(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流出口から落下する排水が前記開口部の外に飛び散ることなく前記受け口に流入する距離で前記流出口及び前記受け口が互いに近接配置され、且つ、前記排水が逆流した際に前記受け口から溢れる排水が前記流出口に触れずに前記開口部から排出される距離で前記流出口及び前記受け口が互いに離隔配置されていることを特徴とする請求項1に記載の間接排水用継手。
前記受け口及び前記流出口が互いに対向するとともに同心状に位置し、前記受け口の径が前記流出口の径よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の間接排水用継手。
前記流出口と前記受け口との距離は、排水口空間の高さ(前記流水筒部基端と前記受け口との距離)の半分以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の間接排水用継手。
前記周壁部の外側面に網状体が配置され、前記網状体によって前記1又は複数の開口部が被覆されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の間接排水用継手。
前記流入部と前記流水筒部との間には通水口が設けられ、前記流入部は、前記通水口の上流側で前記機器の排出部又は継手を接続することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の間接排水用継ぎ手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の間接排水用継手では、流入口(2b)と流出口(2d)とが排水口空間(1)を隔てて配置されている。そして、流入口(2b)から流れ出た排水が排水口空間(1)を介して直接的に流出口(2d)に流れ落ちる。それ故、流入口(2b)から流れ落ちる排水が排水口空間(1)を通って流出口(2d)の受け部に到達するまでに、水しぶき等が生じ、排水口空間(1)の外部に飛び散る虞があった。特には、機器からの排水の量が多い場合、強い排水振動が生じた場合、間接排水用継手に傾きが生じた場合などにおいて、流入口(2b)から排水口空間(1)に流れ出す排水が側方に広がり、通気口(2c)を介して側方に飛散して、床等を汚してしまうことが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、機器からの排水の飛散を抑え、排水管へ間接排水する間接排水用継手、及び、該間接排水用継手による機器設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の間接排水用継手は、機器からの排水を排水管へ間接排水するために排水経路に設置される間接排水用継手であって、
別体である機器
の筒状の排出部又は継手に直接的又は間接的に接続され、機器からの排水を流入する上流側接続口を備えた流入部と、
流入部に一体的に連設され、流入部と連通し、上流側接続口からの排水を下方に流出する流出口を備えた流水筒部と、
流出口からの排水を受ける受け口を有する受け部と、
前記受け部に一体的に連設され、 排水管に直接的又は間接的に接続される下流側接続口を有し、受け部と連通して排水を排水管へ排出する排水部と、
流水筒部を内挿するとともに流入部と受け部とを連結し、側方に1又は複数の開口部を設けて内部に排水口空間を定める周壁部と、を備え、
流入部は、流水筒部の流出口よりも上流側で機器の排出部又は継手を接続し、流水筒部が排水口空間内で受け口に向けて延伸し、流出口と受け口とが所定距離で離隔し、開口部から流出口が露出するように、開口部が受け口から流出口よりも上方にかけて開口していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の間接排水用継手は、請求項1に記載の間接排水用継手において、流出口から落下する排水が開口部の外に飛び散ることなく受け口に流入する距離で流出口及び受け口が互いに近接配置され、且つ、排水が逆流した際に受け口から溢れる排水が流出口に触れずに開口部から排出される距離で流出口及び受け口が互いに離隔配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の間接排水用継手は、請求項1又は2に記載の間接排水用継手において、開口部は、逆流した排水を十分に排出できる大きさで開口していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の間接排水用継手は、請求項1から3のいずれか一項に記載の間接排水用継手において、受け口及び流出口が互いに対向するとともに同心状に位置し、受け口の径が流出口の径よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の間接排水用継手は、請求項1から4のいずれか一項に記載の間接排水用継手において、流出口と受け口との距離は、排水口空間の高さの半分以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の間接排水用継手は、請求項1から5のいずれか一項に記載の間接排水用継手において、開口部は、受け口から流水筒部の基端近傍まで延在していることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の間接排水用継手は、請求項1から6のいずれか一項に記載の間接排水用継手において、周壁部の外側面に網状体が配置され、網状体によって1又は複数の開口部が被覆されることを特徴とする。
請求項8に記載の間接排水用継手は、請求項1から7のいずれか一項に記載の間接排水用継手において、前記流入部と前記流水筒部との間には通水口が設けられ、前記流入部は、前記通水口の上流側で前記機器の排出部又は継手を接続することを特徴とする。
【0014】
請求項
9に記載の機器設置構造は、機器からの排水を排水管に間接排水する機器設置構造であって、
排水の排出部を有する機器と、
機器の排出部に上流側接続口を介して接続された請求項1から7のいずれか一項に記載の間接排水用継手と、
間接排水用継手の下流側接続口に接続された排水管と、を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の間接排水用継手によれば、流水筒部の流出口と受け部の受け口とが離隔するように、流水筒部が排水口空間内で受け口に向けて延伸していることにより、排水の流水方向が流水筒部によって受け口にガイドされる。これにより、排水が排水口空間外方に飛散することが抑えられる。また、流出口と受け口とが所定距離で離隔し、開口部が受け口上縁と流出口との間で延在し、さらに開口部が流出口の上方にまで開口することにより、流水筒部の外側面の少なくとも一部とともに流出口が開口部から側方に露出する。これにより、排水が逆流したときに開口部を介して排水を排水口空間から排水することが可能である。すなわち、本発明の間接排水用継手は、機器からの排水の飛散を抑えて、排水管へ間接排水することが可能である。
【0016】
請求項2に記載の間接排水用継手によれば、請求項1の発明の効果に加えて、流出口と受け口とが近接することにより、流出口から落下する排水を開口部の外に飛散させることなく受け口に流入させることができる。また、流出口と受け口とが離隔することにより、排水が逆流した際に受け口からあふれる排水を流出口に触れさせずに開口部から排出させることができる。
【0017】
請求項3に記載の間接排水用継手によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、開口部が、逆流した排水を十分に排出できる大きさで開口していることにより、受け口から溢れた排水が流出口から逆流することをより確実に防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の間接排水用継手によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、流出口の中心軸がより大径の受け口の中心を向いているので、流出口から流れ落ちる排水を受け口に対してより確実にガイドすることが可能である。
【0019】
請求項5に記載の間接排水用継手によれば、請求項1から4のいずれかの発明に加えて、流水筒部の流出口と受け部の受け口との距離が排水口空間の高さの半分以下であることにより、流出口から落下する排水を開口部の外に飛散させることを抑えつつ、排水を受け口により確実に流入させることができる。
【0020】
請求項6に記載の間接排水用継手によれば、請求項1から5のいずれかの発明に加えて、開口部が受け口から流水筒部の基端近傍まで延在していることにより、受け口から溢れた排水が流出口から上流に逆流することをより確実に防止することができる。
【0021】
請求項7に記載の間接排水用継手によれば、請求項1から6のいずれかの発明に加えて、周壁部の外側面に配置された網状体によって1又は複数の開口部が閉塞されることにより、排水口空間が網状体によって保護される。特には、外側面に網状体を配置した周壁部の内側で受け口が開口しているので、受け口が無防備のまま外部に露出することがない。つまり、網状体によって受け部内部に虫やゴミが入ることが防止される。これにより、間接排水用継手内部や排水管が虫やゴミで詰まることが抑えられるとともに、間接排水用継手のメンテナンスの頻度をも減少させることができる。
【0022】
請求項
9に記載の機器設置構造では、請求項1から
8のいずれかの発明の効果を機器設置構造として発揮することができる。すなわち、本発明の機器設置構造は、間接排水用継手によって機器からの排水の飛散を抑えて、排水管へ間接排水することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る一実施形態の間接排水用継手の(a)上方から見た概略斜視図及び(b)下方から見た概略斜視図。
【
図2】
図1の間接排水用継手の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図及び(d)底面図。
【
図3】
図2の間接排水用継手の(a)A−A断面図、及び(b)B−B断面図。
【
図5】本発明の一実施形態の機器設置構造の概略図。
【
図8】
図5の機器設置構造において、機器からの排水が間接排水用継手を介して排水される形態を示した模式図。
【
図10】
図5の機器設置構造において、排水管から逆流した排水が間接排水用継手の排水口空間から排出される形態を示した模式図。
【
図11】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図12】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図13】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図14】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図15】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図16】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図17】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図18】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【
図19】本発明に係る別実施形態(変形例)の間接排水用継手を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0025】
本実施形態の間接排水用継手100は、潜熱回収型ガス給湯器である機器11のドレン排水用の排出部11aに直接的又は間接的に接続され、機器11から発生したドレン排水を排水管13に間接排水することに用いられる。
【0026】
まず、
図1乃至
図4を参照して、本発明の一実施形態の間接排水用継手100の構成を説明する。
図1(a),(b)は、間接排水用継手100の概略斜視図である。
図2(a)〜(d)は、間接排水用継手100の正面図、側面図、平面図及び底面図である。
図3(a),(b)は、間接排水用継手100のA−A断面図及びB−B断面図である。
図4は、間接排水用継手100の分解斜視図である。
【0027】
本実施形態の間接排水用継手100は、軸方向に延設された中空の筒状体である。
図1に示すとおり、間接排水用継手100は、機器11からの排水を流入する流入部101と、該流入部101と連通する流水筒部102と、該流水筒部102を包囲するとともに流入部101下端に連結された周壁部103と、該周壁部103の下端に連結されて該流水筒部102から流出した排水を受ける受け部106と、該受け部106と連通し、排水を排水管13へ排出するための排水部107とを備えてなる。これら流入部101、流水筒部102、受け部106及び排水部107は互いに同心円状に配置されている。
【0028】
流入部101は、
図2に示すように、円筒形状を有している。流入部101の上端(一端)には、機器11からの排水を流入する流入口としての上流側接続口101aが形成され、該上流側接続口101aに対して機器11の排出部11aが直接的又は間接的に接続される。本実施形態では、継手12を介して上流側接続口101aが排出部11aに接続される(
図6参照)。当該上流側接続口101aの大きさは任意に定められる。また、流入部101の下端側には、円環状のフランジ101bが張り出し形成されている。該フランジ部101b下面から周壁部103が下方に延伸している。
【0029】
流水筒部102は、流入部101の下端側に一体的に連設された直状の円筒体である。該流水筒部102は、円筒状の流入部101下端から縮径して下方に延伸している。流水筒部102の上端には、円形状の通水口102aが開口しており、流入部101の上流側接続口101aと連通している。さらに、流水筒部102の下端には、上流側接続口101aからの排水を通水口102aを介して下方に流出させる流出口102bが開口している。該流出口102bは、半径r1を有する円形状を有する。また、流水筒部102は周壁部103内部で受け部106に近接するように所定の長さで延伸している。換言すると、流水筒部102下端の流出口102bは、受け部106から所定距離dで離隔している。
【0030】
周壁部103は、軸方向に延伸する円筒状に形成され、流入部101下部と受け部106上部とを連結する。より具体的には、流入部101のフランジ101b下面から下方に延在し、受け部106の受け口106a縁端面に一体的に連結されている。周壁部103の側方には、排水経路を大気中に開放すべく複数(本実施形態では2)の開口部104が穿設されている。これにより、周壁部103の内方に排水口空間105が定められている。そして、流水筒部102が周壁部103に内挿されるように排水口空間105内部で軸方向に延伸している。開口部104は、正面及び背面の両方に矩形状に形成されており、周壁部103をその上端から下端まで切り欠いている。つまり、開口部104は、流水筒部102基端(もしくは流入部101下端)から受け部106上端まで開口している。これにより、開口部104が受け口106aから流出口102bよりも上方にかけて開口して、該開口部104から流出口102bとともに流水筒部102の外側面の少なくとも一部が側方に露出する。本実施形態では、周壁部103の肉部の割合よりも開口部104の割合が多いため、周壁部103は連結部や連結壁として解釈されてもよい。また、周壁部103はその外周面に筒状の網状体110を装着可能に構成されている。すなわち、周壁部103の周囲に網状体110が被せられ、開口部104が網状体110によって被覆される。当該網状体110によって虫やゴミが排水口空間105内に進入することが抑えられる。
【0031】
受け部106は、周壁部103の下方に配置され、流出口102bからの排水を受けるようにカップ状に構成されている。より具体的には、受け部106は、上側が短筒状に形成され、下側がテーパー状に縮径している。そして、受け部106上端には、上方に円形状に開口した受け口106aが設けられている。該受け口106aの内径(半径r2)は流出口102bの内径(半径r1)よりも大きい。また、受け口106aと流出口102bとが所定距離dで離隔している。なお、周壁部103と受け部106とが一体的に連設されているため、両者の境界を適宜解釈可能であるが、本実施形態では、開口部104の下側の端縁を受け部106の受け口106aの周縁として定めた。
【0032】
排水部107は、受け部106のテーパー部分の下端に一体的に連設されている。該排水部107は、受け部106と連通しており、受け部106から流入した排水を該間接排水用継手100から排水設備へと排出するように機能する。排水部107は、受け部106よりも縮径した円筒体であり、その下端に下流側接続口107aを有する。該下流側接続口107aを介して、当該間接排水用継手100が排水管13の接続部13aに接続される。
【0033】
図4に示すとおり、該間接排水用継手100は、上側部材100aと下側部材100bとが接合することにより構成される。上側部材100aには、流入部101及びフランジ101bが一体形成されている。下側部材100bには、周壁部103、受け部106及び排水部107が一体形成されている。上側部材100aの流入部101下端近傍の係合爪101cが周壁部103上端近傍に穿設された係合孔103aに係合するとともに、周壁部103の上端縁がフランジ101b下面に当接することにより、上側部材100a及び下側部材100bが接合される。これら部材は、嵌合によって結合されてもよく、あるいは、接着剤等で一体的に接着されてもよい。つまり、間接排水用継手100は、一体で構成可能であるため、簡易な構成を有している。
【0034】
本実施形態では、間接排水用継手100は合成樹脂から成形されることにより作製された。しかしながら、本発明はこれに限定されず、間接排水用継手を金属やガラス等の他の素材で形成してもよい。また、本実施形態では、別体としての上側部材100aと下側部材100bとを組み合わせてなるが、間接排水用継手全体を一体成形してもよい。
【0035】
次に、
図5乃至
図7を参照して、本実施形態の間接排水用継手100を介して機器11からのドレン排水を排水管13に間接排水するための機器設置構造10の構成を説明する。
図5は、該機器設置構造10を模式的に示す全体図である。
図6は、該機器設置構造10の分解斜視図である。
図7は、該機器設置構造10の部分断面図である。
【0036】
機器設置構造10は、機器11、該機器11に上流で接続された間接排水用継手100、及び、該間接排水用継手100の下流で接続された排水管13を備えてなる。
図5に示すように、機器設置構造10では、建造物の壁面に機器11が固定されている。この機器11の下面からドレン排水を排出するための筒状の排出部11aが延び出ている(
図6参照)。そして、該機器11の下方に排水管13が設置されている。すなわち、該機器設置構造10において、機器11の排出部11aと排水管13との間で上流から下流へとドレン排水を間接排水するための排水経路が形成されている。
【0037】
図6に示すように、該排出部11aに継手12が螺着され、該継手12を介して機器11の排出部11aに間接排水用継手100が接続されている。より詳細には、
図7に示すように、間接排水用継手100の上流側接続口101aに継手12の接続部12aが嵌入されることにより、流入部101が排水を流入可能に機器11の排出部11aに接続されている。なお、本発明において、上流側接続口の径と機器排出部の径とが合えば、継手を省略して、間接排水用継手が機器に直接的に接続されてもよい。そして、間接排水用継手100の2つの開口部104が正面及び背面に開口し、該開口部104を介して排水経路が外部空間に開放されている。このとき、流水筒部102が排水口空間105内で受け口106aに向けて延伸し、流出口102bと受け口106aとが互いに近接した距離dで離隔し、開口部104から流出口102bが露出している。換言すると、開口部104が流出口102bと受け口106aとの間で開口している。
【0038】
また、間接排水用継手100の周壁部103の周りが網状体110によって覆われている。該網状体110は円筒状に形成された伸縮自在な目の細かい網シートからなり、伸張状態で周壁部103に装着される。このように網状体110が開口部104を閉鎖することにより、網状体110を隔てて間接排水用継手100の内部空間及び外部空間とが区分又は隔離される。つまり、網状体110によって排水口空間105内に虫やゴミが入ることが防止される。
【0039】
そして、その下流で間接排水用継手100が排水管13に接続されている。より詳細には、
図7に示すように、排水部107の下方に延びる下流側接続口107aに排水管13の接続部13aが内挿されて互いに接続されている。排水管13は、機器11の下方で縦横に延びる副排水管と、該副排水管からの排水が流れ込み排水設備へと排水する上下に延びる主排水管とから構成されている。したがって、本機器設置構造10では、間接排水用継手100を介して、機器11から発生したドレン排水が排水管13(排水設備)へと間接排水される。
【0040】
図8は、機器11からの排水が間接排水用継手100を介して排水される形態を示している。
図8に示すように、機器11からのドレン排水の排出量や勢いが強い場合、流水筒部102の流出口102bが排水が水しぶきとなって、径方向外方に膨らんで又は飛散して流れ出ることがある。本実施形態の間接排水用継手100では、流水筒部102が排水口空間105内で受け部106に近接し、且つ、流出口102bが受け口106aに対向している。そして、流出口102bの中心軸がより大径の受け口106aの中心を向いている。これにより、流出口102bから流出した排水が開口部104の外側に飛び散ることなく、受け部106に安定的に導かれる。一般的には、流出口102bから落下する排水を開口部104の外に飛散させることを抑えるには、流水筒部102の流出口102bと受け部106の受け口106aとの距離dが排水口空間105の高さ(流水筒部102基端と受け部106上端との間の距離)のほぼ半分以下であることが好ましい。
【0041】
図9は、
図8の部分拡大図である。
図9に示すように、本実施形態では、間接排水用継手100の中心軸をO、流出口102bの半径(又は開口半幅)をr1、受け口106aの半径(又は開口半幅)をr2、流出口102bと受け口106aとの間の距離をd、想定される排水の飛散角度をαと定めた。この飛散角度αは、流出口102b内壁面の先端縁から外側に膨らむ又は飛び散る排水の進行方向の角度を示す。換言すると、断面視において、排水は、直状の流水筒部102の内壁の延長線L上に沿って流れるとともに、該延長線Lから外側に飛散角度αで膨らむように飛散する。そして、予測される飛散角度αに基づいて、排水の飛散を防止可能な飛散防止角度α0(>α)を設定した。この飛散防止角度α0は、流出口102b下端内縁と受け口106a上端内縁とを結ぶ線と延長線Lとの間の角度である。すなわち、排水が飛散防止角度α0まで飛散したとしても、受け口106aの内縁にトラップされ、水しぶきが外側に飛び出ることが防止される。そして、飛散防止角度α0は、流出口半径r1、受け口半径r2及び距離dの相互関係によって決定可能である。より具体的には、飛散防止角度α0は関係式[tan(α0)=(r2−r1)/d]で表される。そして、流出口半径r1及び受け口半径r2が所定値に定められた場合、変化する排水の飛散角度αに対応して、距離dが常に関係式[d<(r2―r1)/tanα]を満たすように、流出口102bと受け口106aとが近接して配置されることが好ましい。
【0042】
図10は、機器設置構造10において、排水管13から逆流した排水が間接排水用継手100の排水口空間105から排出される形態を示している。
図10に示すように、排水管13が排出部107を介して上流に上昇した場合、受け部106が排水で一杯となって受け口106aから開口部104を介して排水が外に溢れ出る。このように排水が逆流した際、流出口102bと受け口106aとが距離dで離隔しているので、受け口106aから溢れる排水が流出口102bに触れずに開口部104から排出される。逆流する排水の水圧が弱い場合は、流出口102bと受け口106aとが僅かでも離隔していればよい。例えば、距離dが1mm程度であってもよい。しかしながら、逆流する排水の水圧が強い場合を考慮すると、距離dは、排水の飛散角度αに対応しつつ、出来るだけ大きいことが好ましい。すなわち、飛散防止角度α0が大きいほど、排水の飛散防止をより確実に行うことが可能となるが、距離dが小さくなり、排水が逆流した際、排水が流出口102bに触れる可能性が高くなる。よって、本実施形態では、一般的な排水の飛散範囲を予測して、α0が30度〜70度となるように距離dが設定されることが好ましい。しかしながら、本発明は上記数値範囲に限定されることはない。また、受け口106a上縁における開口部104の大きさ(開口面積)が大きい程、時間当たりの排出量が増加するため、逆流する排水の上昇を抑えて排出することができる。
【0043】
本実施形態では、r1が約8mm、r2が約14mm、dが約6mmである。そして、α0が約45度で定められている。つまり、45度までの飛散角度αの排水の外部への飛散が抑えられる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、流水筒部102をさらに延伸させ、流出口102bと受け口106aとをより接近させて、排水飛散へのマージンを持たせるべく飛散防止角度α0をより大きくしてもよい。あるいは、流水筒部102を短縮し、飛散防止角度α0を抑えるとともに距離dを大きくしてもよい。
【0044】
以下、本発明に係る一実施形態の間接排水用継手100における作用効果について説明する。
【0045】
本実施形態の間接排水用継手100によれば、流水筒部102の流出口102bと受け部106の受け口106aとが軸方向に離隔するように、流水筒部102が排水口空間105内で受け口106aに向けて延伸していることにより、排水の流水方向が流水筒部102によって受け口106aにガイドされる。すなわち、流出口102bと受け口106aとが近接することにより、流出口102bから落下する排水を開口部104の外に飛散させることなく受け口106aに流入させることができる。また、流出口102bと受け口106aとが所定距離dで離隔し、開口部104が流出口102bと受け口106aとの間とその上方に延在して開口部104から流出口102bとともに流水筒部102の外側面の少なくとも一部が露出する。すなわち、流出口102bと受け口106aとが距離dで離隔することにより、排水が逆流した際に受け口106aからあふれる排水を流出口102bに触れさせずに開口部104から排出させることができる。すなわち、本実施形態の間接排水用継手100は、機器11からの排水の飛散を抑えて、排水管13へ間接排水することが可能である。
【0046】
さらに、本実施形態の間接排水用継手100によれば、上流側接続口101aが継手12を介して機器11に接続され、下流側接続口107aが排水管13の接続部13aに接続されているため、排水管空間105を外部に開放するのは周壁部103に形成された開口部104のみである。また、網状体110が周壁部103の外部に装着されることにより、開口部104が閉鎖される。そして、本実施形態の間接排水用継手100及び/又は周壁部103は軸方向に延びる筒体であるため、網状体110を装着し易いという利点がある。特には、網状体110が周壁部103の外部から装着されるものであるため、間接排水用継手100を分解等することなく、簡単に網状体110を脱着することができる。さらに、網状体110によって開口部104が閉塞されることにより、排水口空間105が網状体110によって外部から保護される。特には、外側面に網状体110を配置した周壁部103の内側で受け口106aが開口しているので、受け口106aが無防備のまま外部に露出することがない。つまり、網状体110によって受け部106内部に虫やゴミが入ることが防止される。これにより、間接排水用継手110内部や排水管13が虫やゴミで詰まることが抑えられるとともに、間接排水用継手110のメンテナンスの頻度をも減少させることができる。
【0047】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の複数の変形例を説明する。各実施形態において、下二桁が共通する構成要素は、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0048】
(1)本実施形態の間接排水用継手100は、潜熱回収型ガス給湯器である機器11のドレン排水を排水管13に間接排水する用途に用いられる。しかしながら、本発明は本実施形態の用途のみに限定されることはない。例えば、排水の逆流が衛生上の問題となるような、冷蔵庫、洗濯機、食器洗浄機、水飲み器、冷水器などの機器、滅菌器、消毒器などの機器、空気調和設備・給水ポンプなどの機器、給水タンクなどの水抜き配管もしくはオーバーフロー配管等の他の間接排水用途に本発明の間接排水用継手が用いられてもよい。
【0049】
(2)本発明の間接排水用継手は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、
図11乃至19のように、周壁部に設けられた開口部の形状を変更してもよい。
図11乃至
図19は、変形例の間接排水用継手200〜1000の正面及び背面からの斜視図、正面図及び側面図である。なお、間接排水用継手200〜1000の平面視及び底面視は
図2(c)、(d)と共通である。例えば、
図11の間接排水用継手200は、1つの開口部204を備え、その開口部204が周壁部203の外周の約半分にまで延びている。
図12の間接排水用継手300は、縦横に延びる格子状の肉部からなる周壁部303を備え、複数の開口部304を定める。
図13の間接排水用継手400は、三角形、菱形、及び瞳形状の異なる開口部404が周壁部403に形成されている。
図14の間接排水用継手500は、周壁部(連結部)503の表面積が小さくなるように、
図1の間接排水用継手100よりも開口部504が大きく弧状に切り欠かれている。さらに、
図15乃至
図19に示すとおり、周壁部と開口部との形状関係を幾何学的模様のように表してもよい。このように、当業者であれば、周壁部における開口部の数、位置、形状を任意に設計することが可能である。
【0050】
(3)上記実施形態の間接排水用継手は、軸方向に延びる円筒状に構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、間接排水用継手は、機器及び排水管に間接的又は直接的に接続可能であれば、断面多角形状や長円もしくは楕円形状であってもよい。
【0051】
(4)上記実施形態の間接排水用継手は、各部位が軸方向に直線状に構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、流入部及び排水部が接続する機器又は排水管の位置に応じて屈折又は屈曲していてもよい。あるいは、本発明の技術的思想の範囲内であれば、流水筒部及び周壁が多少曲がったり、傾斜していてもよい。
【0052】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。