しの方向では小径の切り欠き部95に大径の突設片53が対応しており、メタルマスクを張設治具に取り付けることができない。
なお、このとき小径の突設片94は大径の切り欠き部57に対応している。
【0156】
切り欠き部55,95,97,98と突設片51,94,53,54の形状は扇形の4分円以外のどのような形状であってもよい。
【0157】
また、切り欠き部と突設片との関係は1個の切り欠き部と突設片の大きさを他の3個の切り欠き部と突設片よりも大きくする、あるいは1個の切り欠き部と突設片の形状を他の3個の切り欠き部と突設片の形状と異ならせるようにしてもよい。
【0158】
また、他の突設片51〜53及び切り欠き部55〜57とは大きさあるいは形状が異なる突設片94及び切り欠き部95付近に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例9】
【0159】
図21により実施例9を説明する。
実施例9は
図15に示した係合ピン及び係合孔の配列による取付方向規制構成をメタルマスクの外周部分及び対応する調整治具の形状によって実現する。
図15において、(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設治具に張設されるメタルマスクである。
なお、実施例9についても、実施例1と共通する部分の説明は繁雑になるため省略し、実施例1と異なる事項についてのみ説明する。
また、
図6で説明した事項も実施例9と共通するので同様に省略する。
【0160】
実施例9では、メタルマスク92の張設治具91への取付方向を決めるために、特定のコーナー、この実施例の場合コーナー部材9近くに他の部分とは異なる形状の突起83を形成し、メタルマスクの対応する外周に切欠部84を形成している。
【0161】
取付方向規制構成は切欠ぶと突起の組み合わせの他に任意の形状が可能である。
【実施例10】
【0162】
メタルマスクの天地方向は人間が判断し、表裏逆転のみに対応すればよいことも多い。そのような場合の実施例を実施例10として
図22及び
図23で説明する。
【0163】
メタルマスクの張設治具枠への取り付けにおいて、メタルマスクの天地が問われない場合はメタルマスク及び張設治具枠に設けられた取付方向規制構成をメタルマスク及び張設治具枠の中心に対して点対称の位置にも形成する。
【0164】
図22は実施例10の張設治具及びメタルマスクの構造であり、
図23により実施例10の機能すなわちメタルマスクの張設治具への取付方向がどのようにして決められるかを説明する。
【0165】
図22において(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設されるメタルマスクである。
実施例10の張設治具及びメタルマスクは実施例1の取付方向規制部が張設治具及びメタルマスクの中心に対して点対称の位置にも設けられている。
【0166】
張設治具93の1つのコーナーの近くに配置された係合ピン54及び張設治具及びメタルマスクの中心に対して係合ピン54と点対称の位置に配置された係合ピン95の径は他の係合ピンよりも大径とされ、メタルマスク94の1つのコーナーの近くに配置された係合孔58及び張設治具及びメタルマスクの中心に対して係合孔58と点対称の位置に配置された係合孔96の径は他の係合孔よりも大径とされている。
【0167】
図23(a),(b),(c),(d)に示されたメタルマスクの方向は
図22(b)で説明したメタルマスクと同じである。
(a)に示したのは正立した裏側の面であり、径大の係合ピン54に径大の係合孔58が、径大の係合ピン95に径大の係合孔96が対応しているため各々係合可能であり、取り付け可能である。
(b)に示したのは正立した表側の面であり、径大の係合ピン54に径小の係合孔が、径大の係合ピン95に径小の係合孔が対応しているため各々係合不可能であり、取り付けは不可能である。
(c)に示したのは倒立した裏側の面であり、径大の係合ピン54に径大の係合孔96が、径大の係合ピン95に径大の係合孔58が対応しているため各々係合可能であり、取り付け可能である。
(d)に示したのは倒立した表側の面であり、径大の係合ピン54に径小の係合孔が、径大の係合ピン95に径小の係合孔が対応しているため各々係合不可能であり、取り付けは不可能である。
【実施例11】
【0168】
メタルマスク及び張設治具が正方形の場合には表裏逆転のみが問題であり、天地方向だけでなく90°回転した方向でもよいことがある。
そのような場合の実施例を実施例11として
図24〜
図26で説明する。
【0169】
メタルマスクの張設治具枠への取り付けにおいて、メタルマスクの天地が問われない場合はメタルマスク及び張設治具枠に設けられた取付方向規制構成をメタルマスク及び張設治具枠の中心に対して点対称の位置にも形成する。
【0170】
図24は実施例11の張設治具及びメタルマスクの構造であり、
図25及びず26により実施例11の機能すなわちメタルマスクの張設治具への取付方向がどのようにして決められるかを説明する。
【0171】
図24において(a)は張設治具、(b)は(a)に示した張設されるメタルマスクである。
実施例11の張設治具及びメタルマスクは実施例10の張設治具及びメタルマスクの中心に対して点対称の位置にも設けられた取付方向規制部がさらに、90°回転した位置にも設けられている。
【0172】
(a)に示した張設治具100は張設治具枠102,103,104,105が同じ長さを有する正方形形状であり、張設治具100に取り付けられるメタルマスク10も4周が同じ長さである正方形形状である。
【0173】
実施例1である
図10の張設治具枠4に対応する張設治具枠102に径大の係合ピン106が設けられ、
図10の張設治具枠6に対応する張設治具枠104のメタルマスク及び張設治具枠の中心に対して点対称の位置に径大の係合ピン108を形成し、さらに、張設治具枠104及び張設治具枠106を中心に対して90°回転させた位置にある張設治具枠103及び張設治具枠105の対応する位置にある係合ピンを径大の係合ピン107及び109とする。
【0174】
(b)に示した、正方形のメタルマスクには(a)に示した径大の係合ピン106〜109に対応する位置の係合孔110〜113が径大に形成されている。
【0175】
取付方向規制について説明する。
図25は正しい方向すなわちパターンFが裏返しに取り付けされる状態である。
(a)に示した取付方向では、径大の係合ピン106に径大の係合孔110が、径大の係合ピン107に径大の係合孔111が、径大の係合ピン108に径大の係合孔112が、径大の係合ピン109に径大の係合孔113が対応しているため、取付が可能である。
(b)に示した取付方向では、
径大の係合ピン106に径大の係合孔111が、径大の係合ピン107に径大の係合孔112が、径大の係合ピン108に径大の係合孔113が、径大の係合ピン109に径大の係合孔110が対応しているため、取付が可能である。
(c)に示した取付方向では、
径大の係合ピン106に径大の係合孔112が、径大の係合ピン107に径大の係合孔113が、径大の係合ピン108に径大の係合孔110が、径大の係合ピン109に径大の係合孔111が対応しているため、取付が可能である。
(d)に示した取付方向では、
径大の係合ピン106に径大の係合孔113が、径大の係合ピン107に径大の係合孔110が、径大の係合ピン108に径大の係合孔111が、径大の係合ピン109に径大の係合孔112が対応しているため、取付が可能である。
【0176】
図26は誤った方向すなわちパターンFが表向きに取り付けされようとしている状態である。
(a)に示した取付方向では、径大の係合ピン106,107,108,109と径大の係合孔112,111,110,113が対応していないため、取付不可能である。
(b)に示した取付方向では、径大の係合ピン106,107,108,109と径大の係合孔111,110,113,112が対応していないため、取付不可能である。
(c)に示した取付方向では、径大の係合ピン106,107,108,109と径大の係合孔110,113,112,111が対応していないため、取付不可能である。
(d)に示した取付方向では、径大の係合ピン106,107,108,109と径大の係合孔113,112,111,110が対応していないため、取付不可能である。
【実施例12】
【0177】
張設枠を用いてメタルマスクを張設治具に間接に張設する実施例を説明する。
図27により
図6及び
図7で説明した張設枠を用い、張設治具枠に形成された係合凸条及び張設枠材に形成された係合凹溝により間接に張設する実施例11の張設治具及びメタルマスクを説明する。
なお、
図6に相当する構成の説明は省略し、
図7に相当する取付構成のみについて説明する。
【0178】
図27において、(a)に示した張設治具201は張設枠202が取り付けられる側の面であり、(b)及び(c)に示した張設治具202は張設治具201に取り付けられる側の面である。
【0179】
(a)に示した張設治具131は、4本の中空の治具枠部材110,111,112及び133とこれらの治具枠部材の各々の開口端にL字形の脚が挿入されるコーナー部材から構成されている。
3個の治具枠部材110,111,112の張設枠が取り付けられる側の面には、各々断面鳩尾状の連続した係合凸条122,123,124が形成されている。
1個の治具枠部材133の張設枠が取り付けられる側の面には、断面鳩尾状の不連続した係合凸条134,135が形成されている。
治具枠部材109,110,111,112の張設枠取付面の形状が異なる他は、張設治具131は
図1に示した張設治具1と同じ形状及び同じ機構を有している。
【0180】
(b)に示したのは正立した張設枠132である。
(b)に示した張設枠132は厚さ数mmのアルミウム材等からなる直線状の張設枠部材105,106,107及び136を溶接等の手段により一体に形成している。
張設枠部材105,106,107の張設治具131と対向する面に断面鳩尾状の連続した係合凹溝118,119,120が形成されている。
張設枠部材136の張設治具131と対向する面に断面鳩尾状の不連続した係合凹溝137,138が形成されている。
張設枠132の係合凹溝が形成されていない面には印刷パターン104である英文字「F」が形成されたメタルマスク103が貼り付けられている。
【0181】
張設枠132は張設枠部材105,106,107及び136が溶接等の手段により固定的に一体に形成されたものと、張設枠部材105,106,107及び136の両端部に開口部が形成され、開口部にL字形のコーナー部材の端部が挿入され、張設枠が変形可能なものもある。
【0182】
なお、張設治具枠131に係合凹溝を形成し、張設枠132に係合凸条を形成することも可能である。
【0183】
張設枠132は一方の面に係合凹溝が形成され、他方の面にメタルマスクが貼り付けられているため、裏返しの取付はあり得ず、正立した印刷パターン「F」104あるいは倒立した印刷パターン「F」の取付のみがある。
【0184】
(b)に示した正立した張設枠132を(a)に示した張設治具131に取り付ける場合は、係合凸条122と係合凹溝120が、係合凸条123と係合凹溝119が、係合凸条124と係合凹溝118が、係合凸条134と係合凹溝138が係合凸条135と係合凹溝137が各々係合可能であるから、張設枠132を張設治具131に取り付けることができる。
【0185】
(c)に示したのは倒立した張設枠132である。
この倒立した張設枠132を(a)に示した張設治具131に取り付ける場合は、係合凸条122と係合凹溝120が、係合凸条124と係合凹溝118が係合可能であるが、不連続した係合凸条134及び135に連続した係合凹溝119が、連続した係合凸条123に不連続した係合凹溝138及び137が各々係合不可能であるから、張設枠132を張設治具131に取り付けることができない。
【0186】
図6及び
図7の従来技術では上下・左右共に対称に形成されている係合凸条及び係合凹溝が、実施例9では非対称に形成されていることにより取付姿勢が制限されるのであるから、係合凸条及び係合凹溝が非対称に形成されてさえいれば様々の形態で実施することができる。
しかし、採りうる取付姿勢は2つしかないのであるから、非対称とする係合凸条及び係合凹溝は1個で十分である。
【0187】
また、他の3個の凸条又は凹溝とは異なる凸条134,135及び凹溝137,138に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例13】
【0188】
実施例11の変形実施例をいくつか示す。
図27に示した実施例11では不連続係合凸条及び不連続係合凹溝は上側の枠材に形成したが、実施例12では
図28(a)に示したように、張設治具141の左右の1個に不連続係合凸条143,144を形成し、(b)に示したように張設枠142の対応する1個に不連続係合凹溝145,146を形成することもできる。
【0189】
また、他の3個の凸条又は凹溝とは異なる凸条143,144及び凹溝1145,146に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例14】
【0190】
実施例11では不連続係合凸条及び不連続係合凹溝は同じ長さのものを示したが、実施例13では
図29(a)に示したように張設治具151に長い不連続係合凸条153及び短い不連続係合凸条154を形成し、(b)に示したように張設枠152に長い不連続係合凹溝155及び短い不連続係合凸条156を形成することもできる。
【0191】
さらに、短い不連続係合凸条154及び短い不連続係合凸条156をなくして少し短い係合凸条153及び少し短い係合凹溝155のみにする、あるいは短い不連続係合凸条154及び短い不連続係合凸条156を付加して少し長い係合凸条153及び少し長い係合凹溝155とすることもできる。
【0192】
また、短い不連続係合凸条154又は長い不連続係合凸条153の一方あるいは双方に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例15】
【0193】
実施例11では張設治具には係合凸条のみが形成され張設枠には係合凹溝のみを形成したが、実施例12では
図30(a)に示したように張設治具161の1個の枠材のみに係合凹溝163を形成し、(b)に示したように張設枠162の対応する1個の枠材に係合凸条を形成し、張設治具161の他の3個の枠材に係合凸条を形成し、張設枠162の他の3個の枠材に係合凹溝を形成することもできる。
【0194】
また、1個だけ異なる凹溝151及び凸条164に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例16】
【0195】
実施例11では張設治具に形成された係合凸条及び張設枠に形成さえた係合凹溝は直線状であるが、実施例15では
図31(a)に示したように張設治具171の1個の枠材のみにクランク形状の係合凸条173を形成し、(b)に示したように張設枠172の対応する1個の枠材にクランク形状の係合負う凹溝を形成することもできる。
【0196】
クランク形状以外にも折れ曲がった直線形状、ジグザク形状、曲線形状、斜線形状等が可能である。
【0197】
また、1個だけ異なる形状の凸条173及び凹溝174に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。
【実施例17】
【0198】
図32により
図8及び
図9で説明した張設枠を用い、張設治具のコーナー部材に形成された係合突起及び張設枠に形成された係合孔により間接に張設する実施例14の張設治具及びメタルマスクを説明する。
なお、
図8に相当する構成の説明は省略し、
図9に相当する取付構成のみについて説明する。
【0199】
(a)に示した張設治具201は張設枠202が取り付けられる側の面であり、(b)及び(c)に示した張設治具202は張設治具201に取り付けられる側の面である。
【0200】
(a)に示した張設治具231は、4本の中空の治具枠部材209,210,211,212とこれらの治具枠部材の各々の開口端にL字形の脚が挿入されるコーナー部材205,206,207及び233から構成されている。
コーナー部材205,206,207及び233の張設枠が取り付けられる側の面には、各々同一形状の3個の係合突起221,222,224と他の係合突起の形状とは異なる形状の1個の係合突起234が形成されている。
コーナー部材205,206,207及び233の張設枠取付面の形状が異なる他は、張設治具231は
図1に示した張設治具1と同じ形状及び同じ機構を有している。
【0201】
(b)に示した張設枠232は厚さ数mmのアルミウム材等からなる直線状の張設枠部材213,214,215,216を溶接等の手段により一体に形成し、張設治具231のコーナー部材と対向する面に同一形状の3個の係合孔217,218,219と他の3個の係合孔とは異なる形状の1個の係合孔235が形成され、張設枠232の係合孔が形成されていない面には印刷パターン204である英文字「F」が形成されたメタルマスク203が貼り付けられている。
【0202】
3個の係合突起221,222,224と対応する3個の係合孔217,218,219の形状が同じであること及び1個の係合突起234とと対応する1個の係合孔235の形状が同じであることは言うまでもない。
【0203】
張設枠232は張設枠部材213,214,215,216が溶接等の手段により固定的に一体に形成されたものと、張設枠部材213,214,215,216の両端部に開口部が形成され、開口部にL字形のコーナー部材の端部が挿入され、張設枠が変形可能なものもある。
【0204】
なお、張設治具枠231に係合孔を形成し、張設枠232に係合突起を形成することも可能である。
【0205】
張設枠232は一方の面に係合孔が形成され、他方の面にメタルマスクが貼り付けられているため、裏返しの取付はあり得ず、正立した印刷パターン「F」あるいは倒立した印刷パターン「F」の取付のみがある。
【0206】
(b)に示した正立した張設枠232を(a)に示した張設治具231に取り付けようとした場合は、係合突起224と係合孔217が、係合突起221と係合孔218が、係合突起222と係合孔219が同じ形状であり、係合突起234と係合孔235が同じ形状であるから、各々係合可能であり、張設枠232を張設治具231に取り付けることができる。
【0207】
(c)に示したのは倒立した張設枠232である。
この倒立した張設枠232を(a)に示した張設治具231に取り付けようとした場合、係合突起224と係合孔219が、係合突起222と係合孔217が同じ形状であるため係合可能であるが、係合突起221と係合孔216が、係合突起234と係合孔218が異なる形状であるため係合不可能であるから、張設枠232を張設治具231に取り付けることができない。
【0208】
実施例16では係合突起及び係合孔の形状が異なる例を示したが、この他に大きさが異なる、数が異なる、位置が異なる物とすることもできる。
【0209】
図9及び
図10の従来技術では上下・左右共に対称に形成されている係合突起及び係合孔が、実施例14では非対称に形成されていることにより取付姿勢が制限されるのであるから、係合突起及び係合孔が非対称に形成されてさえいれば様々の形態で実施することができる。
しかし、採りうる取付姿勢は2つしかないのであるから、非対称とする係合突起及び係合孔は1個で十分である。
【実施例18】
【0210】
実施例16の変形実施例をいくつか示す。
実施例16では係合突起は全て張設治具のコーナー部材に形成し係合孔は張設枠に形成している。実施例17では、
図33(a)に示したように張設治具242の3個のコーナー部材に係合突起221,222,224を形成し、1個のコーナー部材に係合孔243を形成し、(b)に示したように3個のコーナー部材の係合突起221,222,224に対応する位置に係合孔217,218,219を形成し、1個のコーナー部材の係合孔243に対応する位置に係合突起244を形成することもできる。
【実施例19】
【0211】
実施例18は
図7に示した従来例に実施例14をそのまま組み合わせたものである。
図34において(a)に示した張設治具241には係合凸条121,122,123,124とともにコーナー部材に同一形状の3個の係合突起221,222,224と異なる形状の1個の係合突起234が形成されている。
(b)に示した張設枠242には係合孔117,118,119,120とともに同一形状の3個の係合突起217,218,219と異なる形状の1個の係合突起235が形成されている。
【実施例20】
【0212】
実施例19の張設治具251は実施例16の張設治具241から係合突起221,222,224を取り去ったものであり、張設枠252は実施例16の張設枠242から係合孔217,218,219を取り去ったものである。
【0213】
また、係合突起234及び係合孔235に着色等のマークを付けておくことによりメタルマスクの張設治具への取付作業が容易になる。