特許第6612549号(P6612549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612549
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/18 20060101AFI20191118BHJP
   B60C 9/08 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B60C9/18 K
   B60C9/08 N
   B60C9/08 E
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-150097(P2015-150097)
(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公開番号】特開2017-30413(P2017-30413A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】西田 雄哉
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−196994(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080373(WO,A1)
【文献】 特開平03−200403(JP,A)
【文献】 特開平11−235904(JP,A)
【文献】 特開平08−058310(JP,A)
【文献】 特開平11−170809(JP,A)
【文献】 特開2008−001264(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/010093(WO,A1)
【文献】 特開昭63−188502(JP,A)
【文献】 特開平10−006718(JP,A)
【文献】 特開平03−010904(JP,A)
【文献】 特開平01−083404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/08、9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーカスとトレッド部との間に配置されたベルト層を備える空気入りタイヤであって、
前記ベルト層は、第1の主作用ベルトと、前記第1の主作用ベルトのタイヤ径方向外側に配置され、前記第1の主作用ベルトのコード角度とはタイヤ周方向に対する向きが異なるコード角度を有する第2の主作用ベルトと、補強ベルトとを備え、
前記補強ベルトのコード角度は、6度以上9度以下であり、
前記補強ベルトの幅は、タイヤ断面幅の50%以上であって前記第1及び第2の主作用ベルトのうち狭幅のものよりも狭く、
規定リムに装着して規定内圧を充填したとき、前記カーカスの最大幅点とビードヒール位置とを結んだ直線と、前記最大幅点を通るタイヤ高さ方向に延びる直線とがなす鋭角である第1の傾斜角度が、20±5度であり、
前記規定リムに装着し前記規定内圧を充填したとき、前記最大幅点と前記トレッド部の接地端部とを結んだ直線と、前記最大幅点を通るタイヤ径方向に延びる前記直線とがなす鋭角である第2の傾斜角度が、15±10度である、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記補強ベルトは、前記第1の主作用ベルトと前記第2の主作用ベルトとの間に配置されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第1及び第2の主作用ベルトのコード角度は20±10度である、請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1及び第2の主作用ベルトのコード角度は17±5度である、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ベルト層は、前記第2の主作用ベルトのタイヤ径方向外側に配置された保護ベルトをさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ベルト層は、前記第1の主作用ベルトのタイヤ径方向内側に配置された緩衝ベルトをさらに備える、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
扁平率70%以下で断面幅の呼びが365以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バスのような車両で使用される重荷重用の空気入りラジアルタイヤでは、カーカスとトレッド部との間に設けられたベルト層に、タイヤ周方向に対するコードの傾斜角度(コード角度)が0度から5度程度の小角度に設定された補強ベルトを設けることが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。補強ベルトは、タイヤの径方向成長の抑制を意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45334号公報
【特許文献2】特開2010−126123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補強ベルトのコード角度が0度から5度程度の小角度である場合、トレッド部の形状保持力が高まり、ベルト端部での歪みが小さくなるため、ベルト耐久力の点では有利である。
【0005】
しかし、補強ベルトのコード角度が0度から5度程度の小角度であると、タイヤ径方向の拘束力が過剰となり、タイヤ幅方向の変形が大きくなる傾向がある。タイヤ幅方向の変形が大きくなると、ビード部からタイヤ断面最大幅にかけての範囲での変形が大きくなる。その結果、ビード部の歪みが大きくなり、ビード部におけるセパレーション等の故障の生じにくさ(ビード耐久力)が低下する。
【0006】
本発明は、空気入りタイヤにおいて、タイヤの径方向成長の抑制効果とベルト耐久力とを確保しつつ、ビード耐久力を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カーカスとトレッド部との間に配置されたベルト層を備える空気入りタイヤであって、前記ベルト層は、第1の主作用ベルトと、前記第1の主作用ベルトのタイヤ径方向外側に配置され、前記第1の主作用ベルトのコード角度とはタイヤ周方向に対する向きが異なるコード角度を有する第2の主作用ベルトと、補強ベルトとを備え、前記補強ベルトのコード角度は、6度以上9度以下であり、前記補強ベルトの幅は、タイヤ断面幅の50%以上であって前記第1及び第2の主作用ベルトのうち狭幅のものよりも狭く、規定リムに装着して規定内圧を充填したとき、前記カーカスの最大幅点とビードヒール位置とを結んだ直線と、前記最大幅点を通るタイヤ高さ方向に延びる直線とがなす鋭角である第1の傾斜角度が、20±5度であり、前記規定リムに装着し前記規定内圧を充填したとき、前記最大幅点と前記トレッド部の接地端部とを結んだ直線と、前記最大幅点を通るタイヤ径方向に延びる前記直線とがなす鋭角である第2の傾斜角度が、15±10度である、空気入りタイヤを提供する。
【0008】
本明細書において、「コード角度」とは、ベルトやプライのコードがタイヤ周方向となす鋭角である。コードがタイヤ周方向に延びる場合、コード角度は0度である。
【0009】
補強ベルトのコード角度を、0度以上5度以下のような小角度(実質的に0度とみなし得る角度又はそれに近い角度)ではなく、6度以上9度以下に設定している。この構成により、補強ベルトによるタイヤ径方向の拘束力が過度に強くなることを回避できるので、タイヤ幅方向への過度な変形を抑制できる。その結果、ビード部に生じる歪みを抑制できる。
【0010】
第1の傾斜角度は、無負荷状態でのビード部(サイドウォール部のうちビード部に隣接する部分を含む)のリムに対する傾きの程度を示す指標である。第1の傾斜角度を、過度に大きくも小さくもない適切な範囲、すなわち20±5度に設定することで、負荷状態でビード部に生じる歪みを抑制できる。
【0011】
以上のように、コード角度の設定と第1の傾斜角度の設定とにより、ビード部に生じる歪みを抑制し、ビード耐久力を向上できる。
【0012】
補強ベルトのコード角度を6度以上9度以下に設定すると、コード角度が0度以上5度以下の場合との比較では、タイヤの径方向成長の抑制効果が弱まる。しかし、補強ベルトのコード角度は最大でも9度であるので、タイヤ径方向の拘束力が過剰に弱まることがない。また、補強ベルトの幅は、タイヤ断面幅の50%以上である。つまり、補強ベルトは、狭幅ではなく、十分な幅を有している。これらの理由により、必要なタイヤの径方向成長の抑制効果を確保できる。また、十分なトレッド部の形状保持力を得られ、ベルト端部での歪みが小さくできるので、必要なベルト耐久力を確保できる。補強ベルトの幅は、第1及び第2の主作用ベルトのうち狭幅のものよりも狭い。そのため、補強ベルトに生じる歪みを低減できる。
【0013】
以上のように、本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤの径方向成長の抑制効果とベルト耐久力とを確保しつつ、ビード耐久力を向上できる。
【0014】
好ましくは、前記規定リムに装着し前記規定内圧を充填したとき、前記最大幅点と前記トレッド部の接地端部とを結んだ直線と、前記最大幅点を通るタイヤ径方向に延びる前記直線とがなす鋭角である第2の傾斜角度が、15±10度である。
【0015】
第2の傾斜角度は、無負荷状態におけるショルダー部付近のトレッド部の踏面に対する傾きの程度を示す指標である。第2の傾斜角度を、過度に大きくも小さくもない適切な範囲、すなわち15±10度に設定することで、ベルト層(特に各ベルトの端部)の歪みを低減し、ベルト耐久力を向上できる。
【0016】
好ましくは、前記補強ベルトは、前記第1の主作用ベルトと前記第2の主作用ベルトとの間に配置されている。
【0017】
補強ベルトを第1の主作用ベルトと第2の主作用ベルトとの間に配置することで、接地面付近での折れ曲りを緩和できるので、コード折れを効果的に防止できる。
【0018】
前記第1及び第2の主作用ベルトのコード角度は20±10度であってもよい。また、前記第1及び第2の主作用ベルトのコード角度は17±5度であってもよい。
【0019】
前記ベルト層は、前記第2の主作用ベルトのタイヤ径方向外側に配置された保護ベルトをさらに備えてもよい。
【0020】
前記ベルト層は、前記第1の主作用ベルトのタイヤ径方向内側に配置された緩衝ベルトをさらに備えてもよい。
【0021】
空気入りタイヤは、扁平率70%以下で断面幅の呼びが365以上であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤの径方向成長の抑制効果とベルト耐久力を確保しつつ、ビード耐久力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午線断面図。
図2】ベルト層の展開図。
図3A】ビード部の模式的な部分断面図(傾斜角度αが過小)。
図3B】ビード部の模式的な部分断面図(傾斜角度αが過大)。
図4】負荷時の空気入りタイヤを示す模式的な部分断面図。
図5A】ショルダー部の模式的部分断面図(傾斜角度βが過小)。
図5B】ショルダー部の模式的部分断面図(傾斜角度βが過大)。
図6】変形例に係る空気入りタイヤの子午線断面図。
図7】比較例1の空気入りタイヤの子午線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るゴム製の空気入りタイヤ(以下、タイヤという)1を示す。タイヤ1は、トラック、バスのような車両で使用される重荷重用の空気入りラジアルタイヤである。また、タイヤ1は、扁平率70%以下の扁平タイヤである。扁平率はタイヤ断面最大幅Wtに対するタイヤ断面最大高さHtの比率として定義される。より具体的には、本実施形態におけるタイヤ1のサイズ(ISO方式による表記)は、445/50R22.5である。
【0025】
タイヤ1は、トレッド部2、一対のサイド部4、及び一対のビード部6を備える。個々のビード部6は、サイド部4のタイヤ径方向の内側端部(トレッド部2とは反対側の端部)に設けられている。一対のビード部6間には、カーカス8が設けられている。タイヤ1の最内周面には、インナーライナー(図示せず)が設けられている。カーカス8とトレッド部2の踏面との間には、ベルト層10が設けられている。言い換えれば、トレッド部2では、カーカス8のタイヤ径方向外側にベルト層10が設けられている。後に詳述するように、本実施形態におけるベルト層10は、5枚のベルト11〜15を備える。
【0026】
ビード部6は、ビードコア22、ビードフィラー24、及びチェーファー26を備える。ビードコア22の周囲では、カーカス8のタイヤ幅方向の端部が、ビードフィラー24に沿ってタイヤ幅方向の内側から外側に向けて巻き上げられている。チェーファー26は、カーカス8の端部に対して外側に隣接するように、ビードフィラー24の周囲に配置されている。
【0027】
図1及び図2を参照すると、本実施形態におけるカーカス8は、1枚のカーカスプライからなり、互いに平行に配置された複数のカーカスコード8aをゴム層で被覆して形成されている。カーカスコード8aは、タイヤ径方向に延びるように配置されており、タイヤ周方向に対する角度(コード角度)θ0は90度に設定されている。図1及び図2において符号Ceは、タイヤ幅方向の中心線を示す。この中心線Ceが延びる方向がタイヤ周方向である。カーカスコード8aは、本実施形態ではスチール製であるが、有機繊維製であってもよい。
【0028】
図1及び図2を参照すると、本実施形態におけるベルト層10は、互いに重ね合わせて配置された5枚のベルト、すなわち緩衝ベルト11、第1の主作用ベルト12、補強ベルト13、第2の主作用ベルト14、及び保護ベルト15を備える。
【0029】
緩衝ベルト11は、カーカス8に対してタイヤ径方向外側に隣接して配置されている。第1の主作用ベルト12は、緩衝ベルト11に対してタイヤ径方向外側に隣接して配置されている。また、第2の主作用ベルト14は、第1の主作用ベルト12よりもタイヤ径方向外側に配置されている。補強ベルト13は、第1の主作用ベルト12と第2の主作用ベルト14との間に配置されている。つまり、補強ベルト13は、第1の主作用ベルト12に対してタイヤ径方向外側に隣接して配置され、第2の主作用ベルト14に対してタイヤ径方向内側に隣接して配置されている。保護ベルト15は、第2の主作用ベルト14に対してタイヤ径方向外側に隣接して配置されている。
【0030】
第1及び第2の主作用ベルト12,14の主な機能は、カーカス8(コード角度θ0が90度)に対してタイヤ径方向の拘束力を付与することである。補強ベルト13の主な機能は、第1及び第2の主作用ベルト12,14によるタイヤ径方向の拘束力を補うことである。保護ベルト15の主な機能は、第1及び第2の主作用ベルト12,14を保護してタイヤ1の耐外傷性を向上することである。緩衝ベルト11の主な機能は、タイヤ1の耐衝撃性向上である。
【0031】
これらのベルト11〜15はいずれも、互いに平行に配置された複数のベルトコード11a〜15aをゴム被覆して形成されている。
【0032】
図2を参照して、ベルト層10を構成するベルト11〜15が備えるベルトコード11a〜15aのタイヤ周方向に対する傾斜角度(コード角度)θ1〜θ5について説明する。以下の説明では、コード角度θ1〜θ5について、図2の矢印Aで示す向きを基準とし、ベルトコード11a〜15aがタイヤ幅方向の中心線Ceに対して図において右側に離れるように延びている場合を右上がりと言う場合がある。また、矢印Aで示す向きを基準とし、ベルトコード11a〜15aが中心線Ceに対して図において左側に離れるように延びている場合を左上がりと言う場合がある。
【0033】
第1の主作用ベルト12のベルトコード12aのコード角度θ2は、本実施形態では17度(右上がり)である。コード角度θ2は、20±10度の範囲で設定でき、好ましくは17±5度の範囲で設定される。
【0034】
第2の主作用ベルト14のベルトコード14aのコード角度θ4は、本実施形態では17度(左上がり)である。コード角度θ4は、20±10度の範囲で設定でき、好ましくは17±5度の範囲で設定される。
【0035】
第1及び第2の主作用ベルト12,14のコード角度θ2,θ4は、ベルトコード12a,14aがタイヤ幅方向の中心線Ceに対して異なる向きに延びるように設定される。つまり、コード角度θ2,θ4のうち一方が右上がりに設定され、他方が左上がりに設定される。
【0036】
補強ベルト13のベルトコード13aのコード角度θ3は、本実施形態では7度(左上がり)である。コード角度θ3は、6度以上9度以下の範囲で設定される。
【0037】
緩衝ベルト11のベルトコード11aのコード角度θ1は、本実施形態では65度である。コード角度θ1は、60±15度の範囲で設定される。
【0038】
保護ベルト15のベルトコード15aのコード角度θ5は、本実施形態では20度である。コード角度θ5は、20±10度の範囲で設定される。
【0039】
コード角度θ1〜θ5の数値(数値範囲の上下限値を含む)は、実質的に不可避な誤差を許容すると共に、ベルト11〜15に要求される機能が満たされる限り、幾何学的に厳密な値である必要はない。この点は、カーカスコード8aのコード角度θ0についても同様である。
【0040】
ベルト11〜15のコード角度θ1〜θ5は、以下の表1のように整理できる。
【0041】
【表1】
【0042】
本実施形態におけるベルト11〜15のコード角度以外の主な諸元は、以下の表2に示す通りである。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示すように、本実施形態では、相対的にタイヤ径方向内側に配置されている第1の主作用ベルト12の幅W2(370mm)よりも、相対的にタイヤ径方向外側に配置されている第2の主作用ベルト14の幅W4(325mm)を狭く設定している。
【0045】
補強ベルト13の幅W3は、タイヤ断面最大幅Wtの50%以上に設定される(W3≧0.5Wt)。ここでのタイヤ断面最大幅Wtは、タイヤ1を規定リム(図1にリム31を模式的に示す)に装着し、規定内圧(TRA規定内圧の830kPa)を充填し、かつ無負荷状態という条件下での値である。また、補強ベルト13の幅W3は、第1及び第2の主作用ベルト12,14のうち狭幅のものよりも狭く設定される(W3<W2,W4)。本実施形態では、補強ベルト13の幅W3は、290mmに設定しており、前述の条件下でのタイヤ断面最大幅Wt(440mm)の50%以上であり、かつ狭幅な第2の主作用ベルト14の幅W4(325mm)よりも狭い。
【0046】
図1を参照すると、符号P0は、規定リムに装着して規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下で、タイヤ1の子午線断面においてカーカス8の外周面のうちタイヤ幅方向の幅が最大となる位置(最大幅点P0)を示す。図1において、符号Wcは、最大幅点P0におけるカーカス8のタイヤ幅方向の寸法(カーカス断面最大幅)を示す。前述したタイヤ1を規定リムに装着し、規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下では、カーカス断面最大幅Wcは431mmである。
【0047】
図1に示す直線L0は、リム31に装着して規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下で、タイヤ1の子午線断面においてカーカス8の最大幅点P0を通るタイヤ高さ方向に延びる直線である。
【0048】
図1に示す直線L1は、規定リムに装着して規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下で、タイヤ1の子午線断面においてカーカス8の最大幅点P0とビードヒール位置P1とを結んだ直線である。ここでのビードヒール位置P1とは、規定リム31のノミナルリム径Rと、規定リム幅Wrの交点として定義される。
【0049】
図1に示す直線L2は、規定リムに装着して規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下で、タイヤ1の子午線断面においてカーカス8の最大幅点P0とトレッド接地端部P2とを結んだ直線である。ここでのトレッド接地端部P2は、タイヤ1を規定リムに装着して規定内圧を充填して負荷状態としたときに、タイヤ1の子午線断面においてトレッド部2の踏面のうちタイヤ幅方向で最も外側の位置として定義される。
【0050】
図1に示す傾斜角度αは、規定リム31に装着して規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下で、タイヤ1の子午線断面において直線L1と直線L0とがなす鋭角である。傾斜角度αは、無負荷状態における、ビード部6とサイド部4のうちタイヤ高さ方向でビード側の領域(図1においてサイド部4のうち最大幅点P0よりもタイヤ高さ方向下側の領域)との、リム31に対する傾きの程度を示す指標である。傾斜角度αが小さい程、無負荷状態でのビード部6及びサイド部4の下側領域はリム31に対してより起きた姿勢を有する(リム31に対するビード部6の傾斜が小さい)。また、傾斜角度αが大きい程、無負荷状態でのビード部6及びサイド部4の下側領域はリム31に対してより傾いた姿勢を有する(リム31に対するビード部6の傾斜が大きい)。傾斜角度αは、過度に大きくも小さくもない角度、すなわち20±5度の範囲に設定される。
【0051】
図1に示す傾斜角度βは、規定リム31に装着して規定内圧を充填し、かつ無負荷状態という条件下で、タイヤ1の子午線断面において直線L2と直線L0とがなす鋭角である。傾斜角度βは、無負荷状態における、ショルダー部3(トレッド部2とサイド部4の境界部分)付近の、トレッド部2の踏面に対する傾きの程度を示す指標である。傾斜角度βが小さい程、ショルダー部3はトレッド部2の踏面に対してより起きた姿勢を有する。また、傾斜角度βが大きい程、ショルダー部3はトレッド部2の踏面に対してより傾いた姿勢を有する。傾斜角度βは、過度に大きくも小さくもない角度、すなわち15±10度の範囲に設定される。
【0052】
補強ベルト13のコード角度θ3を、0度以上5度以下のような小角度(実質的に0度とみなし得る角度又はそれに近い角度)ではなく、6度以上9度以下に設定している。そのため、補強ベルト13によるタイヤ径方向の拘束力が過度に強くなることを回避できるので、タイヤ幅方向への過度な変形を抑制できる。タイヤ幅方向への過度な変形が抑制されることで、ビード部6に生じる歪みを抑制でき、ビード耐久力(ビード部におけるセパレーション等の故障の生じにくさ)を向上できる。
【0053】
傾斜角度αを、過度に大きくも小さくもない角度、すなわち20±5度に設定することでも、ビード部6に生じる歪みを抑制できる。以下、この点について説明する。
【0054】
図3A及び図3Bは、ビード部6の変形を概念的に示す。これらの図において、実線は無負荷状態でビード部6の形状を示し、破線は負荷状態でのビード部6の形状を示す。
【0055】
図3Aでは、傾斜角度αが15度未満、すなわち本発明における傾斜角度αの範囲(20±5度)の下限値未満に設定されている。つまり、図3Aでは、傾斜角度αは過度に小さく設定されている。そのため、図3Aにおけるビード部6は、リム31に対して起きた姿勢を有する。ビード部6が起きた姿勢であると、無負荷状態から負荷状態に移行した際、ビード部6A及びその付近のサイド部4が大きく変形し、この部分のカーカス8に作用する張力が大きくなる。この張力増加によって、ビードコア22回りの回転モーメントが大きくなり、ビード部6に対してリム31から吊り上げる向きの力が作用する。その結果、ビード部6の図において上部がタイヤ幅方向外側に張り出す形状に変形し、カーカス8の巻き上げ端8bにおけるせん断歪みが大きくなり、ビード耐久力が低下する。図3Aにおいて、矢印F1はカーカス8の巻き上げ端8bにかかる歪み(ビード部6の変形)の方向を概念的に示す。
【0056】
図3Bでは、傾斜角度αが25度を上回る角度、すなわち本発明における傾斜角度αの範囲(20±5度)の上限値を上回る角度に設定されている。つまり、図3Bでは、傾斜角度は過度に大きく設定される。そのため、図3Bにおけるビード部6は、リム31に対して大きく傾いた姿勢を有する。ビード部6の傾きが大きいと、リム31のフランジ31aに対するビード部6の接触長が長くなり、負荷状態での変形の基点がタイヤ幅方向においてより外側の位置することになる。そのため、負荷状態において、ビード部6はリム31に対してタイヤ幅方向外側に大きく倒れ込む(図3Bにおいて矢印F2で概念的に示す)。その結果、カーカス8の巻き上げ端8bのタイヤ径方向(フランジ31aに向けて圧縮する方向)の歪みが大きくなり、ビード耐久力が低下する。
【0057】
本実施形態では、傾斜角度αを20±5度に設定することで、傾斜角度αが過度に小さい場合のようなカーカス8の巻き上げ端8bにおけるせん断歪みの増加と、傾斜角度βが過度に大きい場合のようなカーカス8の巻き上げ端8bにおけるタイヤ径方向の歪みの増加との両方を回避できる。このように傾斜角度αを適切に設定することで、カーカス8の巻き上げ端8bにおける歪みを低減し、ビード耐久力を向上できる。
【0058】
以上のように、補強ベルト13のコード角度θ3と傾斜角度αとを適切に設定することで、ビード耐久力(ビード部におけるセパレーション等の故障の生じにくさ)を向上できる。
【0059】
図4に概念的に示すように、負荷状態(車両に装着した状態)では、トレッド部2の踏面のうち接地面2aに対して矢印Bで示すタイヤ回転方向の前後の領域で、補強ベルト13のベルトコード13aに折れ曲がりが生じる(符号C)。コード角度θ3が小さい程、この折れ曲がりが顕著となる。コード角度θ3を6度以上9度以下に設定することで、コード角度θ3を0度以上5度以下のような小角度に設定する場合と比較して、接地面2a付近での補強ベルト13のベルトコード13aの折れ曲りを緩和し、コード折れを効果的に防止できる。
【0060】
前述のように、補強ベルト13の幅W3は、第1及び第2の主作用ベルト12,14のうち狭幅である第2の主作用ベルト14の幅W4よりも狭く設定している。この点でも、補強ベルト13のベルトコード13aのコード折れを効果的に防止できる。
【0061】
前述のように、補強ベルト13は第1の主作用ベルト12と第2の主作用ベルト14との間に配置される。この配置により、補強ベルト13は、第1及び第2の主作用ベルト12,14によって保護されるので、接地面2a付近での折れ曲がり(図4の符号C)に起因する補強ベルト13のベルトコード13aのコード折れをより効果的に防止できる。
【0062】
これらの理由から、補強ベルト13のコード折れを効果的に防止できる。
【0063】
傾斜角度βを、過度に大きくも小さくもない角度、すなわち15±10度に設定することでも、ベルト耐久力を向上できる。以下、この点について説明する。
【0064】
図5A及び図5Bは、ショルダー部3付近の変形を概念的に示す。これらの図において、実線は無負荷状態でショルダー部3付近の形状を示し、破線は負荷状態でのショルダー部3の周辺の形状を示す。
【0065】
図5Aでは、傾斜角度βは5度未満、すなわち本発明における傾斜角度βの範囲(15±10度)の下限値未満に設定されている。つまり、図5Aでは、傾斜角度βは過度に小さく設定されている。そのため、図5Aにおけるショルダー部3付近は、トレッド部2の踏面に対して起きた姿勢を有する。ショルダー部3付近が起きた姿勢であると、無負荷状態から負荷状態に移行した際、ショルダー部3付近がタイヤ幅方向において外側に大きく変形する(図5Aにおいて矢印F3で概念的に示す)。そのため、ベルト層10(特にベルト層10を構成するベルト11〜15のタイヤ幅方向端部)での歪みが大きくなり、ベルト耐久力が低下する。
【0066】
図5Bでは、傾斜角度βは25度を上回る角度、すなわち本発明における傾斜角度βの範囲(15±10度)の上限値を上回る角度に設定されている。つまり、図5Bでは、傾斜角度βは過度に大きく設定されている。そのため、図5Bにおけるショルダー部3付近は、トレッド部2の踏面に対して大きく傾いた姿勢を有する。ショルダー部3付近の傾きが大きいと、無負荷状態から負荷状態に移行した際、ショルダー部3付近がタイヤ径方向において外側に大きく変形する(図5Aにおいて矢印F4で概念的に示す)。そのため、ベルト層10(特にベルト層10を構成するベルト11〜15のタイヤ幅方向端部)での歪みが大きくなり、ベルト耐久力が低下する。
【0067】
本実施形態では、傾斜角度βを15±10度に設定することで、傾斜角度βが過度に大きい場合や小さい場合のようなベルト層10での歪みの増加を回避できるので、ベルト耐久力を向上できる。
【0068】
補強ベルト13のコード角度θ3を6度以上9度以下に設定すると、コード角度θ3が0度以上5度以下の場合との比較では、タイヤ1の径方向成長の抑制効果が弱まる。しかし、補強ベルト13のコード角度θ3は最大でも9度であるので、タイヤ径方向の拘束力が過剰に弱まることがない。また、前述のように、補強ベルト13の幅W3は、タイヤ断面最大幅Wtの50%以上である。つまり、補強ベルト13は、狭幅ではなく、十分な幅を有している。これらの理由により、必要なタイヤ1の径方向成長の抑制効果を確保できる。また、十分なトレッド部2の形状保持力を得られ、ベルト端部での歪みが小さくできるので、必要なベルト耐久力を確保できる。補強ベルト13の幅W3は、第1及び第2の主作用ベルト12,14(幅W2,W4)のうち狭幅のものよりも狭い。そのため、補強ベルトに生じる歪みを低減できる。
【0069】
以上のように、本実施形態のタイヤ1は、径方向成長の抑制効果とベルト耐久力とを確保しつつ、ビード耐久力を向上できる。
【0070】
図6は、実施形態に係るタイヤ1の変形例を示す。この変形例では、ベルト層10は4枚のベルト、すなわち第1の主作用ベルト12、補強ベルト13、第2の主作用ベルト14、及び保護ベルト15を備えるが、緩衝ベルト11を備えていない。緩衝ベルト11を設けない場合であっても、タイヤ1の径方向成長の抑制効果とベルト耐久力を確保しつつ、ビード耐久力を向上できる。
【0071】
以下の表3に示す比較例1〜8、並びに表4に示す実施例1〜11のタイヤを対象に、ベルト耐久力とビード耐久力の評価試験を行った。以下で特に言及しない諸元は、比較例1〜8並び実施例1〜11の間で共通している。特に、比較例1〜8並び実施例1〜11のいずれも、タイヤサイズは、445/50R22.5である。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
図7に示す比較例1のベルト層10は、補強ベルト13を備えておらず、緩衝ベルト11、第1の主作用ベルト12、第2の主作用ベルト14、及び保護ベルト15を備える。
【0075】
比較例2では、補強ベルト13のコード角度θ3は0度であり、本発明におけるコード角度θ3の範囲(6度以上9度以下)の下限値よりも小さい。
【0076】
比較例3では、傾斜角度αは13度であり、本発明における傾斜角度αの範囲(20±5度)の下限値よりも小さい。
【0077】
比較例4では、傾斜角度αは27度であり、本発明における傾斜角度αの範囲(20±5度)の上限値よりも大きい。
【0078】
比較例5では、傾斜角度βは3度であり、本発明における傾斜角度βの範囲(15±10度)の下限値よりも小さい。
【0079】
比較例6では、傾斜角度βは27度であり、本発明における傾斜角度βの範囲(15±10度)の上限値よりも大きい。
【0080】
比較例7では、補強ベルト13のコード角度θ3は5度であり、本発明におけるコード角度θ3の範囲(6度以上9度以下)の下限値よりも小さい。
【0081】
比較例8では、補強ベルト13のコード角度θ3は10度であり、本発明におけるコード角度θ3の範囲(6度以上9度以下)の上限値よりも大きい。
【0082】
実施例1では、補強ベルト13のコード角度θ3が、本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定されている。また、実施例1では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の中心値である20度に設定され、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の中心値である15度に設定されている。
【0083】
実施例2では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の下限値である15度に設定されている。また、実施例2では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定され、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の中心値である15度に設定されている。
【0084】
実施例3では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の上限値である25度に設定されている。また、実施例3では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定され、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の中心値である15度に設定されている。
【0085】
実施例4では、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の下限値である5度に設定されている。また、実施例4では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定され、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の中心値である20度に設定されている。
【0086】
実施例5では、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の上限値である25度に設定されている。また、実施例5では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定され、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の中心値である20度に設定されている。
【0087】
実施例6では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の下限値である6度に設定されている。また、実施例6では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の中心値である20度に設定され、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の中心値である15度に設定されている。
【0088】
実施例7では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の上限値である9度に設定されている。また、実施例7では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の中心値である20度に設定され、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の中心値である15度に設定されている。
【0089】
実施例8では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の下限値である15度に設定され、傾斜角度βも本発明の範囲(15±10度)の下限値である5度に設定されている。また、実施例8では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定されている。
【0090】
実施例9では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の下限値である15度に設定される一方、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の上限値である25度に設定されている。また、実施例9では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定されている。
【0091】
実施例10では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の上限値である25度に設定される一方、傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の下限値である5度に設定されている。また、実施例10では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定されている。
【0092】
実施例11では、傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の上限値である25度に設定され、傾斜角度βも本発明の範囲(15±10度)の上限値である25度に設定されている。また、実施例11では、コード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の中心値付近である7度に設定されている。
【0093】
この評価試験では、ベルト耐久力とビード耐久力を評価した。
【0094】
ビード耐久力の評価では、タイヤサイズ445/50R22.5のタイヤを、リムサイズ22.5×14.00(規定リム)のホイールに装着し、900kPa(TRA規定内圧の830kPaに70kPaを加えた値)の空気圧を充填した。ホイールに装着したタイヤをドラム試験機に取り付け、速度40km/h、荷重72.5kNの条件で走行試験を実施した場合の、タイヤが破壊するまでの走行距離を、表3及び表4に示すように指数で表す。
【0095】
ベルト耐久力の評価では、タイヤサイズ445/50R22.5のタイヤを、リムサイズ22.5×14.00(規定リム)のホイールに装着し、930kPa(TRA規定内圧の830kPaに100kPaを加えた値)の空気圧を充填した。ホイールに装着したタイヤをドラム試験機に取り付け、速度40km/h、荷重54.4kNの条件で走行試験を実施した場合の、タイヤが破壊するまでの走行距離を、表3及び表4に示すように指数で表す。
【0096】
充填する空気圧と荷重とが、ビード耐久力の評価とベルト耐久力の評価との間で異なるのは、ビード耐久力の評価では、ビード部6において歪みが生じやすい条件とし、ベルト耐久力の評価では、ベルト層10において歪みが生じやすい条件とするためである。
【0097】
ベルト耐久力とビード耐久力のいずれについても、比較例1の場合を100として、残りの比較例2〜8と実施例1〜11の性能を指数化した。
【0098】
実施例1〜11のいずれについても、ビード耐久力の指数は110以上であり、良好なビード耐久力が得られている。また、実施例1〜11のいずれについても、ベルト耐久力の指数は110以上であり、良好なベルト耐久力が得られている。
【0099】
補強ベルト13のコード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の下限値を下回る比較例2,7では、ベルト耐久力の指数は110を上回るものの、ビード耐久力の指数は110未満である。つまり、補強ベルト13のコード角度θ3が本発明の範囲よりも小さい角度であると、ベルト耐久力は実施例1〜11と同様であっても、十分なビード耐久力が得られない。
【0100】
補強ベルト13のコード角度θ3が本発明の範囲(6度以上9度以下)の上限値を上回る比較例8では、ビード耐久力の指数は110を上回るものの、ベルト耐久力の指数は110を下回る。つまり、補強ベルト13のコード角度θ3が本発明の範囲よりも大きな角度であると、ビード耐久力は実施例1〜11と同様であっても、十分なベルト耐久力が得られない。
【0101】
傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)の下限値を下回る比較例3では、ベルト耐久力の指数は110を上回るものの、ビード耐久力の指数は110を下回る。つまり、傾斜角度αが本発明の範囲よりも小さい角度であると、ベルト耐久力は実施例1〜11と同様であっても、十分なビード耐久力が得られない。
【0102】
傾斜角度αが本発明の範囲(20±5度)上限値を上回る比較例4では、ベルト耐久力の指数は110を上回るものの、ビード耐久力の指数は110を下回る。つまり、傾斜角度αが本発明の範囲よりも大きい角度であると、ベルト耐久力は実施例1〜11と同様であっても、十分なビード耐久力が得られない。
【0103】
傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の下限値を下回る比較例5では、ビード耐久力の指数は110を上回るものの、ベルト耐久力の指数は110を下回る。つまり、傾斜角度βが本発明の範囲よりも小さい角度であると、ビード耐久力は実施例1〜11と同様であっても、十分なベルト耐久力が得られない。
【0104】
傾斜角度βが本発明の範囲(15±10度)の上限値を上回る比較例6では、ビード耐久力の指数は110を上回るものの、ベルト耐久力の指数は110を下回る。つまり、傾斜角度βが本発明の範囲よりも大きな角度であると、ビード耐久力は実施例1〜11と同様であっても、十分なベルト耐久力が得られない。
【0105】
以上のように、比較例1〜8と実施例1〜11との比較から、本発明の空気入りタイヤによれば、ベルト耐久力を確保しつつビード耐久力を向上できることが理解できる。
【0106】
本発明は、扁平率が70%以下で断面幅の呼びが365以上の空気入りタイヤ(いわゆるスーパーシングルタイヤ)に好適に適用される。しかし、本発明は、扁平率の小さい重荷重用の空気入りラジアルタイヤの範疇に属さない空気入りタイヤにも適用し得る。
【符号の説明】
【0107】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
2a 接地部
3 ショルダー部
4 サイド部
6 ビード部
8 カーカス
8a カーカスコード
8b 巻き上げ端
10 ベルト層
11 緩衝ベルト
11a ベルトコード
12 第1の主作用ベルト
12a ベルトコード
13 補強ベルト
13a ベルトコード
14 第2の主作用ベルト
14a ベルトコード
15 保護ベルト
15a ベルトコード
22 ビードコア
24 ビードフィラー
26 チェーファー
31 リム
31a フランジ
α,β 傾斜角度
Ce タイヤ幅方向の中心線
Wt タイヤ断面最大幅
Wc カーカス断面最大幅
Wr 規定リム幅
R ノミナルリム径
Ht タイヤ断面最大高さ
θ0,θ1,θ2,θ3,θ4,θ5 コード角度
P0 最大幅点
P1 ビードヒール位置
P2 トレッド接地端部
L0,L1,L2 直線
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7