特許第6612527号(P6612527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612527
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20191118BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20191118BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20191118BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B65H5/38
   B65H5/06 P
   B65H85/00
   B41J2/01 305
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-105476(P2015-105476)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-216235(P2016-216235A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】田頭 伸哉
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−063381(JP,A)
【文献】 特開2010−023942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/02
B65H 5/04
B65H 5/06
B65H 5/08− 5/20
B65H 5/22
B65H 5/24− 5/38
B65H 29/12−29/24
B65H 29/32
B65H 29/52
B65H 83/00−85/00
B41J 2/01
B41J 2/165−2/20
B41J 2/21− 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送装置において、
前記用紙を搬送方向に搬送する搬送ローラを有して該用紙の一方の面を搬送ガイドする第1の用紙ガイド板と、
前記第1の用紙ガイド板と対向しながら前記搬送方向と直交する方向である引き出し方向に引き出し可能に設けられており、且つ、前記用紙を介して前記搬送ローラを押圧しながら従動する従動ローラを有して該用紙の他方の面を搬送ガイドする第2の用紙ガイド板と、
前記第1の用紙ガイド板及び前記第2の用紙ガイド板から離間した上方に設けられており、前記第2の用紙ガイド板に設けられた嵌合部と嵌合させた状態で、前記第2の用紙ガイド板を前記引き出し方向に引き出したときに、前記従動ローラを前記搬送ローラからニップ解除するように形成された一対の引き出し用ガイド部材と、を備え、
前記第2の用紙ガイド板は、前記引き出し用ガイド部材の外側にまで延出するように設けられている、
ことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
用紙を用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送装置において、
前記用紙を搬送方向に搬送する搬送ローラを有して該用紙の一方の面を搬送ガイドする第1の用紙ガイド板と、
前記第1の用紙ガイド板と対向しながら前記搬送方向と直交する方向である引き出し方向に引き出し可能に設けられており、且つ、前記用紙を介して前記搬送ローラを押圧しながら従動する従動ローラを有して該用紙の他方の面を搬送ガイドする第2の用紙ガイド板と、
前記第1の用紙ガイド板及び前記第2の用紙ガイド板から離間した上方に設けられており、前記第2の用紙ガイド板に設けられた嵌合部と嵌合させた状態で、前記第2の用紙ガイド板を前記引き出し方向に引き出したときに、前記従動ローラを前記搬送ローラからニップ解除するように形成された一対の引き出し用ガイド部材と、を備え、
前記一対の引き出し用ガイド部材のうち、少なくとも一方の引き出し用ガイド部材が前記第2の用紙ガイド板と重力方向においてオーバーラップしている
ことを特徴とする用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送する搬送ローラを有する第1の用紙ガイド板と、搬送ローラに従動する従動ローラを有する第2の用紙ガイド板とを互いに対向させ、且つ、第2の用紙ガイド板を用紙搬送方向と直交する方向である引き出し方向に引き出し可能に設けた用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、用紙を用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送装置は、用紙に画像や文字を印刷する印刷装置や、用紙に画像や文字を複写する複写機などの画像形成装置に適用されている。
【0003】
この種の用紙搬送装置の一例として、本出願人は先に、隣り合う用紙搬送装置間に跨っているジャム用紙を装置内に残さずに取り出すことができる用紙搬送装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、特許文献1に開示された従来の用紙搬送装置について、図10を用いて簡略に説明する。
【0005】
図10は従来の用紙搬送装置を示した斜視図である。
【0006】
図10に示す如く、特許文献1に開示された従来の用紙搬送装置100は、画像形成装置の一例となるインクジェット印刷装置内の用紙搬送経路に沿って設置されている。そして、従来の用紙搬送装置100は、用紙の搬送方向の上流側と下流側とに設けた二つの用紙搬送装置(図示せず)間に隣りあわせて設置されている。
【0007】
この従来の用紙搬送装置100では、複数の駆動ローラ(図示せず)を取り付けた駆動側用紙ガイド板111と、複数の駆動ローラに従動する複数の従動ローラ(図示せず)を箱部122a,123a内に取り付けた従動側用紙ガイド板121(122,123)とが互いに対向して設けられている。
【0008】
上記した駆動側用紙ガイド板111は、用紙搬送経路の下側に固定設置されており、且つ、用紙Pの搬送方向の上流側は平坦に形成されている一方、用紙搬送方向の下流側は隣り合う一つの用紙搬送装置内の用紙搬送経路に沿うように上方に向って湾曲して形成されている。
【0009】
また、上記した従動側用紙ガイド板121は、用紙搬送経路の上側に駆動側用紙ガイド板111と対向し且つ用紙搬送方向と直交する用紙幅方向を2分した分割線BLに沿って2分割された状態で設置されている。
【0010】
即ち、従動側用紙ガイド板121は、用紙幅方向の一方側となる装置100のフロント側(前面側)に向って引き出し可能に設けた第1分割用紙ガイド板122と、用紙幅方向の他方側となる装置100のリア側(後面側)にその位置を保持したまま上下方向に開閉可能(回動可能)に設けた第2分割用紙ガイド板123とに用紙幅方向が2分割されている。
【0011】
この際、従動側用紙ガイド板121の第1分割用紙ガイド板122は、駆動側用紙ガイド板111の上面111a上に取り付けた一対の引き出し用ガイド板131,132にガイドされてこの装置100のフロント側に引き出し可能に取り付けられている。
【0012】
そして、第1分割用紙ガイド板122の引き出し動作に伴って、複数の駆動ローラと複数の従動ローラとの間でニップ解除されるようになっている。
【0013】
上記のように構成された従来の用紙搬送装置100において、用紙Pは駆動側用紙ガイド板111と従動側用紙ガイド板121との間で複数の駆動ローラ及び複数の従動ローラにより挟持搬送されながら用紙搬送方向の上流側から下流側に向って搬送ガイドされている。
【0014】
この際、駆動側用紙ガイド板111と従動側用紙ガイド板121との間で用紙ジャムが発生し、不図示のジャム用紙が隣り合う用紙搬送装置間に跨っていても、従動側用紙ガイド板121の第1分割用紙ガイド板122を装置100のフロント側に引き出すことで、複数の従動ローラを複数の駆動ローラからニップ解除できるので、ユーザの人手によりジャム用紙の紙片を装置内に残すことなく容易に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2015−63381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、特許文献1に記載の従来の用紙搬送装置の技術的思想を仮に他の画像形成装置にそのまま適用する場合における他例の用紙搬送装置について、図11を用いて簡略に説明する。
【0017】
図11は従来の用紙搬送装置の技術的思想を仮に適用する場合における他例の用紙搬送装置を用紙搬送方向に沿って断面して示している。
【0018】
図11に示す如く、他例の用紙搬送装置200では、この装置200の上流側に不図示の用紙搬送装置が隣り合って設置されていると共に、装置200の下流側に他の用紙搬送装置300が隣り合って設置されている。
【0019】
この際、他の用紙搬送装置300内の用紙搬送経路301中には用紙Pの搬送経路を切り替えるフリッパFが揺動可能に設けられており、このフリッパFによって用紙搬送経路301を排紙経路RDと反転経路RRとに選択的に切り替えることができる。
【0020】
一方、他例の用紙搬送装置200内には、用紙Pの搬送方向に間隔を隔て駆動ローラRkを複数取り付けた駆動側用紙ガイド板211と、複数の駆動ローラRkに従動する複数の従動ローラRjを複数の箱部221a内に取り付けた従動側用紙ガイド板221とが互いに対向して設けられている。
【0021】
上記した駆動側用紙ガイド板211は、用紙搬送方向の上流側から下流側に向って平坦に形成されている。
【0022】
上記した従動側用紙ガイド板221は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(紙面に垂直な方向)となる装置200のフロント側に向って引き出し可能に設けられており、且つ、この従動側用紙ガイド板221の引き出し動作時に複数の従動ローラRjを複数の駆動ローラRkからニップ解除できるようになっている。
【0023】
上記に伴って、従動側用紙ガイド板221をフロント側に向って引き出しガイドする一対の引き出し用ガイド板231,232が、駆動側用紙ガイド板211上で上流側と下流側とに間隔を隔て且つ用紙幅方向と略平行に取り付けられている。
【0024】
また、駆動側用紙ガイド板211の上流側の上方には、隣り合う不図示の用紙搬送装置との間で用紙Pを中継搬送ガイドするための用紙搬送中継部材となる用紙抑え部材241が駆動側用紙ガイド板211に対して僅かな隙間を有して上流側の引き出し用ガイド板231よりも更に上流側に固定設置されている。これにより、上流側に設置した不図示の用紙搬送装置から送られる用紙Pを装置200内に取り込むことができるようになっている。
【0025】
また、駆動側用紙ガイド板211及び従動側用紙ガイド板221の下流側には、隣り合う他の用紙搬送装置300との間で用紙Pを中継搬送するための用紙搬送中継部材となる中継用の駆動ローラ251及び従動ローラ252が対となって常にニップ状態で下流側の引き出し用ガイド板232よりも更に下流側に固定設置されている。これにより、装置200内で中継用の駆動ローラ251及び従動ローラ252を通過した用紙Pを隣り合う他の用紙搬送装置300の用紙搬送経路301に送り出すことができるようになっている。
【0026】
従って、従動側用紙ガイド板221は、一対の引き出し用ガイド板231,232間に形成される用紙搬送方向の横幅部分が装置200のフロント側に引き出し可能であるが、装置200内で用紙抑え部材241を取り付けた上流側の部位と、中継用の従動ローラ252を取り付けた下流側の部位は従動側用紙ガイド板221とは別体に設けられているので、両部位は引き出し不能となっている。
【0027】
上記のように構成した他例の用紙搬送装置200において、この装置200内で用紙ジャムが生じたときに、従動側用紙ガイド板221のフロント側への引き出し動作に伴ってジャム用紙JPを取り出し易くなっているが、上流側又は下流側で隣り合う用紙搬送装置と用紙搬送装置200とに跨ったジャム用紙JPを取り出しにくい場合がある。
【0028】
この場合、一対の引き出し用ガイド板231,232を駆動側用紙ガイド板211上に取り付けたために、上流側の引き出し用ガイド板231よりも更に上流側に固定設置された用紙抑え部材241、又は、下流側の引き出し用ガイド板232よりも更に下流側に固定設置された中継用の従動ローラ252に跨ったジャム用紙JPをこの装置200のフロント側に引き出しても、引き出すと同時に従動ローラ252等のニップ解除を行えないからである。
【0029】
仮に、従動ローラ252等のニップを解除させるためには、引き出し用ガイド板232を従動ローラ252よりも下流側に設置しなければならず、用紙搬送方向において装置200が大型化してしまう。同様に、引き出し用ガイド板231も用紙抑え部材241よりも上流側に設置しなければならず、用紙搬送方向において装置200が大型化してしまう。
【0030】
そこで、本発明では、用紙搬送方向において装置を大型化することなく、従動ローラを取り付けた用紙ガイド板をフロント側に引き出すと同時に、隣り合う用紙搬送装置間に跨っているジャム用紙を確実且つ容易に取り出すことができる用紙搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、用紙を用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送装置において、
前記用紙を搬送方向に搬送する搬送ローラを有して該用紙の一方の面を搬送ガイドする第1の用紙ガイド板と、
前記第1の用紙ガイド板と対向しながら前記搬送方向と直交する方向である引き出し方向に引き出し可能に設けられており、且つ、前記用紙を介して前記搬送ローラを押圧しながら従動する従動ローラを有して該用紙の他方の面を搬送ガイドする第2の用紙ガイド板と、
前記第2の用紙ガイド板の上方に設けられており、前記第2の用紙ガイド板に設けられた嵌合部と嵌合させた状態で、前記第2の用紙ガイド板を前記引き出し方向に引き出したときに、前記従動ローラを前記搬送ローラからニッブ解除するように形成された引き出し用ガイド部材と、
を備えたことを特徴とする用紙搬送装置である。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る用紙搬送装置によれば、搬送ローラを有する第1の用紙ガイド板と、第1の用紙ガイド板と対向しながら搬送方向と直交する方向である引き出し方向に引き出し可能に設けられており、且つ、従動ローラを有する第2の用紙ガイド板と、第2の用紙ガイド板の上方に設けられており、第2の用紙ガイド板に設けられた嵌合部と嵌合させた状態で、第2の用紙ガイド板を引き出し方向に引き出したときに、従動ローラを搬送ローラからニッブ解除するように形成された引き出し用ガイド部材と、を備えている。
【0033】
この結果、本発明に係る用紙搬送装置と、隣り合う他の用紙搬送装置との間で用紙を中継搬送する用紙中継搬送部材を、用紙搬送方向に固定設置する必要がないので、用紙搬送方向における装置の大型化を回避しつつ、隣り合う他の用紙搬送装置との間で跨って生じたジャム用紙を確実且つ容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る用紙搬送装置を適用した画像形成装置の一例となるインクジェット印刷装置の全体構成を示した構成図である。
図2】本発明に係る用紙搬送装置を示した斜視図である。
図3】本発明に係る用紙搬送装置において、図2に示した駆動側用紙ガイド板を示した斜視図である。
図4】本発明に係る用紙搬送装置において、図2に示した従動側用紙ガイド板を示した斜視図である。
図5図4に示した従動側用紙ガイド板を示した平面図である。
図6】(a),(b)は図4図5に示した従動側用紙ガイド板の第1分割用紙ガイド板を示した斜視図,イーイ矢視断面図である。
図7図4図5に示した従動側用紙ガイド板の第2分割用紙ガイド板を示した斜視図である。
図8】(a),(b)は本発明に係る用紙搬送装置の動作を説明するための図である。
図9】本発明に係る用紙搬送装置を用紙搬送方向に沿って断面して示した断面図である。
図10】従来の用紙搬送装置を示した斜視図である。
図11】従来の用紙搬送装置の技術的思想を仮に適用する場合における他例の用紙搬送装置を用紙搬送方向に沿って断面して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明に係る用紙搬送装置を実施する形態につき、図1図9を参照して詳細に説明する。
【0036】
本発明に係る用紙搬送装置は、用紙に画像や文字を印刷する印刷装置や、用紙に画像や文字を複写する複写機などの画像形成装置に適用されており、この画像形成装置内で用紙を搬送する用紙搬送経路に沿ってユニット化して設置されている。
【0037】
なお、以下の説明において、上流側及び下流側は、用紙の搬送方向の上流側及び下流側を意味する。
【0038】
ここで、本発明に係る用紙搬送装置を説明する前に、この用紙搬送装置を適用した画像形成装置の一例となるインクジェット印刷装置について、図1を用いて説明する。
【0039】
(インクジェット印刷装置)
図1は本発明に係る用紙搬送装置を適用した画像形成装置の一例となるインクジェット印刷装置を示している。
【0040】
図1に示す如く、本発明に係る用紙搬送装置を適用したインクジェット印刷装置10は、インクジェット方式により用紙P上にパソコンPCから入力された画像情報に基づいて片面印刷又は両面印刷可能になっている。
【0041】
このインクジェット印刷装置10は、箱状に形成した印刷装置筐体11内に、用紙搬送経路12と、操作パネル部13と、内部給紙部14及び外部給紙部17と、ベルトプラテン部21及びインクジェット印刷部23と、排紙部25と、用紙反転部27と、制御部28と、本発明に係る用紙搬送装置30とを備えている。
【0042】
上記した用紙搬送経路12は、用紙Pを搬送して片面印刷又は両面印刷するために印刷装置筐体11内で複数に分岐して設けられており、二点鎖線で示す給紙経路RSと、実線で示す通常経路RCと、破線で示す排紙経路RDと、一点鎖線で示す両面印刷時の反転経路RRとからなる。
【0043】
この際、給紙経路RSと接続するループ状の用紙搬送経路が、インクジェット印刷部23の周辺に沿って通常経路RCと反転経路RRとを合わせてループ状に形成されている。
【0044】
尚、用紙搬送経路12には、用紙Pを搬送する複数の用紙搬送ローラ対Rや、用紙Pの搬送方向を選択的に切り替える複数のフリッパFが適宜な位置に設置されている。
【0045】
次に、操作パネル部13は、印刷装置筐体11の上方部位に設けられている。この操作パネル部13には、印刷ジョブを行うための各種の釦や、テンキーや、表示パネルなどが取り付けられている。
【0046】
次に、内部給紙部14は、複数の内部給紙トレイ15が印刷装置筐体11内の左下方部位に設けられている。この内部給紙部14では、用紙Pの用紙サイズに応じて形成された複数の内部給紙トレイ15が上下方向に分かれて紙面前方に向かって引き出し自在になっており、各内部給紙トレイ15上に複数枚の用紙Pが用紙サイズごとに積載されている。尚、複数の内部給紙トレイ15は、それぞれ用紙サイズが検出可能になっている。
【0047】
そして、ユーザの操作パネル部13への操作によって一つの内部給紙トレイ15が選択され、この内部給紙トレイ15上に積載された複数枚の用紙Pのうちで最上位の用紙Pが内部給紙ローラ16によって1枚ずつ給紙された後に、一定の用紙搬送速度で給紙経路RSから通常経路RCに送られてこの通常経路RCの上流側に設けたレジストローラ対20で用紙Pの斜行が補正されている。
【0048】
次に、外部給紙部17は、外部給紙トレイ18が印刷装置筐体11の左側面下方部位に一部が外部に露出した状態で設けられている。この外部給紙部17では、外部給紙トレイ18上に用紙サイズが同一の用紙Pが複数枚積載されている。尚、外部給紙トレイ18も、用紙サイズが検出可能になっている。
【0049】
そして、外部給紙トレイ18上に積載された複数枚の用紙Pのうちで最上位の用紙Pが外部給紙ローラ19によって1枚ずつ給紙された後に、一定の用紙搬送速度で給紙経路RSから通常経路RCに送られてこの通常経路RCの上流側に設けたレジストローラ対20で用紙Pの斜行が補正されている。
【0050】
次に、ベルトプラテン部21及びインクジェット印刷部23は、印刷装置筐体11の略中央部位に通常経路RCを挟んで互いに対向して設けられており、且つ、ベルトプラテン部21の上方にインクジェット印刷部23が設置されている。
【0051】
上記したベルトプラテン部21は、レジストローラ対20から送られた用紙Pを回転自在なエンドレスベルトプラテン22上にエアー吸引しながら一定の用紙搬送速度で通常経路RCの下流側に送っている。
【0052】
上記したインクジェット印刷部23は、エンドレスベルトプラテン22上に搭載された用紙Pに対してシアン(C),ブラック(K),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクを吐出するライン型インクジェットヘッド24C,24K,24M,24Yを用いて画像情報をカラーで印刷している。
【0053】
次に、排紙部25は、印刷装置筐体11の左側面上方部位に設けられている。この排紙部25では、インクジェット印刷部23で印刷された印刷済みの用紙Pを排紙経路RDの最下流に設置した排紙トレイ26の上面26a上に積載している。
【0054】
次に、用紙反転部27も、印刷装置筐体11の左側面上方部位に設けられている。この用紙反転部27では、片面印刷済みの用紙Pがループ状の通常経路RC,反転経路RRを通って排紙トレイ26の裏面側に形成したスイッチバック用ガイド26bに進入して、用紙Pの搬送方向の先端部が入れ替り、且つ、ループ経路によって用紙Pの表裏が反転され、この後、反転された用紙Pは再びレジストローラ対20を経てインクジェット印刷部23で両面印刷が行われる。
【0055】
次に、制御部28は、印刷装置筐体11内の適宜な場所に設けられており、この内部にROM,RAM,カウンタ,タイマなどを備えている。
【0056】
この制御部28は、インクジェット印刷装置10を全体的に制御すると共に、下記する本発明に係る用紙搬送装置30も制御している。
【0057】
次に、本発明に係る用紙搬送装置30は、用紙搬送経路12中にループ状に形成された通常経路RCに沿って複数の用紙搬送ローラ対Rを有して設置されており、ここでは通常経路RCから排紙経路RDと反転経路RRとに分岐する分岐点よりも上流側にユニット化して設置されている。
【0058】
これに伴って、用紙搬送装置30の上流側には、他の用紙搬送装置(図示せず)が隣り合って設置され、一方、用紙搬送装置30の下流側には、フリッパFを有して排紙経路RDと反転経路RRとに切り替え可能な他の用紙搬送装置(図示せず)が隣り合って設置されている。
【0059】
上記した用紙搬送装置30は、インクジェット印刷装置10内で用紙Pを用紙搬送経路12の通常経路RCに沿って搬送するときに、隣り合う用紙搬送装置間に跨って用紙ジャムが生じた場合、ジャム用紙の紙片を装置内に残すことなく、このジャム用紙を装置の外側に確実且つ容易に取り出すことができるように構成されている。
【0060】
以下、本発明に係る用紙搬送装置30について詳述する。
【0061】
(用紙搬送装置)
図2は本発明に係る用紙搬送装置を斜視的に示している。また、図3図2に示した駆動側用紙ガイド板を斜視的に示している。また、図4図2に示した従動側用紙ガイド板を斜視的に示している。また、図5図4に示した従動側用紙ガイド板を平面的に示している。また、図6(a),(b)は従動側用紙ガイド板の第1分割用紙ガイド板を示している。また、図7は従動側用紙ガイド板の第2分割用紙ガイド板を示している。
【0062】
図2及び図3に示す如く、本発明に係る用紙搬送装置30では、この装置30のフロント側とリア側とに、前板31と後板32とが用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に間隔を離して互いに対向し、且つ、用紙搬送方向と略平行に垂設されている。
【0063】
また、前板31と後板32との間には、用紙Pを搬送駆動する搬送ローラ(以下、駆動ローラと記す)Rkを複数取り付けた第1の用紙ガイド板(以下、駆動側用紙ガイド板と記す)41が、この前方の両側に取り付けたブラケット42Fと、後方の両側に取り付けたブラケット42R(片側のみ図示)とを介して前板31及び後板32の下方部位にネジ止めにより取り付けられている。従って、駆動側用紙ガイド板41は、用紙幅方向の前後が前板31と後板32とに固定支持されている。
【0064】
上記した駆動側用紙ガイド板41は、板金材を用いて用紙搬送方向に沿って所定の横幅W1に形成され且つ用紙幅方向に沿って奥行きが最大サイズの用紙Pの幅より大きく形成されていると共に、略矩形状の上面41aが平坦に形成され、且つ、前後左右の外周辺が剛性を高めるために下方に折り曲げ形成されている。
【0065】
そして、駆動側用紙ガイド板41は、図1に示した用紙搬送経路12の通常経路RCの下側に沿って設けられており、用紙Pの一方の面(下面)Paをガイドするようになっている。
【0066】
また、駆動側用紙ガイド板41の下面41b側には、3本の駆動軸43が用紙搬送方向の上流側と略中央部位と下流側とにそれぞれ間隔を離し、且つ、用紙幅方向と略平行に設けられている。
【0067】
そして、各駆動軸43には、駆動ローラRkが用紙幅方向に間隔を隔てて2個ずつ固着されて、各駆動ローラRkが駆動側用紙ガイド板41に貫通して形成したローラ逃げ孔41c内を下面41b側から上面41a側に僅かに突出して臨んでいる。また、各駆動軸43は、駆動側用紙ガイド板41のリア側に設けたギアードモータGMと不図示の伝達機構を介して連結されて回転自在になっている。
【0068】
尚、駆動側用紙ガイド板41上において、用紙サイズが異なる複数種の用紙Pは、左右の側端部Pc,Pdが位置規制されることなく、用紙Pを搬送する際の仮想搬送中心線を中心にして搬送されているものとする。
【0069】
また、駆動側用紙ガイド板41のフロント側の略中央部位にロック機構部44(図3)が取り付けられており、このロック機構部44は後述する従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52をロックする機能を有している。
【0070】
また、駆動側用紙ガイド板41上で用紙幅方向の略中央部位に指孔41dが貫通して形成されており、この指孔41dは駆動側用紙ガイド板41上に搭載されたジャム用紙の端部を指で掴むときの逃げ孔として機能している。
【0071】
また、図2に示す如く、駆動側用紙ガイド板(第1の用紙ガイド板)41の上方には、駆動ローラRkを押圧しながら従動する従動ローラRj{図6(b)}を複数取り付けた第2の用紙ガイド板(以下、従動側用紙ガイド板と記す)51が、装置30の前後に2分割された状態で駆動側用紙ガイド板41と対向して設けられている。
【0072】
この従動側用紙ガイド板51は、図1に示した用紙搬送経路12の通常経路RCの上側に沿って設けられており、用紙Pの他方の面(上面)Pbをガイドするようになっている。
【0073】
上記した従動側用紙ガイド板51は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って2分割して設けた第1分割用紙ガイド板52と第2分割用紙ガイド板53とで構成されている。
【0074】
この際、第1,第2分割用紙ガイド板52,53の分割線BLが用紙搬送方向に略沿いながら用紙搬送方向と直交する用紙幅方向の中心線近傍に設定されており、装置30の奥行き寸法Dに対して分割線BLの位置は略D/2程度に設定されている。
【0075】
そして、第1分割用紙ガイド板52は、用紙Pの搬送方向と直交する方向である引き出し方向に引き出し可能に設けられており、言い換えると、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向の一方側となる装置30のフロント側(前面側)に向って引き出し可能に設けられている。
【0076】
一方、第2分割用紙ガイド板53は、第1分割用紙ガイド板52よりも後方で、用紙幅方向の他方側となる装置30のリア側(後面側)にその位置を保持したまま上下方向に開閉可能(回動可能)に設けられている。
【0077】
更に、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52のフロント側への移動に伴って、この第1分割用紙ガイド板52を引き出しガイドするために板状に形成した一対の引き出し用ガイド部材(以下、一対の引き出し用ガイド板と記す)33,34が、第1分割用紙ガイド板52の上方に設けられている。
【0078】
即ち、一対の引き出し用ガイド部材33,34は、駆動側用紙ガイド板41及び第1分割用紙ガイド板52に対して離間して設けられている。
【0079】
また、上記した一対の引き出し用ガイド板33,34は、駆動側用紙ガイド板41の所定の横幅W1に対して用紙搬送方向の上流側の内側部位と下流側の内側部位とに間隔を隔てて用紙幅方向と略平行に設置されており、且つ、一対の引き出し用ガイド板33,34の前後が前板31と後板32とに固定支持されている。
【0080】
この際、一対の引き出し用ガイド板33,34には、第1分割用紙ガイド板52を引き出しガイドする一対のガイド溝33a,34aが貫通して用紙幅方向に長尺に形成されている。
【0081】
これら一対のガイド溝33a,34aは、フロント側が駆動側用紙ガイド板41の上面41aに対して高い高さで略平行に形成され、且つ、リア側が駆動側用紙ガイド板41の上面41aに対してフロント側よりも低い高さで略平行に形成されていると共に、中間部位をフロント側からリア側に向って徐々に高さが低くなるように傾斜して形成されている。
【0082】
そして、一対の引き出し用ガイド板33,34に形成した一対のガイド溝33a,34aは、第1分割用紙ガイド板52の上流側及び下流側に設けたピン54,55(図6)を嵌合させて、第1分割用紙ガイド板52を装置30のフロント側に引き出しガイドしながら複数の従動ローラRjを複数の駆動ローラRkからニップ解除できる形状に形成されている。
【0083】
従って、第1分割用紙ガイド板52の上流側及び下流側に設けたピン54,55(図6)は、一対の引き出し用ガイド板33,34に形成した一対のガイド溝33a,34aに嵌合する嵌合部として機能している。
【0084】
また、一対の引き出し用ガイド板33,34は、このフロント側に取り付けた一対のブラケット35,36を介して前板31の上方部位にネジ止めにより固定支持され、且つ、リア側は後板32に形成した不図示の取り付け孔に差し込まれて固定支持されている。
【0085】
そして、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52が、一対の引き出し用ガイド板33,34にガイドされて前板31に貫通して大きく開口された矩形孔31a内を進退できるようになっている。
【0086】
更に、前板31と後板32との間で、従動側用紙ガイド板51の上方の空間は開口されているので、ユーザは前板31を跨いで人手を挿入させることができるために、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52をフロント側に引き出したときに駆動側用紙ガイド板41上に搭載されたジャム用紙を人手で確実且つ容易に取り出すことができるようになっている。
【0087】
上記により、一対の引き出し用ガイド板33,34は、駆動側用紙ガイド板41の上面41a上に取り付けられていないので、先に図11を用いて説明したような隣り合う用紙搬送装置に対して用紙中継搬送部材となる用紙抑え部材241及び従動ローラ252を用紙搬送方向に固定設置せずに、後述するように、第1分割用紙ガイド板52上に用紙Pを中継搬送する部材を引き出し可能に設けることができる。
【0088】
次に、図4及び図5に示す如く、従動側用紙ガイド板51を構成する第1,第2分割用紙ガイド板52,53は、共に樹脂材を用いて各上面52a,53a側の内部が複数の補強リブにより枠組みされて剛性を有する枠体にそれぞれ形成されている。
【0089】
また、第1,第2分割用紙ガイド板52,53の各下面52b,(53b…図7)は、駆動側用紙ガイド板41(図3)の上面41aと対向してこの上面41aの形状に合わせて平坦に形成されている。
【0090】
ここで、図5及び図6(a)に示す如く、駆動側用紙ガイド板41の上方で装置30(図1図2)のフロント側に設置される従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52は、上流側及び下流側の外側面52c,52d間が駆動側用紙ガイド板41の所定の横幅W1と略同じ横幅W1で幅広く形成されている。
【0091】
また、第1分割用紙ガイド板52は、上流側の外側面52cに沿って分割線BLよりもリア側に向かって細い幅W2で翼部52eが長尺に形成されている。この翼部52eは、駆動側用紙ガイド板41との間で上流側から送られた用紙Pを抑えながら中継搬送ガイドする機能を有している。
【0092】
また、第1分割用紙ガイド板52には、第2分割用紙ガイド板53を収納するための矩形状収納部52fが、分割線BLに沿った内側後面52gと、翼部52eの後端52e1の延長線と、翼部52eの内側面52e2と、下流側の外側面52dの延長線とで矩形状に囲まれた内部に形成されている。この際、矩形状収納部52fの用紙搬送方向の幅は、後述する第2分割用紙ガイド板53の横幅W4(図7)より僅かに大きく設定されている。
【0093】
また、第1分割用紙ガイド板52は、上流側の外側面52cに沿い且つ翼部52e上に連接してガイド用翼部52hが分割線BLよりもリア側に向かって細い幅W3で高さを持って長尺に形成されている。
【0094】
また、第1分割用紙ガイド板52は、上流側のガイド用翼部52hと対向して下流側のガイド用翼部52iが、下流側の外側面52dよりも少し内側の上面52aに形成した補強リブ52r上に連接し且つ分割線BLよりもリア側に形成した矩形状収納部52f内に突出した状態で細い幅W3で高さを持って長尺に形成されている。
【0095】
そして、上流側のガイド用翼部52h及び下流側のガイド用翼部52iは、互い対称で対になっており、一対のガイド用翼部52h,52iは共にフロント側からリア側に向って徐々に高さが高く形成されている。
【0096】
この際、一対のガイド用翼部52h,52iは、第1分割用紙ガイド板52に一体形成する方法と、第1分割用紙ガイド板52とは別体に形成した後にネジなどを用いて第1分割用紙ガイド板52に一体的に取り付ける方法のどちらの方法を用いても良い。
【0097】
また、一対のガイド用翼部52h,52iのリア側には、小径ピン54と大径ピン55とが互いに内側に向かってそれぞれ固着されている。
【0098】
上記に伴って、一対のガイド用翼部52h,52iの内側面52h1,52i1と対向して一対の引き出し用ガイド板33,34(図2図3)を設置したときに、一対のガイド用翼部52h,52iに固着した各小径ピン54及び各大径ピン55を一対の引き出し用ガイド板33,34に形成した一対のガイド溝33a,34a内に引き出し自在に嵌合させている。
【0099】
更に、第1分割用紙ガイド板52の分割線BLに沿って形成した内側後面52gの上流側及び下流側には、合計で2箇所の押圧片52jが矩形状収納部52f内に向かって突出形成されている。
【0100】
そして、2箇所の押圧片52jは、後述するように第2分割用紙ガイド板53(図7)と嵌合して位置決めされながら第2分割用紙ガイド板53の前面53e(図7)側を駆動側用紙ガイド板41の上面41a(図3)側に押し付ける機能を有している。
【0101】
また、第1分割用紙ガイド板52の上面52a側には、分割線BLの近傍で用紙搬送方向の上流側と略中央部位と下流側とに箱部52kが上方を閉蓋して合計で3箇所突出形成されており、各箱部52k内に従動ローラRjが駆動ローラRk(図3)と対向するように収納されている。
【0102】
即ち、図6(b)に断面して示す如く、第1分割用紙ガイド板52に形成した箱部52k内には、従動ローラRjが用紙幅方向に沿って形成した短尺なローラ軸SAに固着され、且つ、ローラ軸SAの両端側に軸受BEがそれぞれ嵌め込まれている。
【0103】
また、箱部52k内で用紙幅方向の両側には、軸受支持用有底孔52k1がそれぞれ形成されており、これらの軸受支持用有底孔52k1内にローラ軸SAの両端側に嵌め込んだ軸受BEが上下方向に遊嵌されている。
【0104】
また、箱部52kの天面内部52k2と、両側の軸受BEとの間に圧縮バネCSがそれぞれ掛止されている。
【0105】
そして、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52が駆動側用紙ガイド板41にロックされている時に、箱部52k内の両側の圧縮バネCSの付勢力により従動ローラRjが用紙Pを介して駆動ローラRkを押圧しているので、駆動ローラRk及び従動ローラRjは用紙Pを搬送方向にニップしながら搬送する用紙搬送手段となっている。
【0106】
図6(a)に戻り、第1分割用紙ガイド板52の前面52mの用紙搬送方向の略中央部位には、取っ手52nがフロント側に向かって突出形成されており、この取っ手52nをユーザがフロント側に引くことにより第1分割用紙ガイド板52がフロント側に引き出し可能になっている。
【0107】
更に、第1分割用紙ガイド板52の前面52m側に設けた取っ手52nの後方部位には、ロック機構部56が前述した駆動側用紙ガイド板41上に設けたロック機構部44(図3)と対応して取り付けられている。
【0108】
次に、図5及び図7に示す如く、駆動側用紙ガイド板41の上方で装置30(図1図2)内のリア側に設置される従動側用紙ガイド板51の第2分割用紙ガイド板53は、前述したように、第1分割用紙ガイド板52の矩形状収納部52f(図5図6)内に収納されるので第1分割用紙ガイド板52よりも小型に形成されている。
【0109】
この際、第2分割用紙ガイド板53の上流側及び下流側の各外側面53c,53d間の横幅W4は、第1分割用紙ガイド板52の矩形状収納部52f内に収納可能なサイズに設定されている。
【0110】
そして、第2分割用紙ガイド板53も、第1分割用紙ガイド板52と同様に、駆動側用紙ガイド板41(図2図3)の上面41aと対向してこの下面53bが上流側から下流側に向かって平坦に形成されている。
【0111】
また、第2分割用紙ガイド板53の前面53eの内側部位の上流側と下流側には、合計で2箇所の凹部53fが前方及び上方を開口して凹状に形成されている。
【0112】
そして、第2分割用紙ガイド板53に形成した2箇所の凹部53f内に第1分割用紙ガイド板52に形成した2箇所の押圧片52j(図5図6)が左右方向を位置決めされて挿脱自在に嵌合し、且つ、2箇所の押圧片52jで第2分割用紙ガイド板53の前面53e側を駆動側用紙ガイド板41(図2図3)側に押圧している。
【0113】
また、第2分割用紙ガイド板53の上面53a側にも、用紙搬送方向の上流側と略中央部位と下流側とに箱部53gが上方を閉蓋して3箇所突出形成されており、各箱部53g内も先に図6(b)を用いて説明したと同様に従動ローラRjが収納されている。
【0114】
また、第2分割用紙ガイド板53のリア側には、2箇所の軸支持部53hが用紙搬送方向に間隔を離して形成されており、且つ、2箇所の軸支持部53hに回動軸57がそれぞれ上流側に向って横設されている。
【0115】
そして、第2分割用紙ガイド板53のリア側に横設した2本の回動軸57を駆動側用紙ガイド板41(図2図3)のリア側に取り付けた2箇所のブラケット(図示せず)に軸支させることで、第2分割用紙ガイド板53が上下方向に開閉可能(回動可能)になっている。
【0116】
次に、上記のように構成した本発明に係る用紙搬送装置30の動作について、図8を用いて説明する。
【0117】
図8(a),(b)は本発明に係る用紙搬送装置の動作を示している。
【0118】
尚、図8(a),(b)は駆動側用紙ガイド板及び従動側用紙ガイド板の上流側についてのみ説明し、上流側と対称な下流側の説明を省略する。
【0119】
まず、図8(a)は、用紙搬送装置30内で駆動側用紙ガイド板41の上方に従動側用紙ガイド板51の第1,第2分割用紙ガイド板52,53が収納されている収納状態を示している。
【0120】
ここで、用紙搬送装置30内で駆動側用紙ガイド板41及び上流側の引き出し用ガイド板33が前板31と後板32とに取り付けられている状態で、駆動側用紙ガイド板41と対向して従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52がフロント側に収納され、且つ、従動側用紙ガイド板51の第2分割用紙ガイド板53がリア側に収納されている。
【0121】
この際、第1分割用紙ガイド板52のガイド用翼部52hに固着させた小径ピン54及び大径ピン55は上流側の引き出し用ガイド板33のガイド溝33aのうちで駆動側用紙ガイド板41に対して低い高さ位置のリア側部位に嵌合しているので、第1分割用紙ガイド板52が高さが低い収納位置に至っている。
【0122】
また、第1分割用紙ガイド板52の前面52mに形成した取っ手52nが前板31に形成した矩形孔31aよりも前方に突出している。
【0123】
そして、第1分割用紙ガイド板52の取っ手52nの後方部位に設けたロック機構部56(図6)が駆動側用紙ガイド板41の前方部位に設けたロック機構部44(図3)にロックされている。
【0124】
従って、第1分割用紙ガイド板52がロックされている時に、用紙搬送装置30内で用紙Pを複数の駆動ローラRkと複数の従動ローラRjとで挟持搬送可能(通紙可能)な状態に至っている。
【0125】
次に、図8(b)は、用紙搬送装置30内から従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52を引き出し方向となるフロント側に引き出した引き出し完了状態を示している。
【0126】
ここで、用紙搬送装置30内の駆動側用紙ガイド板41と従動側用紙ガイド板51との間で用紙ジャムが生じたときに、ユーザは従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52を駆動側用紙ガイド板41からロックを解除して、第1分割用紙ガイド板52に形成した取っ手52nを掴みながら第1分割用紙ガイド板52をフロント側に向かって引き出しを開始する。
【0127】
そして、第1分割用紙ガイド板52のフロント側への引き出し動作に伴って、第1分割用紙ガイド板52のガイド用翼部52hに固着させた小径ピン54及び大径ピン55は、上流側の引き出し用ガイド板33のガイド溝33aのうちで駆動側用紙ガイド板41に対して高い高さ位置のフロント側部位に移動して、第1分割用紙ガイド板52が収納位置よりも高さが高い引き出し完了位置に至る。
【0128】
これに伴って、第1分割用紙ガイド板52側の従動ローラRjが駆動側用紙ガイド板41側の駆動ローラRkから離間してジャム用紙JPへのニップが解除されるので、ユーザは前板31を跨いで上方から人手によりジャム用紙JPを装置30の外に除去することができる。
【0129】
この際、従動側用紙ガイド板51の第2分割用紙ガイド板53は回動軸57を中心に上下方向に開閉可能になっているので、第1分割用紙ガイド板52を装置30のフロント側に引き出したときに、ジャム用紙JPが駆動側用紙ガイド板41と第2分割用紙ガイド板53との間に滞留している場合にユーザは必要に応じて第2分割用紙ガイド板53を開くことができる。
【0130】
次に、本発明に係る用紙搬送装置30内で一対の引き出し用ガイド板33,34を前板31と後板32とに取り付けた理由について、図9を用いて説明する。
【0131】
図9は本発明に係る用紙搬送装置を用紙搬送方向に沿って断面して示している。
【0132】
図9に示す如く、本発明に係る用紙搬送装置30では、用紙搬送方向の上流側に不図示の用紙搬送装置が隣り合って設置されていると共に、用紙搬送方向の下流側に先に図11を用いて説明した他の用紙搬送装置300が隣り合って設置されている。
【0133】
そして、他の用紙搬送装置300内に形成した用紙搬送経路301中には、用紙Pの搬送方向を切り替えるフリッパFが揺動可能に設置されており、フリッパFによって用紙搬送経路301を排紙経路RDと反転経路RRとに選択的に切り替えることができるようになっている。この際、上記した用紙搬送経路301は、図1に示したインクジェット印刷装置10内に形成した用紙搬送経路12中の排紙経路RDと反転経路RRと対応している。
【0134】
一方、本発明に係る用紙搬送装置30では、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52をフロント側に向って引き出しガイドする一対の引き出し用ガイド板33,34を、駆動側用紙ガイド板41上に取り付けることなく、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52の上方で駆動側用紙ガイド板41及び従動側用紙ガイド板51とは離間して、前板31と後板32とに取り付けている。これにより、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52は、用紙搬送方向の所定の横幅W1を先に図11を用いて説明した他例の用紙搬送装置200内に設けた従動側用紙ガイド板221よりも幅広く形成できる。
【0135】
従って、第1分割用紙ガイド板52を駆動側用紙ガイド板の所定の横幅W1と略同じ横幅W1に亘ってフロント側に引き出すことができる。
【0136】
これにより、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52上で上流側の引き出し用ガイド板33よりも更に上流側に、隣り合う不図示の用紙搬送装置との間で用紙Pを中継搬送ガイドする用紙押さえ用の翼部52eを引き出し可能に一体的に形成できる。
【0137】
また、第1分割用紙ガイド板52上で下流側の引き出し用ガイド板34よりも更に下流側に、隣り合う他の用紙搬送装置300との間で用紙Pを中継搬送するための用紙搬送中継部材となる中継用の従動ローラRjを引き出し可能に一体的に取り付けることができる。
【0138】
この際、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52が引き出し完了位置に至ったときに、第1分割用紙ガイド板52は駆動側用紙ガイド板41に対して収納位置よりも高さ高くなることは先に図8(b)を用いて説明した通りである。
【0139】
従って、先に図11を用いて説明した他例の用紙搬送装置200における上流側の場合とは異なって、上流側から送られた用紙Pが駆動側用紙ガイド板41と、第1分割用紙ガイド板52上で上流側の引き出し用ガイド板33よりも外側に形成した用紙抑え用の翼部52eとの間を通過する際に用紙ジャムが生じたときに、駆動側用紙ガイド板41と翼部52eとの間の隙間が第1分割用紙ガイド板52のフロント側への移動に伴って広がるので、上流側で隣り合う不図示の用紙搬送装置間に跨っているジャム用紙を確実且つ容易に取り出すことができ、用紙Pの搬送性能を維持できる。
【0140】
一方、先に図11を用いて説明した他例の用紙搬送装置200における下流側の場合とは異なって、第1分割用紙ガイド板52上で下流側の引き出し用ガイド板34よりも外側に取り付けた中継用の従動ローラRjと、この中継用の従動ローラRjを駆動する駆動ローラRkとの間で用紙ジャムが生じたときに、第1分割用紙ガイド板52のフロント側への移動に伴って中継用の従動ローラRjが駆動ローラRkからニップ解除されるので、下流側で隣り合う他の用紙搬送装置300間に跨っているジャム用紙JPを確実且つ容易に取り出すことができ、用紙Pの搬送性能を維持できる。
【0141】
この結果、本発明に係る用紙搬送装置30と、隣り合う他の用紙搬送装置との間で用紙Pを中継搬送する用紙中継搬送部材を、用紙搬送方向に固定設置する必要がないので、用紙搬送方向における装置30の大型化を回避しつつ、隣り合う他の用紙搬送装置との間で跨って生じたジャム用紙JPを確実且つ容易に取り出すことができる。
【0142】
更に、駆動側用紙ガイド板41及び一対の引き出し用ガイド板33,34は、共に用紙幅方向の前後が装置30のフロント側に配置した前板31及び装置30のリア側に配置した後板32に固定支持されているので、駆動側用紙ガイド板41及び一対の引き出し用ガイド板33,34の取り付け構造を簡素化できる。
【0143】
尚、以上詳述した実施形態では、駆動側用紙ガイド板(第1の用紙ガイド板)41と対向する従動側用紙ガイド板(第2の用紙ガイド板)51を第1,第2分割用紙ガイド板52,53に用紙搬送方向に2分割することで、従動側用紙ガイド板51の第1分割用紙ガイド板52を装置30のフロント側に引き出したときの引き出し面積を狭く抑えることができるが、これに限ることなく、駆動側用紙ガイド板41と対向する従動側用紙ガイド板51を用紙幅方向に2分割しないで第1,第2分割用紙ガイド板の機能を備えて一体的に形成することも可能である。
【0144】
この場合でも、一体形成した不図示の従動側用紙ガイド板をフロント側に向かって引き出しガイドする一対の引き出し用ガイド板33,34を、駆動側用紙ガイド板41上に取り付けることなく、一体形成した不図示の従動側用紙ガイド板の上方で駆動側用紙ガイド板41及び一体形成した不図示の従動側用紙ガイド板とは離間して設置すれば、一体形成した従動側用紙ガイド板の引き出し動作に伴って、隣り合う用紙搬送装置間で生じるジャム用紙を確実且つ容易に取り出すことができる。
【0145】
また、引き出し用ガイド板33,34は、第1分割用紙ガイド板52の上流側及び下流側に設けたピン54,55(図6)を嵌合させて、第1分割用紙ガイド板52を装置30のフロント側に引き出しガイドしながら複数の従動ローラRjを複数の駆動ローラRkからニップ解除できる形状に形成されているが、ピンに限らず、引き出し用ガイド板33,34に沿って摺動できる摺動部材であっても良い。
【0146】
また、引き出し用ガイド板33,34は、必ずしも二つ設ける必要はなく、従動側用紙ガイド板の用紙搬送方向における中央付近に一つだけ設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0147】
10…インクジェット印刷装置、11…印刷装置筐体、12…用紙搬送経路、
23…インクジェット印刷部、28…制御部、
30…用紙搬送装置、
31…前板、31a…矩形孔、32…後板、
33,34…一対の引き出し用ガイド部材(一対の引き出し用ガイド板)、
33a,34a…ガイド溝、35,36……ブラケット、
41…第1の用紙ガイド板(駆動側用紙ガイド板)、
41a…上面、41b…下面、41c…ローラ逃げ孔、41d…指孔、
42F,42R…ブラケット、43…駆動軸、44…ロック機構部、
51…第2の用紙ガイド板(従動側用紙ガイド板)、
52…第1分割用紙ガイド板、
52a…上面、52b…下面、52c…上流側の外側面、52d…下流側の外側面、
52e…翼部、52f…矩形状収納部、52g…内側後面、
52h,52i…ガイド用翼部、52j…押圧片、52k…箱部、52m…前面、
52n…取っ手、52r…補強リブ、
53…第2分割用紙ガイド板、
53a…上面、53b…下面、53c…上流側の外側面、53d…下流側の外側面、
53e…前面、53f…凹部、53g…箱部、53h…軸支持部
54…小径ピン、55…大径ピン、56…ロック機構部、57…回動軸、
BL…分割線、P…用紙、Pa…一方の面(下面)、Pb…他方の面(上面)、
Pc…左側端部、Pd…右側端部、JP…ジャム用紙、F…フリッパ、
R…用紙搬送ローラ対、Rk…搬送ローラ(駆動ローラ)、Rj…従動ローラ。
図1
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