特許第6613601号(P6613601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ いすゞ自動車株式会社の特許一覧

特許6613601ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法
<>
  • 特許6613601-ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法 図000002
  • 特許6613601-ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法 図000003
  • 特許6613601-ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法 図000004
  • 特許6613601-ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法 図000005
  • 特許6613601-ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613601
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/24 20060101AFI20191125BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20191125BHJP
   F02B 39/16 20060101ALI20191125BHJP
   F01D 17/16 20060101ALI20191125BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   F02B37/24
   F02D23/00 P
   F02B39/16 Z
   F01D17/16 A
   F01D17/16 C
   F01D25/00 Q
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-91017(P2015-91017)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-205329(P2016-205329A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】柏 恭介
(72)【発明者】
【氏名】大村 裕久
(72)【発明者】
【氏名】松田 一宏
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−136945(JP,A)
【文献】 特開2011−220289(JP,A)
【文献】 特開2012−092788(JP,A)
【文献】 特開2009−097472(JP,A)
【文献】 特開2004−293537(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/063359(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
F02B 39/16
F02D 23/00
F01D 17/16
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に搭載されたターボチャージャのタービンの内部に設けられた流路に配置された複数の弁体を駆動する駆動装置と、該駆動装置を制御する制御装置とを備えたターボチャージャの駆動システムにおいて、
前記制御装置を、前記タービンに前記排気ガスが流入しない状態になるたびに、前記駆動装置により複数の前記弁体を、少なくとも一回以上、開閉する停止後開閉制御を行う構成にしたことを特徴とするターボチャージャの駆動システム。
【請求項2】
前記停止後開閉制御を、複数の前記弁体を開く場合には全開まで開き、閉じる場合には全閉まで閉じる制御にした請求項1に記載のターボチャージャの駆動システム。
【請求項3】
前記制御装置を、イグニッションがオフされてから予め設定された時間が経過するまでは、前記停止後開閉制御を行う構成にした請求項1又は2に記載のターボチャージャの駆動システム。
【請求項4】
前記制御装置を、異常によって前記内燃機関が停止した場合には、前記停止後開閉制御を禁止する構成にした請求項1〜3のいずれか1項に記載のターボチャージャの駆動システム。
【請求項5】
前記駆動装置を、前記内燃機関により駆動する油圧ポンプと、該油圧ポンプから供給管を経由して供給された油圧で駆動する油圧式アクチュエータと、該油圧式アクチュエータと連結されて複数の前記弁体を回動する回動部とから構成すると共に、
前記制御装置を、前記内燃機関が停止した後に、前記油圧ポンプ及び前記供給管に残留した油圧で前記油圧式アクチュエータを駆動して、前記停止後開閉制御を行う構成にした請求項1〜4のいずれか1項に記載にターボチャージャの駆動システム。
【請求項6】
前記駆動装置を、バッテリにより駆動する電動式アクチュエータと、該電動式アクチュエータと連結されて複数の前記弁体を回動する回動部とから構成した請求項1〜4のいずれか1項に記載のターボチャージャの駆動システム。
【請求項7】
内燃機関に搭載されたターボチャージャのタービンの内部に設けられた流路に配置された複数の弁体を駆動する方法であって、
前記タービンに前記排気ガスの筒内から排気ガスが流入しない状態になるか否かを判定し、
前記タービンに前記排気ガスの筒内から排気ガスが流入しない状態になると判定するたびに、複数の前記弁体を、少なくとも一回以上、開閉することを特徴とするターボチャージャの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法に関し、より詳細には、異音の発生を抑制しながら、ターボチャージャの弁体の固着を防止するターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンに搭載されているターボチャージャでは、タービンの内部に設けられた流路に複数の弁体が配置されており、その複数の弁体を回動することにより、エンジンの運転状態に応じて流路の有効面積を変化させている。
【0003】
ところが、弁体の開度が長時間に渡って所定角度に維持されると、弁体の可動部にタービンを通過する排気ガスに含有される成分が付着し、弁体の可動部が固着して駆動できなくなるおそれがある。
【0004】
これに関して、エンジンの運転状態がアイドル状態のときに、弁体を強制的に開閉して、弁体の固着を防止する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、エンジンの運転状態がアイドル状態のときには、タービンの内部の流路には排気ガスが通過しており、そのときに弁体を強制的に開閉して、流路の有効面積を変化させると、排気ガスのタービンロータへの流入角及び流速が急激に変化し、これにより、異音が生じてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−265846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その課題は、異音の発生を抑制しながら、ターボチャージャの弁体の固着を防止することができるターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明のターボチャージャの駆動システムは、内燃機関に搭載されたターボチャージャのタービンの内部に設けられた流路に配置された複数の弁体を駆動する駆動装置と、該駆動装置を制御する制御装置とを備えたターボチャージャの駆動システムにおいて、前記制御装置を、前記タービンに前記排気ガスが流入しない状態になるたびに、前記駆動装置により複数の前記弁体を、少なくとも一回以上、開閉する停止後開閉制御を行う構成にしたことを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の課題を解決するための本発明のターボチャージャの駆動方法は、内燃機関に搭載されたターボチャージャのタービンの内部に設けられた流路に配置された複数の弁体を駆動する方法であって、前記タービンに前記排気ガスの筒内から排気ガスが流入しない状態になるか否かを判定し、前記タービンに前記排気ガスの筒内から排気ガスが流入しない状態になると判定するたびに、複数の前記弁体を、少なくとも一回以上、開閉することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法によれば、
内燃機関が停止した後、すなわちタービンに排気ガスが流入しない状態で、ターボチャージャのタービンの内部に設けられた流路に配置された複数の弁体を開閉するので、複数の弁体を開閉してもタービンに流入する排気ガスの流量が急激に変化しないため、異音の発生を回避しながら、弁体の固着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のターボチャージャの駆動システムの第一実施形態を例示する説明図である。
図2図1のタービンにおける駆動装置を例示する説明図であり、複数の弁体が全開した状態を示す。
図3図1のタービンにおける駆動装置を例示する説明図であり、複数の弁体が全閉した状態を示す。
図4】本発明のターボチャージャの駆動方法の実施形態を例示するフローチャートである。
図5】本発明のターボチャージャの駆動システムの第二実施形態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のターボチャージャの駆動システム及びターボチャージャの駆動方法について説明する。図1は、本発明のターボチャージャ12の駆動システム35の第一実施形態の構成を例示している。この駆動システム35は、タービン30の流路33の円周方向に沿って所定間隔で設けられた複数の弁体34を駆動するシステムである。
【0013】
図1に示すように、このエンジン10においては、車両の走行時などにおいて吸入空気が、外部から吸気通路11へ吸入されて、ターボチャージャ12のコンプレッサ13により圧縮されて高温になり、インタークーラー14で冷却されている。その後に、吸気スロットル15により流量が調節されて、インテークマニホールド16を経て筒内17に吸入されている。
【0014】
そして、その吸入空気と、図示しない燃料噴射弁から筒内17に噴射された燃料とが混合されて燃焼して、排気ガスとなってエキゾーストマニホールド18を経由して排気通路19へ排出されている。
【0015】
エキゾーストマニホールド18から排気通路19へ排気された後に、ターボチャージャ12のタービン30を駆動した排気ガスは、排気通路19の上流から下流に向って順に配置された、酸化触媒20、捕集装置21、尿素水噴射弁22、及びSCR触媒23を通過して、各装置で浄化されて大気へと放出されている。また、排気ガスの一部は、EGR通路24に設けられたEGRクーラー25で冷却された後に、EGRバルブ26により吸気通路11に供給されて吸入空気に混合されている。
【0016】
ターボチャージャ12においては、コンプレッサ13とタービン30とがベアリングハウジング27により連結されて、コンプレッサ13のインペラ28とタービン30のタービンロータ31とがシャフト29により直結されており、インペラ28がタービンロータ31に連動して駆動している。
【0017】
図2及び図3は、タービン30の構成を例示した図であり、図2は、エンジン10の運転状態が高負荷、高回転の場合を示し、図3は、エンジン10の運転状態が低負荷、低回転の場合を示す。
【0018】
タービンハウジング32の入口から流入した排気ガスは、タービンロータ31の外周に
配置された渦巻状の流路33から、流路33の円周方向に沿って所定間隔で設けられた複数の弁体34により流入角と流速(容量)とが調節されてタービンロータ31に流入して、タービンロータ31を駆動している。
【0019】
そして、弁体34は駆動システム35によって、エンジン10の運転状態が高負荷、高回転の場合には、流路33からタービンロータ31への有効面積が大きくなるように制御され、一方、エンジン10の運転状態が低負荷、低回転の場合には、流路33からタービンロータ31への有効面積が小さくなるように制御されている。
【0020】
なお、複数の弁体34においては、図2の開度及び図3の開度以外にも、エンジン10の運転状態に応じて、より細かく開度を調整できる構成としてもよい。
【0021】
駆動システム35は、駆動装置40と制御装置50とを備えており、制御装置50がエンジン10の運転状態に応じて駆動装置40を制御し、この駆動装置40が複数の弁体34を駆動する。
【0022】
この駆動装置40においては、エンジン10の駆動軸41により駆動する油圧ポンプ42から吐出された作動油が、作動油通路43を経由して油圧式アクチュエータ44に流入すること、及び油圧式アクチュエータ44から作動油通路43に吐出することで、油圧式アクチュエータ44を伸縮している。この油圧式アクチュエータ44の伸縮により回動部45を駆動して複数の弁体34を回動している。
【0023】
回動部45においては、クランク軸46が所定角度回転することに伴ってクランクレバー47が回動して、角度調整リング48が所定角度回転する。これにより、リンクプレート49を介して複数の弁体34の開度が調整され、流路33からタービンロータ31に流入する排気ガスの流入角と流速が調整される。これにより、タービンロータ31の回転速度が変化する。
【0024】
このターボチャージャ12においては、弁体34の開度が長時間に渡って所定角度に維持されると、弁体34の可動部にタービン30を通過する排気ガスに含有される成分が付着し、弁体34の可動部が固着して駆動できなくなるという問題がある。また、弁体34を強制的に開閉して弁体34の固着を防止する際に、タービン30に排気ガスが流入すると、排気ガスのタービンロータ31への流入角及び流速が急激に変化するので、異音が生じるという問題がある。
【0025】
そこで、本発明のターボチャージャ12の駆動システム35においては、作動油の油圧式アクチュエータ44へ流入と油圧式アクチュエータ44からの吐出とを制御する制御装置50を、エンジン10が停止した後に、駆動装置40により複数の弁体34を、少なくとも一回以上、開閉する停止後開閉制御を行う構成にした。
【0026】
この制御装置50は、エンジン10の図示しない燃料噴射弁の制御などを行うエンジン制御装置51に組み込まれ、エンジン制御装置51からの燃料噴射弁の制御状況、エンジン回転数センサ52の検出したエンジン回転数、及び速度センサ53の検出した車速に基づいて、複数の弁体34の通常開閉制御と停止後開閉制御とを行っている。
【0027】
通常開閉制御は、前述したとおりに、複数の弁体34の開度を駆動装置40によりエンジン10の運転状態に基づいた開度、すなわち、エンジン10の運転状態が高負荷、高回転の場合には、流路33からタービンロータ31への有効面積が大きくなる開度にし、一方、エンジン10の運転状態が低負荷、低回転の場合には、流路33からタービンロータ31への有効面積が小さくなる開度にする制御である。
【0028】
停止後開閉制御は、エンジン10の停止後に、複数の弁体34の開度を駆動装置40により少なくとも一回以上、図2に示す開度と図3に示す開度とにする制御である。
【0029】
この停止後開閉制御においては、複数の弁体34を少なくとも一回以上、開閉すればよいが、エンジン10の停止後に、複数の弁体34を複数回、開閉することが好ましい。エンジン10が停止すると、油圧ポンプ42の駆動も停止する。そこで、作動油通路43を、通路長や通路径を調節して、エンジン10の停止後に複数の弁体34を複数回、開閉可能な油圧を確保する通路に形成するとよい。このように構成することで、エンジン10が停止した後に、油圧ポンプ42及び作動油通路43に残留した油圧を油圧式アクチュエータ44に導入して、その残留した油圧分で油圧式アクチュエータ44を複数回、伸縮させて、複数の弁体34を複数回、開閉することができる。
【0030】
また、複数の弁体34を開く場合には、全開まで開き、閉じる場合には、全閉まで閉じることが好ましい。エンジン10の停止後に、複数の弁体34を複数回、全開まで開くこと、及び全閉まで閉じることにより、複数の弁体34の稼動部に付着した排気ガスの成分を振り落として、確実に弁体34の固着を防止できる。なお、この実施形態のタービン30の弁体34は、図2の開度が全開の開度であり、図3の開度が全閉の開度となるが、全閉の開度が隣接する弁体34同士が接触する状態にするものについては、その状態まで閉じるようにする。
【0031】
ここでいうエンジン10の停止とは、エンジン10の筒内17からタービン30に排気ガスが流入しない状態であり、エンジン10の駆動軸41が駆動していない状態であることが好ましい。例えば、燃料噴射弁から燃料の噴射を停止し、図示しない変速機をニュートラルにした状態で走行する惰性走行時には、駆動軸41が回転して、筒内17から吸入空気が排気通路19に排出され、その排出された吸入空気がタービン30に流入する。従って、そのような状態においては、駆動装置40により複数の弁体34を開閉せずに、駆動軸41が駆動していない状態で停止後開閉制御を行うことにより、効果的に異音の発生を抑制できる。
【0032】
従って、制御装置50においては、燃料噴射弁からの燃料の噴射が停止されると共に、エンジン回転数及び車速がゼロになったときに、エンジン10が停止したと判定して、開閉制御を行うように構成されることが好ましい。
【0033】
このように、燃料噴射弁からの燃料の噴射が停止されると共に、エンジン回転数及び車速がゼロになったときに、エンジン10が停止したと判定することで、異常によってエンジン10が停止した場合には、停止後開閉制御を禁止することができる。
【0034】
なお、ここでいう異常によるエンジン10の停止には、例えば、捕集装置21の再生制御中のエンジン10の停止を例示できる。捕集装置21の再生制御中においては、筒内17から高温の排気ガスが排出されている状態であり、タービン30にもその高温の排気ガスが流入している。このとき、再生制御中の異常によりエンジン10が停止した場合に、停止後開閉制御を行うと、高温の排気ガスが流入しているため異音が生じてしまう。
【0035】
しかし、異常によるエンジン10の停止後には、停止後開閉制御を禁止することで、すなわち燃料噴射弁からの燃料の噴射が停止されると共に、エンジン回転数及び車速がゼロになったときに停止後開閉制御を行うようにすることで、タービン30に排気ガスが流入する状況では停止後開閉制御を行わずに、タービン30に排気ガスが完全に流入しなくなった状況で、停止後開閉制御を行うようにすることで、複数の弁体34の開閉による異音の発生を確実に回避できる。
【0036】
次に、駆動システム35の動作について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。この図4に示す本発明のターボチャージャ12の駆動方法は、エンジン10が停止した後に、複数の弁体34を、少なくとも一回以上、開閉する方法である。
【0037】
まず、ステップS10では、エンジン10が停止したか否かを判定する。このステップS10においては、燃料の噴射が停止し、エンジン回転数がゼロになり、更に、車速がゼロになった場合にエンジン10が停止したと判定する。このステップS10で、エンジン10が停止していないと判定した場合には、ステップS20へ進み、ステップS20では、複数の弁体34は、エンジン10の運転状態に応じて通常開閉制御を行う。そして、スタートへと戻る。
【0038】
一方、このステップS10で、エンジン10が停止したと判定した場合には、ステップS30へ進む。次いで、ステップS30では、停止開閉制御を行う。このステップS30においては、エンジン10の停止に伴って、油圧ポンプ42も停止しているが、油圧ポンプ42及び作動油通路43に残留している油圧を、制御装置50が油圧式アクチュエータ44に導入して、油圧式アクチュエータ44を伸縮駆動して、複数の弁体34を複数回、開閉する。そして、この駆動方法は完了する。
【0039】
上記のターボチャージャの駆動システム35及びターボチャージャの駆動方法によれば、エンジン10が停止した後、すなわちタービン30に排気ガスが流入しない状態で、複数の弁体34を開閉するので、複数の弁体34を開閉してもタービン30に流入する排気ガスの流量が急激に変化しないため、異音の発生を回避しながら、複数の弁体34の固着を防止することができる。
【0040】
また、上記のターボチャージャ12の駆動システム35においては、制御装置50を、エンジン10が停止した直後に、イグニッションセンサ54によりイグニッションのオフが検出されてからも予め設定された時間Δtが経過するまでは、停止後開閉制御を行う構成にすることが望ましい。なお、この時間Δtとしては、例えば、数秒から数十秒の時間を例示できる。
【0041】
このように、イグニッションがオフになってからも時間Δtが経過するまでは、制御装置50が停止後開閉制御を行うことで、エンジン10が停止した直後にイグニッションがオフになる場合でも、複数の弁体34を駆動装置40により回動することができるので、複数の弁体34の固着を確実に防止することができる。
【0042】
図5は、本発明のターボチャージャ12の駆動システム35の第二実施形態の構成を例示している。この第二実施形態の駆動装置60においては、第一実施形態の油圧ポンプ42及び作動油通路43により供給された作動油が油圧式アクチュエータ44を伸縮する構成に代えて、駆動軸41から無端状のベルトを有した動力伝達機構61により動力が伝達された発電機62によって発電され、インバータ63を経由してバッテリ64に蓄えられた電力が、インバータ63を経由して電動式アクチュエータ65に供給されて、電動式アクチュエータ65を伸縮する構成にしている。
【0043】
この構成においても、前述した通り、エンジン10が停止した後に、複数の弁体34を開閉するので、異音の発生を回避しながら、複数の弁体34の固着を防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 エンジン
12 ターボチャージャ
13 コンプレッサ
30 タービン
31 タービンロータ
33 流路
34 弁体
40 駆動装置
50 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5