特許第6612773号(P6612773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6612773ベルトコンベヤおよび粘弾性減衰装置ならびにコンベヤベルトを減衰する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6612773
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤおよび粘弾性減衰装置ならびにコンベヤベルトを減衰する方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/60 20060101AFI20191118BHJP
   B65G 43/02 20060101ALI20191118BHJP
   B65G 21/22 20060101ALI20191118BHJP
   B66B 21/10 20060101ALI20191118BHJP
   B66B 23/14 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B65G15/60
   B65G43/02 Z
   B65G21/22 Z
   B66B21/10 Z
   B66B23/14 Z
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-562217(P2016-562217)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公表番号】特表2017-516725(P2017-516725A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】US2015022638
(87)【国際公開番号】WO2015160486
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年3月22日
(31)【優先権主張番号】14/255,474
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】デパソ,ジョセフ エム.
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500837(JP,A)
【文献】 実開昭54−012609(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/60
B65G 21/22
B65G 43/02
B66B 21/10
B66B 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレーム内で支持され、かつ上側走行部に沿ってベルト移動方向にベルト速度で前進するコンベヤベルトと、
前記上側走行部に沿った位置で前記コンベヤベルトと接触する粘弾性減衰装置であって、
前記コンベヤベルトと接触する支持表面
前記支持表面の反対表面、
前記コンベヤベルトが前記支持表面上を前進するときにせん断状態に置かれるように前記反対表面および前記フレームに取り付けられた粘弾性減衰材料
を含む、粘弾性減衰装置と
を含む、コンベヤシステムにおいて、
前記ベルト速度の変化が前記粘弾性減衰装置によって軽減されることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベヤシステムにおいて、前記コンベヤベルトを前記粘弾性減衰装置の前記支持表面に対して締め付けるクランプ手段をさらに含むことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンベヤシステムにおいて、前記クランプ手段が前記コンベヤベルト中または前記コンベヤベルト上に磁石を含み、前記磁石が、前記粘弾性減衰装置に近い、前記コンベヤベルトの外側の鉄材料に吸引力を及ぼすことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のコンベヤシステムにおいて、前記クランプ手段が、前記粘弾性減衰装置の近くに配置された磁石を含み、前記磁石が、前記コンベヤベルト中または前記コンベヤベルト上に配置された鉄材料に吸引力を及ぼすことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベヤシステムにおいて、制御器をさらに含み、前記磁石が電磁石であって、その磁力が前記制御器によって選択的に調節される、電磁石であることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のコンベヤシステムにおいて、前記クランプ手段が、前記コンベヤベルトと上または下から接触する摺動表面と、アクチュエータとを含み、前記粘弾性減衰装置が、前記コンベヤベルトの、前記摺動表面と反対の側に配置され、および前記アクチュエータが、前記コンベヤベルトを前記摺動表面と前記粘弾性減衰装置との間で締め付けるように前記粘弾性減衰装置に結合されることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンベヤシステムにおいて、前記コンベヤベルトに対する前記クランプ手段のクランプ圧力を調節するために前記アクチュエータに結合された制御器をさらに含むことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項8】
請求項2に記載のコンベヤシステムにおいて、制御器と、前記コンベヤベルトの動的な動きを感知し、かつセンサ信号を前記制御器に送るセンサとをさらに含み、前記制御器が、前記クランプ手段によって前記コンベヤベルトに及ぼされるクランプ圧力を調節するために、前記クランプ手段にクランプ信号を送ることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のコンベヤシステムにおいて、前記支持表面が前記粘弾性減衰材料上に形成されることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のコンベヤシステムにおいて、前記粘弾性減衰装置が、前記粘弾性減衰材料に取り付けられた支持要素を含み、前記支持表面が前記支持要素上に形成されることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のコンベヤシステムにおいて、前記支持表面が、前記上側走行部に沿って前記コンベヤベルトを支持する運搬経路上に形成されることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のコンベヤシステムにおいて、前記粘弾性減衰装置が、前記粘弾性減衰材料よりも密度が高い高密度材料をさらに含むことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンベヤシステムにおいて、前記高密度材料が前記支持表面と前記粘弾性減衰材料との間に配置されることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のコンベヤシステムにおいて、前記高密度材料が前記粘弾性減衰材料中に埋め込まれることを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のコンベヤシステムにおいて、前記上側走行部において前記コンベヤベルトの長さに沿っておよび前記コンベヤベルトの幅にわたって配置された複数の粘弾性減衰装置を含むことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項16】
粘弾性減衰装置において、
前進するコンベヤベルトと接触する支持表面および反対表面を有する支持要素と、
粘弾性減衰材料から作製された減衰パッドであって、前記支持表面と接触するコンベヤベルトが前記支持要素に沿って前進するときにせん断状態に置かれるように前記支持要素の前記反対表面に取り付けられた減衰パッドと
を含むことを特徴とする、粘弾性減衰装置。
【請求項17】
請求項16に記載の粘弾性減衰装置において、前記減衰パッドが、接着接合、同時成形、同時押出し、または機械的付着によって前記支持要素に取り付けられることを特徴とする、粘弾性減衰装置。
【請求項18】
請求項16に記載の粘弾性減衰装置において、前記支持表面が、前記粘弾性減衰材料よりも低い摩擦性の材料から作製されることを特徴とする、粘弾性減衰装置。
【請求項19】
コンベヤベルトを減衰するための方法において、
コンベヤベルトを上側走行部に沿って前進させるステップと、
前記コンベヤベルトの前記上側走行部に沿って粘弾性材料で裏打ちされた支持表面と前記コンベヤベルトを接触させるステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記粘弾性材料で裏打ちされた前記支持表面をクランプ圧力で前記コンベヤベルトに対して締め付けるステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記コンベヤベルトが前記上側走行部に沿って前進するときに前記コンベヤベルトの動的な動きを感知するステップと、
感知された前記動的な動きに応じて前記クランプ圧力を調節するステップと
をさらに含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、物品を搬送する動力駆動式コンベヤに関し、詳細には、粘弾性減衰装置を使用するコンベヤシステム、およびコンベヤベルトの動きを滑らかにする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルトなどのコンベヤの1つの目的は、製造、物流、または輸送作業において、より大きい装置を通して、または1つの地点から別の地点へ、製品または人を円滑に輸送することである。コンベヤの滑らかな直線の動きは、例えば乗客の輸送、押出し品の製造、および直立した状態で傾きやすい不安定な製品の搬送など、多くの用途で重要である。しかし、多くの可変要素のために、コンベヤベルトの動きは滑らかでなくなる。これらの可変要素には、ベルトのドライブトレインの変動、コンベヤベルトの共振、他の連結されたシステムの共振、および人がベルト表面を歩くことによって発生する変動負荷が含まれるが、これらに限定されない。変動および共振は、速度変化、すなわち加速を引き起こすことによってコンベヤベルトの前方移動に影響を及ぼす。そのような速度変化、すなわち加速によって、乗客同士が衝突するか、缶もしくは瓶が倒されるか、または連続製造工程の品質が下がることもある。この問題は長いコンベヤシステムにおいて特に顕著である。長いベルトの蓄積された弾力性により、ベルトの動的な動きの制御が困難になるからであり、これは主として移動するベルトのベルト移動方向で見られる。人を移送する手段において、例えば、乗客がベルトの上を歩き回るまたは動き回るとき、その人の移動する足の重量によって、強制関数として作用する周期的な負荷が生じる。長いベルトのばね定数は、ベルト上の乗客が容易に気付きかつ好ましくない程度までベルトが伸長および圧縮することを許容する。ベルトの動的な動きは問題となる。この例では移動する足の重量が強制関数の原因であるが、長いベルトはより弾性的でより共振しやすい。従って、滑らかにベルトコンベヤを移動させる必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の特徴を具現化するコンベヤシステムの一形態は、フレーム内で支持されるコンベヤベルトを含む。ベルトは上側走行部に沿ってベルト移動方向にベルト速度で前進する。粘弾性減衰装置が上側走行部に沿った位置でコンベヤベルトと接触する。粘弾性減衰装置は、コンベヤベルトと接触する支持表面を含む。支持表面におよびフレームに取り付けられる粘弾性減衰材料は、ベルト速度の変化が粘弾性減衰装置によって軽減されるように、コンベヤベルトが支持表面上を前進するときにせん断状態に置かれる。
【0004】
別の態様において、本発明の特徴を具現化する粘弾性減衰装置は、前進するコンベヤベルトと接触する支持表面および反対表面とを有する支持要素を含む。支持要素に取り付けられる、粘弾性減衰材料から作製された減衰パッドは、支持表面と接触するコンベヤベルトが支持要素に沿って前進するときにせん断状態に置かれる。
【0005】
別の態様において、コンベヤベルトを減衰するための方法は、(a)コンベヤベルトを上側走行部に沿って前進させるステップと、(b)コンベヤベルトの上側走行部に沿って粘弾性材料で裏打ちされた支持表面とコンベヤベルトを接触させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のこれらの態様および特徴は、後続の記載、付随する請求項および添付図面を参照することによってより良く理解される。
【0007】
図1図1は、粘性減衰装置を含む本発明の特徴を具現化するコンベヤシステムの上側走行部の断面図である。
図2図2は、締め付けられる粘性減衰装置を含む図1のようなコンベヤシステムの断面図である。
図3図3A及び3Bは、図1のようなコンベヤシステムで有用な慣性粘性減衰装置の1つの形態の前面図である。
図4図4は、移動するコンベヤベルトに埋め込まれた加速度計を含む、本発明の特徴を具現化するコンベヤシステムの別の形態の等角図である。
図5図5は、図4のコンベヤシステムの制御器のブロック図である。
図6図6は、図4のようなコンベヤシステムの上面図であり、閉ループシステムで作動される直線状減衰装置をさらに示す、及び、図6Aは、図6の直線状減衰装置の拡大図である。
図7図7は、図4のようなコンベヤシステムの上面図であり、閉ループシステムで作動される磁性クランプ式減衰装置をさらに示す、及び、図7Aは、図7の磁性クランプ式減衰装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴を具現化するベルトコンベヤシステムの上側走行部の一部が、図1に示されている。コンベヤベルト10の下側は、運搬経路要素として機能する支持要素100に支持される。粘弾性パッド102が運搬経路100と固定搬送フレーム104との間に挟まれる。運搬経路100は平坦な上側支持表面101を有し、および例えばUHMWまたはナイロンなどの低〜中程度の摩擦材料から作製される。用途に適切であれば、高摩擦材料が使用されてもよい。運搬経路100は、上側走行部の幅および長さ全体に連続する摺動床、上側走行部の長さを伸ばす上側摺動支持表面101を有する横方向に離間された平行な摩耗ストリップの組、または粘弾性パッドに取り付けられずフレーム104に強固に取り付けられる固定摩耗ストリップセグメント106の間の支持要素セグメントの組として構成可能である。摺動床、上側走行部の長さを伸ばす平行摩耗ストリップ、山形摩耗ストリップ、またはベルトおよび搬送される物品を支持することができる他の摩耗ストリップが使用される場合、支持表面は低摩擦材料から作製され得る。運搬経路がその長さに沿って粘弾性減衰パッドのあるおよびない摩耗ストリップセグメントにセグメント化される場合、減衰セグメントの支持表面は高摩擦材料から作製可能であるか、または鋸歯状の高摩擦表面を有することができる。運搬経路104は、例えば接着接合、同時成形、同時押出し、または機械的付着によって粘弾性パッド102の上面に取り付けられる。粘弾性パッド102の底面は固定コンベヤフレーム104に結合される。代替的に、上側支持表面は、粘弾性パッドの上面自体に形成してもよい。
【0009】
コンベヤベルト10が上側走行部に沿ってベルト移動方向108(図1においてページの前に抜け出す)に前進し、運搬経路100に沿って摺動するとき、粘弾性パッド102は、ベルトおよび搬送される物品が原因でせん断状態に、およびいくらかの圧縮状態に置かれる。ベルト速度中の振動および脈動が、粘弾性材料が強固に取り付けられる運搬経路100を介して粘弾性材料に伝達される。振動エネルギーは熱として放散される。摩耗ストリップ100および粘弾性パッド102は、フレーム104に強固に取り付けられた減衰装置110をともに形成する。
【0010】
粘弾性減衰の別の形態が、図2のコンベヤシステム中に示されている。この形態では、金属塊112などの鉄材料がコンベヤベルト10の長さおよび幅に沿って離間された位置でコンベヤベルト10内に成形されるか、埋め込まれるか、またはコンベヤベルト上に取り付けられる。減衰装置110の下に取り付けられた永久磁石もしくは電磁石114、または減衰装置110の両側に取り付けられた永久磁石もしくは電磁石(114’)が、矢印115によって示されているように鉄金属塊112を引き付け、およびベルトを減衰装置110に対して締め付け、クランプ手段を形成する。磁石は上側走行部の長さに沿って連続的にまたは断続的に配置されてもよい。コンベヤベルト10を減衰装置110に締め付けることにより、前進するベルトから粘弾性パッド102への直線状高周波数加速度の伝達の効果が高められる。従って、締付けによる減衰は、図1に関して記載した受動的な減衰よりも効果的であり得る。代替的なクランプ手段として、ベルトに鉄金属塊の代わりに永久磁石を導入してもよく、コンベヤフレームワーク中の磁石を、ベルト磁石に取り付けられた鉄材料で置き換えてもよい。
【0011】
減衰装置の別の形態が図3Aおよび3Bに示されている。図3Aは、粘性および慣性減衰の両方を提供する減衰装置116を示す。鋼または銅などの高密度材料118が、粘弾性パッド102と運搬経路100との間に挟まれる。図3Bにおいて、高密度材料120は、粘弾性パッド102’自体に埋め込まれる。高密度材料の追加された質量は、粘弾性材料によって提供された粘性減衰に慣性減衰を追加する。磁性クランプ装置とともに使用されるとき、高密度材料118、120は、非鉄材料であり得る。
【0012】
本発明の特徴を具現化するコンベヤシステムの別の形態が図4に示されている。コンベヤは、運搬経路60に支持されるコンベヤベルト10としてこの例では示され、物品12をベルトのエンドレス搬送経路の運搬経路セグメント15に沿って外側搬送表面22上で搬送方向13に工程11を通して運搬する。運搬経路の終点で物品はコンベヤベルトの外へ搬送される。駆動スプロケット18を回った後、コンベヤベルト10はその帰路で戻りセグメント17をたどり、アイドルスプロケット20を回って運搬経路セグメント15へ至る。駆動スプロケットおよびアイドルスプロケットの両方がシャフト68(図4にはアイドルシャフトのみが示されている)に取り付けられる。
【0013】
ベルト10に埋め込まれた1つまたは複数の加速度計24が、速度または加速度変化など、動的なベルトの動きの測定値を決定する。用語「埋め込まれた」は、コンベヤ中への加速度計のいかなる導入も包含するように幅広い意味で使用される。埋め込まれた加速度計の例は、加速度計が、前進するコンベヤ上にまたはその中に取り付けられるか、その中に成形されるか、その中に挿入されるか、その中に積層されるか、それに溶接されるか、それに接合されるか、または他の方法でそれに確実に接続されることを含む。加速度計24は、例えば搬送方向13と平行なx軸に沿った局所的ベルト加速度成分を感知する単軸加速度計;またはx軸と、例えばコンベヤベルトの幅を横切るx軸に対して垂直なy軸とに沿った加速度成分を感知する2軸加速度計;または例えばx軸およびy軸に沿いかつコンベヤベルトの厚さを貫いて伸びるz軸に沿った局所的加速度の3つの直交する成分を感知する3軸加速度計であり得る。ほとんどの用途では、x軸に沿ったベルト加速度が最も関心を引き、より制御を受けやすいベルト加速度であろうが、他の軸に沿った加速度も同様に関心を引く加速度であり得る。例えば、z軸に沿った、またはx軸にさえ沿った加速度を感知する加速度計を使用して、コンベヤベルト上に落下する物品の衝撃を検出することができる。加速度計技術の例は、圧電性、圧抵抗性、および容量性を含む。空間節約のため、微小電気機械システム(MEMS)に基づく加速度計が有用である。図4において、図はヒンジ接続されたモジュールの行から構成されたモジュール式プラスチックコンベヤベルトループを示すが、加速度計24は、ベルトの長さに沿いかつその幅にわたる位置で規則的に離間される。
【0014】
図5に示されるように、各加速度計24は、コンベヤベルト10の論理回路28に接続される。各論理回路は、プログラム式マイクロ制御装置によって、またはハードワイヤードロジック要素によって実現されてもよい。バッファ、増幅器、アナログデジタル変換器およびマルチプレクサなどの従来式の信号調整回路要素が、加速度計と論理回路との間に置かれてもよい。論理回路はまた、各加速度計の反応をコンベヤベルト上の特定の位置と相関させるための固有のアドレスまたは他の識別証を含んでもよい。識別証と加速度計の測定値とは、1つまたは複数のメモリ要素29に記憶することができる。加速度計測定値(1、2、または3つの加速度成分)は測定信号30に変換され、信号は送信機32によって遠隔的に送信される。送信機は、アンテナ34を経由して無線通信リンク36を介して、または図4中のような、ベルト10の外側の伝導性接触部40と、ベルトの側部に沿ったコンベヤ構造のブラシ42との間のオーミック接続38を介して、無線式に送信する無線RF送信機であってもよい。同じく受信機33が、遠隔制御器44、すなわちコンベヤベルト上にもその中にも配置されていない制御器から命令および制御信号を受信するために、論理回路に接続されてもよい。例えば光学式または赤外線式などの他の送信機−受信機技術を使用してもよい。ベルトに埋め込まれる構成要素の全ては、1つまたは複数の蓄電池など、ベルトの凹部に一緒に収容される電源45によって電力供給されてもよい。代替的に、電源45は、コンベヤの振動もしくは屈折(articulation)、熱勾配、またはプロセスもしくは搬送に元々備わっている他のエネルギー生成効果からエネルギーを取得するエネルギー取得装置であってもよい。代替的に、埋め込まれた電源45は、図4中のような外部充電装置49を通過して再循環するとき、誘電によってまたは無線充電によって電力供給されてもよい。
【0015】
遠隔受信機46は、コンベヤベルトに埋め込まれた受信機33から、無線通信リンク36を介してアンテナ48を経由して、またはオーミック接続38を介して、測定信号30を受信する。受信機46は測定信号を遠隔制御器44へ送る。制御器44とアンテナ48またはオーミック接続38との間に接続された送信機47を使用して、命令および制御信号を、ベルトに支持された加速度計回路へ送ってもよい。制御器44に接続されたオペレータ入力装置50を使用して、加速度計もしくはアラーム設定値、または表示されるデータを選択してもよい。また、主駆動スプロケット18を駆動するモータ52の速度を停止または制御するために、またはコンベヤベルト自体に作用するクランプ減衰装置64を起動するために制御器44を使用してもよい。ビデオディスプレイ54を使用してシステム運転状況および設定値を監視してもよく、またはアラーム状況を表示してもよい。また、プロセス中の不規則性を警告するために、より明確に見えるまたは聞こえるアラーム56が制御器によって使用されてもよい。制御器は、プログラム可能な論理制御器、ラップトップ、デスクトップ、またはいずれかの適切なコンピュータ装置であってもよい。
【0016】
ベルト取付型加速度計の代わりにまたはそれに加えて、他のセンサ62を使用することができる。移動するコンベヤベルトの動的な動きを感知するのに十分な解像度を備えたセンサの例は、回転速度計、ベルト取付型ひずみ計、およびレーザドップラー速度計を含む。
【0017】
図6および6Aは、運搬経路15に沿った位置でコンベヤベルト10に適用される閉ループ粘弾性減衰を示す。加速度計24によって決定された加速度測定値は、通信リンク36を介して制御器44へ伝達される。加速度測定値に応答して、制御器は、コンベヤベルト10に直接作用する粘弾性減衰装置72を起動する。減衰装置72と関連付けられるアクチュエータ74は制御信号61を制御器から受信して、コンベヤベルト10の外側表面22に対して減衰装置によって適用される圧力を増減するか、または他の方法で調整する。線状減衰装置72は、図1のパッド110などの可動クランプパッドの形態にあり、運搬経路60の上側摺動表面59およびアクチュエータとともにクランプ手段を形成し、クランプ力をベルト10に対して適用し、望ましくない加速度を減衰する。モジュール式プラスチックコンベヤベルトおよび運搬経路と同様に、クランプパッドは粘弾性高分子材料から作製してもよい。減衰装置は、運搬経路セグメント15に沿って断続的に設置することができる。この例では、粘弾性材料は、ベルトよりも上に、直線状減衰装置のクランプパッド72内にある。運搬経路60が粘弾性材料から作製されるか粘弾性材料に取り付けられる場合、クランプパッド72は粘弾性減衰材料なしで作製してもよい。または、粘弾性材料は運搬経路60およびクランプ装置72の両方に存在してもよい。
【0018】
図7および7Aは、ベルトを減衰装置に対して締め付けるために磁気または電磁力を使用する図2のものと同様の粘弾性減衰システムを示す。この形態では、ベルト10’、運搬経路60’、またはその両方は、粘弾性材料から作製される。クランプ力は永久磁石または電磁石73を使用して得られる。ベルトの外側の永久磁石または電磁石73が、ベルトの幅にわたる1つまたは複数の位置でベルト10’の内側の鉄性もしくは他の磁気的誘引性材料または磁石に作用して、ベルトと運搬経路との間にクランプ力を生成する。代替的に、ベルトの外側の鉄性または他の磁気的誘引性材料が、ベルトの内側の永久磁石または電磁石に作用して、クランプ力を生成する。制御器44は所望の減衰圧力を得るために電磁力または固定された誘引性材料の位置を調整する。
【0019】
例示的な形態を参照して本発明を詳細に記載してきたが、他の形態が可能である。例えば、減衰装置制御は、オン/オフまたはその他の方法で調整される方法で操作されてもよい。また、減衰はベルト速度によって線形または非線形に変化することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A