(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押込板を単独で押込動作させるための押込スイッチを備え、該押込スイッチをON操作しても、前記回転板が押し上げ完了位置に位置したことを前記位置検出手段で検出するまで前記押込板の押込動作を開始しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の塵芥収集車。
【背景技術】
【0002】
従来から、塵芥収容箱と、作業者等により後方の投入口から投入された塵芥を一時的に保持し、前記塵芥収容箱の内部へ塵芥を移動させる積込装置を有する塵芥投入箱(「テールゲート」とも呼ばれる)と、を備えた塵芥収集車が知られている。
【0003】
上記積込装置は、油圧による駆動力を受けて塵芥投入箱内を幅方向に延びる支持軸を中心に回転して塵芥を塵芥収容箱側へ押し上げる回転板と、該回転板により押し上げられた塵芥を前方へ押して塵芥収容箱内へ押し込む前後に揺動可能な押込板とを備えている。そして、積込装置で塵芥を塵芥収容箱に収容するには、まず、回転板が塵芥収容箱の床部と面一となる押し上げ完了位置まで回転して塵芥を塵芥収容箱側へ押し上げる。回転板が押し上げ完了位置になると、回転板の回転が停止するとともに、押込板を前方へ揺動することによって、塵芥を塵芥収容箱内へ押し込む。
【0004】
ところで、塵芥収容箱内が塵芥で満載に近い状態になると、押込板を前方へ揺動しても塵芥を押し込むことができず、押込板の押し込み中に回転板が押し上げ完了位置から下方へ押し下げられてしまうことがある。これは、反発力の高い塵芥を押込板で押し込む際に、起こり易い。回転板が下方へ押し下げられると、回転板に載っている塵芥のうち、塵芥収容箱の床部よりも下方に落ち込んだ塵芥が押込板と塵芥投入箱の前方の立ち上がり部との間に挟まってしまい、塵芥収容箱内に塵芥を押し込むことができない。
【0005】
そこで、押込板を前方へ揺動して塵芥を押し込んでいる押し込み中に、回転板が押し上げ完了位置から下方へ押し下げられると、押込板の前方への揺動を停止して、所定距離だけ押込板を後退させる。押込板の後退後は、回転板を押し上げ完了位置まで回転させた後、押込板の押し込み動作を再開させることによって、塵芥収容箱内に塵芥を押し込むようにしている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の動作説明を
図8(a)〜(f)に基づいて説明すると、まず、
図8(a)に示すように、回転板100を正転させる(時計回りに回転させる)。すると、
図8(b)に示すように、塵芥Dを回転板100で塵芥収容箱2側へ押し上げる。塵芥Dを押し上げた状態で回転板100の正転を停止し、押込シリンダ102を伸長作動させて押込板101を前方へ揺動させることによって、塵芥Dを塵芥収容箱2側へ押し込む。この押込板101による塵芥Dの押し込み中に、
図8(c)に示すように、回転板100が押し上げ完了位置から下方へ押し下げられると、押込板101の前方への移動を停止してから、
図8(d)に示すように、押込板101を一旦後退させる。押込板101を後退させた後に、回転板101を正転させて押し上げるが、圧縮されていた塵芥Dが元の形状へ回復するため、
図8(e)に示すように、隙間W(
図8(d)参照)に塵芥Dが入り込んで埋めてしまう(
図8(b)と同じ状態になる)。この状態で、押込板101を再度押し込み動作しても、
図8(f)に示すように、回転板100を下方へ前述したように押し下げるだけで、塵芥収容箱2内に塵芥Dを押し込むことができない。
【0008】
前記のように、塵芥収容箱内に塵芥を押し込むことができない場合の他、積込動作を行っても塵芥収容箱内に塵芥を押し込むことができない場合には、押込板101の押し込み動作が自動的に停止することになる。このような場合でも積込作業ができるように、積込装置を積込動作させる押込スイッチが設けられている。この押込スイッチをON操作することによって、押込板を強制的に繰り返し押し込み動作させて塵芥を無理やり押し込むようにしている。しかし、押込板を強制的に押し込み動作させる際に、特に塵芥が反発力の大きな硬い塵芥である場合において、
図8(f)に示すように、塵芥収容箱2の床部2eよりも下方に落ち込んだ硬い塵芥Dを塵芥投入箱3の前方の立ち上がり部3Hに押込板101で押圧すると、前方の立ち上がり部3Hと押込板101とに大きな反力が作用することになるため、塵芥Dが押込板101で分断されない限り、塵芥投入箱の前方の立ち上がり部3Hや押込板101を破損させてしまう場合があり、改善の余地があった。
【0009】
そこで本発明は、破損することを未然に防ぐことができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の塵芥収集車は、塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方に連接し、塵芥の投入口及び該投入口から投入された塵芥を前記塵芥収容箱へ移動させる積込装置を有する塵芥投入箱と、を備え、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内に位置し、塵芥を前記塵芥収容箱側へ押し上げるべく、該塵芥投入箱の幅方向に延びる支持軸を中心に回転して押し上げ完了位置まで回転する回転板と、前記塵芥投入箱内に位置し、前記回転板により押し上げられた塵芥を前記塵芥収容箱へ押し込むべく、前後方向に移動する押込板とを備えた塵芥収集車であって、前記押込板が押し込み動作している時に、該回転板が押し上げ完了位置よりも下方に下がったことを検出する位置検出手段と
、前記押込板が押し込んでいる時の押込負荷が所定値以上になっていることを検出する負荷検出手段と、
該位置検出手段からの検出信号及び該負荷検出手段からの検出信号に基づいて前記押込板の駆動を停止
する停止手段と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、押込板が押し込み動作している時に、回転板が押し上げ完了位置よりも下方に下がったことを検出すると、押込板が押し込んでいる時の押込負荷が所定値以上になっているかどうかを検出する。押込負荷が所定値以上になっていると検出されると、押込板の押込み動作を停止して作業者に報知する。これによって、塵芥投入箱の前方の立ち上がり部や押込板を破損させる前に押込板の押込み動作を停止させることができるとともに、作業者は、押込板に所定値以上の負荷が加わって停止したことを確認することができる。
【0012】
また、本発明の塵芥収集車は、前記報知手段により前記押込板の駆動を停止して報知した後、前記回転板が押し上げ完了位置に位置したことを前記位置検出手段で検出するまで該回転板を回転させる回転板駆動手段を備えていてもよい。
【0013】
上記のように、報知手段により押込板の駆動を停止して報知した後、回転板を押し上げ完了位置まで回転させることによって、押込板による塵芥の押込動作を再開して塵芥を塵芥収容箱へ押し込むことができる。
【0014】
また、本発明の塵芥収集車は、前記押込板を単独で押込動作させるための押込スイッチを備え、該押込スイッチをON操作しても、前記回転板が押し上げ完了位置に位置したことを前記位置検出手段で検出するまで前記押込板の押込動作を開始しない構成であってもよい。
また、本発明の塵芥収集車は、前記押込板を単独で押込動作させるための押込スイッチを備え、前記押込スイッチをON操作した時に、前記回転板が押し上げ完了位置に位置していることを前記位置検出手段で検出すると、前記押込板の押込動作を行う構成であってもよい。
【0015】
上記のように、押込スイッチをON操作しても、回転板が押し上げ完了位置に位置していない場合には、押込板の押込動作を開始しないため、例えば回転板が押し上げ完了位置に位置していない状態で、押込板の押込動作が開始された場合に、塵芥投入箱の前方の立ち上がり部や押込板を破損させるといったトラブル発生を回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、押込板が押し込み動作している時に、回転板が押し上げ完了位置よりも下方に下って、押込板に所定値以上の負荷が加わったことを検出すると、押込動作を停止して報知することによって、塵芥投入箱の前方の立ち上がり部や押込板を破損することを未然に防ぐことができる塵芥収集車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の塵芥収集車の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の方向の説明において、前後の方向は、塵芥収集車の前後を基準とした方向である。また、幅方向とは、塵芥収集車を前方または後方から見た場合の左右方向のことである。
【0019】
図1は、積込装置を備えた塵芥収集車1の後部を断面にした側面図である。この塵芥収集車1は、回転板式の収容方式を用いている。この塵芥収集車1は、車体1a上に搭載された塵芥収容箱2と、その後部に連接する塵芥投入箱3とを備えている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口部3dが設けられている。
【0020】
塵芥投入箱3には、投入口3aを開閉可能なカバー部材39が設けられている。このカバー部材39は、投入口3aの上部を開閉する上部カバー40と、投入口3aの下部を開閉する下部カバー41とを備えている。
【0021】
下部カバー41は、投入口3aの下部に回動可能に取り付けられており、起立姿勢と水平姿勢(
図1上の破線位置)とに姿勢変更することができる。この下部カバー41は車幅方向のほぼ全長にわたって設けられている。下部カバー41が水平姿勢となると、作業者が塵芥を投入口3aから投入する際に、この下部カバー41に塵芥を一旦載置させることができ、塵芥投入の作業性を高めることができる。
【0022】
塵芥投入箱3内には、回転板52と押込板53とが備えられている。回転板52は、塵芥投入箱3に投入された塵芥を、当該塵芥投入箱3内に形成された円弧状の塵芥用受部(「ホッパ」ともいう)3eより前方上部に掻き上げるためのもので、幅方向に延びる下部支持軸54と一体であり、かつその軸線回りに回転可能である。前記押込板53は、回転板52上の掻き上げられた塵芥を塵芥投入箱3の前方に連接する塵芥収容箱2内に移動させる(押し込む)ためのもので、幅方向に延びる上部支持軸55と一体であり、かつ、その軸線回りに前方及び後方へ揺動可能である。下部・上部支持軸54,55は、塵芥投入箱3内を幅方向に延びるように互いに平行に延びており、その各両端部が塵芥投入箱3の左右両側壁3c(
図1では一方のみ図示している)にそれぞれ軸受(図示せず)を介して回転自在に貫通支持される。なお、下部・上部支持軸54,55は、1本の軸であることは必須でなく、軸受に支持される部分が左右側に離間した2本の軸とすることができる。
【0023】
回転板52は、
図3に示す回転駆動手段としての油圧モータ56によって360゜正逆転可能に回転駆動され、この油圧モータ56が下部支持軸54を回転駆動することにより、当該下部支持軸54と一体である回転板52が回転する。なお、
図1において矢印で示す時計回り方向が回転板52の正転方向である。
【0024】
押込板53は、幅方向に設けられた一対の押込シリンダ(プッシュシリンダともいう)57の伸縮により、上部支持軸55回りに前方及び後方揺動される。この押込シリンダ57のシリンダ側端部は、ピン58により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン59により、押込板53の上端部に接続されている。
【0025】
図2(a)〜(d)は、回転板52、押込板53及び押込シリンダ57のみを抜き出して示した動作説明図である。本実施形態では、矢印方向への円軌跡Rにて示す回転板52の回転動作と、両矢印方向への円弧軌跡Sにて示す押込板53の揺動動作とにより、塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容する。すなわち、回転板52は、
図2(a)に示す回転板52が図示における略9時の位置(水平位置)を原位置(押し上げ完了位置)として、油圧モータ56が駆動することにより時計回り方向に回転する。また、前記原位置(押し上げ完了位置)は、
図7(b)に示すように、塵芥収容箱2の床部2eと面一となる位置である。
【0026】
そして、回転板52が
図2(b)に示す略12時の位置(起立位置)に達すると、押込板53の先端部53aは押込シリンダ57が収縮動作することにより後方(矢印Sr方向)へ揺動する「後退」を行い、この先端部53aが
図2(c)に示す位置(後退終了位置)まで後方揺動すると、押込板53の後方揺動が停止する。その際、回転板52は、押込板53の後退中も継続して回転しているため、当該後退中に回転板52と干渉するのを防止することができる。
【0027】
その後、回転板52が回転を継続し、
図2(d)に示す原位置(略9時の位置、つまり水平となる押し上げ完了位置)に戻ると、回転板52による回転が停止するとともに、押込シリンダ57が伸長動作することにより、押込板53の先端部53aが前方(矢印Sf方向)へ揺動して押し込みを行う。そして、押込板53の先端部53aが
図2(a)に示す位置(押込終了位置P)まで前方揺動すると、押込板53の前方揺動が停止する。このようにして、油圧モータ56及び押込シリンダ57を動作させることにより、回転板52の回転よび押込板53の後退・押込による1サイクル(積込のサイクル)動作が行われる。
【0028】
したがって、回転・後退・押込による1サイクル(積込のサイクル)動作とは、最初に回転板52が原位置から回転を開始し、その回転途中に押込板53が後退終了位置まで後退し、さらに回転板52が原位置に戻って回転停止した後に、押込板53が後退終了位置から押込終了位置Pまで押込を行う一連の動作を意味する。
【0029】
前記下部支持軸54及び上部支持軸55の近傍には、回転板52及び押込板53の各動作位置をそれぞれ検知する検知部としての近接スイッチ(60,61,62a,62b)が設けられている。第1近接スイッチ60は、回転板52が水平(略水平でもよい)となる前記原位置(略9時の位置、つまり押し上げ完了位置)から前記起立位置(略12時の位置)へ回転するまで回転板52の基端部に取り付けられたドグ52bを検知することにより、回転板52が前記原位置(略9時の位置)から起立位置(略12時の位置)までの位置にあることを検知する。また、ドグ52bは下部支持軸54の軸中心と略同心の円弧状に形成されており、第1近接スイッチ60は、回転板52の先端部52aが原位置から前記起立位置の時計回りにおける直前位置へ回転するまでドグ52bを検知するようになっている。これにより、第1近接スイッチ60は、前記原位置(押し上げ完了位置)で非検知状態から検知状態に、前記起立位置で検知状態から非検知状態となる。
【0030】
第2近接スイッチ61は、同じく前記ドグ52bを検知することにより、回転板52が略6時の位置にあることを検知する。また第2近接スイッチ61は、回転板52が略6時の位置から前記原位置(略9時の位置、つまり略水平位置)の直前位置へ回転するまでドグ52bを検知するようになっている。これにより、第2近接スイッチ61は、前記原位置(押し上げ完了位置)で検知状態から非検知状態となる。従って、第2近接スイッチ61は、回転板52が、原位置(押し上げ完了位置)から下方へ下げられたことを検出する位置検出手段を構成する。
【0031】
第3近接スイッチ62aは、上部支持軸55に取り付けられたドグ55aを検知することにより、押込板53が前記後退終了位置(
図2(c))に達したことを検知する。押込終了検知手段としての第4近接スイッチ62bは、前記ドグ55aを検知することにより、押込板53が前記押込終了位置(
図2(a))に達したことを検知する。なお、前記第1〜第4近接スイッチは、塵芥投入箱3の側壁3cの外側面に固定状態で取り付けられている。
【0032】
図3は、前記油圧モータ56及び押込シリンダ57に関する油圧回路図である。油圧回路は、タンク63、ポンプ64、圧力制御弁65、油圧バルブとしてのモータ用電磁弁66、押込シリンダ用電磁弁67、逆止弁68,69、及びフィルタ70を図示のように接続して構成されている。モータ用電磁弁66及び押込シリンダ用電磁弁67には、電磁操作される子弁(スプール)により当該子弁に接続された親弁(スプール)を操作するパイロット形電磁弁が用いられている。回転板52が原位置(
図2(a))に停止しているとき、油圧モータ56は駆動停止状態にあり、モータ用電磁弁66は中立位置にある。また、押込板53が押込終了位置(
図2(a))に停止しているとき、押込シリンダ57は伸長状態にあり、押込シリンダ用電磁弁67は中立位置にある。なお、各電磁弁66,67は、親弁(スプール)が直接電磁操作される直動形電磁弁とすることもできる。
【0033】
前述の1サイクル(積込のサイクル)動作を油圧回路構成要素の動作として説明すると、モータ用電磁弁66のソレノイド66nを励磁すると、ポンプ64により逆止弁68及びモータ用電磁弁66を介して油圧モータ56に油圧が供給され、油圧モータ56が正転駆動することにより回転板52の回転(正転)動作が行われる。回転板52が略12時の位置まで回転すると、前記ソレノイド66nを励磁状態に保持しながら、押込シリンダ用電磁弁67のソレノイド67sを励磁し、油圧モータ56から排出される油圧を逆止弁69及び押込シリンダ用電磁弁67を介して押込シリンダ57のポート57sに油圧を供給する。これにより、押込シリンダ57は収縮動作し、押込板53の後退動作が行われる。後退終了後は、ソレノイド67sが励磁オフとなり、押込シリンダ用電磁弁67は中立位置に戻り、押込シリンダ57の両ポート57e,57sは封止された状態となる。その際、モータ用電磁弁66のソレノイド66nは依然として励磁状態を保持している。
【0034】
その後、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)まで回転すると、モータ用電磁弁66のソレノイド66nは励磁オフとなり、モータ用電磁弁66は中立位置に戻り、油圧モータ56の正転駆動が停止する。続いて、押込シリンダ用電磁弁67のソレノイド67eを励磁すると、ポンプ64によりモータ用電磁弁66及び逆止弁69を介して押込シリンダ57のポート57eに油圧を供給する。これにより、押込シリンダ57は伸長動作し、押込板53の押込動作が行われる。押込終了後は、ソレノイド67eが励磁オフとなり、押込シリンダ用電磁弁67は中立位置に戻り、押込シリンダ57の両ポート57e,57sは封止された状態となる。なお、回転板52の回転中に回転板52の先端部52aと底部3eとの間で塵芥を噛み込むことにより回転板52の回転が停止する場合がある。この場合には、モータ用電磁弁66のソレノイド66rを励磁し、ポンプ64により逆止弁68及びモータ用電磁弁66を介して油圧モータ56に油圧が供給され、油圧モータ56は逆転駆動し、回転板52は逆転する。これにより、前記噛み込んだ塵芥を除去することができる。
【0035】
塵芥投入箱3の左右両側壁3cの一方(例えば左側)の側壁3cの後部には、第1スイッチボックスSB1が設けられる一方、他方(例えば右側)の側壁3cの後部には、第2スイッチボックスSB2が設けられている。スイッチボックスSB1には、
図4に示すように、積込の1サイクル動作を行わせるための積込スイッチ42と、回転板52を逆転させる(反時計回りに回転させる)ための逆転スイッチ43と、押込板53を単独で押込動作させるための押込スイッチ44と、緊急時に回転板52や押込板53を停止させるための緊急停止スイッチ45とが設けられている。また、スイッチボックスSB2には、前記緊急停止スイッチ45が設けられている。積込スイッチ42がON操作されると、緊急停止スイッチ45が押されない限り、回転板52の正転動作や押込板53の押し込み動作を停止しないようになっている。
【0036】
図4は、制御装置71の全体構成を示すブロック図である。この制御装置71は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の一部であって、CPUやメモリ等を有する。前述の第1〜第4近接スイッチ60,61,62a,62bの出力は、この制御装置71に入力される。また、第1スイッチボックスSB1の積込スイッチ42、逆転スイッチ43、押込スイッチ44、緊急停止スイッチ45の操作指令と、第2スイッチボックスSB2の緊急停止スイッチ45の操作指令とが制御装置71に入力される。モータ用電磁弁66及び押込シリンダ用電磁弁67は、制御装置71によって励磁される。
【0037】
また、押込スイッチ44をONした時の制御構成を示すブロック図を、
図5に示している。つまり、塵芥収集車は、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置している状態で押込板53が押し込み動作している時に、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)よりも下方に下がったことを検出する位置検出手段である前記第2近接スイッチ61からの検出信号に基づいて押込板53が押し込んでいる時の押込負荷が所定値以上になっていることを検出する負荷検出手段46と、負荷検出手段46からの検出信号に基づいて押込板53の駆動を停止する停止手段47と、停止手段47からの停止信号により第3者としての作業者に報知する報知手段としてのメインランプ48と、停止手段47により押込板53の駆動を停止して報知した後、回転板52を押し上げ完了位置まで回転させる回転板駆動手段49と、を備えている。前記制御装置71に、停止手段47と、回転板駆動手段49と、を備える。停止手段47は、第2近接スイッチ61から回転板52が原位置から下がったことを検出した時の検出信号が出力されると、負荷検出手段46から押込負荷が所定値以上になっているかどうかを確認し、負荷検出手段46から押込負荷が所定値以上になっていることを検出すると、押込シリンダ57の伸長動作を停止させる。そして、メインランプ48を点滅させることによって、作業者に異常を知らせる。回転板駆動手段49は、油圧モータ56を駆動して回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置するまで回転板52を正転させる。負荷検出手段46は、押込シリンダ57への油圧が予め設定されている値以上になった時に、高圧である(つまり押込負荷が所定値以上になっている)と判断し、制御装置71へ信号を出力する。
【0038】
次に、積込の1サイクル動作について
図2(a)〜(d)及び
図7(a)〜(c)の動作説明図に基づいて説明する。
【0039】
まず、積込スイッチ42がON操作されると、制御装置71は、積込動作であると判断すると、前述したように、回転板52を原位置(押し上げ完了位置)から正転方向に回転させ、起立位置まで回転させる(
図2(b)参照)。回転板52が起立位置まで回転すると、押込板53の後退動作を開始する(
図2(c)参照)。この押込板53の後退動作が完了し、回転板52が塵芥を押し上げる直前の状態を、
図7(a)に示している。この状態から更に回転板52が正転し、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置すると、第1近接スイッチ60が検出し、その検出信号が出力されることにより、制御装置71は、回転板52の回転を停止させる(
図7(b)参照)。次に、制御装置71は、押込板53による押込工程かどうかを判断し、押込工程であると制御装置71が判断した場合には、押込シリンダ57を伸長作動させる(
図2(a)参照)。前記押込工程であるかの判断は、回転板52が塵芥を原位置(押し上げ完了位置)まで持ち上げたことが検出されることによって行われる。尚、積込動作中に緊急停止スイッチ45がON操作され、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置していない場合に、押込スイッチ44をON操作しても、押込シリンダ57は作動しないように構成されている。
【0040】
前記のように押込シリンダ57を伸長作動させても、
図7(c)に示すように、押込板53で塵芥Dを押し込むことができない場合には、制御装置71は、押込シリンダ57の伸長作動を停止する。このため、作業者は、塵芥を圧縮しながら塵芥収容箱2へ押し込もうとして、押込スイッチ44をON操作する。これにより、押込板53を強制的に押し込み動作させる。この強制的な押込み動作は、例えば押込板53が押込終了位置(第4スイッチ62bがドグ55aを検出する)まで押し込み、後退するといった動作を繰り返すことにより塵芥を圧縮しながら塵芥収容箱2へ押し込む。
その押込板53の押し込み動作時の制御を、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0041】
押込スイッチ44がONされると(ステップS1)、押込シリンダ57を伸長作動させる(ステップS2)。制御装置71は、押込シリンダ57の伸長作動後に回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置しているかどうかを第2近接スイッチ61からの検出信号に基づいて確認する(ステップS3)。回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置している場合には、押込スイッチ44がOFFになっているかどうかを確認し(ステップS4)、押込スイッチ44がONの状態であれば、押込シリンダ57の伸長作動を継続して行う。尚、押込スイッチ44がOFFされると、押込シリンダ57の伸長作動を停止して(ステップS10)、制御を終了する。尚、押込スイッチ44をON操作しても、回転板52が押し上げ完了位置に位置したことを位置検出手段61で検出するまで押込板53の押込動作を開始しないようにしている。つまり、押込スイッチ44をON操作した時に、回転板52が押し上げ完了位置に位置していないと、押込板53の押込動作が開始されない。このようにすることによって、例えば、回転板52が押し上げ完了位置から下がっている状態で押込板53を作動させた時に、塵芥投入箱3の前方の立ち上がり部や押込板53を破損させるといったトラブル発生を回避することができる。
一方、
図7(c)に示すように、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)から下がったことを第2近接スイッチ61からの検出信号により認識すると、負荷検出手段46から押込シリンダ57への油圧が高圧であるかどうかを判断する(ステップS5)。高圧であると判断すると、押込シリンダ57の伸長作動を停止して(ステップS6)、メインランプ48を点滅させる(ステップS7)。尚、高圧でないと判断すると、押込スイッチ44がOFFになるまで押込シリンダ57の伸長作動を行う。前記メインランプ48の点滅後は、回転板52を正転するように油圧モータ56を駆動する(ステップS8)。本実施形態においてこの回転板52の正転は、積込スイッチ42のON操作により開始するが、専用の正転スイッチを別途設け、そのON操作により開始してもよい。ステップS7〜S9の間で、押込スイッチ44のON操作を継続するもしくは再度ON操作しても押込シリンダ57は伸長しない。そして、
図7(d)に示すように、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置する(ステップS9、
図7(d)参照)と、油圧モータ56の駆動を停止して、制御を終了する。尚、予め設定された時間を経過しても、前記下がった状態の回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置しない場合には、異常であると判断し、警報を発して油圧モータ56の駆動を停止するようにしてもよい。
【0042】
回転板52が原位置(押し上げ完了位置)に位置した後、再度押込スイッチ44がONされると、前述したように、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)から下がらない限り、押込シリンダ57の伸長作動を連続して行うことによって、
図7(e)に示すように、塵芥Dを回転板52の上面に沿って移動させて塵芥収容箱2内に確実に押し込むことができる。
【0043】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0044】
上記実施形態では、回転板52が原位置(押し上げ完了位置)よりも下方に下がったことを検出する位置検出手段として、近接スイッチを用いたが、磁気センサ、超音波センサ、光センサの他、所定位置に位置したことを回転板52との当接により検出する多数の接触式のリミットスイッチを用いてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、押込板53を揺動式で構成したが、回動式又はスライド式で構成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、回転板52及び押込板53を油圧で駆動するものから構成したが、エア又は電気で駆動するものから構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、積込の1サイクル動作中に塵芥を塵芥収容箱2へ押し込めなくて自動停止した場合に、押込スイッチ44をON操作して塵芥を強制的に押し込む時に、回転板52が下方へ下がるとともに押込負荷が所定値以上になっている場合に、押込シリンダ57の作動を停止して報知するようにしたが、積込の1サイクル動作中に塵芥を塵芥収容箱2へ押し込めない場合に、回転板52が下方へ下がっていることを検出し、かつ、押込負荷が所定値以上になっていることを検出した場合に、押込シリンダ57の作動を停止して報知するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、押込板53が押し込んでいる時の押込負荷が所定値以上になっていることを油圧回路中の油圧が高圧になっているか否かで検出するようにしたが、押込シリンダ57に実際に加わっている負荷を測定して押込負荷が所定値以上になっていることを検出してもよい。