特許第6614132号(P6614132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6614132粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体及び積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614132
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20191125BHJP
   C08K 5/12 20060101ALI20191125BHJP
   B29C 41/18 20060101ALI20191125BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20191125BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20191125BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20191125BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20191125BHJP
   B29K 27/06 20060101ALN20191125BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08K5/12
   B29C41/18
   B32B27/30 101
   B32B5/18
   B32B27/40
   B60R13/02 Z
   B29K27:06
   B29L31:58
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-508515(P2016-508515)
(86)(22)【出願日】2015年3月10日
(86)【国際出願番号】JP2015001305
(87)【国際公開番号】WO2015141182
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-55864(P2014-55864)
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-212355(P2014-212355)
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔太
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−301743(JP,A)
【文献】 特開平06−246761(JP,A)
【文献】 特開平06−279642(JP,A)
【文献】 特開平05−279485(JP,A)
【文献】 特開平03−195754(JP,A)
【文献】 特開平01−319556(JP,A)
【文献】 特開昭60−090221(JP,A)
【文献】 特開平07−149984(JP,A)
【文献】 特開平07−173354(JP,A)
【文献】 特開平05−105793(JP,A)
【文献】 特開平05−105794(JP,A)
【文献】 特開平05−117473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/06
C08K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)平均粒子径が50μm以上500μm以下の塩化ビニル樹脂粒子と、(b)トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤を含む可塑剤と、(c)平均粒子径が0.1μm以上10μm以下で、平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、(d)平均粒子径が0.1μm以上10μm以下で、平均重合度が1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子とを含む、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項2】
前記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が1000以上5000以下である、請求項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項3】
前記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、前記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、前記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計に対して3質量%以上20質量%以下であり、
前記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、前記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、前記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計に対して2質量%以上15質量%以下である、請求項1又は2に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項4】
前記(b)可塑剤の含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、前記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、前記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、70質量部以上200質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項5】
パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる、塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項7】
自動車インスツルメントパネル表皮用である、請求項に記載の塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項8】
発泡ポリウレタン成形体と、請求項6又は7に記載の塩化ビニル樹脂成形体とを有する、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温での柔軟性が優れる成形体を与える粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体、上記塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを有する積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車インスツルメントパネルは、発泡ポリウレタン層が、塩化ビニル樹脂からなる表皮と基材との間に設けられた構造を有している。塩化ビニル樹脂からなる表皮は経時的に変色し、また、その耐熱老化性は低下する。この表皮の変色等の原因の1つは、発泡ポリウレタン層の形成時に触媒として使用された第三級アミンの、塩化ビニル樹脂からなる表皮への移行に伴って起こる化学反応である。当該表皮の変色防止のため、発泡ポリウレタン層内で発生する揮発性有機化合物を捕捉する粒状のキャッチャー剤を連通気泡のシート剤で被覆し、発泡ポリウレタン層端末の表皮と基材によるシール箇所近傍に配置したウレタン一体発泡成形品が検討された(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このウレタン一体発泡成形品では、上記表皮と上記発泡ポリウレタン層とが接触している部分があり、上記化学反応による表皮の変色を長期間防止できず、また、表皮の耐熱老化性は低下する。
一方、芯材と表皮を接合する合成樹脂製発泡体層が設けられ、発泡体層で発生するガスを排出するガス抜き孔が前記芯材に設けられている積層体が検討された(例えば、特許文献2参照)。しかし、この積層体においても、上記表皮と上記合成樹脂製発泡体層とが接触しており、上記化学反応による表皮の変色を長期間防止できず、また、表皮の耐熱老化性は低下する。
【0003】
更に、ポリウレタン成形体と、塩化ビニル樹脂を含有して当該ポリウレタン成形体の少なくとも一表面を被覆する表皮層と、当該ポリウレタン成形体と当該表皮層との間に介在するアミンキャッチャー剤層とからなる成形体が検討された(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、上記アミンキャッチャー剤は揮発しやすく、第三級アミンの、塩化ビニル樹脂からなる表皮への移行を長期間阻止できないので、この成形体においても、上記化学反応による表皮の変色を長期間防止できず、また、表皮の耐熱老化性は低下する。
ところで、特定のトリメリテート類可塑剤が配合された粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が自動車内装材の表皮の原料として検討された(例えば、特許文献4参照)。しかし、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形により得られる表皮材の耐熱老化性を向上させる場合、上記可塑剤の配合量を増加させなければならず、その結果、表皮材には上記可塑剤に由来するベトツキ感が発生する。更に、平均重合度が1500以上の塩化ビニル系樹脂からなる塩化ビニル系樹脂粒子100質量部と特定のトリメリテート系可塑剤110〜150質量部とを含有する粉体成形用塩化ビニル系樹脂組成物が検討された(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−216506号公報
【特許文献2】特開平8−90697号公報
【特許文献3】特公平4−26303号公報
【特許文献4】特開平2−138355号公報
【特許文献5】国際公開第2009/107463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、発泡ポリウレタン層が積層された自動車インスツルメントパネル表皮が低温で設計通りに割れてエアバッグが膨張した際に当該表皮の破片が飛散しないよう、低温での柔軟性が優れる表皮を備える自動車インスツルメントパネルが要求されてきていた。しかし、そのような表皮を備える自動車インスツルメントパネルは実現されていなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、低温での柔軟性が優れる成形体を与える粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の提供である。本発明が解決しようとする別の課題は、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる、低温での柔軟性が優れる塩化ビニル樹脂成形体、及び、上記塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを有する積層体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)塩化ビニル樹脂粒子と、(b)可塑剤と、(c)特定の平均重合度を有する塩化ビニル樹脂微粒子とを含む粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が特に優れた低温での柔軟性を有する成形体を与えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は、(a)塩化ビニル樹脂粒子と、(b)可塑剤と、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子とを含む、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物である。
【0009】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(b)可塑剤が、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤である。
【0010】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が1000以上5000以下である。
【0011】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が50μm以上500μm以下であり、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下である。
【0012】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子との合計に対して5質量%以上35質量%以下である。
【0013】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(b)可塑剤の含有量が、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、70質量部以上200質量部以下である。
【0014】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を更に含む。
【0015】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が50μm以上500μm以下であり、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であり、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下である。
【0016】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計に対して3質量%以上20質量%以下であり、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計に対して2質量%以上15質量%以下である。
【0017】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、上記(b)可塑剤の含有量が、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、70質量部以上200質量部以下である。
【0018】
そして、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の好ましい用途はパウダースラッシュ成形である。
【0019】
また、本発明は、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体である。
上記塩化ビニル樹脂成形体は、好ましくは自動車インスツルメントパネル表皮用である。
【0020】
更に、本発明は、発泡ポリウレタン成形体と、上記塩化ビニル樹脂成形体とを有する積層体である。上記積層体は、好ましくは自動車インスツルメントパネル用積層体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、低温での柔軟性が優れる成形体を与える。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物)
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂粒子と、(b)可塑剤と、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子とを含み、任意に、(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子や、添加剤を更に含有する。
【0023】
<塩化ビニル樹脂>
ここで、(a)塩化ビニル樹脂粒子、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子、及び(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を構成し得る塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体の他、塩化ビニル単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する共重合体が挙げられる。塩化ビニル共重合体の共単量体の具体例は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などである。以上に例示される単量体は、塩化ビニルと共重合可能な単量体(共単量体)の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの単量体の1種又は2種以上が使用され得る。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子、及び(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を構成し得る塩化ビニル樹脂には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと共重合可能な前記共単量体がグラフト重合された樹脂も含まれる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0024】
上記塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
【0025】
なお、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物において、(a)塩化ビニル樹脂粒子は、マトリックス樹脂として機能する。また、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子、及び(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子は、後述するダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。そして、(a)塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましい。また、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子、及び(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
【0026】
<塩化ビニル樹脂粒子>
上記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、好ましくは1000以上5000以下であり、より好ましくは1500以上5000以下であり、更に好ましくは2000超5000以下であり、なお一層好ましくは2000超4000以下であり、特に好ましくは2000超3500以下であり、最も好ましくは2000超3000以下である。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形時の流動性および溶融性を良好なものとすることができると共に、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に、良好な耐熱老化性を付与できる。なお、平均重合度は、JIS K6720−2に準拠して測定される。
【0027】
上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は特に限定されない。当該平均粒子径は、好ましくは50μm以上500μm以下、より好ましくは50μm以上250μm以下、更に好ましくは100μm以上200μm以下である。(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上し、かつ、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の平滑性が向上する。ここで、(a)塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、JIS Z8825に準拠し、例えば(株)島津製作所製「SALD−2300」を用いて、レーザー回折法によって測定される。
なお、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子は、通常、粒子径が30μm以上である。
【0028】
<平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子>
上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子は、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を向上させるダスティング剤として機能し、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と区別される。実際、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の流動性と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の流動性との違いは、目視で確認され得る。
【0029】
上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下である。
そして、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、粒子径が30μm未満である。
なお、(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、JIS Z8825に準拠し、例えば(株)島津製作所製「SALD−2300」を用いて、レーザー回折法によって測定される。
【0030】
上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の好ましい平均重合度は、1200以上5000以下であり、より好ましい平均重合度は1500超5000以下であり、更に好ましい平均重合度は1500超4000以下であり、なお一層好ましい平均重合度は1500超3000以下であり、特に好ましい平均重合度は2000超3000以下であり、最も好ましい平均重合度は2000超2500以下である。上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の低温での柔軟性及び耐熱老化性(加熱後引張特性)を向上させることが可能になる。
【0031】
<平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子>
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、好ましくは、更に、(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含有する。上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子は、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を向上させるダスティング剤として機能し、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子及び上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と区別される。
【0032】
上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下である。
そして、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、粒子径が30μm未満である。
なお、(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、JIS Z8825に準拠し、例えば(株)島津製作所製「SALD−2300」を用いて、レーザー回折法によって測定される。
【0033】
上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の好ましい平均重合度は、300以上1000未満であり、より好ましい平均重合度は500以上950以下であり、更に好ましい平均重合度は600以上900以下である。上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を高くできる他、当該組成物の成形加工時の溶融性を向上できる。
【0034】
<塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合>
ここで、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含有しない場合には、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子との合計(100質量%)に対して65質量%以上95質量%以下であり、より好ましい含有量は70質量%以上92質量%以下であり、更に好ましい含有量は72質量%以上88質量%以下である。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を高くすることが可能になる他、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の低温での柔軟性及び耐熱老化性(加熱後引張特性)を向上させられる。
【0035】
また、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含有しない場合、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子との合計(100質量%)に対して5質量%以上35質量%以下であり、より好ましい含有量は8質量%以上30質量%以下であり、更に好ましい含有量は12質量%以上28質量%以下である。上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を向上させられる他、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の低温での柔軟性及び耐熱老化性(加熱後引張特性)を向上させられる。
【0036】
一方、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含有する場合には、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計(100質量%)に対して2質量%以上15質量%以下であり、より好ましい含有量は3質量%以上12質量%以下であり、更に好ましい含有量は4質量%以上11質量%以下である。上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を向上させられる他、当該組成物の成形加工時の溶融性を向上できる。また、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の低温での柔軟性及び耐熱老化性(加熱後引張特性)のバランスが優れる。
【0037】
また、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含有する場合、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計(100質量%)に対して65質量%以上95質量%以下であり、より好ましい含有量は70質量%以上92質量%以下であり、更に好ましい含有量は72質量%以上88質量%以下である。上記(a)塩化ビニル樹脂粒子の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を高くすることが可能になる他、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の低温での柔軟性及び耐熱老化性(加熱後引張特性)を向上させられる。
【0038】
更に、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含有する場合、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計(100質量%)に対して3質量%以上20質量%以下であり、より好ましい含有量は5質量%以上18質量%以下であり、更に好ましい含有量は8質量%以上17質量%以下である。上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を向上させられる他、当該組成物の成形加工時の溶融性を向上できる。
【0039】
<可塑剤>
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が含む(b)可塑剤としては、特に限定されることなく、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、及びその他の可塑剤が挙げられる。中でも、(b)可塑剤としては、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤が好ましい。好ましいトリメリット酸エステル系可塑剤は、トリメリット酸と一価アルコールとのエステル化合物であり、好ましいピロメリット酸エステル系可塑剤は、ピロメリット酸と一価アルコールとのエステル化合物である。
【0040】
[トリメリット酸エステル系可塑剤]
トリメリット酸エステル系可塑剤の具体例は、トリメリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリ−n−ウンデシル、トリメリット酸トリ−n−ドデシル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12である。〕を分子内に2種以上有するエステル)等である。
【0041】
そして、トリメリット酸エステル系可塑剤のより好ましい具体例は、下記式(1)で示される化合物である。
【化1】
なお、上記式(1)中、R、R及びRはアルキル基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
ここで、R、R及びRの直鎖率は、それぞれ好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。そして、R、R及びRの全アルキル基に対する炭素数7以下のアルキル基の割合は好ましくは0モル%以上10モル%以下であり、R、R及びRの全アルキル基に対する炭素数8及び9のアルキル基の割合は好ましくは5モル%以上100モル%以下、より好ましくは40モル%以上95モル%以下、更に好ましくは75モル%以上95モル%以下であり、R、R及びRの全アルキル基に対する炭素数10のアルキル基の割合は好ましくは0モル%以上95モル%以下、より好ましくは5モル%以上60モル%以下、更に好ましくは5モル%以上25モル%以下であり、R、R及びRの全アルキル基に対する炭素数11以上のアルキル基の割合は好ましくは0モル%以上10モル%以下である。なお、R、R及びRの直鎖率は、R、R及びRそれぞれについての、全アルキル基に対する直鎖状アルキル基の割合である。
【0043】
なお、上記式(1)中のR、R及びRを構成する直鎖状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−ステアリル基などが挙げられる。また、上記式(1)中のR、R及びRを構成する分岐状アルキル基の具体例としては、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ペンチル基、i−ヘキシル基、i−ヘプチル基、i−オクチル基、i−ノニル基、i−デシル基、i−ウンデシル基、i−ドデシル基、i−トリデシル基、i−ペンタデシル基、i−ヘキサデシル基、i−ヘプタデシル基、i−オクタデシル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基、t−ヘプチル基、t−オクチル基、t−ノニル基、t−デシル基、t−ウンデシル基、t−ドデシル基、t−トリデシル基、t−ペンタデシル基、t−ヘキサデシル基、t−ヘプタデシル基、t−オクタデシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
【0044】
上記トリメリット酸エステル系可塑剤は、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。
【0045】
[ピロメリット酸エステル系可塑剤]
ピロメリット酸エステル系可塑剤の具体例は、ピロメリット酸テトラ−n−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−n−デシル、ピロメリット酸テトラ−i−デシル、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステル(炭素数が異なるアルキル基〔但し、炭素数は6〜12、好ましくは7〜10である。〕を分子内に2種以上有するエステル)等の、ピロメリット酸テトラアルキルエステルである。中でも、エステル基の炭素数が6〜10のピロメリット酸テトラアルキルエステルが好ましく、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−n−デシル等の、エステル基の炭素数が8〜10のピロメリット酸テトラアルキルエステルがより好ましく、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)等の、炭素数が8のピロメリット酸テトラアルキルエステルが更に好ましい。
【0046】
上記ピロメリット酸エステル系可塑剤は、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。
【0047】
[その他の可塑剤]
上記トリメリット酸エステル系可塑剤及び上記ピロメリット酸エステル系可塑剤以外のその他の可塑剤としては、以下の一次可塑剤及び二次可塑剤などが挙げられる。
【0048】
いわゆる、一次可塑剤としては、
エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−n−ヘプチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−n−ノニルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−ドデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジベンジルフタレート、n−ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸誘導体;
ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体;
ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペートなどのアジピン酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;
ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ−(2−ブチルオクチル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;
ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−n−ブチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;
ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;
トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;
モノメチルイタコネート、モノ−n−ブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジ−n−ブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;
ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;
メチルアセチルリシノレート、n−ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;
n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体;
ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;
トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ−n−ブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;
ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;
グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体;
アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤;
などが挙げられる。
【0049】
また、いわゆる二次可塑剤としては、塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレートなどのグリコールの脂肪酸エステル、n−ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどが挙げられる。
【0050】
なお、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物では、1種又は2種以上の、その他の可塑剤を使用しうる。また、二次可塑剤を用いる場合、それと等質量以上の一次可塑剤を併用することが好ましい。
【0051】
そして、上記その他の可塑剤の中でも、好ましい可塑剤は、エポキシ化植物油であり、より好ましい可塑剤は、エポキシ化大豆油である。
【0052】
上記(b)可塑剤の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、70質量部以上200質量部以下であり、より好ましい含有量は80質量部以上180質量部以下であり、更に好ましい含有量は90質量部以上160質量部以下であり、特に好ましい含有量は100質量部以上150質量部以下であり、最も好ましくは115質量部以上125質量部以下である。上記(b)可塑剤の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の耐熱老化性が良好となり、かつ、上記(b)可塑剤が上記(a)塩化ビニル樹脂粒子に良く吸収され、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形性が良好となる。
【0053】
なお、上記(b)可塑剤中に、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤の両方が含まれる場合、トリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤の含有量比は、特に限定されない。上記(b)可塑剤中のトリメリット酸エステル系可塑剤及びピロメリット酸エステル系可塑剤の含有量比(トリメリット酸エステル系可塑剤/ピロメリット酸エステル系可塑剤)は、質量比で、好ましくは10/1〜1/10であり、より好ましくは8/1〜1/8であり、更に好ましくは4/1〜1/4であり、特に好ましくは4/1〜1/1である。
【0054】
また、上記(b)可塑剤中に上記その他の可塑剤が含まれる場合、上記(b)可塑剤中の上記その他の可塑剤の好ましい含有量は10質量%以下であり、より好ましい含有量は1質量%以上10質量%以下であり、更に好ましい含有量は2質量%以上5質量%以下である。
【0055】
<添加剤>
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子、上記(b)可塑剤、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子、及び上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子以外に、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、脂肪酸金属塩、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子及び上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤(粉体流動性改良剤。以下、「その他のダスティング剤」ということがある。)、並びに、その他の添加剤が挙げられる。
【0056】
[過塩素酸処理ハイドロタルサイト]
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO2−)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO)で置換して(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換する)、容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1〜2モルとする。
【0057】
未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。また、未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは95モル%以下である。未処理(未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率が上記の範囲内にあることにより、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に、良好な低温での柔軟性を付与することができる。
【0058】
ハイドロタルサイトは、一般式:[Mg1−xAl(OH)]x+[(CO)x/2・mHO]x−で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層[Mg1−xAl(OH)]x+と、マイナスに荷電した中間層[(CO)x/2・mHO]x−とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、上記一般式中、xは0より大きく0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOである。合成されたハイドロタルサイトとしては、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HOが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、例えば特公昭61−174270号公報に記載されている。
【0059】
過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、好ましくは0.5質量部以上7質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上6質量部以下であり、更に好ましくは1.5質量部以上5.5質量部以下である。過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に、良好な低温での柔軟性を付与できる。
【0060】
[ゼオライト]
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:Mx/n・[(AlO・(SiO]・zHO(一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単子格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表される化合物である。当該一般式中のMの種類としては、Na、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
【0061】
ゼオライトの含有量は特定の範囲に限定されない。好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、0.1質量部以上5質量部以下である。
【0062】
[脂肪酸金属塩]
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、好ましい脂肪酸金属塩は、一価脂肪酸金属塩であり、より好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数12以上24以下の一価脂肪酸金属塩であり、更に好ましい脂肪酸金属塩は、炭素数15以上21以下の一価脂肪酸金属塩である。脂肪酸金属塩の具体例は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期〜第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
【0063】
脂肪酸金属塩の含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上1質量部以下であり、更に好ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下である。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲であると、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に、良好な低温での柔軟性を付与でき、更に色差の値を小さくできる。
【0064】
[その他のダスティング剤]
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子及び上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子以外の、その他のダスティング剤(粉体流動性改良剤)としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子などの有機微粒子;が挙げられる。中でも、平均粒子径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
【0065】
その他のダスティング剤の含有量は特定の範囲に限定されない。その他のダスティング剤の含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
【0066】
[その他の添加剤]
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物が含有し得るその他の添加剤としては、着色剤、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤、β−ジケトン類、離型剤等が挙げられる。
【0067】
着色剤の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種又は2種以上の顔料が使用される。
キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンとの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。
カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
【0068】
耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレンなどである。本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物では、1種又は2種以上の耐衝撃性改良剤が使用できる。なお、耐衝撃性改良剤は、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物では、当該弾性粒子にグラフト重合した鎖及び極性基が(a)塩化ビニル樹脂粒子と相溶し、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。
【0069】
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤などである。
【0070】
防黴剤の具体例は、脂肪族エステル系防黴剤、炭化水素系防黴剤、有機窒素系防黴剤、有機窒素硫黄系防黴剤などである。
【0071】
難燃剤の具体例は、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;などである。
【0072】
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
【0073】
充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレーなどである。
【0074】
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などである。
【0075】
発泡剤の具体例は、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物などの有機発泡剤;フロンガス、炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物、これらを内包したマイクロカプセルなどの、ガス系の発泡剤;などである。
【0076】
β−ジケトン類は、本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の初期色調の変動をより効果的に抑えるために用いられる。β−ジケトン類の具体例は、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタンなどである。これらのβ−ジケトン類は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、β−ジケトン類の含有量は特定の範囲に限定されない。β−ジケトン類の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、0.1質量部以上5質量部以下である。
【0077】
離型剤の具体例は、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシラウリン酸等の水酸基を有する飽和脂肪酸である。これらの離型剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。離型剤の含有量は、特定の範囲に限定されない。離型剤の好ましい含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子との合計100質量部当たり、0.1質量部以上3質量部以下である。
【0078】
<粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の調製方法>
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分を混合してなるものである。
ここで、上記(a)塩化ビニル樹脂粒子と、上記(b)可塑剤と、上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子と、必要に応じて添加される上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子や添加剤の混合方法は限定されない。好ましい混合方法は、可塑剤及びダスティング剤(上記(c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子及び上記(d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子を含む)を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、可塑剤、ダスティング剤を順次、混合する方法である。ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、好ましくは50℃以上100℃以下、より好ましくは70℃以上80℃以下である。
【0079】
(塩化ビニル樹脂成形体)
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を、粉体成形、好ましくはパウダースラッシュ成形して得られる。パウダースラッシュ成形時の金型温度は、好ましくは200℃以上300℃以下、より好ましくは220℃以上280℃以下である。
【0080】
本発明の塩化ビニル樹脂成形体を製造する際には、例えば、上記温度範囲の金型に本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた本発明の塩化ビニル樹脂成形体を金型から脱型する。
【0081】
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装材、例えばインスツルメントパネル、ドアトリム等の表皮として好適に用いられる。
【0082】
(積層体)
本発明の積層体は、本発明の塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体を積層して得ることができる。積層方法は、塩化ビニル樹脂成形体と、発泡ポリウレタン成形体とを別途作製した後に、熱融着、熱接着又は公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法;塩化ビニル樹脂成形体上で発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行い、塩化ビニル樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する方法;などが挙げられる。後者の方が、工程が簡素であり、かつ、種々の形状の積層体を得る場合においても、塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体との接着を確実に行うことができるのでより好適である。
【0083】
本発明の積層体は、自動車内装材、例えばインスツルメントパネル、ドアトリム等として好適に用いられる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
なお、以下の実施例において、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、JIS K6720−2に準拠し、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、ニトロベンゼンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
また、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子を、それぞれ水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
・装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、SALD−2300)
・測定方式:レーザー回折及び散乱
・測定範囲:0.017μm〜2500μm
・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
【0085】
(実施例1〜14及び比較例1)
表1及び表2に示す配合成分のうち、可塑剤(トリメリット酸エステル系可塑剤及びエポキシ化大豆油)とダスティング剤とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤を添加し、ドライアップ(可塑剤が塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が70℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
そして、得られた粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、塩化ビニル樹脂成形シートの厚みが1mmになるよう調整した時間(具体的には14〜17秒間)放置して溶融させた後、余剰の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、200℃に設定したオーブンに静置し、60秒経過した時点で金型を冷却水により冷却し、金型温度が40℃まで冷却された時点で145mm×175mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、以下の方法で各種物性を測定した。結果を表1〜2に示す。
【0086】
各種物性の測定方法は次の通りである。
(1)初期引張試験
上記塩化ビニル樹脂成形シートをJIS K6251に記載の1号ダンベルで打ち抜き、JIS K7113に準拠して、引張速度200mm/分で、−35℃における引張応力及び引張伸びを測定した。塩化ビニル樹脂成形シートは、−35℃での引張伸びが高いほど、低温での柔軟性が優れている。
(2)加熱後引張試験
測定用試料を調製するため、得られた塩化ビニル樹脂成形シート2枚を、200mm×300mm×10mmの金型中に重ならないようにシボ付き面を下にして敷いた。また、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)50質量部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)50質量部、水2.5質量部、トリエチレンジアミンのエチレングリコ−ル溶液(東ソー(株)製、商品名:「TEDA−L33」)0.2質量部、トリエタノールアミン1.2質量部、トリエチルアミン0.5質量部及び整泡剤(信越化学工業(株)製、商品名:「F−122」)0.5質量部からなるポリオール混合物と、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合して混合液を作製した。次に、得られた混合液を、前記塩化ビニル樹脂成形シート2枚の上にそれぞれ注ぎ、金型に348mm×255mm×10mmのアルミ板で蓋をし、金型を密閉した。5分後、1mm厚の塩化ビニル樹脂成形シートからなる表皮に9mm厚、密度0.18g/cmの発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた試料(積層体)が金型内に形成された。そして、得られた試料を金型から取り出した。
次に、得られた試料をオーブンに入れ、130℃で250時間加熱した後、発泡ポリウレタン層を当該試料から剥離し、上記(1)初期引張試験と同様にして、−35℃における引張応力及び引張伸びを測定した。塩化ビニル樹脂成形シートは、−35℃での引張伸びが高いほど、低温での柔軟性が優れている。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
1)新第一塩ビ(株)製、ZEST 2500Z(塩化ビニル系樹脂粒子((a)塩化ビニル樹脂粒子)、平均重合度2500、平均粒子径130μm)
2)花王(株)製、トリメックスN−08
3)(株)ADEKA社製、アデカサイザーO−130S
4)協和化学工業(株)製、アルカマイザー5
5)水澤化学工業(株)製、MIZUKALIZER DS
6)昭和電工(株)製、カレンズ DK−1
7)堺化学工業(株)製、SAKAI SZ2000
8)(株)ADEKA製、LA−72
9)(株)ADEKA製、アデカスタブ 522A
10)(株)ADEKA製、アデカスタブ LS−12
11)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQLTX(塩化ビニル系樹脂微粒子((d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度800、平均粒子径2μm)
12)新第一塩ビ(株)製、ZEST P21(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度1550、平均粒子径2μm)
13)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQHP(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度1550、平均粒子径3μm)
14)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQHH(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度3600、平均粒子径2μm)
15)東ソー(株)製、リューロンペースト860(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度1600、平均粒子径2μm)
16)東ソー(株)製、リューロンペースト761(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度2100、平均粒子径2μm)
17)東ソー(株)製、リューロンペースト960(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度4500、平均粒子径2μm)
18)大日精化工業(株)製、DA PX−1720ブラック(A)
【0090】
実施例1〜14の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形して得られた成形体(塩化ビニル樹脂成形シート)は、低温での初期及び加熱後引張特性に優れていた。
中でも特に、実施例5、11〜14の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形して得られた成形体(塩化ビニル樹脂成形シート)は、低温での柔軟性が特に優れていた。
【0091】
一方、平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子を含まない比較例1の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形して得られた成形体(塩化ビニル樹脂成形シート)は、低温での加熱後引張伸びが低く、低温での柔軟性が劣っていた。
【0092】
(実施例15〜17及び比較例2)
表3に示す配合成分のうち、可塑剤(トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤及びエポキシ化大豆油)とダスティング剤とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤を添加し、ドライアップ(可塑剤が塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が70℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
そして、得られた粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、塩化ビニル樹脂成形シートの厚みが1mmになるよう調整した時間(具体的には14〜17秒間)放置して溶融させた後、余剰の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、200℃に設定したオーブンに静置し、60秒経過した時点で金型を冷却水により冷却し、金型温度が40℃まで冷却された時点で145mm×175mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、以下の方法で各種物性を測定した。結果を表3に示す。
【0093】
(3)初期引張試験
上記塩化ビニル樹脂成形シートをJIS K6251に記載の1号ダンベルで打ち抜き、JIS K7113に準拠して、引張速度200mm/分で、−35℃における引張応力及び引張伸びを測定した。塩化ビニル樹脂成形シートは、−35℃での引張伸びが高いほど、低温での柔軟性が優れている。
(4)加熱後引張試験
測定用試料を調製するため、得られた塩化ビニル樹脂成形シート2枚を、200mm×300mm×10mmの金型中に重ならないようにシボ付き面を下にして敷いた。また、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)50質量部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)50質量部、水2.5質量部、トリエチレンジアミンのエチレングリコ−ル溶液(東ソー(株)製、商品名:「TEDA−L33」)0.2質量部、トリエタノールアミン1.2質量部、トリエチルアミン0.5質量部及び整泡剤(信越化学工業(株)製、商品名:「F−122」)0.5質量部からなるポリオール混合物と、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合して混合液を作製した。次に、得られた混合液を、前記塩化ビニル樹脂成形シート2枚の上にそれぞれ注ぎ、金型に348mm×255mm×10mmのアルミ板で蓋をし、金型を密閉した。5分後、1mm厚の塩化ビニル樹脂成形シートからなる表皮に9mm厚、密度0.18g/cmの発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた試料(積層体)が金型内に形成された。そして、得られた試料を金型から取り出した。
次に、得られた試料をオーブンに入れ、130℃で250時間加熱した後、発泡ポリウレタン層を当該試料から剥離し、上記(3)初期引張試験と同様にして、−35℃における引張応力及び引張伸びを測定した。塩化ビニル樹脂成形シートは、−35℃での引張伸びが高いほど、低温での柔軟性が優れている。
また、得られた試料をオーブンに入れ、130℃で600時間加熱した後、発泡ポリウレタン層を当該試料から剥離し、上記(3)初期引張試験と同様にして、−35℃における引張応力及び引張伸びを測定した。塩化ビニル樹脂成形シートは、−35℃での引張伸びが高いほど、低温での柔軟性が優れている。
【0094】
【表3】
【0095】
1)新第一塩ビ(株)製、ZEST 2500Z(塩化ビニル系樹脂粒子((a)塩化ビニル樹脂粒子)、平均重合度2500、平均粒子径130μm)
2)花王(株)製、トリメックスN−08
3)(株)ADEKA社製、アデカサイザーO−130S
4)協和化学工業(株)製、アルカマイザー5
5)水澤化学工業(株)製、MIZUKALIZER DS
6)昭和電工(株)製、カレンズ DK−1
7)堺化学工業(株)製、SAKAI SZ2000
8)(株)ADEKA製、LA−72
9)(株)ADEKA製、アデカスタブ 522A
10)(株)ADEKA製、アデカスタブ LS−12
11)新第一塩ビ(株)製、ZEST PQLTX(塩化ビニル系樹脂微粒子((d)平均重合度1000未満の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度800、平均粒子径2μm)
16)東ソー(株)製、リューロンペースト761(塩化ビニル系樹脂微粒子((c)平均重合度1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子)、平均重合度2100、平均粒子径2μm)
18)大日精化工業(株)製、DA PX−1720ブラック(A)
19)(株)ADEKA製アデカサイザーUL−80
【0096】
実施例15〜17の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形して得られた成形体(塩化ビニル樹脂成形シート)は、低温での初期及び加熱後引張特性に優れていた。
【0097】
一方、平均重合度が1000以上5000以下の塩化ビニル樹脂微粒子及びピロメリット酸エステル系可塑剤を含まない比較例2の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形して得られた成形体(塩化ビニル樹脂成形シート)は、低温での加熱後引張伸びが低く、加熱後の低温での柔軟性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物は、例えばインスツルメントパネル、ドアトリム等の自動車内装材の表皮の成形材料として好適に用いられる。