特許第6613047号(P6613047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三協立山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6613047-防火建具 図000002
  • 特許6613047-防火建具 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613047
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】防火建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20191118BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   E06B1/18 X
   E06B5/16
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-84759(P2015-84759)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-204871(P2016-204871A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年7月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−001120(JP,A)
【文献】 特開2015−063800(JP,A)
【文献】 特開2014−190085(JP,A)
【文献】 実開平03−035188(JP,U)
【文献】 特開2001−280005(JP,A)
【文献】 特開2013−007243(JP,A)
【文献】 米国特許第06405504(US,B1)
【文献】 実開昭51−102942(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/12
E06B 1/16
E06B 1/18
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠と、サッシ枠の縦枠同士を連結する方立と、目板とを備え、縦枠は方立と係合しており、目板は、ホロー形材であり、方立の略全長に亘って係合して設けてあり、左右の縦枠及び方立の室内側面に跨って配置され、左右の縦枠と方立にネジ止めしてあり、方立は長手方向に突部を有し、方立の突部と目板とで縦枠の室内側縁部を長手方向全長に亘って挟み込んでいることを特徴とする防火建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接するサッシ枠の縦枠同士を方立で連結した防火建具に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の窓では、複数の窓枠の縦枠同士を方立で連結し、連窓としたものがある。このような窓では、火災時に縦枠や方立が火災の熱で変形したり溶融したりするのに伴って、縦枠と方立との間に隙間ができ、その隙間を通じて火炎や煙等が室内外を連通するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、縦枠同士を方立で連結した建具の防火性能の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による防火建具は、サッシ枠と、サッシ枠の縦枠同士を連結する方立と、目板とを備え、縦枠は方立と係合しており、目板は、ホロー形材であり、方立の略全長に亘って係合して設けてあり、左右の縦枠及び方立の室内側面に跨って配置され、左右の縦枠と方立にネジ止めしてあり、方立は長手方向に突部を有し、方立の突部と目板とで縦枠の室内側縁部を長手方向全長に亘って挟み込んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による防火建具は、目板がホロー形材であることで、火災時に目板のホロー部により火炎を遮り、縦枠と方立との連結部を火災の熱から保護することができ、さらに目板は方立の略全長に亘って係合して設けてあり、左右の縦枠及び方立本体の室内側面に跨って配置され、左右の縦枠と方立にネジ止めしてあり、方立は長手方向に突部を有し、方立の突部と目板とで縦枠の室内側縁部を長手方向全長に亘って挟み込んでいるため、火災時に縦枠や方立の溶融と、縦枠と方立間の隙間の発生を抑制し、火炎や煙の連通を防止できるので、防火性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図2のA−A断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る防火建具の室内側正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,2は、本発明の防火建具の一実施形態を示している。この防火建具は、ビルの窓に用いられるものであって、図2に示すように、左右に隣接して配置されたサッシ枠1,1の縦枠2,2同士を方立3で連結し、連窓にしたものである。
各サッシ枠1には、図1に示すように、室内側から複層ガラス11を嵌め込み、室内側に押縁12を取付け、サッシ枠1の室外側のガラス保持片13及び室内側の押縁12と複層ガラス11との間に、バックアップ材14とシール材15を装填して複層ガラス11を固定してあり、いわゆる嵌め殺し窓となっている。
サッシ枠1の縦枠2は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、図1に示すように、外周側が開放した略コ字状断面となっており、縦枠2の室外側縁部16は室内側に向けて鉤状に曲がった形に形成され、縦枠2の室内側縁部17は室外側に向けて鉤状に曲がった形に形成されている。
【0008】
方立3は、図1に示すように、方立本体18と目板5と目板カバー19とで構成されている。方立本体18は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、室外側端部に設けられた横長矩形断面の中空部20と、左右の縦枠2,2間に介在する見込み方向に長い矩形断面の中空部21とを有している。室外側の中空部20は、縦枠2,2間の中空部21よりも側方に張り出している。縦枠2,2間の中空部22を成す一対の見込み壁22,22には、室外側寄りの位置に室外側に向けて鉤状に曲がった爪6が長手方向に沿って設けてある。また、一対の見込み壁22,22の室内側端部寄りの位置には、突部7が長手方向に沿って設けてある。突部7の先端部には、縦枠2の室内側縁部17が係止する係止部23を有する。方立本体18の室内側面には、複数の鉤状の爪24が長手方向に沿って設けてある。
目板5は、方立3の略全長に亘って設けられるものであって、アルミニウム合金の押出形材よりなり、室外側壁25と室内側壁26と一対の側壁27,27とで横長の矩形断面のホロー部36が形成されたホロー形材となっている。室外側壁25は、方立本体18の中空部21と略同じ横幅を有する取付板部28と、取付板部28の左右端部より室内側に若干オフセットして側方にのびる縦枠支持部29,29とを有し、左右の縦枠2,2及び方立本体18の室内側面に跨って配置してある。取付板部28は、室外側面に複数の鉤状の爪30を長手方向に沿って有し、この爪30を方立本体18の爪24と係合させた上で、室内側からのネジ31で固定してある。
目板カバー19は、アルミ又は樹脂の押出形材よりなり、室外側が開放した略コ字状断面に形成され、左右の側壁に形成された係止部37,37を目板5の側縁部に室内側から弾発的に係止させて取付けられ、目板5を室内側から被っている。
【0009】
縦枠2は、図1に示すように、室外側縁部16が方立本体18の見込み壁22に形成された爪6に室外側から係合している。方立本体18の見込み壁22の室外側端部には、アルミ等の金属の矩形断面の長尺材よりなる開き防止具4が長手方向の略全長に亘って配置され、側方からのネジ32で固定してあり、この開き防止具4は、方立本体18の室外側の中空部20の室内側面と縦枠2の室外側面との間に介在しており、縦枠2の室外側に当接している。この開き防止具4がクサビとなり、縦枠2が方立本体18との係合が解除する方向(室外側)に移動するのを長手方向で規制している。さらに、方立本体18の室外側の中空部20の室内側面と縦枠2の室外側面との間には、耐火性のバックアップ材33を挿入した上でシール材34を充填し、雨水の浸入を防いでいる。縦枠2の室内側縁部17は、方立本体18の見込み壁22に長手方向に設けた突部7と目板5の縦枠支持部29とで挟み込まれている。さらに、縦枠2の室内側縁部17は、目板5の縦枠支持部29に室内側からのネジ35で固定してある。目板5の室内側壁26には、目板5の室外側壁25(取付板部28及び縦枠支持部29)を方立3と縦枠2にそれぞれ固定するネジ31,35を挿通するための孔(図示省略)が設けてあり、これらの孔は目板カバー19により隠してある。
【0010】
以上に述べたように本実施形態の防火建具は、縦枠2の室外側縁部16が方立本体18の爪6に室外側から係合し、方立本体18の見込み壁22に開き防止具4が長手方向にネジ止めして取付けてあり、開き防止具4が縦枠2の室外側に当接していることで、開き防止具4により縦枠2の室外側への移動が規制され、縦枠2と方立3の係合状態が維持されるため、火災時に縦枠2と方立3間の隙間の発生を抑制し、火炎や煙の連通を防止できるので、防火性能が向上する。さらに本防火建具は、縦枠2の室内側縁部17を方立(目板5)に室内側からネジ止めしてあるので、縦枠2の室内側縁部17が目板5や方立本体23から離れて隙間が開くのを確実に防ぎ、火炎や煙の連通を防止できる。開き防止具4は、アルミ等の市販のフラットバーを利用することができ、安価に入手できる。開き防止具4が方立3の見込み面に配置され、縦枠2の係合が外れる方向に対して直交する方向のネジ32で方立3に固定してあるので、縦枠2に係合が外れる方向(室外側向き)に力が働いたときに、その力に対してネジ32がせん断力で抵抗することになるので、室内外方向のネジで開き防止具4を固定した場合(この場合にはネジが引き抜き力で抵抗する)よりも、より強い力に耐えることができる。
【0011】
また本実施形態の防火建具は、目板5がホロー形材であることで、火災時に目板5のホロー部36を成す室内側壁26及び側壁27,27により火炎を遮り、縦枠2,2と方立3との連結部(目板5の室外側壁25)を火災の熱から保護することができ、さらに目板5は方立3の略全長に亘って係合して設けてあり、左右の縦枠2,2及び方立本体18の室内側面に跨って配置され、左右の縦枠2,2と方立本体18にネジ止めしてあり、方立本体18の突部7と目板5とで縦枠2,2の室内側縁部17を挟み込んでいるため、火災時に縦枠2や方立3の溶融と、縦枠2と方立3間の隙間の発生を抑制し、火炎や煙の連通を防止できるので、防火性能が向上する。目板5は、爪24,30で方立本体18と略全長に亘って係合しているため、目板5の取付強度が高く、方立本体18との間に隙間が生じない。
【0012】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。縦枠及び方立の断面形状は、適宜変更することができる。目板の材質や断面形状は、適宜変更することができる。本発明においては、方立(方立本体)の突部と目板とで縦枠の室内側縁部を挟み込んでいることで、縦枠が方立との係合が解除する方向に移動するのを規制できるので、開き防止具は省略することもできる。本発明の防火建具は、実施形態のような嵌め殺し窓に限らず、サッシ枠内に2枚の障子を引違い状に開閉自在に収めた引違い窓や、サッシ枠内に1枚の障子をすべり出し式に開閉自在に収めたすべり出し窓等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0013】
1 サッシ枠
2 縦枠
3 方立
4 開き防止具
5 目板
6 爪
7 突部
16 縦枠の室外側縁部(爪)
18 方立本体(方立)
図1
図2