特許第6614284号(P6614284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614284
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】検鏡プレート
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20191125BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   G02B21/34
   G01N1/28 U
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-126222(P2018-126222)
(22)【出願日】2018年7月2日
(62)【分割の表示】特願2013-262685(P2013-262685)の分割
【原出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2018-185525(P2018-185525A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舛岡 正二郎
(72)【発明者】
【氏名】馬島 肇一
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−334702(JP,A)
【文献】 特開2002−350739(JP,A)
【文献】 実開平07−018261(JP,U)
【文献】 実開平04−073841(JP,U)
【文献】 特表2013−504041(JP,A)
【文献】 特開2011−167187(JP,A)
【文献】 米国特許第04596695(US,A)
【文献】 特開2010−060558(JP,A)
【文献】 実開平02−064959(JP,U)
【文献】 特開2005−003492(JP,A)
【文献】 特開2013−019224(JP,A)
【文献】 特開2013−165107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/34
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡を用いた液体試料の検査に使用され、液体試料を充填するための貯留部を内部に含む検鏡プレートであって、
前記貯留部の底面を規定する部分を含むスライドガラス部と、
前記スライドガラス部に対向配置され、前記貯留部の天面を規定する部分を含むカバーガラス部と、
前記貯留部の周囲の少なくとも一部に位置し、前記スライドガラス部と前記カバーガラス部とが対向配置された状態を維持する支持部と、
前記貯留部に液体試料を供給するための窓部と、
前記貯留部の内部に位置し、前記スライドガラス部および前記カバーガラス部の少なくとも一方が撓み変形することで前記底面を規定する部分の前記スライドガラス部と前記天面を規定する部分の前記カバーガラス部との間の距離が減少することを抑制するスペーサ部とを備え、
前記スペーサ部が、前記貯留部の内部において互いに離間して複数本(但し、3本以下である場合を除く)設けられており、
前記支持部が、前記カバーガラス部が前記スライドガラス部に対向配置された状態において前記貯留部が間に位置するように互いに離間し、かつ、前記スライドガラス部に向けて突出するように前記カバーガラス部に設けられた一対の係合突起部を含み、
前記スライドガラス部は、前記一対の係合突起部に係合可能に設けられた一対の係合溝部を含み、
前記カバーガラス部は、前記一対の係合突起部が前記一対の係合溝部に係合することにより、前記スライドガラス部に固定され、
前記支持部は、前記貯留部の周囲を取り囲む周壁部をさらに含み、
前記周壁部は、前記一対の係合突起部および前記一対の係合溝部が係合した係合状態において、前記一対の係合突起部および前記一対の係合溝部の内側に位置し、
前記スライドガラス部は、前記一対の係合溝部が並ぶ方向において前記一対の係合溝部の外側に位置する一対の端部を有し、
前記端部は、前記係合溝部に向かうにつれて高さが低くなるように傾斜し、前記係合突起部を前記係合溝部へ案内する傾斜部を有し、
前記一対の係合突起部は、前記貯留部の前記天面を規定する部分を含む前記カバーガラス部の主表面から当該主表面の法線方向に沿って伸びる支持壁部と、前記支持壁部の先端に設けられたロック部とを含み、
前記ロック部は、前記一対の係合突起部の内側に向けて突出する内側突出部を含むように設けられている、検鏡プレート(但し、基板部及び蓋部からなり、前記基板部には試料を収容するための凹窩部が設けられ、前記蓋部はヒンジ部を介して前記基板部と一体的に設けられるとともに、前記凹窩部に被覆可能であり、前記蓋部には、当該蓋部を前記凹窩部に被覆した際に試料注入用の開口部となる切欠き部が設けられ、前記凹窩部の深さは、前記蓋部を前記凹窩部上に被覆した状態で、前記蓋部の下面と前記凹窩部の底面との間で毛細管現象が生じる深さであり、前記凹窩部の底面及び/又は前記蓋部の下面に、前記蓋部の下面と前記凹窩部の底面の間隔を保つためのスペーサーが設けられていることを特徴とする液状試料検査用プレパラートである場合を除く)。
【請求項2】
前記一対の係合溝部は、前記内側突出部が嵌まり込む第1溝部と、前記支持壁部が嵌まり込む第2溝部とを含み、
前記第1溝部は、前記傾斜部の下端部よりも内側に位置するように、前記周壁部側に設けられている、請求項1に記載の検鏡プレート。
【請求項3】
前記スペーサ部が、前記底面を規定する部分の前記スライドガラス部から前記カバーガラス部側に向けて突設された底面側突出部を含んでいる、請求項1または2に記載の検鏡プレート。
【請求項4】
前記スペーサ部が、前記天面を規定する部分の前記カバーガラス部から前記スライドガラス部側に向けて突設された天面側突出部を含んでいる、請求項1から3のいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項5】
前記スペーサ部が、前記スライドガラス部と前記カバーガラス部とが対向配置された方向に沿って見た場合にスポット状の形状を有している、請求項1からのいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項6】
前記スペーサ部の頂点部が、対向配置された前記スライドガラス部または前記カバーガラス部に接するように設けられている、請求項1からのいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項7】
前記スライドガラス部と前記カバーガラス部との間の距離が0.05mmから0.2mmである、請求項1からのいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項8】
前記窓部が、前記スライドガラス部の開口部の短手方向の幅が、前記カバーガラス部の短手方向の幅よりも幅広に構成されていることにより、前記カバーガラス部が前記スライドガラス部に固定された状態において、前記カバーガラス部と前記スライドガラス部の開口部との間に形成される隙間である、請求項1からのいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項9】
液体試料が、尿、血液、リンパ液、唾液、または胃液である、請求項1からのいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項10】
前記端部は、前記底面を規定する部分よりも高さが低くなるように設けられている、請求項1から9のいずれかに記載の検鏡プレート。
【請求項11】
前記支持壁部の前記先端は、前記一対の係合突起部が並ぶ方向において、前記内側突出部が位置する側とは反対側に角部を有する、請求項1から10のいずれかに記載の検鏡プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検鏡プレートに関し、特に、顕微鏡を用いて液体試料を検査する際に使用され、液体試料を充填する液体試料貯留部を含む検鏡プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡を用いて、尿残渣成分等の液体試料中に含有される血球類、上皮細胞類、円柱類、微生物類および結晶塩類等の有形成分を検査する際にあっては、スライドガラスに液体試料を滴下した後に、カバーガラスを液体試料に載置して顕微鏡観察を行なっていた。カバーガラスを液体試料に載置したのみでは、カバーガラスとスライドガラスとの間の距離が一定とならず、所定の観察視野内に収まる液体試料の量がばらつくことにより、計測される有形成分の個数がばらついてしまうことがあった。
【0003】
そこで、所定の視野に収まる液体試料の量がばらつくことを抑制するために、所定の間隔を隔ててカバーガラスがスライドガラスに対して予め固定された検鏡プレートが各種開発されている。
【0004】
このような検鏡プレートが開示された文献として、たとえば、特開2002−350739号公報(特許文献1)、特開2006−201367号公報(特許文献2)が挙げられる。
【0005】
特許文献1に開示の検鏡プレートは、板状のスライドガラス部および当該スライドガラス部の一方の主表面に形成された凹部または凸部を含むスライドガラス(第2板状部)と、当該スライドガラス部に対向する板状のカバーガラス部および当該カバーガラス部の主面に形成された上記凹部または凸部に嵌合する凸部または凹部を含むカバーガラス(第1板状部)とを備え、スライドガラスの凹部または凸部にカバーガラスの凸部または凹部が嵌合することにより、スライドガラスに対してカバーガラスが一定の距離を隔てて固定されている。
【0006】
特許文献2に開示の検鏡プレートは、貫通孔が設けられたカバーガラス(第1板状部)と、当該カバーガラスに対向して配置された板状のスライドガラス部、当該スライドガラス部の主表面に設けられ、当該カバーガラスを支持する支持部および当該貫通孔に対応する位置に設けられた凸部を含むスライドガラス(第2板状部)とを備える。凸部は、カバーガラスが支持部に支持された状態において、凸部の先端が貫通孔から外部に突出するように設けられている。カバーガラスが支持部に支持されるとともに凸部の先端がカバーガラスの外側の主面に固定されることにより、スライドガラスに対してカバーガラスが一定の距離を隔てて固定されている。
【0007】
また、自動で有形成分を測定する有形成分分析装置に使用される多機能観察プレートの一部を構成する観察部において、上記検鏡プレートを含む部分が開示された文献とし、特許第4911172号公報(特許文献3)が挙げられる。
【0008】
特許文献3に開示の観察部は、凹部が設けられた板状部と、透光性のシート部材によって構成される。透光性のシート部材は、凹部の一部が開口されるように凹部の周囲に位置する板状部に透光性のシート部材の周縁の一部を接着剤等によって接着されている。有形成分分析装置を用いて自動で有形成分の測定を行なう際には、カバーガラスに相当する透光性シートまたはスライドガラスに相当する板状部に対物レンズの焦点を自動で合わせた後、当該焦点位置から所定の距離だけ対物レンズを移動させて液体試料を観察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−350739号公報
【特許文献2】特開2006−201367号公報
【特許文献3】特許第4911172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
スライドガラスとカバーガラスとが予め固定された一体型の検鏡プレートを使用して液体試料を検査する際には、毛細管現象を利用して、スライドガラスとカバーガラスとの間に形成される貯留部に液体試料を充填する。このため、検鏡プレートは、スライドガラスとカバーガラスとの間の距離が0.05mmから0.20mm程度と狭くなるように構成される。
【0011】
また、検鏡プレートは、安価で効率よく形成するためにガラス材料ではなく、透明な合成樹脂材料によって製造される場合が多い。合成樹脂材料は、ガラス材料と比較して熱膨張率が高く、また、剛性が低いため、合成樹脂材料を用いて検鏡プレートを製造した場合には、ガラスを用いて製造した場合と比較して、検鏡プレートが変形しやすくなる。特に使用時や保管時の環境によっては、外部から、加熱、加温等がなされたり、外力が負荷されたりすることにより、撓み変形が生じやすくなる。
【0012】
検鏡プレートは、専らスライドガラスとカバーガラスとが近づく方向に撓み変形することが多く、このような撓み変形が生じると、スライドガラスとカバーガラスとの間に充填される液体試料の量が減少する。この結果、液体試料に含有される有形成分の出現率に差が生じ、測定結果がばらついてしまう。
【0013】
さらに、有形成分分析装置を用いる場合には、スライドガラスまたはカバーガラスに対物レンズの焦点を合わせる合焦動作を行なう際に、検鏡プレートに撓み変形が生じていると焦点がずれてしまう。これにより、合焦動作の時間が掛かるという不都合も生じる。したがって、液体試料を安定して測定するために、撓み変形を抑制するための手立てが要求される。
【0014】
ここで、特許文献1に開示の検鏡プレートあっては、たとえばスライドガラスに設けられた凸部によってスライドガラスに対してカバーガラスが一定の距離を隔てて固定されている。当該凸部は、カバーガラスまたはスライドガラスの長手方向または短手方向に沿って相当程度の距離を隔てて設けられているため、検鏡プレートは、凸部の間に位置する中央部において、カバーガラスとスライドガラスが互いに近付く方向に撓み変形しやすくなる。
【0015】
特許文献2に開示の検鏡プレートにあっては、貫通孔がカバーガラスの4隅に設けられているため、これに挿入されてカバーガラスを支持する凸部もカバーガラスの長手方向または短手方向に沿って相当程度の距離を隔てて配置される。凸部とは別途設けられた支持部は、凸部の外側に配置されている。このため、カバーガラスは、凸部の内側に位置する中央部において、スライドガラスに近づく方向に撓み変形しやすくなる。
【0016】
特許文献3に開示の観察部にあっては、シート部材の周縁の一部が板状部に固定されるため、シート部材の中央部が板状部材に近づくように撓み変形しやすくなる。
【0017】
このように、特許文献1から特許文献3に開示の検鏡プレートおよびこれに相当する観察部においては、撓み変形を抑制することができず、液体試料を安定して測定することが困難となる。
【0018】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、液体試料を安定して測定することができる検鏡プレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に基づく検鏡プレートは、顕微鏡を用いた液体試料の検査に使用され、液体試料を充填するための貯留部を内部に含む検鏡プレートであって、上記貯留部の底面を規定する部分を含むスライドガラス部と、上記スライドガラス部に対向配置され、上記貯留部の天面を規定する部分を含むカバーガラス部と、上記貯留部の周囲の少なくとも一部に位置し、上記スライドガラス部と上記カバーガラス部とが対向配置された状態を維持する支持部と、上記貯留部に液体試料を供給するための窓部と、上記貯留部の内部に位置し、上記スライドガラス部および上記カバーガラス部の少なくとも一方が撓み変形することで上記底面を規定する部分の上記スライドガラス部と上記天面を規定する部分の上記カバーガラス部との間の距離が減少することを抑制するスペーサ部とを備える。上記スペーサ部が、上記貯留部の内部において互いに離間して複数本(但し、3本以下である場合を除く)設けられている。上記支持部が、上記カバーガラス部が上記スライドガラス部に対向配置された状態において上記貯留部が間に位置するように互いに離間し、かつ、上記スライドガラス部に向けて突出するように上記カバーガラス部に設けられた一対の係合突起部を含む。上記スライドガラス部は、上記一対の係合突起部に係合可能に設けられた一対の係合溝部を含む。上記カバーガラス部は、上記一対の係合突起部が上記一対の係合溝部に係合することにより、上記スライドガラス部に固定される。上記支持部は、上記貯留部の周囲を取り囲む周壁部をさらに含む。上記周壁部は、上記一対の係合突起部および上記一対の係合溝部が係合した係合状態において、上記一対の係合突起部および上記一対の係合溝部の内側に位置する。但し、上記本発明に基づく検鏡プレートは、基板部及び蓋部からなり、上記基板部には試料を収容するための凹窩部が設けられ、上記蓋部はヒンジ部を介して基板部と一体的に設けられるとともに、上記凹窩部に被覆可能であり、上記蓋部には、当該蓋部を上記凹窩部に被覆した際に試料注入用の開口部となる切欠き部が設けられ、上記凹窩部の深さは、上記蓋部を上記凹窩部上に被覆した状態で、蓋部の下面と凹窩部の底面との間で毛細管現象が生じる深さであり、凹窩部の底面及び/又は蓋部の下面に、蓋部下面と凹窩部底面の間隔を保つためのスペーサーが設けられていることを特徴とする液状試料検査用プレパラートである場合を除く。
【0020】
なお、スライドガラス部およびカバーガラス部は、顕微鏡観察を行なう際に液体試料を挟み込んで保持するとともに、液体試料を観察可能とするために透光性を有するものである。また、スライドガラス部およびカバーガラス部は、透光性を有する限り、ガラスに限定されず、透明な合成樹脂によって構成されるものも含む。
【0021】
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記スペーサ部が、上記底面を規定する部分の上記スライドガラス部から上記カバーガラス部側に向けて突設された底面側突出部を含んでいることが好ましい。
【0022】
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記スペーサ部が、上記天面を規定する部分の上記カバーガラス部から上記スライドガラス部側に向けて突設された天面側突出部を含んでいることが好ましい。
【0023】
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記スペーサ部が、上記スライドガラス部と上記カバーガラス部とが対向配置された方向に沿って見た場合にスポット状の形状を有していることが好ましい。
【0024】
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記スペーサ部の頂点部が、対向配置された上記スライドガラス部または上記カバーガラス部に接するように設けられていることが好ましい。
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記スライドガラス部と上記カバーガラス部との間の距離が0.05mm以上0.2mm以下であってもよい。
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記窓部が、上記スライドガラス部の開口部の短手方向の幅が、上記カバーガラス部の短手方向の幅よりも幅広に構成されていることにより、上記カバーガラス部が上記スライドガラス部に固定された状態において、上記カバーガラス部と上記スライドガラス部の開口部との間に形成される隙間であることが好ましい。
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、液体試料が、尿、血液、リンパ液、唾液、または胃液であることが好ましい。
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記スライドガラス部は、上記一対の係合溝部が並ぶ方向において上記一対の係合溝部の外側に位置する一対の端部を有していてもよい。この場合には、上記端部は、上記係合溝部に向かうにつれて高さが低くなるように傾斜し、上記係合突起部を上記係合溝部に案内する傾斜部を有していてもよい。
上記本発明に基づく検鏡プレートにあっては、上記端部は、上記底面を規定する部分よりも高さが低くなるように設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態1に係る検鏡プレートの平面図である。
図2図1に示すII−II線に沿った概略断面図である。
図3図2に示す第1板状部の底面図である。
図4図2に示す第2板状部の平面図である。
図5図1に示す検鏡プレートの組み立て前の状態を示す概略断面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る検鏡プレートを示す概略断面図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る検鏡プレートを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る検鏡プレートの平面図である。図2は、図1に示すII−II線に沿った概略断面図である。図3は、図2に示す第1板状部の底面図である。図4は、図2に示す第2板状部の平面図である。図1から図4を参照して、本実施の形態に係る検鏡プレート1について説明する。
【0028】
本実施の形態に係る検鏡プレート1は、顕微鏡を用いた液体試料の検査に使用されるものであり、具体的には、液体試料に含有される有形成分を観察する際に用いられる。ここで、液体試料としては、唾液、胃液等を含む消化液や、血液、リンパ液等の体液や、尿等といった生体から取得される生体試料が挙げられる。特に、液体試料は、尿沈査であることが好ましい。
【0029】
図1および図2に示すように、検鏡プレート1は、第1板状部10と第2板状部20と、貯留部Rと、窓部29とを備える。検鏡プレート1は、第1板状部10と第2板状部20とが対向配置された状態で固定されることによって構成されている。
【0030】
貯留部Rは、第1板状部10と第2板状部20とが対向配置されることにより、後述するカバーガラス部11の主表面11aとスライドガラス部21の中央部26の主面26aとの間に形成される空間である。窓部29は、後述する第2板状部20の開口部Aの一部が第1板状部10に覆われないことにより形成される、第1板状部10と開口部Aとの隙間である。
【0031】
第1板状部10および第2板状部20を構成する材料としては、たとえばガラス材料、透明な合成樹脂材料等を採用することができる。透明な合成樹脂材料としては、たとえば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル系樹脂やポリスチレン等を採用することができる。なお、第1板状部10および第2板状部20は、異なる材料で設けられてもよい。
【0032】
なお、図1については、第1板状部10および第2板状部20が透明であることより、後述するスペーサ部15が見えるものとして破線で図示しているが、その他の詳細な構成については省略している。
【0033】
図1および図3に示すように、第1板状部10は、カバーガラス部11と、係合突起部12と、スペーサ部15とを含む。第1板状部10は、平面視略矩形形状を有し、長手方向と短手方向を有する。カバーガラス部11は、平板形状を有し、後述するスライドガラス部21に対向する主表面11aを有する。カバーガラス部11の主表面11aは、貯留部Rの天面U1を規定する部分を含む。カバーガラス部11の主表面11aは、平坦であることが好ましい。
【0034】
係合突起部12は、後述する第2板状部20の係合溝部22に係合する部位である。係合突起部12が係合溝部22に係合することで第1板状部10が第2板状部20に固定される。係合突起部12は、カバーガラス部11の主表面11aから後述するスライドガラス部21に向けて突出するように設けられている。係合突起部12は、たとえば一対設けられており、一対の係合突起部12は、その間にスペーサ部15が位置するように設けられている。係合突起部12は、たとえば短手方向に沿って延在するように設けられている。
【0035】
係合突起部12は、支持壁部13と、ロック部14とを含む。支持壁部13は、カバーガラス部11の主表面11aの法線方向に沿って立設され、略直方体形状を有する。ロック部14は、支持壁部13の先端部から第1板状部10の長手方向に向けて突出する凸部である。ロック部14は、後述するロック溝部24に嵌り合うことで、第1板状部10が第2板状部20から外れることを防止する。ロック部14は、複数設けられており、互いに短手方向に沿って離間して配置されている。なお、ロック部14は、カバーガラス部11の短手方向の一端側から他端側に亘って設けられていてもよい。
【0036】
スペーサ部15は、貯留部R内に位置するようにカバーガラス部11の主表面11a上に設けられている。スペーサ部15は、天面U1を規定する部分のカバーガラス部11からスライドガラス部21側に向けて突設されている。スペーサ部15は、天面側突出部に相当する。
【0037】
スペーサ部15は、貯留部Rの内部において互いに離間して複数設けられている。たとえば、複数のスペーサ部15は、格子状に配置される。また、スペーサ部15の頂点部15aは、スライドガラス部21の中央部26の主面26aに接するように設けられることが好ましい。これにより、スペーサ部15は、カバーガラス部11またはスライドガラス部21のたわみ変形をより確実に抑制することができる。
【0038】
スペーサ部15の形状は、円柱状、多角柱状、円錐台形状、半球状等適宜選択することができる。貯留部Rに貯留される液量が減少することを抑制するために、スペーサ部15は、スライドガラス部21とカバーガラス部11とが対向配置された方向に沿って見た場合にスポット状の形状を有していることが好ましい。
【0039】
図1図2および図4に示すように、第2板状部20は、スライドガラス部21と、支持部としての周壁部27とを有する。第2板状部20は、平面視略矩形形状を有し、長手方向と短手方向を有する。第2板状部20の長手方向は、第1板状部10の長手方向と平行であり、第2板状部20の短手方向は第1板状部10の短手方向と平行である。
【0040】
スライドガラス部21は、係合溝部22、第2板状部20の長手方向の両端に位置する端部25、中央部26、および開口部Aを含む。
【0041】
係合溝部22は、第1板状部10の係合突起部12に係合する部位である。係合溝部22は、係合突起部12に対応する位置に設けられており、一対設けられている。係合溝部22は、端部25と中央部26の間に設けられている。係合溝部22は、支持壁部13が嵌り込む溝部23と、ロック部14が嵌り込むロック溝部24とを有する。
【0042】
中央部26は、スライドガラス部21の主表面11aに対向する主面26aを有する。中央部26の主面26aは、貯留部Rの底面B1を規定する部分を含む。中央部26の主面26aは、平坦であることが好ましい。
【0043】
端部25は、係合溝部22の外側に位置する。端部25は、係合溝部22に向かうにつれて高さが低くなるように傾斜する傾斜部25aを有する。傾斜部25aは、係合突起部12を係合溝部22に嵌め込む際に、係合突起部12の移動を案内する。端部25は、中央部26よりも高さが低くなるように設けられていることが好ましいが、中央部26と同一の高さであってもよい。
【0044】
周壁部27は、中央部26の主面26aからカバーガラス部11に向けて突出する部位である。周壁部27は、枠形状を有し、中央部26の主面26aを取り囲むように設けられている。周壁部27は、係合突起部12の内側に配置されるように設けられている。周壁部27は、カバーガラス部11の主表面11aに接触して、係合突起部12の内側からカバーガラス部11を支持する。
【0045】
開口部Aは、中央部26の主面26aおよび周壁部27の周面27aによって規定され、カバーガラス部11側に向けて開口する部位である。短手方向の開口部Aの幅W2(図4参照)は、短手方向の第1板状部10の幅W1(図3参照)よりも幅広に構成されている。これにより、第1板状部10が第2板状部20に固定された状態において、第1板状部10と開口部Aとの間に隙間(窓部29)が形成される。窓部29は、貯留部Rと連通しており、検査時においては、窓部29から液体試料が供給されることにより、毛細管現象によって液体試料が貯留部Rに充填される。
【0046】
本実施の形態に係る検鏡プレート1においては、貯留部R内にスペーサ部15が設けられている。このため、たとえば、有形成分分析装置を用いて測定する際に外部から加熱された場合や、使用前および使用中に外部から外力が負荷された場合であっても、カバーガラス部11およびスライドガラス部21の少なくとも一方が撓み変形することで貯留部Rの底面B1を規定する部分のスライドガラス部21と貯留部Rの天面U1を規定する部分のカバーガラス部11との間の距離が減少することが抑制される。
【0047】
これにより、貯留部Rの容量が変化することが抑制され、貯留部Rに充填される液体試料の量が減少することが抑制される。充填される液体試料の量が安定することで、液体試料に含有される有形成分の出現率に差が生じることが抑制される。この結果、測定結果のばらつきが抑制され、液体試料を安定して測定することができる。
【0048】
なお、周壁部27がスライドガラス部21における中央部26の主面26aを取り囲むように設けられることにより、検査時に液体試料が係合溝部22に入り込むことを防止することができる。これにより、検査時に液体試料の量が変動することをさらに抑制することもできる。一方、液体試料が係合溝部22に到達しないように貯留部Rに充填される限り、周壁部27は必ずしも枠形状を有する必要はなく、貯留部Rの周囲の一部に設けられていてもよい。
【0049】
図5は、図1に示す検鏡プレートの組み立て前の状態を示す概略断面図である。図5を参照して、検鏡プレート1の組み立て方法について説明する。
【0050】
図5に示すように、検鏡プレート1を組み立てる際には、まず、上記の構成を有する第1板状部10と第2板状部20とを準備し、第1板状部10の係合突起部12と第2板状部20の係合溝部22とが対向するように、第1板状部10と第2板状部20とを位置合わせする。続いて、第1板状部10を矢印方向に移動させ、係合突起部12を係合溝部22に嵌め込む。これにより、第1板状部10が第2板状部20に固定され、検鏡プレート1が構成される。
【0051】
(実施の形態2)
図6は、本実施の形態に係る検鏡プレートを示す概略断面図である。図6を参照して、本実施の形態に係る検鏡プレート1Aについて説明する。
【0052】
図6に示すように、本実施の形態に係る検鏡プレート1Aは、実施の形態1に係る検鏡プレート1と比較して、第1板状部10A側ではなく、第2板状部20A側にスペーサ部28が設けられている点において相違し、その他の構成はほぼ同様である。
【0053】
第1板状部10Aは、カバーガラス部11と、係合突起部12とを含み、係合突起部12が第2板状部20Aの係合溝部22に係合することにより、第2板状部20Aに固定されている。
【0054】
第2板状部20Aは、スライドガラス部21と、周壁部27と、スペーサ部28とを有する。スペーサ部28は、貯留部R内に位置するようにスライドガラス部21の中央部26の主面26a上に設けられている。スペーサ部28は、貯留部Rの底面B1を規定する部分のスライドガラス部21からカバーガラス部11側に向けて突設されている。スペーサ部28は、底面側突出部に相当する。スペーサ部28の頂点部28aは、カバーガラス部11の主表面11aに接するように設けられることが好ましい。
【0055】
本実施の形態にあっても、スペーサ部28は、スライドガラス部21およびカバーガラス部11の少なくとも一方が撓み変形することで貯留部Rの底面B1を規定する部分のスライドガラス部21と天面U1を規定する部分のカバーガラス部11との間の距離が減少することを抑制する。
【0056】
この結果、実施の形態2に係る検鏡プレート1Aにおいても、貯留部Rの容量が変化することが抑制されることとなり、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0057】
(実施の形態3)
図7は、本実施の形態に係る検鏡プレートを示す概略断面図である。図7を参照して、本実施の形態に係る検鏡プレート1Bについて説明する。
【0058】
図7に示すように、本実施の形態に係る検鏡プレート1Bは、実施の形態1に係る検鏡プレート1と比較した場合に、第1板状部10Bと第2板状部20Bの両方にスペーサ部が設けられている点において相違し、その他の構成はほぼ同様である。
【0059】
第1板状部10Bは、カバーガラス部11と、係合突起部12と、スペーサ部15を含み、係合突起部12が第2板状部20Aの係合溝部22に係合することにより、第2板状部20Bに固定されている。
【0060】
第2板状部20Bは、スライドガラス部21と、周壁部27と、スペーサ部28とを有する。スペーサ部28は、スライドガラス部21の中央部26の主面26a上に設けられている。
【0061】
スペーサ部15およびスペーサ部28は、たとえば、貯留部R内において交互に並ぶように設けられている。なお、スペーサ部15およびスペーサ部28は、上記のような配置に限定されず、適宜変更することができる。
【0062】
本実施の形態にあっても、スペーサ部15およびスペーサ部28は、スライドガラス部21およびカバーガラス部11の少なくとも一方が撓み変形することで貯留部Rの底面B1を規定する部分のスライドガラス部21と天面U1を規定する部分のカバーガラス部11との間の距離が減少することを抑制する。
【0063】
この結果、実施の形態3に係る検鏡プレート1Bにおいても、貯留部Rの容量が変化することが抑制されることとなり、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0064】
また、本実施の形態においては、スペーサ部15およびスペーサ部28が異なる位置に設けられる場合を例示して説明したが、これに限定されず、それぞれ対応する位置に設けられていてもよい。この場合には、互いに対向した状態でそれぞれの頂点部同士が向かい合って接触することで、カバーガラス部11の主表面11aとスライドガラス部21の中央部26の主面26aとの間の距離と等しくなるようなスペーサ部が形成される。
【0065】
上述した実施の形態1から3においては、第1板状部10および第2板状部20の全てが透光性を有するガラス材料または合成樹脂材料で構成される場合を例示して説明したが、これに限定されず、少なくとも第1板状部10および第2板状部20のうち貯留部Rを構成する部分が透光性を有する上記の材料で構成されていればよい。
【0066】
上述した実施の形態に1から3においては、周壁部27がカバーガラス部11の主表面11aに接触するように設けられる場合を例示して説明したが、これに限定されず、周壁部27が主表面11aに接触しないように設けられてもよいし、周壁部27が設けられていなくてもよい。この場合には、貯留部Rの周囲の一部に配置されている支持壁部13がスライドガラス部21とカバーガラス部11とが対向配置された状態を維持する支持部として機能する。
【0067】
上述した実施の形態1から3においては、スペーサ部15,28が、スライドガラス部21の中央部26の主面26aまたはカバーガラス部11の主表面11aに接する場合を例示して説明したが、これに限定されず、貯留部Rにおいてスライドガラス部21およびカバーガラス部11の少なくとも一方が、スライドガラス部21およびカバーガラス部11とが互いに近付く方向に撓み変形することを抑制することができる限り、スライドガラス部21の中央部26の主面26aまたはカバーガラス部11の主表面11aに接しなくてもよい。
【0068】
なお、上述した実施の形態1から3においては、スペーサ部15またはスペーサ部28が複数設けられる場合を例示して説明したが、これに限定されず、単数であってもよい。また、スペーサ部15またはスペーサ部28は、使用時における顕微鏡の観察領域内に設けられていてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B 検鏡プレート、10,10A,10B 第1板状部、11 カバーガラス部、11a 主表面、12 係合突起部、13 支持壁部、14 ロック部、15 スペーサ部、15a 頂点部、20,20A,20B 第2板状部、21 スライドガラス部、22 係合溝部、23 溝部、24 ロック溝部、25 端部、25a 傾斜部、26 中央部、27 周壁部、27a 周面、28 スペーサ部、28a 頂点部、29 窓部、A 開口部、B1 底面、R 貯留部、U1 天面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7