特許第6614213号(P6614213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614213
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】エンジンルーム内のハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20191125BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20191125BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   B60K1/00
   B60K11/04 Z
   H02G3/30
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-153759(P2017-153759)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-31210(P2019-31210A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】島田 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】水本 剛
(72)【発明者】
【氏名】小宮 勝行
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−283890(JP,A)
【文献】 特開2007−135302(JP,A)
【文献】 特開2001−165355(JP,A)
【文献】 特開2016−90169(JP,A)
【文献】 特開2014−193692(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0028103(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00,
B60K 11/00−11/08,
B60R 16/00−16/08,
H02G 3/22− 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部に設けた熱交換器における車幅方向の所定範囲内を、前記熱交換器に接続された冷媒ホースが、前記熱交換器の車両後方下方をとおって車幅方向に配設されたエンジンルーム内に、
前記冷媒ホースに対して車両後方の位置で車幅方向に延びるクロスメンバと、
該クロスメンバに沿って車幅方向に配索されるとともに、前記クロスメンバに固定されたワイヤーハーネスとを備えたエンジンルーム内のハーネス配索構造であって、
前記クロスメンバが、
前記所定範囲内における前記冷媒ホースの下端よりも車両下方に、その上面が位置するように配置され、
前記所定範囲内よりも車幅方向外側の範囲を所定範囲外として、
該所定範囲外における前記冷媒ホースが、
前記所定範囲内における前記冷媒ホースよりも車両上方の位置に配設される構成として、
前記ワイヤーハーネスが、
一端が車載バッテリに接続された幹線と、
該幹線の他端が接続されるとともに、前記幹線を分岐させる分岐ボックスと、
該分岐ボックスに一端が接続された複数の枝線とを備え、
前記分岐ボックスが、
前記所定範囲外における前記クロスメンバの上面と前記冷媒ホースの下端との車両上下方向間隔よりも短い車両上下方向の長さを有する構成として、
前記複数の枝線のうち、少なくとも1本の枝線が、
前記所定範囲内において、前記冷媒ホースの下端と略同じ車両上下方向の位置、または前記冷媒ホースの下端よりも車両下方の位置に、その上端が位置するように前記クロスメンバに配索固定されるとともに、前記所定範囲外において、前記クロスメンバの上面よりも車両上方、かつ前記所定範囲外における前記冷媒ホースよりも車両下方の位置に配索され、
前記分岐ボックスが、
前記所定範囲外における前記クロスメンバの上面に固定された
エンジンルーム内のハーネス配索構造。
【請求項2】
前記ワイヤーハーネスが、
前記所定範囲内において、前記クロスメンバにおける車両前方側に配索固定された
請求項1に記載のエンジンルーム内のハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、熱交換媒体が流動する冷媒ホースが車幅方向に沿って配設された車両のエンジンルーム内において、ワイヤーハーネスが、冷媒ホースに近接して、車幅方向に沿って配索されるようなエンジンルーム内のハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両のうち、エネルギー回生システムを備えた車両では、例えば、車両前部のエンジンルーム内に配置された発電機兼電動モータ及びコンバータと、車両後部に配置された車載バッテリとを、高電圧に対応した強電系ワイヤーハーネスで電気的に接続している。
【0003】
このような強電系ワイヤーハーネスは、その長さによる電気抵抗を抑えるため、配索経路の長さをできるだけ短く抑えたいというニーズがある。例えば、エンジンルーム内を車幅方向に横断するように配索する場合、特許文献1では、強電系ワイヤーハーネスを、平面視井桁状のサブフレームにおけるクロスメンバの上面に配索固定することで、配索経路の長さを抑えている。
【0004】
ところで、一般的に、サブフレームの車両前方には、エンジンを冷却するための熱交換器、及び熱交換器に接続された冷媒ホースが配設されるが、熱交換器の構造によっては、冷媒ホースが熱交換器の下部を車幅方向に沿って配設されることがある。
【0005】
このような冷媒ホースの配設経路の場合、車幅方向に延びるクロスメンバの上面に強電系ワイヤーハーネスを配索すると、冷媒ホースと強電系ワイヤーハーネスとが車両前後方向で対向することになる。このため、前突時に車両前部が後退した際、冷媒ホースと強電系ワイヤーハーネスとが接触することで、強電系ワイヤーハーネスが損傷するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−135302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、エンジンルーム内において、配索経路の長さを抑えてワイヤーハーネスを車幅方向に配索できるとともに、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷を防止できるようなエンジンルーム内のハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、車両前部に設けた熱交換器における車幅方向の所定範囲内を、前記熱交換器に接続された冷媒ホースが、前記熱交換器の車両後方下方をとおって車幅方向に配設されたエンジンルーム内に、前記冷媒ホースに対して車両後方の位置で車幅方向に延びるクロスメンバと、該クロスメンバに沿って車幅方向に配索されるとともに、前記クロスメンバに固定されたワイヤーハーネスとを備えたエンジンルーム内のハーネス配索構造であって、前記クロスメンバが、前記所定範囲内における前記冷媒ホースの下端よりも車両下方に、その上面が位置するように配置され、前記所定範囲内よりも車幅方向外側の範囲を所定範囲外として、該所定範囲外における前記冷媒ホースが、前記所定範囲内における前記冷媒ホースよりも車両上方の位置に配設される構成として、前記ワイヤーハーネスが、一端が車載バッテリに接続された幹線と、該幹線の他端が接続されるとともに、前記幹線を分岐させる分岐ボックスと、該分岐ボックスに一端が接続された複数の枝線とを備え、前記分岐ボックスが、前記所定範囲外における前記クロスメンバの上面と前記冷媒ホースの下端との車両上下方向間隔よりも短い車両上下方向の長さを有する構成として、前記複数の枝線のうち、少なくとも1本の枝線が、前記所定範囲内において、前記冷媒ホースの下端と略同じ車両上下方向の位置、または前記冷媒ホースの下端よりも車両下方の位置に、その上端が位置するように前記クロスメンバに配索固定されるとともに、前記所定範囲外において、前記クロスメンバの上面よりも車両上方、かつ前記所定範囲外における前記冷媒ホースよりも車両下方の位置に配索され、前記分岐ボックスが、前記所定範囲外における前記クロスメンバの上面に固定されたことを特徴とする。
【0009】
上記熱交換器は、ラジエータ単体で構成された熱交換器、あるいはラジエータ、電動ファン、及びファンシュラウドなどで構成された熱交換器とすることができる。
上記熱交換器における車幅方向の所定範囲とは、例えば、ファンシュラウドの開口の大きさに対応する車幅方向の範囲などとすることができる。
上記クロスメンバは、例えば、サブフレームのクロスメンバなどとすることができる。
【0010】
この発明により、エンジンルーム内において、配索経路の長さを抑えてワイヤーハーネスを車幅方向に配索できるとともに、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷を防止することができる。
【0011】
具体的には、所定範囲内において、冷媒ホースの下端に対してワイヤーハーネスの上端が略同じ車両上下方向位置、または車両下方の位置に位置するように、ワイヤーハーネスをクロスメンバに配索固定したことにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、車幅方向の所定範囲内において、互いに車幅方向に沿って配設された冷媒ホースとワイヤーハーネスとが、車両前後方向で対向することを防止できる。
【0012】
これにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、前突時に冷媒ホースが後退した場合であっても、エンジンルーム内を横断するように配索されたワイヤーハーネスに冷媒ホースが接触すること防止できる。
【0013】
さらに、例えば、車幅方向の所定範囲内において、冷媒ホースの下端と略同じ車両上下方向の位置に上端が位置するようにワイヤーハーネスを配索した場合、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、冷媒ホースの下端よりも車両下方に上面が位置するクロスメンバに対して、ワイヤーハーネスをより車両上方の位置に配置することができる。
【0014】
これにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、ワイヤーハーネスの下端が最低地上高となり難くすることができ、例えば走行中に路上の落下物とワイヤーハーネスとが接触することを防止できる。
【0015】
従って、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、エンジンルーム内において、配索経路の長さを抑えてワイヤーハーネスを車幅方向に配索できるとともに、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷を防止することができる。
【0016】
さらに、この発明は、前記所定範囲内よりも車幅方向外側の範囲を所定範囲外として、該所定範囲外における前記冷媒ホースが、前記所定範囲内における前記冷媒ホースよりも車両上方の位置に配設される構成として、前記所定範囲外における前記ワイヤーハーネスが、前記クロスメンバの上面よりも車両上方、かつ前記所定範囲外における前記冷媒ホースよりも車両下方の位置に配索されたことを特徴とする。
【0017】
この発明により、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷をより確実に防止することができる。
具体的には、所定範囲外において、クロスメンバの上面よりも車両上方、かつ冷媒ホースよりも車両下方の位置に、ワイヤーハーネスを配索したことにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、車幅方向の所定範囲外において、冷媒ホースとワイヤーハーネスとが、車両前後方向で対向することを防止できる。
【0018】
これにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、前突時に冷媒ホースが後退した際、車幅方向の所定範囲外におけるワイヤーハーネスに、車幅方向の所定範囲外における冷媒ホースが接触することを防止できる。
【0019】
さらに、車幅方向の所定範囲外において、ワイヤーハーネスが、クロスメンバよりも車両上方に配索されているため、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、車幅方向の所定範囲外において、ワイヤーハーネスの下端が最低地上高となることを確実に阻止することができる。
【0020】
従って、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、所定範囲外において、クロスメンバの上面よりも車両上方、かつ冷媒ホースよりも車両下方の位置に、ワイヤーハーネスを配索したことにより、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷をより確実に防止することができる。
【0021】
さらにこの発明は、前記ワイヤーハーネスが、一端が車載バッテリに接続された幹線と、該幹線の他端が接続されるとともに、前記幹線を分岐させる分岐ボックスと、該分岐ボックスに一端が接続された複数の枝線とを備え、前記分岐ボックスが、前記所定範囲外における前記クロスメンバの上面と前記冷媒ホースの下端との車両上下方向間隔よりも短い車両上下方向の長さを有する構成として、前記複数の枝線のうち、少なくとも1本の枝線が、車幅方向に沿って配索されるとともに、前記所定範囲内における前記クロスメンバに固定され、前記分岐ボックスが、前記所定範囲外における前記クロスメンバの上面に固定されたことを特徴とする。
【0022】
この発明により、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷をさらに確実に防止することができる。
具体的には、ワイヤーハーネスの分岐ボックスが、所定範囲外におけるクロスメンバの上面に固定されたことにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、所定範囲外において、冷媒ホースと分岐ボックスとが車両前後方向で対向することを防止できる。
【0023】
これにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、前突時に冷媒ホースが後退した場合であっても、車幅方向の所定範囲外におけるワイヤーハーネスの分岐ボックスに、車幅方向の所定範囲外における冷媒ホースが接触することを防止できる。
【0024】
さらに、分岐ボックスがクロスメンバの上面に固定されているため、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、ワイヤーハーネスにおける重量物となり易い分岐ボックスの支持剛性をより向上することができる。これにより、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、例えば、前突時の衝撃によって、分岐ボックスの重量が幹線及び枝線に作用することを防止できる。
【0025】
従って、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、ワイヤーハーネスの分岐ボックスが、所定範囲外におけるクロスメンバの上面に固定されたことにより、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷をさらに確実に防止することができる。
【0026】
この発明の態様として、前記ワイヤーハーネスが、前記所定範囲内において、前記クロスメンバにおける車両前方側に配索固定されたものである。
この発明により、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、例えばクロスメンバの上面や後面にワイヤーハーネスを配索固定した場合に比べて、クロスメンバの前端よりも車両後方におけるエンジンルームのスペースが、ワイヤーハーネスによって圧迫されることを防止できる。
【0027】
さらに、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、エンジンルーム内に配設された発電機兼電動モータや変速機などのパワートレインと、エンジンルーム内を横断するように配索されたワイヤーハーネスとの車両前後方向の間隔を容易に確保することができる。
【0028】
このため、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、例えば、路面の凹凸などによって、パワートレインが揺動した際、パワートレインとワイヤーハーネスとの接触を防止することができる。
従って、エンジンルーム内のハーネス配索構造は、クロスメンバの車両前方側にワイヤーハーネスを配索固定したことにより、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷を確実に防止することができる
【発明の効果】
【0029】
発明により、エンジンルーム内において、配索経路の長さを抑えてワイヤーハーネスを車幅方向に配索できるとともに、車幅方向に配索されたワイヤーハーネスの損傷を防止できるようなエンジンルーム内のハーネス配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】車両におけるエンジンルームの外観を示す外観斜視図。
図2】平面視におけるエンジンルームの外観を示す平面図。
図3】背面視における熱交換器近傍の外観を示す背面図。
図4図2中のA−A矢視における熱交換器の下部近傍を示す要部断面図。
図5】配索状態における強電系ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、図1は車両におけるエンジンルーム1の外観斜視図を示し、図2はエンジンルーム1の平面図を示し、図3は熱交換器20近傍の背面図を示し、図4図2中のA−A矢視における熱交換器20の下部近傍の要部断面図を示し、図5は配索状態における強電系ワイヤーハーネス30の外観斜視図を示している。
【0032】
また、図示を明確にするため、図1中において、車両左側のフロントサイドフレーム3、アッパクラッシュカン5、アッパバンパレインフォースメント6、及びフロントバンパ9の図示を省略し、図2中においてフロントサイドフレーム3を二点鎖線で示している。
また、図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。
【0033】
さらに、矢印Rh及びLhは幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示し、車幅方向における車室内側を車幅方向内側とし、車幅方向における車両外側を車幅方向外側とする。加えて、図1中の上方を上方とし、図1中の下方を下方とする。
【0034】
まず、車両のエンジンルーム1は、図1及び図2に示すように、乗員が乗り込む車室の前壁をなすダッシュパネル2と、車幅方向に所定間隔を隔てて車両前方へ延びる左右一対のフロントサイドフレーム3と、フロントサイドフレーム3の車両下方に配置されたサブフレーム4と、フロントサイドフレーム3の前端に配設されたアッパクラッシュカン5(図2参照)と、アッパクラッシュカン5の前端を車幅方向に連結するアッパバンパレインフォースメント6(図2参照)と、サブフレーム4の前端に配設された左右一対のロアクラッシュカン7と、ロアクラッシュカン7の前端を車幅方向に連結するロアバンパレインフォースメント8とで構成されている。
【0035】
なお、アッパバンパレインフォースメント6、及びロアバンパレインフォースメント8の車両前方側には、図2に示すように、車両の外観意匠面をなすフロントバンパ9が配設されている。
より詳しくは、フロントサイドフレーム3は、図1から図3に示すように、車幅方向に沿った縦断面形状が断面略矩形の閉断面形状を、ダッシュパネル2の下部から車両前方上方へ延設したのち、車両前方へ向けて延設した形状に形成されている。
【0036】
また、サブフレーム4は、図1及び図2に示すように、フロントサイドフレーム3の車両下方において、車両前後方向に延びる左右一対の前後メンバ41と、前後メンバ41の前端を車幅方向に連結する前側クロスメンバ42と、前後メンバ41の後端を車幅方向に連結する後側クロスメンバ43とで、平面視略井桁状に構成されている。
【0037】
このサブフレーム4は、図1に示すように、前後メンバ41の前端近傍に立設した前側フレーム連結部10と、前後メンバ41の後端近傍に立設した後側フレーム連結部11を介して、フロントサイドフレーム3の下面に連結されている。
【0038】
具体的には、前後メンバ41は、図1から図3に示すように、車幅方向に沿った縦断面形状が略矩形の閉断面形状であって、平面視において、フロントサイドフレーム3の車両下方に位置する前端から車両後方へ延設されたのち、車両前後方向略中央近傍から車幅方向内側へ向けて屈曲した形状に形成されている。
【0039】
前側クロスメンバ42は、図1図3、及び図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面形状が、車両下方が開口した断面略門型形状であって、左右の前後メンバ41における前端下部にそれぞれ連結される左右一対のメンバ端部421と、メンバ端部421を車幅方向に連結するメンバ中央部422とで一体形成されている。
【0040】
メンバ端部421は、図3に示すように、背面視において、前後メンバ41の前端下部から車幅方向内側、かつ僅かに車両下方へ向けて延設された形状に形成されている。
メンバ中央部422は、図3に示すように、背面視において、後述する熱交換器20におけるラジエータ21と略同じ車幅方向の長さを有する形状に形成されている。
【0041】
後側クロスメンバ43は、車両前後方向に沿った縦断面形状が、車両前後方向に長い断面略矩形の閉断面形状であって、図1及び図2に示すように、車両前後方向におけるフロントサイドフレーム3の後部と略同じ車両前後方向の位置において、左右の前後メンバ41における後端同士を車幅方向に連結している。
【0042】
このような車両のエンジンルーム1には、図1に示すように、エンジン(図示省略)及び変速機(図示省略)と、エンジンの駆動力を前輪(図示省略)に伝達する左右一対のドライブシャフト12と、前輪に連結されたステアリングギヤボックス13と、スタビリンク(図示省略)を介して前輪に連結されたスタビライザ14とが、車両前方からのこの順番でサブフレーム4の車両上方に配設されている。
【0043】
さらに、車両のエンジンルーム1には、図1から図3に示すように、エンジンの熱を吸熱した熱交換媒体である冷却水を冷却する熱交換器20と、サブフレーム4に沿うように配索された強電系ワイヤーハーネス30が配設されている。
【0044】
熱交換器20は、図2から図3に示すように、左右のアッパクラッシュカン5の間において、フロントバンパ9の車両後方、かつサブフレーム4の前側クロスメンバ42に対して車両前方に所定間隔を隔てた位置に配置されている。
【0045】
この熱交換器20は、図3に示すように、車両右側から車両左側へ向けた一方向に冷却水が循環する、所謂クロスフロー式のラジエータ21と、ラジエータ21を支持するラジエータシュラウド22と、ラジエータ21の後面に配置され、冷却風を吸引する電動ファン23と、電動ファン23を支持するとともに、ラジエータ21の後面を覆うファンシュラウド24とで構成されている。
【0046】
ラジエータ21は、図3に示すように、車幅方向に所定間隔を隔てて配置された車両右側の右タンク211、及び車両左側の左タンク212と、その間に配設されたコア(図示省略)とで構成されている。
右タンク211には、図3に示すように、ファンシュラウド24が取付けられる被取付け部が、上端近傍、及び下端近傍に形成されている。
【0047】
さらに、右タンク211には、ラジエータ21における車両上下方向略中央よりも上方の位置に、エンジンによって加熱された冷却水が内部に導入される導入口であるインレット211aが形成されている。なお、インレット211aには、冷却水が流動するとともに、一端がエンジンに接続された冷媒ホース(図示省略)が接続される。
【0048】
左タンク212には、図3に示すように、ファンシュラウド24が取付けられる被取付け部が、上端近傍、及び下端近傍に形成されている。
さらに、左タンク212には、ラジエータ21における車両上下方向略中央の位置に、ラジエータ21のコアによって冷却された冷却水が外部に導出される導出口であるアウトレット212aが形成されている。なお、アウトレット212aは、冷却水が流動するとともに、一端がエンジンに接続された冷媒ホース25が接続される。
【0049】
また、ラジエータシュラウド22は、図2から図4に示すように、車両前方、及び車両後方が開口するとともに、ラジエータ21の上面、下面、及び両側面を覆う略枠状体に形成されている。なお、ラジエータシュラウド22には、ラジエータ21の上面との隙間に介在する上部シール部材(図示省略)と、ラジエータ21の下面との隙間に介在する下部シール部材22a(図4参照)とが設けられている。
【0050】
また、電動ファン23は、図3に示すように、電動モータと、電動モータの回転軸に設けた6枚の羽根部とで構成されている。この電動ファン23は、図2に示すように、背面視において、ラジエータ21の車両上下方向略中央、かつ車幅方向略中央よりも僅かに左側の位置に、回転軸が位置するように配設されている。
【0051】
ファンシュラウド24は、図3に示すように、背面視において、ラジエータ21のコアを覆うシュラウド本体241と、右タンク211における車両上方の被取付け部に取付けられる第1取付け部242と、右タンク211における車両下方の被取付け部に取付けられる第2取付け部243と、左タンク212における車両上方の被取付け部に取付けられる第3取付け部244と、左タンク212における車両下方の被取付け部に取付けられる第4取付け部245とで一体形成されている。
【0052】
さらに、シュラウド本体241には、図3及び図4に示すように、背面視において、電動ファン23の回転中心と略同位置に、電動ファン23よりも僅かに大きい直径で開口するとともに、開口縁を車両後方へ延設した略円形筒状の円形開口部246が形成されている。
【0053】
この円形開口部246には、前後方向に延びる略筒状で、電動ファン23の電動モータを保持する背面視略環状のモータ保持部と、モータ保持部の外周面から放射線状に延びるとともに、円形開口部246の縁端に連結された複数のステー部と設けられている。
【0054】
このような構成の熱交換器20は、図3及び図4に示すように、前側クロスメンバ42におけるメンバ中央部422の上面422aに対して、ラジエータシュラウド22の下端が車両上方に位置するように配設されている。
【0055】
ここで、熱交換器20のアウトレット212aに接続された冷媒ホース25について説明する。冷媒ホース25は、図3に示すように、背面視において、一端がアウトレット212aに接続されるとともに、円形開口部246に対して車両左側に位置するホース左側部分25aと、円形開口部246に対して車両下方に位置するホース中央部分25bと、円形開口部246に対して車両右側に位置するホース右側部分25cとを、車両左側からこの順番で一体形成して構成されている。
【0056】
冷媒ホース25のホース左側部分25aは、図2及び図3に示すように、円形開口部246の左端よりも車両左側における車幅方向の範囲である第1の所定範囲W1において、円形開口部246の下端よりも車両上方の範囲に配設されるよう形成されている。
【0057】
具体的には、ホース左側部分25aは、車幅方向における第1の所定範囲W1において、アウトレット212aから車両後方下方へ延設された先端を、円形開口部246の下部へ向けて車幅方向右側へ延設したのち、熱交換器20の下端へ向けて延びる形状に形成されている。
【0058】
さらに、冷媒ホース25のホース中央部分25bは、図3及び図4に示すように、円形開口部246における車幅方向の範囲と略同じ車幅方向の範囲である第2の所定範囲W2において、円形開口部246の下端とラジエータシュラウド22の下端との間に配設されるよう形成されている。
【0059】
具体的には、ホース中央部分25bは、車幅方向における第2の所定範囲W2において、円形開口部246の直径と略同じ車幅方向の長さで、ホース左側部分25aの先端を車幅方向右側へ延設した形状に形成されている。
【0060】
そして、冷媒ホース25のホース右側部分25cは、図2及び図3に示すように、円形開口部246の右端よりも車両右側における車幅方向の範囲である第3の所定範囲W3において、円形開口部246の下端よりも車両上方の範囲に配設されるよう形成されている。
【0061】
具体的には、ホース右側部分25cは、車幅方向における第3の所定範囲W3において、ホース中央部分25bの先端から車両右上方へ向けて延設されたのち、円形開口部246の下部近傍から車幅方向右側へ向けて延びる形状に形成されている。なお、冷媒ホース25は、図2に示すように、熱交換器20の右端近傍において、ホース右側部分25cの先端を車両後方へ向けて屈曲した形状に形成されている。
【0062】
また、強電系ワイヤーハーネス30は、図1及び図2に示すように、サブフレーム4における車両右側の前後メンバ41、及び前側クロスメンバ42に沿うように配索されている。
【0063】
より詳しくは、強電系ワイヤーハーネス30は、図1及び図2に示すように、フロアパネル15よりも車両下方をとおって、エンジンルーム1に導入されるとともに、車両前後方向に沿って配索された幹線31と、幹線31の前端が接続された分岐ボックス32と、分岐ボックス32から車両上方へ向けて配索された第1枝線33と、分岐ボックス32から車幅方向左側へ向けて配索された第2枝線34と、幹線31を保持する第1ハーネスプロテクタ35と、第2枝線34を保持する第2ハーネスプロテクタ36とで構成されている。
【0064】
幹線31は、図1及び図2に示すように、車両後部に設けた車載バッテリ(図示省略)に一端が接続され、他端が分岐ボックス32に接続されるとともに、エンジンルーム1内において、サブフレーム4の前後メンバ41に沿うように車両前方へ向けて配索されている。
この幹線31は、幹線31の配索経路に応じて形成された合成樹脂製の第1ハーネスプロテクタ35を介して、サブフレーム4、及び後側フレーム連結部11に固定されている。
【0065】
第1ハーネスプロテクタ35は、図2及び図5に示すように、前後メンバ41に沿って配索された幹線31を囲繞するプロテクタ本体35aと、プロテクタ本体35aの後端に設けた第1固定部35bと、プロテクタ本体35aの前後方向略中央に設けた第2固定部35cと、前後メンバ41の前端に設けた第3固定部35dとで一体形成されている。
【0066】
なお、第1ハーネスプロテクタ35の第1固定部35bが、後側フレーム連結部11に締結固定され、第2固定部35cが前後メンバ41における車両前後方向略中央に締結固定され、第3固定部35dが前後メンバ41の前部に締結固定される。
【0067】
分岐ボックス32は、図3及び図5に示すように、車幅方向に長い略ボックス形状であって、その内部において、幹線31と、第1枝線33、及び第2枝線34とを電気的に接続可能に構成されている。
【0068】
具体的には、分岐ボックス32は、車両前後方向の長さが、前側クロスメンバ42のメンバ中央部422における車両前後方向の長さよりも長く、車幅方向の長さが、第3の所定範囲W3における冷媒ホース25(ホース右側部分25c)の車幅方向の長さよりも短く、車両上下方向の長さが、第3の所定範囲W3におけるメンバ中央部422の上面422aと冷媒ホース25(ホース右側部分25c)の下端との車両上下方向間隔よりも短い略ボックス形状に形成されている。
【0069】
そして、分岐ボックス32は、図3及び図5に示すように、背面視において、第3の所定範囲W3に対応する前側クロスメンバ42の上面422aに固定されている。
換言すると、分岐ボックス32は、図3に示すように、第3の所定範囲W3内において、冷媒ホース25のホース右側部分25cと車両前後方向で対向しない大きさに形成されるとともに、ホース右側部分25cと車両前後方向で対向しないように前側クロスメンバ42の上面422aに固定されている。
【0070】
第1枝線33は、図1から図3に示すように、分岐ボックス32の車両後方側から車両後方へ向けて配索されたのち、車両上方へ向けて配索されるとともに、その先端が、左右のフロントサイドフレーム3の間に配置した発電機兼電動モータ(図示省略)に接続されている。
【0071】
第2枝線34は、図1及び図3に示すように、分岐ボックス32の車両前方側から車幅方向に沿って配索されるとともに、その先端が、車両左側のフロントサイドフレーム3よりも車幅方向外側に配置したDC/DCコンバータ16(図2参照)に接続されている。
【0072】
この第2枝線34は、図2から図4に示すように、第2の所定範囲W2内において、冷媒ホース25におけるホース中央部分25bの下端よりも車両下方の位置に、その上端が位置するように、第3の所定範囲W3に位置する分岐ボックス32から車幅方向に沿って配索固定されている。
【0073】
具体的には、第2枝線34は、図2から図4に示すように、車幅方向略中央において、前側クロスメンバ42におけるメンバ中央部422の前面部分である前面422bに対して車両前方側で近接するように、分岐ボックス32から車幅方向左側、かつ僅かに車両前方へ向けて配索されたのち、前側クロスメンバ42に沿うように車幅方向左側へ向けて配索されている。
【0074】
この際、第2枝線34は、図4に示すように、車幅方向略中央をとおる車両前後方向に沿った縦断面において、冷媒ホース25のホース中央部分25bにおける下端よりも車両下方の位置に、その上端が位置するように配索されている。
【0075】
換言すると、第2枝線34は、第2の所定範囲W2内において、ファンシュラウド24の円形開口部246の車両下方をとおる冷媒ホース25のホース中央部分25bと車両前後方向で対向しないように、前側クロスメンバ42におけるメンバ中央部422の上面422aに対して車両下方にオフセットした位置に配索されている。
【0076】
さらに、円形開口部246よりも車両左側の第1の所定範囲W1における第2枝線34は、図3に示すように、背面視において、冷媒ホース25のホース左側部分25aと前側クロスメンバ42との間をとおって、前後メンバ41を跨ぐように、車両上方かつ車幅方向左側へ向けて配索されている。
【0077】
換言すると、第2枝線34は、第1の所定範囲W1内において、ファンシュラウド24の円形開口部246における下端よりも車両上方をとおる冷媒ホース25のホース左側部分25aと車両前後方向で対向しないように、車両上方かつ車幅方向左側へ向けて配索されている。
【0078】
このように配索された第2枝線34は、第2枝線34の配索経路に応じて形成された合成樹脂製の第2ハーネスプロテクタ36を介して、前側クロスメンバ42の上面422aに配索固定されている。
第2ハーネスプロテクタ36は、図2から図5に示すように、車幅方向略中央から車両左側の前後メンバ41に至る第2枝線34を囲繞するプロテクタ本体36aと、プロテクタ本体36aの車幅方向右端に設けた右側固定部36bと、プロテクタ本体36aの車幅方向左端に設けた左側固定部36cとで一体形成されている。
【0079】
プロテクタ本体36aは、図4に示すように、車幅方向略中央をとおる車両前後方向に沿った縦断面において、前側クロスメンバ42の上面422aよりも車両下方に下端が位置し、冷媒ホース25の下端と略同じ車両上下方向の位置に上端が位置する大きさの断面略矩形の閉断面形状に形成されている。
【0080】
換言すると、プロテクタ本体36aは、図3に示すように、第2の所定範囲W2内において、ファンシュラウド24の円形開口部246の車両下方をとおる冷媒ホース25と車両前後方向で対向しない大きさに形成されている。
【0081】
右側固定部36bは、プロテクタ本体36aの後面から車両後方に延設されるとともに、前側クロスメンバ42の上面422aに載置固定されている。
左側固定部36cは、プロテクタ本体36aの下面から車両下方へ延設されたのち、車両後方へ延設した形状に形成されるとともに、前側クロスメンバ42の上面422aに載置固定されている。
【0082】
以上のような構成のエンジンルーム1内のハーネス配索構造は、エンジンルーム1内において、配索経路の長さを抑えて強電系ワイヤーハーネス30を車幅方向に配索できるとともに、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷を防止することができる。
【0083】
具体的には、第2の所定範囲W2内において、冷媒ホース25の下端に対して強電系ワイヤーハーネス30の上端が略同じ車両上下方向位置に位置するように、強電系ワイヤーハーネス30を前側クロスメンバ42に配索固定したことにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、車幅方向の第2の所定範囲W2内において、互いに車幅方向に沿って配設された冷媒ホース25と強電系ワイヤーハーネス30とが、車両前後方向で対向することを防止できる。
【0084】
これにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、前突時に冷媒ホース25が後退した場合であっても、エンジンルーム1内を横断するように配索された強電系ワイヤーハーネス30に冷媒ホース25が接触すること防止できる。
【0085】
さらに、車幅方向の第2の所定範囲W2内において、冷媒ホース25の下端と略同じ車両上下方向の位置に上端が位置するように強電系ワイヤーハーネス30を配索した場合、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、冷媒ホース25の下端よりも車両下方に上面が位置する前側クロスメンバ42に対して、強電系ワイヤーハーネス30をより車両上方の位置に配置することができる。
【0086】
これにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、強電系ワイヤーハーネス30の下端が最低地上高となり難くすることができ、例えば走行中に路上の落下物と強電系ワイヤーハーネス30とが接触することを防止できる。
【0087】
従って、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、エンジンルーム1内において、配索経路の長さを抑えて強電系ワイヤーハーネス30を車幅方向に配索できるとともに、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷を防止することができる。
【0088】
また、強電系ワイヤーハーネス30が、第2の所定範囲W2内において、前側クロスメンバ42における車両前方側に配索固定されたことにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、例えば前側クロスメンバ42の上面422aや後面に強電系ワイヤーハーネス30を配索固定した場合に比べて、前側クロスメンバ42の前端よりも車両後方におけるエンジンルーム1のスペースが、強電系ワイヤーハーネス30によって圧迫されることを防止できる。
【0089】
さらに、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、エンジンルーム1内に配設された発電機兼電動モータや変速機などのパワートレインと、エンジンルーム内1を横断するように配索された強電系ワイヤーハーネス30との車両前後方向の間隔を容易に確保することができる。
【0090】
このため、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、例えば、路面の凹凸などによって、パワートレインが揺動した際、パワートレインと強電系ワイヤーハーネス30との接触を防止することができる。
従って、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、前側クロスメンバ42の車両前方側に強電系ワイヤーハーネス30を配索固定したことにより、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷を確実に防止することができる。
【0091】
また、第2の所定範囲W2内よりも車幅方向外側の範囲である第1の所定範囲W1、及び第3の所定範囲W3における冷媒ホース25が、第2の所定範囲W2内における冷媒ホース25よりも車両上方の位置に配設される構成として、第1の所定範囲W1における強電系ワイヤーハーネス30が、前側クロスメンバ42の上面422aよりも車両上方、かつ第1の所定範囲W1における冷媒ホース25よりも車両下方の位置に配索されたことにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷をより確実に防止することができる。
【0092】
具体的には、第1の所定範囲W1において、前側クロスメンバ42の上面422aよりも車両上方、かつ冷媒ホース25よりも車両下方の位置に、強電系ワイヤーハーネス30を配索したことにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、車幅方向の第1の所定範囲W1において、冷媒ホース25と強電系ワイヤーハーネス30とが、車両前後方向で対向することを防止できる。
【0093】
これにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、前突時に冷媒ホース25が後退した際、車幅方向の第1の所定範囲W1における強電系ワイヤーハーネス30に、車幅方向の第1の所定範囲W1における冷媒ホース25が接触することを防止できる。
【0094】
さらに、車幅方向の第1の所定範囲W1において、強電系ワイヤーハーネス30が、前側クロスメンバ42よりも車両上方に配索されているため、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、車幅方向の第1の所定範囲W1において、強電系ワイヤーハーネス30の下端が最低地上高となることを確実に阻止することができる。
【0095】
従って、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、第1の所定範囲W1において、前側クロスメンバ42の上面422aよりも車両上方、かつ冷媒ホース25よりも車両下方の位置に、強電系ワイヤーハーネス30を配索したことにより、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷をより確実に防止することができる。
【0096】
また、強電系ワイヤーハーネス30の分岐ボックス32が、第3の所定範囲W3における前側クロスメンバ42の上面422aと冷媒ホース25の下端との車両上下方向間隔よりも短い車両上下方向の長さを有し、強電系ワイヤーハーネス30の第2枝線34が、車幅方向に沿って配索されるとともに、第2の所定範囲W2内における前側クロスメンバ42に固定され、分岐ボックス32が、第3の所定範囲W3における前側クロスメンバ42の上面422aに固定されたことにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷をさらに確実に防止することができる。
【0097】
具体的には、強電系ワイヤーハーネス30の分岐ボックス32が、第3の所定範囲W3における前側クロスメンバ42の上面422aに固定されたことにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、第3の所定範囲W3において、冷媒ホース25と分岐ボックス32とが車両前後方向で対向することを防止できる。
【0098】
これにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、前突時に冷媒ホース25が後退した場合であっても、車幅方向の第3の所定範囲W3における強電系ワイヤーハーネス30の分岐ボックス32に、車幅方向の第3の所定範囲W3における冷媒ホース25が接触することを防止できる。
【0099】
さらに、分岐ボックス32が前側クロスメンバ42の上面422aに固定されているため、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、強電系ワイヤーハーネス30における重量物となり易い分岐ボックス32の支持剛性をより向上することができる。これにより、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、例えば、前突時の衝撃によって、分岐ボックス32の重量が幹線31、第1枝線33、及び第2枝線34に作用することを防止できる。
【0100】
従って、エンジンルーム1内のハーネス配索構造は、強電系ワイヤーハーネス30の分岐ボックス32が、第3の所定範囲W3における前側クロスメンバ42の上面422aに固定されたことにより、車幅方向に配索された強電系ワイヤーハーネス30の損傷をさらに確実に防止することができる。
【0101】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の熱交換器における車幅方向の所定範囲は、実施形態の第2の所定範囲W2に対応し、
以下同様に、
熱交換器の車両後方下方は、円形開口部246の車両下方に対応し、
クロスメンバは、前側クロスメンバ42に対応し、
ワイヤーハーネスは、強電系ワイヤーハーネス30に対応し、
所定範囲外は、第1の所定範囲W1、及び第3の所定範囲W3に対応し、
所定範囲外における冷媒ホースは、冷媒ホース25のホース左側部分25a、及びホース右側部分25cに対応し、
所定範囲内における冷媒ホースは、冷媒ホース25のホース中央部分25bに対応し、
所定範囲外におけるワイヤーハーネスは、第1の所定範囲W1における第2枝線34に対応し、
複数の枝線は、第1枝線33、及び第2枝線34に対応し、
所定範囲外におけるクロスメンバの上面は、第3の所定範囲W3における前側クロスメンバ42の上面422aに対応し、
少なくとも1本の枝線は、第2枝線34に対応し、
所定範囲内におけるクロスメンバは、第2の所定範囲W2における前側クロスメンバ42に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0102】
例えば、上述した実施形態において、ラジエータ21、ラジエータシュラウド22、電動ファン23、及びファンシュラウド24で構成された熱交換器20としたが、これに限定せず、ラジエータ単体で構成された熱交換器であってもよい。
また、クロスフロー式のラジエータ21を用いて説明したが、これに限定せず、冷媒ホースがラジエータの後方下方を車幅方向に配設される構成であれば、ダウンフロー式のラジエータであってもよい。
【0103】
また、円形開口部246における車幅方向の範囲と略同じ車幅方向の範囲を、第2の所定範囲W2を所定範囲として説明したが、これに限定せず、熱交換器の下部を車幅方向に沿って配索された冷媒ホースに対応する車幅方向の範囲であれば、適宜の範囲としてもよい。
【0104】
また、強電系ワイヤーハーネス30を用いて説明したが、これに限定せず、低い電圧が印加されるワイヤーハーネスであってもよい。
また、強電系ワイヤーハーネス30の分岐ボックス32を、幹線31と第1枝線33、及び第2枝線34とを電気的に接続する構成としたが、これに限定せず、幹線を構成する複数の電線を2つの束に分けて、それぞれ第1枝線、及び第2枝線とし、幹線から第1枝線、及び第2枝線に分岐した部分を覆う分岐ボックスとしてもよい。
【0105】
また、第2の所定範囲W2内において、冷媒ホース25の下端に対して、第2ハーネスプロテクタ36におけるプロテクタ本体36aの上端が略同じ車両上下方向の位置に位置する構成としたが、これに限定せず、冷媒ホース25の下端に対して、プロテクタ本体36aの上端が車両下方に位置する構成としてもよい。
【0106】
また、第2枝線34が第2ハーネスプロテクタ36を介して前側クロスメンバ42に固定された構成としたが、これに限定せず、プロテクタ本体36aを設けず、第2枝線34がブラケットを介して前側クロスメンバ42に固定された構成としてもよい。この場合、第2の所定範囲W2内において、冷媒ホース25の下端に対して、第2枝線34の上端が略同じ車両上下方向の位置、または車両下方の位置に位置するように、第2枝線34を配索固定する。
【0107】
また、第2枝線34を前側クロスメンバ42の上面422aに固定する構成としたが、これに限定せず、前側クロスメンバ42の車両前方側に、前側クロスメンバ42の上面422aに対して車両下方に段下した段下げ面を設け、該段下げ面の上面に第2枝線を配索固定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…エンジンルーム
20…熱交換器
25…冷媒ホース
25a…ホース左側部分
25b…ホース中央部分
30…強電系ワイヤーハーネス
31…幹線
32…分岐ボックス
33…第1枝線
34…第2枝線
42…前側クロスメンバ
246…円形開口部
422a…上面
W1…第1の所定範囲
W2…第2の所定範囲
W3…第3の所定範囲
図1
図2
図3
図4
図5