(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性樹脂を扱う成形機を洗浄する場合、従来の洗浄剤を使用すると、十分に洗浄できないという問題、洗浄力が十分であっても流動性の低さからスクリュー抜きだし作業が困難であるという問題が生じる。流動性の低い洗浄剤を用いる場合は、流動性の高い樹脂または洗浄剤で、流動性の低い洗浄剤を置換する作業が必要となる。その結果、従来の洗浄作業では、多量の洗浄剤および/または時間を要することとなる。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、洗浄性および流動性が共に優れる成形機洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の成形機洗浄剤は、熱可塑性超高分子(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)とを含む。
1つの実施形態においては、上記熱可塑性超高分子(A)が、超高分子量ポリエチレン系樹脂であり、該熱可塑性超高分子(A)の粘度平均分子量が、30万〜1500万である。
1つの実施形態においては、上記熱可塑性超高分子(A)の含有割合が、上記成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、10重量部〜50重量部である。
1つの実施形態においては、上記熱可塑性樹脂(B)が、ポリオレフィン系樹脂である。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸およびそのアルコールエステル(C)の含有割合が、前記成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部である。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度が、2以上である。
1つの実施形態においては、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルが、縮合度が2以上の縮合ヒドロキシ脂肪酸と、アルコールとの反応生成物である。
1つの実施形態においては、上記成形機洗浄剤は、無機物(D)をさらに含む。
1つの実施形態においては、上記無機物(D)の含有割合が、上記成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、10重量部〜100重量部である。
1つの実施形態においては、上記無機物(D)が、珪酸塩化合物、炭酸カルシウムおよびガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱可塑性超高分子(特に、超高分子量ポリエチレン樹脂)を含む成形機洗浄剤に、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステルを添加することにより、洗浄性および流動性に優れる成形機洗浄剤を得ることができる。また、本発明の成形機洗浄剤は、金属から容易に剥離でき、成形機を洗浄する際の作業性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の成形機洗浄剤は、熱可塑性超高分子(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)(以下、単に化合物(C)ともいう)とを含む。なお、熱可塑性超高分子(A)と熱可塑性樹脂(B)とは、粘度平均分子量により区別され、本明細書においては、熱可塑性樹脂(B)を、熱可塑性超高分子(A)よりも粘度平均分子量が小さい樹脂とする。
【0010】
本発明においては、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)を用いることにより、熱可塑性超高分子(A)を成形機洗浄剤の成分として用いることが可能となる。より具体的には、当該熱可塑性超高分子(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを混練する際に、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)を添加することにより、本来は押し出し成形機で押し出すことが非常に困難である熱可塑性超高分子(A)を成形機洗浄剤の成分として用いることが可能となる。熱可塑性超高分子(A)、熱可塑性樹脂(B)および縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)を含む本発明の成形機洗浄剤は、洗浄性に優れ、少量の使用で十分な洗浄効果を発揮する。また、本発明の成形機洗浄剤は、上記のとおり、流動性に優れ、かつ、良好な剥離性を有する。
【0011】
本発明の成形機洗浄剤の250℃、5kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは2g/10min以上であり、より好ましくは3g/10min以上であり、さらに好ましくは5g/10min以上であり、特に好ましくは8g/10min以上である。このような範囲であれば、上記効果は顕著となる。該メルトフローレートの上限は、例えば、50g/10minである。メルトフローレートは、JISK7210に準じた方法により測定することができる。
【0012】
A.熱可塑性超高分子(A)
上記熱可塑性超高分子(A)としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な樹脂が用いられ得る。熱可塑性超高分子(A)としては、例えば、超高分子量ポリエチレン系樹脂、超高分子量スチレン−アクリロニトリル系樹脂、超高分子量メチルメタクリレート系樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくは、超高分子量ポリエチレン系樹脂である。超高分子量ポリエチレン系樹脂を用いることにより、洗浄性、剥離性に顕著に優れる成形機洗浄剤を得ることができる。超高分子量ポリエチレン系樹脂を含みながらも、成形機洗浄剤として有効に使用し得る組成物を得たことは、本発明の成果のひとつである。
【0013】
熱可塑性超高分子(A)の粘度平均分子量は、好ましくは30万〜1500万であり、より好ましくは50万〜1200万であり、さらに好ましくは100万〜1000万であり、さらに好ましくは200万〜1000万であり、特に好ましくは300万〜700万である。このような範囲であれば、洗浄性、流動性、剥離性に優れる成形機洗浄剤を得ることができる。なお、上記粘度平均分子量は、ASTMD4020に規定の粘度法により測定することができる。
【0014】
熱可塑性超高分子(A)の含有割合は、成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部〜50重量部であり、より好ましくは20重量部〜40重量部である。このような範囲であれば、洗浄性、流動性、剥離性に優れる成形機洗浄剤を得ることができる。
【0015】
A−1.超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは30万〜1500万であり、より好ましくは50万〜1200万であり、さらに好ましくは100万〜1000万であり、さらに好ましくは200万〜1000万であり、特に好ましくは300万〜700万である。このような範囲であれば、洗浄性、流動性、剥離性に優れる成形機洗浄剤を得ることができる。上記成形機洗浄剤は、分子量が異なる2種以上の超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)を含んでいてもよい。
【0016】
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを主成分とする単量体組成物(全単量体中、エチレンの含有割合が最大となる単量体組成物)を重合して得られる樹脂である。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと該エチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
【0017】
エチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えば、炭素数3以上(好ましくは、炭素数3〜20)のα−オレフィンなどが挙げられる。この炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン等が挙げられる。
【0018】
超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)は、任意の適切な方法により製造され得る。例えば、特開昭58−83006号公報に記載されている方法により、任意の適切な触媒の存在下で、上記単量体を重合して得ることができる。
【0019】
B.熱可塑性樹脂(B)
熱可塑性樹脂(B)の粘度平均分子量は、熱可塑性超高分子(A)の粘度平均分子量より小さい限り、特に限定されない。熱可塑性樹脂(B)の粘度平均分子量は、例えば100万以下であり、好ましくは30万未満である。熱可塑性樹脂(B)を含有させることにより、流動性の高い成形機洗浄剤を得ることができる。
【0020】
熱可塑性樹脂(B)の190℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは0.05g/10min〜100g/10minであり、より好ましくは0.1g/10min〜100g/10minであり、さらに好ましくは10g/10min〜90g/10minであり、特に好ましくは20g/10min〜80g/10minである。このような範囲であれば、流動性に特に優れ、かつ、熱可塑性超高分子(A)由来の特性が十分に発揮される成形機洗浄剤を得ることができる。
【0021】
熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンから構成される共重合体等)が挙げられる。
【0022】
熱可塑性樹脂(B)を構成するα−オレフィンとしては、炭素数が2〜10のα−オレフィンが好ましく、炭素数が2〜8のα−オレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレンまたは1−ブテンがさらに好ましい。
【0023】
1つの実施形態においては、熱可塑性樹脂(B)として、超高分子量ポリエチレン系樹脂(A)以外のポリエチレン系樹脂が用いられる。該ポリエチレン系樹脂中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。エチレン由来の構成単位以外の構成単位としては、エチレンと共重合体と共重合可能な単量体由来の構成単位が挙げられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン等が挙げられる。
【0024】
熱可塑性樹脂(B)の含有割合は、成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部〜90重量部であり、より好ましくは15重量部〜90重量部であり、さらに好ましくは20重量部〜80重量部であり、特に好ましくは30重量部〜70重量部である。このような範囲であれば、流動性に特に優れ、かつ、熱可塑性超高分子(A)由来の特性が十分に発揮される成形機洗浄剤を得ることができる。
【0025】
C.縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)
本発明においては、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)を含有させることにより、樹脂成分として熱可塑性超高分子(A)を含む組成物であっても、成形洗浄剤として有効に使用することが可能となる。
【0026】
上記縮合ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸を脱水縮合して得ることができる。縮合ヒドロキシ脂肪酸は、例えば、ヒドロキシ脂肪酸に苛性ソーダ等のアルカリ触媒を添加し、加熱下で反応水を除去することにより脱水縮合して、得ることができる。
【0027】
上記縮合ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸の縮合体であり、その縮合度は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。縮合ヒドロキシ脂肪酸の縮合度の上限は、例えば、20である。なお、縮合度とは、原料ヒドロキシ脂肪酸の酸価と縮合反応後の酸価とから計算して求めることができる。
【0028】
上記ヒドロキシ脂肪酸は、分子内に1個以上の水酸基を有する脂肪酸である。ヒドロキシ脂肪酸の具体例としては、例えば、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、サビニン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、イプロール酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、カムロレン酸、フェロン酸、セレブロン酸等が挙げられる。ヒドロキシ脂肪酸は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルは、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸とアルコールとをエステル化反応させることで得られ得る。縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルは、例えば、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸とアルコールとを混合し、得られた混合物に苛性ソーダ等のアルカリ触媒または燐酸等の酸触媒を添加し、加熱下で反応水を除去することにより、得ることができる。この反応中のエステル化の進行度は酸価、ケン化価、水酸基価等を測定することで確認することができる。ここで用いられる縮合ヒドロキシ脂肪酸においても、その縮合度は、上記のとおり、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。
【0030】
上記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコールなどの二価アルコール等が挙げられる。また、上記アルコールとして、多価アルコールを用いてもよい。多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのアルカンポリオール;該アルカンポリオールの重合体であるポリアルカンポリオール;ショ糖などの糖類;ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコールに代表される糖誘導体等が挙げられる。これらのアルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記化合物を原料として合成された縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)の具体例としては、例えば、リシノレイン酸を脱水縮合した縮合リシノレイン酸、12ヒドロキシステアリン酸を脱水縮合した縮合12ヒドロキシステアリン酸、縮合リシノレイン酸とグリセリン6重合体のヘキサグリセリンのエステルである縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリンエステル、縮合リシノレイン酸とグリセリン4重合体のテトラグリセリンのエステルである縮合リシノレイン酸テトラグリセリンエステル、縮合12ヒドロキシステアリン酸とプロピレングリコールのエステルである縮合12ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコールエステル、縮合リシノレイン酸とプロピレングリコールとのエステルである縮合リノレイン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
縮合ヒドロキシ脂肪酸およびそのアルコールエステル(C)の含有割合は、成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2重量部〜30重量部であり、より好ましくは0.2重量部〜20重量部であり、さらに好ましくは0.2重量部〜15重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部〜15重量部であり、特に好ましくは0.5重量部〜10重量部である。このような範囲であれば、洗浄性および流動性に優れる成形機洗浄剤を得ることができる。「縮合ヒドロキシ脂肪酸およびそのアルコールエステル(C)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸と縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルの合計含有割合を意味する。したがって、上記成形機洗浄剤が化合物(C)として縮合ヒドロキシ脂肪酸のみを含む場合、「縮合ヒドロキシ脂肪酸およびそのアルコールエステル(C)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸の含有割合を意味する。また、上記成形機洗浄剤が化合物(C)として縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルのみを含む場合、「縮合ヒドロキシ脂肪酸およびそのアルコールエステル(C)の含有割合」とは、縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルの含有割合を意味する。
【0033】
D.無機物(D)
1つの実施形態においては、本発明の成形機洗浄剤は、無機物(D)をさらに含む。無機物(D)を含有させることにより、成形機洗浄剤の洗浄性および剥離性がさらに向上する。
【0034】
上記無機物(D)の含有割合は、成形機洗浄剤中の樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部〜100重量部であり、より好ましくは15重量部〜90重量部であり、さらに好ましくは30重量部〜70重量部である。
【0035】
上記無機物(D)としては、本発明の効果が得られる限り、任意の適切な無機物を用いることができる。上記無機物(D)としては、例えば、珪酸塩化合物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩等が挙げられる。珪酸塩化合物としては、ウォラストナイト、ゼオライト、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス(ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、ガラスフレーク等)等が挙げられる。金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、珪藻土が挙げられる。金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。なかでも好ましくは、珪酸塩化合物(特にタルク)、炭酸カルシウムまたはガラス繊維である。これらの無機物(D)は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
E.その他の成分
本発明の成形機洗浄剤は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、熱安定剤、耐候剤等の安定剤、顔料、染料等の着色剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
【0037】
F.成形機洗浄剤の製造方法
本発明の成形機洗浄剤は、任意の適切な方法により製造され得る。該製造方法としては、例えば、熱可塑性超高分子(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)と、必要に応じて添加される無機物(D)とを、溶融混練する方法(メルトブレンド法)が挙げられる。溶融混練の方法としては、例えば、単軸押出機、多軸押出機、タンデム式押出機、バンバリーミキサー等を用いた方法が挙げられる。縮合ヒドロキシ脂肪酸および/またはそのアルコールエステル(C)存在下で上記樹脂を溶融混練すれば、塊状物の発生を抑制することができ、樹脂分散状態の良好な成形機洗浄剤を得ることができる。なお、無機物(D)は、溶融混練の操作の後に添加してもよい。
【0038】
上記溶融混練における加工温度は、成形洗浄剤に含有される樹脂が溶融し得る温度であることが好ましい。該温度は、例えば、100℃〜330℃である。
【0039】
本発明の成形機洗浄剤を用いる成形機は、特に限定されないが、例えば、単軸もしくは2軸の押出機、プラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー等の樹脂に一般的に用いられる各種混合装置、または射出成形機である。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、部および%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
【0041】
[実施例1]
熱可塑性超高分子(超高分子量ポリエチレン系樹脂、旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH901」、粘度平均分子量:300万)42.5重量部と、熱可塑性樹脂(ポリエチレン系樹脂、旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンテックJ300」、MFR(190℃/2.16kgf):40g/10min)100重量部と、縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(縮合リシノレイン酸テトラグリセリン、ヒドロキシ脂肪酸の縮合度:10)7重量部とを二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM26SS」)で溶融混練りして、ペレット状の成形機洗浄剤を得た。
【0042】
[実施例2〜8、比較例1〜6]
上記熱可塑性超高分子(超高分子量ポリエチレン系樹脂)、上記熱可塑性樹脂(ポリエチレン系樹脂)、上記縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステル(縮合リシノレイン酸テトラグリセリン)の配合量を表1に示す量としたこと以外は、実施例1と同様にして、成形機洗浄剤を得た。
なお、実施例2および6、ならびに、比較例2および4においては、熱可塑性超高分子として、超高分子量ポリエチレン系樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH850」、粘度平均分子量:200万)を用いた。また、実施例4においては、熱可塑性超高分子として、超高分子量ポリエチレン系樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH951」、粘度平均分子量:450万)を用いた。また、実施例5においては、超高分子量ポリエチレン系樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「サンファインUH981」、粘度平均分子量:700万)を用いた。
また、実施例2〜8および比較例2〜6においては、下記の無機物を表1に示す配合量でさらに配合して、溶融混練りした。
実施例2〜5および8、ならびに比較例2〜3および6:タルク(林化成社製、商品名「タルカンパウダーPK−C」、平均粒子径:12.1μm)
実施例6〜8および比較例4〜5:ガラス繊維(日本電気硝子社製、商品名「ガラスチョップドストランドECS03T−187」、繊維長3.7mm、繊維径13.1μm)
【0043】
<評価>
実施例および比較例で得られた成形機洗浄剤を下記の評価に供した。結果を表1に示す。
(1)洗浄剤使用量
試験機には二軸押出機(TEM18、東芝機械社製)を使用した。当該二軸押出機のシリンダー温度を250℃に設定し、ポリブチレンテレフタレート(PBT)黒色着色樹脂を上記二軸押出機内に流した。ダイからPBT黒色着色樹脂が押出されたことを確認した後、スクリューを回転させた状態でPBT黒色着色樹脂をダイから出なくなるまで二軸押出機から流し出した。
その後、二軸押出機内に成形機洗浄剤を、ダイから押出された成形機洗浄剤に付く黒色着色樹脂の色が抜けて色目に変化がなくなるまで流し、要した成形機洗浄剤の重量を測定した。
(2)スクリューの抜きやすさ
上記(1)の操作の後、ダイを解放し、スクリューを回転させて二軸押出機内の成形機洗浄剤を流し出し、スクリューを抜き出し、スクリューの抜きやすさを評価した。
表1中、スクリューを特に容易に抜き出し得る場合を◎、スクリューを容易に抜き出し得る場合を〇、スクリュー抜き出しに負荷がかかり実用上の問題が生じる場合を△、負荷がかかりスクリューが人力で抜き出し難い場合を×とする。
(3)金属剥離性
上記(1)の操作の後、スクリューおよびシリンダー内部に付着した成形機洗浄剤の付着面からの剥離性を確認した。
表1中、成形機洗浄剤が特に容易に剥離する場合を◎、成形機洗浄剤が容易に剥離する場合を〇、剥離に手間がかかり実用上の問題が生じる場合を△、貼り付きが顕著で剥離できない場合を×とした。
【0044】
【表1】