(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
図1、2に示す生理的熱量の計測器1は、人体から放出される生理的熱量を計測する。生理的熱量は、生物の活動に伴って消費される熱量であり、消費カロリーとも呼ばれる。
【0013】
図1に示すように、計測器1は、熱流束センサ2と、算出部3とを備える。
【0014】
熱流束センサ2は、人体の表面に設置される。熱流束センサ2は、人体から放出される熱流束を検出する。熱流束は、単位時間当たりに単位面積を流れる熱量である。熱流束センサ2は、フィルム状である。熱流束センサ2の平面形状は四角形である。
【0015】
算出部3は、配線4を介して、熱流束センサ2と接続されている。算出部3は、熱流束センサ2からのセンサ信号が入力される。算出部3は、センサ信号の値に基づいて、人体から放出される生理的熱量を算出する。例えば、算出部3は、センサ信号に基づいて、熱流束を算出する。算出部3は、この算出結果を必要に応じて単位換算して、生理的熱量を算出する。なお、算出部3が、センサ信号に基づいて、直接、求めたい単位の生理的熱量を算出するようになっていてもよい。この場合、算出部3は、センサ信号の値と、センサ信号の値と人体から放出される熱量との関係とに基づいて、生理的熱量を算出する。
【0016】
図2に示すように、熱流束センサ2は、センサ本体部10と、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とを備える。
【0017】
センサ本体部10は、フィルム状である。センサ本体部10は、第1面10aと第1面10aの反対側の第2面10bを有する。センサ本体部10は、第1面10aから第2面10bまでセンサ本体部10を貫通する複数の貫通孔40が形成されている。
【0018】
第1面10aおよび第2面10bにおける複数の貫通孔40のそれぞれの形状は、
図1に示すように、円形状である。貫通孔40は、円筒形状の内壁面41に囲まれた貫通空間部である。内壁面41は、貫通空間部を形成する空間形成部である。内壁面41は、センサ本体部10に形成されている。
【0019】
センサ本体部10の第1面10a側が人体側とされる。センサ本体部10は、第1面10aから第2面10bに向かってセンサ本体部10を通過する熱流束に応じたセンサ信号を出力する。センサ本体部10の具体的な構成については後述する。
【0020】
第1吸湿部材14および第2吸湿部材16は、フィルム状である。第1吸湿部材14および第2吸湿部材16は、吸湿性を有する。第1吸湿部材14および第2吸湿部材16のそれぞれの吸湿性は、センサ本体部10の吸湿性よりも高い。第1吸湿部材14および第2吸湿部材16は、汗の吸収と、吸収した汗の放出とを行うことができる。
【0021】
第1吸湿部材14は、センサ本体部10の第2面10bに積層されている。このため、
図3に示すように、熱流束センサ2が人体100の表面101に設置された状態において、第1吸湿部材14は、センサ本体部10に対して人体100から離れた側に配置される。
【0022】
第2吸湿部材16は、センサ本体部10の第1面10aに積層されている。このため、
図3に示すように、熱流束センサ2が人体100の表面101に設置された状態において、第2吸湿部材16は、人体100の表面101とセンサ本体部10との間に配置される。
【0023】
第2吸湿部材16は、人体100の表面101に発生した汗を吸収し、吸収した汗を複数の貫通孔40のそれぞれに分散させるためのものである。第2吸湿部材16は、人体100の表面101に発生した汗を人体100の表面101に沿った方向で移動しやすくする。
【0024】
第1吸湿部材14は、複数の貫通孔40からセンサ本体部10の第2面10b上に吸い上げた汗を蒸発させて空気中へ放出させるためのものである。第1吸湿部材14は、複数の貫通孔40の全部を覆っている。
【0025】
第1吸湿部材14および第2吸湿部材16としては、多孔質材料で構成された部材が用いられる。この場合、第1吸湿部材14および第2吸湿部材16は、どちらも、内部に複数の細孔を有する。複数の細孔の一部は、第1面10aおよび第2面10bに交差する方向で連なっている。また、複数の細孔の一部は、第1面10aおよび第2面10bに沿う方向で連なっている。なお、第1吸湿部材14および第2吸湿部材16として、汗を吸収し、吸収した汗を放出できるとともに、フィルム状の形状を保持できる部材であれば、他の部材を用いることができる。
【0026】
次に、
図4、5、6を用いて、センサ本体部10の具体的な構造について説明する。
図5、6に示すように、センサ本体部10は、絶縁部材12と、複数の第1熱電部材18と、複数の第2熱電部材20と、複数の第1導体パターン22と、複数の第2導体パターン24とを備えている。
【0027】
絶縁部材12は、フィルム状であり、第1面12aとその反対側の第2面12bとを有する。絶縁部材12の第1面12aがセンサ本体部10の第1面10aを構成している。絶縁部材12の第2面12bがセンサ本体部10の第2面10bを構成している。なお、
図5、6に示す絶縁部材12の上下方向での向きは、
図2、3に示す絶縁部材12の上下方向の向きとは逆の関係である。絶縁部材12は、可撓性を有する絶縁材料で構成されている。絶縁材料としては、熱可塑性樹脂が用いられる。
【0028】
複数の第1熱電部材18は、絶縁部材12の内部に配置されている。複数の第1熱電部材18は、第1熱電材料で構成されている。複数の第2熱電部材20は、絶縁部材12の内部に配置されている。複数の第2熱電部材20は、第1熱電材料と異なる第2熱電材料で構成されている。第1熱電材料および第2熱電材料としては、半導体材料や金属材料が用いられる。絶縁部材12の第1面12aおよび第2面12bに沿う方向において、複数の第2熱電部材20のそれぞれは、複数の第1熱電部材18のそれぞれと交互に並んでいる。
【0029】
複数の第1導体パターン22は、複数の第1熱電部材18および複数の第2熱電部材20のうち隣り合って並ぶ第1熱電部材18と第2熱電部材20とを接続する接続部材である。複数の第1導体パターン22は、複数の第1熱電部材18および複数の第2熱電部材20に対して絶縁部材12の第1面12a側に配置されている。
【0030】
複数の第2導体パターン24は、複数の第1熱電部材18および前記複数の第2熱電部材20のうち隣り合って並ぶ第1熱電部材18と第2熱電部材20とを接続する接続部材である。複数の第2導体パターン24は、複数の第1熱電部材18および複数の第2熱電部材20に対して絶縁部材12の第2面12b側に配置されている。
【0031】
複数の第1導体パターン22および複数の第2導体パターン24は、平面形状が所望のパターンとされた導体膜である。導体膜としては、金属薄膜が用いられる。
【0032】
本実施形態では、絶縁部材12は、基材26と、第1保護部材28と、第2保護部材30とを含んでいる。
【0033】
基材26、第1保護部材28および第2保護部材30のそれぞれは、フィルム状である。基材26、第1保護部材28および第2保護部材30のそれぞれは、可撓性を有する熱可塑性樹脂で構成されている。基材26、第1保護部材28および第2保護部材30は、熱可塑性樹脂以外の可撓性を有する樹脂材料や、樹脂材料以外の可撓性を有する絶縁材料で構成されていてもよい。
【0034】
基材26は、第1面26aとその反対側の第2面26bとを有する。基材26は、その厚さ方向に貫通する複数の第1貫通孔261および複数の第2貫通孔262が形成されている。複数の第1貫通孔261および複数の第2貫通孔262は、第1面26aから第2面26bまで基材26を貫通している。第1貫通孔261に第1熱電部材18が配置されている。第2貫通孔262に第2熱電部材20が配置されている。
【0035】
第1保護部材28は、基材26の第1面26aに積層されている。第1保護部材28は、基材26側の表面28bと、基材26側とは反対側の表面28bとを有する。反対側の表面28bが絶縁部材12の第1面12aを構成している。
【0036】
第2保護部材30は、基材26の第2面26bに積層されている。第2保護部材30は、基材26側の表面30aと、基材26側とは反対側の表面30bとを有する。反対側の表面30bが、絶縁部材12の第2面12bを構成している。
【0037】
複数の第1導体パターン22は、基材26の第1面26aと第1保護部材28の間に配置されている。複数の第2導体パターン24は、基材26の第2面26bと第2保護部材30の間に配置されている。このように、複数の第1導体パターン22および複数の第2導体パターン24は、絶縁部材12の内部に配置されている。
【0038】
センサ本体部10の第1面10aと第2面10bの一方から他方に向かう方向にて、熱流がセンサ本体部10を通過する。このとき、センサ本体部10の第1面10a側と第2面10b側に温度差が生じる。すなわち、互いに接続された第1熱電部材18と第2熱電部材20のそれぞれにおける一方側と他方側に温度差が生じる。これにより、ゼーベック効果によって第1熱電部材18および第2熱電部材20に熱起電力が発生する。センサ本体部10は、この熱起電力、具体的には、電圧をセンサ信号として出力する。このように、センサ本体部10は、センサ本体部10を通過する熱流の熱流束の大きさに応じたセンサ信号を出力する。
【0039】
図4、5、6に示すように、複数の第1熱電部材18と、複数の第2熱電部材20と、複数の第1導体パターン22と、複数の第2導体パターン24とが接続されることで導体部32が形成されている。導体部32は、第1熱電部材18、第1導体パターン22、第2熱電部材20、第2導体パターン24の順に、これらが繰り返し直列に接続されたものである。
図4では、導体部32がつながっている様子を二点鎖線で示している。
【0040】
図4に示すように、導体部32は、絶縁部材12の第1面12aおよび第2面12bに沿う方向で、蛇行した形状である。この導体部32の形状は、絶縁部材12の厚さ方向で、導体部32を所定の平面に投影したときに、投影された導体部32の形状である。所定の平面とは、例えば、絶縁部材12の第1面12aである。
【0041】
ここで、
図4の上下方向を縦方向とする。
図4の左右方向を横方向とする。このとき、導体部32は、導体部32のうち横方向の一方側である第1導体部321と、導体部32のうち横方向での他方側である第2導体部322とを有する。
図4の左側が横方向の一方側に対応する。
図4の右側が横方向の他方側に対応する。
【0042】
第1導体部321は、横方向の一方側と他方側とに交互に振れながら、縦方向の一方側から他方側へ進むように蛇行した形状である。
図4の下側が縦方向の一方側に対応する。
図4の上側が縦方向の他方側に対応する。
【0043】
第2導体部322は、横方向での振れ側が第1導体部321と反対となるように、横方向の一方側と他方側とに交互に振れながら、縦方向の一方側から他方側へ進む蛇行形状である。第1導体部321と第2導体部322とは、縦方向の他方側でつながっている。
【0044】
図6に示すように、複数の貫通孔40のそれぞれは、絶縁部材12の第1面12aから第2面12bまで絶縁部材12を貫通している。複数の貫通孔40のそれぞれは、絶縁部材12のうち第1熱電部材18、第2熱電部材20、第1導体パターン22および第2導体パターン24が配置されていない領域に形成されている。
【0045】
次に、
図7A−
図7Hを用いて、本実施形態の熱流束センサ2の製造方法について説明する。なお、
図7A−
図7Hは、
図6に示す熱流束センサ2の断面図に対応している。
【0046】
図7Aに示すように、フィルム状の基材51を用意する。基材51は、第1面51aとその反対側の第2面51bとを有する。
【0047】
続いて、
図7Bに示すように、基材51に複数の第1貫通孔261および複数の第2貫通孔262を形成する。複数の第1貫通孔261および複数の第2貫通孔262は、第1面51aから第2面51bまで基材51を貫通する。第1貫通孔261と第2貫通孔262とは交互に配置される。
【0048】
続いて、
図7Cに示すように、複数の第1貫通孔261のそれぞれに粉末状の第1熱電部材52を充填する。複数の第2貫通孔262のそれぞれに粉末状の第2熱電部材53を充填する。
【0049】
続いて、
図7Dに示すように、第1保護部材54と第2保護部材55とを用意する。第1保護部材54の表面には複数の第1導体パターン56が形成されている。第2保護部材55の表面には複数の第2導体パターン57が形成されている。
【0050】
そして、第1保護部材54のうち複数の第1導体パターン56側を基材51側として、第1保護部材54を基材51の第1面51aに積層する。第2保護部材55のうち複数の第2導体パターン57側を基材51側として、第2保護部材55を基材51の第2面51bに積層する。これにより、基材51と、第1保護部材54と、第2保護部材55とが積層された積層体58が形成される。
【0051】
続いて、
図7Eに示すように、積層体58を加熱しながら加圧する。これにより、基材51と、第1保護部材54と、第2保護部材55とが一体化される。複数の第1熱電部材52のそれぞれが焼結する。複数の第2熱電部材53のそれぞれが焼結する。このようにして、複数の第1熱電部材18と、複数の第2熱電部材20と、複数の第1導体パターン22と、複数の第2導体パターン24とが内部に配置された絶縁部材12が形成される。すなわち、センサ本体部10が形成される。絶縁部材12は、第1面12aと第2面12bとを有する。
【0052】
なお、基材51、第1面51a、第2面51b、第1熱電部材52、第2熱電部材53、第1保護部材54、第2保護部材55、第1導体パターン56、第2導体パターン57のそれぞれが、基材26、第1面26a、第2面26b、第1熱電部材18、第2熱電部材20、第1保護部材28、第2保護部材30、第1導体パターン22、第2導体パターン24に対応する。
【0053】
続いて、
図7Fに示すように、絶縁部材12に複数の貫通孔40を形成する。すなわち、絶縁部材12に複数の円筒形状の内壁面41を形成する。
【0054】
続いて、
図7Gに示すように、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とを用意する。絶縁部材12の第1面12aに第2吸湿部材16を積層する。絶縁部材12の第2面12bに第1吸湿部材14を積層する。これにより、絶縁部材12と、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とが積層された積層体59が形成される。
【0055】
続いて、
図7Hに示すように、積層体59を加圧する。または、積層体59を加熱しながら加圧する。これにより、絶縁部材12と、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とが一体化される。このようにして、本実施形態の熱流束センサ2が製造される。
【0056】
次に、本実施形態の計測器1による生理的熱量の計測について説明する。
【0057】
人体100の内部から外部へ放出される熱エネルギE1は、
図8に示すように流れる。すなわち、人体100からの熱エネルギE1の一部E2は、人体100の表面101から空気へ対流によって放出される。また、人体100からの熱エネルギE1の他の一部E3は、人体100の表面101に存在する汗が蒸発するときの蒸発潜熱として用いられる。
【0058】
したがって、人体100の内部から外部へ放出される生理的熱量Q1は、対流分の熱量Q2と、蒸発潜熱分の熱量Q3との合計である。生理的熱量Q1は、熱エネルギE1の量である。対流分の熱量Q2は、熱エネルギE2の量である。蒸発潜熱分の熱量Q3は、熱エネルギE3の量である。
【0059】
ここで、本実施形態と異なり、熱流束センサが通気性を有していない場合、人体の表面に生じた汗は、熱流束センサを通過できない。人体の表面に生じた汗は、蒸発せず、人体の表面と熱流束センサとの間に溜まる。このため、ユーザが不快に感じてしまう。また、蒸発しないので、人体の表面から熱流束センサを通過する熱エネルギの流れは、上記した実態と異なってしまう。よって、通気性を有していない熱流束センサを用いた場合、人体から放出される生理的熱量を精度良く計測することができない。
【0060】
また、
図9に比較例1の熱流束センサ2Aを示す。比較例1の熱流束センサ2Aは、第1吸湿部材14を備えていない点が、本実施形態の熱流束センサ2と異なる。比較例1の熱流束センサ2Aの他の構成は、本実施形態の熱流束センサ2と同じである。
【0061】
図9に示すように、比較例1の熱流束センサ2Aが人体100の表面101に設置された場合、人体100の表面101に生じた汗は、第2吸湿部材16に吸収される。第2吸湿部材16の内部で、汗が蒸発する。蒸発した汗は、複数の貫通孔40のそれぞれを通過して空気中へ放出される。このとき、センサ本体部10よりも人体100側で、熱エネルギが蒸発潜熱として用いられる。
【0062】
このため、人体100から放出される熱エネルギE1のうち蒸発潜熱分の熱エネルギE3は、センサ本体部10を通過しない。人体100から放出される熱エネルギE1のうち対流分の熱エネルギE2だけが、センサ本体部10を通過する。このように、比較例1の熱流束センサ2Aを通過する熱エネルギの流れは、上記した実態と異なってしまう。よって、比較例1の熱流束センサ2Aを単独で用いた場合、人体から放出される生理的熱量を精度良く計測することができない。
【0063】
これに対して、
図3に示すように、本実施形態の熱流束センサ2が人体100の表面101に設置された場合、人体100の表面101に生じた汗は、第2吸湿部材16に吸収される。第2吸湿部材16に吸収された汗は、表面張力によって、複数の貫通孔40のそれぞれを通って、第2面10b側に移動する。第2面10b側に移動した汗は、第1吸湿部材14に吸収される。その後、汗は、第1吸湿部材14の内部で蒸発する。蒸発した汗は、第1吸湿部材14から空気中へ放出される。
【0064】
なお、比較例1の熱流束センサ2Aでは、センサ本体部10の第2面10bは吸湿部材に覆われていない。複数の貫通孔40は、熱流束センサ2Aの周辺の空気に開放されている。このため、人体100の表面101に生じた汗は、複数の貫通孔40を通過する前に蒸発する。したがって、
図9に示すように、センサ本体部10の第1面10aよりも人体側では、汗は液相となっている。センサ本体部10の第1面10aよりも反人体側で、汗が気相となっている。
【0065】
一方、本実施形態の熱流束センサ2では、センサ本体部10の第2面10bおよび複数の貫通孔40が第1吸湿部材14に覆われている。複数の貫通孔40は、塞がれた状態に近くなっている。第1吸湿部材14が汗を吸収した状態では、複数の貫通孔40は、第1吸湿部材14に塞がれた状態となる。このため、本実施形態の熱流束センサ2では、人体100の表面101に生じた汗は、複数の貫通孔40を通過した後に、第2面10b側で蒸発する。したがって、
図3に示すように、熱流束センサ2の内部で、汗は液相となっている。熱流束センサ2よりも反人体側で、汗が気相となっている。
【0066】
このように、本実施形態の熱流束センサ2を用いた場合、人体100の表面101の汗は、第2吸湿部材16に吸収された後、複数の貫通孔40を介して、第1吸湿部材14に吸い上げられる。その後、汗は、センサ本体部10の第2面10b側で蒸発する。このとき、センサ本体部10の第2面10b側で熱エネルギが蒸発潜熱として用いられる。このため、
図3に示すように、対流分の熱エネルギE2と、蒸発潜熱分の熱エネルギE3との両方が、センサ本体部10を通過する。このように、熱流束センサ2を通過する熱エネルギの流れは、上記した実態と同じようになる。
【0067】
このため、センサ本体部10は、対流分の熱量Q2と蒸発潜熱分の熱量Q3の合計に応じたセンサ信号を出力することができる。よって、本実施形態の熱流束センサ2を用いることで、人体100から放出される生理的熱量Q1を精度良く計測することができる。
【0068】
以上の説明の通り、本実施形態の熱流束センサ2によれば、人体100の表面101に生じた汗を、複数の貫通孔40を介して、センサ本体部10の第2面10bへ移動させることができる。よって、ユーザが汗による不快を感じることを抑制することができる。
【0069】
さらに、本実施形態の熱流束センサ2によれば、複数の貫通孔40と、第1吸湿部材14とを備えている。これにより、センサ本体部10の第2面10b側で、汗を蒸発させることができる。このため、
図3に示すように、対流分の熱エネルギE2と、蒸発潜熱分の熱エネルギE3との両方が、センサ本体部10を通過するようにすることができる。したがって、本実施形態の熱流束センサ2を用いることで、対流と蒸発潜熱の両方に用いられた熱量Q2、Q3を計測することができる。よって、本実施形態の計測器1によれば、人体100から放出される生理的熱量Q1を精度良く計測することができる。
【0070】
また、本実施形態の熱流束センサ2によれば、第2吸湿部材16によって、ユーザが汗による不快を感じることをより抑制することができる。さらに、第2吸湿部材16によって、複数の貫通孔40のそれぞれに汗を移動させやすくすることができる。
【0071】
(第2実施形態)
図10、11に示すように、本実施形態の計測器1は、2つの熱流束センサ2B、2Cを備える点が、第1実施形態の計測器1と異なる。
【0072】
計測器1は、第1熱流束センサ2Bと、第2熱流束センサ2Cと、算出部3とを備える。第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cは、ともに人体の表面に設置される。第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cは、人体から放出される熱流束を検出する。第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cは、フィルム状である。第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cのそれぞれの平面形状は四角形である。
【0073】
第1熱流束センサ2Bは、
図2に示す第1実施形態の熱流束センサ2と同じ構造である。第1熱流束センサ2Bは、第1センサ本体部10Bと、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16Bとを備える。第1センサ本体部10B、第1吸湿部材14、第2吸湿部材16Bのそれぞれは、第1実施形態のセンサ本体部10、第1吸湿部材14、第2吸湿部材16と同じである。第1センサ本体部10Bには、複数の貫通孔40が形成されている。第1センサ本体部10Bは、算出部3に向けて第1センサ信号を出力する。
【0074】
第2熱流束センサ2Cは、
図9に示す比較例1の熱流束センサ2Aと同じ構造である。第2熱流束センサ2Cは、第2センサ本体部10Cと、第3吸湿部材16Cとを備える。第2センサ本体部10Cは、第1実施形態の熱流束センサ2のセンサ本体部10と同じである。第3吸湿部材16Cは、第1実施形態の熱流束センサ2の第2吸湿部材16と同じである。
【0075】
第2センサ本体部10Cの第1面10a側が人体側とされる。第2センサ本体部10Cは、第1面10aから第2面10bに向かって第2センサ本体部10Cを通過する熱流束に応じたセンサ信号を出力する。
【0076】
第2センサ本体部10Cは、複数の貫通孔40が形成されている。第2センサ本体部10Cの第2面10bは、吸湿部材で覆われていない。このため、第2センサ本体部10Cの第2面10bのうち複数の貫通孔40が形成された領域は、外部空間に露出している。本実施形態では、第2センサ本体部10Cの第2面10bの全域が、外部空間に露出している。
【0077】
第2センサ本体部10Cは、第1センサ本体部10Bと一体成形された一体成形品で構成されている。すなわち、第2センサ本体部10Cは、第1センサ本体部10Bと継ぎ目なく形成されている。より具体的には、第2センサ本体部10Cの絶縁部材12は、第1センサ本体部10Bの絶縁部材12と一体成形された一体成形品で構成されている。これにより、第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cとは、一体で構成されている。このため、第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cとが、別体で構成されている場合と比較して、計測器1の構成品の数を低減できる。なお、第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cとが、別体で構成されていてもよい。
【0078】
また、第3吸湿部材16Cは、第2吸湿部材16Bと別体である。第3吸湿部材16Cは、第2吸湿部材16Bと一体成形された一体成形品で構成されていてもよい。
【0079】
第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cは、次のように、同じ製造工程を経て製造される。第1実施形態で説明した
図7A−7Fに示す工程が行われる。これにより、第1センサ本体部10Bと第2センサ本体部10Cとが製造される。
【0080】
その後、
図7Gに示す工程のように、第1センサ本体部10Bに、第1吸湿部材14と第2吸湿部材16Bが積層される。一方、第2センサ本体部10Cに、第3吸湿部材16Cが積層される。これにより、積層体が形成される。
【0081】
その後、積層体を加圧する。または、積層体を加熱しながら加圧する。これにより、第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cとが製造される。
【0082】
算出部3は、配線4Bを介して、第1熱流束センサ2Bの第1センサ本体部10Bと接続されている。算出部3は、配線4Cを介して、第2熱流束センサ2Cの第2センサ本体部10Cと接続されている。
【0083】
算出部3は、第1実施形態と同様に、第1センサ信号に基づいて、人体から放出される生理的熱量を算出する。さらに、算出部3は、第1センサ信号および第2センサ信号に基づいて、人体の発汗量を算出する。このとき、算出部3は、第1センサ本体部10Bと第2センサ本体部10Cとをそれぞれ通過する熱量の差と、人体の発汗量との関係を用いる。
【0084】
図11に示すように、第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cとが人体100の表面101に設置される。この場合、第1実施形態での説明の通り、第1熱流束センサ2Bでは、
図3に示すように、対流分の熱エネルギE2と、蒸発潜熱分の熱エネルギE3との両方が、センサ本体部10を通過する。このため、第1センサ本体部10Bは、対流分の熱量Q2と蒸発潜熱分の熱量Q3の合計に応じた第1センサ信号を出力することができる。
【0085】
一方、第2熱流束センサ2Cでは、第1実施形態での比較例1の熱流束センサ2Aの説明の通り、
図9に示すように、対流分の熱エネルギE2が第2センサ本体部10Cを通過し、蒸発潜熱分の熱エネルギE3が第2センサ本体部10Cを通過しない。このため、第2センサ本体部10Cは、対流分の熱量Q2と蒸発潜熱分の熱量Q3のうち対流分の熱量Q2のみに応じた第2センサ信号を出力することができる。
【0086】
そこで、算出部3は、第1センサ信号に基づいて生理的熱量Q1を算出する。算出部3は、第2センサ信号に基づいて対流分の熱量Q2を算出する。算出部3は、生理的熱量Q1と対流分の熱量Q2との差から蒸発潜熱分の熱量Q3を算出する。算出した蒸発潜熱分の熱量Q3から発汗量を算出する。この発汗量の算出では、算出部3は、蒸発潜熱分の熱量Q3と発汗量との間の予め定められた関係を用いる。この関係が、上述の第1センサ本体部10Bと第2センサ本体部10Cとをそれぞれ通過する熱量の差と人体の発汗量との関係である。
【0087】
このようにして、本実施形態の計測器1によれば、生理的熱量Q1を計測することに加えて、人体の発汗量を計測することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、算出部3は、生理的熱量Q1と対流分の熱量Q2との差から蒸発潜熱分の熱量Q3を算出したが、第1センサ信号および第2センサ信号から蒸発潜熱分の熱量Q3を直接算出してもよい。また、本実施形態では、算出部3は、蒸発潜熱分の熱量Q3から発汗量を算出したが、第1センサ信号および第2センサ信号から発汗量を直接算出してもよい。この場合の発汗量の算出においても、第1センサ本体部10Bと第2センサ本体部10Cとをそれぞれ通過する熱量の差と人体の発汗量との関係が用いられる。
【0089】
また、本実施形態では、第1センサ信号と第2センサ信号とが別々に算出部3に入力されるようになっていたが、これに限定されない。算出部3が発汗量を算出する場合、第1センサ信号と第2センサ信号との差が算出部3に直接入力されるようになっていてもよい。
【0090】
(第3実施形態)
図12に示すように、本実施形態は、熱流束センサ2のセンサ本体部10の構成が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同じである。
図12は、
図6に対応している。
【0091】
絶縁部材12は、フィルム状の基材26で構成されている。基材26の第1面26aが、絶縁部材12の第1面12aを構成している。基材26の第2面26bが、絶縁部材12の第2面12bを構成している。
【0092】
複数の第1熱電部材18は、複数の第1貫通孔261に配置されている。複数の第2熱電部材20は、複数の第2貫通孔262に配置されている。複数の第1導体パターン22は、基材26の第1面26aに配置されている。複数の第2導体パターン24は、基材26の第2面26bに配置されている。
【0093】
このように、複数の第1熱電部材18および複数の第2熱電部材20は、絶縁部材12の内部に配置されている。複数の第1導体パターン22および複数の第2導体パターン24は、絶縁部材12から露出している。
【0094】
第1実施形態と同様に、絶縁部材12には、複数の貫通孔40が形成されている。複数の貫通孔40のそれぞれは、内壁面41に囲まれている。
【0095】
次に、
図13A−
図13Gを用いて、本実施形態の熱流束センサ2の製造方法について説明する。なお、
図13A、13Bは、積層前の状態の第1基材部61と第2基材部62とを並べて示している。
【0096】
図13Aに示すように、フィルム状の第1基材部61と、フィルム状の第2基材部62とを用意する。第1基材部61は、第1面61aとその反対側の第2面61bとを有する。第1基材部61の第1面61aには複数の第1導体パターン63が形成されている。第2基材部62は、第1面62aとその反対側の第2面62bとを有する。第2基材部62の第1面62aには複数の第2導体パターン64が形成されている。
【0097】
続いて、
図13Bに示すように、第1基材部61に複数の第1貫通孔611および複数の第2貫通孔612を形成する。複数の第1貫通孔611および複数の第2貫通孔612は、第1面61aから第2面61bまで第1基材部61を貫通する。第1貫通孔611と第2貫通孔612とは交互に配置される。第1導体パターン63は、複数の第1貫通孔611および複数の第2貫通孔612の底を構成している。
【0098】
同様に、第2基材部62に複数の第1貫通孔621および複数の第2貫通孔622を形成する。複数の第1貫通孔621および複数の第2貫通孔622は、第1面62aから第2面62bまで第2基材部62を貫通する。第1貫通孔621と第2貫通孔622とは交互に配置される。第2導体パターン64は、複数の第1貫通孔621および複数の第2貫通孔622の底を構成している。
【0099】
続いて、
図13Cに示すように、第1基材部61において、複数の第1貫通孔611のそれぞれに粉末状の第1熱電部材651を充填する。複数の第2貫通孔612のそれぞれに粉末状の第2熱電部材661充填する。
【0100】
同様に、第2基材部62において、複数の第1貫通孔621のそれぞれに粉末状の第1熱電部材652を充填する。複数の第2貫通孔622のそれぞれに粉末状の第2熱電部材662を充填する。
【0101】
続いて、第1基材部61と第2基材部62が積層された積層体67を形成する。このとき、第1基材部61の第2面61bと第2基材部62の第2面62bとが向かい合う。第1基材部61の第1熱電部材651と第2基材部62の第1熱電部材652とが向かい合う。第1基材部61の第2熱電部材661と第2基材部62の第1熱電部材662とが向かい合う。
【0102】
続いて、積層体67を加熱しながら加圧する。これにより、第1基材部61と、第2基材部62とが一体化される。複数の第1熱電部材651、652のそれぞれが焼結する。複数の第2熱電部材661、662のそれぞれが焼結する。
【0103】
このようにして、
図13Dに示すように、複数の第1熱電部材18と複数の第2熱電部材20とが内部に配置された絶縁部材12が形成される。すなわち、センサ本体部10が形成される。絶縁部材12は、第1面12aと第2面12bとを有する。
【0104】
なお、第1基材部61および第2基材部62が基材26に対応する。第1基材部61の第1面61aが絶縁部材12の第1面12aに対応する。第2基材部62の第1面62aが絶縁部材12の第2面12bに対応する。第1基材部61の第1貫通孔611および第2基材部62の第1貫通孔621が基材26の第1貫通孔261に対応する。第1基材部61の第2貫通孔612および第2基材部62の第2貫通孔622が基材26の第2貫通孔262に対応する。第1導体パターン63、第2導体パターン64が、それぞれ、第1導体パターン22、第2導体パターン24に対応する。
【0105】
続いて、
図13Eに示すように、絶縁部材12に複数の貫通孔40を形成する。
【0106】
続いて、
図13Fに示すように、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とを用意する。絶縁部材12の第1面12aに第2吸湿部材16を積層する。絶縁部材12の第2面12bに第1吸湿部材14を積層する。これにより、絶縁部材12と、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とが積層された積層体68が形成される。
【0107】
続いて、
図13Gに示すように、積層体68を加圧する。または、積層体68を加熱しながら加圧する。これにより、絶縁部材12と、第1吸湿部材14と、第2吸湿部材16とが一体化される。このようにして、本実施形態の熱流束センサ2が製造される。
【0108】
本実施形態の熱流束センサ2を用いた場合においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、第2実施形態の第1熱流束センサ2Bの第1センサ本体部10Bと、第2熱流束センサ2Cの第2センサ本体部10Cそれぞれを、本実施形態のセンサ本体部10と同じ構成としてもよい。
【0109】
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、センサ本体部10の第1面10aおよび第2面10bにおける複数の貫通孔40のそれぞれの形状は、円形状であったが、多角形、線形状等の他の形状であってもよい。
【0110】
(2)第1実施形態では、熱流束センサ2は、第2吸湿部材16を備えていたが、第2吸湿部材16を備えていなくてもよい。この場合であっても、汗は、センサ本体部10と人体の表面との間を移動することができる。このため、第1実施形態と同様の効果が得られる。同様に、第2実施形態では、第1熱流束センサ2Bと第2熱流束センサ2Cとのそれぞれは、第2吸湿部材16Bと第3吸湿部材16Cとを備えていたが、第2吸湿部材16Bと第3吸湿部材16Cとを備えていなくてもよい。この場合であっても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0111】
(3)第1実施形態では、熱流束センサ2の平面形状は、四角形であったが、円等の他の形状であってもよい。同様に、第2実施形態では、第1熱流束センサ2B、第2熱流束センサ2Cの平面形状は、四角形であったが、円等の他の形状であってもよい。
【0112】
(4)熱流束センサ2のセンサ本体部10の構成は、第1実施形態、第3実施形態に限定されない。センサ本体部10の構成は、第1実施形態および第3実施形態以外の構成であってもよい。センサ本体部10は、第1面10aから第2面10bに向かってセンサ本体部10を通過する熱流束に応じたセンサ信号を出力するものであればよい。
【0113】
(5)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0114】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、生理的熱量の計測器は、熱流束センサと、算出部とを備える。熱流束センサは、フィルム状のセンサ本体部と、汗を吸収するとともに吸収した汗を放出することができるフィルム状の吸湿部材とを備える。センサ本体部は、第1面と第1面の反対側の第2面とを有するとともに、第1面から第2面までセンサ本体部を貫通する複数の貫通孔が形成されている。センサ本体部は、第1面側を人体側とされ、第1面から第2面に向かってセンサ本体部を通過する熱流束に応じたセンサ信号を出力する。吸湿部材は、第2面に積層されており、算出部は、センサ信号に基づいて、人体から放出される生理的熱量を算出する。
【0115】
また、第2の観点によれば、前記吸湿部材は、第1吸湿部材である。熱流束センサは、汗を吸収するとともに吸収した汗を放出することができるフィルム状の第2吸湿部材を有する。第2吸湿部材は、第1面に積層されており、熱流束センサが人体の表面に設置された状態において、人体の表面とセンサ本体部との間に配置される。
【0116】
これによれば、第2吸湿部材によって、被計測者が汗による不快を感じることをより抑制することができる。さらに、第2吸湿部材によって、複数の貫通孔のそれぞれに汗を移動させやすくすることができる。
【0117】
また、第3の観点によれば、センサ本体部は、絶縁部材と、複数の第1熱電部材と、複数の第2熱電部材と、複数の第1導体パターンと、複数の第2導体パターンとを備える。絶縁部材は、第1面と第1面の反対側の第2面とを有するフィルム状であり、可撓性を有する。複数の第1熱電部材は、絶縁部材の内部に配置され、第1熱電材料で構成されている。複数の第2熱電部材は、絶縁部材の内部に配置され、第1熱電材料と異なる第2熱電材料で構成され、複数の第1熱電部材のそれぞれと交互に並ぶ。複数の第1導体パターンは、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材に対して第1面側に配置され、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材のうち隣り合って並ぶ第1熱電部材と第2熱電部材とを接続する。複数の第2導体パターンは、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材に対して第2面側に配置され、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材のうち隣り合って並ぶ第1熱電部材と第2熱電部材とを接続する。絶縁部材の第1面がセンサ本体部の第1面を構成する。絶縁部材の第2面がセンサ本体部の第2面を構成する。複数の貫通孔は、絶縁部材のうち第1熱電部材、第2熱電部材、第1導体パターンおよび第2導体パターンが配置されていない領域に形成されている。
【0118】
センサ本体部の具体的な構成として、このような構成を採用することができる。
【0119】
また、第4の観点によれば、前記熱流束センサは、第1熱流束センサである。前記センサ本体部は、第1センサ本体部である。前記センサ信号は、第1センサ信号である。計測器は、第1熱流束センサとともに、人体の表面に設置される第2熱流束センサを備える。第2熱流束センサは、フィルム状の第2センサ本体部を備える。第2センサ本体部は、第1面と第1面の反対側の第2面を有するとともに、第1面から第2面まで第2センサ本体部を貫通する複数の貫通孔が形成されている。第2センサ本体部は、第1面側を人体側とされ、第1面から第2面に向かって第2センサ本体部を通過する熱流束に応じた第2センサ信号を出力する。第2センサ本体部の第2面のうち複数の貫通孔が形成された領域は、外部空間に露出している。算出部は、第1センサ信号および第2センサ信号に基づいて、人体の発汗量を算出する。
【0120】
第1センサ本体部と第2センサ本体部とをそれぞれ通過する熱量の差と、人体の発汗量との間には、所定の関係がある。そこで、この関係を用いることで、第1センサ信号および第2センサ信号のそれぞれの大きさに基づいて、人体からの発汗量を算出することができる。
【0121】
また、第5の観点によれば、第1センサ本体部と第2センサ本体部のそれぞれは、絶縁部材と、複数の第1熱電部材と、複数の第2熱電部材と、複数の第1導体パターンと、複数の第2導体パターンとを備える。絶縁部材は、第1面と第1面の反対側の第2面とを有するフィルム状であり、可撓性を有する。複数の第1熱電部材は、絶縁部材の内部に配置され、第1熱電材料で構成されている。複数の第2熱電部材は、絶縁部材の内部に配置され、第1熱電材料と異なる第2熱電材料で構成され、複数の第1熱電部材のそれぞれと交互に並ぶ。複数の第1導体パターンは、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材に対して第1面側に配置され、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材のうち隣り合って並ぶ第1熱電部材と第2熱電部材とを接続する。複数の第2導体パターンは、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材に対して第2面側に配置され、複数の第1熱電部材および複数の第2熱電部材のうち隣り合って並ぶ第1熱電部材と第2熱電部材とを接続する。絶縁部材の第1面が第1センサ本体部と第2センサ本体部のそれぞれの第1面を構成する。絶縁部材の第2面が第1センサ本体部と第2センサ本体部のそれぞれの第2面を構成する。第1センサ本体部と第2センサ本体部のそれぞれにおいて、複数の貫通孔は、絶縁部材のうち第1熱電部材、第2熱電部材、第1導体パターンおよび第2導体パターンが配置されていない領域に形成されている。
【0122】
第1センサ本体部と第2センサ本体部のそれぞれの具体的な構成として、このような構成を採用することができる。
【0123】
また、第6の観点によれば、前記吸湿部材は、第1吸湿部材である。第1熱流束センサは、汗を吸収するとともに吸収した汗を放出することができるフィルム状の第2吸湿部材を有する。第2吸湿部材は、第1センサ本体部の第1面に積層されている。第2熱流束センサは、汗を吸収するとともに吸収した汗を放出することができるフィルム状の第3吸湿部材を有する。第3吸湿部材は、第2センサ本体部の第1面に積層されている。
【0124】
これによれば、第2吸湿部材および第3吸湿部材によって、被計測者が汗による不快を感じることをより抑制することができる。