(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャフトにおける前記送りねじ部よりも前記シャフトの軸方向の一端部側と他端部側には、前記スライドユニットに当接し、前記スライドユニットにおける前記シャフトの軸方向への移動を規制するストッパが設けられる
請求項1から3のいずれか1項に記載の直線摺動ポテンショメータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、直線摺動ポテンショメータの実施の形態例について、
図1〜
図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0010】
1.実施の形態例
1−1.直線摺動ポテンショメータの構成
まず、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる直線摺動ポテンショメータの構成について、
図1〜
図10を参照して説明する。
図1は、本例の直線摺動ポテンショメータを示す斜視図、
図2は、本例の直線摺動ポテンショメータを示す平面図、
図3は、
図2に示すA−A線断面図、
図4は、
図2に示すB−B線断面図である。
図5は、本例の直線摺動ポテンショメータの内部構成を示す斜視図、
図6は、本例の直線摺動ポテンショメータの内部構成を示す分解斜視図である。
【0011】
図1〜
図4に示すように、直線摺動ポテンショメータ1は、ケース2と、パネル3と、裏蓋4と、シャフト5と、位置検出部の一例を示す第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7と、2つの支柱8、8と、スライドユニット10とを備えている。また、直線摺動ポテンショメータ1は、リード線9と、第1軸受け部材15と、第2軸受け部材25とを有している。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ケース2は、円筒状に形成されており、軸方向の両端が開口している。ケース2の筒孔内には、第1位置検出ユニット6、第2位置検出ユニット7、2つの支柱8、8及びスライドユニット10が収容される。さらに、ケース2の軸方向の一端部には、パネル3が取り付けられ、ケース2の軸方向の他端部には、裏蓋4が取り付けられている。
【0013】
図3〜
図6に示すように、パネル3は、円板状に形成されている。そして、パネル3は、ケース2における軸方向の一端部の開口を塞ぐようにしてケース2に取り付けられる。パネル3には、2つの取付凹部11、12と、2つの支持穴13、13、軸受け孔14が設けられている。
【0014】
軸受け孔14は、パネル3の半径方向の中心に形成されている。そして、軸受け孔14は、パネル3をその軸方向の一端部から他端部にかけて貫通する貫通孔である。軸受け孔14には、第1軸受け部材15が嵌入されている。
【0015】
2つの取付凹部11、12は、軸受け孔14を間に挟んで互いに対向する位置に形成されている。第1取付凹部11及び第2取付凹部12は、パネル3における裏蓋4と対向する一面から略矩形状に凹んだ凹部である。また、第1取付凹部11及び第2取付凹部12の底面には、ねじ孔11a、12aが形成されている。第1取付凹部11には、第1位置検出ユニット6の端部が挿入され、第2取付凹部12には、第2位置検出ユニット7の端部が挿入される。
【0016】
2つの支持穴13、13は、軸受け孔14を間に挟んで互いに対向する位置に形成されている。また、2つの支持穴13、13は、パネル3の周方向において2つの取付凹部11、12の間に形成されている。支持穴13には、支柱8の端部が挿入される。また、支持穴13には、ねじ孔13aが形成されており、支柱8が固定ねじ20を介して支持穴13に固定される。
【0017】
裏蓋4は、パネル3と同様に円板状に形成されている。そして、裏蓋4は、ケース2における軸方向の他端部の開口を塞ぐようにしてケース2に取り付けられる。裏蓋4には、2つの取付凹部21、22と、2つの支持穴23、23と、軸受け孔24と、引出孔26が形成されている。また、取付凹部21、22、2つの支持穴23、23及び軸受け孔24の構成は、パネル3に設けた取付凹部11、12、2つの支持穴13、13及び軸受け孔24と同様であるため、ここではその説明を省略する。なお、軸受け孔24には、第2軸受け部材25が嵌入されている。
【0018】
引出孔26は、裏蓋4をその軸方向の一端部から他端部にかけて貫通している。この引出孔26からは、ケース2内に収容されたリード線9が引き出される。また、ケース2、パネル3及び裏蓋4により筐体が構成される。
【0019】
次に、シャフト5について説明する。
シャフト5は、円柱状の棒状に部材により構成されている。シャフト5は、パネル3の軸受け孔14及び裏蓋4の軸受け孔24を貫通している。そのため、シャフト5は、ケース2の筒孔内を通り、ケース2の軸方向と平行に配置される。シャフト5は、第1軸受け部材15及び第2軸受け部材25によってシャフト5の軸方向(PULL/PUSH方向)に摺動可能及びシャフト5の周方向に回転可能に支持される。
【0020】
また、シャフト5の軸方向の中間部には、送りねじ部31が設けられている。送りねじ部31の外周面には、雄ねじが形成されている。この送りねじ部31には、後述するスライドユニット10の送りナット65が螺合する。
【0021】
さらに、シャフト5の送りねじ部31の軸方向の両端部には、それぞれ、溝32が形成されている。溝32は、シャフト5の外周面に形成されている。送りねじ部31よりもシャフト5の軸方向の一端部側に形成された溝32には、第1止め輪34が取り付けられる。また、送りねじ部31よりもシャフト5の軸方向の他端部側に形成された溝32には、第2止め輪35が取り付けられる。
【0022】
第1止め輪34は、シャフト5が軸方向のPULL方向に移動した際に、パネル3に当接する。また、第2止め輪35は、シャフト5が軸方向のPUSH方向に移動した際に、裏蓋4に当接する。すなわち、第1止め輪34及び第2止め輪35は、シャフト5の軸方向の移動範囲を制限する。また、第1止め輪34及び第2止め輪35によりシャフト5がパネル3や裏蓋4から抜け出ることを防ぐことができる。第1止め輪34及び第2止め輪35は、後述するスライドユニット10やシャフト5の移動を規制するストッパの役割も有する。
【0023】
なお、本例では、ストッパとしてシャフト5に取り付けられる止め輪34、35を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。ストッパとしては、シャフト5にピンを取り付けてもよく、あるいは、シャフト5の外周面から半径方向の外側に突出する突起や、フランジ等を適用してもよい。
【0024】
支柱8の軸方向の一端部は、パネル3に設けた支持穴13に挿入され、支柱8の軸方向の他端部は、裏蓋4に設けた支持穴23に挿入される。そして、支柱8は、シャフト5と同様に、ケース2の軸方向と平行に配置される。支柱8には、後述するスライドユニット10が摺動可能に支持される。支柱8は、固定ねじ20を介してパネル3や裏蓋4に固定される。
【0025】
次に、第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7について説明する。
第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7は、後述する移動部材を示す摺動子63、64の変位により出力電圧が変化する。そして、直線摺動ポテンショメータ1は、この出力電圧の変化により摺動子63、64の位置を検出する。
【0026】
第1位置検出ユニット6は、パネル3及び裏蓋4に設けた第1取付凹部11、21に取り付けられ、第2位置検出ユニット7は、パネル3及び裏蓋4に設けた第2取付凹部12、22に取り付けられる。そして、第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7は、固定ねじ20を介してパネル3や裏蓋4に固定される。また、第1位置検出ユニット6と第2位置検出ユニット7は、シャフト5及びスライドユニット10を間に挟んで互いに対向する。
【0027】
なお、第1位置検出ユニット6と第2位置検出ユニット7は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1位置検出ユニット6について説明する。
第1位置検出ユニット6は、基板ホルダー41と、基板42と、第1端子電極44と、第2端子電極45と、第3端子電極46と、第1端子51、第2端子52と、第3端子53と、を有している。
【0028】
基板ホルダー41は、略長方形をなす平板状の部材により形成されている。また、基板ホルダー41の長手方向の一端部は、パネル3の第1取付凹部11に挿入され、基板ホルダー41の長手方向の他端部は、裏蓋4の第1取付凹部21に挿入される。なお、第2位置検出ユニット7の基板ホルダー41の長手方向の一端部は、パネル3の第2取付凹部12に挿入され、基板ホルダー41の長手方向の他端部は、裏蓋4の第2の取付凹部22に挿入される。そして、基板ホルダー41は、その長手方向がシャフト5や支柱8の軸方向と平行に配置される。
【0029】
基板ホルダー41における他の位置検出ユニットの基板ホルダー41と対向する一面には、基板42が設置されている。
【0030】
図7は、基板を示す斜視図である。
図7に示すように、基板42は、略長方形をなす平板状に形成されている。基板42の一面には、第1端子電極44、第2端子電極45及び第3端子電極46が設置されている。第1端子電極44、第2端子電極45及び第3端子電極46は、例えば、転写成形により基板42に形成される。なお、第1端子電極44、第2端子電極45及び第3端子電極46を基板42に形成する方法は、転写成形に限定されるものではなく、接着やプリント成形等その他各種の方法で形成されるものであってもよい。
【0031】
第1端子電極44、第2端子電極45及び第3端子電極46は、基板42の長手方向に沿って延在している。そのため、第1端子電極44、第2端子電極45及び第3端子電極46は、その長手方向が、シャフト5や支柱8の軸方向と平行に配置される。第2端子電極45は、基板42の短手方向の一端部に配置され、第3端子電極46は、基板42の短手方向の他端部に配置される。そして、第1端子電極44は、第2端子電極45と第3端子電極46の間に配置される。
【0032】
また、第1端子電極44と第3端子電極46の長手方向の他端部は、接続部47を介して抵抗体48が接続されている。抵抗体48は、基板42の長手方向に沿って延在している。そのため、抵抗体48は、その長手方向がシャフト5や支柱8の軸方向と平行に配置される。そして、第1端子電極44と第3端子電極46の間に設けられた抵抗体48や、第2端子電極45には、後述するスライドユニット10に取り付けられる摺動子63、64の接点92、92が接触する。
【0033】
なお、抵抗体48としては、コンダクティブプラスチック位置検出ユニットが用いられる。なお、抵抗体としては、巻線位置検出ユニットや、巻線とコンダクティブプラスチックを併用したハイブリット位置検出ユニットを適用してもよい。
【0034】
第1端子電極44の長手方向の一端部には、第1端子51が接続され、第2端子電極45の長手方向の一端部には、第2端子52が接続される。そして、第3端子電極46の長手方向の一端部には、第3端子53が接続される。また、第1端子51、第2端子52及び第3端子53には、リード線9(
図1参照)が接続される。
【0035】
次に、スライドユニット10について
図8〜
図10を参照して説明する。
図8は、スライドユニット10を示す平面図、
図9は、
図8に示すC−C線断面図、
図10は、スライドユニット10を示す分解斜視図である。
【0036】
図8〜
図10に示すように、スライドユニット10は、ユニットケース61と、ユニットキャップ62と、移動部材の一例を示す2つの摺動子63、64と、送りナット65と、送りナット用Oリング66と、シャフト用Oリング67と、2つのスリーブ68、68と、2つの摺動子取付板69、69と、を備えている。
【0037】
ユニットケース61は、本体部71と、筒部72とを有している。本体部71は、略直方体状に形成されている。本体部71には、貫通孔73と、2つのガイド孔74、74と、第1取付面部75と、第2取付面部76が形成されている。
【0038】
貫通孔73は、本体部71を上下方向に貫通している。貫通孔73には、シャフト5が貫通する。そして、シャフト5に設けた送りねじ部31が貫通孔73に配置される。この貫通孔73には、後述する送りナット65が送りナット用Oリング66を介して回転可能に配置される。また、貫通孔73における本体部71の上面側の端部には、座グリ穴73aが形成されている。座グリ穴73aには、固定用のねじ孔が形成されている。
【0039】
2つのガイド孔74、74は、貫通孔73を間に挟んで本体部71の上下方向と直交する幅方向の両側に形成されている。そして、ガイド孔74は、本体部71を上下方向に貫通している。ガイド孔74には、スリーブ68が嵌入する。スリーブ68には、支柱8が貫通する。そして、本体部71は、スリーブ68を介して支柱8に摺動可能に支持される。これにより、本体部71は、その上下方向が支柱8やシャフト5の軸方向と平行に配置される。
【0040】
第1取付面部75と、第2取付面部76は、本体部71の上下方向及び幅方向と直交する対向方向において互いに対向する2つの対向部に形成されている。また、本体部71が支柱8に支持された際、第1取付面部75は、第1位置検出ユニット6(
図5参照)と対向し、第2取付面部76は、第2位置検出ユニット7と対向する。
【0041】
第1取付面部75及び第2取付面部76は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは、第1取付面部75について説明する。第1取付面部75は、本体部71の対向面から対向方向の内側に凹んだ凹部である。この第1取付面部75には、ねじ孔75aが形成されている。この第1取付面部75には、摺動子取付板69が固定ねじ90を介して取り付けられる。
【0042】
筒部72は、本体部71における上下方向の下面側に形成されている。筒部72は、本体部71に形成した貫通孔73と連通する筒孔72aを有している。筒孔72aにおける本体部71とは反対側の端部には、Oリング取付部72bが形成されている。Oリング取付部72bは、筒孔72aの内壁から半径方向の内側に向けて突出する内フランジにより形成される。このOリング取付部72bには、シャフト用Oリング67が取り付けられる。
【0043】
回転抑制部材の一例を示すシャフト用Oリング67は、ユニットケース61に取り付けられて、シャフト5の外周面に所定の力で接触する。また、シャフト用Oリング67の内径は、シャフト5の外径よりも若干小さく設定されている。そのため、シャフト用Oリング67とシャフト5の外周面との間に生じる摩擦力により、シャフト5における周方向への回転が抑制される。
【0044】
なお、本例では、回転抑制部材としてOリングを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。回転抑制部材としては、ユニットケース61に設けられて、シャフト5と所定の摩擦力で接触する部材であればよい。そのため、回転抑制部材としては、例えば、ユニットケース61の筒部72の内壁面にゴムを貼り付けてもよく、あるいは筒部72の内壁面を梨字状に加工して、シャフト5との摩擦力を高めてもよい。
【0045】
次に、ユニットキャップ62について説明する。
ユニットキャップ62は、筒部81と、フランジ片82とを有している。筒部81の筒孔81aには、シャフト5が貫通する。筒部81の軸方向の一端部には、フランジ片82が形成されている。フランジ片82は、筒部81の外周面から半径方向の外側に向けて突出している。このフランジ片82には、固定ねじ80が挿入される切り欠き部82aが形成されている。切り欠き部82aは、フランジ片82の縁部を円弧状に切り欠くことで形成される。フランジ片82は、ユニットケース61の貫通孔73の縁部に設けられた座グリ穴73aに載置される。そして、ユニットキャップ62は、固定ねじ80によりユニットケース61に固定される。
【0046】
次に、摺動子取付板69について説明する。
摺動子取付板69は、略矩形をなす平板状に形成されている。摺動子取付板69には、凹部69aと、2つのねじ孔69b、69bが形成されている。凹部69aは、摺動子取付板69における第1取付面部75や第2取付面部76と対向する一面とは反対側の他面に形成されている。凹部69aには、凸部95と、2つの突起96が形成されている。この凹部69aには、摺動子63、64が取り付けられる。
【0047】
なお、第1取付面部75に固定される摺動子取付板69には、第1摺動子63が取り付けられ、第2取付面部76に固定される摺動子取付板69には、第2摺動子64が取り付けられる。そして、第1摺動子63は、第1位置検出ユニット6と対向し、第2摺動子64は、第2位置検出ユニット7と対向する。
【0048】
2つのねじ孔69b、69bは、摺動子取付板69における凹部69aを間に挟んで摺動子取付板69の長手方向の両側に形成されている。摺動子取付板69を、第1取付面部75や第2取付面部76に設置した際、ねじ孔69bは、第1取付面部75や第2取付面部76に設けたねじ孔75aと対向する。
【0049】
第1摺動子63と第2摺動子64は、それぞれ取付金具91と、2つの接点92、92とを有している。取付金具91は、平板状に形成されている。取付金具91には、2つの嵌合孔91a、91aが形成されている。そして、2つの嵌合孔91a、91aに第1取付面部75や第2取付面部76に設けた2つの突起96、96が嵌合する。そして、2つの突起96、96を加締めることで、取付金具91は、摺動子取付板69に固定される。
【0050】
2つの接点92、92は、取付金具91における2つの長辺の一辺に接合されている。2つの接点92、92は、第1位置検出ユニット6や第2位置検出ユニット7の基板42上に設けた第2端子電極45や抵抗体48に接触する。
【0051】
次に、送りナット65について説明する。
送りナット65は、リング状に形成されている。送りナット65の筒孔65aの内壁には、雌ねじが形成されている。そして、送りナット65は、シャフト5の送りねじ部31と螺合する。さらに、送りナット65の外周面には、溝部65bが形成されている。溝部65bは、送りナット65の外周面において周方向に連続して形成されている。送りナット65をユニットケース61の貫通孔73に配置した際、溝部65bは、貫通孔73の内壁と対向する。
【0052】
また、溝部65bには、スリップ部材の一例を示す送りナット用Oリング66が配置される。この送りナット用Oリング66は、送りナット65とユニットケース61の貫通孔73の内壁との間に介在される。送りナット用Oリング66の外径は、貫通孔73の内径よりも若干大きく設定されている。そのため、送りナット用Oリング66と貫通孔73の内壁との間には、送りナット65の周方向への回転に対して所定の負荷(摩擦)が発生する。なお、送りナット用Oリング66は、送りナット65に所定のトルク以上のトルクが加わると、貫通孔73の内壁を滑り、送りナット65が貫通孔73内で空転するように設定されている。
【0053】
なお、本例では、送りナット65に送りナット用Oリング66を取り付けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、貫通孔73の内壁に送りナット用Oリング66を取り付けてもよい。
【0054】
さらに、スリップ部材としてOリングを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。スリップ部材としては、送りナット65に設けられて、貫通孔73の内壁と所定の摩擦力で接触する部材であればよい。そのため、スリップ部材としては、例えば、送りナット65の外周面や貫通孔73の内壁面にゴムを貼り付けてもよく、あるいは送りナット65の外周面や貫通孔73の内壁面を梨字状に加工して、送りナット65と貫通孔73との摩擦力を高めてもよい。
【0055】
1−2.出力特性
次に、上述した構成を有する直線摺動ポテンショメータ1の出力特性について
図11を参照して説明する。
図11は、直線摺動ポテンショメータ1の出力特性を示す説明図であり、横軸はシャフト5の軸方向(PUSH/PULL方向)の変位量(ストローク)を示し、縦軸は出力電圧比を示している。また、
図11に示す下の表は第1位置検出ユニット6からの出力特性図であり、上の表は第2位置検出ユニットからの出力特性図である。
【0056】
図11に示すように、シャフト5がPULL方向のストッパに位置しているとき、第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7における第2端子52からの出力電圧比は0%となる。シャフト5がPUSH方向に所定量だけ変位すると、第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7における第2端子52からの出力電圧比は0%から立ち上がる。そして、シャフト5の変位量に応じて、第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7における第2端子52からの出力電圧比が増加する。そして、シャフト5がPUSH方向のストッパまで変位すると、第2端子52からの出力電圧比は100%になるように設定されている。
【0057】
2.出力電圧の調整作業
次に、上述した構成を有する直線摺動ポテンショメータ1における出力電圧の調整作業について
図1、
図4、
図5、
図12A〜
図12Cを参照して説明する。
図12A〜
図12Cは、スライドユニット10の送りナット65とシャフト5との位置関係を示すものである。
【0058】
目的とする出力電圧を得るためには、まず、使用者は、シャフト5をケース2に対して、その軸方向、すなわちPULL/PUSH方向に移動させて粗調整を行う。また、シャフト5の移動に伴って、スライドユニット10が支柱8に沿って移動する。これにより、スライドユニット10に設けた第1摺動子63及び第2摺動子64における第1位置検出ユニット6及び第2位置検出ユニット7に対する位置が変化し、目的の出力電圧の値に近づけることができる。
【0059】
上述したように、シャフト5は、スライドユニット10に設けたシャフト用Oリング67と接触している。このシャフト用Oリング67とシャフト5の外周面との間に生じる摩擦力により、シャフト5における周方向への回転が抑制される。これにより、シャフト5をその軸方向(PULL/PUSH方向)に移動(粗調整)させる際に、使用者の意図に反してシャフト5が回転することを防止することができる。すなわち、出力電圧を調整する際における微調整の誤操作を防止することができる。
【0060】
次に、使用者は、シャフト用Oリング67による摩擦力に抗してシャフト5を周方向に沿って回転させて、微調整を行う。なお、
図12A〜
図12Cに示すように、スライドユニット10は、2つの支柱8、8により支持されているため、スライドユニット10における周方向への回転動作が規制されている。さらに、シャフト5を回転させるトルクは、送りナット65と送りねじ部31の螺合により、シャフト5の軸方向に沿った直線移動への力に変換される。そして、送りナット65に加わる回転トルクが、送りナット用Oリング66と貫通孔73の内壁との間に生じる摩擦力よりも小さい場合、ユニットケース61は、送りナット65と共にシャフト5の軸方向に沿って移動する。
【0061】
シャフト5を時計回り(CW方向)に回転させた場合、スライドユニット10は、シャフト5の軸方向に沿ってPULL方向に移動する。また、シャフト5を反時計回り(CCW方向)に回転させた場合、スライドユニット10は、シャフト5の軸方向に沿ってPUSH方向に移動する。
【0062】
これに伴い、スライドユニット10に設けた第1摺動子63及び第2摺動子64がシャフト5の軸方向に移動する。これにより、この直線摺動ポテンショメータ1から得られる値を、目的の出力電圧の値に合致させることができる。その結果、直線摺動ポテンショメータ1による出力電圧の調整作業が完了する。
【0063】
このように、本例の直線摺動ポテンショメータ1によれば、目的とする出力電圧を得るために、粗調整をシャフト5の押し引きからなる直線動作で行い、微調整をシャフト5の回転動作で行っている。すなわち、1つのシャフト5を直線動作及び回転動作させることで、出力電圧の調整作業を容易に行うことができ、目的とする出力電圧を容易に得ることができる。
【0064】
なお、シャフト5を同一方向に回転し続けると、送りナット65がシャフト5の送りねじ部31から脱落するおそれがある。そのため、本例の直線摺動ポテンショメータ1には、第1止め輪34及び第2止め輪35からなるストッパが設けられている。
【0065】
図12Aに示すように、シャフト5をCW方向に回転させ続けると、スライドユニット10が第1止め輪34に当接する。これにより、スライドユニット10におけるPULL方向への移動が第1止め輪34により規制される。この状態で、さらにシャフト5をCW方向に回転させると、送りナット65に加わる回転トルクが、送りナット用Oリング66と貫通孔73の内壁との間に生じる摩擦力よりも大きくなる。これにより、送りナット用Oリング66が貫通孔73の内壁を滑り、送りナット65は、ユニットケース61の貫通孔73内で空転する。
【0066】
また、
図12Cに示すように、シャフト5をCCW方向に回転させ続けると、スライドユニット10が第2止め輪35に当接する。これにより、スライドユニット10におけるPUSH方向への移動が第2止め輪35により規制される。この状態で、さらにシャフト5をCCW方向に回転させると、送りナット65に加わる回転トルクが、送りナット用Oリング66と貫通孔73の内壁との間に生じる摩擦力よりも大きくなる。これにより、送りナット用Oリング66が貫通孔73の内壁を滑り、送りナット65は、ユニットケース61の貫通孔73内で空転する。
【0067】
このように、送りナット用Oリング66により送りナット65を空転させることで、送りねじ部31の雄ねじと送りナット65の雌ねじとのかじりを回避することができ、送りナット65や送りねじ部31が破損することを防ぐことができる。
【0068】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0069】
なお、上述した直線摺動ポテンショメータ1では、移動部材として摺動子63、64を用いて、位置検出部として抵抗体48が設けられた位置検出ユニット6、7を用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動部材として摺動子63、64の変わりに磁石を用い、位置検出部として抵抗体48の代わりに磁気検出素子を用いた無接触式の直線摺動ポテンショメータにも適用できるものである。
【0070】
さらに、移動部材として2つの摺動子63、64を設け、位置検出部として2つの位置検出ユニット6、7を設けた例を説明したが、移動部材や位置検出部の数は、2つに限定されるものではない。移動部材お呼び位置検出部の数は、1つでもよく、あるいは3つ以上設けてもよい。
【0071】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【解決手段】直線摺動ポテンショメータ1は、シャフト5と、送りねじ部31と、筐体2、3、4と、支柱8と、スライドユニット10と、移動部材63、64と、位置検出部6、7と、送りナット65と、を備えている。送りナット65は、スライドユニット10に設けられ、送りねじ部31の雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。そして、送りナット65と送りねじ部31は、シャフト5の回転動作に応じてスライドユニット10をシャフト5の軸方向へ直線移動させる。