(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記更新手段は、前記入力信号が前記外部装置から送信されてから、前記入力信号を受信するまでに要する伝搬遅延時間の値と、前記第三の時刻情報が示す値と前記第二の時刻情報が示す値との差分と、に基づいて、前記時刻出力手段が出力する現在時刻情報を更新する、
請求項1に記載の時刻同期制御装置。
【背景技術】
【0002】
複数の電子機器が連携して動作するシステムが、様々な分野において稼働している。例えば自動車分野における車載Top Viewカメラシステムは、自動車の前後左右に設置されたカメラが同時刻に撮影した映像データに基づいて、その自動車の周囲を表示した映像データを合成する。また、互いに異なるドメイン(通信ネットワーク)に存在する複数の装置が、協調して動作することによって、1つのシステムとして動作するシステムもある。このようなシステムでは、連携して動作する電子機器が各々保有する時刻情報を同期する必要があるので、複数の電子機器が各々保有する時刻情報を高い精度で同期する技術が期待されている。
【0003】
このような技術に関連する技術の一例として、特許文献1には、マスタ装置と、当該マスタ装置と光ファイバ伝送路により接続された中継装置と、当該中継装置と光ファイバ伝送路により接続され当該マスタ装置と時刻同期を行うスレーブ装置と、を備えた時刻同期システムが開示されている。この時刻同期システムでは、マスタ装置及び中継装置は、それぞれ、光源波長を異なる複数の波長に切り替えて、各々の遅延時間測定パケットを送出する。スレーブ装置は、各遅延時間測定パケットによる往復遅延時間の測定結果と各波長における伝送速度又は屈折率を示す情報を用いて、マスタ装置から時刻が配信された時に時刻を補正するための伝送路遅延時間補正値を算出する。
【0004】
また、特許文献2には、伝送路を介して互いに接続された一対の終端装置を有する通信システムが開示されている。この通信システムは、測定主体である一方の終端装置が、他方の終端装置へ送信する遅延測定用の通信フレームと、このフレームに対応してその他方の終端装置から返信される返信フレームとを用いて、当該両終端装置間のフレーム遅延を求める遅延測定機能を備えている。この通信システムでは、測定主体である終端装置は、通信フレームを送信した時から受信するまでに要する時間が異なる複数のフレーム遅延の値に基づいて、両終端装置間についてローカルクロックの比を求める演算部を備える。
【0005】
また、特許文献3には、測定フレーム生成部と、送信時刻獲得部と、補正部と、を備えた通信装置が開示されている。当該測定フレーム生成部は、測定対象である通信装置との遅延測定において使用する、送信タイムスタンプを含む測定フレームを生成する。当該送信時刻獲得部は、測定フレームが測定対象である通信装置に送信される時刻を記録する。当該補正部は、当該送信時刻獲得部が記録した時刻と当該送信タイムスタンプに記録されている時刻との差分を補正する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の電子機器が各々保有する時刻情報を同期する技術に関する標準規格の1つとして、IEEE (Institute of Electrical and Electronic Engineers) 802.1ASがある。IEEE 802.1ASに準拠した一般的な時刻同期処理が使用する、ステップごとの遅延時間の構成を
図6に例示する。
【0008】
図6に例示するシステムでは、スレーブ装置50及びマスタ装置60は、各々時刻情報を保有し、スレーブ装置50は、マスタ装置60と時刻情報を同期する。マスタ装置60は、自装置が保有する時刻情報を含むフレーム(以降本願では「ASフレーム」と称する)を、スレーブ装置50へ送信する。スレーブ装置におけるMAC(Media Access Control)処理部51は、受信したASフレームについて、MAC処理を行う。ここでMAC処理とは、OSI(Open System Interconnection)参照モデルによって定義されたデータリンク層における通信プロトコルを実行する処理のことである。MAC処理部51は、MAC処理として、フレームデータの組み立て、及び、フレームが正常なデータであるか否かを確認する処理等を行う。MAC処理部51は、受信したASフレームが正常である場合、当該ASフレームを時刻更新処理部52へ入力する。
【0009】
時刻更新処理部52は、MAC処理部51からASフレームを入力されたときに、スレーブ装置50が保有する時刻情報を、マスタ装置60が保有する時刻情報と同期する処理を行う。時刻更新処理部52は、ASフレームに含まれるマスタ装置60が保有する時刻情報が示す値に、
図6に示す、信号伝搬遅延時間と、MAC処理遅延時間と、時刻更新処理遅延時間とを加えた値を算出する。そして、時刻更新処理部52は、スレーブ装置50が保有する時刻情報を、算出した値に更新する。
【0010】
ここで、信号伝搬遅延時間は、マスタ装置60から送信されたフレームがスレーブ装置50に届くまでに要する時間であり、マスタ装置60とスレーブ装置50とを通信可能に接続する通信ケーブルの線長等によって定まる固定値である。時刻更新処理遅延時間は、時刻更新処理部52がASフレームを入力されたのち時刻同期処理を完了するまでに要する時間であり、信号伝搬遅延時間と同様に、一般的に値がほとんど変動しない固定値である。
【0011】
これらに対して、MAC処理遅延時間は、MAC処理部51がASフレームを受信したのち当該ASフレームに対するMAC処理を完了するまでに要する時間であり、一般的に、値がシステムの状態によって変動する変動値である。すなわち、MAC処理遅延時間は、フレームに関するトラフィック量、あるいは、MAC方式(ストアアンドフォワード、カットスルー、フラグメントフリー)等によって変動する。
【0012】
図6に示す一般的な時刻同期処理を行うシステムは、通常、このMAC処理遅延時間を、所定の固定値に設定している。しかしながら、システムの状態によっては、実際のMAC処理遅延時間が、当該固定値から大きくずれることがある。この場合、スレーブ装置50がマスタ装置60と時刻情報を同期する精度が大きく低下することになる。特許文献1乃至3に記載された技術では、この問題を解決することは困難である。
【0013】
本願発明の主たる目的は、この問題を解決した、時刻同期制御装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明の一態様に係る時刻同期制御装置は、外部装置から受信した第一の時刻情報を含む入力信号を受信したときに、時刻出力手段から出力された現在時刻情報を、第二の時刻情報として記憶する記憶手段と、前記入力信号に対して所定の信号処理を行う信号処理手段が前記入力信号に対する前記信号処理を終了したときに前記時刻出力手段から出力された現在時刻情報である第三の時刻情報と、前記第一の時刻情報と、前記記憶手段に記憶された前記第二の時刻情報と、に基づいて、前記時刻出力手段が出力する現在時刻情報を更新する更新手段と、を備える。
【0015】
上記目的を達成する他の見地において、本願発明の一態様に係る時刻同期制御方法は、情報処理装置によって、外部装置から受信した第一の時刻情報を含む入力信号を受信したときに、時刻出力手段から出力された現在時刻情報を、第二の時刻情報として記憶手段に記憶し、前記入力信号に対して所定の信号処理を行う信号処理手段が前記入力信号に対する前記信号処理を終了したときに前記時刻出力手段から出力された現在時刻情報である第三の時刻情報と、前記第一の時刻情報と、前記記憶手段に記憶された前記第二の時刻情報と、に基づいて、前記時刻出力手段が出力する現在時刻情報を更新する。
【0016】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本願発明の一態様に係る時刻同期制御プログラムは、外部装置から受信した第一の時刻情報を含む入力信号を受信したときに、時刻出力手段から出力された現在時刻情報を、第二の時刻情報として記憶手段に記憶する記憶処理と、前記入力信号に対して所定の信号処理を行う信号処理手段が前記入力信号に対する前記信号処理を終了したときに前記時刻出力手段から出力された現在時刻情報である第三の時刻情報と、前記第一の時刻情報と、前記記憶手段に記憶された前記第二の時刻情報と、に基づいて、前記時刻出力手段が出力する現在時刻情報を更新する更新処理と、をコンピュータに実現させる。
【0017】
更に、本発明は、係る時刻同期制御プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0018】
本願発明は、特定の装置が他の装置と時刻情報を同期する際に、その特定の装置が行う処理に要する時間がその特定の装置が含まれるシステムの状態によって変動する場合であっても、高い精度で時刻同期処理を行うことを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る時刻同期制御システム1の構成を概念的に示すブロック図である。本実施形態に係る時刻同期制御システム1は、時刻同期制御装置10、及び、外部装置20を備えている。外部装置20は、時刻同期処理におけるマスタ装置として、自装置が有する時刻情報(マスタクロック情報)を、スレーブ装置である時刻同期制御装置10に提供する。時刻同期制御装置10は、外部装置20から提供されたマスタクロック情報に基づき、外部装置20と時刻情報を同期する。
【0022】
外部装置20は、様々な形式のフレーム(信号)を、時刻同期制御装置10に送信する。時刻同期制御装置10及び外部装置20が時刻同期処理を行う場合、外部装置20は、マスタクロック情報を含むフレームであるASフレームを、時刻同期制御装置10に対して送信する。
【0023】
時刻同期制御装置10は、記憶部11、更新部12、MAC処理部13、及び、時刻出力部14を備えている。更新部12、MAC処理部13、及び、時刻出力部14は、電子回路の場合もあれば、コンピュータプログラムとそのコンピュータプログラムに従って動作するプロセッサによって実現される場合もある。記憶部11は、電子メモリあるいは磁気ディスク等の不揮発性の記憶デバイスである。記憶部11は、電子回路、あるいは、コンピュータプログラムとそのコンピュータプログラムに従って動作するプロセッサによって実現される記憶制御機能を備えている。
【0024】
時刻出力部14は時計(タイマ)であり、現在時刻を出力する。
【0025】
記憶部11は、時刻同期制御装置10が外部装置20からフレームを受信したタイミングに、時刻出力部14から出力された現在時刻を表す受信時タイムスタンプを記憶する。記憶部11の構成を
図2に例示する。
【0026】
図2に例示する通り、記憶部11は、n個(nは1以上の任意の整数)のエントリ110−1乃至110−n、ライトポインタ111、及び、リードポインタ112を備えたリングバッファである。エントリ110−1乃至110−nは、受信時タイムスタンプを記憶可能なエントリである。ライトポインタ111は、受信時タイムスタンプの格納先であるエントリを示し、1乃至nのいずれかの値を格納している。リードポインタ112は、受信時タイムスタンプを読み出すエントリを示し、1乃至nのいずれかの値を格納している。
【0027】
記憶部11は、時刻同期制御装置10が外部装置20からフレームを受信したタイミングに、ライトポインタ111が示すエントリ110−i(iは1乃至nのいずれかの整数)に受信時タイムスタンプを格納する。記憶部11は、エントリ110−iに受信時タイムスタンプを格納したのち、ライトポインタ111を1加算する。すなわち、この場合、ライトポインタ111の値は「i+1」となる。また、「i=n」である場合、ライトポインタ111の値は、1加算されることによって「1」に戻る。
【0028】
記憶部11は、エントリ110−iに受信時タイムスタンプを格納したのち、MAC処理部13から、外部装置20から受信したフレームが正常なフレームでないことを通知された場合、「i+1」に更新されたライトポインタ111の値を「i」に戻す。記憶部11は、MAC処理部13から、MAC処理部13がMAC処理中であるフレームが存在しない待機状態であることを通知された場合、ライトポインタ111の値、及び、リードポインタ112の値を、同じ値(例えば「1」)に設定(リセット)する。
【0029】
記憶部11は、エントリ110−iに受信時タイムスタンプを格納したのち、更新部12から、外部装置20から受信したフレームがASフレームでないことを通知された場合、リードポインタ112の値を「1」加算する。記憶部11は、エントリ110−iに受信時タイムスタンプを格納したのち、更新部12によって、リードポンタ112が示すエントリから受信時タイムスタンプが読み出された場合、リードポインタ112の値を「1」加算する。
【0030】
MAC処理部13は、外部装置20から受信したフレームについて、MAC処理を行う。MAC処理部13は、フレームをMAC処理中に、後続するフレームを受け付けて、その後続フレームについてMAC処理を開始することが可能である。MAC処理部51は、MAC処理として、フレームを構成するデータの組み立て処理、及び、フレームが正常なフレームであるか否かを確認する処理等を行う。MAC処理部51は、フレームを構成するデータについて、欠損あるいは超過が存在するかどうか、及び、CRC(Cyclic Redundancy Check)エラー等が存在するかどうかを確認する。
【0031】
MAC処理部13は、受信したフレームが正常である場合、MAC処理した当該フレームを更新部12へ入力する。MAC処理部13は、受信したフレームが異常である場合、当該フレームを廃棄するとともに、当該フレームが正常なフレームでないことを、記憶部11へ通知する。MAC処理部13は、受信した全てのフレームについて処理が完了し、MAC処理中であるフレームが存在しない待機状態になったときに、待機状態であることを記憶部11へ通知する。
【0032】
更新部12は、フレーム判定部120、及び、時刻同期処理部121を備えている。フレーム判定部120は、フレームの種別毎にフレームの構成内容を表したフレーム構成情報を含むフレーム判定基準(不図示)を記憶している。フレーム判定部120は、このフレーム判定基準に基づき、MAC処理部13から入力されたフレームがASフレームであるか否かを判定する。
【0033】
フレーム判定部120は、MAC処理部13から入力されたフレームがASフレームでない場合、当該フレームを、時刻同期制御装置10の外部にあるフレームデータ処理部へ入力する。フレーム判定部120は、当該フレームがASフレームでないことを、記憶部11へ通知する。
【0034】
フレーム判定部120は、MAC処理部13から入力されたフレームがASフレームである場合、当該ASフレームからマスタクロック情報を抽出し、抽出したマスタクロック情報を、時刻同期処理部121へ入力する。
【0035】
時刻同期処理部121は、MAC処理部13からフレームを入力されたタイミングに、時刻出力部14から出力された現在時刻を表すMAC処理完了時タイムスタンプを取得する。時刻同期処理部121は、フレーム判定部120からマスタクロック情報を入力された場合、記憶部11におけるリードポインタ112が示すエントリから、受信時タイムスタンプを読み出す。
【0036】
時刻同期処理部121は、入手したMAC処理完了時タイムスタンプの値から、入手した受信時タイムスタンプの値を減算することによって、MAC処理遅延時間を算出する。このMAC処理遅延時間は、受信したASフレームについて、MAC処理部13がMAC処理を行うのに要した時間である。
【0037】
時刻同期処理部121は、算出したMAC処理遅延時間に、フレーム判定部120から入力されたマスタクロック情報が示す値と、信号伝搬遅延時間と、時刻更新処理遅延時間とを加算することによって、時刻同期制御装置10が、現在時刻として自装置に設定すべき値(時刻)を算出する。ここで、信号伝搬時間は、外部装置20から出力されたフレームが時刻同期制御装置10に届くのに要する時間であり、システム管理者等によって、固定値として時刻同期処理部121に事前に与えられている。時刻更新処理遅延時間は、更新部12がMAC処理部13からASフレームを入力されたのち時刻同期処理を完了するまでに要する時間であり、信号伝搬遅延時間と同様に、システム管理者等によって、固定値として時刻同期処理部121に事前に与えられている。
【0038】
時刻同期処理部121は、時刻出力部14が出力する現在時刻を、上述した処理によって算出した現在時刻に更新する。
【0039】
次に
図3A及び3Bのフローチャートを参照して、本実施形態に係る時刻同期制御システム1の動作(処理)について詳細に説明する。
【0040】
時刻同期制御装置10は、外部装置20からフレームを受信する(ステップS101)。記憶部11は、当該フレームを受信したタイミングに時刻出力部14が出力した現在時刻を、受信時タイムスタンプとして、ライトポインタ111が示すエントリ110−iに格納し、ライトポインタ111を「1」加算する(ステップS102)。MAC処理部13は、受信したフレームについてMAC処理を実行し、正常フレームであるか否かを判定する(ステップS103)。
【0041】
受信したフレームが正常フレームでない場合(ステップS104でNo)、MAC処理部13は、当該フレームを廃棄し、当該フレームを廃棄したことを記憶部11へ通知する(ステップS105)。記憶部11は、ライトポインタ111を「1」減算し(ステップS106)、全体の処理は終了する。
【0042】
受信したフレームが正常フレームである場合(ステップS104でYes)、MAC処理部13は、MAC処理を行った当該フレームを、更新部12へ入力する(ステップS107)。時刻同期処理部121は、当該フレームを入力されたタイミングに時刻出力部14が出力した現在時刻を、MAC処理完了時タイムスタンプとして入手する(ステップS108)。
【0043】
フレーム判定部120は、当該フレームがASフレームであるか否かを判定する(ステップS109)。当該フレームがASフレームでない場合(ステップS110でNo)、フレーム判定部120は、当該フレームを、外部にあるフレームデータ処理部へ入力する(ステップS111)。フレーム判定部120は、当該フレームがASフレームでないことを、記憶部11へ通知する(ステップS112)。記憶部11は、リードポインタ112を「1」加算し(ステップS113)、全体の処理は終了する。
【0044】
当該フレームがASフレームである場合(ステップS110でYes)、フレーム判定部120は、当該ASフレームからマスタクロック情報を抽出して、そのマスタクロック情報を時刻同期処理部121へ入力する(ステップS114)。時刻同期処理部121は、エントリ110−iから受信時タイムスタンプを読み出す(ステップS115)。記憶部11は、リードポインタを「1」加算する(ステップS116)。
【0045】
時刻同期処理部121は、マスタクロック情報、受信時タイムスタンプ、及び、MAC処理完了時タイムスタンプに基づき、現在時刻を算出する(ステップS117)。時刻同期処理部121は、時刻出力部14が出力する現在時刻を、算出した現在時刻に更新し(ステップS118)、全体の処理は終了する。
【0046】
本実施形態に係る時刻同期制御システム1は、特定の装置が他の装置と時刻情報を同期する際に、その特定の装置が行う処理に要する時間がその特定の装置が含まれるシステムの状態によって変動する場合であっても、高い精度で時刻同期処理を行うことができる。その理由は、記憶部11が、外部装置20からマスタクロック情報を受信したときの時刻を受信時タイムスタンプとして記憶し、更新部12が、MAC処理部13による信号処理が完了したときの時刻であるMAC処理完了時タイムスタンプと、記憶部11に記憶された受信時タイムスタンプと、マスタクロック情報が示す値と、に基づいて、時刻出力部14が出力する現在時刻を更新するからである。
【0047】
例えば「発明が解決しようとする課題」欄で説明した場合と同様に、スレーブ装置がマスタ装置と時刻情報を同期する場合を考える。この場合、スレーブ装置は、通常、自装置が使用する時刻情報を、マスタ装置から出力されたマスタクロック情報が示す値に、所定の時間を加算した値に更新する。この所定の時間は、マスタ装置からスレーブ装置にマスタクロック情報が届くまでに要する信号伝搬遅延時間と、スレーブ装置がマスタクロック情報を受信してから時刻同期処理を完了するまでに要する処理遅延時間と、を含んでいる。当該処理遅延時間は、例えば
図6に示す例の場合、MAC処理遅延時間と、時刻更新処理遅延時間と、を含んでいる。
【0048】
一般的な時刻同期処理を行うシステムは、通常、時刻同期処理を行う際にマスタクロック情報が示す値に加算する所定の時間を、所定の固定値に設定している。
図6に示す例において、信号伝搬遅延時間、及び、時刻更新処理遅延時間は、システムの状態によって変動することがほとんどない固定値である。これに対してMAC処理遅延時間は、システムの状態によって変動する変動値である。すなわち、マスタクロック情報が示す値に加算される所定の時間は、システムの状態によって変動する変動値であるので、システムの状態によっては、時刻情報を同期する精度が大きく低下する虞がある。
【0049】
これに対して本実施形態に係る時刻同期制御システム1によれば、記憶部11は、外部装置20からマスタクロック情報を受信したときの時刻を、受信時タイムスタンプとして記憶する。更新部12は、MAC処理部13による信号処理が完了したときの時刻を表すMAC処理完了時タイムスタンプを入手したのち、MAC処理完了時タイムスタンプの値から受信時タイムスタンプの値を減算することによって、変動値であるMAC処理遅延時間を算出する。更新部12は、算出したMAC処理遅延時間に、マスタクロック情報が示す値と、固定値である信号伝搬遅延時間及び時刻更新処理遅延時間と、を加算することによって、現在時刻を算出する。更新部12は、時刻出力部14が出力する時刻情報を、算出した現在時刻に更新する。これにより、本実施形態に係る時刻同期制御システム1は、時刻同期処理に要する時間がシステムの状態によって変動する場合であっても、高い精度で時刻同期処理を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態に係る時刻同期制御システム1では、記憶部11は、複数のエントリ110−1乃至110−nを備えたリングバッファである。時刻同期制御装置10は、外部装置20から短期間に複数のマスタクロック情報が送信された場合、先行するマスタクロック情報に関する時刻同期処理が完了していなくても、後続するマスタクロック情報を複数のエントリを使用して記憶部11に記憶する。これにより時刻同期制御装置10は、マスタクロック情報を滞りなく受け付けることができる。そして、記憶部11は、MAC処理部13が受信した全てのマスタクロック情報に関するMAC処理を完了した待機状態になったときに、ライトポインタ111及びリードポインタ112を同じ値にリセットすることによって、エントリ110−1乃至110−nを有効活用することができる。
【0051】
尚、本実施形態に係る時刻同期制御システム1では、時刻同期制御装置10は、MAC処理部13によるMAC処理遅延時間を、時刻同期処理における変動値として算出しているが、時刻同期制御装置10が変動値として算出する処理遅延時間は、MAC処理遅延時間に限定されない。時刻同期制御装置10が変動値として算出する処理遅延時間は、例えば、MAC処理に対して機能が拡張された処理に要する遅延時間であってもよい。時刻同期制御装置10が変動値として算出する処理遅延時間は、あるいは、OSI参照モデルによって定義されたデータリンク層以外の階層における通信プロトコルを実行する処理に要する遅延時間であってもよい。
【0052】
また、本実施形態に係る時刻同期制御装置10が、ソフトウェアにより時刻同期処理を行う場合、受信したASフレームを内蔵メモリに格納したのち、CPU(Central Processing Unit)が実行するプログラムによって、MAC処理及び時刻更新処理等を行う。この場合、時刻同期処理に要する処理時間は、CPU及びメモリに関する他の処理との競合が発生することによって、専用ハードウェアにより時刻同期処理を行う場合よりも、大きく変動する。この場合でも、本実施形態に係る時刻同期制御システム1は、ASフレームを受信したのち、当該ソフトウェアが所定の処理を完了するまでの遅延時間を算出することができるので、高い精度で時刻同期処理を行うことができる。
【0053】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係る時刻同期制御装置30の構成を概念的に示すブロック図である。
【0054】
本実施形態に係る時刻同期制御装置30は、記憶部31、及び、更新部32を備えている。
【0055】
記憶部31は、外部装置40から受信した第1の時刻情報400を含む入力信号を受信したときに、時刻出力部34から出力された現在時刻情報を、第2の時刻情報310として記憶する。
【0056】
更新部32は、当該入力信号に対して所定の信号処理を行う信号処理部33が当該入力信号に対する信号処理を終了したときに時刻出力部34から出力された現在時刻情報である第3の時刻情報340を入手する。更新部32は、第3の時刻情報340と、第1の時刻情報400と、記憶部31に記憶された第2の時刻情報310と、に基づいて、時刻出力部34が出力する現在時刻情報を更新する。
【0057】
本実施形態に係る時刻同期制御装置30は、特定の装置が他の装置と時刻情報を同期する際に、その特定の装置が行う処理に要する時間がその特定の装置が含まれるシステムの状態によって変動する場合であっても、高い精度で時刻同期処理を行うことができる。その理由は、記憶部31が、外部装置40から第1の時刻情報400を受信したときの時刻を第2の時刻情報310として記憶し、更新部32が、信号処理部33による信号処理が完了したときの時刻を示す第3の時刻情報340と、記憶部31に記憶された第2の時刻情報310と、第1の時刻情報400が示す値と、に基づいて、時刻出力部34が出力する現在時刻情報を更新するからである。
【0058】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図4に示した時刻同期制御装置10及び30は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、時刻同期制御装置10及び30は、汎用のHWにソフトウェアプログラムを実行させることによっても実現可能である。この場合のハードウェア環境の一例を、
図5を参照して説明する。
【0059】
図5は、本発明の各実施形態に係る時刻同期制御装置10及び30が備える機能を実現する時刻同期制御プログラムを実行可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図5は、
図1に示した時刻同期制御装置10、及び、
図4に示した時刻同期制御装置30を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0060】
図5に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・外部装置との通信インタフェース905、
・CD−ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・入出力インタフェース909、
情報処理装置900は、これらの構成がバス906(通信線)を介して接続された一般的なコンピュータである。
【0061】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図5に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1、及び、
図4)における、時刻同期制御装置10及び30、或いはフローチャート(
図3A及び3B)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)またはハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0062】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD−ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0063】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。