特許第6613862号(P6613862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6613862-電動車の充電制御装置 図000002
  • 特許6613862-電動車の充電制御装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6613862
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】電動車の充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/10 20190101AFI20191125BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20191125BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20191125BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20191125BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20191125BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20191125BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20191125BHJP
【FI】
   B60L53/10
   H02J7/00 P
   H02J7/10 J
   H02J7/00 B
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
   B60W10/26
   B60W20/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-241729(P2015-241729)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-108567(P2017-108567A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】西脇 洋渡
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 潤
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−343202(JP,A)
【文献】 特開2011−234446(JP,A)
【文献】 特開2012−100382(JP,A)
【文献】 特開2014−135833(JP,A)
【文献】 特開2009−177938(JP,A)
【文献】 特開2003−204608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/00 − 58/40
B60W 10/24 − 10/26
B60W 20/00
H01M 10/42 − 10/52
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用駆動源に電力を供給する走行用バッテリと、外部電源から送信される起動信号により起動され前記外部電源により前記走行用バッテリを充電する充電装置と、前記充電装置に動作用電力を供給する補機用バッテリと、を備える電動車の充電制御装置であって、
前記充電装置による前記起動信号の受信が不能な状態となる通信異常の有無を検出する通信異常検出部と、
前記通信異常検出部により前記通信異常が検出された場合に、前記電動車の始動操作部がオフ操作されてから予め定められた所定時間が経過するまで前記充電装置への前記動作用電力の供給を継続する充電制御部を備える、
ことを特徴とする電動車の充電制御装置。
【請求項2】
前記充電制御部は、前記補機用バッテリの残量が多いほど前記所定時間が長くなるように前記所定時間を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の電動車の充電制御装置。
【請求項3】
前記充電制御部は、前記補機用バッテリの残量が予め定められた補機用バッテリしきい値より小さい場合に、前記所定時間の経過の有無に拘わらず前記充電装置への前記動作用電力の供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の電動車の充電制御装置。
【請求項4】
前記電動車は、携帯機から無線回線を介して送信された信号に応じて前記電動車のドアの施錠および解錠を行なうドア制御部を備え、
前記充電制御部は、前記ドア制御部から送信される前記携帯機と前記電動車との離間距離を示す情報に基いて前記離間距離が予め定められた離間しきい値より大きいと判定された場合に、前記所定時間の経過の有無に拘わらず前記充電装置への前記動作用電力の供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の電動車の充電制御装置。
【請求項5】
前記通信異常検出部は、前記始動操作部がオフ操作されたときに、前記通信異常の検出を行なう、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の電動車の充電制御装置。
【請求項6】
前記充電制御部は、前記走行用バッテリの残量が予め定められた走行用バッテリしきい値以下ならば、前記補機用バッテリの残量が前記充電装置を起動するに足る最低値に到達するまで、前記所定時間の経過の有無に拘わらず、前記充電装置への前記動作用電力の供給を継続する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の電動車の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車に搭載された走行用バッテリの充電動作を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車あるいはプラグインハイブリッド自動車のような電動車は、走行用の駆動源に電力を供給する走行用バッテリと、外部電源から供給される電力により走行用バッテリを充電する充電装置とを備えている。
また、充電装置は、走行用バッテリとは別に設けられた補機用バッテリから供給される動作用電力によって動作する。
走行用バッテリを充電する外部電源として、例えば、住宅などのコンセントに供給される商用電源を用いる場合、外部電源による走行用バッテリの充電は以下のようになされる。
電動車を駐車させ、電動車のパワースイッチ(イグニッションスイッチ)をオフ操作する。これにより、いったん充電装置はオフ状態とされる。
次いで、商用電源に接続された充電器側コントローラの充電ケーブルに設けられた給電コネクタを、電動車の充電装置に接続された受電コネクタに接続する。
この際、充電装置の起動を指示する起動信号が充電器側コントローラから充電ケーブル、給電コネクタ、受電コネクタを介して充電装置に供給され、起動信号を受信した充電装置は起動される。
起動された充電装置は、補機用バッテリから供給される動作用電力を消費しつつ充電動作を開始し、外部電源を用いて走行用バッテリの充電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−135833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車側において、起動信号の受信が正常になされず通信異常が発生することが考えられ、このような通信異常は、例えば、受電コネクタから充電装置までの間の通信経路の断線などの故障によって生じる。
このような通信異常が発生すると、給電コネクタを受電コネクタに接続しても充電装置が起動されず、走行用バッテリの充電が不能となる。そのため、走行用バッテリの残量が不足して、例えば、電動車を修理工場まで走行させることが困難となるなど不便なものとなる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、外部電源による充電動作を開始するために必要な通信の異常が発生した場合であっても走行用バッテリの充電を許容することでユーザの利便性の向上を図る上で有利な電動車の充電制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、走行用駆動源に電力を供給する走行用バッテリと、外部電源から送信される起動信号により起動され前記外部電源により前記走行用バッテリを充電する充電装置と、前記充電装置に動作用電力を供給する補機用バッテリと、を備える電動車の充電制御装置であって、前記充電装置による前記起動信号の受信が不能な状態となる通信異常の有無を検出する通信異常検出部と、前記通信異常検出部により前記通信異常が検出された場合に、前記電動車の始動操作部がオフ操作されてから予め定められた所定時間が経過するまで前記充電装置への前記動作用電力の供給を継続する充電制御部を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記充電制御部は、前記補機用バッテリの残量が多いほど前記所定時間が長くなるように前記所定時間を設定することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記充電制御部は、前記補機用バッテリの残量が予め定められた補機用バッテリしきい値より小さい場合に、前記所定時間の経過の有無に拘わらず前記充電装置への前記動作用電力の供給を停止することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記電動車は、携帯機から無線回線を介して送信された信号に応じて前記電動車のドアの施錠および解錠を行なうドア制御部を備え、前記充電制御部は、前記ドア制御部から送信される前記携帯機と前記電動車との離間距離を示す情報に基いて前記離間距離が予め定められた離間しきい値より大きいと判定された場合に、前記所定時間の経過の有無に拘わらず前記充電装置への前記動作用電力の供給を停止することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記通信異常検出部は、前記始動操作部がオフ操作されたときに、前記通信異常の検出を行なうことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記充電制御部は、前記走行用バッテリの残量が予め定められた走行用バッテリしきい値以下ならば、前記補機用バッテリの残量が前記充電装置を起動するに足る最低値に到達するまで、前記所定時間の経過の有無に拘わらず、前記充電装置への前記動作用電力の供給を継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、外部電源による充電動作を開始するために必要な通信の異常が発生した場合であっても走行用バッテリの充電を許容することができるので、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、補機用バッテリの残量を確保しつつ、外部電源による走行用バッテリの充電を開始できる時間を長く確保でき、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、充電装置の動作を確保しつつ、補機用バッテリの残量を確保できるため、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、外部電源による走行用バッテリへの充電を行なう可能性が低い場合に、補機用バッテリの無駄な電力消費を抑制でき、補機用バッテリの残量を確保する上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、電動車の始動後、走行中に通信異常が発生した場合であっても通信異常を確実に検出できるため、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、充電装置を起動するに足る補機用バッテリの残量を確保しつつ、外部電源による走行用バッテリの充電を開始できる時間を長く確保することで走行用バッテリの充電を行える可能性を高めることができ、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態における電動車の充電制御装置に外部電源が接続された状態を示すブロック図である。
図2】実施の形態における電動車の充電制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、本明細書において、電動車とは、外部電源によって充電可能な走行用バッテリを有する自動車をいい、走行用の駆動源として電動モータのみを有する電気自動車、走行用の駆動源として電動モータとエンジンとの双方を有するプラグインハイブリッド自動車を含むものとする。
図1に示すように、電動車10は、走行用バッテリ12、補機用バッテリ14、電動車側充電コントローラ16、報知部18、始動操作部20、ドア制御ECU22、上位ECU24などを含んで構成されている。
走行用バッテリ12は、不図示のインバータを介して不図示の電動モータ(走行用駆動源)に駆動用の交流電力を供給するものである。
補機用バッテリ14は、電動車10に搭載された様々な補機類、および、後述する電動車側充電コントローラ16、ドア制御ECU22、上位ECU24に直流の動作用電力を供給するものであり、動作用電力の電圧は例えば12Vである。
補機用バッテリ14は、エンジンの駆動力(あるいは電動車10の走行)により発電する不図示の発電機から供給される電力により充電され、あるいは、走行用バッテリ12から不図示のDCDCコンバータを介して供給される電力により充電される。
【0009】
電動車側充電コントローラ16は、外部電源28に接続された後述する充電器30から送信される起動信号Sにより起動され外部電源28により走行用バッテリ12を充電するものである。
電動車側充電コントローラ16は、車体の適宜箇所に設けられた受電コネクタ32に第1の通信線L1と、受電用配線PLとを介して接続されている。
第1の通信線L1は、後述する充電器側コントローラ34から送信される起動信号Sを電動車側充電コントローラ16に送信するものである。
受電用配線PLは、充電器側コントローラ34から供給される外部電源28からの電力を電動車側充電コントローラ16に供給するものである。
また、電動車側充電コントローラ16は、CAN(Controller Area Network)バスBを介して上位ECU24と通信可能に接続されており、上位ECU24の制御に基いて走行用バッテリ12の充電の制御の開始、終了を行なう。
電動車側充電コントローラ16は、走行用バッテリ12の残量として充電容量(SOC:State Of Charge)を監視しており、充電容量に基いて充電開始の可否を判断すると共に、充電容量に基いて充電動作の終了を制御する。
【0010】
報知部18は、上位ECU24の制御に基いてドライバーに電動車10の状態を示す情報を報知するものである。
本実施の形態では、報知部18は、起動信号Sの通信異常の発生、あるいは、通信異常を含む何らかの故障の発生を報知するメータパネルの警告灯で構成されている。
また、報知部18は、警告灯に限定されるものではなく、スピーカーから起動信号Sの通信異常の発生(あるいは故障の発生)を報知する音声アナウンス、あるいは、警告音を発生する音声出力部で構成されていてもよい。
【0011】
始動操作部20は、電動車10を始動させる際にオン操作され、電動車10の動作を停止させる際にオフ操作されるものであり、イグニッションスイッチ、あるいは、パワースイッチで構成される。
【0012】
ドア制御ECU22は、ドライバーが携帯する携帯機36(電子キー)から無線回線を介して送信された信号に応じて電動車10のドアの施錠および解錠を行なうものであり、ドア制御部を構成している。
ドア制御ECU22は、携帯機36との間で無線電波を送受信すると共に、携帯機36から送信される無線電波の受信強度に基いて電動車10と携帯機36(ドライバー)との離間距離を検出するように構成されている。
また、ドア制御ECU22は、CANバスB、あるいは、CANバスBよりも下位のバスを介して上位ECU24と通信可能に接続されており、施錠、解錠にまつわる情報と離間距離の情報とを上位ECU24に送信する。
【0013】
上位ECU24は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成されており、制御プログラムを実行することにより動作する。
本実施の形態では、上位ECU24および電動車側充電コントローラ16は、外部電源28から送信される起動信号Sにより起動され外部電源28により走行用バッテリ12を充電する充電装置26を構成している。
また、上位ECU24は、電動車10の走行制御を含む電動車10の全体の電子的な制御を行うものであって電動車側充電コントローラ16による充電の開始、終了などの動作を制御する。
また、上位ECU24は、第2の通信線L2を介して電動車側充電コントローラ16と接続されており、充電器側コントローラ34から送信される起動信号Sを、充電ケーブル38、給電コネクタ40、受電コネクタ32、電動車側充電コントローラ16から第2の通信線L2を介して受信することで起動される。
【0014】
上位ECU24は、CPUが制御プログラムを実行することにより、通信異常検出部24Aと、充電制御部24Bとを実現するものである。
通信異常検出部24Aは、上位ECU24による起動信号Sの受信が不能な状態となる通信異常の有無を検出するものである。
通信異常の有無は、第1の通信線L1の断線、第2の通信線L2の断線、電動車側充電コントローラ16の故障などによって発生する。
本実施の形態では、通信異常検出部24Aは、始動操作部20がオフ操作されたときに通信異常の検出を行なう。
また、上位ECU24は、タイマ24Cを有しており、タイマ24Cに予め定められた所定時間を設定してタイマ24Cを起動させることで、始動操作部20がオフ操作されてから所定時間が経過したか否かを判定できるように構成されている。
【0015】
充電制御部24Bは、通信異常検出部24Aにより通信異常が検出されている場合に、電動車10の始動操作部20がオフ操作されてから予め定められた所定時間が経過するまで充電装置26への動作用電力の供給を継続するものである。また、充電制御部24Bは、所定時間以内に外部電源28による充電がなされない場合は、充電装置26への前記動作用電力の供給を停止するものである。
充電制御部24Bは、CANバスB、電動車側充電コントローラ16を介して走行用バッテリ12の残量および補機用バッテリ14の残量を検出する。
また、充電制御部24Bは、CANバスB、電動車側充電コントローラ16を介して充電器30の給電コネクタ40が受電コネクタ32に接続されたか否かを検出する。
充電制御部24Bは、補機用バッテリ14の残量が多いほど所定時間が長くなるように所定時間を設定する。
また、充電制御部24Bは、ドア制御ECU22から送信される携帯機36と電動車10との離間距離を示す情報に基いて離間距離が予め定められた離間しきい値より大きいと判定された場合に、所定時間の経過の有無に拘わらず充電装置26への動作用電力の供給を停止する。
また、充電制御部24Bは、補機用バッテリ14の残量が予め定められた補機用バッテリしきい値より小さいと判定された場合に、所定時間の経過の有無に拘わらず充電装置26への動作用電力の供給を停止する。
補機用バッテリしきい値は、補機用バッテリ14の残量が充電装置26および補機類に対して動作用電力を供給するに足る値として定められている。
【0016】
次に、充電器30について説明する。本実施の形態では、外部電源28として住宅などのコンセントに供給される商用電源を用いる場合について説明する。
充電器30は、コンセントに接続されるプラグ42と、プラグ42に接続ケーブル44を介して接続される充電器側コントローラ34と、充電器側コントローラ34に接続される充電ケーブル38と、充電ケーブル38の先端に設けられた給電コネクタ40とを含んで構成されている。
充電ケーブル38は、起動信号Sを通信するための通信線38Aと、外部電源28からの電力を供給するための電源線38Bとを備えている。
充電器側コントローラ34は、給電コネクタ40が電動車10の受電コネクタ32に接続されると、外部電源28による走行用バッテリ12の充電を行なうに先立って起動信号Sを通信線38Aを介して送信し、また、走行用バッテリ12の充電が可能な状態であれば外部電源28の電力を電源線38Bを介して受電コネクタ32に供給する。
【0017】
次に、充電制御装置の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。
予め、電動車10は、外部電源28による充電が可能なスペースに停車した状態にあるものとする。
始動操作部20がオフ操作されると(ステップS10)、上位ECU24は、起動信号Sの通信異常の有無を検出する(ステップS12:通信異常検出部24A)。
通信異常が無ければ、上位ECU24は、充電装置26への動作用電力の供給を停止し、充電装置26をシャットダウンする(ステップS32:充電制御部24B)。
なお、この後、ユーザーが外部電源28による充電を行なう場合は、充電器30の給電コネクタ40を電動車10の受電コネクタ32に接続することで、充電器側コントローラ34から起動信号Sが充電ケーブル38、第1の通信線L1、電動車側充電コントローラ16、第2の通信線L2を介して上位ECU24に送信され、上位ECU24は、充電器側コントローラ34から供給される電力による走行用バッテリ12の充電を行なう。
【0018】
通信異常が有りと検出されると、上位ECU24は、報知部18により通信異常の発生(あるいは何らかの故障の発生)を報知させる(ステップS13:充電制御部24B)。
したがって、ユーザは通信異常の発生(あるいは何らかの故障の発生)を認識することができる。また、ユーザが電動車10の外部にいるため、報知部18の報知を認識できなかったとしても、次回、電動車10の始動時に上位ECU24が報知部18による報知を再度実行するため、ユーザは通信異常の発生(あるいは何らかの故障の発生)を認識して、電動車10を修理工場に走行させるといった対処をとることができる。
【0019】
次いで、上位ECU24は、補機用バッテリ14の残量に応じて設定された所定時間をタイマ24Cに設定してタイマ24Cを起動させる(ステップS16:充電制御部24B)。所定時間は、前述したように補機用バッテリ14の残量が多いほど長くなるように設定される。
したがって、始動操作部20がオフ操作されてから経過する時間がタイマ24Cによって検出されることになる。
【0020】
次いで、上位ECU24は、補機用バッテリ14の残量を検出する(ステップS18:充電制御部24B)。
そして、上位ECU24は、補機用バッテリ14の残量が補機用バッテリしきい値より小さいか否かを判定する(ステップS20:充電制御部24B)。
補機用バッテリ14の残量が補機用バッテリしきい値より小さければ、上位ECU24は、充電装置26への動作用電力の供給を停止し、充電装置26をシャットダウンする(ステップS32:充電制御部24B)。すなわち、補機用バッテリ14の残量が補機用バッテリしきい値より小さいと判定された場合に、所定時間の経過の有無に拘わらず充電装置26への動作用電力の供給を停止する。これにより、補機用バッテリ14の電力消費が抑制され、補機用バッテリ14の残量が確保される。
一方、補機用バッテリ14の残量が補機用バッテリしきい値より小さくなければ、すなわち、補機用バッテリしきい値以上ならば、上位ECU24は、ドア制御ECU22で検出された電動車10と携帯機36との離間距離が離間しきい値より大きいか否かを判定する(ステップS22:充電制御部24B)。
離間距離が離間しきい値より大きければ、上位ECU24は、ユーザーが電動車10から大きく離れており、外部電源28による充電操作を行なう可能性が低いものとして、充電装置26への動作用電力の供給を停止し、充電装置26をシャットダウンする(ステップS32:充電制御部24B)。すなわち、離間距離が予め定められた離間しきい値より大きいと判定された場合に、所定時間の経過の有無に拘わらず充電装置26への動作用電力の供給を停止する。これにより、補機用バッテリ14の電力消費が抑制され、補機用バッテリ14の残量が確保される。
【0021】
一方、離間距離が離間しきい値より大きくなければ、上位ECU24は、ユーザーが電動車10の近くにおり、外部電源28による充電操作を行なう可能性が高いものとして動作を継続する。
すなわち、タイマ24Cの計時結果に基いて所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS24:充電制御部24B)。
所定時間が経過したと判定された場合は、外部電源28による充電操作を行なう可能性が低いものとして、充電装置26への動作用電力の供給を停止し、充電装置26をシャットダウンする(ステップS32:充電制御部24B)。これにより、充電装置26への動作用電力の供給が停止されることで、補機用バッテリ14の電力消費が抑制され、補機用バッテリ14の残量が確保される。
所定時間が経過したと判定されない場合は、上位ECU24は、充電器30の給電コネクタ40が受電コネクタ32に接続されたか否かを判定する(ステップS26:充電制御部24B)。
給電コネクタ40が受電コネクタ32に接続されていなければ、ステップS18に戻り、同様の処理を繰り返す。
給電コネクタ40が受電コネクタ32に接続されていれば、上位ECU24は、電動車側充電コントローラ16に外部電源28による充電動作の開始を指示し、これにより外部電源28による走行用バッテリ12への充電が実行される(ステップS28:充電制御部24B)。
電動車側充電コントローラ16は、走行用バッテリ12の充電が完了したか否かを判定し、その判定結果を上位ECU24に送信する(ステップS30)。
上位ECU24は、充電が完了してなければ、ステップS28に戻り電動車側充電コントローラ16による充電を継続させ、充電が完了していれば電動車側充電コントローラ16による充電を終了させ、充電装置26への動作用電力の供給を停止し、充電装置26をシャットダウンする(ステップS32:充電制御部24B)。
【0022】
本実施の形態によれば、通信異常検出部24Aにより通信異常が検出されている場合に、始動操作部20がオフ操作されてから予め定められた所定時間が経過するまで充電装置26への動作用電力の供給を継続するようにした。
したがって、始動操作部20がオフ操作されてから所定時間以内に外部電源28による充電を開始すれば走行用バッテリ12の充電を行なうことができる。
そのため、外部電源28による充電動作を開始するために必要な通信の異常が発生した場合であっても走行用バッテリ12の充電を許容することができるので、例えば、電動車10を修理工場まで走行させることができ、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、充電制御部24Bは、補機用バッテリ14の残量が多いほど所定時間が長くなるように所定時間を設定するようにした。
したがって、補機用バッテリ14の残量を確保しつつ、外部電源28による走行用バッテリ12の充電を開始できる時間を長く確保でき、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、補機用バッテリ14の残量が予め定められた補機用バッテリしきい値より小さいと判定された場合に、所定時間の経過の有無に拘わらず充電装置26への動作用電力の供給を停止するようにした。
したがって、補機類および充電装置26の動作を確保しつつ、補機用バッテリ14の残量を確保できるため、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
【0025】
また、本実施の形態によれば、携帯機36と電動車10との離間距離が予め定められた離間しきい値より大きい判定された場合に、所定時間の経過の有無に拘わらず補機用バッテリ14から充電装置26への動作用電力の供給を停止するようにした。
したがって、外部電源28による走行用バッテリ12への充電を行なう可能性が低い場合に、補機用バッテリ14の無駄な電力消費を抑制でき、補機用バッテリ14の残量を確保する上で有利となる。
【0026】
本実施の形態では、通信異常検出部24Aは、始動操作部20がオフ操作されたときに、通信異常の検出を行なう場合について説明したが、通信異常検出部24Aは、始動操作部20がオン操作されたときに、すなわち、電動車10の始動時に通信異常の検出を行なうようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のように、始動操作部20がオフ操作されたときに、通信異常の検出を行なうようにすると、電動車10の始動後、走行中に通信異常が発生した場合であっても通信異常を確実に検出できるため、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
【0027】
なお、プラグインハイブリッド車では、外部電源28で走行用バッテリ12を充電することに加え、エンジンにより発電した電力でも走行用バッテリ12を充電できるため、エンジンを始動するセルモータの動作を確実に行なう観点から、補機用バッテリ14の残量をなるべく多く確保することが好ましい。
したがって、本実施の形態のように、補機用バッテリ14の残量が補機用バッテリしきい値より小さいならば、充電装置26への動作用電力の供給を停止することで、補機用バッテリ14の電力消費の抑制を図り、補機用バッテリ14の残量を確保することが好ましい。
一方、電気自動車では、通常、外部電源28以外で走行用バッテリ12を充電する方法がないため、プラグインハイブリッド車と異なり、走行用バッテリ12を充電することが補機用バッテリ14の残量を確保することよりも重要となる。
つまり、補機用バッテリ14の残量は、充電装置26を起動するに足る最低値であればよいため、最低値は、上述した補機用バッテリしきい値よりも低い値でよい。
この場合、補機用バッテリ14が最低値であっても、走行用バッテリ12に電動車10を走行するに足る残量が確保されていれば、電動車10を走行させることにより発電機で補機用バッテリ14を充電することができるためである。あるいは、補機用バッテリ14が最低値であっても、走行用バッテリ12に電動車10を走行するに足る残量が確保されていれば、走行用バッテリ12の電力を用いて補機用バッテリ14を充電することができるためである。言い換えると、補機用バッテリ14への充電は電動車10が走行できる状態にあることが必要な条件となる。
したがって、特に電気自動車の場合、充電制御部24Bは、走行用バッテリ12の残量が予め定められた走行用バッテリしきい値以下ならば、補機用バッテリ14の残量が充電装置26を起動するに足る最低値に到達するまで、所定時間の経過の有無に拘わらず、補機用バッテリ14から充電装置26への動作用電力の供給を継続するようにすることが好ましい。
このようにすると、充電装置26を起動するに足る補機用バッテリ14の残量を確保しつつ、外部電源28による走行用バッテリ12の充電を開始できる時間を長く確保することで走行用バッテリ12の充電を行える可能性を高めることができ、ユーザの利便性の向上を図る上で有利となる。
【符号の説明】
【0028】
10 電動車
12 走行用バッテリ
14 補機用バッテリ
16 電動車側充電コントローラ
18 報知部
20 始動操作部
22 ドア制御ECU
24 上位ECU
24A 通信異常検出部
24B 充電制御部
24C タイマ
26 充電装置
28 外部電源
30 充電器
32 受電コネクタ
34 充電器側コントローラ
36 携帯機
38 充電ケーブル
38A 通信線
38B 電源線
40 給電コネクタ
L1 第1の通信線
L2 第2の通信線
PL 受電用配線
B CANバス
図1
図2