特許第6613086号(P6613086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613086
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20191118BHJP
   H01F 7/127 20060101ALI20191118BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   F16K31/06 305A
   F16K31/06 305G
   F16K31/06 305E
   H01F7/16 Q
   H01F7/16 E
   H01F7/16 R
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-183640(P2015-183640)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-57936(P2017-57936A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】白羽 悠介
(72)【発明者】
【氏名】宇於崎 充
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4725802(US,A)
【文献】 特開平08−277952(JP,A)
【文献】 実開昭62−107173(JP,U)
【文献】 実開平04−031377(JP,U)
【文献】 特開昭56−073409(JP,A)
【文献】 特開2013−124768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
H01F 7/08− 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に電磁コイルが巻かれた筒状のボビンと、該ボビンの内側に挿通される非磁性金属製のガイドパイプと、流体の通路を開閉する弁体が一端に設けられて前記ガイドパイプ内を軸方向に移動可能な磁性金属製のプランジャーと、該プランジャーを前記弁体側に向けて付勢する付勢部材と、前記電磁コイルへの通電時に前記ボビンの内側で前記弁体とは反対側から前記プランジャーを引き付ける磁性金属製のコアと、前記ボビンを軸方向の両側から挟持する磁性金属製のフレームとを備える電磁弁において、
前記フレームは、前記弁体とは反対側から前記ボビンに接する第1支持板部と、前記プランジャーを挿通する挿通孔が設けられて前記弁体側から前記ボビンに接する第2支持板部とが側板部を介して一体に形成されており、前記第1支持板部と前記第2支持板部との間隔を広げるように反らせた前記側板部の弾性力で前記ボビンを軸方向の両側から挟持し、
前記ガイドパイプは、前記コア側の端部が周面と一体に密閉されており、
前記ボビンの内周と前記ガイドパイプの外周との間には、磁性金属材料で前記コアと一体に形成された筒状の第1カラーと、磁性金属材料で形成された筒状の第2カラーと、前記第1カラーおよび前記第2カラーに挟まれた筒状の弾性部材とが挿入されており、
前記第1支持板部と前記第2支持板部との間に前記ボビンが挟持された状態で、前記弾性部材は、前記第1カラーを介して前記コアを前記第1支持板部に押し付けると共に、前記第2カラーを前記第2支持板部に押し付ける
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁弁において、
前記フレームの前記第1支持板部には、貫通孔が形成されており、
前記コアには、前記第1支持板部に対向する端面に、前記貫通孔に嵌り込む凸部が設けられている
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電磁弁において、
前記ガイドパイプには、前記第2支持板部の前記挿通孔から突き出る端部に、径方向の外側に向けてフランジ部が設けられている
ことを特徴とする電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の通路を開閉する弁体を、電磁コイルへの通電による磁力を用いて駆動する電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器などのガス機器では、バーナーに供給する燃料ガス(流体)の通路を開閉するために電磁弁が用いられている。電磁弁は、外周に電磁コイルが巻かれた円筒状のボビンの内側にガイドパイプが挿通され、そのガイドパイプ内をプランジャーが軸方向に移動可能となっており、プランジャーの一端には、通路を開閉する弁体が設けられている。また、プランジャーを弁体側に向けて付勢する付勢バネや、電磁コイルへの通電時にボビンの内側で弁体とは反対側からプランジャーを引き付けるコアなどを備えている。
【0003】
電磁コイルに通電すると、コアとプランジャーとの間に磁気吸引力が発生し、付勢バネの付勢力に抗してプランジャーがコアに引き付けられるため、弁体が通路内の弁座から離れて通路を開く。一方、通電を停止すると、磁気吸引力が消失してプランジャーがコアに引き付けられなくなり、付勢バネの付勢力によって弁体が弁座に当接して通路を閉じる。このように動作する電磁弁は、モーターなどで駆動する電動弁に比べて通路開閉の応答速度が速いという特徴を有する。
【0004】
こうした電磁弁では、磁性金属製のフレームでボビンを支持することが提案されている(例えば、特許文献1)。フレームは、ボビンを軸方向の両側から挟持する2枚の支持板を備えている。弁体とは反対側からボビンに対面する一方の支持板(第1支持板)の両端からは、他方の支持板(弁体側からボビンに対面する第2支持板)に向けて一対の側板が延設されており、この側板の末端が第2支持板にカシメ加工で連結固定される。また、第1支持板には貫通孔が形成されており、コアに形成された突起部を貫通孔に通し、カシメ加工でフレームに対してコアがガタツキなく固定されている。さらに、第2支持板には挿通孔が形成されており、この挿通孔にプランジャーが挿通されている。こうすることで、電磁コイルへの通電で発生する磁束(磁力線)は、コアからフレーム(第1支持板、側板、第2支持板)を通ってプランジャーに流れるので、磁束の漏れを少なくして、コアとプランジャーとの間の吸引力を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−205432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フレームを有する特許文献1のような構造の電磁弁では、コアとプランジャーとの間の吸引力を得るのに有利である反面、フレームに対するコアの固定や、フレームの側板と第2支持板との連結固定にカシメ加工が必要であるため、電磁弁の組み立てに手間がかかるという問題があった。
【0007】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、磁性金属製のフレームでボビンを支持する電磁弁の組み立てを簡易化することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の電磁弁は次の構成を採用した。すなわち、
外周に電磁コイルが巻かれた筒状のボビンと、該ボビンの内側に挿通される非磁性金属製のガイドパイプと、流体の通路を開閉する弁体が一端に設けられて前記ガイドパイプ内を軸方向に移動可能な磁性金属製のプランジャーと、該プランジャーを前記弁体側に向けて付勢する付勢部材と、前記電磁コイルへの通電時に前記ボビンの内側で前記弁体とは反対側から前記プランジャーを引き付ける磁性金属製のコアと、前記ボビンを軸方向の両側から挟持する磁性金属製のフレームとを備える電磁弁において、
前記フレームは、前記弁体とは反対側から前記ボビンに接する第1支持板部と、前記プランジャーを挿通する挿通孔が設けられて前記弁体側から前記ボビンに接する第2支持板部とが側板部を介して一体に形成されており、前記第1支持板部と前記第2支持板部との間隔を広げるように反らせた前記側板部の弾性力で前記ボビンを軸方向の両側から挟持し、
前記ガイドパイプは、前記コア側の端部が周面と一体に密閉されており、
前記ボビンの内周と前記ガイドパイプの外周との間には、磁性金属材料で前記コアと一体に形成された筒状の第1カラーと、磁性金属材料で形成された筒状の第2カラーと、前記第1カラーおよび前記第2カラーに挟まれた筒状の弾性部材とが挿入されており、
前記第1支持板部と前記第2支持板部との間に前記ボビンが挟持された状態で、前記弾性部材は、前記第1カラーを介して前記コアを前記第1支持板部に押し付けると共に、前記第2カラーを前記第2支持板部に押し付ける
ことを特徴とする。
【0009】
このような本発明の電磁弁では、フレームの第1支持板部と第2支持板部とが側板部を介して一体であるため、ボビンにフレームを装着する際には、第1支持板部と第2支持板部との間隔を広げるように側板部を僅かに反らせて弾性力でボビンを軸方向の両側から挟むだけでよく、カシメ加工が不要である。しかも、コアは、ボビンの内周とガイドパイプの外周との間に挿入された弾性部材によって第1支持板部に押し付けて固定されるので、フレームに対してコアを固定するためのカシメ加工も不要として電磁弁の組み立てを簡易化することができる。

【0010】
上述した本発明の電磁弁においては、フレームの第1支持板部に貫通孔を形成しておくとともに、コアには、第1支持板部に対向する端面に、貫通孔に嵌り込む凸部を設けておいてもよい。
【0011】
このようにすれば、ボビンから突出するコアの凸部を、第1支持板部の貫通孔に嵌め込むだけで、ボビンをフレームに対して簡単に位置決めすることができる。
【0012】
また、こうした本発明の電磁弁のガイドパイプには、第2支持板部の挿通孔から突き出る端部に、径方向の外側に向けてフランジ部を設けておいてもよい。
【0013】
このように一端が密閉されたガイドパイプの他端にフランジ部を設けておけば、第2支持板部の挿通孔からボビンの内側にガイドパイプを挿通するだけでシール性を確保でき、ガイドパイプからの流体の漏れを防ぐパッキンなどの取り付けが不要となるので、電磁弁の組み立てが更に容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の電磁弁1を分解した状態を示した斜視図である。
図2】本実施例の電磁弁1を組み立てた状態を示した断面図である。
図3】従来例の電磁弁1の構造を示した断面図である。
図4】変形例の電磁弁1の構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施例の電磁弁1を分解した状態を示した斜視図である。この電磁弁1は、例えば、給湯器などのガス機器(図示省略)に搭載されて、バーナーに燃料ガスを供給する通路の開閉に用いられる。本実施例の電磁弁1は、まず、樹脂材料で円筒状に形成されて外周に電磁コイル2が巻かれたボビン3と、磁性金属材料で円筒状の上部カラー5と一体に形成された円柱状のコア4と、円筒状のコイルバネ6と、磁性金属材料で形成された円筒状の下部カラー7とを備えている。上部カラー5、コイルバネ6、および下部カラー7は内径が同じになっており、コア4から下部カラー7までが中心軸方向(図中の上下方向)に積み重なった状態でボビン3の内側に収容される。そして、ボビン3は、磁性金属製のフレーム8に支持される。尚、磁性金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、あるいはそれらの合金を例示することができる。
【0016】
フレーム8は、金属平板の折り曲げ加工などにより、上板部8aと下板部8bとが略平行に側板部8cで繋がれたコの字型に形成されており、ボビン3を中心軸方向の両側から上板部8aと下板部8bとで挟持する。また、上板部8aには貫通孔8dが形成されており、コア4の上部カラー5とは反対側の端面(図中の上面)に形成された凸部4aが、ボビン3から突出した状態で貫通孔8dに嵌り込む。尚、本実施例の上板部8aは、本発明の「第1支持板部」に相当し、本実施例の下板部8bは、本発明の「第2支持板部」に相当している。
【0017】
さらに、フレーム8の下板部8bには、下部カラー7の内径と同径の挿通孔8eが形成されており、この挿通孔8eからガイドパイプ9が下部カラー7、コイルバネ6、および上部カラー5の内側に挿通される。ガイドパイプ9は、非磁性金属材料を用いて円筒状に形成されており、コア4側の端部が周面と一体に密閉された密閉端9aになっている。一方、ガイドパイプ9の密閉端9aとは反対側で挿通孔8eから突き出る端部には、径方向の外側に向けてフランジ部9bが周面と一体に形成されており、このフランジ部9bがフレーム8の下板部8bの外面(図中の下面)に密接する。このような形状のガイドパイプ9は、金属平板から絞り加工などで形成することができる。尚、非磁性金属としては、銅、アルミニウム、真鍮などを例示することができる。
【0018】
そして、ガイドパイプ9の内側には、磁性金属材料で形成された円柱状のプランジャー11が軸方向(図中の上下方向)に移動可能に差し込まれる。プランジャー11の一端には、燃料ガスの通路を開閉する弁体12が設けられており、弁体12とは反対側でガイドパイプ9に差し込まれる他端には、ゴム等で形成された円筒状の緩衝部材13が埋め込まれている。また、プランジャー11をガイドパイプ9に差し込む際には、円錐状の付勢バネ10の内側にプランジャー11が通されており、フランジ部9bと弁体12との間に挟まれた付勢バネ10の弾性力によってプランジャー11が弁体12側に向けて(図中の下方向に)付勢される。尚、本実施例の付勢バネ10は、本発明の「付勢部材」に相当している。
【0019】
図2は、本実施例の電磁弁1を組み立てた状態を示した断面図である。図示した状態は、電磁コイル2に通電していない状態である。前述したようにフレーム8は、側板部8cによって上板部8aと下板部8bとが略平行に繋がれており、ボビン3にフレーム8を装着する際には上板部8aと下板部8bとの間隔を広げるように側板部8cを反らせ、そのときの弾性力によって上板部8aと下板部8bとの間にボビン3が挟持される。さらに、コア4の凸部4aがボビン3から突出した状態で上板部8aの貫通孔8dに嵌り込むことで、フレーム8に対してボビン3が位置決めされる。
【0020】
また、コア4と一体に形成された上部カラー5と、下部カラー7との間にはコイルバネ6が挟み込まれており、このコイルバネ6の弾性力によってコア4がフレーム8の上板部8aに押し付けられるとともに、下部カラー7がフレーム8の下板部8bに押し付けられる。そして、下板部8bの挿通孔8eからガイドパイプ9が下部カラー7、コイルバネ6、および上部カラー5の内側に挿通され、本実施例の電磁弁1では、ガイドパイプ9のフランジ部9bが下板部8bに接した状態で、密閉端9aがコア4に接するようにガイドパイプ9の長さが設定されている。尚、本実施例のコイルバネ6は、本発明の「弾性部材」に相当している。
【0021】
このような本実施例の電磁弁1は、燃料ガス(流体)の通路20の途中に設けられた開口部21をフランジ部9bで覆うように取り付けられる。尚、開口部21の周囲には、燃料ガスの漏れを防ぐためにゴム等で形成された環状のパッキン22がフランジ部9bとの間に挟まれており、フレーム8の下板部8bに設けられたビス穴8f(図1参照)に挿通した図示しない固定ビスの締結などで電磁弁1が固定される。そして、付勢バネ10によってガイドパイプ9から引き出す方向(図中の下方向)にプランジャー11が付勢されることから、通路20内に設けられた弁座23に弁体12が押し付けられて通路20を閉じた状態になっている。
【0022】
一方、電磁コイル2に通電すると、コア4および上部カラー5とプランジャー11との間に磁気吸引力が発生し、付勢バネ10の付勢力に抗して、プランジャー11がコア4に引き付けられる。これにより、弁体12が弁座23から離れて通路20を開く。
【0023】
本実施例の電磁弁1では、電磁コイル2に通電していない図2の状態で、プランジャー11の弁体12とは反対側の端部(以下、先端)が僅かに上部カラー5の内側に入っているだけで、コア4とプランジャー11とが離れているため、電磁コイル2への通電を開始した直後は、主に上部カラー5とプランジャー11との間で磁気吸引力が発生して、プランジャー11が上部カラー5の内側に引き込まれる。そして、プランジャー11の先端がコア4に近付くことで、コア4とプランジャー11との間に磁気吸引力が発生し、プランジャー11の先端がガイドパイプ9の密閉端9aの内側に当接した位置(すなわち、密閉端9aを間に挟んでコア4とプランジャー11との距離が最小の位置)で、通路20を全開した状態になる。尚、プランジャー11の先端には、前述したようにゴム等で形成された緩衝部材13が埋め込まれており、プランジャー11がコア4に引き付けられて密閉端9aに当接する際の衝撃を緩和する。
【0024】
加えて、本実施例の電磁弁1では、ボビン3を支持するフレーム8にコア4が密接しており、電磁コイル2への通電で発生する磁束(磁力線)は、コア4からフレーム8の上板部8a、側板部8c、下板部8bを通ってプランジャー11に流れるので、磁束の漏れを少なくして、コア4とプランジャー11との間の吸引力を高めることができる。また、ボビン3の内周とガイドパイプ9の外周との間に挿入された下部カラー7が下板部8bに密接していることから、下板部8bから下部カラー7を介してプランジャー11への磁束の流れを円滑にすることができる。その結果、下部カラー7を有しない場合よりも、コア4および上部カラー5とプランジャー11との間の吸引力を一層高めることができる。
【0025】
そして、電磁コイル2への通電を停止すると、コア4および上部カラー5とプランジャー11との間の磁気吸引力が消失し、付勢バネ10の付勢力によってプランジャー11がガイドパイプ9から引き出される。その結果、図2に示されるように弁体12が弁座23に押し付けられて通路20を閉じた状態になる。
【0026】
以上のような本実施例の電磁弁1では、フレーム8を有することでコア4とプランジャー11との間の磁気吸引力を効率的に得つつ、従来の電磁弁1に比べて組み立てを簡易化することができる。以下では、この点について説明するが、比較として従来例の電磁弁1の構造について簡単に説明する。
【0027】
図3は、従来例の電磁弁1の構造を示した断面図である。図には、電磁コイル2に通電していない状態が示されている。図示した従来例の電磁弁1におけるフレーム31は、ボビン3を中心軸方向の両側から挟持する2枚の支持板(上支持板32および下支持板34)を備えている。コア4側からボビン3に対面する上支持板32の両端からは、もう一方の下支持板34に向けて一対の側板33が延設されており、上支持板32と下支持板34との間にボビン3を挟んだ状態で、下支持板34に設けられたカシメ孔34aに側板33の末端33aを通し、その末端33aを打ち潰すカシメ加工によって連結固定される。
【0028】
ガイドパイプ9は、コア4側の端部が密閉されておらず開放端になっており、この開放端が上支持板32に接するとともに、開放端からガイドパイプ9の内側にコア4が差し込まれている。また、開放端からの燃料ガスの漏れを防ぐために、コア4とガイドパイプ9との間には、ゴム等で形成された環状のパッキン30が挟み込まれている。
【0029】
コア4は、プランジャー11とは反対側の端面(図中の上面)に形成された突起部4bを、上支持板32に設けられた貫通孔32aに通し、突起部4bを打ち潰すカシメ加工で固定されている。また、従来例の上部カラー5は、コア4とは別体に設けられており、ボビン3の内周とガイドパイプ9の外周との間に挿入されている。
【0030】
さらに、ガイドパイプ9は、弁体12側の端部が下支持板34の挿通孔から突出しており、その突出する部分の外周に、ゴム等で形成された環状のパッキン36と、底板35に形成された嵌合孔35bとが嵌められ、下支持板34に底板35が密接している。この底板35は、カシメ孔35aに側板33の末端33aが通され、下支持板34とともにカシメ加工で側板33に連結固定される。そして、従来例の電磁弁1は、通路20の開口部21(図2参照)を底板35で覆うように取り付けられる。
【0031】
このような従来例の電磁弁1では、電磁コイル2への通電で発生する磁束(磁力線)がフレーム31を通ることで、コア4とプランジャー11との間の磁気吸引力を効率的に得ることができる。その反面、フレーム31に対するコア4の固定や、フレーム31の側板33と下支持板34との連結固定にカシメ加工が必要である。また、ガイドパイプ9からの燃料ガスの漏れを防ぐために、コア4との隙間にパッキン30を挟んだり、底板35との隙間にパッキン36を挟んだりする必要がある。そのため、従来例の電磁弁1の組み立てには、非常に手間がかかっていた。
【0032】
これに対して、本実施例の電磁弁1では、図2に示したように、フレーム8の上板部8aと下板部8bとが側板部8cを介して予め一体に形成されており、側板部8cを反らしながら上板部8aと下板部8bとの間隔を僅かに広げてボビン3を中心軸方向の両側から挟むだけでよく、ボビン3にフレーム8を装着する際にカシメ加工は不要である。しかも、コア4は、ボビン3の内周とガイドパイプ9の外周との間に挿入されたコイルバネ6によってフレーム8の上板部8aに押し付けられており、フレーム8に対してコア4を固定するためのカシメ加工も不要であるため、従来例の電磁弁1よりも組み立てを簡易化することができる。
【0033】
また、ボビン3から突出するコア4の凸部4aを、フレーム8の上板部8aに形成された貫通孔8dに嵌め込むだけで、ボビン3をフレーム8に対して簡単に位置決めすることができる。
【0034】
さらに、本実施例の電磁弁1では、ガイドパイプ9のコア4側の端部が密閉端9aになっているとともに、密閉端9aとは反対側の端部にフランジ部9bが形成されている。これにより、フレーム8の下板部8bに設けられた挿通孔8eからボビン3の内側にガイドパイプ9を挿通するだけでシール性を確保でき、ガイドパイプ9からの燃料ガスの漏れを防ぐパッキンなどの取り付けが不要となるので、電磁弁1の組み立てが更に容易となる。
【0035】
上述した本実施例の電磁弁1には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
図4は、変形例の電磁弁1の構造を示した断面図である。図4では、主にコア4の周辺が示されており、付勢バネ10や弁体12の図示を省略している。また、図示した状態は、電磁コイル2に通電していない状態である。前述した実施例では、ガイドパイプ9の密閉端9aが平坦に形成されていた(図2参照)。これに対して、変形例のガイドパイプ9の密閉端9aには、ガイドパイプ9の内部(図中の下方)に向けて縮径するテーパー形状の凹みが形成されている。また、コア4には、密閉端9aに対応するテーパー形状の突出部4cが設けられており、この突出部4cと密閉端9aの外側とが接している。さらに、プランジャー11の先端には、密閉端9aに対応するテーパー形状の凹部11aが設けられており、この凹部11aの底面に緩衝部材13が埋め込まれている。そして、電磁コイル2に通電していない状態(弁体12が弁座23に押し付けられた状態)で、突出部4cの先端部分は凹部11aの内側に位置している。
【0037】
このような変形例の電磁弁1では、前述した実施例の電磁弁1と比較して、コア4とプランジャー11との軸方向(図中の上下方向)の間隔が同じであっても、コア4とプランジャー11との最短距離(コア4の突出部4cの外周とプランジャー11の凹部11aの内周との間隔)が小さくなるので、コア4とプランジャー11との間で磁気吸引力を発生し易くすることができる
【0038】
以上、本実施例および変形例の電磁弁1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0039】
例えば、前述した実施例では、上部カラー5がコア4と一体に形成されていたが、上部カラー5とコア4とが別体に設けられていてもよい。ただし、前述した実施例のように上部カラー5をコア4と一体に形成しておけば、上部カラー5からコア4への磁束の流れを円滑にして、プランジャー11に作用する吸引力を高めるとともに、部品点数を減らして電磁弁1の組み立てを簡易化することができる。
【0040】
また、前述した実施例では、上部カラー5と下部カラー7との間にコイルバネ6が挟まれており、このコイルバネ6の弾性力によってコア4をフレーム8の上板部8aに押し付けていた。しかし、ボビン3の中心軸方向に伸縮してコア4を上板部8aに押し付けることが可能であれば、コイルバネ6に限られず、筒状に形成されたゴム等の弾性体であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…電磁弁、 2…電磁コイル、 3…ボビン、
4…コア、 4a…凸部、 5…上部カラー、
6…コイルバネ、 7…下部カラー、 8…フレーム、
8a…上板部、 8b…下板部、 8c…側板部、
8d…貫通孔、 8e…挿通孔、 9…ガイドパイプ、
9a…密閉端、 9b…フランジ部、 10…付勢バネ、
11…プランジャー、 12…弁体、 13…緩衝部材、
20…通路、 21…開口部、 22…パッキン、
23…弁座、 30…パッキン、 31…フレーム、
32…上支持板、 32a…貫通孔、 33…側板、
33a…末端、 34…下支持板、 34a…カシメ孔、
35…底板、 35a…カシメ孔、 35b…嵌合孔、
36…パッキン。
図1
図2
図3
図4