(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持部材、前記支持部材を貫通する複数の加工された空間、前記複数の加工された空間にそれぞれ配置された複数のコイル、及び前記支持部材及び前記複数のコイルを覆う磁性物質を含むコイル部品アセンブリを、前記複数の加工された空間の間の境界線に沿って切断して形成されるコイル部品であって、
コイル及び前記コイルを覆う磁性本体を含み、
前記支持部材から突出して前記複数の加工された空間にそれぞれ向かう複数の固定フレームをさらに備える、コイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
図1は、コイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
【0015】
図1を参照すると、一例によるコイル部品100−1は、コイル(図示せず)、磁性本体130、及び外部電極140を含む。磁性本体130は、コイル部品100−1の内部を充填すると共に部品の外形を形成するものであり、コイル(図示せず)周辺の空間を満たす。
【0016】
磁性本体130は、金属磁性体粉末及び樹脂混合物が混合された磁性体樹脂複合体からなることができるが、これに限定されない。金属磁性体粉末は、Fe、Cr又はSiを主成分として含み、例えば、Fe−Ni、Fe、Fe−Cr−Siなどを含むことができる。樹脂混合物は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer;LCP)などを含むことができる。
【0017】
磁性本体130には、少なくとも二つ以上の粒子サイズを有する金属磁性体粉末が充填されることもできる。この場合、互いに異なるサイズのバイモーダル(bimodal)金属磁性体粉末を用いて圧着することにより、磁性体樹脂複合体を満たすことができるため、充填率を高くすることができる。
【0018】
外部電極140は、コイル(図示せず)と電気的に連結される。図面には外部電極140がコイル部品100−1の対向する両側に配置されることを示しているが、これは一つの例示に過ぎず、外部電極140の配置形態はコイル部品100−1の種類、設計、工程上の必要に応じて多様に変形されることができる。外部電極140は、Ag、Ag−Pd、Ni、Cuなどの金属を含み、外部電極140の表面には、Niめっき層及びSnめっき層が選択的に形成されることができる。
【0019】
図2は、
図1のコイル部品のA−A'線に沿う断面図である。
【0020】
図2を参照すると、コイル120周辺の空間は磁性本体130によって満たされ、コイル120の引出端子121a、121bは外部電極140に連結される。図示のように、コイル120は、磁性本体130の中央に位置することができるが、これに限定されず、コイル部品100−1の種類、設計、工程上の必要に応じて磁性本体130の上端又は下端に位置することもできる。コイル120は、巻線工法で形成された巻線コイル(winding coil)であればよいが、これに制限されない。
【0021】
以下に詳細に説明するが、コイル120は支持部材(図示せず)の加工された空間(図示せず)内に装着され、そのコイル120の周辺の空間は磁性本体130で満たされることができる。これにより、コイル120は磁性本体130内に安定して実装されることができるだけでなく、コイル部品100−1も小型化することができる。但し、場合によっては、支持部材(図示せず)が切断工程によって全て除去されて、図面のように個別部品には支持部材(図示せず)が残っていなくてもよい。
【0022】
コイル120の中間ホール(hole)にはコア(core)が形成され、上記コアには磁性物質が充填されることができるため、高容量のコイル部品を提供することができる。
【0023】
図3は、支持部材及び加工された空間を説明するための図面である。
【0024】
図3(a)を参照すると、支持部材110は、複数の加工された空間111を有する。支持部材110としては、銅張積層板(Copper Clad Lamination;CCL)、圧延銅板、NiFe圧延銅板、Cu合金板、フェライト(ferrite)基板、フレキシブル(flexible)基板などを用いることができる。PCB基板の代わりにフェライト(ferrite)基板を用いる場合、透磁率を上昇させることによりインダクタンス容量特性を改善することができる。また、コイル120をより安定して固定することができる。
【0025】
図3(b)を参照すると、それぞれの加工された空間111は、コイル120が安定して実装されることができる形で形成されている。加工された空間111は、図面を基準に横の長さが縦の長さより大きくてもよい。加工された空間111には成形されたシートが積層され、積層されたシートは圧着及び硬化されて一定の位置に配置されたコイル120の位置ずれを防止し、シートの流動によるバー(Bar)の変形を制御する。支持部材110の少なくとも一部を「加工」するとは、支持部材の少なくとも一部を物理的、光学的又は化学的に変形、除去することにより空間を形成することだけでなく二つ以上の支持部材を用いて構成される構造によって空間を形成することも含む。
【0026】
図3(c)を参照すると、コイル120が、それぞれの加工された空間111内に配置される。加工された空間111は、コイル120を収容するために十分に大きなサイズを有することができる。加工された空間111にコイル120が収容された場合、空いた空間が生じ、空いた空間は、成形された磁性体シートの圧着工程によって磁性物質で満たされることができる。
【0027】
図4は、支持部材の多様な加工された空間を示す図面である。
【0028】
図4を参照すると、支持部材110に形成される少なくとも部分的に加工された空間111は、
図4(a)のようにコイル120が配置される空間が四角形などの多角形であるか、又は
図4(b)のようにコイル120の形態と類似した楕円形である。但し、これに限定されず、他の形状でもよい。コイル120が配置されると共に別個にコイル120の引出端子121a、121bが配置される実装空間が形成されることができる。
【0029】
図5は、コイルの多様な引出端子を示す図面である。
【0030】
図5を参照すると、支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間111は、コイル120の引出端子121a、121bも収容することができる。この際、引出端子121a、121bを収容する空間は、曲がった形状を有し、これは、まっすぐな形状に比べて二つの引出端子を収容する空間に対応する支持部材110の面積を増加させることができる。
【0031】
また、引出端子121a、121bは、同じ方向に曲がった形状を有してもよく、異なる方向に曲がった形状を有してもよい。したがって、引出端子121a、121bを収容する空間は、
図5(a)のように同じ方向に曲がった形状を有するか、又は
図5(b)のように異なる方向に曲がった形状を有することができる。
【0032】
図6は、コイル部品アセンブリの一例を示す平面図である。
【0033】
図6を参照すると、コイル部品アセンブリ100は、複数の加工された空間111を有する支持部材110、上記複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120、及び上記支持部材110及び上記コイル120を覆う磁性物質(図示せず)を含む。一例では、コイル120の引出端子が同じ方向に曲がっているため、加工された空間111もこれに合わせて加工されている。複数の加工された空間111はそれぞれ第1の方向の両側に突出部位を有し、上記複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間はそれぞれの突出部位が互いにずれるように加工されている。複数のコイル120はそれぞれ第1の方向の両側に突出した引出端子を有し、上記複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルはそれぞれの引出端子が互いにずれるように配置されている。
【0034】
一方、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間は、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。このように境界線L1の中間点C1に対して点対称を満たす場合、支持部材110の空間を最大限に活用することができ、また、コイル部品100−1の小型化にもかかわらず、実質的に同一の加工された空間111が繰り返されることから、コイル120のローディングがより容易且つ簡単になるため、コイル120の配置の正確性をより向上することができる。
【0035】
この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルも、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。加工された空間111に合わせてコイル120も境界線L1の中間点C1に対して点対称に配置されることにより、上述した効果を実質的に得ることができる。
【0036】
また、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に対して45°傾いた第2の方向に隣接する任意の二つの加工された空間は、これらの間の互いに垂直な境界線L1、L2の交差点C2を基準に互いに点対称である。このように互いに垂直な境界線L1、L2の交差点C2を基準に互いに点対称の場合、支持部材110の空間を最大限に活用することができ、また、コイル部品100−1の小型化にもかかわらず、実質的に同一の加工された空間111が繰り返されることから、コイル120のローディングがより容易且つ簡単になるため、コイル120の配置の正確性をより向上することができる。
【0037】
この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に対して45°傾いた第2の方向に隣接する任意の二つのコイルも、これらの間の互いに垂直な境界線L1、L2の交差点C2を基準に互いに点対称である。加工された空間111に合わせてコイル120も境界線L1、L2の交差点C2に対して点対称に配置されることにより、上述した効果を実質的に得ることができる。
【0038】
なお、本発明において、対称とは、完全に対称になることと、工程又は設備上の限界から生じる可能性がある誤差を考慮してほぼ対称になることを含む概念である。
【0039】
図7は、コイル部品アセンブリの他の例を示す平面図である。
【0040】
図7の他の例によるコイル部品アセンブリは、
図6の一例によるコイル部品アセンブリと対比して、コイル120の引出端子が異なる方向に曲がっており、加工された空間111もこれに合わせて加工されている。複数の加工された空間111はそれぞれ第1の方向の両側に突出部位を有し、上記複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間はそれぞれの突出部位が互いにずれるように加工されている。複数のコイル120はそれぞれ第1の方向の両側に突出した引出端子を有し、上記複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルはそれぞれの引出端子が互いにずれるように配置されている。
【0041】
コイル120の引出端子が異なる方向に曲がっており、加工された空間111もこれに合わせて加工されている場合にも、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間は、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルも、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。
【0042】
また、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に対して45°傾いた第2の方向に隣接する任意の二つの加工された空間は、これらの間の互いに垂直な境界線L1、L2の交差点C2を基準に互いに点対称である。この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に対して45°傾いた第2の方向に隣接する任意の二つのコイルも、これらの間の互いに垂直な境界線L1、L2の交差点C2を基準に互いに点対称である。
【0043】
上記と同様に、支持部材110の空間を最大限に活用することができ、また、コイル部品100−1の小型化にもかかわらず、実質的に同一の加工された空間111が繰り返されることから、コイル120のローディングがより容易且つ簡単になるため、コイル120の配置の正確性をより向上することができる。
【0044】
図8は、コイル部品アセンブリのさらに他の例を示す平面図である。
【0045】
図8を参照すると、コイル部品アセンブリ100は、複数の加工された空間111を有する支持部材110、上記複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120、及び上記支持部材110及び上記コイル120を覆う磁性物質(図示せず)を含む。他の例では、コイル120の引出端子が同じ方向に曲がっており、加工された空間111もこれに合わせて加工されている。複数の加工された空間111はそれぞれ第1の方向の両側に突出部位を有し、上記複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間はそれぞれの突出部位が互いにずれるように加工されている。複数のコイル120はそれぞれ第1の方向の両側に突出した引出端子を有し、上記複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルはそれぞれの引出端子が互いにずれるように配置されている。
【0046】
一方、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間は、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。このように境界線L1の中間点C1に対して点対称を満たす場合、支持部材110の空間を最大限に活用することができ、また、コイル部品100−1の小型化にもかかわらず、実質的に同一の加工された空間111が繰り返されることから、コイル120のローディングがより容易且つ簡単になるため、コイル120の配置の正確性をより向上することができる。
【0047】
この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルも、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。加工された空間111に合わせてコイル120も境界線L1の中間点C1に対して点対称に配置されることにより、上述した効果を実質的に得ることができる。
【0048】
但し、
図6及び
図7に示す一例とは異なり、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に対して90°傾いた第3の方向に隣接する任意の二つの加工された空間111は、これらの間の境界線L2の中間点C3に対して互いに点対称である。このように境界線L2の中間点C3に対して互いに点対称の場合にも、支持部材110の空間を最大限に活用することができ、また、コイル部品100−1の小型化にもかかわらず、実質的に同一の加工された空間111が繰り返されることから、コイル120のローディングがより容易且つ簡単になるため、コイル120の配置の正確性をより向上することができる。
【0049】
この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に対して90°傾いた第3の方向に隣接する任意の二つのコイル120も、これらの間の境界線L2の中間点C3に対して互いに点対称である。加工された空間111に合わせてコイル120も境界線L2の中間点C3に対して点対称に配置されることにより、上述した効果を実質的に得ることができる。
【0050】
図9は、コイル部品アセンブリのさらに他の例を示す平面図である。
【0051】
図9の他の例によるコイル部品アセンブリは、
図8の他の例によるコイル部品アセンブリと対比して、コイル120の引出端子が異なる方向に曲がっており、加工された空間111もこれに合わせて加工されている。複数の加工された空間111はそれぞれ第1の方向の両側に突出部位を有し、上記複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間はそれぞれの突出部位が互いにずれるように加工されている。複数のコイル120はそれぞれ第1の方向の両側に突出した引出端子を有し、上記複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルはそれぞれの引出端子が互いにずれるように配置されている。
【0052】
コイル120の引出端子が異なる方向に曲がっており、加工された空間111もこれに合わせて加工されている場合にも、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に隣接する任意の二つの加工された空間は、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に隣接する任意の二つのコイルも、これらの間の境界線L1の中間点C1に対して互いに点対称である。
【0053】
また、平面を基準に複数の加工された空間111のうち第1の方向に対して90°傾いた第3の方向に隣接する任意の二つの加工された空間111は、これらの間の境界線L2の中間点C3に対して互いに点対称である。この場合、支持部材110の平面を基準に複数の加工された空間111にそれぞれ配置された複数のコイル120のうち第1の方向に対して90°傾いた第3の方向に隣接する任意の二つのコイル120も、これらの間の境界線L2の中間点C3に対して互いに点対称である。
【0054】
上記と同様に、支持部材110の空間を最大限に活用することができ、また、コイル部品100−1の小型化にもかかわらず、実質的に同一の加工された空間111が繰り返されることから、コイル120のローディングがより容易且つ簡単になるため、コイル120の配置の正確性をより向上することができる。
【0055】
図10a〜
図10eは、コイル部品アセンブリを用いたコイル部品の一製造例を示す概略的な工程フローチャートである。
【0056】
図10aを参照すると、複数の加工された空間111を有する支持部材110を準備する。支持部材110としては、銅張積層板(Copper Clad Lamination;CCL)、圧延銅板、NiFe圧延銅板、Cu合金板、フェライト(ferrite)基板、フレキシブル(flexible)基板などを用いることができる。それぞれの加工された空間111は、コイル120が安定して実装されることができる形で形成されている。加工された空間111は、図面を基準に横の長さが縦の長さより大きくてもよい。加工された空間111の具体的な配置形態は、上記
図6〜
図9で説明したものと同じでもよい。複数の加工された空間111は支持部材110を貫通する形である。
【0057】
図10bを参照すると、それぞれの加工された空間111にコイル120を配置する。即ち、複数のコイルを支持部材110の複数の加工された空間111にローディングするため、大量生産に有利である。コイル120の具体的な配置形態は、上記
図6〜
図9で説明したものと同じでもよい。それぞれの加工された空間111は、コイル120を収容するために十分に大きなサイズを有することができる。加工された空間111にコイル120が収容された場合、空いた空間が生じることができる。コイル120は、巻線工法で形成された巻線コイルであればよいが、これに限定されない。
【0058】
図10cを参照すると、第1の磁性体シート131を支持部材110の一面に圧着する。第1の磁性体シート131は、磁性体樹脂複合体をシート状に成形したものであり、半硬化状態で圧着されることができる。磁性体樹脂複合体は、金属磁性体粉末及び樹脂混合物が混合されたものであり、金属磁性体粉末は、Fe、Cr又はSiを主成分として含み、樹脂混合物は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer;LCP)などの単独又は組み合わせであればよいが、これに限定されない。第1の磁性体シート131の圧着によって、加工された空間111内の空いた空間が磁性体樹脂複合体などの磁性物質で満たされることができる。後続の工程である硬化工程を経ると、一定の位置に配置されたコイル120の位置ずれを防止し、シートの流動によるバー(Bar)の変形を制御することができる。
【0059】
図10dを参照すると、第2の磁性体シート132を支持部材110の他の面に圧着する。第2の磁性体シート132も、磁性体樹脂複合体をシート状に成形したものであり、半硬化状態で圧着されることができる。磁性体樹脂複合体は、金属磁性体粉末及び樹脂混合物が混合されたものであり、金属磁性体粉末は、Fe、Cr又はSiを主成分として含み、樹脂混合物は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer;LCP)などの単独又は組み合わせであればよいが、これに限定されない。後続の工程である硬化工程を経ると、一定の位置に配置されたコイル120の位置ずれを防止し、シートの流動によるバー(Bar)の変形を制御することができる。第1の磁性体シート131及び第2の磁性体シート132の硬化工程は、同時に行われることもでき、個別に行われることもできる。
【0060】
図10eを参照すると、複数の加工された空間111の境界面に沿って支持部材110及びその両面に積層された磁性体シート131、132を切断(Dicing)する。切断は、予め設計されたサイズに合わせて行われることができる。その結果、個別のコイル部品100−1が提供される。切断の際には、切断設備を用いて個別のコイル部品に切ることができ、他にブレード(blade)やレーザー(laser)などのその他の切断方法を用いることもできる。
【0061】
一方、支持部材110及び/又は固定フレーム(図示せず)が、ダイシングブレード(Dicing Blade)の幅などによって切断されてなくなる領域(Dicing Kerf領域)より小さく設計された場合には、切断後の個別のコイル部品100−1に支持部材110及び/又は固定フレーム(図示せず)が残存しなくてもよい。即ち、支持部材110及び/又は固定フレーム(図示せず)は、コイル120の安定した装着のためのものであり、最終部品に残存しても残存しなくてもよい。但し、コイル120の位置固定精度を向上させるために支持部材110がコイル120に相当近接しているときは、支持部材110及び/又は固定フレーム(図示せず)の一部分がコイル120の内部に残存してもよい。
【0062】
図示されてはいないが、切断工程後には、個別のコイル部品100−1の角を研磨するために研磨工程を行うことができる。研磨工程によってコイル部品100−1の磁性本体130を丸くすることができ、めっき防止のために磁性本体130の表面に絶縁物質の印刷をさらに行うことができる。これにより形成される絶縁層は、Siを含むガラス(glass)系物質、絶縁樹脂、及びプラズマ(plasma)のうち一つ以上を含むことができる。
【0063】
また、めっきの拡散を防止するために切断された磁性本体130の表面の凹凸を最小化することにより、めっき電流の印加の際に電流集中を防ぐことができる。即ち、磁性本体130は、金属磁性体粉末の切断されて露出した面が平坦化した半球形又は球の一部分が切り取られた形状をなし、表面が平らな構造となることにより、めっき電流の印加の際に電流集中を防止することができる。
【0064】
また、磁性本体130に絶縁層を形成した後、絶縁層が形成されていないコイル120の引出端子に金属物質のプレめっきを行うことができる。プレめっき層(図示せず)は、金属物質、例えば、Cuめっきで形成されることができる。プレめっき層(図示せず)にNi、Snのうち少なくとも一つを塗布して外部電極(図示せず)が形成されるか、又はAg、Cuのうち少なくとも一つを塗布した後、Ni、Snのうち少なくとも一つ以上を塗布して外部電極140が形成されることができる。
【0065】
例えば、絶縁物質が塗布されていない外部に露出した電極引出端子部分を、Cuめっきで所定の厚さ以上に形成させることにより、外部電極(図示せず)を形成するための塗布を追加することなくNi、Snめっきを行うようにすることができる。したがって、外部電極(図示せず)端子間の接触力を高くし外部電極140を形成するためのAg、Cuなどをさらに塗布しなくてもよい。
【0066】
一方、プレめっき層(図示せず)上にAg、Cuのうち少なくとも一つ以上がさらに塗布されて外部電極(図示せず)を形成する場合は、より広い内・外部接触面積を確保することにより、より低い抵抗が得られる。
【0067】
図11a〜
図11dは、コイル部品の一例を示す概略的な斜視図及び断面図である。
【0068】
図11aは、上述した工程(
図10a〜
図10e参照)によって製造された個別のコイル部品100−1の概略的な斜視図を示す。ここでは、重複する内容を最大限に省略し、主な構成を中心に説明する。
【0069】
図11aを参照すると、一例による個別のコイル部品100−1は、コイル120、磁性本体130、及び外部電極140を含む。コイル部品100−1は、インダクタとして電子/電気装置に用いられ、特に、大電流のためのパワーインダクタとして用いられることができる。
【0070】
外部電極140は、コイル120の引出端子121a、121bと電気的に連結される。図面には外部電極140がコイル部品100−1の対向する両側に配置されることを示しているが、これは一つの例示に過ぎず、外部電極140の配置形態はコイル部品100−1の種類、設計、工程上の必要に応じて多様に変形されることができる。
【0071】
図11b〜
図11dは、
図11aに示す個別のコイル部品100−1のI−I'線に沿う断面図である。ここでは、重複する内容を最大限に省略し、主な構成を中心に説明する。
【0072】
図11b及び
図11cを参照すると、支持部材110は、インダクタ100の製造のためのベース部材であり、切断工程後にコイル部品100−1内に残存してもよい。この際、
図11bのように第1の方向の両側にのみ支持部材110が残存してもよく、
図11cのように第1の方向及び第3の方向の全てに支持部材110が残存してもよい。
【0073】
コイル120は、巻線工法で形成された巻線コイル(winding coil)であればよい。支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間は、コイル120の本体と二つの引出端子121a、121bを全て収容することができる。コイル120の引出端子121a、121bはそれぞれ外部電極140と接続されることができる。
【0074】
コイル120は、支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間に配置されて磁性本体130内に安定して装着される。高容量のコイル部品を提供するためにコイル120の中間ホール(hole)にはコア(core)が形成され、これは磁性物質で満たされることができる。
【0075】
磁性本体130は、コイル部品の内部を充填すると共に外形を形成するものであり、支持部材110及び/又はコイル120周辺の空間を満たす。磁性本体130は、金属磁性体粉末及び樹脂混合物が混合された磁性体樹脂複合体からなり、支持部材110とコイル120を埋め込むことができる。
【0076】
図11dを参照すると、支持部材110は、インダクタ100の製造のためのベース部材であり、切断工程後にコイル部品100−1内に残存しなくてもよい。
【0077】
コイル120は、巻線工法で形成された巻線コイル(winding coil)であればよい。コイル120の引出端子121a、121bはそれぞれ外部電極140と接続されることができる。
【0078】
コイル120は支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間に配置されて磁性本体130内に安定して装着されるが、切断工程によって支持部材110はコイル部品100−1には残存しなくてもよい。上記と同様に、高容量のコイル部品を提供するためにコイル120の中間ホール(hole)にはコア(core)が形成され、これは磁性物質で満たされることができる。
【0079】
磁性本体130は、コイル部品の内部を充填すると共に外形を形成するものであり、コイル120周辺の空間を満たす。上記と同様に、磁性本体130は、金属磁性体粉末及び樹脂混合物が混合された磁性体樹脂複合体からなり、コイル120を埋め込むことができる。
【0080】
図12は、コイル部品の他の製造例を説明するための図面である。
【0081】
図12に示されているコイル部品の製造工程は、
図10a〜
図10eで説明した工程をより概略的に示すものである。ここでは、重複する内容を最大限に省略し、主な構成を中心に説明する。
【0082】
図12(a)を参照すると、まず、支持部材110は、少なくとも部分的に加工された空間111を有している。上記支持部材の少なくとも部分的に加工された空間111はコイル120を配置する実装空間となり、コイル120と支持部材110は互いに空間(space gap)を有するように形成されることができる。
【0083】
図12(b)を参照すると、既に製作された支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間111にコイル120を装着させる。ここで、コイル120は、巻線工法で形成された巻線コイル(winding coil)であればよい。支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間は、コイル120の本体と二つの引出端子を全て収容することができる。二つの引出端子を収容する空間は、曲がった形状を有し、これは、まっすぐな形状に比べて二つの引出端子を収容する空間に対応する支持部材110の面積を増加させることができる。上記空間に収容されるコイル120の引出端子は、外部電極と接続されることができる。
【0084】
一方、コイル120を装着させる段階では、コイル120の少なくとも一方向以上に配置されてコイル120の位置を固定する固定フレーム(図示せず)が支持部材110に形成されることができる。支持部材の少なくとも部分的に加工された空間111に形成された固定フレーム(図示せず)によってコイル120の位置を固定させることができる。固定フレーム(図示せず)は、支持部材110と同じ素材で加工によって形成されることができる。
【0085】
図12(c)を参照すると、コイル部品の磁性本体130を形成するために、支持部材110及びコイル120周辺の空間に磁性体樹脂複合体を付加して支持部材110とコイル120を埋め込み、上記磁性体樹脂複合体を圧着した後に硬化させる。即ち、支持部材110とコイル120周辺の空間に金属磁性体粉末及び樹脂混合物が混合された磁性体樹脂複合体を付加して支持部材110とコイル120を埋め込むことにより磁性本体130を形成することができる。
【0086】
このように、コイル部品を製造するために磁性体シート工法を用いることにより、既存の巻線コイルの工法に比べて生産性を向上させ金型モールドのコストを節減することができる。
【0087】
図13は、磁性体シートの圧着工程を説明するための図面である。
【0088】
図13(a)を参照すると、支持部材110及びコイル120の一面に第1の磁性体シート131を積層させて1次圧着工程を行う。
【0089】
図13(b)を参照すると、1次圧着された構造物の上下方向を転換(180度回転)させ、支持部材110及びコイル120において第1の磁性体シート131が形成されていない方向に第2の磁性体シート132を積層させて2次圧着工程を行う。この際、第2の磁性体シート132と第1の磁性体シート131上に圧着及び硬化されるシートの積層数を調節して、コイル120がチップ内の中央に配置されるようにすることができる。
【0090】
例えば、図示のように、1次圧着シート上に磁性体シート1枚を積層させ、第2の磁性体シート132を3枚積層させて圧着した後に硬化させることができる。この際、磁性体シートは、同一の静水圧条件で圧着されることができる。その結果、コイル部品の厚さ方向を基準に中央にコイル120を位置させることができる。その後、真空加圧で樹脂を硬化させてバー(Bar)型に製作することができる。
【0091】
図14は、コイル部品のさらに他の製造例を説明するための図面である。
【0092】
図14は、コイルの上部周辺の空間が充填材で満たされたコイル部品の製作工程を示す。ここでは、重複する内容を最大限に省略し、主な構成を中心に説明する。
【0093】
工程1010を参照すると、支持部材1011の少なくとも一部の空間は、キャビティ1012として加工される。上記加工は、物理的、光学的、化学的手段によって行われることができる。また、キャビティ1012のサイズ及び形状は設計、製作工程上の必要に応じて多様に決定され、キャビティ1012の第1の方向の横の長さは第2の方向の縦の長さより大きく加工されることができる。工程1020を参照すると、キャビティ1012の内部にはコイル1013(例えば、巻線コイル)が装着され、コイル1013が装着された後には充填材でコイル1013周辺の空間が満たされる。この際、充填材は、一つ以上の磁性体複合シートを圧着することにより満たされることができる。
【0094】
図15は、コイル部品のさらに他の製造例を説明するための図面である。
【0095】
図15は、支持部材の下部に特定材料を追加した後、コイルの上部周辺の空間が充填材で満たされたコイル部品の製作工程を示す。ここでは、重複する内容を最大限に省略し、主な構成を中心に説明する。
【0096】
工程1110を参照すると、支持部材1111の少なくとも一部の空間はキャビティ1112として加工される。工程1120を参照すると、キャビティ1112の下部には特定材料1113が追加されることができる。例えば、粘着剤、粘着テープなどの材料がキャビティ1112の下部に追加されることができる。工程1130を参照すると、キャビティ1112の内部にはコイル1114(例えば、巻線コイル)が装着され、工程1140を参照すると、コイル1114が装着された後に充填材でコイル1114周辺の空間が満たされる。工程1150を参照すると、キャビティ1112の下部に追加された特定材料は除去される。
【0097】
図16は、コイル部品のさらに他の製造例を説明するための図面である。
【0098】
図16は、支持部材の下部に特定材料を追加した後、コイルの上部周辺の空間及び下部周辺の空間が充填材で満たされたコイル部品の製作工程を示す。ここでは、重複する内容を最大限に省略し、主な構成を中心に説明する。
【0099】
工程1210を参照すると、支持部材1211の少なくとも一部の空間はキャビティ1212として加工される。工程1220を参照すると、キャビティ1212の下部には特定材料1213が追加されることができる。例えば、粘着剤、粘着テープなどの材料がキャビティ1212の下部に追加されることができる。工程1230を参照すると、キャビティ1212の内部にはコイル1214(例えば、巻線コイル)が装着され、工程1240を参照すると、コイル1214が装着された後に充填材でコイル1214の上部周辺の空間が満たされる。工程1250を参照すると、キャビティ1212の下部に追加された特定材料は除去される。工程1260を参照すると、充填材でコイル1214の下部周辺の空間が満たされる。
【0100】
図17は、固定フレームを説明するための図面である。
【0101】
図17を参照すると、固定フレーム112が存在するか否か及び固定フレーム112の形状によるコイル部品の形態、及びそれぞれのコイル部品を第1の方向(Length)と第3の方向(Width)に切った断面を比較することができる。ここで、固定フレーム112は、支持部材110に形成されるものであり、コイル120を物理的に支持することによりコイル120の位置を固定させる。固定フレーム112の形状に応じて、支持部材110に形成される少なくとも部分的に加工された空間の形状も変更されることができる。
【0102】
図17の(a)に示されているコイル部品は、コイル120の位置を固定させる固定フレーム112を含まない。このコイル部品では、実装空間内にコイル120を自由に位置させることができるため、設計者は高い位置決め精度でコイル120を位置させることができる。但し、コイル120のサイズと形態のバラツキが相対的に大きくなる可能性があるため、コイル120のローディング又は挿入の失敗率が相対的に高くなる可能性がある。
【0103】
図17の(b)及び(c)のコイル部品は、コイル120の位置を固定させる固定フレーム112を含む。このコイル部品では、コイル120のサイズと形態のバラツキが相対的に小さくなることができるため、コイル120のローディング又は挿入の失敗率が相対的に低くなることができる。
【0104】
図18は、固定フレームの多様な一例を示す図面である。
【0105】
図18を参照すると、コイル部品は、支持部材110の内部に少なくとも部分的に加工された空間111が形成され、上記加工された空間に配置されるコイル120、及び上記支持部材110とコイル120を埋め込む磁性本体130を含む。
【0106】
支持部材110の内部に少なくとも部分的に加工された空間111が形成されてコイル120が配置され、コイル120の位置を固定するために加工された空間の内側に固定フレーム112が形成されることができる。上記固定フレーム112は、支持部材110を加工して形成されるものであり、多様な形状を有することができる。これについて、以下に例を挙げて説明する。
【0107】
図18(a)を参照すると、コイル120の安定した実装のために固定フレーム112が形成されることができる。特に、コイル120の位置を固定させることができるように、コイル120の上部にはバー状の固定フレーム112が形成され、コイル120の下部には突出した形状の2個の固定フレーム112が形成されることができる。ここで、固定フレーム112は、その形状に制限はないが、コイル120から一定間隔離隔して形成され、コイル120の楕円形状をガイドすることができるように端がコイルに沿って曲面又は斜面で形成されることができる。
【0108】
この際、中央に挿入された支持部材110又は支持部材110の固定フレーム112は、ダイシングブレード(Dicing Blade)の幅などによって切断されてなくなる領域(Dicing Kerf領域)より小さく設計された場合には、製作されたコイル部品内に残存しなくてもよい。但し、コイル120の位置固定精度を向上させるために支持部材110がコイル120に近接しているときは、支持部材110又は支持部材110の固定フレーム112の一部分がコイル120の内部に残存してもよい。
【0109】
図18(b)は、固定フレーム112の他の例として、コイル120の位置を固定させることができるように、平面上でコイル120の上部に突出した棒状の2個の固定フレーム112が形成され、コイル120の下部にも突出した棒状の2個の固定フレーム112が形成されることができる。ここで、固定フレーム112は、コイル120から一定間隔離隔して形成され、コイル120の楕円形状をガイドすることができるように端がコイル120に沿って曲面又は斜面で形成されることができる。
【0110】
上記と同様に、中央に挿入された支持部材110又は支持部材110の固定フレーム112は、ダイシングブレード(Dicing Blade)の幅などによって切断されてなくなる領域(Dicing Kerf)より小さく設計された場合には、製作されたコイル部品内に残存しなくてもよい。但し、コイル120の位置固定精度を向上させるために支持部材110がコイル120に近接しているときは、支持部材110又は支持部材110の固定フレーム112の一部分がコイル120の内部又は外部に残存してもよい。
【0111】
図18(c)は、固定フレーム112が別途に形成されていないコイル部品の例を示すものである。
【0112】
図19は、切断後のコイルのずれを説明するための図面である。
【0113】
支持部材110とコイル120の周囲に磁性体シートを圧着及び硬化した後、生成されたバルク(Bulk)構造物を切断(Dicing)して個別のコイル部品を生成することができる。具体的には、バルク(Bulk)構造物は、多数個のコイル120が規則的に配列されており、磁性体樹脂複合体からなる磁性体シートによってコイル120の周囲が充填されたバー(Bar)状である。このようなバルク(Bulk)構造物を、設計されたコイル部品のサイズに横・縦方向に切断して個別のコイル部品の形態にすることにより、切断工程を行うことができる。例えば、SAWを用いる切断(Dicing)設備を用いて個別のチップの形態に切断することができ、ブレード(blade)やレーザー(laser)などのその他の切断方法を用いることもできる。一方、このような切断によって支持部材110に配置されたコイル120のずれ現象が発生する可能性がある。以下に、これを確認するための例を示す。
【0114】
図19(a)において、支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間は、加工された空間の内側に突出形成された固定フレーム112を含む。即ち、固定フレーム112は、平面上でコイル120の上部に一定間隔離隔して2個が配置される。
図19(b)では、突出形成された固定フレーム112が、平面上でコイル120の上部及び下部にそれぞれ2個ずつ一定間隔離隔して配置される。
図19(c)では、固定フレーム112が、横方向のバー状にコイル120の上部に配置される。
【0115】
それぞれの場合について、バルク(Bulk)構造物を個別のコイル部品の形態に切断した後、磁性体樹脂複合体内のコイル120の位置精度をNDTで確認した結果、コイル120の位置ずれなく良好な状態が維持されることが分かり、また、側面に露出するコイル120がないことから、外観不良がなく品質に優れた個別のコイル部品が得られた。
【0116】
図20は、切断後のコイル部品の内部組織を示す図面である。
【0117】
図21は、切断後のコイル部品の他の内部組織を示す図面である。
【0118】
図22は、切断後のコイル部品のさらに他の内部組織を示す図面である。
【0119】
図20(a)及び
図21(a)は、
図18(a)と同一の構造を有するコイル部品の第1の方向(Length)の断面及び第3の方向(Width)の断面を示す。即ち、
図20(a)及び
図21(a)は、コイル120の位置を固定させることができるようにコイル120の上部にバー状の固定フレーム112が形成され、コイル120の下部に突出した形状の2個の固定フレーム112が形成されたコイル部品の第1の方向(Length)の断面及び第3の方向(Width)の断面を示す。
図21(a)の第3の方向(width)の断面を参照すると、コイルの右側上端にバー状の固定フレーム112が存在することが確認できる。
【0120】
図20(b)及び
図21(b)は、
図18(b)と同一の構造を有するコイル部品の第1の方向(Length)の断面及び第3の方向(Width)の断面を示す。即ち、
図20(b)及び
図21(b)は、コイル120の位置を固定させることができるように、コイル120の上部に突出した形状の2個の固定フレーム112が形成され、コイル120の下部にも同一の突出した形状の2個の固定フレーム112が形成されたコイル部品の第1の方向(Length)の断面及び第3の方向(Width)の断面を示す。
【0121】
図20(c)及び
図21(c)は、
図18(c)と同一の構造を有するコイル部品の第1の方向(Length)の断面及び第3の方向(Width)の断面を示す。即ち、
図20(c)及び
図21(c)は、別途の固定フレーム112が形成されていないコイル部品の第1の方向(Length)の断面及び第3の方向(Width)の断面を示す。
【0122】
図22は、
図20(c)及び
図21(c)と同一の構造を有するコイル部品の第3の方向(Width)の断面の拡大図を示す。
【0123】
図22を参照すると、このように支持部材110とコイル120の周囲に磁性体シートを圧着及び硬化した後、生成された構造物を切断(Dicing)して個別のコイル部品を生成することができ、コイル部品の形態による切断工程後のコイル120の変形をコイル部品構造の例から確認できる。
【0124】
結果的には、圧着圧力によるコイル120の変形がほぼなく、コイル120を絶縁している絶縁層に磁性体金属(Metal)が浸透して絶縁抵抗を低下させる現象も発生しない。また、内部に樹脂系の磁性本体130の材料との反応によって磁性本体130の強度やはんだ耐熱特性などに影響を及ぼすクラックなどがない。
【0125】
また、インダクタンス値に影響を及ぼす金属(Metal)充填率も高いコイル部品の特性を有し、絶縁層の破壊が発生しないことから、耐電圧特性破壊電圧(Breakdown Voltage;BDV)が改善されることができる。
【0126】
図23は、固定フレームのサイズを説明するための図面である。
【0127】
図23(a)は、コイル部品の概略的な構造を示す図面であり、
図23(b)は、加工後のコイル部品の一部が切断された斜視図である。
【0128】
図23(a)及び(b)を参照すると、支持部材110の少なくとも部分的に加工された空間111は、コイル120の固定による不要な加工部が増加したり容量損失が発生したりすることを防止するために最小の固定フレーム112を有することができる。これのために、固定フレーム112の比率は下記数式1で表されることができる。
【0129】
[数式1]
0.01<(a1+a2+…+an)/A<0.6
【0130】
ここで、a1、a2、…、anは固定フレームのそれぞれの第1の方向(Length)における長さを示し、Aはコイル部品の第1の方向(Length)における長さを示す。式の値が0.01以下の場合はコイル120の位置が不安定になり、0.6以上の場合は容量低下が発生する可能性がある。この際、固定フレーム112の形状は、円形、四角形などの多様な形状で実現されることができる。このように支持部材110の第1の方向(Length)の長さの比率を設定すると、高い定格電流及び低いDC抵抗で高精度の実装が可能となる。設計によって、上記比率は0.01超、0.06未満でもよい。
【0131】
図24は、磁性本体の概略的な一例を示す図面である。
【0132】
図24を参照すると、磁性本体130には異種シートが用いられ、磁性本体130は支持部材110とコイル120を埋め込むことができる。
【0133】
図24(a)は、外部のカバーシート(Cover Sheet)に針状粉を挿入した形で、コイル120が配置される内部では微粉及び粗粉のパウダーが混合され、針状粉が横配列に形成されることができる。
【0134】
図24(b)は、コイル120が配置される部分に針状粉を挿入した形で、コイル120が配置される内部には針状粉が縦配列に形成され、カバーシートは微粉及び粗粉のパウダーが混合されて形成されることができる。
【0135】
図24(c)は、全体に針状粉を挿入した形で、コイル120が配置される内部には針状粉が縦配列に形成され、カバーシートには針状粉が横配列に形成されることができる。
【0136】
上記針状粉の比率を調節することにより、限定されたサイズ(Size)内で磁場の効率を極大化することができる。
【0137】
図25は、磁性本体の切断面の概略的な一例を示す図面である。
【0138】
切断工程を行った後、磁性本体130の材料である磁性体樹脂複合体のうち金属磁性体粉末としてFeを主成分とする金属(Metal)を用いることができるが、外部電極の形成後、めっきを行う際にめっきの拡散が発生する可能性がある。
【0139】
この際、めっきの拡散を防止するために磁性本体130の表面の凹凸を最小化することにより、めっき電流の印加の際に電流集中を防ぐことができる。即ち、磁性本体130は、
図25に示されているように、金属磁性体粉末の切断されて露出した面が平坦化した半球形又は球の一部分が切り取られた形状をなし、表面が平らな構造となることにより、めっき電流の印加の際に電流集中を防止することができる。
【0140】
また、めっきの拡散を防止するために、磁性本体130の表面(外部電極に対応する部分を除いた部分)に絶縁層を塗布することができる。絶縁層は、Siを含むガラス(glass)系物質、絶縁樹脂、及びプラズマ(plasma)のうち一つ以上で形成されることができる。Siを含むガラス系物質又は絶縁樹脂を印刷及びディッピング(dipping)で塗布し、絶縁物にプラズマ(plasma)処理を施すこともできる。具体的には、磁性本体130の側面と上面及び下面に絶縁性高分子を塗布して硬化させることにより、めっきの拡散を防止することができる。
【0141】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。