【実施例】
【0031】
つぎに本発明の第1の実施例によるRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器(RFIDタグ付き皿20)およびRFIDタグの取付け方法を
図1ないし
図3にもとづき説明する。ただし、
図6ないし
図9と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、RFIDタグ付き皿20の底面図であって、RFIDタグ付き皿20は、前記皿本体2と、皿本体2の底面(たとえば円形の前記糸底2Aの内周側)に取り付けたRFIDタグ21と、を有する。
【0032】
RFIDタグ21は、前記小型平盤状の小型RFIDタグ11(
図9)と、アンテナラベル22と、を有する。
【0033】
図2は、アンテナラベル22の概略拡大断面図であって、アンテナラベル22は、円環状に形成したPETフィルム23の表面にアルミニウムあるいは銅などの導体により、エッチング方式、スクリーン印刷方式あるいはメッキ方式など任意の方式を用いて、たとえば少なくとも2巻以上ラセン状に巻いてコイル状に形成したブースターアンテナ部(補助アンテナ部ないし導波アンテナ部)24を有し、ジャンパー線24Aによりその両端部を互いに接続することによって閉鎖回路を構成している。
【0034】
アンテナラベル22は、ブースターアンテナ部24の、
図2中上層側に粘着剤層25および剥離紙26を有し、剥離紙26をはがして円環形状のブースターアンテナ部24として任意の部位、すなわち、皿本体2の底面に小型RFIDタグ11とは別に貼り付け可能としている。
すなわち、ブースターアンテナ部24は、これをアンテナラベル22の面上に形成して、小型RFIDタグ11とは別に提供配置可能であって、その中央部に形成されている円形状内方窓部27の任意の部位に小型RFIDタグ11を配置するように、皿本体2の底面の同一平面上において小型RFIDタグ11を囲み可能である。
【0035】
なお、小型RFIDタグ11の前記小型RFIDアンテナ13(
図9)は、ブースターアンテナ部24との共振アンテナ部であって、ブースターアンテナ部24と共振アンテナ部(小型RFIDアンテナ13)とにより、RFIDタグ21のRFIDアンテナ28を構成している。
【0036】
こうした構成のRFIDタグ付き皿20およびRFIDタグ21を商品の鮮度管理システムおよび自動会計システムに活用することができる。
すなわち、
図3は、食事終了後の会計時にテーブル8上に重ね合わされた状態のRFIDタグ付き皿20の概略側面図であって、図示のように皿本体2を積み重ねた状態でも、比較的大型のブースターアンテナ部24により十分な受信面積を確保することができるので、前記携帯読取り機9により小型RFIDタグ11におけるICチップ14内のデータを一括して読み取ることができる。
すなわち、携帯読取り機9からの読取り電波により、ブースターアンテナ部24に誘導起電力が発生し、さらにブースターアンテナ部24と小型RFIDタグ11の小型RFIDアンテナ13との間の電磁結合により小型RFIDタグ11としてのデータ通信を可能とする。
【0037】
しかも、ブースターアンテナ部24は比較的大型ではあっても、アンテナラベル22として製造が可能であり、安価に提供することができるとともに、接着剤や高価な両面テープを別途必要とせず、小型RFIDタグ11の外周面に後貼りすることにより通信範囲を容易に拡張することができ、導入費用負担を軽減することができる。
【0038】
かくして、RFIDアンテナ28は、ICチップ14に接続している共振アンテナ部13と、ICチップ14とは分離した状態のブースターアンテナ部24と、からこれを構成し、ブースターアンテナ部24は、小型RFIDタグ11とは別に、小型RFIDタグ11の近傍にこれを配置可能としている。
したがって、容器(皿本体2)に小型RFIDタグ11のみを取り付けて、まず小型RFIDタグ11のみによる鮮度管理システムを検討することができる。すなわち、
図7のようなコンベアレイン7下方の固定読取り部において近接配置した固定読取り機6により小型RFIDタグ11を読み取ることができるので、鮮度管理システムの検証を行うことができる。
【0039】
この検証ののち、ブースターアンテナ部24(アンテナラベル22)を、小型RFIDタグ11を囲むように、小型RFIDタグ11とともに容器(皿本体2)に、いわば後貼り部品として取り付けることができる。
したがって、
図8に示すように、テーブル8上に積み重ねられた複数枚の皿本体2の斜め方向ないし側方向からの携帯読取り機9の操作により、ブースターアンテナ部24および共振アンテナ部13を介してICチップ14との間でデータ通信を行う自動会計システムの導入を実現することができる。
換言すれば、鮮度管理システムや鮮度管理システムおよび自動会計システムを順次導入検討しようとしている回転寿司店にとっては、初回は、導入コストを抑えることができる小型RFIDタグ11を採用することにより、鮮度管理システムや鮮度管理システムを検証することができるとともに、自動会計システム導入時には、アンテナラベル22としてブースターアンテナ部24のみを提供することにより、システム拡張の費用的リスクを軽減可能である。
【0040】
容器としても、RFIDアンテナ28は、ICチップ14に接続している共振アンテナ部13と、ICチップ14とは分離した状態のブースターアンテナ部24と、からこれを構成し、小型RFIDタグ11を囲むように、ブースターアンテナ部24を配置しているRFIDタグ付き容器としたので、必要なシステムの導入を融通性をもって実行可能である。
【0041】
本発明においては、ブースターアンテナ部は、これをコイル状に形成しているのみでも対応可能である。
すなわち、
図4は、本発明の第2の実施例によるRFIDタグ付き皿30の底面図であって、RFIDタグ付き皿30は、前記皿本体2と、皿本体2の底面に取り付けたRFIDタグ31と、を有する。
【0042】
RFIDタグ31は、前記小型RFIDタグ11(
図9)と、アンテナラベル32と、を有する。
【0043】
アンテナラベル32は、前記アンテナラベル22(
図1、
図2)と同様に、円環状に形成したPETフィルム23の表面にアルミニウムあるいは銅などにより、ラセン状に巻いてコイル状に形成したブースターアンテナ部33を有するが、その両端部を互いに非接続とすることによって開放回路を構成している点が、前記ブースターアンテナ部24(第1の実施例、
図1、
図2)とは異なる。
さらに、ブースターアンテナ部33は、そのコイル巻数をブースターアンテナ部24のコイル巻数より多くすることが必要であるが、他の構成は、ブースターアンテナ部24と事実上同様である。
【0044】
ブースターアンテナ部33は、これをアンテナラベル32の面上に形成して、小型RFIDタグ11とは別に提供配置可能であって、その中央部に形成されている円形状内方窓部34の任意の部位に小型RFIDタグ11を配置するように、皿本体2の底面の同一平面上において小型RFIDタグ11を囲み可能である。
【0045】
小型RFIDタグ11の前記小型RFIDアンテナ13(
図9)は、ブースターアンテナ部33との共振アンテナ部であって、ブースターアンテナ部33と共振アンテナ部(小型RFIDアンテナ13)とにより、RFIDタグ31のRFIDアンテナ35を構成している。
【0046】
こうした構成のRFIDタグ付き皿30およびRFIDタグ31は、携帯読取り機9からの読取り電波により、ブースターアンテナ部33を介して小型RFIDタグ11との間のデータ通信を可能とする。
したがって、
図3に示したような皿本体2を積み重ねた状態でも、比較的大型のブースターアンテナ部33により十分な受信面積を確保することができるので、携帯読取り機9によりICチップ14内のデータを一括して読み取ることができる。
【0047】
かくして、RFIDタグ付き皿30およびRFIDタグ31によっても、RFIDタグ付き皿20およびRFIDタグ21(第1の実施例、
図1)と同様に、容器(皿本体2)に小型RFIDタグ11を取り付けて、まず小型RFIDタグ11のみによる鮮度管理システムを検討することができる。すなわち、
図7のようなコンベアレイン7下方の固定読取り部における固定読取り機6により小型RFIDタグ11を読み取ることができるので、鮮度管理システムの検証を行うことができる。
【0048】
この検証ののち、ブースターアンテナ部33(アンテナラベル32)を、小型RFIDタグ11を囲むように、小型RFIDタグ11とともに容器(皿本体2)に、いわば後貼り部品として取り付けることができる。
したがって、
図3に示すように、テーブル8上に積み重ねられた複数枚の皿本体2の斜め方向ないし側方向からの携帯読取り機9の操作により、ブースターアンテナ部33および共振アンテナ部13を介してICチップ14との間でデータ通信を行う自動会計システムの導入を実現することができる。
【0049】
本発明においては、ブースターアンテナ部24における円形状内方窓部27(
図1)ないしブースターアンテナ部33における円形状内方窓部34(
図4)の任意の部位に小型RFIDタグ11を配置可能であるが、円形状内方窓部27あるいは円形状内方窓部34の形状自体も任意である。
たとえば
図5は、ブースターアンテナ部33における内方窓部の変形例を示す、RFIDタグ付き皿40の底面図である。
RFIDタグ付き皿40のRFIDタグ41においては、そのアンテナラベル42の内方窓部としていわゆるダルマ型内方窓部43を形成している以外は、RFIDタグ41はRFIDタグ31(
図4)と、アンテナラベル42はアンテナラベル32(
図4)と、さらにブースターアンテナ部44はブースターアンテナ部33(
図4)と、それぞれ同様の構成である。
【0050】
上記ダルマ型内方窓部43は、互いに連なった大円窓部43Aおよび小円窓部43Bからなり、小円窓部43Bの領域に小型RFIDタグ11を位置させることができる。すなわち、小型RFIDタグ11は、コイル状のブースターアンテナ部44のダルマ型内方窓部43においてその周縁部(小円窓部43B)に偏ってこれを配置していることになる。
なお、アンテナラベル42におけるブースターアンテナ部44は、小円窓部43Bに隣り合う部分においてアンテナを構成する各導体間のピッチが短くなっているが、外部の読取り機(固定読取り機6、携帯読取り機9)との間の無線データ通信をRFIDタグ31と同様に実行可能である。
【0051】
こうした構成のRFIDタグ付き皿40においても、既述のRFIDタグ付き皿20(
図1)およびRFIDタグ付き皿30(
図4)と同様に使用することができるが、糸底2Aの内方領域に何らかのデザインあるいは成型時に生じた突起45がある場合に、これを避けて小型RFIDタグ11を取り付けることができる。
【0052】
本出願人による検証によれば、ブースターアンテナ部33(第2の実施例、
図4)やブースターアンテナ部44(変形例、
図5)におけるように、その導体のコイル形状を開放回路としてもその巻数を比較的多くすることにより、外部の読取り機(固定読取り機6、携帯読取り機9)との間の無線データ通信が可能である。
なお、ブースターアンテナ部33(
図4)やブースターアンテナ部44(
図5)は、前記ジャンパー線24A(
図1)などによりそのコイルの両端部を接続する接続加工が不要となって、より安価に製造可能である。
一方第1の実施例におけるブースターアンテナ部24(
図1)は、上記ジャンパー線24Aによりその両端部を互いに接続することによって閉鎖回路を構成するために、その接続加工が必要ではあるが、そのコイルの巻数を比較的少なくしても無線データ通信が可能である。
【0053】
本発明におけるブースターアンテナ部は、容器の形状その他に応じて、三角形状、四角形状、六角形状、楕円形状その他任意の形態を採用可能である。その巻数や断面形状、隣接する導体間の間隔も任意である。さらに、ブースターアンテナ部として、ラセン形状以外にも、リング状、鍔状あるいは多重の同心構造を採用することもできる。
また、容器としても皿本体2に限らず、任意の物品ないし商品を収容する各種の容器の識別管理に本発明を応用可能である。