(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリの一端から第1負荷及び第2負荷夫々の一端への複数の給電経路夫々に設けられた第1スイッチ及び第2スイッチをオン又はオフに切替え、前記バッテリから給電されるスイッチ制御部と、前記バッテリから該スイッチ制御部を介して流れた電流が出力される出力端子とを備える給電制御装置において、
アノードが前記出力端子に接続され、カソードが前記第2負荷の一端に接続されているダイオードと、
前記第2スイッチがオンである場合に前記出力端子の開放を検出せず、前記第2スイッチがオフである場合に動作し、前記出力端子の開放を検出する開放検出回路と、
前記バッテリの一端、及び、前記出力端子間の電圧を検出する電圧検出回路と
を備え、
前記スイッチ制御部は、
該電圧検出回路が検出した電圧が閾値未満である場合に前記第2スイッチをオフに切替え、
前記開放検出回路が前記開放を検出した場合に前記第2スイッチをオフに維持すること
を特徴とする給電制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、好適に車両に搭載され、バッテリ2、第1負荷3a,3b、第2負荷4及び給電制御装置5を備える。
第1負荷3a,3b夫々は、運転者が車両を運転するために必要とされる重要な電気機器である。第2負荷4は、運転者が車両を運転するために必ずしも必要とされない電気機器、例えばデフォッガであり、抵抗R1を有する。抵抗R1は例えばデフォッガを構成する電熱線の抵抗である。
【0022】
給電制御装置5は、バッテリ端子50、第1負荷端子51a,51b、第2負荷端子52、GND端子53及び信号端子54,55を有する。バッテリ端子50には、バッテリ2の正極が接続されている。第1負荷端子51a,51b夫々には第1負荷3a,3bの一端が接続されている。第2負荷端子52には、第2負荷4の抵抗R1の一端が接続されている。バッテリ2の負極と、第1負荷3a,3b夫々の他端と、第2負荷4の抵抗R1の他端と、GND端子53とは接地されている。信号端子54,55夫々には信号線L1,L2が接続されている。
【0023】
バッテリ2は、給電制御装置5を介して、第1負荷3a,3b及び第2負荷4に給電すると共に、給電制御装置5にも給電する。バッテリ2が給電している間、バッテリ2の正極からバッテリ端子50に電流が入力され、第1負荷端子51a,51b、第2負荷端子52及びGND端子53の少なくとも1つから電流が出力される。
【0024】
給電制御装置5の信号端子54には、第1負荷3a,3b及び第2負荷4の中で作動すべき作動負荷と動作を停止すべき停止負荷とが示された負荷信号が信号線L1を介して入力される。給電制御装置5は、信号端子54に入力された負荷信号が示す内容に基づいて、バッテリ2から第1負荷3a,3b及び第2負荷4への給電を制御する。また、給電制御装置5は、報知を行うための報知信号を、信号端子55から信号線L2を介して出力する。
【0025】
給電制御装置5は、更に、第1スイッチ60a,60b、第2スイッチ61、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)62、電圧検出回路63、フィルタ部64、レギュレータ65、開放検出回路66、キャパシタC1及びダイオードD1,D2を有する。開放検出回路66は、第3スイッチ70及び抵抗R2,R3を有する。第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々はNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。第3スイッチ70はNPN型のバイポーラトランジスタである。
【0026】
バッテリ端子50は、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々のドレインに接続されている。第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々のソースは、第1負荷端子51a,51b及び第2負荷端子52に接続されている。第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々のゲートはマイコン62に各別に接続されている。
【0027】
バッテリ端子50は、更に、電圧検出回路63と、ダイオードD1のアノードとに接続されている。電圧検出回路63は、更に、GND端子53と、フィルタ部64とに各別に接続されている。フィルタ部64は更にマイコン62に接続されている。ダイオードD1のカソードは、レギュレータ65と、キャパシタC1の一端とに接続されている。レギュレータ65は、更に、GND端子53とマイコン62とに接続されている。マイコン62と、キャパシタC1の他端とはGND端子53に接続されている。
【0028】
開放検出回路66において、抵抗R2の一端には所定電圧Vccが印加されている。所定電圧Vccは、一定であり、GND端子53の電位を基準とした電圧である。抵抗R2の他端は、マイコン62と第3スイッチ70のコレクタとに接続されている。第3スイッチ70のベースは、GND端子53と、抵抗R3の一端とに接続されている。第3スイッチ70のエミッタは、抵抗R3の他端と、ダイオードD2のアノードとに接続されている。ダイオードD2のカソードは第2負荷端子52に接続されている。マイコン62は、更に、信号端子54,55に各別に接続されている。
【0029】
以上のように、ダイオードD2のアノードは、開放検出回路66の抵抗R3を介してGND端子53に接続され、ダイオードD2のカソードは、第2負荷端子52を介して、第2負荷4の抵抗R1の一端に接続されている。また、第3スイッチ70は、抵抗R2の他端、及び、ダイオードD2のアノード間に接続されている。
【0030】
マイコン62は、GND端子53の電位を基準として、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々のゲートの電圧を調整する。第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々について、マイコン62がゲートの電圧を一定電圧以上に調整した場合、ドレイン及びソース間に電流が流れることが可能となる。このとき、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々はオンである。
【0031】
また、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々について、マイコン62がゲートの電圧を一定電圧未満に調整した場合、ドレイン及びソース間に電流が流れることはない。このとき、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々はオフである。
マイコン62は、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々のゲートの電圧を調整することによって、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61を各別にオン又はオフに切替える。マイコン62はスイッチ制御部として機能する。
【0032】
マイコン62が第1スイッチ60aをオンに切替えた場合、バッテリ2から第1負荷3aに給電され、第1負荷3aは作動する。マイコン62が第1スイッチ60aをオフに切替えた場合、バッテリ2から第1負荷3aへの給電が停止され、第1負荷3aは動作を停止する。マイコン62は、第1スイッチ60b及び第2スイッチ61夫々をオン又はオフに切替えることによって、第1負荷3aと同様に、第1負荷3b及び第2負荷4の給電を制御する。第1負荷3b及び第2負荷4夫々は、第1負荷3aと同様に、給電された場合に作動し、給電が停止された場合に動作を停止する。
【0033】
マイコン62が第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61をオンに切替えた場合、バッテリ2から第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々を介して第1負荷3a,3b及び第2負荷4に給電される。このように、給電制御装置5では、バッテリ2の正極から第1負荷3a,3b及び第2負荷4夫々の一端への3つの給電経路夫々に第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61が設けられている。
【0034】
電圧検出回路63は、バッテリ2の正極に接続されているバッテリ端子50とGND端子53との間の電圧を検出する。電圧検出回路63は、検出した検出電圧が、予め設定されている閾値以上である場合にハイレベル電圧をフィルタ部64に出力し、検出電圧が閾値未満である場合にローレベル電圧をフィルタ部64に出力する。
【0035】
フィルタ部64は、電圧検出回路63から入力されている電圧がハイレベル電圧であるか、又は、電圧検出回路63からローレベル電圧が入力されている時間が所定時間未満である場合、ハイレベル電圧をマイコン62に出力する。フィルタ部64は、電圧検出回路63からローレベル電圧が入力されている時間が所定時間以上である場合、ローレベル電圧をマイコン62に出力する。
【0036】
フィルタ部64は、例えば、予め設定されている設定期間が経過する都度、電圧検出回路63から入力されている電圧がローレベル電圧であるか否かを判定する。この構成では、フィルタ部64は、所定回数、連続して、電圧検出回路63から入力されている電圧がローレベル電圧であると判定した場合、ローレベル電圧をマイコン62に出力する。所定回数は2回以上である。フィルタ部64は、電圧検出回路63から入力されている電圧がハイレベル電圧であると判定した場合、又は、電圧検出回路63から入力されている電圧がローレベル電圧であると連続して判定した回数が所定回数未満である場合、ハイレベル電圧をマイコンに出力する。
【0037】
レギュレータ65には、バッテリ2又はキャパシタC1から給電される。更に、レギュレータ65は、バッテリ2又はキャパシタC1から入力された電圧から所定電圧を生成し、生成した所定電圧をマイコン62に出力する。これにより、マイコン62に給電される。レギュレータ65がマイコン62に出力する所定電圧は、一定であり、GND端子53の電位を基準とした電圧である。
なお、抵抗R2の一端に印加されている所定電圧Vccは、レギュレータ65によって生成されてもよい。
【0038】
GND端子53が開放されていない場合、即ち、GND端子53が接地されている場合、電流は、バッテリ2の正極から、バッテリ端子50、ダイオードD1、レギュレータ65、マイコン62及びGND端子53の順に流れ、GND端子53から出力される。GND端子53から出力された電流はバッテリ2の負極に戻る。このように電流が流れることによって、バッテリ2からマイコン62に給電される。GND端子53は出力端子として機能する。
【0039】
GND端子53が接地されている場合、電流は、更に、バッテリ2の正極から、バッテリ端子50、ダイオードD1、キャパシタC1及びGND端子53の順に流れ、バッテリ2の負極に戻る。これにより、キャパシタC1は、バッテリ2から供給された電力を蓄える。キャパシタC1は蓄電器として機能する。
【0040】
例えば、GND端子53を接地させるために用いられる電線の断線によってGND端子53が開放されており、かつ、第2スイッチ61がオフである場合においても、GND端子53が接地している場合と同様に、電流がバッテリ2の正極からマイコン62及びキャパシタC1に流れる。従って、GND端子53が開放されており、かつ、第2スイッチ61がオフである場合においても、レギュレータ65を介して、バッテリ2からマイコン62に給電され、キャパシタC1は、バッテリ2から供給された
電力を蓄える。
【0041】
GND端子53が開放されており、かつ、第2スイッチ61がオフである場合において、マイコン62、及び、キャパシタC1の他端夫々から出力された電流は、開放検出回路66の抵抗R3、ダイオードD2、第2負荷端子52、及び、第2負荷4の抵抗R1の順に流れる。
第2負荷4は、バッテリ2から第2負荷4に所定電力以上の電力が供給された場合に作動する。GND端子53が開放されており、かつ、第2スイッチ61がオフである場合、バッテリ2から第2負荷4に供給される電力は所定電力未満であり、第2負荷4が作動することはない。
【0042】
GND端子53が開放されており、かつ、第2スイッチ61がオンである場合、バッテリ2からマイコン62への給電経路と、バッテリ2からキャパシタC1への給電経路とが存在せず、バッテリ2からマイコン62及びキャパシタC1への給電は停止する。このとき、キャパシタC1は、放電し、レギュレータ65に給電する。レギュレータ65は、前述したように、キャパシタC1から入力された電圧から所定電圧を生成し、生成した所定電圧をマイコン62に出力する。
【0043】
このように、キャパシタC1は、第2スイッチ61がオンである状態でGND端子53が開放された場合、レギュレータ65を介してマイコン62に給電する。キャパシタC1がマイコン62に給電している間、電流は、キャパシタC1の一端からレギュレータ65及びマイコン62の順に流れ、キャパシタC1の他端に戻る。
【0044】
開放検出回路66の第3スイッチ70について、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧以上である場合、コレクタ及びエミッタ間に電流が流れることが可能である。このとき、第3スイッチ70はオンである。また、第3スイッチ70について、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧未満である場合、コレクタ及びエミッタ間に電流が流れることはない。このとき、第3スイッチ70はオフである。ここで、一定電圧は、正の電圧である。
【0045】
GND端子53が接地されている場合、又は、第2スイッチ61がオンである場合、開放検出回路66の抵抗R3及びダイオードD2に電流が流れることはない。従って、第3スイッチ70のエミッタ及びベース間の電圧は略ゼロVであり、第3スイッチ70はオフである。第3スイッチ70がオフである場合、所定電圧Vccが抵抗R2の他端からマイコン62に出力される。
【0046】
第2スイッチ61がオフである状態でGND端子53が開放されている場合、前述したように、マイコン62、及び、キャパシタC1の他端夫々から出力した電流が開放検出回路66の抵抗R3とダイオードD2とを流れる。このとき、抵抗R3で電圧降下が生じ、第3スイッチ70において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は一定電圧以上となる。これにより、第3スイッチ70はオフからオンに切替わる。第3スイッチ70がオンである場合、電流が抵抗R2、第3スイッチ70及びダイオードD2の順に流れ、所定電圧Vccよりも低い電圧が抵抗R2の他端からマイコン62に出力される。
【0047】
マイコン62には、第3スイッチ70がオンである場合に抵抗R2の他端からマイコン62に入力される電圧を超えており、かつ、所定電圧Vcc以下である基準電圧を示す情報が記憶されている。抵抗R2の他端から入力される電圧が基準電圧以上であることはGND端子53が接地していることを示し、抵抗R2の他端から入力される電圧が基準電圧未満であることはGND端子53が開放されていることを示す。基準電圧は、一定であり、予め設定されている電圧である。
【0048】
以上のように、開放検出回路66は、第2スイッチ61がオフである場合に動作する。開放検出回路66は、第2スイッチ61がオフである状態でGND端子53が開放された場合に、GND端子53の開放を検出し、基準電圧未満である電圧をマイコン62に出力する。開放検出回路66は、第2スイッチ61がオンである場合、動作することはなく、GND端子53が開放されているか否かに無関係に所定電圧Vccをマイコン62に出力する。また、開放検出回路66は、第2スイッチ61がオフである状態でGND端子53が接地されている場合も、所定電圧Vccをマイコン62に出力する。
【0049】
マイコン62は、信号端子54から入力される負荷信号が示す内容と、フィルタ部64及び開放検出回路66夫々から入力される電圧とに基づいて、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61をオン又はオフに切替え、第1負荷3a,3b及び第2負荷4への給電を制御する。
【0050】
図2はマイコン62の要部構成を示すブロック図である。マイコン62は、切替え部80a,80b,81、入力部82,83,84、出力部85、記憶部86及び制御部87を有する。これらは、バス88に接続されており、レギュレータ65から供給された電力を用いて作動する。切替え部80a,80b,81夫々は、更に、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61のゲートに接続されている。入力部82は、更に、フィルタ部64に接続されている。入力部84及び出力部85夫々は、更に、信号端子54,55に接続されている。
【0051】
切替え部80a,80b,81夫々は、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61のゲートの電圧を調整することによって、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61をオン又はオフに切替える。切替え部80a,80b,81夫々は、制御部87の指示に従って、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61をオン又はオフに切替える。
【0052】
入力部82には、フィルタ部64からハイレベル電圧又はローレベル電圧が入力されている。入力部82は、フィルタ部64から入力されている電圧を制御部87に通知する。
入力部83には、開放検出回路66の抵抗R2の他端から電圧が入力されている。入力部83は、開放検出回路66から入力されている電圧を制御部87に通知する。
【0053】
入力部84には、信号端子54から負荷信号が入力される。入力部84は、信号端子54から入力された負荷信号の内容を制御部87に通知する。
出力部85は、制御部87の指示に従って、GND端子53の開放を示す報知信号を、信号端子55を介して、外部に出力する。
【0054】
記憶部86は不揮発性メモリである。記憶部86には、前述した基準電圧を示す情報と、制御プログラムとが記憶されている。
制御部87は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を有し、記憶部86に記憶されている制御プログラムを実行することによって、第1負荷3a,3b及び第2負荷4への給電を制御する給電制御処理、第2スイッチ61をオフに切替えるオフ処理、及び、給電可能な負荷を制限する制限処理を実行する。
【0055】
記憶部86にはフラグが記憶されている。フラグの値がゼロであることは、給電可能な負荷が第1負荷3a,3b及び第2負荷4であることを意味する。フラグの値が1であることは、給電可能な負荷が第1負荷3a,3bであり、第2負荷4への給電が禁止されていることを意味する。記憶部86に記憶されているフラグの値は制御部87によって設定される。
【0056】
図3は、制御部87が実行する給電制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部87は、信号端子54を介して、負荷信号が入力部84に入力された場合に給電制御処理を実行する。まず、制御部87は、記憶部86に記憶されているフラグの値がゼロであるか否かを判定する(ステップS1)。制御部87は、フラグの値がゼロであると判定した場合(S1:YES)、入力部84に入力された負荷信号の内容に基づいて、切替え部80a,80b,81夫々に第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61をオン又はオフに切替えさせる(ステップS2)。
【0057】
第1負荷3a,3b及び第2負荷4夫々は第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61に対応する。ステップS2では、制御部87は、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61の中で、負荷信号が示す作動負荷に対応するスイッチをオンに切替えさせる。更に、制御部87は、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61の中で、負荷信号が示す停止負荷に対応するスイッチをオフに切替えさせる。
【0058】
例えば、負荷信号が作動負荷として第1負荷3a及び第2負荷4を示し、停止負荷として第1負荷3bを示す場合、制御部87は、切替え部80a,80b,81に指示して、第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々をオン、オフ及びオンに切替えさせる。これにより、バッテリ2から第1負荷3a及び第2負荷4に給電されて第1負荷3a及び第2負荷4が作動し、バッテリ2から第1負荷3bへの給電が停止されて第1負荷3bは動作を停止する。
【0059】
制御部87は、フラグの値がゼロではない、即ち、1であると判定した場合(S1:NO)、入力部84に入力された負荷信号の内容に基づいて、切替え部80a,80b夫々に第1スイッチ60a,60bをオン又はオフに切替えさせる(ステップS3)。ステップS3において、入力部84に入力された負荷信号が、作動負荷として、たとえ第2負荷4を示している場合であっても、制御部87は、切替え部81に第2スイッチ61をオンに切替えさせることはない。
【0060】
制限処理において、制御部87は、第2スイッチ61がオフである状態でフラグの値を1に設定する。このため、フラグの値が1である場合、第2スイッチ61はオフに維持されている。
制御部87は、ステップS2,S3のいずれか一方を実行した後、給電制御処理を終了する。
【0061】
制御部87は、フィルタ部64から入力部82にローレベル電圧が入力された場合、即ち、電圧検出回路63が検出した電圧が閾値未満である状態が所定時間以上続いた場合、オフ処理を実行する。オフ処理では、制御部87は、切替え部81に指示して第2スイッチ61をオフに切替えさせる。制御部87は、第2スイッチ61をオフに切替えた後、オフ処理を終了する。制御部87がオフ処理を実行することにより、開放検出回路66は動作することが可能となる。
【0062】
図4は、制御部87が実行する制限処理の手順を示すフローチャートである。制御部87は、開放検出回路66がGND端子53の開放を検出した場合、即ち、開放検出回路66から入力部83に入力されている電圧が基準電圧未満である場合に制限処理を実行する。開放検出回路66が動作していることは、第2スイッチ61がオフであることを意味するので、制限処理は第2スイッチ61がオフである状態で実行される。
【0063】
制限処理では、制御部87は、記憶部86に記憶されているフラグの値を1に設定する(ステップS11)。これにより、給電制御処理で第2スイッチ61がオンに切替わることはなく、第2スイッチ61はオフに維持される。制御部87は、ステップS11を実行した後、出力部85に指示して、報知信号を出力させる(ステップS12)。報知信号は図示しない報知装置に入力される。報知装置は、報知信号が入力された場合、メッセージの表示、又は、ランプの点灯等を行い、GND端子53の開放を報知する。制御部87は、ステップS12を実行した後、制限処理を終了する。
【0064】
図5は、給電制御装置5の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図5には、第2スイッチ61のオンオフ状態の推移と、電圧検出回路63が検出している検出電圧の推移と、フィルタ部64がマイコン62に出力している電圧の推移と、開放検出回路66がマイコン62に出力している電圧の推移とが示されている。各推移の横軸は時間である。
図5では、ハイレベル電圧を「H」で示し、ローレベル電圧を「L」で示している。また、
図5において、Vth及びVr夫々は、前述した閾値及び基準電圧である。
【0065】
GND端子53が接地されている場合、検出電圧、即ち、バッテリ端子50及びGND端子53間の電圧は、バッテリ2の出力電圧に略一致しており、閾値Vth以上である。このため、GND端子53が接地されている場合、電圧検出回路63はフィルタ部64にハイレベル電圧を出力し、フィルタ部64はマイコン62の入力部82にハイレベル電圧を出力する。
【0066】
前述したように、GND端子53が接地されている場合、又は、第2スイッチ61がオンである場合、開放検出回路66はマイコン62の入力部83に所定電圧Vccを出力する。前述したように、所定電圧Vccは基準電圧Vr以上である。
【0067】
第2スイッチ61がオンである状態でGND端子53が開放された場合、前述したように、バッテリ2からマイコン62及びキャパシタC1への給電が停止され、キャパシタC1は、レギュレータ65及びマイコン62に給電すべく、放電する。キャパシタC1からレギュレータ65及びマイコン62への給電により、レギュレータ65及びマイコン62は継続的に作動する。従って、第2スイッチ61がオンである状態でGND端子53が開放された場合であっても、マイコン62は第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61を継続してオン又はオフに切替えることができる。
【0068】
キャパシタC1の放電に伴って、GND端子53の電位が上昇し、キャパシタC1の両端間の電圧が低下する。これにより、バッテリ端子50及びGND端子53間の電圧、即ち、電圧検出回路63の検出電圧も低下する。前述したように、GND端子53が開放されている場合であっても、第2スイッチ61がオンであるとき、開放検出回路66は所定電圧Vccをマイコン62の入力部83に出力している。
【0069】
検出電圧が閾値Vth未満となった場合、電圧検出回路63はフィルタ部64に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。そして、電圧検出回路63がフィルタ部64にローレベル電圧を出力している状態が所定時間続いた場合、フィルタ部64はマイコン62の入力部82に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。このとき、制御部87はオフ処理を実行し、オフ処理で制御部87は切替え部81に第2スイッチ61をオフに切替えさせる。
【0070】
第2スイッチ61がオフに切替わった場合、GND端子53が開放されているので、前述したように、バッテリ2からマイコン62及びキャパシタC1への給電が再開される。このとき、マイコン62及びキャパシタC1から出力した電流は、抵抗R3、ダイオードD2、第2負荷端子52及び第2負荷4の抵抗R1の順に流れる。抵抗R3における電圧降下により、第3スイッチ70はオンとなり、開放検出回路66は、マイコン62の入力部83に出力している電圧を、所定電圧Vccから、基準電圧Vr未満である電圧に切替える。
【0071】
以上のように、開放検出回路66がGND端子53の開放を検出してマイコン62の入力部83に、基準電圧Vr未満の電圧が入力された場合、制御部87は制限処理を実行する。制限処理では、フラグの値が1に設定され、出力部85から報知信号が出力される。フラグの値が1に設定されるので、この設定が行われた後において給電制御処理で第2スイッチ61がオンに切替えられることはなく、第2スイッチ61はオフに維持される。また、出力部85が報知信号を出力することによって、GND端子53の開放が報知される。
【0072】
前述したように、バッテリ2からマイコン62及びキャパシタC1への給電を再開された場合、電圧検出回路63の検出電圧は閾値Vth以上の電圧に戻る。ただし、電流が抵抗R3、ダイオードD2及び抵抗R1を流れた後にバッテリ2の負極に戻るため、検出電圧は、バッテリ2の出力電圧よりも、抵抗R3、ダイオードD2及び抵抗R1で降下した電圧分だけ低い。
【0073】
検出電圧が閾値Vth以上の電圧に戻った場合、電圧検出回路63がフィルタ部64に出力している電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に戻るので、フィルタ部64がマイコン62の入力部82に出力している電圧もローレベル電圧からハイレベル電圧に戻る。
【0074】
なお、GND端子53が接地している状態でオフ処理が実行された場合、例えば、バッテリ2の出力電圧が低下したためにオフ処理が実行された場合、開放検出回路66はGND端子53の開放を検出することはなく、制限処理が実行されることはない。このため、オフ処理が実行された後であっても、給電制御処理において、第2スイッチ61は、切替え部81によってオンに切替えられる。
【0075】
図6は、給電制御装置5の動作の他例を示すタイミングチャートである。
図6には、第2スイッチ61のオンオフ状態の推移と、電圧検出回路63が検出している検出電圧の推移と、開放検出回路66がマイコン62に出力している電圧の推移とが示されている。各推移の横軸は時間である。
【0076】
GND端子53が接地されている場合、前述したように、電圧検出回路63の検出電圧は閾値Vth以上であり、開放検出回路66はマイコン62の入力部83に所定電圧Vccを出力している。
【0077】
第2スイッチ61がオフである状態でGND端子53が開放された場合、バッテリ2からマイコン62及びキャパシタC1への給電経路が変更され、電流が、開放検出回路66の抵抗R3、ダイオードD2、第2負荷端子52、及び、第2負荷4の抵抗R1の順に流れる。抵抗R3における電圧降下により、第3スイッチ70はオフからオンに切替わり、開放検出回路66がマイコン62の入力部83に出力している電圧が、所定電圧Vccから基準電圧Vr未満である電圧に切替わる。
【0078】
以上のように、開放検出回路66がGND端子53の開放を検出してマイコン62の入力部83に、基準電圧Vr未満の電圧が入力された場合、制御部87は制限処理を実行する。制限処理では、フラグの値が1に設定され、出力部85から報知信号が出力される。フラグの値が1に設定されるので、この設定が行われた後において給電制御処理で第2スイッチ61がオフに切替えられることはなく、第2スイッチ61はオフに維持される。また、出力部85が報知信号を出力することによって、GND端子53の開放が報知される。
【0079】
バッテリ2からマイコン62及びキャパシタC1への給電経路が変更された後においても、電圧検出回路63の検出電圧は閾値Vth以上に維持される。ただし、電流が抵抗R3、ダイオードD2及び抵抗R1を流れた後にバッテリ2の負極に戻るため、検出電圧は、バッテリ2の出力電圧よりも、抵抗R3、ダイオードD2及び抵抗R1で降下した電圧分だけ低い。
【0080】
以上のように構成された給電制御装置5においては、マイコン62は、開放検出回路66がGND端子53の開放を検出した適切なタイミングで、フラグの値を1に設定し、第2スイッチ61をオフに維持する。その後、マイコン62は、給電制御処理において、第2スイッチ61を維持した状態で第1スイッチ60a,60bをオン又はオフに切替え、バッテリ2から第1負荷3a,3bへの給電を制御する。
【0081】
また、閾値Vth未満である電圧を、電圧検出回路63が所定時間以上検出し続けた場合、即ち、GND端子53が開放されている確率が高い場合、フィルタ部64がマイコン62の入力部82にローレベル電圧を出力し、マイコン62は第2スイッチ61をオフに切替え、バッテリ2から第2負荷4への給電を停止する。これにより、マイコン62は、バッテリ2から第2負荷4への給電をより適切に制御する。
【0082】
また、電圧検出回路63は、ハイレベル電圧又はローレベル電圧をフィルタ部64ではなく、マイコン62の入力部82に出力してもよい。この場合、電圧検出回路63が出力している電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった直後、即ち、検出電圧が閾値Vth未満になった直後に、マイコン62の制御部87はオフ処理を実行し、切替え部81は第2スイッチ61をオフに切替える。
【0083】
開放検出回路66は、第3スイッチ70及び抵抗R2,R3によって構成される回路に限定されず、GND端子53の開放を検出することが可能な構成であればよい。開放検出回路66が第2スイッチ61のオンオフ状態に無関係に動作するように構成されている場合、給電制御装置5は、電圧検出回路63及びフィルタ部64を有していなくてもよい。この場合、マイコン62の制御部87は、制限処理において、フラグの値を1に設定すると共に、切替え部81に指示して第2スイッチ61をオフに切替える。
【0084】
第1スイッチ60a,60b及び第2スイッチ61夫々は、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFET、又は、バイポーラトランジスタ等であってもよい。また、第1スイッチの数、即ち、第1負荷の数は、2に限定されず、1又は3以上であってもよい。この場合であっても、給電制御装置5は、第1スイッチの数が2である場合と同様の効果を奏する。
【0085】
また、キャパシタC1は、バッテリ2が供給した電力を蓄える機能と、GND端子53が開放された場合にレギュレータ65及びマイコン62に給電する機能とを有しておればよい。このため、キャパシタC1の代わりに電池を用いてもよい。更に、第2負荷4は、抵抗を有する負荷に限定されず、例えば、インダクタを有する負荷であってもよい。
【0086】
開示された本実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。