(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。
【0018】
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、
図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
【0019】
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4における窓部4aの上方には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
【0020】
さらに、前面枠4の下部には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右部には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左方にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
【0021】
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(
図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。上皿部5の左部にはスピーカー5yが設けられている。また、上皿5の前面側には演出ボタンBTが設けられており、遊技者によって演出ボタンBTが操作されると、その操作に応じた遊技演出が行われる。
【0022】
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モーターが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
【0023】
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12(
図5参照)から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
【0024】
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上では、識別図柄や背景画像などの種々の演出図柄を変動表示した後に停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の表示画面上で表示される各種の演出図柄については後述する。
【0025】
遊技領域11において中央装置26(演出表示装置27)の下方(演出表示装置27の左方を流下する遊技球が入球可能な位置、第1領域)には、遊技球が入球する開口部の大きさが不変(一定)で遊技球が常時入球可能な入球口(始動口)である第1始動口16が設けられている。第1始動口16に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口16の内部の通路には第1始動口スイッチ16s(
図5参照)が設けられており、第1始動口16に入球した遊技球を検知可能である。
【0026】
また、遊技領域11において中央装置26(演出表示装置27)の右方(演出表示装置27の右方を流下する遊技球が入球可能な位置、第2領域)には、普通図柄作動ゲート36(所定の始動領域)が設けられており、普通図柄作動ゲート36の内部には、遊技球の通過を検知する作動ゲートスイッチ36sが設けられている(
図5参照)。
【0027】
また、遊技領域11において中央装置26(演出表示装置27)の右方(演出表示装置27の右方を流下する遊技球が入球可能な位置、第2領域)には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口17が設けられている。つまり、第2始動口17は、左右に開閉可能な一対の翼片部17wや、翼片部17wを動作させる始動口ソレノイド17m(
図5参照)などを備えており、翼片部17wの開閉によって遊技球の入球可能性が変化する。具体的には、一対の翼片部17wは、ほぼ直立した閉鎖状態と、外側に向かって回転した開放状態との2つの状態に変化可能である。閉鎖状態は遊技球が第2始動口17に入球することができない(または困難な)状態であり、開放状態は第2始動口17に遊技球が入球し得る(または容易な)状態である。第2始動口17に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第2始動口17の内部の通路には第2始動口スイッチ17s(
図5参照)が設けられており、第2始動口17に入球した遊技球を検知可能である。
【0028】
また、遊技領域11において第2始動口17(演出表示装置27)の下方(演出表示装置27の右方を流下する遊技球が入球可能な位置、第2領域)には、略長方形状に大きく開放する大入賞口31d(可変入球口)が設けられている。そして、この大入賞口31dには、当該大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31d(
図5参照)が設けられている。大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31s(
図5参照)が設けられており、大入賞口31dに入球した遊技球を検知することが可能である。
【0029】
また、遊技領域11の最下部には、アウト口48が設けられ、そのアウト口48の下方にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。尚、遊技領域11において、上述した各遊技装置の周辺には、ランプ風車24や多数の障害釘23が設けられている。
【0030】
遊技盤10の表面(盤面)の左下部であって、外レール14の外側(遊技領域11の外側)には、主情報表示部7が設けられている。この主情報表示部7は、前面枠4の窓部4a(ガラス板等の透明板)を通じて外部(遊技者側)から視認可能となっている。本実施例の主情報表示部7には、
図3に示すように、第1図柄表示装置28および第2図柄表示装置32が設けられている。これらのうち、第1図柄表示装置28では普通図柄や第1特別図柄(識別情報)を変動表示することが可能となっており、第2図柄表示装置32では第2特別図柄(識別情報)を変動表示することが可能となっている。尚、以下では、第1特別図柄を単に「第1特図」と略記し、第2特別図柄を単に「第2特図」と略記することがあるものとする。
【0031】
第1図柄表示装置28は、略矩形の領域内に16個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら16個のLEDのうち、5個のLEDが普通図柄表示部29を構成しており、残りの11個のLEDは第1特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(普通図柄LED29a)と、普通図柄の保留数を表示するための4個のLED(普図保留表示LED29b)とから構成されている。また、第1特別図柄表示部30は、第1特図を表示するための7個のLED(第1特別図柄LED30a)と、第1特図の保留数を表示するための4個のLED(第1特図保留表示LED30b)とから構成されている。尚、以下では、第1特図の保留を「第1特図保留」とも称し、第1特図の保留数を「第1特図保留数」とも称する。
【0032】
また、第2図柄表示装置32は、上述した第1図柄表示装置28に対して普通図柄表示部29を取り除いた構成となっている。すなわち、第2図柄表示装置32には、11個のLEDから構成される第2特別図柄表示部33が設けられており、そのほぼ中央に設けられた7個のLEDは、第2特図を表示するためのLED(第2特別図柄LED33a)であり、残りの4個のLEDは、第2特図の保留数を表示するためのLED(第2特図保留表示LED33b)である。尚、以下では、第2特図の保留を「第2特図保留」とも称し、第2特図の保留数を「第2特図保留数」とも称する。また、特に区別する必要がない場合は「第1特図保留」と「第2特図保留」とを、まとめて単に「特図保留」とも称する。
【0033】
図4は、本実施例のパチンコ機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は液晶表示器を用いて構成されており、その表示画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27c(識別情報)と、その背景の背景画像27dが表示されている。3つの識別図柄27a,27b,27cは、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33における特別図柄(識別情報)の変動表示の開始タイミングと同期して変動表示を開始し、その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で変動表示を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示が終了する。
【0034】
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。
図5は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出図柄やランプ,効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で画像の表示や音声の出力を行う画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御の下で各種LED,ランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0035】
主制御基板200は、第1始動口スイッチ16sや、第2始動口スイッチ17s、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったスイッチに応じて定められる各種動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17に設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、主情報表示部7(第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32)などが中継端子板(図示略)を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、主情報表示部7に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
【0036】
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228が接続されている。サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して表示内容および音声内容を指定するコマンドを送信したり、装飾駆動基板226に各種LED、ランプ4b〜4fの駆動信号を送信したりすることにより、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220は、演出ボタン基板228を介して演出ボタンBTに対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する遊技演出を行う。
【0037】
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用するデータ(例えば、演出図柄やキャラクター画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成して、演出表示装置27の表示画面に出力する。また、CPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出して、該音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介してスピーカー5yから出力する。
【0038】
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板(図示略)を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータを通信しながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払い出しを指示する払出コマンドを送信すると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モーター109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
【0039】
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。まず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、
図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
【0040】
そして、演出表示装置27の左方を流下するように打ち出された遊技球が第1始動口16に入球し、その入球した遊技球が第1始動口スイッチ16sにより検知されると、第1特図を後述する大当り図柄、外れ図柄の何れで停止表示させるか(後述の図柄変動遊技の結果が大当り、外れの何れであるか)を判定する大当り判定が行われ、第1図柄表示装置28の第1特別図柄表示部30で第1特図の変動表示が開始される。尚、以下では、演出表示装置27の左方を流下するように遊技球を打ち出すことを「左打ち」とも表現する。
【0041】
また、演出表示装置27の右方を流下するように打ち出された遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過すると、第1図柄表示装置28の普通図柄表示部29において普通図柄の変動表示が開始される。
図3を用いて前述したように、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されており、このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う(点灯、消灯を繰り返す)。そして、普通図柄が当り図柄で停止表示すると第2始動口17を開放状態とする普図当り遊技が開始される。尚、以下では、演出表示装置27の右方を流下するように遊技球を打ち出すことを「右打ち」とも表現する。
【0042】
普通図柄(第3識別情報)が当り図柄(第3特定態様)で停止表示することで開放状態となった第2始動口17に、右打ちされた遊技球が入球し、その入球した遊技球が第2始動口スイッチ17sにより検知されると、第2特図を大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れで停止表示させるか(後述の図柄変動遊技の結果が大当り、小当り、外れの何れであるか)を判定する大当り判定が行われ、第2図柄表示装置32の第2特別図柄表示部33で第2特図の変動表示が開始される。
【0043】
図3を用いて前述したように、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33は、何れも同様な構成をしているので、第1特図も第2特図も同様の態様で変動表示を行う。すなわち、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33では、それぞれ7個のLED(第1特別図柄LED30aおよび第2特別図柄LED33a)を所定の変動時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行う。そして、その変動時間が経過すると、所定の組合せのLEDを点灯させることで、大当り判定の結果に対応する図柄(大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れか)を停止表示する。続いて、停止表示された図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。
【0044】
第1特図または第2特図が変動表示を経て所定の大当り図柄(第1特定態様)で停止表示されると、大入賞口31dが開放状態となる大当り遊技(第1特定遊技)が開始される。大当り遊技中は、大入賞口31dに遊技球が入球することに基づいて所定数の遊技球(賞球)が払い出される。また、第2特図が変動表示を経て所定の小当り図柄(第2特定態様)で停止表示されると、大入賞口31dが開放状態となる小当り遊技(第2特定遊技)が開始される。小当り遊技中も、大入賞口31dに遊技球が入球することに基づいて所定数の遊技球(賞球)が払い出される。小当り遊技中は、大当り遊技中と比較して大入賞口31dが短時間しか開放状態とならないので、大当り遊技中より遊技者に払い出される遊技球は少ないものとなる。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1特図が小当り図柄で停止表示されること(第1特図についての大当り判定結果が小当りとなること)はない。
【0045】
以下では、特別図柄(識別情報)が変動表示を開始してから、所定の変動時間の経過後に当該変動表示が終了して、特別図柄が大当り図柄(第1特定態様)、小当り図柄(第2特定態様)、外れ図柄(非特定態様)の何れかで確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
【0046】
第1始動口16への遊技球の入球は、該入球を契機とする第1特図の変動表示が開始されるまで、第1特図の保留(第1特図保留)としてRAM203に記憶される。第1特図保留は最大4個まで記憶可能となっており、第1特図保留の個数(第1特図保留数)については、第1特図保留表示LED30bに表示される。
【0047】
これに対して、第2始動口17への遊技球の入球は、該入球を契機とする第2特図の変動表示が開始されるまで、第2特図の保留(第2特図保留)としてRAM203に記憶される。第2特図保留も最大4個まで記憶可能となっており、第2特図保留の個数(第2特図保留数)については、第2特図保留表示LED33bに表示される。
【0048】
第1特図あるいは第2特図の図柄変動遊技に合わせて、演出表示装置27では演出図柄(識別図柄27a,27b,27cなど)を用いた各種の演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。
図6は、演出表示装置27で行われる図柄変動演出の一態様を例示した説明図である。演出表示装置27を構成する液晶表示器の表示画面には、左識別図柄27aが表示される左図柄表示領域と、中識別図柄27bが表示される中図柄表示領域と、右識別図柄27cが表示される右図柄表示領域とが形成され、これらの表示領域を用いて3つの識別図柄27a,27b,27cが表示される。第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
【0049】
図6(a)には、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次に、右識別図柄27cが停止表示され、最後に中識別図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの識別図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で停止表示される特別図柄(第1特図あるいは第2特図)の停止表示態様と連動するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が「大当り図柄」で停止表示される場合は、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cが同じ図柄となる図柄組合せ(ゾロ目)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(バラケ目)で停止表示される。また、第2特図が「小当り図柄」で停止表示される場合は、「特殊な識別図柄」が表示される。例えば、「1」〜「9」とは異なるキャラクターを示す識別図柄が表示されたり、特別図柄が「外れ図柄」で停止表示される場合には停止表示されない特殊なバラケ目(「1」−「2」−「3」の図柄組合せ等)が停止表示されたりする。尚、停止表示された識別図柄27a、27b、27cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
【0050】
このように、第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの識別図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の第1特別図柄あるいは第2特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄27a,27b,27cも停止表示するようになっている。しかも、
図2に示すように、演出表示装置27は、第1図柄表示装置28や第2図柄表示装置32よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら図柄変動遊技を行わせることが通常である。従って、
図6(b)に示すように、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄27aと、続いて停止表示される右識別図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄27bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて最後の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
【0051】
C.遊技制御処理 :
図7は、主制御基板200に搭載されたCPU201(遊技制御手段)が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。
【0052】
遊技制御処理は、主制御基板200のCPU201によって、所定周期毎(例えば4msec毎)に発生するタイマ割り込みに基づき行われる。そして、遊技制御処理中に、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
【0053】
図7に示すように、主制御基板200のCPU201は遊技制御処理を開始すると先ず、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S10)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ16sや、第1始動口スイッチ17s、大入賞口スイッチ31s等)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球の入賞に関わるスイッチが遊技球を検知した場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって該賞球数の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された払出コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置(図示せず)に搭載された払出モーター109mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
【0054】
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、
図7に示すように「普図保留関連処理(S50)」「普通図柄遊技処理(S100)」「普図当り遊技処理(S200)」「特図保留関連処理(S250)」「特別図柄遊技処理(S300)」「小当り遊技処理(S500)」「大当り遊技処理(S600)」を行う。これらの処理のうち、「普図保留関連処理(S50)」「普通図柄遊技処理(S100)」「普図当り遊技処理(S200)」は「普通図柄に係る処理」であり、「特図保留関連処理(S250)」「特別図柄遊技処理(S300)」「小当り遊技処理(S500)」「大当り遊技処理(S600)」は「特別図柄に係る処理」である。本実施例のパチンコ機1は、特に「普通図柄に係る処理」に特徴を有するので、以下では、「特別図柄に係る処理」について先ず説明した後、「普通図柄に係る処理」について説明する。
【0055】
<<特別図柄に係る処理>>
C−1.特図保留関連処理 :
図8は、特図保留関連処理(
図7のS250)を示すフローチャートであり、この処理では、特図保留の記憶に係る処理が行われる。主制御基板200のCPU201は、特図保留関連処理を開始すると先ず、第1始動口16に遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。その結果、第1始動口16に遊技球が入球した場合は(S252:yes)、第1特図の保留数(第1特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S254)。そして、第1特図保留数が上限値に達していなければ(S254:no)、判定乱数(取得情報)を取得する(S256)。ここで、判定乱数(取得情報)としては、図柄変動遊技の内容を決定するための乱数、すなわち、大当り判定を行うために用いられる大当り判定乱数や、第1図柄表示装置28(第2始動口17に遊技球が入球した場合は第2図柄表示装置32)で停止表示する図柄を決定するために用いられる図柄決定乱数、図柄が停止表示するまでの変動パターンを決定するために用いられる変動パターン決定乱数などの乱数を取得する。続いて、取得した判定乱数の値を示す情報(取得情報)を、主制御基板200に搭載されたRAM203(取得情報記憶手段)に第1特図保留として記憶する(S258)。こうして第1特図保留を記憶したら(S258)、第1特図保留数に「1」を加算する(S260)。続いて、今回記憶した第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)の態様(大当り判定の結果や変動パターンなど)を判定する(S262)。この判定は、今回記憶した第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示を開始するための条件(変動開始条件)が成立する前に行われることから、事前判定と称される。
【0056】
こうして、今回記憶した第1特図保留について事前判定を行ったら(S262)、第1保留記憶コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S264)。第1保留記憶コマンドには、第1特図保留が記憶されたことを示す情報、今回記憶した第1特図保留を含む現在の第1特図保留数を示す情報に加えて、今回記憶した第1特図保留についての事前判定の結果が含まれている。サブ制御基板220のCPU221は、第1保留記憶コマンドに基づく態様で種々の演出を実行する。
【0057】
尚、第1保留記憶コマンドに含まれる各種情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。また、第1始動口16に遊技球が入球していない場合や(S252:no)、第1特図保留数が上限値(ここでは「4」)に達していた場合は(S254:yes)、S256〜S264の処理は省略する。
【0058】
以上のようにして、第1特図保留に関する処理を終了したら、続いて第2特図保留に関する処理を開始する。第2特図保留に関する処理は、第1始動口16に対して行った上述の第1特図保留に関する処理を、第2始動口17に対して行う処理である。以下、簡単に説明すると、先ず初めに、第2始動口17に遊技球が入球したか否かを判断し(S272)、第2始動口17に遊技球が入球していれば(S272:yes)、第2特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S274)。その結果、第2特図保留数が上限値に達していなければ(S274:no)、取得情報としての判定乱数(大当り判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数など)を取得して(S276)、取得した判定乱数の値を示す情報を、主制御基板200に搭載されたRAM203(取得情報記憶手段)に第2特図保留として記憶する(S278)。そして、第2特図保留数に「1」を加算する(S280)。続いて、今回記憶した第2特図保留(取得情報)に基づく特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)の態様(大当り判定の結果や変動パターンなど)を判定する(S282)。この判定も、今回記憶した第2特図保留に基づく特別図柄の変動表示を開始するための条件(変動開始条件)が成立する前に行われることから、事前判定と称される。
【0059】
こうして、今回記憶した第2特図保留について事前判定を行ったら(S282)、第2保留記憶コマンドを主制御基板200からサブ制御基板220に向かって送信する(S284)。第2保留記憶コマンドには、第2特図保留が記憶されたことを示す情報、今回記憶した第2特図保留を含む現在の第2特図保留数を示す情報に加えて、今回記憶した第2特図保留についての事前判定の結果が含まれている。サブ制御基板220のCPU221は、第1保留記憶コマンドに基づく態様で種々の演出を実行する。
【0060】
尚、第2保留記憶コマンドに含まれる各情報を、それぞれ別のコマンドで送信するようにしてもよい。また、第2始動口17に遊技球が入球していない場合や(S272:no)、第2特図保留数が上限値(ここでは「4」)に達していた場合は(S274:yes)、S276〜S284の処理は省略する。
【0061】
以上のようにして、第1特図保留および第2特図保留に関する処理を終了したら、
図8に示した特図保留関連処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。そして、特図保留関連処理から復帰すると、遊技制御処理では、以下に説明する特別図柄遊技処理(S300)を開始する。
【0062】
C−2.特別図柄遊技処理 :
図9および
図10は、本実施例の特別図柄遊技処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を開始すると先ず、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S302)。大当りフラグとは、大当り遊技が実行されている(大当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが大当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、大当りフラグの設定状態に応じて、大当り遊技中であるか否かを判断する。
【0063】
その結果、大当りフラグがONに設定されている場合、すなわち、大当り遊技中である場合は(S302:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。これに対して、大当り遊技中ではなかった場合は(S302:no)、続いて、小当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S304)。小当りフラグとは、小当り遊技が実行されている(小当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが小当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、小当りフラグの設定状態に応じて、小当り遊技中であるか否かを判断する。
【0064】
その結果、小当りフラグがONに設定されている場合、すなわち、小当り遊技中である場合も(S304:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。
【0065】
一方、大当り遊技中および小当り遊技中の何れでもない場合は(S302:no、S304:no)、第1特図または第2特図が変動表示中であるか否かを判断する(S306)。そして、第1特図および第2特図の何れも変動表示中でない場合は(S306:no)、第1特図または第2特図が確定表示中であるか否かを判断する(S308)。前述したように、第1特図および第2特図の何れであっても、変動表示が終了してから所定の時間が経過するまでは、変動表示の終了に伴い停止表示された特別図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を維持する表示(確定表示)を行う。S308の処理では、この「確定表示」の実行中であるか否かが判断される。その結果、第1特図および第2特図が変動表示中および確定表示中の何れでもない場合は(S306:no、S308:no)、次回の特別図柄の変動表示を開始するための処理(特図変動開始処理)を開始する(S310)。
【0066】
図11および
図12は特図変動開始処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特図変動開始処理を開始すると先ず、第2特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S400)。その結果、第2特図保留数が「0」でなければ(第2特図保留数≧1)(S400:no)、記憶されている第2特図保留の中から最も古くに記憶された第2特図保留を読み出す(S402)。このS402の処理では、第2特図保留として記憶されている各種の判定乱数を読み出す。
【0067】
これに対して、第2特図保留数が「0」である場合は(S400:yes)、第1特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S404)。その結果、第1特図保留数が「0」でなければ(第1特図保留数≧1)(S404:no)、記憶されている第1特図保留の中から最も古くに記憶された第1特図保留を読み出す(S406)。このS406の処理では、第1特図保留として記憶されている各種の判定乱数を読み出す。これに対して、第1特図保留数が「0」である場合は(S404:yes)、既に第2特図保留数も「0」と判断されていることから、第1特図保留および第2特図保留の何れも記憶されていないと判断されるので、後述の大当り判定や第1特図あるいは第2特図の変動表示を開始する必要はない。そこで、
図11および
図12の特図変動開始処理を終了して、
図9および
図10に示す特別図柄遊技処理に復帰する。
【0068】
尚、上述したように特図変動開始処理では、先ず初めに第2特図保留が記憶されているか否かを判断し(S400)、第2特図保留が記憶されてない場合にだけ(S400:yes)、第1特図保留が記憶されているか否かを判断している(S404)。従って、第1特図保留と第2特図保留とが両方とも記憶されている場合には、常に第2特図保留が第1特図保留に優先して読み出されることとなり(第2特図保留を優先消化することとなり)、第1特図保留が読み出されるのは、第2特図保留が記憶されていない場合に限られる。
【0069】
以上のようにして、第1特図保留または第2特図保留の何れかを読み出したら(S402またはS406)、大当り判定テーブルを選択し(S410)、該大当り判定テーブルを参照して大当り判定を行う(S414)。ここで、本実施例のパチンコ機1の遊技状態は、低確率状態(第1遊技状態)または高確率状態(第2遊技状態)の何れかに設定される。大当り判定を行う際に参照される大当り判定テーブルは、このような遊技状態(低確率状態か高確率状態か)と、大当り判定の対象となる特図保留(第1特図保留か第2特図保留か)とに応じて選択される。
【0070】
図13は、本実施例の大当り判定テーブルを概念的に示す説明図である。
図13(a)には、低確率状態にて第1特図保留についての大当り判定が行われる場合に参照される大当り判定テーブル(第1特図低確率用の大当り判定テーブル)が示されており、
図13(b)には、高確率状態にて第1特図保留についての大当り判定が行われる場合に参照される大当り判定テーブル(第1特図高確率用の大当り判定テーブル)が示されている。
図13(a)に示すように、第1特図低確率用の大当り判定テーブルでは、65536個の乱数(0〜65535)のうち219個の乱数(0〜218)に「大当り」が設定されている。従って、低確率状態にて第1特図保留について大当り判定が行われる場合は、約299分の1の確率で大当りと判定される。また、
図13(b)に示すように、第1特図高確率用の大当り判定テーブルでは、65536個(0〜65535)の乱数のうち1310個の乱数(0〜1309)に「大当り」が設定されている。従って、高確率状態にて第1特図保留について大当り判定が行われる場合は、約50分の1の確率で大当りと判定される。すなわち、第1特図保留について大当り判定が行われる場合は、高確率状態の方が低確率状態よりも高い確率で大当りと判定されることとなる。
【0071】
以上は、第1特図保留について大当り判定が行われる場合に参照される大当り判定テーブルについて説明した。これに対して、
図13(c)には、低確率状態にて第2特図保留についての大当り判定が行われる場合に参照される大当り判定テーブル(第2特図低確率用の大当り判定テーブル)が示されており、
図13(d)には、高確率状態にて第2特図保留についての大当り判定が行われる場合に参照される大当り判定テーブル(第2特図高確率用の大当り判定テーブル)が示されている。
図13(c)に示すように、第2特図低確率用の大当り判定テーブルでは、65536個の乱数(0〜65535)のうち219個の乱数(0〜218)に「大当り」が設定されている。従って、低確率状態にて第2特図保留について大当り判定が行われる場合は、約299分の1の確率で大当りと判定される。また、
図13(d)に示すように、第1特図高確率用の大当り判定テーブルでは、65536個(0〜65535)の乱数のうち1310個の乱数(0〜1309)に「大当り」が設定されている。従って、高確率状態にて第2特図保留について大当り判定が行われる場合は、約50分の1の確率で大当りと判定される。すなわち、第2特図保留について大当り判定が行われる場合も、高確率状態の方が低確率状態よりも高い確率で大当りと判定されることとなる。
【0072】
また、
図13(c)(d)に示すように、第2特図保留について大当り判定が行われる場合に参照される大当り判定テーブルにおいて、65536個の乱数のうち6554個の乱数には、「小当り」が設定されている。従って、第2特図保留について大当り判定が行われる場合は、約10分の1の確率で小当りと判定される。
【0073】
こうして、大当り判定を行ったら(
図12のS414)、該大当り判定の結果が「大当り」であるか否かを判断する(S420)。その結果、大当り判定の結果が「大当り」である場合には(S420:yes)、今回の図柄変動遊技で停止表示する大当り図柄を選択するための処理(大当り図柄選択処理)を行う(S422)。ここで、本実施例のパチンコ機1では、100種類の大当り図柄1〜100(第1特定結果)と、25種類の小当り図柄101〜125(第2特定結果)と、1種類の外れ図柄126(非特定結果)とが、予めROM202の所定アドレスに記憶されている。S422の大当り図柄選択処理では、100種類の大当り図柄1〜100の中から、大当り図柄決定テーブル(図示省略)を参照して、1つの大当り図柄を選択する。すなわち、大当り図柄決定テーブルには、図柄決定乱数として「0〜99」の100個の値が設定され、この図柄決定乱数の各値に対して大当り図柄1〜100が設定されている。そして、特図保留として読み出した判定乱数のうち図柄決定乱数に対応する大当り図柄を選択する。こうして大当り図柄を選択したら(S422)、その選択した大当り図柄を停止表示する図柄(停止図柄)としてRAM203の記憶領域(停止図柄記憶領域)に記憶する(S424)。尚、大当り図柄決定テーブルは、ROM202に予め記憶されている。
【0074】
続いて、特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄(第1特定態様)で停止表示する際の変動パターンを選択するための変動パターン選択処理を行う(S426)。ここで、変動パターンとは、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)であって、各変動パターンには他の変動パターンと識別するための情報(変動パターンID)が付されている。変動パターン選択処理では、複数の変動パターン(変動パターンID、変動時間)に変動パターン決定乱数が割り振られた変動パターン決定テーブルを参照して(ROM202から読み出して)変動パターンを選択する。このように選択された変動パターンは後述の変動パターン指定コマンドとして、サブ制御基板220のCPU221に向けて送信される。サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、該変動パターン指定コマンドに基づいて今回の図柄変動遊技の変動パターンを認識し、該変動パターンに基づく演出パターンで、図柄変動遊技に対応する図柄変動演出を実行する。
【0075】
上述した変動パターン選択処理では、常時同じ変動パターン決定テーブルを参照するのではなく、現在設定されている遊技状態や、大当り判定の結果、特別図柄の種類(第1特図または第2特図)、記憶されている特図保留の数などの種々の遊技進行状況に対応する変動パターン決定テーブルを参照する。こうすることで、種々の遊技進行状況に対応する変動パターンを選択可能となり、ひいては、サブ制御基板220のCPU221は種々の遊技進行状況に対応する演出パターンで図柄変動演出を実行可能となる。
【0076】
以上は、大当り判定結果が「大当り」である場合の処理について説明した。これに対して、大当り判定の結果が「大当り」でない場合は、「小当り」であるか否かを判断する(S430)。尚、本実施例のパチンコ機1では上述したように、第1特図保留について大当り判定が行われる場合は小当りと判定されることはなく、第2特図保留について大当り判定が行われる場合のみに小当りと判定されることがある。従って、S430の判断処理では、第2特図保留について大当り判定が行われた場合のみに、大当り判定結果が小当りであると判断される可能性がある。
【0077】
S430の判断処理の結果、大当り判定の結果が「小当り」であると判断された場合には(S430:yes)、今回の図柄変動遊技で停止表示する小当り図柄を選択するための処理(小当り図柄選択処理)を行う(S432)。この処理では、25種類の小当り図柄101〜125の中から、小当り図柄決定テーブル(図示省略)を参照して、1つの小当り図柄を選択する。すなわち、小当り図柄決定テーブルでは、25種類の小当り図柄101〜125の1つずつに対応して4つの図柄決定乱数(合計で「0〜99」の100個の乱数)が設定されている。そして、第1特図保留または第2特図保留として読み出した判定乱数のうち図柄決定乱数に対応する小当り図柄を選択する。こうして小当り図柄を選択したら(S432)、その選択した小当り図柄を停止図柄としてRAM203の記憶領域(停止図柄記憶領域)に記憶する(S434)。そして、変動パターン選択処理(S426)において、第2特図を小当り図柄(第2特定態様)で停止表示する際の変動パターンを選択する。
【0078】
以上は、大当り判定結果が「小当り」である場合の処理について説明した。これに対して、大当り判定の結果が「小当り」でもなかった場合、すなわち、「外れ」である場合は(S430:no)、先ず、外れ図柄(非特定態様)を停止図柄としてRAM203の記憶領域(停止図柄記憶領域)に記憶する(S440)。すなわち、外れ図柄は1種類(外れ図柄126)しか設定されていないので、その外れ図柄を停止図柄記憶領域に記憶する。そして、変動パターン選択処理(S426)において、特別図柄(第1特図または第2特図)を外れ図柄(非特定態様)で停止表示する際の変動パターンを選択する。
【0079】
こうして、停止図柄を停止図柄記憶領域に記憶すると共に(S424、S434、S440)、変動パターンを選択したら(S426)、先に行われた大当り判定が第1特図保留に基づいて行われたものであるか否かを判断する(S450)。その結果、第1特図保留に基づいて行われたものであった場合は(S450:yes)、選択した変動パターンに従って、第1図柄表示装置28で第1特図(第1識別情報)の変動表示(図柄変動遊技)を開始した後(S452)、第1特図保留数から「1」を減算する(S454)。一方、大当り判定が第1特図保留に基づいて行われたものではなかった場合、すなわち、第2特図保留に基づいて行われたものである場合は(S450:no)、第2図柄表示装置32で第2特図(第2識別情報)の変動表示(図柄変動遊技)を開始した後(S456)、第2特図保留数から「1」を減算する(S458)。
【0080】
こうして、第1特図保留数または第2特図保留数から「1」を減算したら(S454、S458)、変動表示を今回開始した第1特図または第2特図の変動パターンの種類を指定する(変動パターン識別情報を含む)変動パターン指定コマンドや、変動表示を経て停止表示される特別図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドなどを、変動開始時コマンドとしてサブ制御基板220に向けて送信する(S460)。
【0081】
こうして変動開始時コマンドを、サブ制御基板220に向かって送信したら(S460)、
図11および
図12に示す特図変動開始処理を終了して、
図9および
図10の特別図柄遊技処理に復帰する。
【0082】
以上では、特別図柄遊技処理の実行に際して、大当り遊技中ではなく(S302:no)、第1特図および第2特図の何れの変動表示中でもない(S304:no)と判断された場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中ではないものの(S302:no)、第1特図または第2特図の何れかが変動表示中である場合は(S304:yes)、既に、第1特図または第2特図の変動パターンと停止図柄とが決定されて、第1特図または第2特図の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、変動表示中の特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S312)。第1特図または第2特図の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、第1特図または第2特図の変動を開始すると同時に所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に変動時間を設定することにより、所定の変動時間が経過したかを判断することができる。その結果、未だ変動時間が経過していない場合は(S312:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、
図7に示す遊技制御処理に復帰する。
【0083】
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S312:yes)、変動表示中の特別図柄を予め設定しておいた図柄(
図12のS424、S434、S440)で停止表示させることで確定表示を行い(S314)、変動表示中の特別図柄を停止表示させたことを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信する(S316)。そして、確定表示時間を設定した後(S318)、設定した確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。その結果、確定表示時間が経過していない場合は(S320:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して
図7に示す遊技制御処理に復帰する。
【0084】
こうして第1特図あるいは第2特図が確定表示された状態で、
図7の遊技制御処理に復帰した後、再び
図9および
図10の特別図柄遊技処理が開始されると、第1特図および第2特図が変動表示中ではないと判断され(S304:no)、続いて、特別図柄の確定表示中であるか否かの判断では、確定表示中と判断されるので(S306:yes)、再び確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。
【0085】
このような判断を繰り返しているうちに確定表示時間が経過したと判断されると(S320:yes)、
図10に移り、今回停止表示(確定表示)された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が「大当り図柄(第1特定態様)」であるか否かを判断する(
図10のS322)。その結果、停止表示された特別図柄が大当り図柄(第1特定態様)であった場合は(S322:yes)、大当り遊技を開始するための処理を行う。具体的には先ず、大入賞口31dの大当り遊技用の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する(S324)。すなわち、大当り図柄が停止表示されたことに対応して大当り遊技を開始することから、該大当り遊技における大入賞口31dの開放パターンを設定する。本実施例のパチンコ機1では、大入賞口31dが所定時間(例えば30秒)に亘って開放状態となるラウンド遊技が16回行われる開放パターンが設定される。すなわち、大当り遊技中は、大入賞口31dが所定時間(例えば30秒)に亘って開放状態となるラウンド遊技が16回行われる開放パターンで大入賞口31d(可変入球口)を作動させる。尚、大当り遊技(第1特定遊技)を行う主制御基板200のCPU201は、「第1特定遊技実行手段」として機能するものである。
【0086】
こうして、大入賞口31dの大当り遊技用の開放パターンを設定したら(S324)、大当り遊技を開始すべく大当りフラグをONに設定する(S326)。続いて、大当り遊技を開始するにあたって、高確率状態を終了させる処理を行う。すなわち、大当り遊技の開始に際して遊技状態が高確率状態に設定されていれば、該高確率状態を終了させる処理を行う。具体的には先ず、高確フラグがONに設定されているか否かを判断する(S328)。高確フラグは、遊技状態が高確率状態に設定されていることを示すフラグであり、遊技状態が高確率状態に設定される際にONに設定される。従って、S328の判断処理では、遊技状態が高確率状態に設定されているか否かを判断する(S328)。その結果、高確フラグがONに設定されていれば(S328:yes)、高確フラグをOFFに設定する(S330)。続いて、高確カウンタの値に「0」を設定する(S332)。高確カウンタとは、高確率状態を終了するまでの図柄変動遊技回数(以下「高確回数」ともいう)が設定されるカウンタであって、RAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。S332の処理では、高確率状態の終了に伴って高確回数を「0回」とすべく、高確カウンタの値に「0」を設定する。もちろん、高確率状態でない場合は(S328:no)、S330およびS332の処理は省略する。
【0087】
続いて、大当り遊技の開始を示す大当り開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S340)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り開始コマンドを受信すると、大当り遊技中であることを示す大当り遊技演出を実行する。大当り開始コマンドを送信したら(S340)、
図9および
図10に示す特別図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。
【0088】
以上は、第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で停止表示された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が大当り図柄であった場合(S322:yes)の処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が大当り図柄でなかった場合は(S322:no)、今度は、第2図柄表示装置32で停止表示された特別図柄(第2特図)が「小当り図柄」であったか否かを判断する(S352)。その結果、特別図柄が小当り図柄で停止表示された場合は(S352:yes)、大入賞口31dの小当り遊技用の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する(S354)。すなわち、小当り図柄が停止表示されたことに対応して小当り遊技を開始することから、該小当り遊技における大入賞口31dの開放パターンを設定する。本実施例のパチンコ機1では、大入賞口31dが所定時間(例えば2秒)に亘って2回だけ開放状態となる開放パターン(大当り遊技中より短い時間だけ開放状態となる開放パターン)が設定される。すなわち、小当り遊技中は、大当り遊技用の開放パターンに比べて遊技球受入可能性が低くなる小当り遊技用の開放パターンで大入賞口31d(可変入球口)を作動させる。尚、小当り遊技(第2特定遊技)を行う主制御基板200のCPU201は、「第2特定遊技実行手段」として機能するものである。
【0089】
こうして、大入賞口31dの小当り遊技用の開放パターンを設定したら(S354)、小当り遊技を開始すべく小当りフラグをONに設定する(S356)。そして、小当り遊技を開始することを示すコマンド(小当り遊技開始コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する(S358)。サブ制御基板220のCPU221は、小当り遊技開始コマンドを受信すると、小当り遊技に対応する演出を実行する。こうして小当り開始コマンドを送信したら(S358)、高確率状態の期間を進行させる処理を行う。つまり、小当り遊技の開始に際して遊技状態が高確率状態に設定されている場合は、該高確率状態を終了させることなく、今回、図柄変動遊技が行われたことに対応して、高確回数を減算する。
【0090】
具体的には先ず、高確フラグがONに設定されているか否か、すなわち、高確率状態中であるか否かを判断する(S382)。その結果、高確率状態中であれば(S382:yes)、高確回数を1回減算すべく、高確カウンタの値を「1」減算する(S384)。そして、高確カウンタの値を「1」減算した結果、高確カウンタの値が「0」になったか否か、すなわち、高確回数が「0回」になったか否かを判断する(S386)。その結果、高確回数が「0回」になった場合は、高確率状態を終了すべく(低確率状態とすべく)、高確フラグをOFFに設定する(S388)。尚、S382の処理で、高確率状態中でないと判断された場合は(S382:no)、当然ながら、高確率状態の期間を進行させる処理(S384〜S388)は省略する。また、S386の処理で、高確回数が未だ「0回」になっていないと判断された場合は(S386:no)、高確率状態を継続させる(S388の処理を省略する)。
【0091】
続いて、現在設定されている遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信した後(S398)、
図9および
図10に示す特別図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。
【0092】
以上は、第2図柄表示装置32で停止表示された特別図柄(第2特図)が小当り図柄であった場合(S352:yes)の処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が小当り図柄でもなかった場合、すなわち、外れ図柄であった場合(S352:no)は、小当り図柄が停止表示された場合と同様に、遊技状態が高確率状態に設定されていれば(S382:yes、S390:yes)、該高確率状態の期間を進行させる処理(S384〜S388)を行う。当然ながら、遊技状態が高確率状態に設定されていなければ(S382:no)、高確率状態の期間を進行させる処理(S384〜S388)は省略する。続いて、サブ制御基板220に向けて遊技状態指定コマンドを送信したら(S398)、
図9および
図10に示す特別図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。
【0093】
こうして、
図7に示す遊技制御処理に復帰したら、小当り遊技処理を行う(S500)。小当り遊技処理では、小当り遊技中である場合に該小当り遊技を進行させるための処理が行われる。具体的には、大入賞口ソレノイド31mを制御することによって、小当り遊技を開始するに際して設定された小当り遊技用の開放パターン(
図10のS354)で大入賞口31dが開放状態となるように(例えば2秒×2回開放状態となるように)、開閉部材31eを動作させる。また、小当り遊技処理では、小当り遊技の終了条件が成立したか否か、例えば、大入賞口31dが2秒だけ開放状態となることが2回行われたか否かを判断する。その結果、小当り遊技の終了条件が未だ成立していないのであれば、そのままS500の小当り遊技処理を終了する。これに対して、小当り遊技の終了条件が成立した場合は、小当り遊技を終了すべく、小当りフラグをOFFに設定すると共に、小当り遊技が終了することを示す小当り終了コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。
【0094】
こうして、小当り遊技処理を行ったら(S500)、続いて、大当り遊技処理を行う(S600)。大当り遊技処理では、大当り遊技中である場合に該大当り遊技を進行させるための処理が行われる。具体的には、大入賞口ソレノイド31mを制御することによって、大当り遊技を開始するに際して設定された大当り遊技用の開放パターン(
図10のS324)で大入賞口31dが開放状態となるように(16回のラウンド遊技が行われるように)、開閉部材31eを動作させる。また、大当り遊技処理では、大当り遊技の終了条件が成立したか否か、すなわち、16回のラウンド遊技が行われたか否かを判断する。その結果、16回のラウンド遊技が未だ行われていないのであれば、そのままS500の大当り遊技処理を終了する。これに対して、16回のラウンド遊技が行われた場合は、大当り遊技を終了すべく、大当りフラグをOFFに設定すると共に、大当り遊技が終了することを示す大当り終了コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。続いて、大当り遊技終了後の遊技状態を、該大当り遊技が開始される際に停止表示された大当り図柄に応じて設定する。具体的には、大当り図柄1〜50が停止表示された場合は遊技状態を高確回数80回の高確率状態に設定し、大当り図柄51〜100が停止表示された場合は低確率状態に設定する。
【0095】
<<普通図柄に係る処理>>
以上は特別図柄に係る処理について説明した。以下では、普通図柄に係る処理、すなわち、
図7に示す「普図保留関連処理(S50)」「普通図柄遊技処理(S100)」「普図当り遊技処理(S200)」について説明する。
【0096】
C−3.普図保留関連処理 :
図14は、本実施例の普図保留関連処理(
図7のS50)を示すフローチャートであり、この処理では、普図図柄の保留(以下「普図保留」ともいう)の記憶に係る処理が行われる。主制御基板200のCPU201は、普図保留関連処理を開始すると先ず、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過したか否かを判断する(S52)。その結果、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は(S52:yes)、普通図柄の保留数(以下「普図保留数」ともいう)が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S54)。そして、普図保留数が上限値に達していなければ(S54:no)、普図当り判定乱数を取得する(S56)。普図当り判定乱数とは、後述する普図当り判定を行うために用いられる乱数である。普図当り判定乱数を取得したら、取得した普図当り判定乱数を、主制御基板200に搭載されたRAM203に普図保留として記憶する(S58)。そして、普図保留数に「1」を加算する(S60)。尚、遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過していない場合や(S52:no)、普図保留数が上限値(ここでは「4」)に達していた場合は(S54:yes)、S56〜S60の処理を省略する。こうして、
図14に示す普図保留関連処理を行ったら、
図7の遊技制御処理に復帰して、普図保留関連処理(S50)に続く普通図柄遊技処理(S100)を行う。
【0097】
C−4.普通図柄遊技処理 :
図15は、本実施例の普通図柄遊技処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、普通図柄遊技処理を開始すると先ず、大当りフラグがONに設定されているか否か、すなわち、大当り遊技中であるか否かを判断する(S102)。その結果、大当り遊技中である場合は(S102:yes)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。これに対して、大当り遊技中でない場合は(S102:no)、続いて、小当りフラグがONに設定されているか否か、すなわち、小当り遊技中であるか否かを判断する(S104)。その結果、小当り遊技中である場合も(S104:yes)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。これに対して、小当り遊技中でもない場合は(S104:no)、続いて、普図当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S106)。普図当りフラグは、普図当り遊技の実行中であることを示すフラグであって、第2始動口17を開放状態とする普図当り遊技が開始される際にONに設定される。従って、S106の判断処理では、普図当り遊技の実行中であるか否かが判断される。その結果、普図当り遊技中である場合も(S106:yes)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、
図7の遊技制御処理に復帰する。
【0098】
一方、大当り遊技中、小当り遊技中、普図当り遊技中の何れでもない場合は(S102:no、S104:no、S106:no)、普通図柄が変動表示中であるか否かを判断する(S108)。そして、普通図柄が変動表示中でない場合は(S108:no)、普通図柄が確定表示中であるか否かを判断する(S110)。普通図柄は変動表示が終了してから所定の時間が経過するまでは、変動表示の終了に伴い停止表示された特別図柄を確定させるべく、普通図柄が停止表示された状態を維持する表示(確定表示)を行う。S110の処理では、この「確定表示」の実行中であるか否かが判断される。その結果、普通図柄が変動表示中および確定表示中の何れでもない場合は(S108:no、S110:no)、次回の普通図柄の変動表示を開始するための処理(普図変動開始処理)を開始する(S110)。
【0099】
図16は、普図変動開始処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、普図変動開始処理を開始すると先ず、普図保留数が「0」であるか否かを判断する(S150)。その結果、普図保留数が「0」でなければ(普図保留数≧1)(S150:no)、記憶されている普図保留の中から最も古くに記憶された普図保留を読み出す(S152)。このS152の処理では、普図保留として記憶されている普図当り判定乱数を読み出す。
【0100】
これに対して、普図保留数が「0」である場合は(S150:yes)、後述の普図当り判定や普通図柄の変動表示(普図変動遊技)を開始する必要はない。そこで、
図16の普図変動開始処理を終了して、
図15に示す普通図柄遊技処理に復帰する。
【0101】
以上のようにして、普図保留を読み出したら(S152)、普図当り判定テーブルを選択し(S154)、該普図当り判定テーブルを参照して普図当り判定を行う(S156)。ここで、上述したように本実施例のパチンコ機1の遊技状態は、低確率状態または高確率状態の何れかに設定される。普図当り判定を行う際に参照される普図当り判定テーブルは、このような遊技状態(低確率状態か高確率状態か)に応じて選択される。
【0102】
図17は、本実施例の普図当り判定テーブルを概念的に示す説明図である。
図17(a)には、低確率状態にて普図当り判定が行われる場合に参照される普図当り判定テーブル(低確率用の普図当り判定テーブル)が示されており、
図17(b)には、高確率状態にて普図当り判定が行われる場合に参照される普図当り判定テーブル(高確率用の普図当り判定テーブル)が示されている。
図17(a)に示すように、低確率用の普図当り判定テーブルでは、65536個の乱数(0〜65535)のうち164個の乱数(0〜163)に「普図当り」が設定されている。従って、低確率状態にて普図当り判定が行われる場合は、約399分の1の確率で普図当りと判定される。また、
図17(b)に示すように、高確率用の普図当り判定テーブルでは、65536個(0〜65535)の乱数のうち65534個の乱数(0〜65533)に「普図当り」が設定されている。従って、高確率状態にて普図当り判定が行われる場合は、略100%の確率(約1分の1の確率)で普図当りと判定される。すなわち、普図当り判定にて「普図当り」と判定される確率(以下「普図当り確率」ともいう)は、低確率状態である場合よりも高確率状態である場合の方が高いこととなる。
【0103】
こうして、普図当り判定を行ったら(
図16のS156)、該普図当り判定の結果が「普図当り」であるか否かを判断する(S158)。その結果、普図当り判定の結果が「普図当り」である場合は(S158:yes)、今回の普図変動遊技にて停止表示する図柄(停止図柄)として当り図柄を記憶する(S160)。すなわち、今回の普図変動遊技の結果として普通図柄LED29aを点灯させることを記憶する。これに対して、普図当り判定の結果が「外れ」である場合は(S158:no)、今回の普図変動遊技にて停止表示する図柄(停止図柄)として外れ図柄を記憶する(S162)。すなわち、今回の普図変動遊技の結果として普通図柄LED29aを消灯させることを記憶する。
【0104】
こうして、今回の普図変動遊技の結果として普通図柄LED29aを点灯させること、あるいは、消灯させることを記憶したら(S160、S162)、普通図柄の変動時間を設定する(S164)。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄の変動時間は遊技状態に拘わらず一定であり、例えば、該変動時間を1秒に設定する。従って、遊技者に対して、普通図柄の変動時間に基づいては、遊技状態(低確率状態または高確率状態の何れに設定されているか)を認識できないようにすることが可能である。尚、普通図柄の変動時間は必ずしも一定にする必要はなく、遊技状態が低確率状態に設定されている場合と、遊技状態が高確率状態に設定されている場合とで、普通図柄の平均変動時間がほぼ同じであればよい。こうした場合も、遊技者に対して、普通図柄の変動時間に基づいては、遊技状態(低確率状態または高確率状態の何れに設定されているか)を認識できないようにすることが可能である。
【0105】
こうして、普通図柄の変動時間を設定したら(S164)、普通図柄LED29aを利用して普通図柄の変動表示(普図変動遊技)を開始する(S166)。そして、普図保留数から「1」を減算した後(S168)、
図16に示す普図変動開始処理を終了して、
図15の普通図柄遊技処理に復帰する。尚、普通図柄作動ゲート36(所定の始動領域)での遊技球の検知に基づいて普通図柄(第3識別情報)を変動表示させる主制御基板200のCPU201は、「第3表示手段」として機能するものである。
【0106】
以上では、
図15の普通図柄遊技処理の実行に際して、大当り遊技中、小当り遊技中、普図当り遊技中の何れでもなく(S102:no、S104:no、S106:no)、普通図柄の変動表示中でもない(S108:no)と判断された場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中、小当り遊技中、普図当り遊技中の何れでもないものの(S102:no、S104:no、S106:no)、普通図柄の変動表示中である場合は(S108:yes)、変動表示中の普通図柄の変動時間(例えば、上述した1秒)が経過したか否かを判断する(S114)。その結果、未だ変動時間が経過していない場合は(S114:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、
図7に示す遊技制御処理に復帰する。
【0107】
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S114:yes)、変動表示中の普通図柄を予め記憶しておいた態様で停止表示する(S116)。すなわち、普図当り判定の結果が普図当りであった場合は普通図柄LED29aを点灯した状態とし(当り図柄を停止表示し)、普図当り判定の結果が外れであった場合は普通図柄LED29aを消灯した状態とする(外れ図柄を停止表示する)。そして、確定表示時間を設定した後(S118)、設定した確定表示時間が経過したか否かを判断する(S120)。その結果、確定表示時間が経過していない場合は(S120:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、
図7に示す遊技制御処理に復帰する。
【0108】
これに対して、確定表示時間が経過した場合は(S120:yes)、今回停止表示(確定表示)された普通図柄が当り図柄(普通図柄LED29aの点灯、第3特定態様)であるか否かを判断する(S122)。その結果、停止表示された普通図柄が当り図柄であった場合は(S122:yes)、普図当り遊技を開始するための処理を行う。具体的には先ず、第2始動口17の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する(S124)。すなわち、普通図柄が当り図柄で停止表示されたことに対応して普図当り遊技を開始することから、該普図当り遊技における第2始動口17の開放パターンを設定する。本実施例のパチンコ機1では、第2始動口17が所定時間(例えば4秒)に亘って開放状態となる開放パターンが設定される。すなわち、普図当り遊技中は、第2始動口17が所定時間(例えば4秒)に亘って開放状態となる。本実施例のパチンコ機1では、普図当り遊技において第2始動口17が開放状態となる時間(以下「第2始動口17の開放時間」ともいう)は、遊技状態に拘わらず一定である。従って、遊技者に対して、第2始動口17の開放時間に基づいては、遊技状態(低確率状態または高確率状態の何れに設定されているか)を認識できないようにすることが可能である。尚、普図当り遊技(第3特定遊技)を行う主制御基板200のCPU201は、「第3特定遊技実行手段」として機能するものである。
【0109】
こうして、第2始動口17の開放パターンを設定したら(S124)、普図当り遊技を開始すべく普図当りフラグをONに設定した後(S126)、
図15に示す普通図柄遊技処理を終了して、
図7に示す遊技制御処理に復帰する。
図7に示す遊技制御処理では、普通図柄遊技処理(S100)に続いて、普図当り遊技処理を行う(S200)。普図当り遊技処理では、普図当り遊技中である場合に該普図当り遊技を進行させるための処理が行われる。具体的には、始動口ソレノイド17mを制御することによって、普図当り遊技を開始するに際して設定された第2始動口17の開放パターン(
図15のS124)で第2始動口17が開放状態となるように(例えば4秒間開放状態となるように)、翼片部17wを動作させる。また、普図当り遊技処理では、普図当り遊技の終了条件が成立したか否か、例えば、第2始動口17が開放状態となってから4秒が経過したか否かを判断する。その結果、普図当り遊技の終了条件が未だ成立していないのであれば、そのままS200の普図当り遊技処理を終了する。これに対して、普図当り遊技の終了条件が成立した場合は、普図当り遊技を終了すべく、普図当りフラグをOFFに設定する。
【0110】
以上のように、本実施例のパチンコ機1では、大当り確率に係る遊技状態である低確率状態と高確率状態とを設定可能であるところ、低確率状態と高確率状態とでは、「普通図柄の変動時間」および「普図当り遊技における第2始動口17の開放時間」は互いに同じである。具体的には、
図18に示すように、「普通図柄の変動時間」は低確率状態および高確率状態の何れにおいても「1秒」に設定され、「普図当り遊技における第2始動口の開放時間」は低確率状態および高確率状態の何れにおいても「4秒」に設定されている。従って、遊技者に対して、「普通図柄の変動時間」や「普図当り遊技における第2始動口17の開放時間」に基づいては、遊技状態(低確率状態または高確率状態の何れに設定されているか)を認識できないようにすることが可能である。すなわち、本実施例のパチンコ機1の高確率状態は、いわゆる潜伏確変状態と称される遊技状態である。そして、本実施例のパチンコ機1では、このような潜伏遊技状態(高確率状態)における「普図当り確率」が低確率状態よりも高く設定されている。こうすると、潜伏遊技状態(高確率状態)においては、第2始動口17へ遊技球が入球する頻度が高くなり、ひいては、小当り遊技が行われ易くなる。この結果、潜伏遊技状態(高確率状態)において遊技者に払い出される遊技球の数量を低確率状態よりも増加させることができ、遊技興趣を高めることが可能となる。また、低確率状態と高確率状態とを同じ状態と感じている遊技者に対しては、同じ状態であるにも拘わらず払い出される遊技球の数量が増加しているように感じさせることできる。この結果、遊技者に意外性を感じさせることができ、遊技興趣を高めることが可能となる。
【0111】
また、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口16は左打ちを行った遊技球が流下する領域に設けられ、普通図柄作動ゲート36、第2始動口17は右打ちを行った遊技球が流下する領域に設けられている。従って、遊技者に対して、第2始動口17へ遊技球が入球することを狙わせる場合は、第1始動口16へ遊技球が入球することを狙わせる場合と異なる遊技領域を遊技球が通過するように遊技球を発射させることができる。この結果、遊技興趣を高めることが可能となる。
【0112】
また、上述したパチンコ機1においては、第1特図の変動表示回数と第2特図の変動表示回数の合計、または、第1特図の変動表示回数(これらの回数を以下では単に「変動表示回数」ともいう)が、高確率状態が設定されてから所定回数(例えば25回)に到達するまでは、第2特図の変動表示時間の平均変動時間が所定時間(例えば10分)以上となるように該変動表示時間を設定し、所定回数に到達した後は第2特図の変動表示時間の平均変動時間が所定時間未満となるように該変動表示時間を設定することとしてもよい。こうすると、高確率状態が設定されても、変動表示回数が所定回数に到達するまでは、第2特図の変動表示時間が長いことから小当り遊技の実行頻度が低くなる。このため、変動表示回数が所定回数に到達するまでは、遊技者に対して、第1始動口16へ遊技球が入球することを狙わせることができる。これに対して、変動表示回数が所定回数に到達した後は、第2特図の変動表示時間が短くなり小当り遊技の実行頻度が高くなる。このため、変動表示回数が所定回数に到達した後は、第2始動口17へ遊技球が入球することを狙わせることができる。この結果、高確率状態が設定されてから変動表示回数が所定回数に到達するまでは第1始動口16へ遊技球が入球することを狙わせ、変動表示回数が所定回数に到達した後は第2始動口17へ遊技球が入球することを狙わせることができるので、高確率状態における遊技性を多様化でき、遊技興趣を高めることが可能なる。
【0113】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0114】
上述した実施例では、大当り遊技終了に伴って遊技状態を高確率状態に設定した場合は、大当り遊技が行われることなく80回の図柄変動遊技が実行されると、遊技状態を低確率状態に設定する構成とした。これに限らず、大当り遊技終了に伴って遊技状態を高確率状態に設定した場合は、次に大当り遊技が行われるまで遊技状態を高確率状態に設定したままとする構成としてもよい。
【0115】
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口16、第2始動口17、大入賞口31d等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。