【実施例1】
【0024】
図2は、本発明の実施例1に係る光トランシーバの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、実施例1に係る光トランシーバ100は、制御回路10、補正回路11、16、駆動回路13、光送信回路12および光受信回路17を備えている。補正回路11(第1の補正回路)は、例えばCDR(Clock Data Recovery)集積回路であり、光信号O1(第1の光信号)の送信において、ホスト装置90から伝送された4つのチャネルCh1からCh4に相当する電気信号E1をそれぞれ補正する。補正回路11は、電気信号E1の補正として例えば波形整形およびタイミング再生を行なう。駆動回路13は、例えばレーザドライバ集積回路であり、補正回路11が補正した4チャネルCh1からCh4の電気信号E1をそれぞれ増幅し駆動信号を生成し、駆動信号に応じて発光部14(発光素子)を駆動する。発光部14は、例えばTOSA(Transmitter Optical Subassembly)であり、駆動回路13が増幅した4つのチャネルCh1からCh4に相当する電気信号E1を互いに波長の異なる4つのチャネルCh1からCh4の光信号にそれぞれ変換する。発光部14は、さらに、変換されたそれぞれの光信号を光信号O1に多重化してファイバ等に出力する。
【0025】
受光部19は、例えばROSA(Receiver Optical Subassembly)であり、ファイバを伝送した互いに波長の異なる4つのチャネルCh1からCh4の光信号が多重化された光信号O2を受光し4つのチャネルCh1からCh4の電気信号E2に変換する。増幅回路18は、例えばTIA(Transimpedance Amplifier)であり、受光部19が変換した4つのチャネルCh1からCh4の電気信号E2をそれぞれ増幅する。補正回路16(第2の補正回路)は、例えばCDR集積回路であり、光信号O2(第2の光信号)の受信において、増幅回路18が増幅した4つのチャネルCh1からCh4に相当する電気信号E2(第2の電気信号)をそれぞれ補正し、ホスト装置90に出力する。
【0026】
制御回路10とホスト装置90との間の制御信号L5の通信には例えばI2CまたはMDIO(Management Data Input/Output)等のシリアル通信方式を用いる。制御回路10はホスト装置90にアラーム信号L6を出力する。制御回路10はホスト装置90からモード信号L8を受信する。モード信号L8は、例えば、2値のデジタル信号であり、待機モードのときハイレベル、通常モードのときローレベルである。制御回路10と各回路11、13、16および18との制御信号L4の通信にI2CまたはSPI等のシリアル通信方式を用いる。
【0027】
制御回路10が補正回路11から受信する異常信号L1は、例えばチャネルCh1からCh4ごとのLOS(Loss of Signal)信号およびLOL(Loss of Lock)信号である。LOS信号は、電気信号E1の信号強度が所定値以下であることを示す信号である。LOL信号は補正回路11内のPLL(Phase Locked Loop)回路において周波数がロックされていないことを示す信号である。制御回路10が補正回路16から受信する異常信号L2は、例えばLOL信号である。制御回路10が増幅回路18から受信する異常信号L3は例えばLOS信号である。制御回路10は異常信号L1を受信すると駆動回路13に停止信号L7を出力する。停止信号L7は、チャネルCh1からCh4ごとに光信号の出力を停止させる信号である。
【0028】
図3は、実施例1における補正回路の構成を示すブロック図である。補正回路11および16は、例えば各々1チップの半導体集積回路として形成されている。
図3に示すように、補正回路11および16は、信号補正回路20、制御回路25、電源回路26、27および保持回路28を備えている。信号補正回路20は、チャネルCh1からCh4に対応して設けられている。信号補正回路20は、波形整形回路21、タイミング再生回路22および出力回路23を備えている。波形整形回路21は、例えばイコライザ回路であり、電気信号E1またはE2の波形を整形する。また、波形整形回路21は、電気信号E1の信号強度が所定値以下の場合、LOS信号L21を制御回路25に出力する。なお、補正回路16内の波形整形回路21はLOS信号L21を出力しない。タイミング再生回路22は、例えばCDR回路であり、PLL回路を用い電気信号E1またはE2からクロック信号を生成し、生成したクロック信号を用い電気信号E1またはE2のタイミングを再生する。タイミング再生回路22は、PLLが周波数をロックしていないときLOL信号L22を制御回路25に出力する。出力回路23は、集積回路内の信号レベルを集積回路間の通信に適した信号レベルに変換する。
【0029】
電源回路26は制御回路25の指示信号L26に基づき、タイミング再生回路22に電力L28を供給する。電源回路26はチャネルCh1からCh4ごとにタイミング再生回路22の電源をオン・オフすることができる。電源回路27は制御回路25の指示信号L27に基づき、出力回路23に電力L29を供給する。電源回路27はチャネルCh1からCh4ごとに出力回路23の電源をオン・オフすることができる。なお、電源回路26および27は、波形整形回路21に供給される電力を遮断してもよい。保持回路28は、例えばレジスタ等の揮発性メモリであり、信号補正回路20を初期設定するための設定データ、LOS信号L21およびLOL信号L22に係るデータ等を保持する。保持回路28は、電力L30が供給されている間は設定データを保持するが、電力L30が遮断されると保持していた設定データを消失する。制御回路25は、制御回路10と制御信号L4の通信を行なう。また、制御回路25は、保持回路28に保持されたLOS信号L21およびLOL信号L22に係るデータを含む異常信号L1またはL2を制御回路10に出力する。さらに、制御回路25は、保持回路28に保持された設定データに基づき、制御信号L23をタイミング再生回路22に送信する。
【0030】
このように、制御回路25(第1の制御回路)は、制御回路10(第2の制御回路)からの制御信号L4(第3の制御信号)に応じて保持回路28の設定データを設定する。また、制御回路25は、設定データに基づいて指示信号L26およびL27(第1の制御信号)および制御信号L23(第2の制御信号)を生成する。信号補正回路20内のタイミング再生回路22は、制御信号L23に応じて電気信号を補正する。電源回路26および27は、指示信号L26およびL27に応じて、信号補正回路3への電力L28およびL29(第1の電力)の供給と、電力の遮断とを交互に行なう。保持回路28には、電力L28およびL29とは別に電力L30(第2電力)が供給されている。
【0031】
図4は、実施例1における光送信回路の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、光送信回路12内の駆動回路13は、チャネルCh1からCh4ごとにLDD(Laser Diode Driver)回路30を備える。各LDD回路30は、チャネルCh1からCh4の電気信号E1を増幅する。各LDD回路30に停止信号L7を入力することができる。停止信号L7が入力される(すなわち停止信号がアクティブとなる)と、対応するLDD回路30の電源がオフとなる。
【0032】
光送信回路12内の発光部14は、発光素子32および光合波器34を備える。発光素子32はチャネルCh1からCh4ごとに設けられている。発光素子32は、例えばレーサダイオードであり、チャネルCh1からCh4ごとに電気信号E1を光信号O3に変換する。発光素子32が出力する光信号O3は、チャネルCh1からCh4ごとに波長が異なる。光合波器34は、各チャネルCh1からCh4の光信号O3を合波して光信号O1を生成する。発光部14は、ファイバ等に光信号O1を出力する。光信号O1は波長分割多重(WDM:Wave Devision Multiplex)信号となる。光信号O1は例えば1.3μm波長帯の信号である。駆動回路13はTOSA内に設けられていてもよい。
【0033】
図5は、実施例1における光受信回路の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、光受信回路17内の受光部19は、受光素子36および光分波器38を備える。光分波器38はファイバ等から受信した光信号O2を各チャネルCh1からCh4ごとの光信号O4に分波する。光信号O4は互いに波長が異なる。受光素子36は、チャネルCh1からCh4ごとに設けられている。受光素子36は、例えばフォトダイオードであり、チャネルCh1からCh4ごとに光信号O4を電気信号E2に変換する。受光素子36が出力する電気信号E2は例えば電流信号である。
【0034】
光受信回路17内の増幅回路18は、チャネルCh1からCh4ごとにTIA(Transimpedance Amplifier)回路35を備える。各TIA回路35は、チャネルCh1からCh4の電流信号を電圧信号に変換するとともに増幅する。各TIA回路35は、受光素子36から入力された電気信号E2の信号強度が所定値以下となると異常信号L3としてLOS信号を制御回路10に出力する。
【0035】
図6は、実施例1における制御回路10を示すブロック図である。制御回路10は例えば1チップの半導体集積回路に形成されたCPU(Crentral Processing Unit)である。制御回路10は、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のロジック回路で形成することもできる。また、制御回路10はCPU、FPGA、CPLDおよびその他のロジック回路を組み合わせて形成されていてもよい。
【0036】
図6に示すように、制御回路10は、プロセッサ40、記憶回路41、温度センサ44a、通信インターフェース(I/F)44b、44c、タイマカウント44d、ADC(アナログデジタル変換回路)44e、外部入力回路44f、外部出力回路44gおよびバス46を備える。プロセッサ40は例えばCPUコアであり、記憶回路41に格納されたプログラムを実行して各種処理を行なう。記憶回路41は、ROM(Read Only Memory)41aおよびRAM(Random Access Memory)41bを備える。ROM41aは各種データ42aおよびプログラム42bを格納する。
【0037】
温度センサ44aは温度を検知し、プロセッサ40からの問合せに応じて温度情報をプロセッサ40に出力する。通信I/F44bはホスト装置90と制御信号L5の通信を行なうためのインターフェースである。通信I/F44cは、光トランシーバ100内の回路との制御信号L4の通信、異常信号L1からL3の受信、および停止信号L7の出力等を行なうためのインターフェースである。タイマカウント44dは、タイマーである。ADC44eは、アナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換されるアナログ信号としては、例えば電源電圧、受光素子36のバイアス電圧、光信号O3およびO4の光信号強度のモニタ信号等である。外部入力回路44fは、ホスト装置90からモード信号L8等を受信する。外部出力回路44gは、ホスト装置90にアラーム信号L6等を出力する。
【0038】
図7(a)から
図7(c)は、実施例1において保持回路に保持されるデータの例である。
図7(a)は、保持回路28内のレジスタアドレスとレジスタ名称を示す図である。
図7(a)に示すように、レジスタアドレス05h、20hのレジスタ名称は、それぞれCH_ModeおよびLOS_LOL_Alarmである。アドレスxxxからyyyのレジスタ名称はDATAである。
【0039】
図7(b)は、CH_Modeの例である。
図7(b)に示すように、CH_Modeではビットb0−b3は予備(Reserved)となっていて使用していない。ビットb4−b7は、それぞれCh1_PWRからCh4_PWRを示す。Ch1_PWRからCh4_PWRは、それぞれチャネルCh1からCh4のタイミング再生回路22および出力回路23の電源のオンおよびオフを指示する1ビットのバイナリデータである。Ch1_PWRからCh4_PWRが”0”のとき電源回路26および27は、対応するタイミング再生回路22および出力回路23の電源をオンする。Ch1_PWRからCh4_PWRが”1”のとき電源回路26および27は、対応するタイミング再生回路22および出力回路23の電源をオフする。制御回路10は、制御回路25にCh1_PWRからCh4_PWRを書き換えさせることにより、タイミング再生回路22および出力回路23の電源をオンおよびオフさせる。
【0040】
図7(c)は、LOS_LOL_Alarmの例である。LOS_LOL_Alarmではビットb0−b3はそれぞれCh1_LOSからCh4_LOSを示し、ビットb4−b7は、それぞれCh1_LOLからCh4_LOLを示す。Ch1_LOSからCh4_LOSは、それぞれチャネルCh1からCh4のLOS信号を示すデータである。Ch1_LOSからCh4_LOSが”1”のとき対応するチャネルCh1からCh4のLOS信号がアサート(発出)されていることを示す。すなわち、波形整形回路21が受信する対応するチャネルCh1からCh4の電気信号E2の信号強度が所定値以下である。Ch1_LOSからCh4_LOSが”0”のとき対応するチャネルCh1からCh4のLOS信号がアサートされていないことを示す。すなわち、波形整形回路21が受信する対応するチャネルCh1からCh4の電気信号E2の信号強度が所定値以上である。受信側の補正回路16の場合は、Ch1_LOSからCh4_LOSは設定されていなくともよい。
【0041】
Ch1_LOLからCh4_LOLは、それぞれチャネルCh1からCh4のLOL信号を示すデータである。Ch1_LOLからCh4_LOLが”1”のとき対応するタイミング再生回路22内のPLLがロックされていないことを示す。Ch1_LOLからCh4_LOLが”0”のとき対応するタイミング再生回路22内のPLLがロックされていることを示す。タイミング再生回路22は、PLLがロックすると正常にタイミング再生を行うことができるが、PLLがロックされないとタイミング再生は出来なくなる。制御回路10は、Ch1_LOSからCh4_LOSおよびCh1_LOLからCh4_LOLを読み出すことにより、LOS信号およびLOL信号を取得し、それらの値に応じて必要な処理をする。
【0042】
DATAは、信号補正回路20の設定に使用される設定データである。DATAには、例えばCDRオン/オフ切り替え、LOSの閾値、入力信号の伝送レート、出力信号のオン/オフ切り替え、イコライザ調整、スケルチ設定、振幅調整および波形調整のためのデータなどが含まれる。これらのデータは複数のチャネルCh1からCh4それぞれについて設定できる。
【0043】
CDRオン/オフ切り替えデータは、タイミング再生回路22のオンおよびオフを指定するデータである。CDRオン/オフ切り替えデータがオンのとき、電気信号はタイミング再生回路22で補正される。CDRオン/オフ切り替えデータがオフのとき、電気信号はタイミング再生回路22をバイパスして波形整形回路21から出力回路23に伝送される。
【0044】
LOSの閾値データは、LOS信号をアサート(発出)する電気信号の信号強度に関する閾値レベルを設定するデータである。入力信号の伝送レートは、入力する電気信号の信号速度を設定するデータである。出力信号のオン/オフ切り替えデータは、正常に動作しているときに、出力回路23からの出力信号をオンするかオフするかを設定する。イコライザ調整は、波形整形回路21の周波数特性を調整するパラメータを設定する。スケルチ設定は、LOS信号がアサートのときに、出力回路23からの出力信号を自動的にオフするか否かを設定する。振幅調整は、主に受信側の補正回路16において出力回路23の出力信号の振幅を調整するためのパラメータを設定する。波形調整は、主に受信側の補正回路16において出力回路23の出力信号の波形を調整するためのパラメータを設定する。設定データは、例えば上記データの少なくとも1つを含む。設定データは、上記データ以外のデータを含んでもよい。
【0045】
図8は、実施例1における制御回路10が行なう処理工程を示すフローチャートである。
図8に示すように、光トランシーバ100がホスト装置90にホットプラグインされたとき、または光トランシーバ100がリセットされたとき、制御回路10は起動のための初期設定を行なう(ステップS10)。初期設定において、制御回路10は、各回路11、12、16および17の電源をオンする。制御回路10は、ホスト装置90から初期設定のための制御信号L5を受信する。また、制御回路10は、各回路11、13、16および18に初期設定のための制御信号L4を出力する。例えば、制御回路10は、制御信号L4として、補正回路11および16に設定データを送信する。補正回路11および16の制御回路25は、設定データを保持回路28に保持させる。この後、補正回路11および16は設定データに基づき補正処理を行なう。
【0046】
制御回路10は、ホスト装置90と制御信号L5の通信を行なう。また、制御回路10は、ホスト装置90からモード信号L8を取得する(ステップS12)。制御回路10は、モード信号L8に応じ処理を行なう(ステップS14)。詳細は後述する。制御回路10は、各種ADC値を取得し、各種判定を行なう(ステップS16)。例えば制御回路10は、電源電圧、受光素子36のバイアス電圧、光信号O3およびO4の光パワーをデジタル変換したADC値を取得する。制御回路10は、ADC値に基づき、各種判定を行なう。例えば、制御回路10はホスト装置90にアラーム信号L6を出力する。制御回路10はAPC(Auto Power Cntrol)制御を行なう(ステップS18)。例えば制御回路10は、各チャネルCh1からCh4において光信号O3のパワーが所望レベルとなるように、駆動回路13を制御する。
【0047】
制御回路10は、補正回路11、16および増幅回路18から異常信号L1からL3を取得する(ステップS20)。例えば、制御回路10は保持回路28からLOS信号およびLOL信号を取得する。例えば、制御回路10は、LOS信号およびLOL信号がアサートされた場合に割り込みをかける。制御回路10は、異常信号に対応する処理を行なう(ステップS22)。例えば制御回路10は、保持回路28内のLOS信号およびLOL信号がアサートされた場合に割り込みが入り後述する処理を行なう。制御回路10は終了か判定する(ステップS24)。Yesの場合終了し、Noの場合ステップS12に戻り、ステップS12からS22の処理を繰り返す。
【0048】
図9は、
図8におけるステップS14の処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御回路10は、モード信号が待機モードか通常モードか判定する(ステップS30)。例えば、制御回路10は、モード信号L8がローレベルのとき通常モード、ハイレベルのとき待機モードと判断する。通常モードのとき、制御回路10は、制御信号L4を用い制御回路25に電源オンを指示する(ステップS32)。例えば、制御回路25は、
図7(a)および
図7(b)のアドレス05hのビットb4からb7を“0”とする。これにより、電源回路26は全てのチャネルCh1からCh4のタイミング再生回路22および出力回路23に電力を供給する。制御回路10は、駆動回路13の全chの停止信号L7を解除する(ステップS33)。これにより、駆動回路13内の全チャネルCh1からCh4のLDD回路30の電源がオンとなる。制御回路25は、保持回路28内の設定データ(例えば
図7(a)のアドレスxxx−yyyのDATA)を用い信号補正回路20の各種制御を行なう(ステップS34)。その後終了する。
【0049】
ステップS30において、待機モードと判断されたとき、制御回路10は、制御信号L4を用い補正回路11、16内の制御回路25に電源オフを指示する(ステップS36)。例えば、制御回路25は、
図7(a)および
図7(b)のアドレス05hのビットb4からb7を“1”とする。これにより、電源回路26は全てのチャネルCh1からCh4のタイミング再生回路22および出力回路23への電力の供給を遮断する。待機モードのとき、制御回路25および保持回路28には電力が供給されている。よって、保持回路28内の設定データは保持される。制御回路10は、駆動回路13に全チャネルCh1からCh4の停止信号L7を出力する(ステップS38)。これにより、駆動回路13内の全チャネルCh1からCh4のLDD回路30の電源がオフとなる。
【0050】
図10は、実施例1においてLOS信号およびLOL信号の処理を行なう処理回路の回路図である。異常信号L1からL3として、LOS信号およびLOL信号を例に説明する。補正回路11が出力する異常信号L1に含まれるLOS信号およびLOL信号の処理を行なう処理回路50は、例えば補正回路11内に設けられている。補正回路16が出力する異常信号L2に含まれるLOL信号の処理を行なう処理回路50は、例えば補正回路16内に設けられている。増幅回路18が出力する異常信号L3に含まれるLOS信号の処理を行なう処理回路50は、例えば増幅回路18内に設けられている。LOS信号およびLOL信号は
図7(a)および
図7(c)の保持回路28内のアドレス20hのビットb0からb7のデータに相当する。
【0051】
図10に示すように、処理回路50は、OR回路52を備えている。OR回路52は、チャネルCh1からCh4のLOS信号またはLOL信号のOR処理を行なう。OR回路52の出力信号L50は制御回路10に入力する。LOS信号およびLOL信号は、ローレベルがノーマル(正常状態)を示し、ハイレベルがアラーム(シグナルのロスまたはロックのロス)を示す。チャネルCh1からCh4のうちいずれかのチャネルCh1からCh4でLOS信号がハイレベルのとき、LOS信号の出力信号L50はハイレベルとなる。チャネルCh1からCh4の全てにおいて、LOS信号がローレベルのとき、LOS信号の出力信号L50はローレベルとなる。LOL信号についても同じである。
図8のステップS20においては、例えば制御回路10は出力信号L50が変化した場合に割り込みをかける。
【0052】
図11および
図12は、
図8のステップS22において制御回路10が行なう処理を示すフローチャートである。
図11は、送信側の処理であり、
図12は受信側の処理を示す。
【0053】
図11に示すように、出力信号L50が変化し割り込みが入ると、制御回路10は、補正回路11から出力されたLOS信号の出力信号L50がアラームかノーマルかを判断する(ステップS40)。ノーマルのとき、制御回路10は、補正回路11から出力されたLOL信号の出力信号L50がアラームかノーマルかを判断する(ステップS42)。ステップS40またはS42においてアラームのとき、制御回路10は、補正回路11の保持回路28内の各チャネルCh1からCh4のLOS信号およびLOL信号を取得する(ステップS46)。制御回路10は、LOS信号およびLOL信号のいずれかがアラームのチャネルCh1からCh4に対応するLDD回路30に停止信号L7を出力する(ステップS48)。これにより、LOS信号およびLOL信号のいずれかがアラームのチャネルCh1からCh4の光信号O3は発光素子32から出力されない。その後終了し、
図8のステップS22が終了する。
【0054】
ステップS42においてノーマルのとき、制御回路10は、全てのチャネルCh1からCh4の停止信号L7を解除する(ステップS44)。これにより、全てのチャネルCh1からCh4の光信号O3が発光素子32から出力される。
【0055】
ステップS40からS48は、定期的(例えば数ミリ秒間隔)に実行する。これにより、LOS信号またはLOL信号がアラームとなったチャネルから遅れてアラームとなったチャネルに対しても停止信号L7を出力できる。
【0056】
図12に示すように、出力信号L50が変化し割り込みが入ると、制御回路10は、増幅回路18から出力されたLOS信号の出力信号L50がアラームかノーマルかを判断する(ステップS40)。ノーマルのとき、制御回路10は、補正回路16から出力されたLOL信号の出力信号L50がアラームかノーマルかを判断する(ステップS42)。ステップS40またはS42においてアラームのとき、ステップS46の後に、制御回路10は、LOS信号およびLOL信号のいずれかがアラームのチャネルCh1からCh4に対応するタイミング再生回路22および出力回路23の電源をオフさせる(ステップS47)。例えば制御回路10は
図7(a)および
図7(b)のアドレス05hのビットb4からb7のうち対応するビットを“1”とする。これにより、LOS信号およびLOL信号のいずれかがアラームのチャネルCh1からCh4の電気信号E2は補正回路16から出力されない。その後終了し、
図8のステップS22が終了する。
【0057】
ステップS42においてノーマルのとき、制御回路10は、全てのチャネルCh1からCh4のタイミング再生回路22および出力回路23の電源のオフを解除する(ステップS45)。例えば制御回路10は
図7(a)および
図7(b)のアドレス05hのビットb4からb7を全て“0”とする。これにより、全てのチャネルCh1からCh4の電気信号E2が補正回路16から出力される。その他の処理は
図11と同じであり説明を省略する。
【0058】
図13および
図14は、
図8のステップS22において制御回路10が行なう処理の別の例を示すフローチャートである。
図13は、送信側の処理であり、
図14は受信側の処理を示す。
【0059】
図13に示すように、ステップS40またはS42においてアラームのとき、制御回路10は、全てのチャネルCh1からCh4のLDD回路30に停止信号L7を出力する(ステップS52)。これにより、全てのチャネルCh1からCh4の光信号O3は発光素子32から出力されない。ステップS40およびS42においてノーマルのとき。制御回路10は、全てのチャネルCh1からCh4の停止信号L7を解除する(ステップS50)。これにより、全てのチャネルCh1からCh4の光信号O3が発光素子32から出力される。その他の処理は
図11と同じであり説明を省略する。
【0060】
図14に示すように、ステップS40またはS42においてアラームのとき、制御回路10は、全てのチャネルCh1からCh4のタイミング再生回路22および出力回路23の電源をオフさせる(ステップS53)。これにより、全てのチャネルCh1からCh4の電気信号E2は補正回路16から出力されない。ステップS40およびS42においてノーマルのとき、制御回路10は、全てのチャネルCh1からCh4のタイミング再生回路22および出力回路23の電源をオンさせる(ステップS51)。これにより、全てのチャネルCh1からCh4の電気信号E2が補正回路16から出力される。その他の処理は
図13と同じであり説明を省略する。
【0061】
実施例1によれば、
図8のステップS12のように、制御回路10(第2の制御回路)は、ホスト装置90(外部装置)からモード情報(動作モードの情報)を受信する。
図9のステップS30のように、モード情報が通常モード(第1モード)を表すとき、ステップS32のように、制御回路10は、電源回路26が電力(第1の電力)を供給するように、制御信号L4を用い設定データのうち指示信号L26に関するデータ(例えば、
図7(a)および
図7(b)のアドレス05hのビットb4からb7)を制御回路25に設定させる。
【0062】
図9のステップS30のように、モード情報が待機モード(第2モード)を表すとき、ステップS36のように、制御回路10は、電源回路26が電源(第1の電力)を遮断するように、制御信号L4を用い設定データのうち指示信号L26に関するデータを制御回路25に設定させる。保持回路28は、モード情報が通常モードおよび待機モードのいずれを表すときも電力L30(第2電力)の供給を受けて設定データを保持する。
【0063】
電源回路26および27が待機モードにおいて信号補正回路20への電力を遮断するため、消費電力を削減できる。例えば、QSFP28−LR用の光トランジーバでは、通常モードの消費電力が3.5W以下であり、待機モードの消費電力を1.5W以下とすることができる。保持回路28が待機モードにおいて信号補正回路20を制御する設定データを保持する。これにより、比較例1のように、待機モードから通常モードに切り替わるときに、制御回路10から補正回路11および16に設定データを転送しなくてもよい。よって、モード切り替えを短時間で実行することができる。例えばQSFP28−LR用の光トランジーバでは、待機モードから通常モードへの切り替えを1ミリ秒以下で行なうことができる。
【0064】
なお、実施例1では、補正回路11および16の両方で保持回路28が設定データを保持する例を説明したが、補正回路11および16の少なくとも一方で保持回路28が設定データを保持すればよい。
【0065】
また、信号補正回路20のうちタイミング再生回路22の消費電力が大きい。このため、通常モードにおいてタイミング再生回路22に電力を供給し、待機モードにおいて少なくともタイミング再生回路22の電力を遮断することが好ましい。すなわち、電源回路26は、モード情報が通常モードを表すとき、タイミング再生回路22に電力L28(第1電力の一部)を供給し、モード情報が待機モードを表すとき、電力L28を遮断することが好ましい。波形整形回路21および出力回路23の電源はオフしなくともよい。出力回路23は、集積回路の内部信号レベルをより大きい外部信号レベルに変換する。このため、出力回路23の消費電力はタイミング再生回路22の次に大きい。よって、実施例1のように、待機モードにおいて出力回路23の電力を遮断することが好ましい。待機モードにおいて波形整形回路21の電源をオフしてもよい。
【0066】
駆動回路13は発光部14を駆動させるため消費電力が大きい。そこで、
図9のように、制御回路10は、待機モードにおいて駆動回路13を停止させる(ステップS38)。制御回路10は、通常モードにおいて駆動回路13を稼動させる(ステップS33)。これにより、諸費電力を削減できる。
【0067】
さらに、実施例1では、補正回路11(第1の補正回路)が複数のチャネルCh1からCh4(送信チャネル)に相当する電気信号E1(第1の電気信号)を補正する。光送信回路12が複数のチャネルCh1からCh4に相当する電気信号E1を互いに波長の異なる光信号O3(第1の光信号)に変換する。光受信回路17は互いに波長の異なる複数のチャネルCh1からCh4(受信チャネル)に相当する複数の光信号O2(第2の光信号)を複数の電気信号E2(第2の電気信号)に変換する。補正回路16は複数のチャネルCh1からCh4に相当する複数の電気信号E2を補正する。このように、複数のチャネルCh1からCh4に対応する補正回路11および16においては、補正回路11および16の設定データが大きくなる。よって、保持回路28に設定データを保持することが好ましい。
【0068】
また、
図3のように、送信側の補正回路11が複数のチャネルCh1からCh4に相当する複数の信号補正回路20を備える。このとき、
図11のように、複数のチャネルCh1からCh4のうち、複数の信号補正回路20の異常(例えばLOL)または複数の電気信号E1の異常(例えばLOS)を示すとき、制御回路10は異常を示すチャネルCh1からCh4の光信号O3の出力を停止する。これにより、異常のあるチャネルCh1からCh4を停止できる。異常信号の例としてLOS信号およびLOL信号を説明したが、異常信号は他の信号でもよい。
【0069】
制御回路10は異常を示すチャネルCh1からCh4に相当するLDD回路30(駆動回路)を停止させる。LDD回路30は消費電力が大きいため、消費電力を抑制できる。
【0070】
受信側の補正回路16が複数のチャネルCh1からCh4に相当する複数の信号補正回路20を備える。このとき、
図12のように、複数の信号補正回路20の異常(例えばLOL)または複数の電気信号E2が異常(例えばLOS)のとき、制御回路10は電気信号E2の出力を停止する。これにより、異常のあるチャネルCh1からCh4を停止できる。
【0071】
実施例では、MSA仕様の100Gbps用QSFP28−LR4を例に説明したが、他の光トランシーバでもよい。また、1つのチャネルCh1からCh4の伝送速度として25Gbpsを例に説明したが、他の伝送速度でもよい。チャネル数が4の場合を例に説明したが、チャネル数は1または複数であればよい。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。