特許第6612519号(P6612519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6612519RFIDタグおよびRFIDタグ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612519
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】RFIDタグおよびRFIDタグ付き容器
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20191118BHJP
【FI】
   G06K19/077 296
   G06K19/077 264
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-90537(P2015-90537)
(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-207077(P2016-207077A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新田 真也
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−521322(JP,A)
【文献】 特開2013−101424(JP,A)
【文献】 特開2000−172812(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0309495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDアンテナおよびICチップを有するRFIDタグであって、
前記RFIDアンテナは、前記ICチップに接続している共振アンテナ部と、前記ICチップとは分離した状態のコイル状に形成したブースターアンテナ部と、からこれを構成し、
前記ICチップは、前記共振アンテナ部とともに小型RFIDタグを構成し、
前記ブースターアンテナ部は、前記小型RFIDタグとは別であり、
前記ブースターアンテナ部は、これをラベルの面上に形成してアンテナラベルとして提供可能であるとともに、
前記ブースターアンテナ部には小型RFIDタグを囲むように配置可能とした内方窓部が形成してあり、
前記内方窓部は、径が異なる円が互いに連なった大円窓部および小円窓部からなるダルマ型内方窓部であり、
前記ブースターアンテナ部の小円窓部の領域に小型RFIDタグを偏って位置させて、前記共振アンテナ部とブースターアンテナ部とを近接させたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
RFIDアンテナおよびICチップを有するRFIDタグを取り付けたRFIDタグ付き容器であって、
前記RFIDアンテナは、前記ICチップに接続している共振アンテナ部と、前記ICチップとは分離した状態のコイル状に形成したブースターアンテナ部と、からこれを構成し、
前記ICチップは、前記共振アンテナ部とともに小型RFIDタグを構成し、
前記ブースターアンテナ部は、これをラベルの面上に形成してアンテナラベルとして提供可能であるとともに、
前記ブースターアンテナ部には小型RFIDタグを囲むように配置可能とした内方窓部が形成してあり、
前記内方窓部は、径が異なる円が互いに連なった大円窓部および小円窓部からなるダルマ型内方窓部であり、
前記ブースターアンテナ部の小円窓部の領域に小型RFIDタグを偏って位置させて、前記共振アンテナ部とブースターアンテナ部とを近接させて当該容器に取り付けていることを特徴とするRFIDタグ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法にかかるもので、とくに回転寿司店などで使用される皿などの容器に取り付けるRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転寿司店などでは、寿司を載せるそれぞれの皿(寿司用皿、容器)の裏面にRFID(Radio Frequency Identification;無線自動認識)タグを取り付けておき、所定周波数の無線通信による非接触データ通信を可能とすることにより、商品(寿司)についての商品管理システム、たとえば鮮度管理システム(自動廃棄システム)や自動会計システムに応用している。
【0003】
上記システムに用いるRFIDタグには一般的に、大型平盤状のもの(図6を参照)、および小型平盤状のもの(図9を参照)の二種類がある。
図6は、従来のRFIDタグ付き皿1(RFIDタグ付き容器)の裏面図であって、RFIDタグ付き皿1は、陶器製あるいは合成樹脂製の皿本体2と、皿本体2の裏面(たとえば円形の糸底2Aの内周側)に取り付けた、たとえば直径70〜80mm程度の大型平盤状に形成した大型RFIDタグ3と、を有する。
【0004】
大型RFIDタグ3は、たとえば直径(外径)70〜80mm程度の大型RFIDアンテナ4と、大型RFIDアンテナ4に接続したICチップ5と、を有する。
大型RFIDアンテナ4は、使用する電波の周波数に応じて、たとえばHF帯域(3MHz〜30MHz(好ましくは13.56MHz))に応じて、コイル状で閉回路構成など必要なアンテナ形態を有し、外部の読取り機(固定読取り機6(図7も参照)あるいは携帯読取り機9(図8も参照))との間に無線通信を可能としている。
ICチップ5には、皿本体2に載せて提供する商品M(寿司その他、図7)に関する価格その他のデータ、さらには時間管理ないし鮮度管理に必要なデータおよび制御プログラムを保存している。
【0005】
図7は、コンベアレイン7上を搬送されてきた各RFIDタグ付き皿1の、固定読取り部における概略側面図であって、RFIDタグ付き皿1の直下近傍に取り付けてある固定読取り機6により、大型RFIDタグ3における大型RFIDアンテナ4およびICチップ5との間で無線データ通信を行い、RFIDタグ付き皿1を認識して、その上に載せてある商品Mの鮮度を認識し、必要であれば、たとえば、商品Mの提供開始から所定時間経過後と判断されれば、これを廃棄可能としている(鮮度管理システム)。
【0006】
つぎに、図8は、食事終了後の会計時にテーブル8上に重ね合わされた状態のRFIDタグ付き皿1の概略側面図であって、重ね合わされたRFIDタグ付き皿1に対してその側面から携帯読取り機9を上下方向に移動操作することにより、それぞれの大型RFIDタグ3におけるそれぞれのICチップ5内のデータを読み取って、一括認識を可能とし、それぞれのRFIDタグ付き皿1の商品Mの合計値段を集計することができる(自動会計システム)。
【0007】
このような構成のRFIDタグ付き皿1における大型RFIDタグ3は、皿本体2の裏面(糸底2Aの内周面)全体を被覆するような大型平盤状(上述のように、たとえば直径70〜80mm程度)の樹脂封止品であって、携帯読取り機9からの読取り電波の受信面積を大きく取ることができるため無線データ通信は良好である。一方、その接着に用いる高耐久性で高価な両面テープの使用量も多く、コストダウンは困難である。さらに、寿司皿用に特化しているため汎用性が低いとともに、そのサイズが大型であることから、比較的高価であるという問題がある。
【0008】
図9は、別のタイプのRFIDタグ付き皿10(RFIDタグ付き容器)の裏面図であって、RFIDタグ付き皿10は、たとえば直径(外径)10〜30mm程度の小型平盤状に形成した小型RFIDタグ11をその裏面に取り付けている。
小型RFIDタグ11は、樹脂による保護材12内に封止保護された小型平盤コイル状の小型RFIDアンテナ13と、小型RFIDアンテナ13に接続したICチップ14と、を有する。
この小型RFIDタグ11は、既述した大型RFIDタグ3(図6)と同様に、使用する電波の周波数に応じて、コイル状など必要なアンテナ形態を有し、外部の読取り機(固定読取り機6(図7)あるいは携帯読取り機9(図8))との間に無線通信を可能としている。ただし、コイル直径が小さいために電波の受信面積が小さく、読取り距離は短い。
小型RFIDタグ11は、読取り機(固定読取り機6(図7)あるいは携帯読取り機9(図8))と正面で対向する、ごく近接した距離(相対位置)であれば、中出力程度の読取り機を用いた無線データ通信は可能である。
【0009】
この小型RFIDタグ11は、そのサイズと用途に特化しない汎用性を有していることから価格も比較的安価であり、RFIDタグ付き皿10に貼り付けるための変性エポキシ系接着剤やアクリル糊を使用した強力両面テープも少量ですむため、その導入コストを低く抑えることができる。
ただし、図7に示すように、固定読取り部において小型RFIDタグ11に対し固定読取り機6を比較的近距離に設定することができる場合には、無線によるデータ読取りに支障はないが、図8のように会計時にRFIDタグ付き皿10が重ね合わせられた状態では、重ね合わせたRFIDタグ付き皿10を横方向ないし斜め方向から読み取ることになるため、すなわち、小型RFIDタグ11にとって不向きの横方向からの読取り処理、ないしは比較的距離が大きい場合には出力が足りずに、データ読取りが困難であるという問題がある。
【0010】
しかして、均一価格の回転寿司店ではなく、皿ごとに値段が異なる寿司を提供する回転寿司店では、とくに自動会計システムの運用のために大型平盤状の大型RFIDタグ3が導入されているが、自動会計システムと合わせて鮮度管理システムを導入しようとするときに、これらの両システムを一気に導入せず、まず小型RFIDタグ11による鮮度管理システムを導入し、その効果を確認してから自動会計システムの導入を考える回転寿司店もある。
したがって、このような導入手順を予定している回転寿司店が初回から高価で割高な大型平盤状の大型RFIDタグ3によるシステムを導入することは費用的負担が大きいという問題がある。
【0011】
要するに、RFIDタグ付き皿1および大型RFIDタグ3、あるいはRFIDタグ付き皿10および小型RFIDタグ11のいずれも、コスト面および機能面などから一長一短であって、まず鮮度管理システムを導入してから自動会計システムを導入する場合、あるいはこれらシステムを同時に導入する場合にも融通性をもって、かつ導入費用を高騰させることなく選択することができるようなRFIDタグないしこれを取り付けた皿などの容器が要請されるに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−231390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、安価に製造することができるRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法を提供することを課題とする。
【0014】
また本発明は、商品管理システムの導入にあたって、導入行程に融通性を持たせることができるRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法を提供することを課題とする。
【0015】
また本発明は、導入者の事情に応じて製作可能なRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち本発明は、汎用性があって安価な小型RFIDタグを採用するとともに、これとブースターアンテナ部を組み合わせることに着目したもので、第一の発明は、RFIDアンテナおよびICチップを有するRFIDタグであって、上記RFIDアンテナは、上記ICチップに接続している共振アンテナ部と、上記ICチップとは分離した状態のブースターアンテナ部と、からこれを構成し、上記ICチップは、上記共振アンテナ部とともに小型RFIDタグを構成し、上記ブースターアンテナ部は、この小型RFIDタグとは別に、この小型RFIDタグを囲むように、これを配置可能としていることを特徴とするRFIDタグである。
【0017】
第二の発明は、RFIDアンテナおよびICチップを有するRFIDタグ用のアンテナラベルであって、上記ICチップと上記ICチップに接続している共振アンテナ部とにより構成した小型RFIDタグを囲むように配置可能であるとともに、この共振アンテナ部とともに上記RFIDアンテナを構成するブースターアンテナ部を有し、このブースターアンテナ部をラベルの面上に形成していることを特徴とするRFIDタグ用のアンテナラベルである。
【0018】
第三の発明は、RFIDアンテナおよびICチップを有するRFIDタグを取り付けたRFIDタグ付き容器であって、上記RFIDアンテナは、上記ICチップに接続している共振アンテナ部と、この共振アンテナ部とは分離した状態のブースターアンテナ部と、からこれを構成し、上記ICチップは、上記共振アンテナ部とともに小型RFIDタグを構成し、上記ブースターアンテナ部を、この小型RFIDタグを囲むように、この小型RFIDタグとともに当該容器に取り付けていることを特徴とするRFIDタグ付き容器である。
【0019】
第四の発明は、RFIDアンテナおよびICチップを有するRFIDタグを容器に取り付けるRFIDタグの取付け方法であって、上記RFIDアンテナは、上記ICチップに接続している共振アンテナ部と、この共振アンテナ部とは分離した状態のブースターアンテナ部と、からこれを構成しているとともに、上記ICチップは、上記共振アンテナ部とともに小型RFIDタグを構成しており、上記容器にこの小型RFIDタグを取り付けたのち、上記ブースターアンテナ部を、この小型RFIDタグを囲むように、この小型RFIDタグとともに上記容器に取り付けることを特徴とするRFIDタグの取付け方法である。
【0020】
上記ブースターアンテナ部は、これをコイル状に形成しているとともに、その両端部を互いに接続していることができる。
【0021】
上記ブースターアンテナ部は、これをコイル状に形成しているとともに、その両端部を互いに非接続としていることができる。
【0022】
上記ブースターアンテナ部は、これをラベルの面上に形成するとともに、上記小型RFIDタグを囲むように貼り付け可能としていることができる。
【0023】
上記ブースターアンテナ部は、これをアンテナラベルとして提供可能としていることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法においては、RFIDアンテナは、ICチップに接続している共振アンテナ部と、ICチップとは分離した状態のブースターアンテナ部と、からこれを構成し、ICチップは、共振アンテナ部とともに小型RFIDタグを構成し、ブースターアンテナ部は、この小型RFIDタグとは別に、この小型RFIDタグの近傍にこれを配置可能としているので、従来のような高価で大型平板状のRFIDタグを導入当初から使用することなく、導入者の事情に応じたシステムを構築することができるとともに、小型RFIDタグおよびブースターアンテナ部はともにこれを安価に製造することができるので、システム全体の低廉化を図ることができる。
【0025】
とくに第一の発明のRFIDタグによれば、小型RFIDタグと、ブースターアンテナ部との組み合わせ構成を採用したので、低コストで、商品管理のための鮮度管理システム(鮮度管理)や自動会計システムを融通性をもって設計することができる。
【0026】
とくに第二の発明のRFIDタグ用のアンテナラベルによれば、ICチップとともに小型RFIDタグを構成する共振アンテナ部を囲むように配置可能なブースターアンテナ部をラベルの面上に形成しているので、必要なタイミングで必要な部位に当該アンテナラベルを貼り付けることにより、共振アンテナ部とともにRFIDアンテナを構成可能であり、融通性をもって必要な無線データ通信システムを構築することができる。
【0027】
とくに第三の発明のRFIDタグ付き容器によれば、ブースターアンテナ部を、小型RFIDタグを囲むように、小型RFIDタグとともに容器に取り付けているので、寿司店における皿はもちろん、各種容器の識別管理に応用可能である。
【0028】
とくに第四の発明のRFIDタグの取付け方法によれば、皿などの容器に小型RFIDタグを取り付けたのち、ブースターアンテナ部を、この小型RFIDタグを囲むように、この小型RFIDタグとともに容器に取り付けるようにしたので、まず最初に、小型RFIDタグを用いたシステム(鮮度管理システム、ないし自動廃棄システム)を採用検証ののちに、ブースターアンテナ部を組み合わせたシステム(自動会計システム)を導入するような段取りを取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施例によるRFIDタグ21、RFIDタグ21用のアンテナラベル22を取り付けたRFIDタグ付き皿20(RFIDタグ付き容器)の底面図である。
図2】同、アンテナラベル22の概略拡大断面図である。
図3】同、食事終了後の会計時にテーブル8上に重ね合わされた状態のRFIDタグ付き皿20の概略側面図である。
図4】本発明の第2の実施例によるRFIDタグ31、RFIDタグ31用のアンテナラベル32を取り付けたRFIDタグ付き皿30(RFIDタグ付き容器)の底面図である。
図5】同、ブースターアンテナ部33における内方窓部の変形例を示す、RFIDタグ付き皿40の底面図である。
図6】従来のRFIDタグ付き皿1(RFIDタグ付き容器)の裏面図である。
図7】同、コンベアレイン7上を搬送されてきた各RFIDタグ付き皿1の、固定読取り部における概略側面図である。
図8】同、食事終了後の会計時にテーブル8上に重ね合わされた状態のRFIDタグ付き皿1の概略側面図である。
図9】従来の、別のタイプのRFIDタグ付き皿10(RFIDタグ付き容器)の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、ICチップおよび共振アンテナ部を備えた小型RFIDタグと、別途準備可能なブースターアンテナ部との組み合わせ構成を採用したので、低コストで、商品管理システムの導入ないし採用の事情に応じて融通性をもって提供可能なRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器およびRFIDタグの取付け方法を実現した。
【実施例】
【0031】
つぎに本発明の第1の実施例によるRFIDタグ、RFIDタグ用のアンテナラベル、RFIDタグ付き容器(RFIDタグ付き皿20)およびRFIDタグの取付け方法を図1ないし図3にもとづき説明する。ただし、図6ないし図9と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、RFIDタグ付き皿20の底面図であって、RFIDタグ付き皿20は、前記皿本体2と、皿本体2の底面(たとえば円形の前記糸底2Aの内周側)に取り付けたRFIDタグ21と、を有する。
【0032】
RFIDタグ21は、前記小型平盤状の小型RFIDタグ11(図9)と、アンテナラベル22と、を有する。
【0033】
図2は、アンテナラベル22の概略拡大断面図であって、アンテナラベル22は、円環状に形成したPETフィルム23の表面にアルミニウムあるいは銅などの導体により、エッチング方式、スクリーン印刷方式あるいはメッキ方式など任意の方式を用いて、たとえば少なくとも2巻以上ラセン状に巻いてコイル状に形成したブースターアンテナ部(補助アンテナ部ないし導波アンテナ部)24を有し、ジャンパー線24Aによりその両端部を互いに接続することによって閉鎖回路を構成している。
【0034】
アンテナラベル22は、ブースターアンテナ部24の、図2中上層側に粘着剤層25および剥離紙26を有し、剥離紙26をはがして円環形状のブースターアンテナ部24として任意の部位、すなわち、皿本体2の底面に小型RFIDタグ11とは別に貼り付け可能としている。
すなわち、ブースターアンテナ部24は、これをアンテナラベル22の面上に形成して、小型RFIDタグ11とは別に提供配置可能であって、その中央部に形成されている円形状内方窓部27の任意の部位に小型RFIDタグ11を配置するように、皿本体2の底面の同一平面上において小型RFIDタグ11を囲み可能である。
【0035】
なお、小型RFIDタグ11の前記小型RFIDアンテナ13(図9)は、ブースターアンテナ部24との共振アンテナ部であって、ブースターアンテナ部24と共振アンテナ部(小型RFIDアンテナ13)とにより、RFIDタグ21のRFIDアンテナ28を構成している。
【0036】
こうした構成のRFIDタグ付き皿20およびRFIDタグ21を商品の鮮度管理システムおよび自動会計システムに活用することができる。
すなわち、図3は、食事終了後の会計時にテーブル8上に重ね合わされた状態のRFIDタグ付き皿20の概略側面図であって、図示のように皿本体2を積み重ねた状態でも、比較的大型のブースターアンテナ部24により十分な受信面積を確保することができるので、前記携帯読取り機9により小型RFIDタグ11におけるICチップ14内のデータを一括して読み取ることができる。
すなわち、携帯読取り機9からの読取り電波により、ブースターアンテナ部24に誘導起電力が発生し、さらにブースターアンテナ部24と小型RFIDタグ11の小型RFIDアンテナ13との間の電磁結合により小型RFIDタグ11としてのデータ通信を可能とする。
【0037】
しかも、ブースターアンテナ部24は比較的大型ではあっても、アンテナラベル22として製造が可能であり、安価に提供することができるとともに、接着剤や高価な両面テープを別途必要とせず、小型RFIDタグ11の外周面に後貼りすることにより通信範囲を容易に拡張することができ、導入費用負担を軽減することができる。
【0038】
かくして、RFIDアンテナ28は、ICチップ14に接続している共振アンテナ部13と、ICチップ14とは分離した状態のブースターアンテナ部24と、からこれを構成し、ブースターアンテナ部24は、小型RFIDタグ11とは別に、小型RFIDタグ11の近傍にこれを配置可能としている。
したがって、容器(皿本体2)に小型RFIDタグ11のみを取り付けて、まず小型RFIDタグ11のみによる鮮度管理システムを検討することができる。すなわち、図7のようなコンベアレイン7下方の固定読取り部において近接配置した固定読取り機6により小型RFIDタグ11を読み取ることができるので、鮮度管理システムの検証を行うことができる。
【0039】
この検証ののち、ブースターアンテナ部24(アンテナラベル22)を、小型RFIDタグ11を囲むように、小型RFIDタグ11とともに容器(皿本体2)に、いわば後貼り部品として取り付けることができる。
したがって、図8に示すように、テーブル8上に積み重ねられた複数枚の皿本体2の斜め方向ないし側方向からの携帯読取り機9の操作により、ブースターアンテナ部24および共振アンテナ部13を介してICチップ14との間でデータ通信を行う自動会計システムの導入を実現することができる。
換言すれば、鮮度管理システムや鮮度管理システムおよび自動会計システムを順次導入検討しようとしている回転寿司店にとっては、初回は、導入コストを抑えることができる小型RFIDタグ11を採用することにより、鮮度管理システムや鮮度管理システムを検証することができるとともに、自動会計システム導入時には、アンテナラベル22としてブースターアンテナ部24のみを提供することにより、システム拡張の費用的リスクを軽減可能である。
【0040】
容器としても、RFIDアンテナ28は、ICチップ14に接続している共振アンテナ部13と、ICチップ14とは分離した状態のブースターアンテナ部24と、からこれを構成し、小型RFIDタグ11を囲むように、ブースターアンテナ部24を配置しているRFIDタグ付き容器としたので、必要なシステムの導入を融通性をもって実行可能である。
【0041】
本発明においては、ブースターアンテナ部は、これをコイル状に形成しているのみでも対応可能である。
すなわち、図4は、本発明の第2の実施例によるRFIDタグ付き皿30の底面図であって、RFIDタグ付き皿30は、前記皿本体2と、皿本体2の底面に取り付けたRFIDタグ31と、を有する。
【0042】
RFIDタグ31は、前記小型RFIDタグ11(図9)と、アンテナラベル32と、を有する。
【0043】
アンテナラベル32は、前記アンテナラベル22(図1図2)と同様に、円環状に形成したPETフィルム23の表面にアルミニウムあるいは銅などにより、ラセン状に巻いてコイル状に形成したブースターアンテナ部33を有するが、その両端部を互いに非接続とすることによって開放回路を構成している点が、前記ブースターアンテナ部24(第1の実施例、図1図2)とは異なる。
さらに、ブースターアンテナ部33は、そのコイル巻数をブースターアンテナ部24のコイル巻数より多くすることが必要であるが、他の構成は、ブースターアンテナ部24と事実上同様である。
【0044】
ブースターアンテナ部33は、これをアンテナラベル32の面上に形成して、小型RFIDタグ11とは別に提供配置可能であって、その中央部に形成されている円形状内方窓部34の任意の部位に小型RFIDタグ11を配置するように、皿本体2の底面の同一平面上において小型RFIDタグ11を囲み可能である。
【0045】
小型RFIDタグ11の前記小型RFIDアンテナ13(図9)は、ブースターアンテナ部33との共振アンテナ部であって、ブースターアンテナ部33と共振アンテナ部(小型RFIDアンテナ13)とにより、RFIDタグ31のRFIDアンテナ35を構成している。
【0046】
こうした構成のRFIDタグ付き皿30およびRFIDタグ31は、携帯読取り機9からの読取り電波により、ブースターアンテナ部33を介して小型RFIDタグ11との間のデータ通信を可能とする。
したがって、図3に示したような皿本体2を積み重ねた状態でも、比較的大型のブースターアンテナ部33により十分な受信面積を確保することができるので、携帯読取り機9によりICチップ14内のデータを一括して読み取ることができる。
【0047】
かくして、RFIDタグ付き皿30およびRFIDタグ31によっても、RFIDタグ付き皿20およびRFIDタグ21(第1の実施例、図1)と同様に、容器(皿本体2)に小型RFIDタグ11を取り付けて、まず小型RFIDタグ11のみによる鮮度管理システムを検討することができる。すなわち、図7のようなコンベアレイン7下方の固定読取り部における固定読取り機6により小型RFIDタグ11を読み取ることができるので、鮮度管理システムの検証を行うことができる。
【0048】
この検証ののち、ブースターアンテナ部33(アンテナラベル32)を、小型RFIDタグ11を囲むように、小型RFIDタグ11とともに容器(皿本体2)に、いわば後貼り部品として取り付けることができる。
したがって、図3に示すように、テーブル8上に積み重ねられた複数枚の皿本体2の斜め方向ないし側方向からの携帯読取り機9の操作により、ブースターアンテナ部33および共振アンテナ部13を介してICチップ14との間でデータ通信を行う自動会計システムの導入を実現することができる。
【0049】
本発明においては、ブースターアンテナ部24における円形状内方窓部27(図1)ないしブースターアンテナ部33における円形状内方窓部34(図4)の任意の部位に小型RFIDタグ11を配置可能であるが、円形状内方窓部27あるいは円形状内方窓部34の形状自体も任意である。
たとえば図5は、ブースターアンテナ部33における内方窓部の変形例を示す、RFIDタグ付き皿40の底面図である。
RFIDタグ付き皿40のRFIDタグ41においては、そのアンテナラベル42の内方窓部としていわゆるダルマ型内方窓部43を形成している以外は、RFIDタグ41はRFIDタグ31(図4)と、アンテナラベル42はアンテナラベル32(図4)と、さらにブースターアンテナ部44はブースターアンテナ部33(図4)と、それぞれ同様の構成である。
【0050】
上記ダルマ型内方窓部43は、互いに連なった大円窓部43Aおよび小円窓部43Bからなり、小円窓部43Bの領域に小型RFIDタグ11を位置させることができる。すなわち、小型RFIDタグ11は、コイル状のブースターアンテナ部44のダルマ型内方窓部43においてその周縁部(小円窓部43B)に偏ってこれを配置していることになる。
なお、アンテナラベル42におけるブースターアンテナ部44は、小円窓部43Bに隣り合う部分においてアンテナを構成する各導体間のピッチが短くなっているが、外部の読取り機(固定読取り機6、携帯読取り機9)との間の無線データ通信をRFIDタグ31と同様に実行可能である。
【0051】
こうした構成のRFIDタグ付き皿40においても、既述のRFIDタグ付き皿20(図1)およびRFIDタグ付き皿30(図4)と同様に使用することができるが、糸底2Aの内方領域に何らかのデザインあるいは成型時に生じた突起45がある場合に、これを避けて小型RFIDタグ11を取り付けることができる。
【0052】
本出願人による検証によれば、ブースターアンテナ部33(第2の実施例、図4)やブースターアンテナ部44(変形例、図5)におけるように、その導体のコイル形状を開放回路としてもその巻数を比較的多くすることにより、外部の読取り機(固定読取り機6、携帯読取り機9)との間の無線データ通信が可能である。
なお、ブースターアンテナ部33(図4)やブースターアンテナ部44(図5)は、前記ジャンパー線24A(図1)などによりそのコイルの両端部を接続する接続加工が不要となって、より安価に製造可能である。
一方第1の実施例におけるブースターアンテナ部24(図1)は、上記ジャンパー線24Aによりその両端部を互いに接続することによって閉鎖回路を構成するために、その接続加工が必要ではあるが、そのコイルの巻数を比較的少なくしても無線データ通信が可能である。
【0053】
本発明におけるブースターアンテナ部は、容器の形状その他に応じて、三角形状、四角形状、六角形状、楕円形状その他任意の形態を採用可能である。その巻数や断面形状、隣接する導体間の間隔も任意である。さらに、ブースターアンテナ部として、ラセン形状以外にも、リング状、鍔状あるいは多重の同心構造を採用することもできる。
また、容器としても皿本体2に限らず、任意の物品ないし商品を収容する各種の容器の識別管理に本発明を応用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 RFIDタグ付き皿(図6
2 皿本体(容器)
2A 皿本体2の糸底
3 大型RFIDタグ
4 大型RFIDアンテナ
5 ICチップ
6 固定読取り機
7 コンベアレイン(図7
8 テーブル(図8
9 携帯読取り機
10 RFIDタグ付き皿(図9
11 小型RFIDタグ
12 保護材
13 小型RFIDアンテナ(共振アンテナ部)
14 ICチップ
20 RFIDタグ付き皿(第1の実施例、図1
21 RFIDタグ
22 円環形状のアンテナラベル
23 PETフィルム
24 ブースターアンテナ部
24A ブースターアンテナ部24のジャンパー線
25 粘着剤層
26 剥離紙
27 ブースターアンテナ部24の中央部に形成されている円形状内方窓部
28 RFIDアンテナ
30 RFIDタグ付き皿(第2の実施例、図4
31 RFIDタグ
32 円環形状のアンテナラベル
33 ブースターアンテナ部
34 ブースターアンテナ部33の中央部に形成されている円形状内方窓部
35 RFIDアンテナ
40 RFIDタグ付き皿(変形例、図5
41 RFIDタグ
42 アンテナラベル
43 ブースターアンテナ部44に形成されているダルマ型内方窓部
43A ダルマ型内方窓部43の大円窓部
43B ダルマ型内方窓部43の小円窓部
44 ブースターアンテナ部
45 糸底2Aの内方領域に設けられた何らかのデザインあるいは成型時に生じた突起(図5
M 商品(寿司その他、図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9