特許第6613199号(P6613199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613199
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】フェンスまたは手摺り
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20191118BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   E04H17/14 103A
   E04F11/18
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-79037(P2016-79037)
(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-190570(P2017-190570A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 信二
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−203041(JP,A)
【文献】 実開平02−150303(JP,U)
【文献】 実開昭62−082631(JP,U)
【文献】 実開昭49−134821(JP,U)
【文献】 特開2009−024332(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0201432(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 −17/26
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の上端部に連結ブラケットを備え、前記連結ブラケットを介して前記支柱の上端部に笠木を取り付けてなるフェンスまたは手摺りにおいて、
前記連結ブラケットは、前記支柱の上端面に固定されるベース部と、前記ベース部の縁部から上方に向けて突出した後に屈曲し、当該屈曲端部に挿通孔を有した連結部と、前記連結部の両側となる部位に前記ベース部から上方に向けて突出した支持部とを有したものであり、
前記笠木は、前記連結ブラケットの連結部に載置させた場合に前記笠木の最下部を前記支柱の上端面よりも上方に位置させる取付面と、前記取付面の両側となる部分において前記取付面よりも下方に位置し、前記支持部の突出端面に当接する当接面とを有し、
前記連結ブラケットと前記笠木との間には、前記挿通孔を介して螺合することにより、前記取付面に対する前記連結部の相対移動を阻止するネジ部材を設けたことを特徴とするフェンスまたは手摺り。
【請求項2】
前記笠木は、長手に直交する端面において左右の中心となる部分に前記取付面を有したことを特徴とする請求項1に記載のフェンスまたは手摺り。
【請求項3】
前記笠木は、両端面が開口した中空状を成し、下方部に下方に向けて開口する凹溝を有するとともに、前記凹溝を構成する側壁部分から互いに対向するように突出した取付条片部を有し、前記取付条片部の下面を前記取付面として前記連結ブラケットの連結部に当接するものであり、
前記笠木の凹溝において前記取付条片部よりも上方となる部位には、前記取付条片部の上面に当接し、前記凹溝の長手に沿ってスライド可能となる裏板部材を配設し、
前記ネジ部材は、前記裏板部材と前記連結部との間に前記取付条片部を挟持するように、前記連結部の挿通孔を介して前記裏板部材に螺合したものであることを特徴とする請求項1に記載のフェンスまたは手摺り。
【請求項4】
前記笠木は、長手に直交する端面において左右の中心となる部分に前記凹溝有したことを特徴とする請求項3に記載のフェンスまたは手摺り。
【請求項5】
前記支柱は、横断面が筒状を成すものであり、
前記連結ブラケットのベース部は、少なくとも前記連結部を設ける縁部分を前記支柱の側面よりも外方に突出させたことを特徴とする請求項1に記載のフェンスまたは手摺り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱の上端部に連結ブラケットを介して笠木を取り付けてなるフェンスまたは手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フェンスや手摺りにおいて支柱の上端部に笠木を架け渡すように配設する場合には、連結ブラケットを介して行うのが一般的である。連結ブラケットは、支柱の上端面に固定されるベース部と、ベース部の両側縁部から上方に向けて突出した後、互いに離反する方向に屈曲した連結部とを有したものが適用されている。この連結ブラケットを適用した場合には、連結部の挿通孔を介して笠木の下面にネジ部材を螺合することにより、支柱と笠木との間を連結することが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−203041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フェンスや手摺りでは、支柱の相互間に横桟や面材を配設する場合がある。笠木の下端部が支柱よりも大きな幅を有していれば、笠木の長手に対して連結部が直交する姿勢で支柱に連結ブラケットを取り付けることにより、横桟や面材に邪魔されることなく連結部の挿通孔を介して笠木の下面にネジ部材を螺合させることが可能である。
【0005】
しかしながら、笠木の下端部が支柱に対して同等もしくはそれ以下の幅しかない場合には、連結部が笠木の長手に沿う姿勢で支柱に連結ブラケットを取り付けせざるを得ないため、支柱の相互間でネジ部材を螺合する作業を行う必要がある。従って、横桟や面材が支柱の上端部に配設されている場合には、ネジ部材を螺合させるための作業スペースを確保することができず、笠木を取り付けることが困難となる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、支柱に対する笠木の寸法に関わらず、取り付け作業を容易、かつ確実に行うことのできるフェンスまたは手摺りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るフェンスまたは手摺りは、支柱の上端部に連結ブラケットを備え、前記連結ブラケットを介して前記支柱の上端部に笠木を取り付けてなるフェンスまたは手摺りにおいて、前記連結ブラケットは、前記支柱の上端面に固定されるベース部と、前記ベース部の縁部から上方に向けて突出した後に屈曲し、当該屈曲端部に挿通孔を有した連結部と、前記連結部の両側となる部位に前記ベース部から上方に向けて突出した支持部とを有したものであり、前記笠木は、前記連結ブラケットの連結部に載置させた場合に前記笠木の最下部を前記支柱の上端面よりも上方に位置させる取付面と、前記取付面の両側となる部分において前記取付面よりも下方に位置し、前記支持部の突出端面に当接する当接面とを有し、前記連結ブラケットと前記笠木との間には、前記挿通孔を介して螺合することにより、前記取付面に対する前記連結部の相対移動を阻止するネジ部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、連結ブラケットの連結部に笠木の取付面を載置させた際に支柱の上端から笠木の最下部までの間に隙間を確保することができるため、支柱の相互間に横桟や面材が配設された状況下であっても、この隙間を作業スペースとしてネジ部材を螺合する作業を行うことが可能となる。
【0010】
この発明によれば、取付面の両側となる部分に連結ブラケットの支持部が当接する当接面を設けるようにしているため、笠木と連結ブラケットとの当接幅を大きく確保することができ、例えば長手の軸を中心として笠木を回転させようとする外力が加えられた場合にも、当接面と支持部とが当接することでこれに抗することができるようになる。
【0011】
また本発明は、上述したフェンスまたは手摺りにおいて、前記笠木は、長手に直交する端面において左右の中心となる部分に前記取付面を有したことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、取付面が左右の中心となる部分にあるため、外力に抗する力を左右均等にすることができる。
【0013】
また本発明は、上述したフェンスまたは手摺りにおいて、前記笠木は、両端面が開口した中空状を成し、下方部に下方に向けて開口する凹溝を有するとともに、前記凹溝を構成する側壁部分から互いに対向するように突出した取付条片部を有し、前記取付条片部の下面を前記取付面として前記連結ブラケットの連結部に当接するものであり、前記笠木の凹溝において前記取付条片部よりも上方となる部位には、前記取付条片部の上面に当接し、前記凹溝の長手に沿ってスライド可能となる裏板部材を配設し、前記ネジ部材は、前記裏板部材と前記連結部との間に前記取付条片部を挟持するように、前記連結部の挿通孔を介して前記裏板部材に螺合したものであることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、笠木の取付条片部を裏板部材と連結ブラケットの連結部との間に挟持するようにしているため、笠木の任意の位置に支柱を配置することができる。
【0015】
また本発明は、上述したフェンスまたは手摺りにおいて、前記笠木は、長手に直交する端面において左右の中心となる部分に前記凹溝有したことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、凹溝が左右の中心となる部分にあるため、ネジ部材を螺合する以前においても、笠木を連結ブラケットの連結部に載置させた際に安定させることができる。
【0017】
また本発明は、上述したフェンスまたは手摺りにおいて、前記支柱は、横断面が筒状を成すものであり、前記連結ブラケットのベース部は、少なくとも前記連結部を設ける縁部分を前記支柱の側面よりも外方に突出させたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、連結ブラケットの連結部が支柱の上端面よりも外周となる部分で上方に向けて屈曲するため、ベース部によって支柱の端面を確実に閉塞することができ、支柱の筒内部に水が浸入する事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連結ブラケットの連結部に笠木の取付面を載置させた際に支柱の上端から笠木の最下部までの間に隙間を確保することができるため、支柱の相互間に横桟や面材が配設された状況下であっても、この隙間を作業スペースとしてネジ部材を螺合する作業を行うことが可能となる。従って、笠木の下端部が支柱に対して同等もしくはそれ以下の幅しかない場合にも笠木の取り付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態であるフェンスの正面図である。
図2図2は、図1に示したフェンスを構成する支柱及び横桟の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示したフェンスに適用する支柱及び連結ブラケットの分解斜視図である。
図4図4は、図1に示したフェンスに適用する支柱、連結ブラケット及び笠木の分解斜視図である。
図5図5は、図1に示したフェンスの要部拡大縦断面側面図である。
図6図6は、図1に示したフェンスの要部拡大縦断面正面図である。
図7図7は、図1に示したフェンスの変形例に適用する支柱及び連結ブラケットの分解斜視図である。
図8図8は、図1に示したフェンスの変形例の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るフェンスまたは手摺りの好適な実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態であるフェンスを示したものである。ここで例示するフェンスは、屋外に設けたデッキDの周縁部上面に設けられるもので、互いに並設した支柱10の相互間に横桟20及び笠木30を設けることによって構成してある。
【0022】
支柱10は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、図2及び図3に示すように、横断面が矩形の筒状に構成してある。支柱10の四隅部には、それぞれ長手方向に沿ってビスホール11が設けてある。支柱10の長手とは、図3中の矢印Aで示すように、成形時の押し出し方向に一致する方向である。上述の支柱10は、図1及び図2に示すように、下端面に取り付けたベースプレート12を介してデッキDの周縁部に適宜間隔を確保して複数並設してある。
【0023】
横桟20は、図2に示すように、幅の狭い平板状を成すもので、同一形状のものをアタッチメント21に複数並設することによって1枚のパネル状に構成してある。横桟20の相互間には、適宜な間隔が確保してある。これらの横桟20は、アタッチメント21を介して支柱10の側面に取付ネジ22を螺合することにより、図1に示すように、支柱10の相互間を覆い隠すように支柱10に取り付けられることになる。最上位に位置する横桟20は、その上面20aが支柱10の上端とほぼ同じ高さとなるように配置してある反面、最下位に位置する横桟20は、その下面20bがベースプレート12の上面よりも上方となる位置に配置してある。
【0024】
笠木30は、支柱10と同様、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手方向の全長にわたってほぼ一様な断面形状を有している。笠木30の長手とは、図4中の矢印Bで示すように、成形時の押し出し方向に一致する方向である。本実施の形態では、図4及び図5に示すように、長手に直交する端面において、下方部に支持台部30Aを有するとともに、上方部に手摺り部30Bを有し、左右が対称形状となるように構成した中空状の笠木30を例示している。
【0025】
支持台部30Aは、水平方向に沿って延在する下方当接壁部30A1と、下方当接壁部30A1の両側からそれぞれ上方に延在した下方側壁部30A2とを有したものである。本実施の形態で適用する笠木30では、下方側壁部30A2の幅d1が支柱10の幅d2よりも小さい寸法に構成してある。下方当接壁部30A1の下端面中央部には、係合用凹溝30A3が設けてある。係合用凹溝30A3は、下方に向けて開口する凹所であり、両側内壁面の互いに対向する部位に取付条片部30A4を有している。取付条片部30A4は、平坦な薄板状部分であり、互いの先端面間に隙間を確保した状態で下方当接壁部30A1とほぼ平行となるように突設してある。
【0026】
手摺り部30Bは、下方側壁部30A2の延在端部からそれぞれ互いに離反する方向に延在した上方底壁部30B1と、個々の上方底壁部30B1の延在端部からそれぞれ上方に延在した上方側壁部30B2と、上方側壁部30B2の延在端部間を互いに連結するように設けた上壁部30B3とを有したものである。上方底壁部30B1は、下方当接壁部30A1とほぼ平行となるように延在し、上方側壁部30B2は、下方側壁部30A2とほぼ平行となるように延在している。上壁部30B3は、上方に向けて凸となるようにわずかに湾曲した形状を有している。
【0027】
上述の笠木30は、連結ブラケット40を介して支柱10の上端部間に架け渡すように配設してある。連結ブラケット40は、ステンレスや鋼材等の金属薄板を曲げ加工することによって構成したもので、図3に示すように、ベース部41、支持部42及び連結部43を有している。
【0028】
ベース部41は、支柱10の端面よりもわずかに大きな外形に構成した略矩形の平板状を成す部分であり、支柱10のビスホール11に対応する部位にそれぞれネジ挿通孔41aを有している。連結ブラケット40は、ベース部41のネジ挿通孔41aを介してビスホール11に取付ネジ44を螺合することにより、支柱10の上端面に取り付けられる。図には明示していないが、支柱10の上端面とベース部41との間には、ベース部41の下面41b全面を覆うようにシート状の止水材45が介在させてある。
【0029】
支持部42は、笠木30の下方当接壁部30A1とほぼ同じ幅を有する平板状部分であり、ベース部41の互いに平行となる縁部から上方に向けて突出している。図3図4及び図6に示すように、ベース部41において支持部42を設ける2つの縁部は、支柱10の上端面よりもわずかに外方に突出している。従って、ベース部41に対して支持部42を曲げ加工した場合にも、曲げ加工の影響がベース部41において支柱10の上端に対向する部位に及ぶことはなく、ベース部41の平坦な部分によって支柱10の上端面を確実に閉塞することが可能となる。これにより、ベース部41と支柱10の上端面との間から支柱10の内部に雨水等の水が浸入するおそれがない。支持部42の突出端面42aは、ベース部41の下面41bとの間の距離h1が、スパナ等の工具を挿入することのできる寸法以上となるように設定してある。
【0030】
連結部43は、支持部42の上端中央部から上方に突出した後、互いに離反する方向に向けてほぼ水平となるように屈曲した部分である。連結部43の幅は、笠木30の係合用凹溝30A3に挿入可能、かつ取付条片部30A4の相互間隔よりも大きな寸法に設定してある。支持部42からの連結部43の突出寸法h2は、笠木30において下方当接壁部30A1の当接下面(当接面)30A5から取付条片部30A4の取付下面(取付面)30A6までの距離h3とほぼ等しくなるように構成してある。連結部43の先端部には、それぞれ上下方向に沿って挿通孔43aが設けてある。
【0031】
上述の連結ブラケット40を介して笠木30を取り付けるには、笠木30の係合用凹溝30A3において取付条片部30A4よりも上方となる位置に裏板部材50を挿入するとともに、連結ブラケット40の連結部43をそれぞれ取付条片部30A4の取付下面30A6に当接させる。裏板部材50は、ステンレスや鋼材等の金属によって形成した平板状部材である。この裏板部材50は、連結部43と同等の幅を有し、かつ連結ブラケット40において一方の連結部43から他方の連結部43にわたる長さを有したもので、笠木30に対して長手方向に沿ってスライドすることが可能である。裏板部材50には、個々の連結部43の挿通孔43aに対応する部位にネジ孔50aが設けてある。従って、連結部43の挿通孔43aを介して裏板部材50のネジ孔50aにそれぞれ取付ネジ(ネジ部材)51を螺合させれば、笠木30の取付条片部30A4がこれら連結部43及び裏板部材50の間に挟持された状態となり、支柱10に対する笠木30の相対移動が阻止される。具体的には、支柱10に対して笠木30が長手方向に沿って移動したり、支柱10に対して笠木30が上方に移動することがなく、笠木30が支柱10に取り付けられた状態となる。
【0032】
ここで、笠木30を連結ブラケット40の連結部43に載置させた場合には、笠木30の最下部、つまり下方当接壁部30A1の当接下面30A5と支柱10の上端面との間にスパナ等の工具を挿入することのできる寸法が確保される。従って、図6に示すように、支柱10の相互間に取り付けた横桟20の最上面20aとの間にもスパナ等の工具を挿入することのできる隙間が確保された状態にあり、この隙間を作業スペースとして工具を操作することにより、連結部43の挿通孔43aを介して裏板部材50のネジ孔50aに取付ネジ51を螺合させる作業を容易に行うことが可能である。
【0033】
しかも、上述のフェンスでは、笠木30において取付条片部30A4の取付下面30A6が連結ブラケット40における連結部43の上面に当接し、かつ笠木30において下方当接壁部30A1の当接下面30A5が連結ブラケット40における支持部42の突出端面42aに当接した状態となる。従って、笠木30と連結ブラケット40との当接幅を大きく確保することができ、例えば長手の軸を中心として笠木30を回転させようとする外力が加えられた場合にも、下方当接壁部30A1の当接下面30A5と支持部42とが当接することでこれに抗することができるようになる。
【0034】
また、上述のフェンスによれば、図1に示すように、支柱10と笠木30のと間には、連結ブラケット40において支持部42の板厚のみが外部に露出する構成となるため、複数の横桟20から成るパネルに対して笠木30があたかも宙に浮いたような軽快な印象を与えることができ、デザイン面でも有利となる。
【0035】
なお、上述した実施の形態では、2つの支柱10の相互間に横桟20を設けたフェンスを例示しているが、横桟20に換えてパネルやネットを配設するようにしたものであっても良い。また、横桟20やパネル、ネットを省略することにより手摺りとして構成することも可能である。さらに、笠木30の取付条片部30A4を裏板部材50と連結ブラケット40の連結部43との間に挟持するようにしているため、笠木30の任意の位置に支柱10を配置することができるが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、連結ブラケット40の連結部43に設けた挿通孔43aを介して笠木30の下面に直接取付ネジ51を螺合するようにしても良い。なお、凹溝30A3を有する笠木30を適用する場合に上述した実施の形態では長手に直交する端面において左右の中心となる部分に凹溝30A3及び取付面30A6を有したものを例示しているが、凹溝や取付面は必ずしも左右の中心となる部位にある必要はない。またさらに、支柱10として断面が矩形状を成すものを例示しているが、円筒状を成す支柱を適用しても構わない。
【0036】
また、上述した実施の形態では、連結ブラケット40に支持部42を設けるとともに、笠木30に下方当接壁部30A1を設け、連結ブラケット40の連結部43に笠木30の取付下面30A6を載置させた際に支持部42に下方当接壁部30A1の当接下面30A5を当接させるようにしているが、必ずしも連結ブラケット40に支持部42を設ける必要はない。
【0037】
さらに、上述した実施の形態では、2つの支柱10の上端部間に笠木30を架け渡すように配設したフェンスを例示しているが、コーナー部分を有したフェンスを構成する場合にも適用することが可能である。図7及び図8は、コーナー部分に適用した本発明の変形例を示したものである。この変形例では、2本の笠木30が互いにほぼ直角に交差する部分に支柱10を設けるようにしたフェンス(手摺り)の要部を示している。
【0038】
図7に示すように、この変形例で適用する連結ブラケット140は、略矩形の平板状を成すベース部141の隣接する2つの縁部に支持部142及び連結部143を有したものである。支持部142及び連結部143の具体的な構成は、実施の形態と同様であるため省略する。また、ベース部141のネジ挿通孔141aを介してビスホール11に取付ネジ(ネジ部材)44を螺合することにより連結ブラケット140が支柱10の上端面に取り付けられる点、及びベース部141の下面全面を覆うようにシート状の止水材45が設けてある点も実施の形態と同様である。
【0039】
上述の連結ブラケット140を介して笠木30を取り付けるには、図8に示すように、それぞれの笠木30の係合用凹溝30A3において取付条片部30A4よりも上方となる位置に裏板部材150を挿入するとともに、連結ブラケット140の連結部143をそれぞれ取付条片部30A4の取付下面30A6に当接させる。変形例で適用する裏板部材150は、実施の形態と同様の板厚、板幅を有したものであるが、笠木30の長手に沿った寸法が短く構成してある。また、ネジ孔150aは、裏板部材150の一方の端部にのみ形成してある。
【0040】
この状態から連結部143の挿通孔143aを介して裏板部材150のネジ孔150aに取付ネジ51を螺合させれば、笠木30の取付条片部30A4がこれら連結部143及び裏板部材150の間に挟持された状態となり、支柱10に対する笠木30の相対移動が阻止されることになる。さらに、この変形例においては、2つの笠木30の開放端面の間にコーナー継手部材200を配設するとともに、コーナー継手部材200の下面に取り付けた連結金具210を介して笠木30の下方当接壁部30A1にそれぞれ直接連結ネジ220を螺合するようにしている。
【0041】
この変形例においても、笠木30を連結ブラケット140の連結部143に載置させた場合には、笠木30における下方当接壁部30A1の当接下面30A5と支柱10の上端面との間にスパナ等の工具を挿入することのできる寸法が確保される。従って、支柱10の相互間に横桟やパネル、ネット等が配設されている場合にも、この隙間を作業スペースとして工具を操作することにより、連結部143の挿通孔143aを介して裏板部材150のネジ孔50aに取付ネジ51を螺合させる作業を容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 支柱、30 笠木、30A3 係合用凹溝、30A4 取付条片部、30A5 当接下面、30A6 取付下面、40,140 連結ブラケット、41,141 ベース部、42,142 支持部、42a 突出端面、43,143 連結部、43a,143a 挿通孔、51 取付ネジ、50,150 裏板部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8