(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、下前壁の外側面に付着した雨水を捕集することができない。換言すると、軒樋の側壁の外側面を伝って軒下へ落下する雨垂れの発生を抑制するには、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、軒樋の側壁の外側面を伝って軒下へ落下する雨垂れの発生を抑制することができる軒樋を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る軒樋は、建物の軒先に設けられ、該建物の外壁に沿って配置された縦壁と、該縦壁と奥行方向で対向する側壁とを有し、雨水を集水する第1集水部と、前記第1集水部よりも下側に前記第1集水部と一体に設けられ、前記側壁の外側面を伝って流れた雨水を集水する第2集水部と、を有する。
【0007】
第1の態様に係る軒樋では、雨水が第1集水部で集水される。ここで、第1集水部の側壁に外側から吹き込んできた雨水は、第1集水部の側壁の外側面を伝って流れる。そして、外側面を伝って流れてきた雨水は、第1集水部よりも下側に設けられた第2集水部で集水される。これにより、第2集水部が無い構成に比べて、第1集水部の側壁の外側面から軒下へ落下する雨水の量が低減されるので、軒樋の側壁の外側面を伝って軒下へ落下する雨垂れの発生を抑制することができる。
【0008】
第2の態様に係る軒樋の前記第1集水部の底部には、前記第1集水部よりも下側に延び前記第1集水部の雨水を前記第2集水部側に流下させる第1筒部が設けられ、前記第2集水部の底部には、前記第2集水部よりも下側に延び、前記第1筒部が隙間をあけて挿入され、前記第2集水部の雨水を縦樋に流下させる第2筒部が設けられている。
【0009】
第2の態様に係る軒樋では、第1集水部の雨水が第1筒部内を流れて縦樋内へ流下すると共に、第2集水部の雨水が第2筒部内を流れて縦樋内へ流下する。ここで、第1筒部が第2筒部内に挿入されているので、第1筒部内を流れた雨水が第2集水部に流入することが抑制される。また、第1筒部と第2筒部とが隙間をあけて配置されているので、第1筒部内を流れた雨水が縦樋へ流入するときに生じる負圧によって、第2集水部の雨水が第1筒部と第2筒部との隙間へ吸引される。これにより、本構成を有していないものと比べて、第2集水部に残留する雨水の量を低減させることができる。
【0010】
第3の態様に係る軒樋の前記側壁の下端には、前記外側面を流れた雨水を前記外壁側に案内する案内面が形成されている。
【0011】
第3の態様に係る軒樋では、第1集水部の側壁の外側面を流れて案内面に到達した雨水は、案内面に案内されて建物の外壁側に向けて流れる。これにより、側壁の下端に角部が形成された構成に比べて、側壁の下端に雨水が滞留することが抑制されるので、側壁の下端から軒下への雨水の落下(雨垂れ)の発生を抑制することができる。
【0012】
第4の態様に係る軒樋の前記第2集水部の上端の前記奥行方向の幅は、前記第1集水部の下端の前記奥行方向の幅よりも短い。
【0013】
第4の態様に係る軒樋では、第2集水部の上端の奥行方向の幅が第1集水部の下端の奥行方向の幅よりも短いので、第1集水部の側壁の湾曲方向又は傾斜方向に沿って第2集水部の側壁を配置することが可能となる。これにより、軒樋を奥行方向に見たとき、第1集水部及び第2集水部が1つの部材として認識され易くなるので、軒樋の見栄えをよくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様に係る軒樋では、軒樋の側壁の外側面を伝って軒下へ落下する雨垂れの発生を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0015】
第2の態様に係る軒樋では、第2集水部に残留する雨水の量を低減させることができるという優れた効果を有する。
【0016】
第3の態様に係る軒樋では、側壁の下端から軒下へ落下する雨垂れの発生を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0017】
第4の態様に係る軒樋では、軒樋の見栄えをよくすることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態に係る軒樋の一例について説明する。
【0020】
〔全体構成〕
図1に示すように、建物10は、一例として、基礎12上に据え付けられた一階部分14と、一階部分14上に据え付けられた二階部分16と、二階部分16の上部の外側に設けられた後述する軒樋60と、縦樋18とを有している。一階部分14及び二階部分16は、一例として、それぞれ図示しない複数個の建物ユニットにより構成されている。また、建物10は、一例として、後述する陸屋根32を有している。
【0021】
なお、以後の説明では、建物10の一つの外壁面19における軒樋60の幅方向をX方向(図中の矢印X)、軒樋60の長手方向をY方向(図中の矢印Y)、建物10の高さ方向をZ方向(図中の矢印Z)と称する。X方向及びY方向は、水平方向の一例である。また、X方向は、該X方向に見て軒樋60と後述する外壁材24(
図2参照)とが重なる方向であり、奥行方向の一例である。
【0022】
図2に示すように、建物10は、壁フレーム22を有している。壁フレーム22は、Y方向に所定の間隔をあけて複数配置されると共に、それぞれZ方向に沿って延設されている。壁フレーム22のX方向の外側には、Y−Z面に沿って配置された板状の外壁の一例としての外壁材24が、スクリューからなる図示しない締結部材により締結されている。壁フレーム22のZ方向上端には、横桟26がY方向に沿って掛け渡されている。
【0023】
横桟26は、X−Z断面がU字形状となっており、壁フレーム22上に配置されている。そして、外壁材24の上部は、スクリューからなる締結部材27によって、横桟26に固定されている。また、壁フレーム22のX方向の屋内側には、図示しない天井梁が設けられている。天井梁には、図示しない屋根フレームが取り付けられており、該屋根フレームの上方には、建物10の屋根部を構成する陸屋根32が設けられている。
【0024】
陸屋根32は、Z方向に沿って下側から順に配置された野地板34、断熱材36及び鋼板役物38を含んで構成されている。鋼板役物38は、一例として、DN鋼板により形成されており、断熱材36上にX−Y面に沿って設置されている。また、鋼板役物38の外側の端部には、Y−Z面に沿って側壁部39が一体に設けられている。側壁部39は、外壁材24のX方向外側に外壁材24と平行に配置されている。
【0025】
建物10の軒先20には、軒先構造40が設けられている。軒先構造40は、一例として、水切材50と、軒樋60と、吊具52とを有している。水切材50は、鋼板役物38の側壁部39と共に外壁材24に取り付けられた縦壁部50Aと、縦壁部50AのZ方向上端から外側に向けて先端が下がるように傾斜した傾斜部50Bとを有している。吊具52は、縦壁部50A及び側壁部39と共に外壁材24に取り付けられた縦壁部52Aと、縦壁部52AからX方向の外側へ延出されたアーム部52Bと、アーム部52BのX方向外側及び内側に形成された引掛部52C、52Dとを有している。
【0026】
〔要部構成〕
次に、軒樋60について説明する。
【0027】
図2に示すように、軒樋60は、雨水を集水する第1集水部62と、第1集水部62よりもZ方向下側に第1集水部62と一体成形され、雨水を集水する第2集水部64とを有している。第1集水部62の後述する底壁62Bには、第1集水部62の雨水を第2集水部64側に流下させる第1筒部の一例としての第1筒部材66が設けられている。第2集水部64の後述する底壁64Aには、第2集水部64の雨水を縦樋18に流下させる第2筒部の一例としての第2筒部材68が設けられている。
【0028】
<第1集水部>
第1集水部62は、一例として、外壁材24に沿って配置された縦壁62Aと、縦壁62AのZ方向中央部よりも下側から外側へ延びる底壁62Bと、底壁62BのX方向外端部から斜め方向に延びる側壁の一例としての湾曲壁62Cとを有している。底壁62Bは、第1集水部62の底部の一例である。
【0029】
縦壁62Aは、X方向を板厚方向とする板状に形成されており、外壁材24と間隔をあけて配置されている。また、縦壁62AのZ方向上端でかつ第1集水部62の内側には、Z方向下側へ向けて開口した溝部62Dが形成されている。溝部62Dは、吊具52の引掛部52Dと係合可能になっている。さらに、縦壁62Aは、第1集水部62よりもZ方向下側へ延びており、第2集水部64の一部も構成している。
【0030】
底壁62BのX方向の幅(第1集水部62の下端のX方向の長さ)をL1とする。即ち、幅L1は、縦壁62Aから湾曲壁62Cの下端までの幅である。また、底壁62BのX方向中央部よりも縦壁62A側には、Z方向に貫通した貫通孔62Fが形成されている。貫通孔62Fは、一例として、Z方向に見て円形となっている。さらに、
図5に示すように、底壁62Bは、一例として、縦壁62A(
図2参照)側が湾曲壁62C側よりもZ方向で低くなるように、X方向に沿った水平面Mに対して角度θで傾斜している。なお、底壁62BのZ方向下側の面を下面62Gと称する。
【0031】
図2に示すように、湾曲壁62Cは、縦壁62Aから離れる側(外側)へ、底壁62Bの外端部から斜め上方へ延びており、斜め下方に向けて凸状に湾曲している。また、湾曲壁62Cは、X方向で縦壁62Aと対向している。さらに、湾曲壁62CのZ方向上端の位置は、縦壁62AのZ方向上端の位置よりも高い位置となっている。加えて、湾曲壁62CのZ方向上端部には、Z方向下側へ向けて開口した溝部62Eが形成されている。溝部62Eは、吊具52の引掛部52Cと係合可能になっている。
【0032】
図5に示すように、湾曲壁62Cの側面のうち、X方向外側の側面を外側面62Hと称する。また、外側面62Hの曲率半径をR1とする。ここで、下面62GのX方向外端でかつ外側面62HのZ方向下端となる部位には、案内面63が形成されている。案内面63は、底壁62Bと湾曲壁62Cとが繋がる部分の外側の面であり、下面62G及び外側面62Hと連続した面である。また、案内面63は、一例として、斜め下方に向けて凸状に湾曲された湾曲面である。案内面63の曲率半径をR2とすると、本実施形態では、R1>R2となっている。これにより、案内面63は、外側面62Hを流れた雨水を底壁62B(下面62G)における建物10の外壁材24側(
図2参照)に案内するようになっている。
【0033】
<第2集水部>
図3に示すように、第2集水部64は、第1集水部62よりも下側に配置されている。また、第2集水部64は、第1集水部62と同様にY方向を長手方向として延びている。なお、第2集水部64のY方向の長さは、一例として、第1集水部62のY方向の長さと同じ長さになっている。さらに、第2集水部64のY方向両端の位置と、第1集水部62のY方向両端の位置とは、揃えられている。即ち、第1集水部62の外側面62H及び案内面63を流れた雨水が、下面62Gに到達して、第2集水部64に集水されるようになっている。
【0034】
図2に示すように、第2集水部64は、一例として、縦壁62AのZ方向下部と、縦壁62Aの下端からX方向外側へ延びる底壁64Aと、底壁64AのX方向外端部から斜め方向に延びる湾曲壁64Bとを有している。底壁64Aは、X−Y面に沿っている。また、底壁64AのX方向の幅は、底壁62BのX方向の幅L1よりも短くなっている。底壁64Aは、第2集水部64の底部の一例である。
【0035】
湾曲壁64Bは、縦壁62Aから離れる側へ向けて、底壁64Aの外端部から斜め上方へ延びており、斜め下方に向けて凸状に湾曲している。また、湾曲壁64Bは、X方向で縦壁62Aの下部と対向している。さらに、湾曲壁64BのZ方向上端と底壁62Bとの間には、間隔d1が形成されている。なお、湾曲壁64BのZ方向上端には、溝部は形成されていない。
【0036】
加えて、縦壁62Aの下部から湾曲壁64Bの上端までのX方向の幅(第2集水部64の上端のX方向の長さ)をL2とすると、L1>L2となっている。また、第2集水部64のZ方向の深さは、第1集水部62のZ方向の深さよりも浅くなっている。即ち、第2集水部64の容積は、第1集水部62の容積よりも小さくなっている。
【0037】
また、第2集水部64には、底壁64Aの一部と湾曲壁64Bの一部とに跨って、Z方向に貫通した貫通孔64Cが形成されている。貫通孔64Cは、一例として、Z方向に見て円形となっている。また、貫通孔64Cの直径は、貫通孔62Fの直径よりも大きくなっている。さらに、貫通孔64Cの直径は、一例として、縦樋18の内径とほぼ同じ大きさとされている。加えて、貫通孔64CのZ方向に沿った中心軸と、貫通孔62FのZ方向に沿った中心軸とは、X−Y面内でほぼ同じ位置に揃えられている。ここで、軒樋60が建物10の軒先20に設けられた状態において、貫通孔62F及び貫通孔64Cは、縦樋18のZ方向上側に配置されるように並んでいる。
【0038】
<第1筒部材>
図4に示すように、第1筒部材66は、一例として、Z方向を軸方向とする円筒状の筒部66Aと、筒部66AのZ方向上端から径方向に張り出された環状のフランジ部66Bとを有している。
【0039】
図6(A)に示すように、筒部66Aの外径は、貫通孔62Fの孔径とほぼ同じ大きさとされており、貫通孔62Fに筒部66Aが挿入されている。また、筒部66AのZ方向の長さは、第1筒部材66を第1集水部62に設けた(取り付けた)状態で、筒部66AのZ方向下端が縦樋18の内側に配置される長さとなっている。即ち、筒部66Aは、第1集水部62よりもZ方向下側に延びている。
【0040】
第1集水部62では、貫通孔62FにZ方向上側から筒部66Aを挿入することで、フランジ部66Bが底壁62Bの上面と接触し、第1筒部材66が第1集水部62に設けられている。なお、第1筒部材66の固定方法としては、フランジ部66Bと底壁62Bとを接着剤で接着する方法や、筒部66Aを貫通孔62Fに圧入する方法がある。
【0041】
<第2筒部材>
図4に示すように、第2筒部材68は、一例として、Z方向を軸方向とする円筒状の筒部68Aと、筒部68AのZ方向上部から径方向に張り出された環状のフランジ部68Bと、フランジ部68Bの筒部68A側とは反対側に突出した取付部68Cとを有している。換言すると、取付部68Cは、筒部68AのZ方向上端部を構成している。また、第2筒部材68では、筒部68AのZ方向上端から取付部68CのZ方向の高さに相当する長さだけZ方向に下がった位置にフランジ部68Bが形成されている。
【0042】
図6(A)に示すように、筒部68Aの外径は、縦樋18の内径とほぼ同じ大きさとされており、縦樋18に筒部68Aが挿入されている。また、筒部68Aの内径は、筒部66Aの外径よりも大きくなっており、筒部68Aの内壁面と筒部66Aの外壁面との間には、径方向で隙間d2が形成されている。さらに、筒部68AのZ方向の長さは、一例として、第2筒部材68を第2集水部64に設けた(取り付けた)状態で、筒部68AのZ方向下端が、縦樋18の内側に配置されかつ筒部66AのZ方向下端よりもZ方向上側に位置する長さとなっている。即ち、筒部68Aは、第2集水部64よりもZ方向下側に延びている。そして、第2筒部材68には、第1筒部材66が隙間d2をあけて挿入されている。
【0043】
取付部68Cは、一例として、筒部68Aと同軸に配置されて円筒状に形成されており、取付部68Cの外径、内径は、筒部68Aの外径、内径と同じ大きさとなっている。また、取付部68Cの外径は、貫通孔64Cの内径とほぼ同じ大きさとされており、貫通孔64Cの孔壁と取付部68Cの外周面とが接触している。さらに、取付部68CのZ方向の長さは、底壁64AのZ方向の長さとほぼ同じ長さとなっている。
【0044】
第2集水部64では、貫通孔64CにZ方向下側から取付部68Cを挿入することで、フランジ部68Bが底壁64Aの下面と接触し、第2筒部材68が第2集水部64に設けられている。なお、第2筒部材68の固定方法としては、フランジ部68Bと底壁64Aとを接着剤で接着する方法や、取付部68Cを貫通孔64Cに圧入する方法がある。
【0045】
<軒樋の設置方法>
次に、軒樋60の設置方法の一例について説明する。
【0046】
図3に示すように、軒樋60の底壁62Bに貫通孔62Fを形成し、底壁64Aに貫通孔64Cを形成する。なお、貫通孔62F、64Cの形成は、建物10(
図1参照)の建築現場及び軒樋60の成形工場のどちらで行ってもよい。
【0047】
図6(A)に示すように、貫通孔62FにZ方向上側から筒部66Aが挿入され、フランジ部66Bが底壁62Bに固定される。また、貫通孔64CにZ方向下側から取付部68Cが挿入され、フランジ部68Bが底壁64Aに固定される。これにより、軒樋60に第1筒部材66及び第2筒部材68が固定される。
【0048】
図2に示すように、建物10に水切材50及び吊具52が取り付けられた後で、軒樋60の溝部62E、62Dが吊具52の引掛部52C、52Dに引っ掛けられる。そして、第2筒部材68の筒部68Aが縦樋18の上端部に挿入された後で、縦樋18が外壁材24に固定される。これにより、吊具52が軒樋60を支持し、軒先構造40が出来上がる。ここで、軒樋60では、第1筒部材66が第1集水部62の雨水を第2集水部64側(縦樋18)に流下させるようになっている。また、第2筒部材68が第2集水部64の雨水を縦樋18に流下させるようになっている。
【0049】
〔作用〕
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0050】
図7には、軒先構造40における雨水の流れの一部が模式的に示されている。なお、
図7では、水切材50の一部及び吊具52(
図2参照)の図示を省略している。
【0051】
軒先構造40では、降雨時に水切材50の傾斜部50Bの上面を雨水A(矢印Aで示す)が流れる。この雨水Aは、傾斜部50Bの先端から軒樋60の第1集水部62内に落下して集水される。また、第1集水部62の湾曲壁62Cの内側に降った雨水B(矢印Bで示す)は、湾曲壁62Cの内側面62Iを伝って第1集水部62に集水される。
【0052】
第1集水部62の湾曲壁62Cに外側から吹き込んできた雨水C(矢印Cで示す)は、重力の分力の作用により、湾曲壁62Cの外側面62Hを伝って流れる。そして、外側面62Hを伝って流れてきた雨水Cは、案内面63により底壁62Bの下面62Gへ案内される。下面62Gでは、雨水Cが集まることで雨垂れとなり、第2集水部64内に落下する。そして、雨水Cは、第1集水部62よりも下側に設けられた第2集水部64で集水される。
【0053】
このように、軒樋60では、外側面62Hに付着した雨水Cが第2集水部64で集水されるので、第2集水部64が無い構成に比べて、外側面62Hから図示しない軒下へ落下する雨水Cの量が低減される。つまり、軒樋60では、第2集水部64が無い構成に比べて、外側面62Hを伝って軒下13(
図1参照)へ落下する雨垂れの発生を抑制することができる。
【0054】
また、
図6(B)に示すように、軒樋60では、第1集水部62の雨水A、Bが第1筒部材66内を流れて縦樋18内へ流下すると共に、第2集水部64の雨水Cが第2筒部材68内を流れて縦樋18内へ流下する。ここで、第1筒部材66の筒部66Aが第2筒部材68の筒部68Aに挿入されている。即ち、第1筒部材66内を流下した雨水A、Bは、第2集水部64の底壁64Aよりも下側で筒部66Aから排出されるので、第1筒部材66内を流れた雨水A、Bが第2集水部64内に流入することが抑制される。
【0055】
さらに、軒樋60では、第1筒部材66の筒部66Aと第2筒部材68の筒部68Aとが隙間d2(
図6(A)参照)をあけて配置されている。ここで、筒部66A内を流れた雨水A、Bが縦樋18内に流下することで、縦樋18内の空気が下側へ押し出される。これにより、筒部66Aと筒部68Aとの隙間の空間には負圧が生じる。この負圧により、第2集水部64の雨水C(大気圧状態)が筒部66Aと筒部68Aとの間へ吸引される。このように、軒樋60では、筒部66Aと筒部68Aとの隙間に生じる負圧を利用して雨水Cを吸引するので、本構成を有していないものと比べて、第2集水部64に残留する雨水Cの量を低減させることができる。
【0056】
加えて、
図7に示す軒樋60では、既述のように、第1集水部62の外側面62Hを流れて案内面63に到達した雨水Cが、湾曲面で構成された案内面63に案内されて外壁材24(
図2参照)側に向けて流れる。これにより、湾曲壁62Cの下端に角部が形成された構成に比べて、湾曲壁62Cの下端に雨水Cが滞留することが抑制されるので、湾曲壁62Cの下端から軒下13(
図1参照)への雨水Cの落下(雨垂れ)の発生を抑制することができる。さらに、底壁62Bが水平面M(
図5参照)に対して角度θ(
図5参照)で傾いているので、案内面63に到達した雨水Cが下面62Gの外壁材24側(縦壁62A側)へ流れ易くなり、案内面63での雨水Cの滞留を抑制できる。
【0057】
また、
図2に示すように、軒樋60では、第2集水部64のZ方向上端のX方向の幅L2が、第1集水部62のZ方向下端のX方向の幅L1よりも短い。このため、第1集水部62の湾曲壁62Cの湾曲方向を示す図示しない線上に(該湾曲方向に沿って)第2集水部64の湾曲壁64Bを配置することが可能となっている。これにより、軒樋60をX方向の屋内側に向けて見たとき、第2集水部64が第1集水部62よりも手前側に突出せず、第1集水部62及び第2集水部64が、連続する1つの部材として認識され易くなるので、軒樋60の見栄えをよくすることができる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0059】
<変形例>
図8には、本実施形態の変形例としての軒樋80が示されている。軒樋80は、建物10(
図2参照)において、軒樋60(
図2参照)に換えて設けられている。なお、既述の実施形態と同様の構成である部材及び部位については、同じ符号を用いて説明を省略する。同様の構成とは、大きさや形状が一部異なっていても、同様の作用が得られる構成を意味している。また、
図8では、水切材50、吊具52及び建物10(
図2参照)の図示を省略している。
【0060】
軒樋80は、第1集水部82と第2集水部84とを有し、これらが一体成形されている。また、軒樋80の第2集水部84は、上集水部86、中集水部88及び下集水部92の3段構成とされている。即ち、軒樋80は、一例として、合計4段の集水部で構成されている。
【0061】
第1集水部82は、Y−Z面に沿った縦壁82Aと、縦壁82AのZ方向上部からX方向に沿って外側へ延びる底壁82Bと、底壁82BのX方向外端部から斜め方向に延びる湾曲壁62Cとを有している。縦壁82Aは、X方向を板厚方向とする板状に形成されており、建物10(
図2参照)側に配置されている。また、縦壁82AのZ方向上端には、溝部62Dが形成されている。縦壁82Aと湾曲壁62Cとは、X方向で対向している。
【0062】
さらに、縦壁82Aは、第1集水部82よりもZ方向下側へ下集水部92まで延びており、第2集水部84の一部も構成している。底壁82BのX方向中央部よりも縦壁82A側には、Z方向に貫通した貫通孔82Cが形成されている。底壁82Bと湾曲壁62Cとが繋がる部分の外側には、案内面63が形成されている。
【0063】
上集水部86は、縦壁82Aと、縦壁82AのZ方向中央部からX方向に沿って外側へ延びる底壁86Aと、底壁86AのX方向外端部から斜め方向に延びる湾曲壁86Bとで構成されている。底壁86AのX方向中央部よりも縦壁82A側には、Z方向に貫通した貫通孔86Cが形成されている。底壁86Aと湾曲壁86Bとが繋がる部分の外側には、案内面63が形成されている。縦壁82Aと湾曲壁86Bとは、X方向で対向している。湾曲壁86BのZ方向上端は、底壁82Bと間隔をあけて配置されている。また、湾曲壁86BのZ方向上端から縦壁82AまでのX方向の長さは、底壁82BのX方向の長さよりも短くなっている。
【0064】
中集水部88は、縦壁82Aと、縦壁82AのZ方向中央部よりも下側からX方向に沿って外側へ延びる底壁88Aと、底壁88AのX方向外端部から斜め方向に延びる湾曲壁88Bとで構成されている。底壁88AのX方向中央部よりも縦壁82A側には、Z方向に貫通した貫通孔88Cが形成されている。底壁88Aと湾曲壁88Bとが繋がる部分の外側には、案内面63が形成されている。縦壁82Aと湾曲壁88Bとは、X方向で対向している。湾曲壁88BのZ方向上端は、底壁86Aと間隔をあけて配置されている。また、湾曲壁88BのZ方向上端から縦壁82AまでのX方向の長さは、底壁86AのX方向の長さよりも短くなっている。
【0065】
下集水部92は、縦壁82Aと、縦壁82AのZ方向下端からX方向に沿って外側へ延びる底壁64Aと、湾曲壁64Bとで構成されている。縦壁82Aと湾曲壁64Bとは、X方向で対向している。湾曲壁64BのZ方向上端は、底壁88Aと間隔をあけて配置されている。また、湾曲壁64BのZ方向上端から縦壁82AまでのX方向の長さは、底壁88AのX方向の長さよりも短くなっている。底壁64Aの貫通孔64Cには、第2筒部材68が取り付けられている。そして、第2筒部材68は、縦樋18に取り付けられている。なお、貫通孔82C、86C、88C、64Cは、Z方向に見て重なる位置に形成されている。
【0066】
ここで、軒樋80では、降雨時に第1集水部82で集水された雨水が、貫通孔82Cを通って上集水部86へ流れる。また、湾曲壁62Cに吹き込んできた雨水が、外側面62H及び案内面63を伝って流れ、上集水部86で集水される。上集水部86で集水された雨水は、貫通孔86Cを通って中集水部88へ流れる。また、湾曲壁86Bに吹き込んできた雨水は、湾曲壁86Bの外側面86D及び案内面63を伝って流れ、中集水部88で集水される。
【0067】
中集水部88で集水された雨水は、貫通孔88Cを通って下集水部92へ流れる。また、湾曲壁88Bに吹き込んできた雨水は、湾曲壁88Bの外側面88D及び案内面63を伝って流れ、下集水部92で集水される。そして、第1集水部82、上集水部86及び中集水部88を流れた雨水と、下集水部92で集水された雨水とは、第2筒部材68内を通って縦樋18内へ流れる。
【0068】
このように、軒樋80では、第2集水部84が複数段(3段)で構成されているので、第2集水部84を下集水部92のみで構成した場合に比べて、第2集水部84の容積が大きくなっている。即ち、第2集水部84が第1集水部82からの雨垂れを抑制することができると共に、第2集水部84における雨水の集水(捕集)能力を向上させることができる。また、軒樋80では、第1集水部82から下集水部92まで、下側の方が上側よりもX方向の長さ(見付)が短くなっているので、軒樋80をX方向に見たときに第1集水部82及び第2集水部84が1つの部材として認識され易くなる。これにより、軒樋80の見栄えをよくすることができる。
【0069】
<他の変形例>
建物10は、陸屋根32を有するものに限らず、傾斜屋根を有するものであってもよい。また、建物10は、複数個の建物ユニットにより構成されるユニット建物に限らず、例えば、鉄骨軸組工法の建物であってもよい。
【0070】
軒樋60は、第1筒部材66及び第2筒部材68が無く、貫通孔62F、64Cを通って縦樋18に雨水を流すものであってもよい。また、軒樋60は、案内面63が形成されていないものであってもよい。さらに、軒樋60は、X方向の幅L2が、X方向の幅L1よりも長いものであってもよい。加えて、第1集水部62と第1筒部材66、第2集水部64と第2筒部材68が、一体成形されたものであってもよい。
【0071】
軒樋80は、第2筒部材68が無く、貫通孔82C、86C、88C、64Cを通って縦樋18に雨水を流すものであってもよい。また、軒樋80は、案内面63が形成されていないものであってもよい。さらに、軒樋80は、下側の集水部のX方向の幅が、上側の集水部のX方向の幅よりも長いものであってもよい。
【0072】
第1集水部62と第2集水部64、第1集水部82と第2集水部84について、側壁の上端の位置と縦壁の上端の位置とは同じでもよい。また、側壁の上端の位置が縦壁の上端の位置よりも低くなっていてもよい。さらに、側壁が第1集水部の底壁を兼ねていてもよい。
【0073】
湾曲壁62C、86B、88B、64Bは、水平面MのX方向に対して交差する方向に傾斜した傾斜壁であってもよい。
【0074】
案内面63は、第2集水部によって軒下への雨垂れが抑制される場合は、湾曲面に限らず、水平面MのX方向に対して傾斜した傾斜面であってもよい。また、案内面63の曲率半径R2は、湾曲壁62Cの曲率半径R1に関係無く独立して設定してよい。底壁62Bの水平面Mに対する角度θは、自由に設定してよい。角度θ=0〔°〕であってもよい。
【0075】
第1筒部材66には、ごみ等を除去しつつ雨水を通過させるドレンが取り付けられていてもよい。筒部66A、68Aの形状は、円形状に限らず、多角形状であってもよい。また、筒部66Aの下端が、筒部68A内に位置し、あるいは、底壁64Aよりも上側に位置していてもよい。