(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子時計1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
電子時計1は、例えば腕時計として構成される。
【0011】
電子時計1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、計時部16と、入力部17と、表示部18と、記憶部19と、GPS受信モジュール20と、長波受信モジュール21と、電源回路22とを備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。例えば、CPU11は、後述する時刻補正プログラムに従って時刻補正処理を実行する。
【0013】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。例えば、RAM13には、時刻補正処理において取得されるGPS信号の受信停止時刻、受信停止の解除時刻、及び電子時計1が位置する地域(タイムゾーン)等が記憶される。
【0014】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、計時部16、入力部17、表示部18、記憶部19、GPS受信モジュール20、長波受信モジュール21及び電源回路22が接続されている。
【0015】
計時部16は、水晶振動子等からなる発振回路を備え、電子時計1における時刻信号を生成する。
入力部17は、各種釦やりゅうず等で構成され、ユーザの操作に応じて各種情報を入力する。
表示部18は、ディスプレイや文字板等で構成され、時刻や日付、あるいは、電子時計1における各種設定に関する情報を出力する。
記憶部19は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やフラッシュメモリ等で構成され、各種データを記憶する。
【0016】
GPS受信モジュール20は、GPS衛星から送信された電波(具体的にはGPS信号)を受信し、GPS信号に示される位置及び時刻の情報を取得してCPU11に出力する。本実施形態において、GPS受信モジュール20は、後述する機内モードに設定されると、動作を停止してスリープ状態となる。
長波受信モジュール21は、標準時刻を示す標準電波を受信し、標準電波に示されている標準時刻を示す情報をCPU11に出力する。本実施形態において、長波受信モジュール21は、世界各地に設置された送信局から送信される標準電波を受信可能に構成されている。
電源回路22は、不図示のバッテリから供給される電力に対し、電圧の調整等を行い、電子時計1内部に供給する。また、電源回路22は、バッテリにおける電池残量を検出し、電池残量を示す情報をCPU11に出力する。
【0017】
図2は、このような電子時計1の機能的構成のうち、時刻補正処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
時刻補正処理とは、電子時計1が飛行機のフライト時間に相当する離陸前の機内モード設定時から着陸後の機内モード解除時までの継続時間を計測し、その継続時間が一定時間以上となっている場合に、電子時計1が大きく移動したと判定し、着陸後の機内モードが解除されたタイミングで、GPS信号を受信して時刻を補正する一連の処理をいう。
ここで、機内モードとは、電子時計1におけるGPS信号の受信を停止するモードである。一般に、航空機を利用する場合、航空会社の要請等によって、離着陸時あるいは離陸から着陸までの全時間において、GPS信号の受信を控えることが求められるため、ユーザが操作することにより、電子時計1が機内モードに設定される。
【0018】
時刻補正処理が実行される場合、
図2に示すように、CPU11において、受信制御部51と、時刻補正部52と、機内モード設定部53と、時間計測部54と、停止時間判定部55と、移動判定部56とが機能する。
【0019】
受信制御部51は、GPS受信モジュール20によるGPS信号の受信と、長波受信モジュール21による標準電波の受信とを制御する。具体的には、受信制御部51は、毎日の設定された時間あるいは時刻補正処理によって受信が指示されたタイミングで長波受信モジュール21による標準電波の受信を行い、標準時刻を取得する。また、受信制御部51は、時刻補正処理によって受信が指示されたタイミングで、GPS信号の受信を行い、GPS信号が示す時刻情報を取得する。
時刻補正部52は、長波受信モジュール21によって受信された標準電波が示す標準時刻またはGPS受信モジュール20によって受信されたGPS信号が示す時刻情報に基づいて、電子時計1における現在時刻を補正する。即ち、時刻補正部52は、計時部16が発生する時刻信号によって決定される現在時刻に対し、標準電波あるいはGPS信号が示す時刻を優先して、現在時刻に設定する。
【0020】
機内モード設定部53は、入力部17を介して機内モードの設定が指示された場合に、GPS受信モジュール20におけるGPS信号の受信を停止し、GPS受信モジュール20をスリープ状態とする。これにより、電子時計1は、GPS信号の受信を行わない機内モードとなる。また、機内モード設定部53は、入力部17を介して機内モードの設定解除が指示された場合に、GPS受信モジュール20におけるGPS信号の受信を行う状態に復帰させる。
【0021】
時間計測部54は、機内モード設定部53によって機内モードに設定された場合に、その継続時間を計測する。即ち、時間計測部54は、機内モード設定部53が機内モードを開始した時刻を記憶し、航空機による移動が完了して、機内モードが解除された場合の時刻を記憶する。そして、時間計測部54は、機内モードの開始から終了までの時間を算出し、機内モードの継続時間とする。
また、時間計測部54は、機内モードが一時的に解除された場合、機内モードの継続時間のカウントを保持するための機内モード保持フラグを設定する。具体的には、時間計測部54は、機内モードに設定された後、所定時間(後述する閾値Tth2)以内に機内モードが解除された場合は、離陸時のみ機内モードにしたものとして、機内モードが開始された時刻が更新されないように、機内モード保持フラグをONにする。機内モード保持フラグがONとなっている場合、機内モードが開始された場合(例えば着陸時に機内モードが開始された場合等)に、機内モードが開始された時刻が更新されることなく、前回の機内モード開始時の時刻が保持される。なお、機内モード保持フラグに有効期限(例えば1日)を設定し、機内モードが短時間に一度だけ設定される場合(例えば病院内等の特定の状況で一時的に機内モードとした場合)の操作を一定時間で無効にすることとしてもよい。
【0022】
停止時間判定部55は、時間計測部54によって計測された機内モードの継続時間が、移動時間の判定のために設定されている閾値Tth1よりも長いか否かを判定する。ここで、閾値Tth1は、タイムゾーンを跨ぐと考えられる移動時間として、例えば2時間に設定することができる。ただし、この閾値Tth1をより長くしたり、より短くしたりすることも可能である。また、停止時間判定部55は、時間計測部54によって計測された機内モードの計測時間が、機内モードの一時的な解除を識別するために設定されている閾値Tth2よりも長いか否かを判定する。ここで、閾値Tth2は、離陸時に機内モードとされ、上空で機内モードの解除が許可されている場合に、離陸時から上空で一時的に機内モードが解除されるまでの時間を判定するための閾値である。閾値Tth2として、例えば30分に設定することができる。即ち、機内モードにされた後、30分以内に機内モードが解除された場合には、上空で一時的に機内モードが解除されたものとして、機内モードが継続していると判断される。なお、この閾値Tth2をより長くしたり、より短くしたりすることも可能である。
【0023】
移動判定部56は、前回受信した標準電波と、今回受信した標準電波とが同一であるか否かを判定する。即ち、移動判定部56は、受信される標準電波が同一であるか否かに基づいて、電子時計1がタイムゾーンを跨いで移動したか否かを判定する。移動判定部56によって、前回受信した標準電波と、今回受信した標準電波とが同一でない、即ち、電子時計1がタイムゾーンを跨いで移動したと判定された場合、受信制御部51によって、GPS信号の受信が行われる。
【0024】
図3は、
図2の機能的構成を有する
図1の電子時計1が実行する時刻補正処理の流れを説明するフローチャートである。
時刻補正処理は、予め設定されたタイミング(所定時間間隔あるいは所定の時刻となったタイミング)で自動的に起動されることにより開始される。
【0025】
ステップS1において、受信制御部51は、長波受信モジュール21による標準電波の受信を実行する。
ステップS2において、受信制御部51は、標準電波が受信されたか否かの判定を行う。
標準電波が受信されない場合、ステップS2においてNOと判定されて、処理はステップS3に移行する。
これに対し、標準電波が受信された場合、ステップS2においてYESと判定されて、処理はステップS4に移行する。
【0026】
ステップS3において、受信制御部51は、標準電波の受信について設定されたリトライ条件(制限時間あるいは制限回数内であること等)を充足しているか否かの判定を行う。
標準電波の受信について設定されたリトライ条件を充足している場合、ステップS3においてYESと判定されて、処理はステップS2に戻る。
これに対し、標準電波の受信について設定されたリトライ条件を充足していない場合、ステップS3においてNOと判定されて、時刻補正処理は終了となる。
ステップS4において、受信制御部51は、ステップS2において受信された標準電波の種類(いずれの送信局の標準電波であるか)を記憶する。例えば、ステップS2において受信された標準電波が福島送信局から送信されたものである場合、標準電波の種類として福島送信局の送信電波であることが記憶される。
【0027】
ステップS5において、機内モード設定部53は、機内モードの設定に関する操作が行われたか否かの判定を行う。機内モードの設定に関する操作とは、機内モードに設定する操作または機内モードを解除する操作である。
機内モードの設定に関する操作が行われていない場合、ステップS5においてNOと判定されて、処理はステップS5に戻る。
これに対し、機内モードの設定に関する操作が行われた場合、ステップS5においてYESと判定されて、処理はステップS6に移行する。
【0028】
ステップS6において、受信制御部51は、ステップS5における操作が、機内モードの設定(ON)の操作であるか否かの判定を行う。
機内モードの設定の操作である場合、ステップS6においてYESと判定されて、処理はステップS7に移行する。
これに対し、機内モードの設定の操作でない場合、ステップS6においてNOと判定されて、処理はステップS10に移行する。
【0029】
ステップS7において、機内モード設定部53は、GPS受信モジュール20におけるGPS信号の受信を停止し、GPS受信モジュール20をスリープ状態とする。
ステップS8において、機内モード設定部53は、ステップS9において記憶される機内モード保持フラグがONとなっているか否かの判定を行う。
機内モード保持フラグがONとなっていない場合、処理はステップS9に移行する。
これに対し、機内モード保持フラグがONとなっている場合、処理はステップS5に戻る。
【0030】
ステップS9において、時間計測部54は、現在時刻(即ち、機内モードとされた時刻)を記憶する。
ステップS9の後、処理はステップS5に戻る。
ステップS10において、停止時間判定部55は、時間計測部54によって計測される機内モードの計測時間が、閾値Tth2よりも長いか否か(即ち、機内モードの一時的な解除であるか否か)の判定を行う。
時間計測部54によって計測される機内モードの計測時間が、閾値Tth2よりも長い場合、ステップS10においてYESと判定されて、処理はステップS12に移行する。
これに対し、時間計測部54によって計測される機内モードの計測時間が、閾値Tth2よりも短い場合、ステップS10においてNOと判定されて、処理はステップS11に移行する。
【0031】
ステップS11において、時間計測部54は、機内モード保持フラグをONに設定する。
ステップS11の後、処理はステップS5に戻る。
ステップS12において、受信制御部51は、長波受信モジュール21による標準電波の受信を実行する。
ステップS13において、受信制御部51は、標準電波が受信されたか否かの判定を行う。
標準電波が受信されない場合、ステップS13においてNOと判定されて、処理はステップS14に移行する。
これに対し、標準電波が受信された場合、ステップS13においてYESと判定されて、処理はステップS15に移行する。
【0032】
ステップS14において、受信制御部51は、標準電波の受信について設定されたリトライ条件(制限時間あるいは制限回数内であること等)を充足しているか否かの判定を行う。
標準電波の受信について設定されたリトライ条件を充足している場合、処理はステップS13に戻る。
これに対し、標準電波の受信について設定されたリトライ条件を充足していない場合、処理はステップS18に移行する。
【0033】
ステップS15において、受信制御部51は、ステップS13において受信された標準電波の種類が、記憶されている標準電波の種類と同一であるか否か(即ち、同一の送信局からの標準電波を受信したか否か)の判定を行う。
ステップS13において受信された標準電波の種類が、記憶されている標準電波の種類と同一である場合、ステップS15においてYESと判定されて、処理はステップS16に移行する。
これに対し、ステップS13において受信された標準電波の種類が、記憶されている標準電波の種類と同一でない場合、ステップS15においてNOと判定されて、処理はステップS18に移行する。例えば、ステップS4において福島送信局が記憶され、ステップS13においてコロラド州のフォートコリンズ送信局から送信された標準電波が受信された場合、ステップS15においてNOと判定される。
【0034】
ステップS16において、停止時間判定部55は、時間計測部54によって計測される機内モードの継続時間が、閾値Tth1よりも長いか否かの判定を行う。
時間計測部54によって計測される機内モードの継続時間が、閾値Tth1よりも短い場合、ステップS16においてNOと判定されて、処理はステップS17に移行する。
これに対し、時間計測部54によって計測される機内モードの継続時間が、閾値Tth1よりも長い場合、ステップS16においてYESと判定されて、処理はステップS18に移行する。
ステップS17において、移動判定部56は、同一のタイムゾーン内における移動であると判定する。
ステップS17の後、時刻補正処理は終了となる。
【0035】
ステップS18において、受信制御部51は、GPS受信モジュールによるGPS信号の受信を実行する。
ステップS19において、受信制御部51は、GPS信号が受信されたか否かの判定を行う。
GPS信号が受信されない場合、ステップS19においてNOと判定されて、処理はステップS20に移行する。
これに対し、GPS信号が受信された場合、ステップS19においてYESと判定されて、処理はステップS22に移行する。
【0036】
ステップS20において、受信制御部51は、GPS信号の受信について設定されたリトライ条件(制限時間あるいは制限回数内であること等)を充足しているか否かの判定を行う。
GPS信号の受信について設定されたリトライ条件を充足している場合、処理はステップS19に戻る。
これに対し、GPS信号の受信について設定されたリトライ条件を充足していない場合、処理はステップS21に移行する。
【0037】
ステップS21において、時刻補正部52は、電子時計1における現在の時刻を維持する。
ステップS22において、時刻補正部52は、GPS信号が示す時刻情報に基づいて、電子時計1における現在時刻を補正する。このとき、時刻補正部52は、GPS信号に基づいて現在位置を取得し、タイムゾーンに応じた時差の補正を併せて実行する。
例えば、ステップS22において、GPS信号によって米国のロサンゼルス付近の位置が示された場合、米国の太平洋標準時に合わせて時差が補正される。
ステップS22の後、時刻補正処理は終了となる。
【0038】
このように、本実施形態の電子時計1では、GPS信号の受信を停止させる機内モードを解除したタイミングで標準電波の受信を行い、そのときの標準電波の受信環境の変化を判定する。そして、電子時計1において、タイムゾーンの変更に伴って時刻補正を行う必要があるか否かを判定することにより、自動的に現在時刻の補正を行うことができる。
これにより、時刻の補正をユーザの操作に委ねることを極力避けることができるため、ユーザに煩わしさを感じさせることを抑制できる。したがって、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
即ち、本実施形態に係る電子時計1によれば、GPS受信機能を備えた電子時計において、消費電力の増大を抑制しつつ、時刻の補正をより適切に行うことが可能となる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子時計1は、第1実施形態の電子時計1に対し、各国におけるサマータイム期間を反映させた現在時刻の補正を行う点で異なっている。
したがって、以下、第1実施形態と異なる点である電子時計1の機能的構成について主として説明する。
【0040】
図4は、本発明の第2実施形態に係る電子時計1の機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4における電子時計1の機能的構成は、サマータイム情報記憶部71を備えている点で、
図2に示す第1実施形態の機能的構成と異なっている。
サマータイム情報記憶部71は、サマータイムを導入している各国と、その国のサマータイム期間とが対応付けて記憶されたサマータイム期間テーブルを備えている。
図5は、サマータイム期間テーブルの一例を示す模式図である。
図5に示すように、例えば、サマータイム期間テーブルの1行目のエントリには、国「A」について、サマータイムの期間が「開始日X1〜終了日Y1」であることが記憶されている。そのため、国「A」については、タイムゾーンに応じた時刻補正に加え、サマータイム期間内であれば、時刻を1時間早めることで、自動的に適切な現在時刻の補正を行うことができる。
【0041】
図4に示す機能的構成を有する電子時計1においては、
図3に示す時刻補正処理と、ステップS22の処理が以下のように異なっている。
即ち、ステップS22において、時刻補正部52は、GPS信号が示す時刻情報に基づいて、電子時計1における現在時刻を補正する。このとき、時刻補正部52は、GPS信号に基づいて現在位置を取得し、タイムゾーンに応じた時差の補正を併せて実行する。さらに、時刻補正部52は、現在位置から電子時計1が位置する国を判定し、サマータイム情報記憶部71に記憶されたサマータイム期間テーブルに基づいて、サマータイムに対応した現在時刻の補正を行う。
【0042】
これにより、第2実施形態に係る電子時計1では、サマータイムを実施している国に電子時計1が移動した場合にも、サマータイム期間内であるときには、タイムゾーンに応じた時差の補正に加えて、サマータイムを反映した現在時刻の補正を行う。
したがって、消費電力の増大を抑制しつつ、サマータイムへの補正を含め、時刻の補正をより適切に行うことが可能となる。
【0043】
以上のように構成される電子時計1は、GPS受信モジュール20と、長波受信モジュール21と、受信制御部51と、時刻補正部52と、機内モード設定部53と、時間計測部54と、停止時間判定部55と、移動判定部56とを備える。
GPS受信モジュール20は、GPS衛星からの電波を受信する。
長波受信モジュール21は、長波電波を受信する。
受信制御部51は、長波受信モジュール21及びGPS受信モジュール20による受信の制御を行う。
機内モード設定部53は、GPS受信モジュール21におけるGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をさせる。
時間計測部54は、機内モード設定部53によってGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をした時刻に基づく経過時間を計測する。
停止時間判定部55は、時間計測部54によって計測された経過時間が、予め設定された第1の閾値よりも長いか否かを判定する。
移動判定部56は、機内モード設定部53に対する操作が行われる前に受信した長波電波の受信状況と、機内モード設定部53における受信の停止が解除された後に受信した長波電波の受信状況とに基づいて、移動を判定する。
受信制御部51は、停止時間判定部55及び移動判定部56の判定結果に基づいて、GPS受信モジュール20における受信の制御を行う。
時刻補正部52は、長波受信モジュール21またはGPS受信モジュール20による当該受信の結果に基づいて、時刻の補正を行う。
【0044】
これにより、電子時計1においては、GPS衛星からの電波の受信が停止されていた時間、及び、長波電波の受信状況を基に判定された移動の結果に応じて、GPS受信モジュール20を制御し、時刻の補正を行う。
したがって、GPS受信モジュール20におけるGPS衛星からの電波の受信の頻度をより減少させることができるため、消費電力の増大を抑制することができる。また、時刻の補正の必要性が高い状況において、GPS衛星からの電波の受信を行うことができるため、時刻の補正をより適切に行うことができる。
即ち、電子時計1によれば、GPS受信機能を備えた電子時計において、消費電力の増大を抑制しつつ、時刻の補正をより適切に行うことが可能となる。
【0045】
また、受信制御部51は、機内モード設定部53における受信の停止が解除された後に、時間計測部54によって計測された時間が、第1の閾値よりも長い場合には、GPS受信モジュール20によってGPS衛星からの電波を受信させ、時刻補正部52によって時刻の補正を行い、機内モード設定部53における受信の停止が解除された後に、移動判定部56によって同一のタイムゾーン内の長波電波を受信したと判定され、且つ時間計測部54によって計測された時間が、第1の閾値以下と判定された場合には、GPS受信モジュール20によってGPS衛星からの電波を受信させない。
これにより、GPS衛星からの電波の受信を行う状況をより適切に判別することができるため、消費電力の増大をより適切に抑制することができる。
【0046】
また、受信制御部51は、機内モード設定部53における受信の停止が解除された後に、時間計測部54によって計測された経過時間が、第1の閾値と判定され、移動判定部56によって同一のタイムゾーン内の長波電波を受信できなかったと判定された場合には、GPS受信モジュール20によってGPS衛星からの電波を受信させ、時刻補正部52によって時刻の補正を行う。
これにより、GPS衛星からの電波を受信する効果が大きい状況を判別して受信を行うことができる。
【0047】
また、受信制御部51は、機内モード設定部53における受信の停止が操作された後に、当該受信の停止が解除された場合、時間計測部54によって計測された時間が、予め設定された第2の閾値以下であるときには、当該受信の停止が解除されていないものとして時間の計測を継続する。
これにより、離陸時に一時的にGPS衛星からの電波の受信が停止され、上空で一時的に受信を再開したような場合であっても、受信が停止されている時間の計測を継続できるため、適切な移動時間を計測することができる。
【0048】
また、電子時計1は、サマータイム情報記憶部71を備える。
サマータイム情報記憶部71は、サマータイムを導入している国と、当該国のサマータイム期間とが対応付けられたサマータイムに関する情報を記憶する。
時刻補正部52は、サマータイムに関する情報に基づいて、GPS受信モジュール20によって受信されたGPS衛星からの電波が示す位置に応じて、サマータイムに対応する時刻の補正を行う。
これにより、サマータイムが導入されている国に移動した場合であっても、より適切に時刻の補正を行うことが可能となる。
【0049】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0050】
上述の実施形態では、時刻補正処理のステップS15において、同一の送信局からの標準電波を受信したか否かを判定したが、これに限られない。即ち、受信された標準電波の種類が、タイムゾーンが同一の地域に設置されている送信局からのもの(例えば福島送信局及び九州送信局からの標準電波等)であれば、実質的な地域の移動がないことから、標準電波の種類が同一であると判定してもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される電子時計1は、腕時計を例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、時刻補正機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、スマートフォン、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0052】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図2及び
図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子時計1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図2及び
図4の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0053】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0054】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア等により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu−ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)
等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図1のROM12や、
図1の記憶部19に含まれるフラッシュメモリ等で構成される。
【0055】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0057】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
長波電波を受信する長波受信手段と、
GPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段と、
GPS受信手段におけるGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をさせる受信停止解除手段と、
前記受信停止解除手段によってGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をした時刻に基づく経過時間を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された経過時間が、予め設定された第1の閾値よりも長いか否かを判定する停止時間判定手段と、
前記受信停止解除手段に対する操作が行われる前に受信した長波電波の受信状況と、前記受信停止解除手段における受信の停止が解除された後に受信した長波電波の受信状況とに基づいて、移動を判定する移動判定手段と、
前記停止時間判定手段及び前記移動判定手段の判定結果に基づいて、前記GPS受信手段における受信の制御を行う受信制御手段と、
前記長波受信手段または前記GPS受信手段による当該受信の結果に基づいて、時刻の補正を行う時刻補正手段と、
を備えることを特徴とする電子時計。
[付記2]
前記受信制御手段は、
前記受信停止解除手段における受信の停止が解除された後に、前記計測手段によって計測された時間が、前記第1の閾値よりも長い場合には、前記GPS受信手段によってGPS衛星からの電波を受信させ、前記時刻補正手段によって時刻の補正を行い、前記受信停止解除手段における受信の停止が解除された後に、前記移動判定手段によって同一のタイムゾーン内の長波電波を受信したと判定され、且つ前記計測手段によって計測された時間が、前記第1の閾値以下と判定された場合には、前記GPS受信手段によってGPS衛星からの電波を受信させないことを特徴とする付記1に記載の電子時計。
[付記3]
前記受信制御手段は、前記受信停止解除手段における受信の停止が解除された後に、前記計測手段によって計測された経過時間が、前記第1の閾値以下と判定され、前記移動判定手段によって同一のタイムゾーン内の長波電波を受信できなかったと判定された場合には、前記GPS受信手段によってGPS衛星からの電波を受信させ、前記時刻補正手段によって時刻の補正を行うことを特徴とする付記2に記載の電子時計。
[付記4]
前記受信制御手段は、前記受信停止解除手段における受信の停止が操作された後に、当該受信の停止が解除された場合、前記計測手段によって計測された時間が、予め設定された第2の閾値以下であるときには、当該受信の停止が解除されていないものとして時間の計測を継続することを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の電子時計。
[付記5]
サマータイムを導入している国と、当該国のサマータイム期間とが対応付けられたサマータイムに関する情報を記憶するサマータイム情報記憶手段を備え、
前記時刻補正手段は、前記サマータイムに関する情報に基づいて、前記GPS受信手段によって受信されたGPS衛星からの電波が示す位置に応じて、サマータイムに対応する時刻の補正を行うことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の電子時計。
[付記6]
長波電波を受信する長波受信手段と、GPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段とを備える電子時計の時刻補正方法であって、
GPS受信手段におけるGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をさせる受信停止解除ステップと、
前記受信停止解除ステップにおいてGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をした時刻に基づく経過時間を計測する計測ステップと、
前記計測ステップにおいて計測された経過時間が、予め設定された第1の閾値よりも長いか否かを判定する停止時間判定ステップと、
前記受信停止解除ステップにおいて操作が行われる前に受信した長波電波と、前記受信停止解除ステップにおいて受信の停止が解除された後に受信した長波電波とに基づいて、移動を判定する移動判定ステップと、
前記停止時間判定ステップ及び前記移動判定ステップの判定結果に基づいて、前記GPS受信手段における受信の制御を行う受信制御ステップと、
前記長波受信手段または前記GPS受信手段による当該受信の結果に基づいて、時刻の補正を行う時刻補正ステップと、
を含むことを特徴とする時刻補正方法。
[付記7]
長波電波を受信する長波受信手段と、GPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段とを備える電子時計に用いられるコンピュータに、
操作に応じて、GPS受信手段におけるGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をさせる受信停止解除ステップと、
前記受信停止解除ステップにおいてGPS衛星からの電波の受信の停止及び受信の停止の解除をした時刻に基づく経過時間を計測する計測ステップと、
前記計測ステップにおいて計測された経過時間が、予め設定された第1の閾値よりも長いか否かを判定する停止時間判定ステップと、
前記受信停止解除ステップにおいて操作が行われる前に受信した長波電波と、前記受信停止解除ステップにおいて受信の停止が解除された後に受信した長波電波とに基づいて、移動を判定する移動判定ステップと、
前記停止時間判定ステップ及び前記移動判定ステップの判定結果に基づいて、前記GPS受信手段における受信の制御を行う受信制御ステップと、
前記長波受信手段または前記GPS受信手段による当該受信の結果に基づいて、時刻の補正を行う時刻補正ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。