特許第6613157号(P6613157)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本無線株式会社の特許一覧
特許6613157導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法
<>
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000002
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000003
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000004
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000005
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000006
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000007
  • 特許6613157-導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613157
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】導波管/伝送線路変換器、アンテナ装置、及び、導波管/伝送線路変換器を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20191118BHJP
   H01P 5/107 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   H01Q21/06
   H01P5/107 Z
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-16963(P2016-16963)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-22686(P2017-22686A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2019年1月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-136973(P2015-136973)
(32)【優先日】2015年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】菅野 真行
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−087651(JP,A)
【文献】 特開2011−223050(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/132032(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00−11/00
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管により伝送される電力と、伝送線路により伝送される電力と、を相互に変換する導波管/伝送線路変換器と、
平面上に格子状に配置されるアンテナ素子と、を備え、
前記導波管/伝送線路変換器は、
前記導波管の開口部を塞ぐように配置される誘電体基板と、
前記誘電体基板の表面かつ前記導波管の内部に配置され、前記伝送線路と結合され、周縁部が開放される開放穴が形成される整合素子と、を備え
格子状に配置されるアンテナ素子は、各列状に配置されるアンテナ素子に分割され、
各列状に配置されるアンテナ素子は、各列のほぼ中央に配置され各列分の中央給電を行なう前記導波管/伝送線路変換器に接続される前記伝送線路により、前記導波管/伝送線路変換器を挟んで逆方向に逆位相で給電され、
前記誘電体基板は、アンテナ素子が格子状に配置される平面である
ことを特徴とするアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)導波管により伝送される電力と、伝送線路により伝送される電力と、を相互に変換する導波管/伝送線路変換器、(2)アンテナ素子が平面上に格子状に配置され導波管/伝送線路変換器により給電されるアンテナ装置、及び、(3)導波管/伝送線路変換器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導波管/伝送線路変換器は、アンテナ装置への給電等に適用されており、特許文献1、2等に開示されている。まず、特許文献1では、導波管内の電界強度の高い位置において、伝送線路を挿入している。しかし、特許文献1では、導波管内の電磁波が有する波長のほぼ1/4に等しい距離分だけ、導波管に沿って伝送線路から離れた位置において、導波管短絡面を必要とする。よって、特許文献1では、導波管/伝送線路変換器を小型化することができず、短絡面を形成する構造体が、アンテナ装置を形成する面より前面に存在するため、アンテナ装置の指向性の劣化原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−320460号公報
【特許文献2】特開2000−244212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に、特許文献2では、整合素子に伝送線路を結合し、伝送線路から導波管へ電波を伝搬する技術を利用している。以下の説明から明らかなように、特許文献2では、特許文献1と比べて、導波管/伝送線路変換器を小型化することができ、アンテナ装置の指向性を劣化させる原因となる短絡面を形成する構造体を無くすことができる。
【0005】
従来技術の導波管/伝送線路変換器の構成を図1に示す。最上段は、導波管/伝送線路変換器1’の側面断面図を示す。第2段は、導波管/伝送線路変換器1’の矢視A’−A’平面断面図を示す。第3段は、導波管/伝送線路変換器1’の矢視B’−B’平面断面図を示す。最下段は、後述する整合素子17’の電流に沿う方向の電界分布を示す。
【0006】
導波管/伝送線路変換器1’は、導波管11’により伝送される電力と、伝送線路12’により伝送される電力と、を相互に変換するために、誘電体基板13’、短絡金属層14’、金属部材15’、接地金属層16’及び整合素子17’を備える。
【0007】
誘電体基板13’は、導波管11’の開口部を塞ぐように配置される。誘電体基板13’の面は、導波管11’の導波方向に垂直な面である。図1の第2、3段において、誘電体基板13’のうちパターンが配置される部分は、白地で示され、誘電体基板13’のうちパターンが配置されない部分は、斜線で示される。
【0008】
短絡金属層14’は、誘電体基板13’の表面かつ導波管11’の外部に配置され、誘電体基板13’を貫通する金属部材15’及び誘電体基板13’の表面かつ導波管11’の外枠に配置される接地金属層16’により、導波管11’と同電位に保持される。
【0009】
整合素子17’は、誘電体基板13’の表面かつ導波管11’の内部に配置され、誘電体基板13’を介して伝送線路12’と電磁的に結合され、誘電体基板13’の周囲の環境における実効波長λの電磁波を定在波として立てるための共振長(a’=ほぼλ/2)を、導波管11’内の電界方向及び伝送線路12’の給電方向に有する。
【0010】
しかし、特許文献2では、以下に示す課題が残る。第1の課題として、導波管/伝送線路変換器1’を利用したアンテナ装置についての課題がある。第2の課題として、導波管/伝送線路変換器1’の共振周波数の低周波数化についての課題がある。
【0011】
第1の課題に関して、従来技術を利用したアンテナ装置の構成例を図2に示す。アンテナ装置2’では、アンテナ素子が平面上に格子状に配置される。格子状に配置されるアンテナ素子は、各列のアンテナ素子21’に分割される。各列のアンテナ素子21’は、各列のほぼ中央に配置され各列分の中央給電を行なう導波管/伝送線路変換器1’に接続される1本の伝送線路12’により、導波管/伝送線路変換器1’を挟んで逆方向に逆位相で給電される。導波管/伝送線路変換器1’を挟んで逆方向のアンテナ素子において、同方向の電界及び同方向の指向性を得るためである。誘電体基板13’は、アンテナ素子が格子状に配置される平面である。導波管11’の広壁面の断面は、各列の方向に平行な方向に配置される。導波管11’の狭壁面の断面は、各列の方向に垂直な方向に配置される。
【0012】
各列のアンテナ素子21’が各列の中央で給電されることにより、アンテナ装置2’の中心周波数からずれた周波数において、各列を構成する各アンテナ素子の励振位相が互いにずれても、各列を構成する各アンテナ素子の合成結果は、広い周波数範囲で任意の一方向に利得の高い指向性を形成できる。
【0013】
しかし、導波管/伝送線路変換器1’において、誘電体基板13’の表面に配置されるパターンのサイズのうち、導波管11’の狭壁面の断面に沿う方向のサイズp’(図1を参照。)は、大きくならざるを得ない。よって、アンテナ装置2’において、互いに隣り合う各列のアンテナ素子21’の間隔d’は、放射される電磁波が有する波長λの半分に等しい長さλ/2より広くならざるを得ない。これにより、アレーアンテナにおける可視領域は、広くならざるを得ず、各列を構成する各アンテナ素子により形成されるアレーアンテナの指向性において、特に、各アンテナ素子の位相情報を調整し、広角までビームを走査する際に、グレーティングローブは、発生しやすくなる。
【0014】
第2の課題に関して、従来技術の導波管/伝送線路変換器の低周波数化方法を図3に示す。上段は、導波管/伝送線路変換器1’の低周波数化「以前」における、整合素子17’の電流に沿う方向の電界分布を示す。下段は、導波管/伝送線路変換器1’の低周波数化「以後」における、整合素子17’の電流に沿う方向の電界分布を示す。
【0015】
導波管/伝送線路変換器1’の低周波数化以前において、整合素子17’の長さa’は、誘電体基板13’の周囲の環境における、低周波数化以前の実効波長λの電磁波を、定在波として立てるためのλ/2である。導波管/伝送線路変換器1’の低周波数化以後において、整合素子17’の長さa’’は、誘電体基板13’の周囲の環境における、低周波数化以後の実効波長λ’の電磁波を、定在波として立てるためのλ’/2である。
【0016】
つまり、導波管/伝送線路変換器1’の低周波数化以後では、導波管/伝送線路変換器1’の低周波数化以前より、整合素子17’の長さは、a’=λ/2からa’’=λ’/2へと長くなっている。よって、導波管/伝送線路変換器1’の共振周波数の低周波数化において、誘電体基板13’の表面に導体薄膜を新たに形成し直す必要があり、導波管/伝送線路変換器1’の製造工程や設計変更を困難にしている。
【0017】
そこで、第1の課題を解決するために、本発明は、導波管/伝送線路変換器において、誘電体基板の表面に配置されるパターンのサイズのうち、導波管の狭壁面の断面に沿う方向のサイズを小さくして、アンテナ装置において、互いに隣り合う各列のアンテナ素子の間隔を狭くして、各列を構成する各アンテナ素子により形成されるアレーアンテナの指向性において、特に、各アンテナ素子の位相情報を調整し、広角までビームを走査する際に、グレーティングローブを発生しにくくすることを目的とする。
【0018】
そして、第2の課題を解決するために、本発明は、導波管/伝送線路変換器の共振周波数の低周波数化において、誘電体基板の表面に導体薄膜を新たに形成し直す必要をなくし、導波管/伝送線路変換器の製造工程や設計変更を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の課題を解決するために、周縁部が開放される開放穴が整合素子に形成されることにより、誘電体基板の等価誘電率が高くなることを応用した。
【0020】
整合素子に開放穴を形成する以前には、整合素子の電流方向は、整合素子の長さ方向と平行方向である。よって、整合素子の長さは、整合素子の電流経路の長さ(例えば、実効波長λの電磁波に対して、整合素子の長さ方向の両端を開放する場合にはλ/2、整合素子の長さ方向の一端のみを短絡する場合にはλ/4。)に等しくなる。
【0021】
整合素子に開放穴を形成した以後には、整合素子の電流方向は、開放穴を迂回するような方向である。よって、整合素子の長さは、整合素子の電流経路の長さ(例えば、実効波長λの電磁波に対して、整合素子の長さ方向の両端を開放する場合にはλ/2、整合素子の長さ方向の一端のみを短絡する場合にはλ/4。)より短くなる。
【0022】
このように、整合素子に開放穴を形成した以後には、整合素子に開放穴を形成する以前より、整合素子の同一の共振周波数に対して、整合素子の長さが短くなるようにでき、誘電体基板の等価誘電率が高くなったように見える。
【0023】
具体的には、本発明は、導波管により伝送される電力と、伝送線路により伝送される電力と、を相互に変換する導波管/伝送線路変換器であって、前記導波管の開口部を塞ぐように配置される誘電体基板と、前記誘電体基板の表面かつ前記導波管の内部に配置され、前記伝送線路と結合され、周縁部が開放される開放穴が形成される整合素子と、を備えることを特徴とする導波管/伝送線路変換器である。
【0024】
この構成によれば、誘電体基板の表面に配置されるパターンのサイズのうち、導波管の狭壁面の断面に沿う方向のサイズを小さくすることができる。
【0025】
また、本発明は、アンテナ素子が平面上に格子状に配置されるアンテナ装置であって、格子状に配置されるアンテナ素子は、各列状に配置されるアンテナ素子に分割され、各列状に配置されるアンテナ素子は、各列のほぼ中央に配置され各列分の中央給電を行なう以上に記載の導波管/伝送線路変換器に接続される前記伝送線路により、以上に記載の導波管/伝送線路変換器を挟んで逆方向に逆位相で給電され、前記誘電体基板は、アンテナ素子が格子状に配置される平面であることを特徴とするアンテナ装置である。
【0026】
この構成によれば、互いに隣り合う各列のアンテナ素子の間隔を狭くして、各列を構成する各アンテナ素子により形成されるアレーアンテナの指向性において、特に、各アンテナ素子の位相情報を調整し、広角までビームを走査する際に、グレーティングローブを発生しにくくすることができる。
【0027】
第2の課題を解決するために、周縁部が開放される開放穴が整合素子に形成されることにより、誘電体基板の等価誘電率が高くなることを応用した。
【0028】
整合素子に開放穴を形成する以前には、整合素子の電流方向は、整合素子の長さ方向と平行方向である。よって、整合素子の電流経路の長さ(例えば、実効波長λの電磁波に対して、整合素子の長さ方向の両端を開放する場合にはλ/2、整合素子の長さ方向の一端のみを短絡する場合にはλ/4。)は、整合素子の長さに等しくなる。
【0029】
整合素子に開放穴を形成した以後には、整合素子の電流方向は、開放穴を迂回するような方向である。よって、整合素子の電流経路の長さ(例えば、実効波長λの電磁波に対して、整合素子の長さ方向の両端を開放する場合にはλ/2、整合素子の長さ方向の一端のみを短絡する場合にはλ/4。)は、整合素子の長さより長くなる。
【0030】
このように、整合素子に開放穴を形成した以後には、整合素子に開放穴を形成する以前より、整合素子の同一の長さに対して、整合素子の共振周波数が低くなるようにでき、誘電体基板の等価誘電率が高くなったように見える。
【0031】
具体的には、本発明は、以上に記載の導波管/伝送線路変換器を製造する方法であって、前記誘電体基板の表面において、整合素子を配置する整合素子配置ステップと、前記整合素子において、前記整合素子の共振周波数が所定周波数となるように、周縁部が開放される開放穴を形成する開放穴形成ステップと、を順に備えることを特徴とする導波管/伝送線路変換器を製造する方法である。
【0032】
この構成によれば、導波管/伝送線路変換器の共振周波数の低周波数化において、誘電体基板の表面から開放穴の面積分だけ導体薄膜を除去するのみでよく、導波管/伝送線路変換器の製造工程や設計変更を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0033】
第1の課題を解決するために、本発明は、導波管/伝送線路変換器において、誘電体基板の表面に配置されるパターンのサイズのうち、導波管の狭壁面の断面に沿う方向のサイズを小さくして、アンテナ装置において、互いに隣り合う各列のアンテナ素子の間隔を狭くして、各列を構成する各アンテナ素子により形成されるアレーアンテナの指向性において、特に、各アンテナ素子の位相情報を調整し、広角までビームを走査する際に、グレーティングローブを発生しにくくすることができる。
【0034】
第2の課題を解決するために、本発明は、導波管/伝送線路変換器の共振周波数の低周波数化において、誘電体基板の表面に導体薄膜を新たに形成し直す必要をなくし、導波管/伝送線路変換器の製造工程や設計変更を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来技術の導波管/伝送線路変換器の構成を示す図である。
図2】従来技術を利用したアンテナ装置の構成例を示す図である。
図3】従来技術の導波管/伝送線路変換器の低周波数化方法を示す図である。
図4】本発明の導波管/伝送線路変換器の構成を示す図である。
図5】本発明のアンテナ装置の構成例を示す図である。
図6】本発明の導波管/伝送線路変換器の低周波数化方法を示す図である。
図7】本発明の導波管/伝送線路変換器の低周波数化結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0037】
(本発明の導波管/伝送線路変換器の構成)
本発明の導波管/伝送線路変換器の構成を図4に示す。最上段は、導波管/伝送線路変換器1の側面断面図を示す。第2段は、導波管/伝送線路変換器1の矢視A−A平面断面図を示す。第3段は、導波管/伝送線路変換器1の矢視B−B平面断面図を示す。最下段は、後述する整合素子17の電流に沿う方向の電界分布を示す。
【0038】
導波管/伝送線路変換器1は、導波管11により伝送される電力と、伝送線路12により伝送される電力と、を相互に変換するために、誘電体基板13、短絡金属層14、金属部材15、接地金属層16及び整合素子17を備える。
【0039】
誘電体基板13は、導波管11の開口部を塞ぐように配置される。誘電体基板13の面は、導波管11の導波方向に垂直な面である。図4の第2、3段において、誘電体基板13のうちパターンが配置される部分は、白地で示され、誘電体基板13のうちパターンが配置されない部分は、斜線で示される。
【0040】
短絡金属層14は、誘電体基板13の表面かつ導波管11の外部に配置され、誘電体基板13を貫通する金属部材15及び誘電体基板13の表面かつ導波管11の外枠に配置される接地金属層16により、導波管11と同電位に保持される。
【0041】
整合素子17は、誘電体基板13の表面かつ導波管11の内部に配置され、誘電体基板13を介して伝送線路12と電磁的に結合され、周縁部が開放される開放穴18が形成される。整合素子17のサイズは、整合素子17の長さ方向にはaであり、整合素子17の幅方向にはc(図7を参照。)である。開放穴18のサイズは、整合素子17の長さ方向にはb(図7を参照。)であり、整合素子17の幅方向にはd(図7を参照。)である。
【0042】
ここで、整合素子17及び伝送線路12は、別層に存在する。そして、伝送線路12の先端形状は、切り欠き付きのスタブ又はスロットである。よって、整合素子17及び伝送線路12は、電磁的な結合を実現することができる。
【0043】
図4の説明では、金属部材15は、導波管11の2面の広壁面及び2面の狭壁面の断面に沿って誘電体基板13を貫通する「スルーホール」で形成されている。図4の変形例としては、金属部材15は、導波管11の2面の広壁面及び2面の狭壁面の断面に沿って誘電体基板13を貫通する「導体壁」であってもよい。
【0044】
図4の説明では、整合素子17の長さ方向の両端を開放しており、電磁波の1/2波長分を定在波として立てている。図4の変形例としては、整合素子17の長さ方向の一端のみを短絡してもよく、電磁波の1/4波長分を定在波として立ててもよい。
【0045】
図4の説明では、1本の伝送線路12を1個の整合素子17と結合させている。図4の変形例としては、2本の伝送線路12を1個の整合素子17と結合させてもよい。
【0046】
(第1の課題に対する解決の手段)
整合素子17に開放穴18を形成する以前には、整合素子17の電流方向は、整合素子17の長さ方向と平行方向である。よって、整合素子17の長さaは、整合素子17の電流経路の長さ(図4の説明では、整合素子17の長さ方向の両端を開放しており、実効波長λの電磁波に対してλ/2となる。)に等しくなる。
【0047】
整合素子17に開放穴18を形成した以後には、整合素子17の電流方向は、開放穴18を迂回するような方向である。よって、整合素子17の長さaは、整合素子17の電流経路の長さ(図4の説明では、整合素子17の長さ方向の両端を開放しており、実効波長λの電磁波に対してλ/2となる。)より短くなる。
【0048】
このように、整合素子17に開放穴18を形成した以後には、整合素子17に開放穴18を形成する以前より、整合素子17の同一の共振周波数に対して、整合素子17の長さaが短くなるようにでき、誘電体基板13の等価誘電率が高くなったように見える。
【0049】
本発明のアンテナ装置の構成例を図5に示す。アンテナ装置2では、アンテナ素子が平面上に格子状に配置される。格子状に配置されるアンテナ素子は、各列のアンテナ素子21に分割される。各列のアンテナ素子21は、各列のほぼ中央に配置され各列分の中央給電を行なう導波管/伝送線路変換器1に接続される1本の伝送線路12により、導波管/伝送線路変換器1を挟んで逆方向に逆位相で給電される。導波管/伝送線路変換器1を挟んで逆方向のアンテナ素子において、同方向の電界及び同方向の指向性を得るためである。誘電体基板13は、アンテナ素子が格子状に配置される平面である。導波管11の広壁面の断面は、各列の方向に平行な方向に配置される。導波管11の狭壁面の断面は、各列の方向に垂直な方向に配置される。
【0050】
例えば、導波管/伝送線路変換器1に接続される1本の伝送線路12の給電箇所は、各列の中央位置から90度分の位相回転に対応する線路長分だけずらした位置である。或いは、導波管/伝送線路変換器1に接続される1本の伝送線路12の給電箇所から一方向のアンテナ素子への伝送路長と、導波管/伝送線路変換器1に接続される1本の伝送線路12の給電箇所から他方向のアンテナ素子への伝送路長は、90度分の位相回転に対応する線路長差を有する。
【0051】
各列のアンテナ素子21が各列の中央で給電されることにより、アンテナ装置2の中心周波数からずれた周波数において、各列を構成する各アンテナ素子の励振位相が互いにずれても、各列を構成する各アンテナ素子の合成結果は、広い周波数範囲で任意の一方向に利得の高い指向性を形成できる。
【0052】
そして、導波管/伝送線路変換器1において、誘電体基板13の表面に配置されるパターンのサイズのうち、導波管11の狭壁面の断面に沿う方向のサイズp(図4を参照。)は、小さくすることができる。よって、アンテナ装置2において、互いに隣り合う各列のアンテナ素子21の間隔dは、放射される電磁波が有する波長λの半分に等しい長さλ/2より狭くすることができ、アレーアンテナにおける可視領域は、狭くすることができ、各列を構成する各アンテナ素子により形成されるアレーアンテナの指向性において、特に、各アンテナ素子の位相情報を調整し、広角までビームを走査する際に、アレーアンテナにおけるグレーティングローブは、発生しにくくなる。
【0053】
図5の説明では、各列のアンテナ素子21を1本の伝送線路12で給電するにあたり、1本の伝送線路12を図5の上下方向に分岐させている。図5の変形例としては、各列のアンテナ素子21を2本の伝送線路12で給電するにあたり、一の伝送線路12を図5の上方向に延伸させてもよく、他の伝送線路12を図5の下方向に延伸させてもよい。図5の変形例においても、図5の説明にならって、導波管/伝送線路変換器1に接続される2本の伝送線路12の給電位相は、互いに逆位相である。
【0054】
(第2の課題に対する解決の手段)
整合素子17に開放穴18を形成する以前には、整合素子17の電流方向は、整合素子17の長さ方向と平行方向である。よって、整合素子17の電流経路の長さ(図4の説明では、整合素子17の長さ方向の両端を開放しており、実効波長λの電磁波に対してλ/2となる。)は、整合素子17の長さaに等しくなる。
【0055】
整合素子17に開放穴18を形成した以後には、整合素子17の電流方向は、開放穴18を迂回するような方向である。よって、整合素子17の電流経路の長さ(図4の説明では、整合素子17の長さ方向の両端を開放しており、実効波長λの電磁波に対してλ/2となる。)は、整合素子17の長さaより長くなる。
【0056】
このように、整合素子17に開放穴18を形成した以後には、整合素子17に開放穴18を形成する以前より、整合素子17の同一の長さaに対して、整合素子17の共振周波数が低くなるようにでき、誘電体基板13の等価誘電率が高くなったように見える。
【0057】
本発明の導波管/伝送線路変換器の低周波数化方法を図6に示す。上段は、導波管/伝送線路変換器1の低周波数化「以前」における、整合素子17の電流に沿う方向の電界分布を示す。下段は、導波管/伝送線路変換器1の低周波数化「以後」における、整合素子17の電流に沿う方向の電界分布を示す。
【0058】
導波管/伝送線路変換器1の低周波数化以前において、整合素子17の電流経路の長さは、誘電体基板13の周囲の環境における、低周波数化以前の実効波長λの電磁波を、定在波として立てるためのλ/2であり、整合素子17の長さaに等しくなる。導波管/伝送線路変換器1の低周波数化以後において、整合素子17の電流経路の長さは、誘電体基板13の周囲の環境における、低周波数化以後の実効波長λ’の電磁波を、定在波として立てるためのλ’/2であり、整合素子17の長さaより長くなる。
【0059】
つまり、導波管/伝送線路変換器1の低周波数化以後では、導波管/伝送線路変換器1の低周波数化以前より、整合素子17の長さは、a(=λ/2<λ’/2)のまま変わらずに済む。よって、導波管/伝送線路変換器1の共振周波数の低周波数化において、誘電体基板13の表面から開放穴18の面積分だけ導体薄膜を除去するのみでよく、導波管/伝送線路変換器1の製造工程や設計変更を容易にすることができる。
【0060】
本発明の導波管/伝送線路変換器の低周波数化結果を図7に示す。上段は、整合素子17の長さ方向の開放穴18のサイズbを変化させた場合を示す。下段は、整合素子17の幅方向の開放穴18のサイズdを変化させた場合を示す。上段及び下段の横軸は、設計周波数(低周波数化による設計変更後における所望周波数)で規格化された周波数を示す。
【0061】
整合素子17の長さ方向及び/又は幅方向の開放穴18のサイズb及び/又はdを大きくしても、導波管/伝送線路変換器1の中心周波数から帯域幅分だけずれた周波数においても、低い反射特性即ち高い透過特性を実現可能であることが分かる。
【0062】
整合素子17の長さ方向及び/又は幅方向の開放穴18のサイズb及び/又はdを大きくすれば、整合素子17の電流経路の長さが長くなることから、整合素子17の共振周波数が低くなることが分かる。逆に言えば、整合素子17の共振周波数を初期設計時の周波数から設計変更後の周波数へと低くするように、整合素子17の長さ方向及び/又は幅方向の開放穴18のサイズb及び/又はdを調整すればよい。例えば、整合素子17の共振周波数を初期設計時の周波数から上述した設計周波数へと低くするように、以下の(1)及び(2)のいずれかを採用すればよい:(1)整合素子17の長さ方向の開放穴18のサイズbを、0.21<b/a<0.23となるように調整する。(2)整合素子17の幅方向の開放穴18のサイズdを、0.34<d/c<0.355となるように調整する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の導波管/伝送線路変換器及びアンテナ装置は、合成結果が広い周波数範囲で任意の一方向に利得の高い指向性を形成でき、グレーティングローブが発生しにくい、アンテナ素子が平面上に格子状に配置されるアンテナ装置を、小型化及び低コスト化する目的に対して、適用することが可能である。
【0064】
本発明の導波管/伝送線路変換器及び導波管/伝送線路変換器を製造する方法は、共振周波数の低周波数化において、誘電体基板の表面に導体薄膜を新たに形成し直す必要をなくし、製造工程や設計変更を容易にする目的に対して、適用することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1、1’:導波管/伝送線路変換器
2、2’:アンテナ装置
11、11’:導波管
12、12’:伝送線路
13、13’:誘電体基板
14、14’:短絡金属層
15、15’:金属部材
16、16’:接地金属層
17、17’:整合素子
18:開放穴
21、21’:各列のアンテナ素子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7