特許第6613269号(P6613269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613269
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20191118BHJP
   B25J 19/06 20060101ALN20191118BHJP
【FI】
   G05B19/18 X
   !B25J19/06
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-139713(P2017-139713)
(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公開番号】特開2019-21092(P2019-21092A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年10月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 太貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正則
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−103690(JP,A)
【文献】 特開2015−205385(JP,A)
【文献】 特開2014−205231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 − 19/416
G05B 19/42 − 19/46
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械と、前記工作機械を制御する工作機械制御装置と、前記工作機械の補助を行う補助装置と、前記補助装置を制御する補助装置制御装置とを備え、前記工作機械と前記補助装置とが協調して加工を行う加工システムであって、
前記工作機械及び前記補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる前記工作機械に係る情報を示す第1の信号、及び、前記工作機械及び前記補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる前記補助装置に係る情報を示す第2の信号を受信する信号管理部を備え、
前記信号管理部は、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて、前記工作機械制御装置及び前記補助装置制御装置に対して、前記工作機械及び前記補助装置の運転可能状態又は運転不可状態を示す第3の信号を出力する、加工システム。
【請求項2】
前記工作機械は、開閉可能な扉を有し、
前記補助装置は、開閉可能な安全柵及び/又はエリアセンサを有し、
前記工作機械に係る情報は、前記扉の開閉状態の情報であり、
前記補助装置に係る情報は、前記安全柵の開閉状態の情報及び/又は前記エリアセンサの検出・非検出の情報である、請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記信号管理部は、前記第1の信号を受信する第1の領域と、前記第2の信号を受信する第2の領域とに区分されており、
前記信号管理部の前記第1の領域は、前記工作機械から電源を供給され、
前記信号管理部の前記第2の領域は、前記補助装置から電源を供給される、請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記信号管理部は、前記工作機械から供給される電源で動作するか、前記補助装置から供給される電源で動作するか、又は、前記工作機械及び前記補助装置とは独立した電源で動作するかのいずれかである、請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項5】
前記信号管理部は、前記工作機械又は前記補助装置のいずれかに設けられるか、あるいは、前記工作機械及び前記補助装置から独立して設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械と補助装置とが協調して加工を行う加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工作機械と、この工作機械を補助する補助装置とによって加工セルを構築し、これらが協調して加工を行う加工システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図20は、従来の加工システムの一例を示す模式図である。また、図21は、工作機械と補助装置との関係を示すブロック図である。ここでは、工作機械としてマシニングセンタを例示し、補助装置としてロボットを例示する。
【0004】
マシニングセンタ100は、筐体101の内部へのアクセスのための開閉可能な扉としての前ドア102と横ドア103を備えている。前ドア102は作業者のアクセス用の扉であり、横ドア103はロボット200のアクセス(作業)用の扉である。一方、ロボット200は、その周囲に、作業者の安全を図る安全柵201を備える。安全柵201は、作業者がロボット200にアクセスする通路と、ロボット200の周囲を区画するために設けられる柵である。
【0005】
図21に示すように、マシニングセンタ100の前ドア102の開閉情報(前ドア情報S100a)と横ドア103の開閉情報(横ドア情報S100b)は、マシニングセンタ100の制御装置104によって取得される。一方、ロボット200の安全柵201の開閉情報(安全柵情報S200)は、ロボット200の制御装置202によって取得される。
【0006】
このような加工システムでは、図21に示すように、マシニングセンタ100の制御装置104とロボット200の制御装置202とが通信可能に接続され、通常の信号に加え、マシニングセンタ100側の前ドア情報S100a、横ドア情報S100bとロボット200側の安全柵情報S200とを制御装置104、202間で直接通信することで、マシニングセンタ100とロボット200との協調動作を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−64158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工作機械の扉の開閉情報と補助装置の安全柵の開閉情報は、加工セルの安全動作に大きく関わる情報の一つである。加工システムは、この情報によって、工作機械及び補助装置が運転可能状態(安全な状態ともいえる)であるか運転不可状態(安全ではない状態ともいえる)であるかを判断している。
【0009】
例えば、図22Aに示すように、マシニングセンタ100の横ドア103のみが開状態である場合には、作業者はマシニングセンタ100とロボット200のいずれにもアクセスすることはできないため、作業者に危険が及ぶ虞はなく、マシニングセンタ100及びロボット200は運転しても問題のない運転可能状態であると判断される。
【0010】
一方、図22Bに示すように、マシニングセンタ100の前ドア102は閉状態であるが、横ドア103及びロボット200の安全柵201が共に開状態である場合には、作業者がロボット200と干渉して危険に晒される虞がある。また、図22Cに示すように、ロボット200の安全柵201が閉状態であるが、マシニングセンタ100の前ドア102及び横ドア103が共に開状態である場合には、作業者がマシニングセンタ100の内部の危険部と接触したり、切粉・切削液が外部飛散したりすることによって危険に晒される虞がある。このため、いずれも作業者の安全上問題がある状態であると判断される。
【0011】
これらの場合、各制御装置104、202は直接通信することによって互いの情報をやり取りし、制御装置104はマシニングセンタ100が運転不可であると判定し、制御装置202はロボット200が運転不可であると判定し、それぞれマシニングセンタ100及びロボット200を停止制御する。
【0012】
このような従来の加工システムでは、制御装置同士が直接通信することによって、それぞれの制御装置が自己の装置の運転可能又は運転不可を個別に判断しているだけであり、工作機械と補助装置の運転可能又は運転不可を統一的に監視できていなかった。このため、従来の加工システムは、工作機械と補助装置の運転可能又は運転不可を迅速に且つ効率的に判断できるとは言い難かった。
【0013】
そこで、本発明は、工作機械と補助装置の運転可能又は運転不可を迅速に且つ効率的に判断することができる加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1) 本発明に係る加工システムは、工作機械(例えば、後述のマシニングセンタ2)と、前記工作機械を制御する工作機械制御装置(例えば、後述の数値制御装置21)と、前記工作機械の補助を行う補助装置(例えば、後述のロボット3)と、前記補助装置を制御する補助装置制御装置(例えば、後述のロボット制御装置31)とを備え、前記工作機械と前記補助装置とが協調して加工を行う加工システム(例えば、後述の加工システム1)であって、前記工作機械及び前記補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる前記工作機械に係る情報(例えば、後述の前ドア情報S2a、横ドア情報S2b)を示す第1の信号、及び、前記工作機械及び前記補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる前記補助装置に係る情報(例えば、後述の安全柵情報S3)を示す第2の信号を受信する信号管理部(例えば、後述の信号管理部4)を備え、前記信号管理部は、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて、前記工作機械制御装置及び前記補助装置制御装置に対して、前記工作機械及び前記補助装置の運転可能状態又は運転不可状態を示す第3の信号を出力する。
【0015】
(2) (1)に記載の加工システムにおいて、前記工作機械は、開閉可能な扉を有し、前記補助装置は、開閉可能な安全柵及び/又はエリアセンサを有し、前記工作機械に係る情報は、前記扉の開閉状態の情報であり、前記補助装置に係る情報は、前記安全柵の開閉状態の情報及び/又は前記エリアセンサの検出・非検出の情報であってよい。
【0016】
(3) (1)又は(2)に記載の加工システムにおいて、前記信号管理部は、前記第1の信号を受信する第1の領域(例えば、後述の第1の領域41)と、前記第2の信号を受信する第2の領域(例えば、後述の第2の領域42)とに区分されており、前記信号管理部の前記第1の領域は、前記工作機械から電源を供給され、前記信号管理部の前記第2の領域は、前記補助装置から電源を供給されるものであってよい。
【0017】
(4) (1)又は(2)に記載の加工システムにおいて、前記信号管理部は、前記工作機械から供給される電源(例えば、後述の電源22)で動作するか、前記補助装置から供給される電源(例えば、後述の電源32)で動作するか、又は、前記工作機械及び前記補助装置とは独立した電源(例えば、後述の電源5)で動作するかのいずれかであってよい。
【0018】
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の加工システムにおいて、前記信号管理部は、前記工作機械又は前記補助装置のいずれかに設けられるか、あるいは、前記工作機械及び前記補助装置から独立して設けられるものであってよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、工作機械と補助装置の運転可能又は運転不可を迅速に且つ効率的に判断することができる加工システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図2A】信号管理部の具体的な構成の一例を示す図である。
図2B】信号管理部の具体的な構成の一例を示す図である。
図3】前ドア情報、横ドア情報及び安全柵情報がそれぞれ示す開状態又は閉状態の組み合わせと、そのときのマシニングセンタ及びロボットの運転可否との関係の一例を示す図である。
図4】マシニングセンタとロボットの両方から電源が供給される信号管理部の構成の第1の例を示す概念図である。
図5】マシニングセンタを動作させるための電源が供給される信号管理部の構成の第2の例を示す加工システムのブロック図である。
図6】ロボットを動作させるための電源が供給される信号管理部の構成の第3の例を示す加工システムのブロック図である。
図7】マシニングセンタ側及びロボット側のいずれの電源とも異なる独立した電源が供給される信号管理部の構成の第4の例を示す加工システムのブロック図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る加工システムの構成を示す模式図である。
図11図10に示す加工システムの構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第5の実施形態に係る加工システムの構成を示す模式図である。
図13図12に示す加工システムの構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第6の実施形態に係る加工システムの構成を示す模式図である。
図15図14に示す加工システムの構成を示すブロック図である。
図16】本発明の第7の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第8の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図18】本発明の第9の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図19】本発明の第10の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
図20】従来の加工システムの構成の一例を示す模式図である。
図21】従来の工作機械と補助装置との関係を示すブロック図である。
図22A】工作機械とロボットと作業者の安全性との関係を説明する図である。
図22B】工作機械とロボットと作業者の安全性との関係を説明する図である。
図22C】工作機械とロボットと作業者の安全性との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る加工システムの構成を示すブロック図である。
加工システム1は、マシニングセンタ2とロボット3を備え、これらマシニングセンタ2とロボット3とによって1つの加工セルが構築される。
【0022】
マシニングセンタ2は、被加工物に対して各種の加工、工作を行う数値制御工作機械である。このマシニングセンタ2は、本発明における工作機械の一例である。
【0023】
マシニングセンタ2は、マシニングセンタ2の運転等を制御する数値制御装置21(本発明における工作機械制御装置)を有する。また、マシニングセンタ2は、図20に示した扉(前ドア102、横ドア103)と同様の開閉可能な扉(前ドア及び横ドア;図1では図示せず)を有する。前ドアは、作業者がマシニングセンタ2の筐体の内部(以下、単に内部という)へアクセスするための扉であり、横ドアは、ロボット3がマシニングセンタ2の内部にアクセスするための作業用の扉である。
【0024】
これら前ドア及び横ドアは、開閉状態を検知するための前ドアセンサ及び横ドアセンサ(いずれも図示せず)をそれぞれ有している。前ドアセンサ及び横ドアセンサは、前ドア及び横ドアの開閉状態の情報(前ドア情報S2a、横ドア情報S2b)を示す信号(本発明における第1の信号)をそれぞれ出力する。これらの信号は、センサから出力される信号そのものであってもよいし、電磁リレー(電磁中継器)等を介した信号であってもよい。これら前ドア情報S2a、横ドア情報S2bは、マシニングセンタ2及びロボット3の運転可能又は運転不可を判定する際に用いられる判定要素となる情報であって、マシニングセンタ2に係る情報である。
【0025】
ロボット3は、例えばロボットハンドを有する多関節ロボットからなり、マシニングセンタ2の動作と協調して、マシニングセンタ2の内部に被加工物を搬入し、また、マシニングセンタ2で加工、製造された被加工物を搬出する搬送装置である。このロボット3は、本発明における補助装置の一例である。
【0026】
ロボット3は、ロボット3の運転等を制御するロボット制御装置31(本発明における補助装置制御装置)を有する。また、ロボット3は、その周囲に、図20に示した開閉可能な安全柵201と同様の安全柵(図示せず)を有する。安全柵は、作業者がロボット3にアクセスする通路と、ロボット3の周囲とを区画するために設けられる柵である。
【0027】
安全柵は、開閉状態を検知するための安全柵センサ(図示せず)を有している。安全柵センサは、開閉状態の情報(安全柵情報S3)を示す信号(本発明における第2の信号)を出力する。この安全柵情報S3は、マシニングセンタ2及びロボット3の運転可能又は運転不可を判定する際に用いられる判定要素となる情報であって、ロボット3に係る情報である。
【0028】
本実施形態において、1つの信号管理部4がマシニングセンタ2に配置されている。信号管理部4は、マシニングセンタ2及びロボット3との間で、前ドア情報S2a、横ドア情報S2bを示す各信号、及び、安全柵情報S3を示す信号をそれぞれ受信するインターフェースを備えた第3の制御装置として機能する。
【0029】
この信号管理部4は、前ドア情報S2a、横ドア情報S2bを示す各信号、及び、安全柵情報S3を示す信号を集約して統一的に監視し、これらの信号に基づいて、これらの信号の組み合わせによって判別されるマシニングセンタ2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号(本発明における第3の信号)を、数値制御装置21及びロボット制御装置31に出力する。
【0030】
図2A図2Bは、信号管理部4の具体的な構成の一例を示し、信号管理部4が複数のリレーによって構成されるシーケンス回路からなる例を示している。
図2Aは、マシニングセンタ2の前ドア情報S2a、横ドア情報S2bを示す各信号を、ロボット3の安全柵情報S3と組み合わせ、運転可能状態又は運転不可状態を示す第3の信号としての信号をロボット制御装置31に出力する例を示している。前ドア情報S2a、横ドア情報S2b及び安全柵情報S3を示す信号が、信号管理部4を構成するリレーにそれぞれ入力されると、信号管理部4は、前ドア情報S2a、横ドア情報S2b及び安全柵情報S3がそれぞれ示す開状態又は閉状態の組み合わせに応じて、マシニングセンタ2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を、数値制御装置21及びロボット制御装置31にそれぞれ出力するように構成される。
【0031】
図2Bは、ロボット3の安全柵情報S3を示す信号を、マシニングセンタ2の横ドア情報S2bと組み合わせ、運転可能状態又は運転不可状態を示す第3の信号としての信号を数値制御装置21に出力する例を示している。安全柵情報S3及び横ドア情報S2bを示す信号が、信号管理部4を構成するリレーにそれぞれ入力されると、信号管理部4は、安全柵情報S3及び横ドア情報S2bがそれぞれ示す開状態又は閉状態の組み合わせに応じて、マシニングセンタ2の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を、数値制御装置21に出力する。
【0032】
なお、図2A図2Bに示す信号管理部4は、安全性を確保するため、信号を信号1と信号2に二重化して処理している。また、図2のような信号管理部4から出力される信号は、ON信号(信号有り)又はOFF信号(信号無し)であるので、例えばON信号が出力された場合に運転可能状態を示し、OFF信号が出力された場合に運転不可状態を示すことができる。
【0033】
図3は、前ドア情報S2a、横ドア情報S2b及び安全柵情報S3がそれぞれ示す開状態又は閉状態の組み合わせと、そのときのマシニングセンタ2及びロボット3の運転可否との関係の一例を示す図である。
図3に示すように、例えばマシニングセンタ2の前ドア、横ドア及びロボット3の安全柵がいずれも閉状態である場合、及び、マシニングセンタ2の横ドアのみが開状態である場合には、作業者に危険が及ぶ虞はなく、マシニングセンタ2及びロボット3のいずれも運転可能状態であると判定される。
【0034】
これにより、信号管理部4は、数値制御装置21及びロボット制御装置31に対して、マシニングセンタ2及びロボット3が運転可能状態であることを示す信号をそれぞれ出力する。そして、この信号を受信した数値制御装置21及びロボット制御装置31は、マシニングセンタ2及びロボット3の運転を開始又は続行させる制御を行う。また、数値制御装置21及びロボット制御装置31は、マシニングセンタ2及びロボット3が運転可能状態にあることを示す表示(例えば、モニタ画面上の表示、ランプの点灯等)を行うように制御し、作業者からの運転開始指示を待つようにしてもよい。
【0035】
一方、ロボット3の安全柵のみが開状態である場合には、ロボット3の動作が作業者に危害を及ぼす虞があるため、ロボット3のみ運転不可であると判定される。これにより、信号管理部4は、ロボット制御装置31に対して、ロボット3が運転不可状態である旨の信号を出力する。そして、この信号を受信したロボット制御装置31は、ロボット3の運転を開始不可にする又は停止させる制御を行う。これと同時に、ロボット3が運転不可状態にあることを示す警告(例えば、モニタ画面上の警告表示、警告ランプの点灯、警報の発令等)を行うようにしてもよい。
【0036】
また、マシニングセンタ2の前ドアのみが開状態である場合には、マシニングセンタ2の動作が作業者に危険を及ぼす虞があるため、マシニングセンタ2のみ運転不可であると判定される。これにより、信号管理部4は、数値制御装置21に対して、マシニングセンタ2が運転不可状態であることを示す信号を出力する。そして、この信号を受信した数値制御装置21は、マシニングセンタ2の運転を開始不可にする又は停止させる制御を行う。このとき同時に、マシニングセンタ2が運転不可状態にあることを示す警告(例えば、モニタ画面上の警告表示、警告ランプの点灯、警報の発令等)を行うようにしてもよい。
【0037】
それ以外の場合には、マシニングセンタ2及びロボット3の両方が運転不可であると判定される。これにより、信号管理部4は、数値制御装置21及びロボット制御装置31に対して、マシニングセンタ2及びロボット3が共に運転不可状態であることを示す信号を出力する。そして、これらの信号を受信した数値制御装置21及びロボット制御装置31は、マシニングセンタ2及びロボット3の運転を開始不可にする又は停止させる制御を行う。このとき同時に、マシニングセンタ2及びロボット3が運転不可状態にあることを示す警告(例えば、モニタ画面上の警告表示、警告ランプの点灯、警報の発令等)を行うようにしてもよい。
【0038】
このように、本発明に係る加工システム1によれば、第3の制御装置として機能する信号管理部4が、マシニングセンタ2及びロボット3のそれぞれの運転可能又は運転不可の判定要素となる情報を集約して統一的に監視する。そして、加工システム1は、集約された情報に基づいて、マシニングセンタ2及びロボット3の一方又は両方が運転可能状態にあることを示す信号、又は、運転不可状態にあることを示す信号を、数値制御装置21及びロボット制御装置31に対して出力する。このため、これら制御装置21、31の間で運転可否に関する情報を直接通信する必要がなくなると共に、各制御装置21、31がそれぞれ運転可能又は運転不可を判定する必要もなくなる。従って、本発明に係る加工システム1は、従来の加工システムに比べて、マシニングセンタ2及びロボット3の運転可能又は運転不可を迅速に且つ効率的に判断することができる。
【0039】
信号管理部4は、上記同様の機能を有するものであれば、複数のリレーで構成されるシーケンス回路に何ら制限されず、様々な形態であってよい。信号管理部4は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)、マイコン、PC(Personal Computer)等によって構成されてもよい。これらの信号管理部4を用いる場合、信号管理部4は、図3に示すような開閉状態の情報と運転可否の関係を規定したデータテーブルを予め保持しておき、信号管理部4に集約された各情報とデータテーブルを参照して、マシニングセンタ2とロボット3のそれぞれの運転可否を判別し、運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力するようにしてもよい。また、信号管理部4に集約する信号は、運転状態を判断するための信号の一部でもよく、必要に応じてその他の信号をマシニングセンタ2とロボット3の制御装置21、31間で通信してもよい。
【0040】
信号管理部4を動作させるための電源は、マシニングセンタ2とロボット3の両方から供給される構成とすることができる。図4は、マシニングセンタ2とロボット3の両方から電源が供給される信号管理部4の構成の第1の例を示す概念図である。
第1の例において、信号管理部4は、マシニングセンタ2の前ドア情報S2a、横ドア情報S2bを示す信号を受信する第1の領域41と、ロボット3の安全柵情報S3を示す信号を受信する第2の領域42とに区分されている。第1の領域41は、マシニングセンタ2から電源(V)を供給されて動作する領域であり、第2の領域42は、ロボット3から電源(V)を供給されて動作する領域である。このような信号管理部4によれば、マシニングセンタ2とロボット3のいずれか一方のみが信号管理部4に電源供給する場合に比べて、マシニングセンタ2又はロボット3の電源負荷を減らすことができる。
【0041】
このように第1の領域41及び第2の領域42に区分される信号管理部4は、万一、マシニングセンタ2又はロボット3のいずれか一方の電源に遮断等の異常が生じた場合、他方の電源が第1の領域41及び第2の領域42の両方に供給されるように切り替える切り替え手段を有していてもよい。これによれば、万一、マシニングセンタ2又はロボット3のいずれか一方の電源に異常が生じた場合でも信号管理部4を確実に動作させることができ、作業者の安全を確保することができる。具体的な切り替え手段は特に制限されず、公知の切り替え手段を用いることができる。切り替えは自動的に行われるようにしてもよいし、ショートケーブル等を用いて作業者によって手動で行われるようにしてもよい。
【0042】
また、信号管理部4を動作させるための電源は、マシニングセンタ2とロボット3の少なくともいずれか一方と異なる電源であってもよい。図5図7は、この場合の加工システムの構成の第2の例〜第4の例をそれぞれ示すブロック図である。
図5は、マシニングセンタ2を動作させるための電源が供給される信号管理部4の構成の第2の例を示す加工システム1のブロック図である。図5中の符号22は、マシニングセンタ2を動作させるための電源であり、符号23は、マシニングセンタ2の各部に電源を分配する電源供給部である。図5に示す加工システム1は、万一、ロボット3側の電源に異常が生じても信号管理部4を動作させることができるので、例えば、マシニングセンタ2に対する作業者の安全確保を優先したい場合に適用することができる。
【0043】
図6は、ロボット3を動作させるための電源が供給される信号管理部4の構成の第3の例を示す加工システム1のブロック図である。図6中の符号32は、ロボット3を動作させるための電源であり、符号33は、ロボット3の各部に電源を分配する電源供給部である。図6に示す加工システム1は、万一、マシニングセンタ2側の電源に異常が生じても信号管理部4を動作させることができるので、例えば、ロボット3に対する作業者の安全確保を優先したい場合に適用することができる。
【0044】
図7は、マシニングセンタ2側及びロボット3側のいずれの電源とも異なる独立した電源が供給される信号管理部4の構成の第4の例を示す加工システム1のブロック図である。図7中の符号5は、マシニングセンタ2及びロボット3から独立した電源であり、符号6は、マシニングセンタ2及びロボット3から独立した電源供給部である。図7に示す加工システム1は、マシニングセンタ2側とロボット3側のいずれの電源に異常が生じても信号管理部4を動作させることができるので、作業者の安全をより確実に確保することができる。
【0045】
図1図5図7に示す第1の実施形態における信号管理部4は、マシニングセンタ2に配置されているが、これに制限されず、図8図9に示すように、マシニングセンタ2以外に配置されてもよい。
すなわち、図8は、本発明の第2の実施形態に係る加工システム1の構成を示すブロック図である。第2の実施形態における信号管理部4は、ロボット3に配置されている。また、図9は、本発明の第3の実施形態に係る加工システム1の構成を示すブロック図である。第3の実施形態における信号管理部4は、マシニングセンタ2及びロボット3のいずれからも独立して配置されている。
【0046】
図8図9に示す第2の実施形態及び第3の実施形態における信号管理部4も、図4で説明したように、マシニングセンタ2とロボット3の両方から供給される電源で動作するようにしてもよいし、あるいは、図5図6で説明したように、マシニングセンタ2又はロボット3のいずれか一方から供給される電源で動作するようにしてもよい。更に、図7で説明したように、マシニングセンタ2及びロボット3のいずれの電源とも異なる独立した電源で動作するようにしてもよい。
【0047】
1つの加工システム1に設けられるマシニングセンタ2とロボット3は1台ずつに何ら制限されない。例えば図10図14に示すように、マシニングセンタ2とロボット3はそれぞれ少なくとも1台以上あればよい。この場合、1つの信号管理部4は複数台分の信号を集約して一括して監視することができる。
【0048】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る加工システム1の構成を示す模式図である。図11は、図10に示す加工システム1の構成を示すブロック図である。第4の実施形態に係る加工システム1は、1台のマシニングセンタ2と2台のロボット3、3によって構成され、2台のロボット3、3がマシニングセンタ2を両側から挟むように配置されている。マシニングセンタ2は、その筐体20に、1つの前ドア24と各ロボット3、3に対応する2つの横ドア25、25を有している。また、2台のロボット3、3は、その周囲に、それぞれ安全柵34、34を有している。
【0049】
第4の実施形態に係る加工システム1において、1つの信号管理部4は、図11に示すように、1台のマシニングセンタ2の前ドア情報S2a、横ドア情報S2b、S2bを示す信号と、2台のロボット3の安全柵情報S3、S3を示す信号とを一括して受信し、マシニングセンタ2及び各ロボット3、3のそれぞれの制御装置21、31、31に対して、マシニングセンタ2及びロボット3、3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。それぞれの制御装置21、31、31は互いに運転可否に関する情報を直接通信する必要がなく、運転可能又は運転不可を判定する必要もないので、マシニングセンタ2及びロボット3の台数が多くなる程、運転可能又は運転不可を迅速に且つ効率的に判断することができる効果は顕著となる。
【0050】
図12は、本発明の第5の実施形態に係る加工システム1の構成を示す模式図である。図13は、図12に示す加工システム1の構成を示すブロック図である。第5の実施形態に係る加工システム1は、2台のマシニングセンタ2、2と1台のロボット3によって構成され、2台のマシニングセンタ2、2の筐体20、20が連結されている。各マシニングセンタ2、2は、その筐体20、20に、それぞれ1つずつの前ドア24を有している。1台のロボット3は、一方のマシニングセンタ2の筐体20の内側に配置されている。この加工システム1において、マシニングセンタ2、2の横ドアとロボット3の安全柵は必ずしもなくてもよい。
【0051】
第5の実施形態に係る加工システム1において、1つの信号管理部4は、2台のマシニングセンタ2、2の前ドア情報S2a、S2aを示す信号を一括して受信し、マシニングセンタ2、2及びロボット3のそれぞれの制御装置21、21、31に対して、マシニングセンタ2、2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。
【0052】
図14は、本発明の第6の実施形態に係る加工システム1の構成を示す模式図である。図15は、図14に示す加工システム1の構成を示すブロック図である。第6の実施形態に係る加工システム1は、2台のマシニングセンタ2、2と1台のロボット3によって構成され、2台のマシニングセンタ2、2が1台のロボット3を両側から挟むように配置されている。各マシニングセンタ2、2は、その筐体20、20に、1つずつの前ドア24を有し、1台のロボット3は、その周囲に、安全柵34、34を有している。この加工システム1において、マシニングセンタ2、2の横ドアは必ずしもなくてもよい。
【0053】
第6の実施形態に係る加工システム1において、1つの信号管理部4は、2台のマシニングセンタ2、2の前ドア情報S2a、S2aを示す信号と、1台のロボット3の安全柵情報S3、S3を一括して受信し、マシニングセンタ2、2及びロボット3のそれぞれの制御装置に対して、マシニングセンタ2、2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。
【0054】
以上のように、1つの加工システム1に設けられるマシニングセンタ2及び/又はロボット3が複数台である場合でも、1つの信号管理部4が全ての情報を集約し、各制御装置21、31に対して、マシニングセンタ2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。それぞれの制御装置21、31は互いに運転可否に関する情報を直接通信する必要がなく、運転可能又は運転不可を判定する必要もないので、マシニングセンタ2及びロボット3の台数が多くなる程、それらの運転可能又は運転不可を迅速に且つ効率的に判断することができる効果は顕著となる。
【0055】
なお、図11図13及び図15に示す信号管理部4は、マシニングセンタ2とロボット3のいずれからも独立して配置されるが、マシニングセンタ2に配置されてもよいし、ロボット3に配置されてもよい。
【0056】
本発明において、信号管理部4は、加工システムに1つだけ設けられるものに制限されない。図16図19に示すように、信号管理部4は、1つの加工システム1に複数に分散して配置されてもよい。信号管理部4を複数に分散させることにより、集約される情報量が多い場合に、1つの信号管理部当たりの負荷を低減させることができる。
【0057】
図16は、本発明の第7の実施形態に係る加工システム1の構成を示すブロック図であり、図10に示す第4の実施形態に係る加工システム1において信号管理部4を複数分散して配置した例を示している。
第7の実施形態における信号管理部4は、1台のマシニングセンタ2に対応する1つの信号管理部4Aと、2台のロボット3、3にそれぞれ対応する2つの信号管理部4B、4Bとに分けられている。このうち、信号管理部4Aは、対応するマシニングセンタ2の前ドア情報S2a、横ドア情報S2b、S2bを示す信号を受信するように構成される。一方、信号管理部4B、4Bは、対応するロボット3、3の安全柵情報S3、S3を示す信号を受信するように構成される。
【0058】
これら信号管理部4A、4B、4Bは、受信した信号を相互に送受信して共有できるように接続されている。これにより、3つの信号管理部4A、4B、4Bは、実質的に加工システム1における1つの信号管理部4として機能する。従って、3つの信号管理部4A、4B、4Bは、受信した前ドア情報S2a、横ドア情報S2b、S2b及び安全柵情報S3、S3の組み合わせに基づいて、対応するマシニングセンタ2及び各ロボット3、3のそれぞれの制御装置21、31、31に対して、マシニングセンタ2及びロボット3、3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。
【0059】
図17は、本発明の第8の実施形態に係る加工システム1の構成を示すブロック図であり、図14に示す第6の実施形態に係る加工システム1において信号管理部4を複数分散して配置した例を示している。
第8の実施形態における信号管理部4は、2台のマシニングセンタ2、2にそれぞれ対応する2つの信号管理部4A、4Aと、1台のロボット3にそれぞれ対応する1つの信号管理部4Bとに分けられている。このうち、信号管理部4A、4Aは、対応するマシニングセンタ2、2の前ドア情報S2a、S2aを示す信号を受信するように構成される。一方、信号管理部4Bは、対応するロボット3の安全柵情報S3、S3を示す信号を受信するように構成される。
【0060】
これら信号管理部4A、4A、4Bは、受信した信号を相互に送受信して共有できるように接続されている。これにより、3つの信号管理部4A、4A、4Bは、実質的に加工システム1における1つの信号管理部4として機能する。従って、3つの信号管理部4A、4A、4Bは、受信した前ドア情報S2a、S2a及び安全柵情報S3、S3の組み合わせに基づいて、対応する各マシニングセンタ2、2及びロボット3のそれぞれの制御装置21、21、31に対して、マシニングセンタ2、2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。
【0061】
このように信号管理部4を加工システム1に複数設ける場合、例えば図18図19に示すように、必ずしもマシニングセンタ2及びロボット3に1対1に対応して配置されていなくてもよい。
【0062】
図18は、本発明の第9の実施形態に係る加工システム1の構成を示すブロック図であり、図10に示す第4の実施形態に係る加工システム1において信号管理部4を複数分散して配置した例を示している。
第9の実施形態における信号管理部4は、1台のマシニングセンタ2と1台のロボット3とで共用される1つの信号管理部4Aと、残りの1台のロボット3に対応する1つの信号管理部4Bとで構成される。これら2つの信号管理部4A、4Bも、受信した信号を相互に送受信して共有できるように接続されているため、上記同様、実質的に加工システム1における1つの信号管理部4として機能する。従って、2つの信号管理部4A、4Bは、受信した前ドア情報S2a、横ドア情報S2b、S2b及び安全柵情報S3、S3の組み合わせに基づいて、対応するマシニングセンタ2及び各ロボット3、3のそれぞれの制御装置21、31、31に対して、マシニングセンタ2及びロボット3、3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。
【0063】
図19は、本発明の第10の実施形態に係る加工システム1の構成を示すブロック図であり、図14に示す第6の実施形態に係る加工システム1において信号管理部4を複数分散して配置した例を示している。
第10の実施形態における信号管理部4は、2台のマシニングセンタ2、2にそれぞれ対応するように2つの信号管理部4A、4Aが配置されるが、そのうちの1つの信号管理部4Aはロボット3と共用される構成である。これら2つの信号管理部4A、4Aも、受信した信号を相互に送受信して共有できるように接続されているため、上記同様、実質的に加工システム1における1つの信号管理部4として機能する。従って、2つの信号管理部4A、4Aは、受信した前ドア情報S2a、S2a及び安全柵情報S3、S3の組み合わせに基づいて、対応する各マシニングセンタ2、2及びロボット3のそれぞれの制御装置21、21、31に対して、マシニングセンタ2、2及びロボット3の運転可能状態又は運転不可状態を示す信号を出力することができる。
【0064】
以上説明した各実施形態において、ロボット3は、安全柵に代えて、又は、安全柵に加えて、作業者が近づいたことを非接触で検出するためのエリアセンサを備えるものであってもよい。この場合、信号管理部4は、ロボット3の運転可能又は運転不可の判定要素となる情報として、安全柵の開閉状態の情報に代えて、又は、安全柵の開閉状態の情報に加えて、エリアセンサの検出・非検出の情報を示す信号を受信するようにしてもよい。
【0065】
また、以上説明した加工システム1は、工作機械としてマシニングセンタ2を例示し、補助装置としてロボット3を例示したが、これらに制限されない。本発明における工作機械は、補助装置との協調によって被加工物の加工や製造を実施する機械であればよい。このような工作機械としては、マシニングセンタやワイヤカット等の加工機に限らず、例えば射出成型機や3Dプリンタ等であってもよい。
【0066】
また、本発明における補助装置は、工作機械による加工作業を補助する装置であればよい。具体的な補助装置としては、工作機械に対する被加工物や工具等の搬入搬出を行うロボット以外の搬送装置、工作機械の内部を撮像する撮像装置、工作機械で加工、製造される被加工物の各種測定を行う測定装置、工作機械内部の清掃を行う清掃装置等であってもよい。従って、本発明における補助装置が行う補助作業としては、被加工物の交換又は取り出し作業に限らず、例えば、加工工具やその他工作機械の構成部品の交換作業、工作機械内部の点検作業、被加工物の測定作業、工作機械内部の清掃作業等であってもよい。
【0067】
更に、本発明における工作機械及び補助装置の運転可能状態又は運転不可状態は、以上説明した作業者の安全性に関連する工作機械や補助装置の状態に制限されない。工作機械及び補助装置の運転可能状態又は運転不可状態とは、例えば工作機械及び補助装置の正常状態又は異常状態のことであってもよい。工作機械及び補助装置の異常状態の具体例としては、治具やロボットハンドのワーク把持失敗、工作機械の主軸の工具把持失敗、切粉の堆積過多、被加工物の不良等が挙げられる。
【符号の説明】
【0068】
1 加工システム
2 マシニングセンタ(工作機械)
21 数値制御装置(工作機械制御装置)
22 電源
3 ロボット(補助装置)
31 ロボット制御装置(補助装置制御装置)
32 電源
4、4A、4B 信号管理部
5 電源
S2a 前ドア情報(工作機械及び補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる工作機械に係る情報)
S2b 横ドア情報(工作機械及び補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる工作機械に係る情報)
S3 安全柵情報(工作機械及び補助装置の運転可能又は運転不可の判定要素となる補助装置に係る情報)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C