特許第6613512号(P6613512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6613512
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20191125BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20191125BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   G06F3/041 400
   G06F3/041 422
   G06F3/041 450
   G06F3/041 662
   G06F3/044 122
   G06F1/16 312F
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-163046(P2018-163046)
(22)【出願日】2018年8月31日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】渡村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
【審査官】 滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−66918(JP,A)
【文献】 特開2010−154099(JP,A)
【文献】 特開2012−230519(JP,A)
【文献】 特開2003−296022(JP,A)
【文献】 特表2015−512549(JP,A)
【文献】 特開2014−29673(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/110995(WO,A1)
【文献】 特開2013−41470(JP,A)
【文献】 特開2011−248667(JP,A)
【文献】 特開2009−258935(JP,A)
【文献】 特開2015−26343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 1/16
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイの表示面を覆う第1透明板と、
前記ディスプレイの非表示面を覆う第2透明板と、
前記第2透明板と前記ディスプレイとの間に配置され、透明なフィルムに形成されたタッチセンサ部および配線集約部を有する膜状部材と、を備え、
前記第1透明板、前記第2透明板、及び前記膜状部材は、前記表示面側から見て、前記ディスプレイに重なる第1領域と前記ディスプレイに重ならない第2領域とを有し、
前記タッチセンサ部は前記第2領域に配置され、前記配線集約部は前記第1領域に配置される、電子機器。
【請求項2】
前記膜状部材は、前記第2透明板の全面を覆っている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2透明板は、少なくとも一部が前記第1領域に重なる有色層を有する、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記タッチセンサ部は、第1配線と、前記第1配線と交差しかつ絶縁体を介して前記第1配線と電気的に絶縁された第2配線とを有し、
前記第1配線は、略直交する方向に曲がった曲げ部を経由して前記配線集約部に電気的に接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1配線は前記フィルムの前記表示面側に形成され、前記第2配線は前記フィルムの前記非表示面側に形成され、前記絶縁体はフィルムである、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1配線および前記第2配線は、幅10μm以下の金属細線により構成されている、請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記膜状部材は、接地回路に接続されたグランド部をさらに備え、
前記グランド部は、前記非表示面側から前記曲げ部を覆っている、請求項4から6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記ディスプレイ、前記第1透明板、前記第2透明板、および前記膜状部材を有する第2本体部と、
前記第2本体部に対して移動可能な第1本体部と、を備え、
前記第1本体部には、前記第2本体部が前記第1本体部に重ねられたときに、前記第1透明板、前記第2透明板、および前記膜状部材を通して視認可能なサブディスプレイが設けられ、
前記タッチセンサ部は、前記第2本体部が前記第1本体部に重ねられたときに、前記サブディスプレイと重なる位置に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
ディスプレイと、
前記ディスプレイの表示面を覆う第1透明板と、
前記ディスプレイの非表示面を覆う第2透明板と、
前記第2透明板と前記ディスプレイとの間に配置され、透明なフィルムに形成されたタッチセンサ部および配線集約部を有する膜状部材と、を備え、
前記タッチセンサ部は、互いに交差する方向に延びる複数の第1配線および複数の第2配線を有し、
少なくとも一部の前記第1配線には、当該第1配線が延びる第1方向の端部において、前記第1方向に略直交する第2方向に曲がった曲げ部が形成されている、電子機器。
【請求項10】
前記第1配線および前記第2配線は、幅10μm以下の金属細線により構成されている、請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記膜状部材は、接地回路に接続されたグランド部をさらに備え、
前記グランド部は、前記非表示面側から前記曲げ部を覆っている、請求項9または10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されるような、第1本体部と、第1本体部に対して移動可能な第2本体部と、を備えた電子機器が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5969643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子機器では、ディスプレイとフレームとの間の部分は不透明に形成されるのが一般的な構成である。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、ディスプレイが宙に浮いているような外観を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る電子機器は、ディスプレイと、前記ディスプレイの表示面を覆う第1透明板と、前記ディスプレイの非表示面を覆う第2透明板と、前記第2透明板と前記ディスプレイとの間に配置され、透明なフィルムに形成されたタッチセンサ部および配線集約部を有する膜状部材と、を備え、前記第1透明板、前記第2透明板、及び前記膜状部材は、前記表示面側から見て、前記ディスプレイに重なる第1領域と前記ディスプレイに重ならない第2領域とを有し、前記タッチセンサ部は前記第2領域に配置され、前記配線集約部は前記第1領域に配置される。
【0007】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器は、ディスプレイと、前記ディスプレイの表示面を覆う第1透明板と、前記ディスプレイの非表示面を覆う第2透明板と、前記第2透明板と前記ディスプレイとの間に配置され、透明なフィルムに形成されたタッチセンサ部および配線集約部を有する膜状部材と、を備え、前記タッチセンサ部は、互いに交差する方向に延びる複数の第1配線および複数の第2配線を有し、少なくとも一部の前記第1配線には、当該第1配線が延びる第1方向の端部において、前記第1方向に略直交する第2方向に曲がった曲げ部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、ディスプレイと、ディスプレイを挟む第1透明板および第2透明板と、を備えているため、ディスプレイが宙に浮いているような外観を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2図1の第2本体部の分解斜視図である。
図3図1のIII−III断面矢視図である。
図4図1のIV−IV断面矢視図である。
図5図1の第2本体部を閉状態として、第2本体部側から電子機器を見た図である。
図6】(a)はタッチセンサの構成例を示す概略図であり、(b)はタッチセンサの他の構成例を示す概略図である。
図7】第1領域および第2領域を説明する図である。
図8図1の電子機器を使用する際の様子を示す概略図であり、(a)は第2本体部が開状態の場合、(b)は第2本体部が閉状態の場合である。
図9図5のタッチセンサ部の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態の電子機器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、電子機器1は、第1本体部2と第2本体部3とを有する、いわゆるクラムシェル型(ノート型)のパーソナルコンピュータである。第1本体部2と第2本体部3とは、第2本体部3が第1本体部2に対して開いた状態と閉じた状態との間で、ヒンジ25回りに相対的に移動可能となっている。すなわち、第2本体部3と第1本体部2とは、互いに重ね合わされることが可能となっている。
なお、本実施形態を、ノート型PCに限らず、タブレット端末や携帯電話などの電子機器に適用してもよい。
【0011】
(方向定義)
本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。以下、X軸に沿う方向を左右方向Xといい、Y軸に沿う方向を前後方向Yといい、Z軸に沿う方向を上下方向Zという。また、左右方向Xにおける一方側を+X側(左側)といい、他方側を−X側(右側)という。前後方向Yにおける一方側を+Y側(後側)といい、他方側を−Y側(前側)という。上下方向における一方側を+Z側(上側)、他方側を−Z側(下側)という。
第2本体部3は、ディスプレイ6を備えている。ディスプレイ6は、表示面および非表示面を有している。図1では、−Y側がディスプレイ6の表示面側であり、+Y側がディスプレイ6の非表示面側である。
【0012】
ヒンジ25は、第2本体部3の−Z側の端部と第1本体部2の+Y側の端部を連結しており、左右方向Xに延びている。ヒンジ25により、第2本体部3は、第1本体部2に対して開状態と閉状態との間で回転移動可能となっている。なお、閉状態とは、第2本体部3と第1本体部2とが重ね合わされた状態をいう。開状態とは、第2本体部3が閉状態から所定量以上移動し、後述するサブディスプレイ2bが露出した状態をいう。
なお、以下の説明では、特別な言及が無い限り、第2本体部3が上下方向Zおよび左右方向Xに延びた姿勢についての各部の位置関係を説明する。
【0013】
(第1本体部)
第1本体部2は、左右方向Xおよび前後方向Yに延びる扁平な形状の筐体を有している。筐体の内部には、マザーボード(基板)やバッテリなどが設けられている。第1本体部2は、ヒンジ25を介して、第2本体部3に対して回動可能に連結されている。なお、第1本体部2と第2本体部3とは分離可能であってもよい。
【0014】
第1本体部2には、入力部2aと、サブディスプレイ2bと、検出部2cと、タッチセンサ2d(第1タッチセンサ)と、制御部2eと、が設けられている。
入力部2aは、キーボードなどである。
サブディスプレイ2bは、液晶ディスプレイ(LCD: liquid crystal display)や有機EL(electro luminescence)ディスプレイなどである。サブディスプレイ2bは、左右方向Xに長く、前後方向Yに短い長方形状となっている。サブディスプレイ2bは、入力部2aよりも+Y側に位置している。換言すると、サブディスプレイ2bは、入力部2aよりもヒンジ25に近い位置に配置されている。
【0015】
タッチセンサ2dは、サブディスプレイ2bと重なる位置に配されている。より詳しくは、サブディスプレイ2bは+Z側からカバーガラスにより覆われており、当該カバーガラスの−Z側の表面にタッチセンサ2dが貼り付けられている。したがって、タッチセンサ2dは、サブディスプレイ2bを+Z側から覆っている。サブディスプレイ2bとタッチセンサ2dとにより、1つのタッチパネルが構成されている。
タッチセンサ2dは、使用者が触れた位置を検出可能に構成されている。また、タッチセンサ2dは透明であり、タッチセンサ2dを通してサブディスプレイ2bを視認可能となっている。
【0016】
図1に示す制御部2eは、検出部2cの検出結果に基づき、タッチセンサ2dおよびタッチセンサ部3b(後述)を制御し、有効(ON)と無効(OFF)とを切り替える。制御部2eは、マザーボードの一部であってもよいし、マザーボードとは別の基板の一部などであってもよい。
【0017】
検出部2cは、第2本体部3の開状態および閉状態を検出する。検出部2cは、第1本体部2の−Y側の端部に配置されている。第2本体部3の+Z側の端部には、検知対象部3aが設けられている。検出部2cおよび検知対象部3aは、左右方向Xにおいて同じ位置に配置されている。このため、第2本体部3が閉状態となったときに、第1本体部2の検出部2cと第2本体部3の検知対象部3aとが互いに対向する。検出部2cとしては、ホールセンサなどの磁気センサを用いることができる。検知対象部3aとしては、磁石を用いることができる。検出部2cは、第2本体部3が開状態と閉状態との間で移動することに伴う、検知対象部3aが生じさせる磁場の変化を検出することで、第2本体部3の開状態および閉状態を検知することができる。
【0018】
なお、検出部2cが第2本体部3に設けられ、検知対象部3aが第1本体部2に設けられていてもよい。あるいは、検出部2cとして、磁気センサ以外の方式のセンサ(例えば赤外線センサなど)を用いてもよい。
【0019】
(第2本体部)
第2本体部3は、ディスプレイ6を備えている。ディスプレイ6は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。ディスプレイ6には、配線7が接続されている。配線7を通じて、ディスプレイ6と第1本体部2のマザーボード等とが電気的に接続されている。
【0020】
第2本体部3は透明領域Aを有している。第2本体部3を前後方向Yから見ると、配線7が接続された部分を除き、ディスプレイ6が透明領域Aに囲われる。これにより、ディスプレイ6が宙に浮いているような外観となる。
【0021】
図2に示すように、第2本体部3は、第1透明板4と、透明部材10と、フレーム体20と、第2透明板5と、ディスプレイ6と、膜状部材30と、を有している。透明領域Aは、第1透明板4、透明部材10、膜状部材30、および第2透明板5が前後方向Yに重ねられた構造となっている。
【0022】
第1透明板4および第2透明板5は、フレーム体20、透明部材10、およびディスプレイ6を前後方向Yで挟んでいる。第1透明板4はディスプレイ6よりも−Y側に位置し、第2透明板5はディスプレイ6よりも+Y側に位置している。第1透明板4はディスプレイ6の表示面(−Y側の面)を覆っている。第2透明板5はディスプレイ6の非表示面(+Y側の面)を覆っている。
第1透明板4および第2透明板5は、上下方向Zおよび左右方向Xに延びる透明な板状に形成されている。本実施形態では、第1透明板4および第2透明板5は、前後方向Yから見て長方形状に形成されている。第1透明板4および第2透明板5としては、ガラスや透明の樹脂などを用いることができる。
【0023】
フレーム体20は、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの金属材料や繊維強化プラスチックなどにより形成されている。フレーム体20は、右フレーム21と、上フレーム22と、左フレーム23と、下フレーム24と、を有している。各部21〜24により、フレーム体20は、前後方向Yから見て長方形の枠状に形成されている。右フレーム21および左フレーム23は上下方向Zに延びており、上フレーム22および下フレーム24は左右方向Xに延びている。上フレーム22は、右フレーム21および左フレーム23の+Z側端部同士を接続している。下フレーム24は、右フレーム21および左フレーム23の−Z側端部同士を接続している。
【0024】
下フレーム24の−Z側端部には、ヒンジ25が設けられている。
図3に示すように、フレーム体20には、第1凹部20aおよび第2凹部20bが形成されている。第1凹部20aは、フレーム体20の+Y側の端面から、−Y側に向けて窪んでいる。第2凹部20bは、フレーム体20の−Y側の端面から、+Y側に向けて窪んでいる。第1凹部20aおよび第2凹部20bは、フレーム体20の各部21〜24に沿って形成されている。このため、凹部20a、20bは、前後方向Yから見て長方形の枠状に形成されている。
【0025】
凹部20a、20bは、右フレーム21の+X側の端部、上フレーム22の−Z側の端部、左フレーム23の−X側の端部、および下フレーム24の+Z側の端部に形成されている。凹部20a、20bの左右方向Xの寸法は、第1透明板4および第2透明板5の左右方向Xの寸法よりも大きい。凹部20a、20bの上下方向Zの寸法は、第1透明板4および第2透明板5の上下方向Zの寸法よりも大きい。
【0026】
第1透明板4の少なくとも一部は、第1凹部20aの内側に位置している。第1透明板4は、接着剤8によって、第1凹部20aの内面に接着されている。接着剤8としては、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、両面テープなどを用いることができる。図3の例では、第1凹部20aの+Y側を向く内面に接着剤8が設けられている。ただし接着剤8は、第1凹部20aの左右方向Xを向く内面に設けられていてもよい。
【0027】
図2図7に示すように、第2透明板5は、少なくとも一部が後述する第1領域P1に重なる有色層5aを有している。有色層5aは、例えば印刷によって形成される。有色層5aは、第2透明板5の−Y側の表面あるいは+Y側の表面に形成される。なお、有色層5aを第2透明板5の−Y側の表面に形成した場合、使用者などが接触することなどによる有色層5aの剥離を抑制することができる。
【0028】
図3に示すように、第2透明板5の−Y側の表面に、膜状部材30が接着されて固定されている。有色層5aが第2透明板5の−Y側の表面に形成されている場合には、有色層5aの上から膜状部材30が第2透明板5に固定される。第2透明板5の少なくとも一部は、第2凹部20bの内側に位置している。第2透明板5は、膜状部材30を介して、接着剤8によって第2凹部20bの内面に接着されている。図3の例では、第2凹部20bの−Y側を向く内面に接着剤8が設けられている。ただし接着剤8は、第2凹部20bの左右方向Xを向く内面に設けられていてもよい。
複数の接着剤8によって、第1透明板4および第2透明板5は、フレーム体20に対して接着および固定されている。本実施形態では、第1透明板4の全体が第1凹部20aの内側に位置しており、第2透明板5の全体が第2凹部20bの内側に位置している。
【0029】
ディスプレイ6は、第1透明板4に固定されている。ディスプレイ6は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。第1透明板4を通して、使用者は、ディスプレイ6を視認することができる。ディスプレイ6は、前後方向Yから見て長方形状に形成されている。配線7は、ディスプレイ6に接続されている。配線7とディスプレイ6とを接続する作業は、ディスプレイ6、第1透明板4、および透明部材10をフレーム体20に組み付けた後で行うことができる。このため、ディスプレイ6を第1透明板4に固定しても、配線7を透明部材10の配線収容部14a(後述)内に収容することができる。
【0030】
なお、第2本体部3自体をタッチパネルとして用いる場合には、ディスプレイ6と第1透明板との間に、タッチセンサ3cを設けてもよい(図2参照)。なお、図2などではタッチセンサ3cのアクティブエリアを破線で示している。タッチセンサ3cのアクティブエリアは、ディスプレイのアクティブエリアより大きい。また、タッチセンサ3cの配線集約部は、タッチセンサ3cのアクティブエリアの周囲に配置され、有色のベゼル部により隠される。ただし、ベゼル部は透明領域Aの内側に位置する。
【0031】
透明部材10は、透明な樹脂により形成されている。透明部材10の材質としては、ポリカーボネート(PC: polycarbonate)やアクリル(PMMA: Poly Methyl Methacrylate)などを用いることができる。透明部材10は、射出成型により形成されてもよいし、切削加工により形成されてもよい。
【0032】
図2に示すように、透明部材10は、ディスプレイ6を囲う囲繞部10aを有している。本実施形態では、長方形状のディスプレイ6を囲うように、囲繞部10aが長方形の枠状に形成されている。囲繞部10aは、右側部11と、上側部12と、左側部13と、下側部14と、を有している。右側部11、上側部12、左側部13、および下側部14は、一体に形成されている。すなわち、囲繞部10aは一体に形成されている。
【0033】
右側部11と左側部13との間の左右方向Xにおける間隔は、ディスプレイ6の左右方向Xにおける寸法よりも大きい。上側部12と下側部14との間の上下方向Zにおける間隔は、ディスプレイ6の上下方向Zにおける寸法よりも大きい。
透明部材10の左右方向Xにおける大きさは、フレーム体20における右フレーム21と左フレーム23との間の左右方向Xにおける間隔よりも小さい。透明部材10の上下方向Zにおける大きさは、フレーム体20における上フレーム22と下フレーム24との間の上下方向Zにおける間隔よりも小さい。
【0034】
右側部11はディスプレイ6の−X側に位置し、上側部12はディスプレイ6の+Z側に位置し、左側部13はディスプレイ6の+X側に位置し、下側部14はディスプレイ6の−Z側に位置している。
右側部11および左側部13は上下方向Zに延びており、上側部12および下側部14は左右方向Xに延びている。上側部12は、右側部11および左側部13の+Z側端部同士を接続している。下側部14は、右側部11および左側部13の−Z側端部同士を接続している。
【0035】
下側部14の上下方向Zにおける幅は、上側部12の上下方向Zにおける幅よりも大きい。また、下側部14の上下方向Zにおける幅は、右側部11および左側部13の左右方向Xにおける幅よりも大きい。つまり、下側部14の幅は、囲繞部10aにおける他の部分11〜13の幅よりも大きくなっている。
【0036】
下側部14には、配線収容部14aが設けられている。配線収容部14aは、下側部14に形成された凹部である。配線収容部14aは、下側部14の+Y側の端面から、−Y側に向けて窪んでいる。配線収容部14aは、下側部14の左右方向Xにおける端部に位置している。配線収容部14aは、下側部14の+Z側端面から−Z側端面にかけて、上下方向Zに延びている。つまり、配線収容部14aは、下側部14を上下方向Zに横断するように形成されている。
【0037】
図4に示すように、配線収容部14aの左右方向Xにおける幅は、配線7の左右方向Xにおける幅よりも大きい。配線収容部14aの前後方向Yにおける幅(深さ)は、配線7の前後方向Yにおける厚みよりも大きい。配線収容部14aの内側に、配線7の少なくとも一部が位置している。
【0038】
なお、配線収容部14aの前後方向Yにおける幅は、配線7の前後方向Yにおける厚みより小さくてもよい。この場合でも、例えば透明部材10と第2透明板5との間に前後方向Yの隙間を設けて、配線収容部14aと第2透明板5とにより形成される空間に配線7を収容することができる。
【0039】
図3に示すように、囲繞部10aのうち、ディスプレイ6を向く内面10bには薄膜10cが形成されている。なお、内面10bには、右側部11の+X側端面、上側部12の−Z側端面、左側部13の−X側端面、および下側部14の+Z側端面が含まれる。薄膜10cの材質としては、アルミニウムなどの金属が好適である。薄膜10cは、例えば蒸着やメッキなどにより、内面10bの表面に形成することができる。内面10bの表面に薄膜10cによる反射面を形成することで、ディスプレイ6の端面などが、透明部材10を通して視認されにくくなる。なお、コーティング加工に限らず、例えば内面10bを鏡面磨きすることで、内面10b自体に反射面を形成してもよい。
【0040】
透明部材10は、枠状に形成されたフレーム体20の内側に位置している。また、ディスプレイ6は、枠状に形成された透明部材10の内側に位置している。そして、透明部材10およびディスプレイ6は、第1透明板4および第2透明板5によって前後方向Yで挟まれている。
以上の構成により、透明部材10は、フレーム体20、ディスプレイ6、第1透明板4、および第2透明板5により形成された隙間を埋めるように設けられている。
【0041】
図5は、図1に示す状態から第2本体部3をヒンジ25回りに回動させて、第2本体部3と第1本体部2とを重ね合わせた状態を示している。
図5に示すように、第2本体部3と第1本体部2とを重ね合わせたときに、透明領域Aおよびサブディスプレイ2bの位置が互いに一致する。より詳しくは、第1透明板4、透明部材10の下側部14、および第2透明板5が重なり合った部分が、サブディスプレイ2bを覆った状態となる。このため、使用者は、透明領域Aを通して、サブディスプレイ2bを視認することができる。
【0042】
ここで、図1に示すように、第2本体部3にはタッチセンサ3b(第2タッチセンサ)およびタッチセンサ3c(第3タッチセンサ)が設けられている。タッチセンサ3b、3cは、使用者が触れた位置を検出可能に構成されている。また、タッチセンサ3b、3cは透明である。タッチセンサ3b、3cとしては、タッチセンサ2dと同様に、静電容量方式のセンサを用いることができる。
【0043】
タッチセンサ2d、3b、3cとしては、例えば図6(a)、(b)に示すような、静電容量方式のセンサを用いることができる。図6(a)、(b)では、センサは、複数の配線d1、d2を有している。配線d1と配線d2とは絶縁されている。複数の配線d1は、前後方向Yに延びるとともに、左右方向Xに並べて配置されている。複数の配線d2は、左右方向Xに延びるとともに、前後方向Yに並べて配置されている。このように配線d1と配線d2とは、互いに交差(略直交)する方向に延びており、上下方向Zから見て複数の交点を形成している。交点における静電容量は、使用者が触れた際に変化する。このため、静電容量の変化を検出することで、使用者が触れた部位を特定することができる。
【0044】
図6(a)の例では、配線d1および配線d2は直線状に形成されている。配線d1および配線d2としては、極細(例えば幅1〜10μm程度)の銅線のメッシュや、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)のタイルを用いることができる。図6(a)の場合、例えば1つの絶縁体膜の一方の面に複数の配線d1を形成し、他方の面に複数の配線d2を形成してもよい。あるいは、配線d1が形成された絶縁体膜と、配線d2が形成された絶縁体膜と、を重ね合わせてもよい。これらの構成により、配線d1と配線d2とを絶縁しつつ、配線d1と配線d2との間で静電容量を生じさせることができる。図6(a)の構成では、1つのタッチセンサが、複数の配線d1を含む電極層と、複数の配線d2を含む電極層と、の2つの電極層を有する。
【0045】
図6(b)の例では、配線d1および配線d2は、複数の矩形部が連結された形状を有している。配線d1と配線d2との交点において、配線d1の矩形部同士は、ブリッジ配線Bにより接続されている。ブリッジ配線Bと配線d2との間に、絶縁体Iを設けることで、配線d1と配線d2とを絶縁しつつ、配線d1と配線d2との間で静電容量を生じさせることができる。図6(b)の構成では、1つのタッチセンサが、複数の配線d1および複数の配線d2を含む1つの電極層を有する。
【0046】
タッチセンサ3cは、ディスプレイ6を表示面側(−Y側)から見たときに、ディスプレイ6と重なる位置に配置されている。タッチセンサ3cは、第1透明板4(図2参照)の+Y側の表面に設けられている。使用者は、第1透明板4およびタッチセンサ3cを通して、ディスプレイ6を視認可能となっている。このため、使用者は、タッチセンサ3cおよびディスプレイ6を1つのタッチパネルとして用いることができる。この場合、第1透明板4がタッチセンサ3cのカバーガラスとして機能する。つまり、使用者は第1透明板4の表面に触れることで、タッチセンサ3cを操作することができる。
【0047】
タッチセンサ3bは、透明な膜状部材30の一部に構成されている。膜状部材30は、透明なフィルムを有しており、当該フィルムにタッチセンサ3bが形成されている。膜状部材30のフィルムは、ガラスフィルムであってもよいし、プラスチックフィルムであってもよい。膜状部材30は、第2透明板5の−Y側表面(ディスプレイ6の表示面側)の全面にわたって貼り付けられている。これにより、膜状部材30は第2透明板5の全面を覆っている。タッチセンサ3bは、膜状部材30のうち、ディスプレイ6よりも−Z側の部分に位置している。タッチセンサ3bは、透明部材10の下側部14の一部と重なっている。タッチセンサ3bは、透明領域Aの一部に配置されている。
【0048】
図5に示すように、タッチセンサ3bは、第2本体部3が閉状態において、上下方向Zから見たときにサブディスプレイ2bと重なる位置に配置されている。タッチセンサ3bは透明であるため、第2本体部3が閉状態において、タッチセンサ3bを通してサブディスプレイ2bを視認可能となっている。このため使用者は、図8(b)に示すように、タッチセンサ3bおよびサブディスプレイ2bを1つのタッチパネルとして用いることができる。この場合、第2透明板5がタッチセンサ3bのカバーガラスとして機能する。つまり、使用者は第2透明板5の表面に触れることで、タッチセンサ3bを操作することができる。一方、第2本体部3が開状態の場合には、図8(a)に示すように、タッチセンサ2dおよびサブディスプレイ2bを1つのタッチパネルとして用いることができる。つまり、本実施形態の電子機器1では、第2本体部3が開状態であっても閉状態であってもサブディスプレイ2bをタッチパネルとして操作することができる。
【0049】
本実施形態では、タッチセンサ3bとして、図6(a)に示すような静電容量方式のセンサを採用している。以下、タッチセンサ3bのより詳細な構成について、図9を用いて説明する。なお、以下のタッチセンサ3bについての説明は、第2本体部3が閉状態(タッチセンサ3bが左右方向Xおよび前後方向Yに延びた状態)にある場合として説明する。
図9に示すように、タッチセンサ3bは、複数の第1配線31と、複数の第2配線32と、を有している。第1配線31および第2配線32としては、極細(例えば幅10μm以下)の銅線(金属細線)や、透明電極を用いることができる。透明電極の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)を用いることができる。
【0050】
第1配線31と第2配線32とは、互いに絶縁されている。より詳しくは、膜状部材30が有するフィルムは絶縁体により形成されている。そして、当該フィルムのうち第1透明板4側(ディスプレイ6の表示面側)の表面に第1配線31が形成され、第2透明板5側(ディスプレイ6の非表示面側)の表面に第2配線32が形成されている。したがって、第1配線31と第2配線32とは、膜状部材30が有するフィルム(絶縁体)を介して、電気的に絶縁されている。
【0051】
第1配線31は、左右方向Xに延びるとともに、前後方向Yに間隔を空けて配置されている。第2配線32は、前後方向Yに延びるとともに、左右方向Xに間隔を空けて配置されている。このように第1配線31と第2配線32とは、互いに交差するように延びており、上下方向Zから見て複数の交点を形成している。
【0052】
第1配線31には、所定の駆動信号が入力される。駆動信号は、パルス電流(パルス電圧)などである。第1配線31と第2配線32との交点はコンデンサーとして作用するため、第1配線31に入力された駆動信号に応じた出力信号(電流・電圧)が第2配線32に出力される。出力信号は、使用者が第1配線31と第2配線32との交点近傍を触れることによる、当該交点における静電容量の変化に応じて変動する。したがって、第2配線32に出力される出力信号を検出することで、使用者が触れた部位を特定することができる。つまり、第1配線31は駆動信号が入力される入力側電極であり、第2配線32は出力信号が出力される出力側電極である。
【0053】
少なくとも一部の第1配線31は、左右方向Xに延びる直線部31aと、曲げ部31bと、を有している。曲げ部31bは、略直交する方向に曲がっている。より詳しくは、曲げ部31bは、直線部31aの左右方向Xにおける両端部に設けられており、前後方向Yに向けて曲げられている。直線部31aは、第2配線32との間で交点を形成している。曲げ部31bは、第2配線32との間で交点を形成していない。このため、曲げ部31bはタッチセンサとして機能しない。
【0054】
膜状部材30には、グランド部Gが形成されている。グランド部Gはグランド(接地回路)に接続されており、第1配線31よりも第2透明板5に近い位置に配置されている。なお、グランド部Gを、膜状部材30の中の第2配線32と同一の層に形成してもよい。曲げ部31bは、グランド部Gによって覆われている。グランド部Gは、配線31、32と同様に、幅10μm以下の銅線(金属細線)やITOのタイルにより形成され、目視で視認されない。第2透明板5と曲げ部31bとの間に位置するグランド部Gによって、曲げ部31bとグランド部Gとの間で静電容量変化が生じることが抑制される。したがって、例えば第2透明板5のうち曲げ部31bを覆っている部分を使用者が触れたとしても、検出した静電容量変化による誤作動を抑止することができる。
【0055】
第2配線32は、第1配線31よりも第2透明板5側に位置している。第2配線32は、膜状部材30における第2透明板5側の表面に形成されている。第1配線31は、膜状部材30における第1透明板4側の表面に形成されている。なお、例えば第1配線31が形成された絶縁体膜と、第2配線32が形成された絶縁体膜と、を重ね合わせることで1つの膜状部材30を構成してもよい。つまり、膜状部材30は、1つの層により構成されてもよいし、複数の層が重ね合わされることで構成されてもよい。
【0056】
第2配線32の−Y側の端部と、第1配線31の曲げ部31bの−Y側の端部とはそれぞれ、引き出し線33に接続されている。引き出し線33は、透明なタッチセンサとして機能する部分ではないため、視認可能であってもよい。例えば配線31、32が銅細線により構成されている場合、引き出し線33は配線31、32よりも幅の大きい(例えば10μmを超える)銅線であってもよい。図9に示すように、引き出し線33は、ディスプレイ6と重なる部分において集合されて、配線集約部34を構成している。配線集約部34は、不図示のプリント基板またはマザーボードなどに電気的に接続されている。
【0057】
ここで先述の通り、膜状部材30は、第2透明板5の全面にわたって設けられている。また、第1透明板4はディスプレイ6の表示面を覆い、第2透明板5はディスプレイ6の非表示面を覆っている。したがって、図7に示すように、第1透明板4、第2透明板5、および膜状部材30は、ディスプレイ6の表示面側(−Y側)から見て、ディスプレイ6に重なる第1領域P1と、ディスプレイ6に重ならない第2領域P2とを有している。そして、膜状部材30のうち、タッチセンサ3b(タッチセンサ部)が第2領域P2に配置され、配線集約部34が第1領域P1に配置されている。
なお、第2領域P2のうち、第1領域P1よりも−Z側の部分(ヒンジ25に近い部分)にタッチセンサ3bが配置されている。第2領域P2は、透明領域Aの一部を構成している。
【0058】
(作用)
以上説明したように、本実施形態の電子機器1は、ディスプレイ6と、ディスプレイ6を挟む第1透明板4および第2透明板5と、を備えている。また、ディスプレイ6は透明領域Aにより囲われている。このため、ディスプレイ6が宙に浮いているような外観にすることができる。
【0059】
そして、膜状部材30のうち、タッチセンサ部3bは第2領域P2に配置され、配線集約部34は第1領域P1に配置されている。この構成により、ディスプレイ6を表示面側から見たとき、配線集約部34をディスプレイ6の背後に隠して視認されなくすることができる。このように、従来のように配線集約部を有色のベゼルにより隠すのではなく、ディスプレイ6の背後に隠すことで、より確実にディスプレイ6を宙に浮いた外観とすることができる。
【0060】
また、膜状部材30が第2透明板5の全面を覆っているため、膜状部材30の輪郭線が透明領域Aのなかで視認されてしまうことを抑制できる。したがって、ディスプレイ6がより確実に浮いているような外観となり、第2本体部3の外観をより良好にすることができる。さらに、第2透明板5が割れたときに、第2透明板5の破片が飛散することを全面にわたって抑制できる。
【0061】
また、第2透明板5は、少なくとも一部が第1領域P1に重なる有色層5aを有している。これにより、第2本体部3を第2透明板5側(ディスプレイ6の非表示面側)から見たときに、配線集約部34を有色層5aにより隠して、美感をより向上させることができる。なお、有色層5aは配線集約部34のみを隠すように形成されてもよいし、ディスプレイ6の非表示面の全体を隠すように形成されてもよい。
また、膜状部材30のタッチセンサ部3bにおいて、第1配線31は略直交する方向に曲がった曲げ部31bを経由して配線集約部34に電気的に接続されている。この構成により、図9に示すように、配線集約部34に至るまでの引き出し線33の経路も第1領域P1に位置させて、引き出し線33を視認されなくすることができる。
【0062】
また、第1本体部2には、第2本体部3が第1本体部2に重ねられたときに、透明領域Aを通して視認可能なサブディスプレイ2bが設けられている。タッチセンサ3bは、第2本体部3が第1本体部2に重ねられたときに、サブディスプレイ2bに重なる。したがって、使用者は、タッチセンサ3bおよびサブディスプレイ2bを1つのタッチパネルとして操作することができる。
【0063】
また、少なくとも一部の第1配線31には、当該第1配線31が延びる第1方向(左右方向X)の端部において、第1方向に略直交する第2方向(前後方向Y)に曲がった曲げ部31bが形成されている。このため、ディスプレイ6と重なる部分(第1領域P1)で第1配線31と引き出し線33とを接続することが可能となっており、引き出し線33が見えてしまうことが抑えられる。つまり、透明領域Aで引き出し線33の一部が視認されることが抑制され、より確実にディスプレイ6が浮いた外観とすることができる。
【0064】
また、第1配線31および第2配線32を、幅10μm以下の金属細線または透明導電材により構成することで、第1配線31および第2配線32が肉眼で視認されなくすることができる。したがって、透明領域A(第2領域P2)の透明性をより高めることができる。
【0065】
また、曲げ部31bがディスプレイ6の非表示面側(第2透明板5側)からグランド部Gによって覆われている。このため、タッチセンサ3bとして機能しない曲げ部31bと、その近傍の第2配線32との間で静電容量の変化が生じることが抑制される。これにより、第2透明板5のうち曲げ部31bを覆っている部分に使用者が触れたときの、タッチセンサ3bの誤作動を抑制することができる。
【0066】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0067】
例えば、前記実施形態では、第2本体部3と第1本体部2とがヒンジ25回りに回動可能に連結されていたが、第2本体部3と第1本体部2とがスライド移動するように構成されていてもよい。あるいは、第2本体部3が第1本体部2に対して取り外し可能に構成されていてもよい。
これらの場合でも、第2本体部3の閉状態とは、第2本体部3と第1本体部2とが重ね合わされた状態をいい、第2本体部3の開状態とは、第2本体部3が閉状態から所定量以上移動し、サブディスプレイ2bが露出した状態をいう。
【0068】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…電子機器 2…第1本体部 2b…サブディスプレイ 3…第2本体部 4…第1透明板 5 5a…有色層 6…ディスプレイ 3b…タッチセンサ(タッチセンサ部) 25…ヒンジ 30…膜状部材 31…第1配線 31b…曲げ部 32…第2配線 34…配線集約部 G…グランド部 P1…第1領域 P2…第2領域
【要約】
【課題】ディスプレイが宙に浮いているような外観を有する電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、ディスプレイ6と、ディスプレイ6の表示面を覆う第1透明板と、ディスプレイ6の非表示面を覆う第2透明板と、第2透明板とディスプレイ6との間に配置された膜状部材と、を備える。第1透明板、第2透明板、及び膜状部材は、表示面側から見て、ディスプレイ6に重なる第1領域とディスプレイ6に重ならない第2領域とを有する。膜状部材は第2領域に配置されたタッチセンサ部と、第1領域に配置された配線集約部とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9