(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の本発明について、以下にさらに詳しく説明する。
<1>本発明の積層体及びそれを用いた包装材料の層構成
図1は、本発明の反射性遮光性積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。本発
明の積層体は、
図1に示すように、基材層1と、遮蔽層2と、該遮蔽層2上に印刷してなる遮光層3とからなる構成を基本構造とするものである。ここで、遮蔽層2は、白インキを1層又は2層以上印刷してなる層である。また、遮光層3は、遮蔽層2上に遮光インキを印刷してなる層である。図示しないが、遮光層3上にさらに白インキを印刷して、包装材料に適用した際に最内面となって、遮光層3を保護し且つ滑り性を付与する滑り性付与層を設けてもよい。
図2に示すように、基材層1と遮蔽層2との間に、基材層1上に印刷インキを裏刷り印刷してなる絵柄印刷層4を設けてもよい。または、
図3に示すように、基材層の遮蔽層を設けた面と反対側(外面側)に、印刷インキを表刷り印刷してなる絵柄印刷層6を設けてもよい。表刷り印刷を行う前に、基材層上に白インキをベタ印刷して、白インキ層5を設けてもよい。また、絵柄印刷層6上に、オーバープリントニス(OPニス)等からなる表面保護層を設けてもよい。
本発明の積層体は、それ自体で、例えばシュリンクラベルのような包装材料として使用することができる。あるいは、
図4又は
図5に示すように、内面側(裏面側)に、バリア層や補強層等の中間層C、及び/又は、ヒートシール層Bを設けてもよい。
次に、本発明の積層体を構成する材料、その製造方法等について説明する。また、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものを用いることとする。
【0012】
<2>基材層
本発明において、基材層は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ビニロン、セロハン等の合成樹脂を主体とする各種の樹脂のフィルムを使用することができる。
これらは単独で使用してもよく、又は、2又はそれ以上の樹脂をブレンドするか、2層以上を積層した多層フィルムを使用することもできる。また、これらのフィルムは、未延伸であっても、一軸方向又は二軸方向等に延伸されたものであってもよい。さらに、熱収縮性延伸フィルムであっても、非熱収縮性であってもよい。
【0013】
熱収縮性である場合は、単独の層で形成したもののほか、複数の層を積層して形成した積層構成の熱収縮性フィルムも使用することができる。また、通常は横一軸延伸の熱収縮性フィルムが用いられるが、用途など、必要に応じて、縦横の収縮のバランスを採った二軸延伸の熱収縮性フィルムを使用することもできる。
熱収縮性フィルムの熱収縮率は、その用途に応じて当業者が適宜に調整できるが、例えばテンター方式等を用いてフィルムの流れの直角方向(TD方向)に一軸延伸し、90℃の温水に10秒間浸漬させたとき、TD方向の熱収縮率が50〜90%となるように調整して製造した熱収縮性樹脂フィルムを使用できる。ここで、熱収縮率は、以下の式によって求められる数値である。
熱収縮率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/(加熱前の寸法)×100
【0014】
裏刷り印刷に適用する場合は、高い透明性が得られるため、PETフィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、PETとポリスチレン系樹脂とのハイブリッドフィルム等が好ましい。
基材層を構成するフィルムの厚みとしては、包装用途等によって当業者が適宜に選択することができるが、特に限定されないが、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない
範囲で適宜選択され、5〜90μmが好ましく、9〜70μmが望ましい。
上記の基材層を構成するフィルムは、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤が添加されたものであってよい。また、フィルムの表面には、印刷性を向上させるためにコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。
【0015】
<3>遮蔽層
遮蔽層は、その下に印刷される遮光層の色味を遮蔽する層であって、白インキを1層又は2層以上印刷してなる層である。
白インキの層を多層にするほど、あるいは層厚を厚くするほど、遮蔽効果が高まり、より明るくくすみのない白色が得られるが、印刷工程における色数制限によるデザイン自由度の低下や、コストの高騰等の問題から、遮蔽層の厚さや層数には限界がある。したがって、遮蔽層の厚さとしては、絵柄印刷のデザイン等の条件に応じて当業者が適宜に選択することができるが、例えば0.1〜10μmであり、好ましくは0.2〜5μmである。遮蔽層が薄過ぎると、遮光層の色味を十分に隠蔽できず、白色度が低下する。
【0016】
本発明において、白インキとしては、通常のグラビアインキまたはオフセットインキ等のインキ用バインダ樹脂に、白色顔料を加え、必要に応じて任意の助剤等を加え、溶剤や希釈剤等で混錬してなる、慣用の白インキを使用することができる。ここで、白色顔料としては特に限定されず、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、これらの2種類以上からなる混合物等を使用することができるが、コスト面等から最も一般的な酸化チタンが好適に使用される。
【0017】
また、白色顔料とバインダ樹脂との質量配合比は、所望の白色度・明度や遮蔽層の厚み等に応じて、当業者が適宜に選択することができるが、例えば、白色顔料:バインダ樹脂=4〜5:1〜0.8である。高い白色遮蔽性を発揮するために、コンクタイプの白インキを用いることが好ましい。
このような白インキを、上記の厚さで基材層上に印刷することにより、遮光層の色味を遮蔽するだけでなく、紫外線に対して遮断性を発揮する。
遮蔽層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の通常の印刷方式により、必要に応じて全面ベタ、あるいは部分コートで形成することができる。
【0018】
<4>遮光層
遮光層は、外側から基材及び遮蔽層を透過してきた光(紫外線及び可視光線)を反射することにより、内部への到達を防ぐ層であって、遮光インキを印刷してなる層である。
遮光層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の通常の印刷方式により、必要に応じて全面ベタ、あるいは部分コートで印刷することができ、1層であっても、2層以上重ね刷りして形成してもよい。
本発明において、遮光インキは、通常のグラビアインキまたはオフセットインキ等に使用されるバインダ樹脂に、アルミニウム粒子を加え、必要に応じて任意の助剤等を加え、溶剤や希釈剤等で混錬してなる。
【0019】
アルミニウム粒子の形状としては、球状及び鱗片状(フレーク状)のいずれも用いることができる。特に、インキ膜の全面に並んで粒子間の隙間が生じにくいため、鱗片状(フレーク状)のものが好ましい。そのサイズとしては、当業者が適宜に選択することができるが、例えば平均厚み(t)が0.1〜1.0μm、さらには0.1〜0.2μmであるものは、好適に使用することができる。
アルミニウム粒子は、高い白色度及び光沢性を示し、反射によって優れた遮光性が得られる。さらに、基材層が熱収縮性フィルムからなる場合、例えばシュリンクラベル包装材として使用する場合に、アルミニウム粒子からなる遮光層は、熱収縮後に密な表面形状を
とり、粒子間の隙間がさらに小さくなり、一層高い遮光性を発揮することができる。したがって、本発明の積層体からなるシュリンクラベルは、アルミニウム粒子を含む遮光インキを薄く印刷した場合であっても、熱収縮後に十分に優れた遮光性を発揮することが可能であり、外部からの擦れや衝撃によるインキ凝集間での剥離が生じにくく、且つ、低コストで製造することができる。
上記アルミニウム粒子が鱗片状である場合、リーフィングタイプ及びノンリーフィングタイプのいずれであってもよい。
【0020】
本発明の積層体において、波長500〜600nmの可視光線の領域にわたって、透過率が10%以下となるように、さらには3%以下となるように、遮光層を設けることが好ましい。また、基材層が熱収縮性フィルムである場合は、所望の熱収縮後の積層体が、上記の範囲の透過率となるように遮光層を設けることが好ましい。
波長500〜600nmの可視光線透過率が上記の範囲であることにより、内容物、例えばヨーグルト等の飲料や液体調味料、各種液体医薬品、化学薬品における菌の繁殖を防ぐことができ、変質や変色、風味の劣化等を長期にわたって防ぎ、保存性を顕著に向上させることができる。
【0021】
遮光層が所望の遮光性を発揮するものとなるように、当業者は、遮光インキ中のアルミニウム粒子の濃度や、遮光層の厚さ等を適宜に設定することができる。
具体的には、アルミニウム粒子の濃度は、所望の遮光性や遮光層の層厚以外にも、基材層の熱収縮率等に応じて決定することができるが、例えば、アルミニウム粒子とバインダ樹脂との質量配合比が、アルミニウム粒子:バインダ樹脂=2:2.5〜3.5であることが好ましい。アルミニウム粒子の濃度が高いほど遮光性が得られるが、濃度が高すぎると塗膜形成性が損なわれ、均質なインキ膜が得られない。アルミニウム粒子の濃度が低いと、可視光線透過率が10%を超え、十分な遮光性が得られない。
同様に、遮光層の厚さとしては、例えば0.1〜10μmであり、好ましくは0.2〜5μmである。遮光層が薄過ぎると、可視光線透過率が10%を超え、十分な遮光性が得られない。逆に遮光層が厚過ぎると、遮光インキは分子間の凝集力が特に弱い傾向にあるため、外部からの擦れや衝撃によって遮光層の剥離が生じ易くなり、また、コスト面においても不利である。
【0022】
本発明の積層体をシュリンクラベルに適用する場合は、熱収縮後に遮光性が高まることを考慮して、遮光層をより薄く、例えば0.4μm以下、さらには0.2μm以下とすることも可能である。このように遮光層を薄く設けても、熱収縮後の可視光線(380〜780nm、特に、波長500〜600nm)透過率は、収縮率に応じて熱収縮前の2分の1以下とすることも可能である。
【0023】
<5>絵柄印刷層
基材層が、透明性又は透光性を有する樹脂フィルムからなる場合、基材層と遮蔽層との間に、印刷インキを裏刷り印刷して絵柄印刷層を設けてもよい。裏刷り印刷することにより、摩擦や引掻き等による絵柄模様の脱落が防がれるため、多種多様な包装用途への適用が可能となる。
また、裏刷り印刷の代わりに、あるいは裏刷り印刷に加えて、基材層の外面側(表面側)に、必要に応じて白インキ層を設けた後で、表刷り印刷を行って絵柄印刷層を設けてもよい。表刷り印刷による印刷層を設けた場合は、その表面を保護するために、OPニスをコーティングする等によって表面保護層を設けることが好ましい。
絵柄印刷層は、通常のグラビアインキ、オフセットインキ、凸版インキ、シルクスクリーンインキ等の印刷インキを使用し、これを、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、転写印刷方式等の印刷方式により、文字、記号、図形、絵柄等からなる装飾性印刷模様の層を設けることにより形成される。
印刷絵柄層の厚みとしては、特に限定されないが、1〜10μm位が好ましく、2〜5μm位が望ましい。
【0024】
<6>滑り性付与層
滑り性付与層は、シュリンクフィルムとして包装容器を被覆する際に、本発明の積層体の最内面となって遮光層を保護し、且つ、包装容器の表面との滑り性をよくするために設けられる層であって、上記遮光層上にインキを印刷してなる。
本発明において、滑り性付与層を形成するインキとしては、上述の遮蔽層と同じ慣用の白インキを使用することができる。白色顔料とバインダ樹脂との質量配合比は、当業者が適宜に選択することができるが、より好ましくは、白色顔料の配合比が上記遮蔽層より少ないタイプのものが好適に使用され、例えば、白色顔料:バインダ樹脂=2.5:1〜3:0.8の配合比である。白色顔料の配合比を、滑り性が保持される範囲で少なくすることにより、滑り性付与層からの照り返しによる反射光量が減少し、表側(すなわち遮蔽層側)から観察した際の白色度及び明度を一層高めることができる。
【0025】
滑り性付与層の厚さとしては、特に規定されないが、例えば0.1〜1μmである。これより薄いと、十分な滑り性を付与することができない。逆にこれより厚いと、外部からの擦れや衝撃により、層の剥離が生じ易くなる。
滑り性付与層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の通常の印刷方式により、必要に応じて全面ベタ、あるいは部分コートで形成することができる。
【0026】
<7>白色度
本発明の積層体は、遮光層が銀色を呈するため、白インキからなる遮蔽層及び絵柄印刷層にくすみが生じず、鮮明な絵柄を得ることができる。特に、印刷インキを印刷してなる絵柄印刷層を設けていない部分においては、高い白色度及び明度が得られ、外面側(表面側)から測定したL
*a
*b
*表色系の明度L
*値を82以上、さらには88以上とすることも可能である。
この程度の高いL
*値を有する白色フィルムは、明るく鮮明な絵柄印刷層を設けることができ、高いデザイン性を示す包装材料が得られる。L
*値が82より低いと、外観が灰色味を帯びて、包装ラベルとしての装飾性が損なわれる。
なお、本発明において、L
*a
*b
*表色系の明度L
*値は、JIS Z 8729に準じて測定される値である。
【0027】
<8>製造方法
本発明の一態様において、基材層の一方の面上に、積層体のL
*値が82以上となるように白インキを1層又は2層以上印刷して遮蔽層を設け、次いで、この遮蔽層上に、所望の遮光性が得られるように遮光インキを印刷して遮光層を設けることにより、本発明の積層体を製造することができる。
さらに、所望に応じて、遮光層を設けた後で、遮光層上に白インキを印刷して滑り性付与層を設けてもよい。また、遮蔽層を設ける前に、基材層上に印刷インキを裏刷り印刷して絵柄印刷層を設け、その上に遮蔽層を設けてもよい。又は、基材層の他方の面上に、印刷インキを表刷り印刷して絵柄印刷層を設け、さらに場合により、OPニスをコーティングして表面保護層を設けてもよい。
【0028】
<9>包装材料
本発明の積層体は、それ自体で、あるいは内面側となる遮光層の側に、中間層及び/又はヒートシール層を積層して、包装材料として用いることができる。
本発明の一態様において、基材層が熱収縮性フィルムである本発明の積層体は、包装容器の表面を被覆するために使用される遮光性シュリンクラベルとして好適に使用される。
図6は、本発明の積層体からなる遮光性シュリンクフィルムの一形態として、筒状のシ
ュリンクラベルを示す概略的斜視図である。
図6に示すように、本発明の熱収縮性積層体を、(最内層)遮光層/遮蔽層/基材層(最外層)となるようにして、その両端部である上端部7a及び下端部7bを重ね合せ、重ね合せ部分を熱融着あるいは接着剤を介して貼り合わせ、あるいは、溶剤シールによりシール部を形成して、筒状体からなる遮光性シュリンクラベルを形成することができる。なお、遮光性シュリンクラベルは、チューブ状のものを用いても構わない。
【0029】
このような筒状シュリンクラベルは、例えば、これを自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、内容物を充填密封後の容器本体の外表面に嵌着し、次いで、シュリンクトンネル等に通して所定温度(例えば、80〜200℃程度)の熱風や、水蒸気及び水蒸気が結露した湯気により加熱するスチームや、赤外線等の輻射熱を作用させることにより、シュリンクラベルを容器の周方向に高収縮させて容器本体を被覆し、被覆部分に遮光性を付与することができる。
なお、ミシン目8は、例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法等により施すことができる。また、該ミシン目8は筒状体からなるシュリンクラベル10を製造する工程、即ち、シュリンクフィルム断裁工程、筒貼り工程、シュリンクラベル断裁工程のうち、適宜の段階で施すことができる。
本発明の積層体からなる遮光性シュリンクフィルム10で包装する被装着物(容器)としては、例えば、プラスチック製容器、ガラス製容器等の容器などが挙げられる。前記のプラスチック製容器を構成する樹脂として、例えば、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体やポリスチレンなどのスチレン系重合体等のビニル重合体、ポリエステル、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。前記の樹脂は発泡樹脂(例えば、発泡スチロール樹脂など)であってもよい。
【0030】
本発明の別の態様において、
図4又は
図5に示すように、本発明の積層体の遮光層の側に、中間層及び/又はヒートシール層を積層することにより、包装袋や蓋材等の包装材料として好適に用いることができる。
中間層としては、各種ガスバリア性フィルムや補強フィルムが挙げられる。ガスバリア性フィルムとしては、無機酸化物や金属を蒸着した蒸着フィルムや、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロンMXD6、ポリアクリロニトリル(PAN)等のガスバリア性樹脂フィルム、アルミニウム箔等の金属フィルム等が挙げられる。補強フィルムとしては、積層体の強靭性、屈曲性及び耐突き刺し性を向上させるために、2軸延伸ナイロンフィルムやポリアミド系樹脂フィルム等が挙げられる。中間層を形成するフィルムは、任意の方法で、例えばドライラミネート用接着剤を用いて、本発明の積層体の遮光層側の面とラミネートすることができる。必要に応じて、フィルムのラミネート面に、層間接着強度を高める各種表面処理を行ってもよい。
【0031】
ヒートシール層は、熱によって溶融し相互に融着し得る任意の樹脂からなる層であればよい。例えば、ポリオレフィン系樹脂、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂等の1種ないしそれ以上からなるフィルムないしシートを使用し、所望に応じて、その表面にコロナ処理、フレーム処理、オゾン処理等を施してもよい。ヒートシール層の厚みは特に限定されないが、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜250μmである。
上記のフィルムないしシートをラミネートする場合は、慣用のドライラミネート法、またはアンカーコート剤を介して押出ラミネート法により行うことができる。
【0032】
本発明の積層体にヒートシール層を設けた包装材料は、遮光性並びに高い意匠性及び装飾性を要求する各種包装容器、包装袋、蓋材等として利用することができる。
すなわち、本発明の包装材料を2枚用意し、または、包装材料を二つ折にし、そのヒートシール層の面を対向させて重ね合わせ、その端部をヒートシールして包装袋を製造することができる。これに、内容物を充填し、さらに天部をシールすることにより、包装体を製造することができる。
本発明の積層体からなる包装材料は、優れた遮光性を有し、特に、波長500〜600nmの可視光に対して優れた遮光性を有するため、飲料、例えば、ジュース、コーラ、水、お茶、乳・乳飲料、ヨーグルト、酒精飲料、例えば、ビール、ウイスキー、ブランデー、ラム酒、赤ワイン、各種カクテル、液体調味料、例えば、醤油、各種ソース、天つゆ、各種たれ、だし汁、ドレッシング、マヨネーズ等、油脂、化粧品、例えば、ローション、乳液、化粧水等、トイレタリー製品、例えば、シャンプー、リンス等、液体医薬品、液体化学薬品等の内容物を包装するのに好適である。
【0033】
特に、本発明のシュリンクラベルを、プラスチック製ボトル、ガラス瓶等の容器全体に装着するフルシュリンク形態にすることで、シュリンクラベルに覆われた容器に、乳・乳製品等の特に遮光性を必要とする内容物を充填した包装体を用いることによって、可視光線、紫外光線領域での遮光性に優れ、また、意匠性にも優れた包装製品を得ることができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
(反射性遮光性積層体の製造)
遮光インキとして、ウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体及びセルロース樹脂からなるバインダ樹脂中に、ノンリーフィングタイプアルミニウムペースト(大日精化工業株式会社製TFG遮光シルバー、鱗片状アルミニウム粒子、粒子の平均粒径7μm及び平均厚み0.2μm、アルミニウム粒子含有量約10質量%)及び各種添加剤を添加し、溶剤を用いて混錬した銀インキを用意した。なお、本願明細書において、平均粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定による値である。銀インキの組成は、アルミニウムペースト10質量%、バインダ樹脂15質量%、添加剤19質量%及び溶剤(酢酸エチル26質量%、メチルエチルケトン19質量%、イソプロピルアルコール11質量%)であった。
また、遮蔽層を形成する白インキとして、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなるバインダ樹脂中に、酸化チタン顔料及び各種添加剤を添加し、溶剤を用いて混錬した白インキ(大日精化工業株式会社製OS−M S−HC 表用白)を用意した。
さらに、絵柄印刷層を形成する印刷インキとして、ウレタン樹脂及びセルロース樹脂からなるバインダ樹脂中に有機顔料又は無機顔料及び各種添加剤を添加し、溶剤を用いて混錬した色インキを用意した。
【0035】
一方、片面に帯電防止コート処理を施した厚さ30μmのシュリンク用PETフィルム(三菱樹脂株式会社製LX−21S、縦一軸延伸、90℃10秒での熱収縮率62%)を用意し、この未処理面に、上記印刷インキをグラビア印刷法により裏刷り印刷して絵柄印刷層を設けた。
次いで、該絵柄印刷層上に、白インキをグラビア印刷法により印刷して厚さ2μmの遮蔽層を設けた。
次いで、該遮蔽層上に、上記銀インキをグラビア印刷法により印刷し、厚さ0.3μmの遮光層を設け、本発明の反射性遮光性積層体を製造した。
【0036】
(シュリンクラベルの製造)
上記で得られた遮光性積層体の遮蔽層上に、さらに上記白インキをグラビア印刷法により印刷し、厚さ0.5μmの滑り性付与層を設け、遮光性シュリンクフィルムを製造した。
この遮光性シュリンクフィルムを、製品ラベル巾(160mm巾)に断裁し、同時にフィルム開封用のミシン目(ミシン刃長さ0.4mm、ミシン間隔1.6mm)を入れ、滑り性付与層を内側とする筒状となるように両端部を重ね合せ、当該重ね合せ部に混合溶剤(ジオキソフラン50体積%、メチルエチルケトン50体積%)を塗布し、基材層(シュリンク用PETフィルム)を溶解させて、筒状体のシュリンクラベルとした。重ね合せ部にあたる場所は、各種印刷層を設けていない。
【0037】
(ボトルの被覆)
上記で得られた筒状のシュリンクラベルを自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した。次いで、PETボトルに内容物(ヨーグルト飲料)を充填密封し、このPETボトルの外表面に上記の筒状のシュリンクラベルを嵌着し、スチームヒータで90℃、10秒間加熱したシュリンクトンネルに通して、PETボトルの口部下端から底部までをシュリンクラベルで被覆した。
【0038】
(実施例2)
(反射性遮光性積層体の製造)
遮光インキとして、ウレタン樹脂からなるバインダ樹脂中に、ノンリーフィングタイプアルミニウムペースト(大日精化工業株式会社製TFG遮光シルバー、鱗片状アルミニウム粒子、粒子の平均粒径7μm及び平均厚み0.2μm、アルミニウム粒子含有量約10質量%)及び各種添加剤を添加し、溶剤を用いて混錬した銀インキを用意した。銀インキの組成は、アルミニウムペースト10質量%、バインダ樹脂15質量%、添加剤19質量%及び溶剤(酢酸エチル26質量%、メチルエチルケトン19質量%、イソプロピルアルコール11質量%)であった。
【0039】
また、遮蔽層を形成する白インキとして、ウレタン樹脂からなるバインダ樹脂中に、酸化チタン顔料及び各種添加剤を添加し、溶剤を用いて混錬した白インキ(大日精化工業株式会社製OS−M S−HC 表用白)を用意した。
さらに、絵柄印刷層を形成する印刷インキとして、ウレタン樹脂からなるバインダ樹脂中に有機顔料又は無機顔料及び各種添加剤を添加し、溶剤を用いて混錬した色インキを用意した。
一方、片面にコロナ処理を施した厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製東洋紡エステル
(R)フィルムE5100)を用意し、このコロナ処理面に、上記印刷インキをグラビア印刷法により裏刷り印刷して絵柄印刷層を設けた。
次いで、該絵柄印刷層上に、白インキをグラビア印刷法により印刷して、厚さ2μmの遮蔽層を設けた。
次いで、該遮蔽層上に、銀インキをグラビア印刷法により印刷し、厚さ0.3μmの遮光層を設け、本発明の反射性遮光性積層体を製造した。
【0040】
(包装材料の製造)
上記で得られた反射性遮光性積層体の遮蔽層上に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の厚み3μmとなるように塗布して接着剤層を設け、その上に、両面にコロナ処理を施した厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムをドライラミネート法により積層し、耐衝撃性及び耐突き刺し性を補強する中間層を設けた。
次いで、上記中間層上に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の厚み3μmとなるように塗布して接着剤層を設け、その上に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により積層してヒートシール層を設け、遮光性包装材料を製造した。
160mm巾に断裁した上記包装材料を2枚用意し、それらのヒートシール層の面を対向して重ね合せ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成し、三方シール型の包装袋を製造した。
【0041】
(比較例1)
遮光インキとして、アルミニウムペーストを含む銀インキの代わりに、従来から遮光インキとして使用されている灰色顔料(酸化チタンとカーボンブラックとからなる混合顔料)を含む灰色インキを使用した以外は、実施例1と同様にして、遮光性積層体を製造した。
【0042】
(比較例2)
遮光インキとして、アルミニウムペーストを含む銀インキの代わりに、従来から遮光インキとして使用されている灰色顔料(酸化チタンとカーボンブラックとからなる混合顔料)を含む灰色インキを使用した以外は、実施例2と同様にして、遮光性積層体を製造した。
【0043】
(遮光性評価試験)
実施例1〜2及び比較例1〜2の遮光性積層体について、500nm及び600nmの各波長における光線透過率を測定した。光線透過率の測定は、JIS−K7105に準拠して、UV−2400PC(島津製作所製)を用いて行った。
実施例1及び比較例1の遮光性積層体については、熱収縮させる前及び10%熱収縮させた後の試験片について、300〜800nm領域の光の透過率についても測定した。
測定結果を表1及び
図7に示す。
【0044】
(白色度評価試験)
実施例1〜2及び比較例1〜2の遮光性積層体の印刷インキを設けていない白色部分について、JIS−K8729に準拠して、色彩色差形を用いてL
*a
*b
*表色系で規定されるL
*値を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
(評価結果)
表1に示されるとおり、実施例1〜2の遮光性積層体は、波長500〜600nmの可視光線に対し、慣用の遮光インキを用いた比較例1及び2と同等か、又はそれ以上に高い遮光性を示しながら、これらより高い白色度を示すものであった。そのため、本発明による遮光性積層体の絵柄は、くすみがなく鮮明であり、意匠性に優れるものであった。これに比較すると、比較例1〜2の遮光性積層体の絵柄は、くすみがあり、暗い印象を与えるものであった。
また、実施例1の遮光性積層体は、遮光層を薄く設けたにもかかわらず、熱収縮後には、優れた遮光性を示した。