(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被覆部材は、前記コーキング材を覆う部分の上面が前記壁から前記洗い場床の内側に向けて下方に傾斜するように、変形していることを特徴とする請求項1記載の浴室。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る浴室を表す斜視図である。
図1に示した浴室100は、浴槽1と、洗い場床2と、壁3と、を備えている。浴槽1の底部裏面の四隅近傍には、支持脚6が設けられ、その支持脚6を介して、浴槽1は浴室設置面(例えば、建物の床)Sの上に設置される。支持脚6は、ボルト部を回転させることで高さを調節可能に構成されている。
【0021】
洗い場床2は、周縁部が上側に折り曲げられた浅底の器状(パン状)に形成され、浴室外部に湯水を漏出させない防水性を有する。洗い場床2は、支持脚231を介して浴室設置面S上に設置されている。支持脚231は、支持脚6と同様に、ボルト部を回転させることで高さを調節可能に構成されている。
【0022】
洗い場床2において、浴槽1との境界部近傍には、排水管5に連通する排水口が形成されている。なお、
図1では、この排水口は、着脱自在の蓋7で塞がれている。排水口が設けられた部分はくぼんでおり、洗い場床2の表面には、排水口に向けて下向きに傾斜した勾配が付けられている。洗い場床2の裏側において、浴槽1との境界部近傍には排水管5が設けられ、排水口は排水管5に接続されている。また、浴槽1の底部に設けられた図示しない排水口も、排水管5に接続されている。
【0023】
壁3は、浴室ユニットの4面を構成している。壁3は、壁面材である壁パネル31〜37によって構成されている。洗い場床2の外周部2aには、洗い場床2の上面と直交する方向に沿って壁面接続部材50が設けられている。壁面接続部材50は隣接する壁パネルの間に設けられ、隣接する壁パネル同士は壁面接続部材50によって連接されている。
【0024】
壁パネル31は、洗い場床2の浴槽1とは反対側に配置されており、2枚の壁パネルが図示しない壁面接続部材50によって連接されて形成されている。壁パネル32及び壁パネル33は、壁パネル31と直交し、互いに対向して配置されている。壁パネル34〜36は、浴槽1の縁のうち、洗い場床2側を除く3辺の縁の上に配置されている。壁パネル34及び壁パネル35の下側には、浴槽1と壁パネル32及び壁パネル33との間をつなぐ壁パネル37が設けられている。
図1に表した浴室ユニットでは、壁パネル33には図示しないドア取付枠を介してドアDRが設けられている。
【0025】
なお、本発明における壁面材の構成は、上記壁パネル31〜37には限定されない。例えば、壁パネル31がより多くのパネルから構成されていても良いし、その他の壁パネル32〜37が複数のパネルから構成されていても良い。また、壁パネル31が1枚のパネルから構成されていても良い。
【0026】
浴槽1と洗い場床2との境界には、浴槽1における洗い場床2側の側面を覆い隠すバスエプロン9が設けられている。バスエプロン9は、後述する床面材21を押圧するように設けられている。
【0027】
図2は、本実施形態における壁面接続部材と壁パネルとの嵌合構造を表した断面図である。
図2では、壁パネルの面内方向と直交する方向に沿った断面を表している。
図2(a)は、同一平面で隣接する2つの壁パネルと、これらの間に設けられた壁面接続部材との嵌合構造を例示している。
図2(b)は、隅部で互いに直交する2つの壁パネルと、これらの間に設けられた壁面接続部材との嵌合構造を例示している。
以下の説明では、
図2(a)に例示した壁面接続部材50Aおよび
図2(b)に例示した壁面接続部材50Bをまとめて壁面接続部材50と称する。
【0028】
図2に表したように、壁パネル31は、第1壁パネル31−1と、第2壁パネル31−2と、から構成されている。それぞれの壁パネルは、母材と、母材に対して浴室の内側に設けられた鋼板と、を有する。母材は、石膏ボードなどで形成されており、鋼板は、補強のために母材の浴室内側の表面に貼り付けられている。例えば、第1壁パネル31−1は、母材310−1と、鋼板311−1と、を有する。第2壁パネル31−2は、母材310−2と、鋼板311−2と、を有する。
【0029】
壁面接続部材50は、薄板を折り曲げた中空構造を有する。壁面接続部材50の左右の折り返し部分501は、弾性を有している。
【0030】
図2(a)では、壁パネル31を構成する2つの壁パネル31−1および31−2の取り付け状態を表している。2つの壁パネル31−1及び31−2の鋼板311の左右の側面部には、それぞれ弾性を有した裏側への折り返し部分502−1及び502−2が設けられている。
【0031】
2つの壁パネル31−1及び31−2を壁面接続部材50Aに取り付けるには、折り返し部分502−1及び502−2を壁面接続部材50Aの左右の折り返し部分501の間に嵌め込む。折り返し部分502−1及び502−2は、左右の折り返し部分501の間を押し広げるようにして嵌め込まれることで、互いの方向に付勢される。折り返し部分502−1及び502−2が嵌め込まれると、2つの壁パネル31−1及び31−2が壁面接続部材50Aを間にして同一面状に固定される。
【0032】
図2(b)では、壁パネル31を構成する壁パネル31−2と、壁パネル32と、の取り付け状態を表している。壁パネル31−2の鋼板311−2には、折り返し部分502−1が設けられ、壁パネル32の鋼板321には、折り返し部分502−2が設けられている。折り返し部分502−1及び502−2は、それぞれ弾性を有する。
【0033】
折り返し部分502−1及び502−2は、左右の折り返し部分501の間を押し広げるようにして嵌め込まれる。折り返し部分502−1及び502−2が嵌め込まれると、2つの壁パネル31−2及び32は壁面接続部材50Aを間にして直交する状態に固定される。
【0034】
このように、壁面接続部材50の折り返し部分501と各壁パネルの折り返し部分502は、壁3に直交する面に沿って弾性を有するため、互いの設置位置が固定される。一方で、壁3の表面に沿った方向では、壁面接続部材50による位置の規制が無い。このため、それぞれの壁パネルは壁面接続部材50に嵌め込まれると、自重により下方に落下して、その下端(後述する先端部311a)が床面材21に当接する。
【0035】
図3は、本実施形態における壁の取り付け構造を表す斜視図である。
図3に表したように、洗い場床2の上面と直交する方向に延びる複数の壁面接続部材50が、洗い場床2の外周部2aに取り付けられる。壁面接続部材50は、予め取り付けてあった壁面固定部材51にボルトやビス等の締結手段で固定される。このとき、壁面接続部材50の下端によって床面材21の外周部2aを下方に押圧するように、壁面接続部材50を固定してもよい。それぞれの壁面接続部材50に壁パネルを嵌合することで、壁パネル31〜35が固定される。壁パネル37は、浴槽1と壁面接続部材50との間に固定される。また、壁パネル36は、壁パネル34の一端と壁パネル35一端との間に固定される。
【0036】
図4は、本実施形態に係る洗い場床の構成を説明する分解斜視図である。
図4に表したように、洗い場床2は、床基材20と、床基材20の上に配された表皮材23と、を有する。床基材20は、下から順に、支持材22、床面材21、およびクッション材201を有する。
【0037】
支持材22は、4隅に設けられる4本の支持脚231を有する。支持脚231は、ボルト部を回転させることで高さが調節可能に構成されている。支持材22には、強度が比較的高く、剛性のある平板状の素材が用いられる。このような素材として、例えば、サンドイッチパネルが挙げられる。サンドイッチパネルは、例えば、プラスチックの板材を2枚の鋼板で挟んだ構造であり、軽量かつ剛性が高く、ネジなどの締結部材も使用できる。支持材22には、作業者が床下にもぐることができるように作業口が設けられている。施工後、この作業口には蓋221が被せられる。
【0038】
床面材21には、後述するように、排水口となる凹形状部や洗い場床2の上面の勾配を形成するための傾斜面が付与されている。床面材21は、例えば熱可塑性樹脂によって形成されている。床面材21は、繊維強化プラスチック(FRP)によって形成されていてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンなどが用いられる。
【0039】
床面材21の上には、クッション材201が設けられている。クッション材201には、例えば発泡ポリウレタン等の軟質素材が用いられる。クッション材201の硬さ(柔らかさ)を変えることで、表皮材23を踏んだ際に感じる床面の硬さ(柔らかさ)を変化させることができる。
【0040】
表皮材23は、洗い場床2の最表面に配されており、防水性および可撓性を有する軟質シート材が用いられる。表皮材202には、洗い場床2の表面の意匠性や水はけ性を向上させるために、凹凸加工や柄模様を施したりすることも可能である。
【0041】
床面材21の外周には、凹部が形成されており、壁3は、この凹部の上に設置される。この点について、
図5〜
図8を用いてより具体的に説明する。
図5は、本実施形態に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した斜視断面図である。
図6は、
図5の部分Bを拡大した斜視断面図である。
図7および
図8は、本実施形態に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
なお、
図5〜
図8では、支持材22が省略されている。
【0042】
図5〜
図7に表したように、鋼板311は、床面材21に向けて延在するとともに、先端部311aが、洗い場床2の外側に向けて屈曲している。床面材21の外周には凹部21Rが形成され、この凹部の内側にはガイドピース27が取り付けられている。ガイドピース27の上には、パッキンPK1を介して先端部311aが載置されている。床面材21は、壁3の自重により、下方に押圧される。また、先端部311aはガイドピース27により固定されている。こうすることで、洗い場床2と壁3との相対的な位置関係のずれが抑制される。
【0043】
凹部21Rの側面のうち、洗い場床2の内側に位置する側面S1と、壁3(壁パネル31)と、の隙間には、コーキング材CK1が設けられている。被覆部材25は、一端側の第1端部251と、他端側の第2端部252と、を有する。第1端部251は、表皮材23の下面または床面材21の上面に固定されており、表皮材23と床面材21との間に位置している。第2端部252は、コーキング材CK1を覆っており、壁パネル31に当接している。このとき、被覆部材25の側面S1近傍に配される部分が、コーキング材CK1と接触し、接着されていてもよい。
【0044】
被覆部材25は、弾性を有する。被覆部材25の第2端部252が壁パネル31に当接することで、被覆部材25は、洗い場床2の内側に向けて変形している。
【0045】
側面S1と壁パネル31との間の距離D1は、ガイドピース27により、その変化が抑制されているものの、洗い場床2および壁3の熱膨張または熱収縮や、洗い場床2および壁3における振動などにより変化する場合がある。また、壁3の傾斜によって距離D1が変化することもある。
図8は、
図7に表した状態から距離D1が長くなったときの状態を表している。
図7および
図8に表したように、距離D1が長くなると、被覆部材25は距離D1の変化に合わせて変形し、側面S1と直交する方向における被覆部材25の長さが長くなる。
【0046】
被覆部材25のうち、コーキング材CK1を覆う部分の上面は、壁パネル31から洗い場床2の内側に向けて下方に傾斜している。また、壁パネル31に当接している被覆部材25の第2端部252は、洗い場床2に固定されている第1端部251よりも上方に位置している。さらに、被覆部材25のうち、コーキング材CK1を覆っている部分の上面は、洗い場床2の上面よりも上方に位置している。
【0047】
被覆部材25は、弾性を有し、かつ軟質および薄肉状の少なくともいずれかであっていてもよい。被覆部材25が弾性を有し、かつ軟質および薄肉状の少なくともいずれかであることで、被覆部材25を容易に変形させることが可能となる。
【0048】
被覆部材25には、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンやABS(acrylonitrile butadiene styrene copolymer)などのスチレン系樹脂、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。これらの材料を用いることで、被覆部材25に弾性および軟性を付与することができる。
【0049】
図9は、壁パネルが設置される前の状態の、洗い場床の凹部近傍を拡大した平面図である。
図10は、
図9のA−A’線における断面図である。
なお、
図9および
図10では、その後に載置される壁パネル31を破線で表している。
【0050】
図9および
図10に表したように、壁パネル31が設置されていない状態では、被覆部材25は、水平方向に延び、洗い場床2の外側に向かって突出している。このとき、凹部21R上に突出している部分の長さL1は、壁パネルが設置された状態における側面S1と壁パネル31との間の距離D1よりも長い。このため、壁パネル31が設置された状態では、被覆部材25の第2端部252が壁パネル31に当接して変形することで、被覆部材25の上面が壁パネル31から洗い場床2に向けて下方に傾斜する。
【0051】
ここで、
図11〜
図15を用いて、浴室の目地部材の施工方法を説明する。
図11〜
図15は、本実施形態に係る浴室の目地部材の施工方法である。
まず、
図11(a)に表したように、表皮材23の下面の端に被覆部材25の第1端部251を固定する。被覆部材25は、例えば、両面テープTにより表皮材23の下面に固定される。あるいは、接着剤や、熱による溶着、ステープルなどで固定されてもよい。
【0052】
次に、
図11(b)に表したように、凹部21R内にガイドピース27が設けられた床面材21の表面に、表皮材23を貼り合わせる。このとき、被覆部材25のうち、表皮材23に固定された部分が、表皮材23と床面材21との間に挟まれるように、表皮材23を床面材21に張り合わせる。
【0053】
床面材21の上に表皮材23が配された状態を、
図12(a)に表す。
図12(a)に表したように、被覆部材25は、凹部21Rの一部を覆うように、表皮材23の外側に向けて延びている。
【0054】
次に、
図12(b)および
図13(a)に表したように、被覆部材25の第2端部252を、上方に変形させ、表皮材23に一時的に固定する。表皮材23への固定には、例えばマスキングテープMが用いられる。
【0055】
次に、
図13(b)および
図14(a)に表したように、床面材21および表皮材23の上方から凹部21Rへ、壁パネル31を下方に移動させ、床面材21の上に載置する。このとき、被覆部材25の第2端部252は表皮材23に固定されているため、壁パネル31と被覆部材25との接触を避けることができる。
【0056】
次に、
図14(b)および
図15(a)に表したように、側面S1と壁パネル31との間にコーキング材CK1を充填させる。このとき、コーキング材CK1は、例えば上端が、表皮材23の上面と同じ位置か、あるいはそれよりも下方に位置するように、充填される。このようにコーキング材CK1を配することで、被覆部材25を壁パネル31に当接させて変形させる際に、被覆部材25の下面とコーキング材CK1の上面との摩擦を低減することができる。
【0057】
最後に、
図15(b)に表したように、被覆部材25の第2端部252の変形を解除する。このとき、被覆部材25が弾性を有するため、第2端部252端の変形を解除することで、
図12(a)に表した元の形状に戻る。その際、コーキング材CK1が被覆部材25に覆われるとともに、被覆部材25の先端が壁パネル31に当接する。既に述べた通り、被覆部材25の突出部分の長さL1は、距離D1よりも長いため、被覆部材25は変形した状態で壁パネル31に当接し、被覆部材25の上面が、壁パネル31から表皮材23に向かって下方に傾斜する。
【0058】
上述した説明では、壁パネル31を例に説明したが、他の壁パネル32、33、および37も同様にして洗い場床2の上に設置される。
【0059】
次に、
図16を用いて、浴槽1の外周における構造を具体的に説明する。
図16は、本実施形態に係る浴槽の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
図16に表したように、壁パネル36は、母材360および裏板361を有する。浴槽1の外周には凹部1Rが形成されており、母材360の下端は、凹部1Rの底面にパッキンPK2を介して載置される。
【0060】
母材360は、凹部1Rの側面のうち、浴槽1の内側に位置する側面S2と対向している。側面S2鋼板311との隙間には、コーキング材CK2が設けられている。コーキング材CK2は、被覆部材26により覆われている。被覆部材26は、一端側の第1端部261と、他端側の第2端部262と、を有する。被覆部材26の第1端部261は側面S2に固定され、側面S2とコーキング材CK2との間に位置している。被覆部材26の第2端部262は、母材360に当接している。被覆部材26は弾性を有し、第2端部262が壁パネル36に当接することで、被覆部材26は側面S2と直交する方向に変形している。
【0061】
側面S2と壁3(壁パネル36)との間の距離D2は、浴槽1および壁3の熱膨張または熱収縮や、浴槽1および壁3における振動などにより変化する場合がある。また、壁3の傾斜によって距離D2が変化することもある。被覆部材26の第2端部262が壁パネル36に当接し、距離D2の変化に応じて被覆部材26が変形することで、側面S2と直交する方向における被覆部材26の長さが長くなる。
【0062】
被覆部材26のうち、コーキング材CK2を覆う部分の上面は、壁パネル36から浴槽1の内側に向けて下方に傾斜している。また、壁パネル36に当接している被覆部材26の第2端部262は、浴槽1に固定されている第1端部261よりも上方に位置している。さらに、被覆部材26のうち、コーキング材CK2を覆っている部分の上面は、浴槽1のうち、被覆部材26が固定されている部分の上面よりも、上方に位置している。
【0063】
被覆部材26は、弾性を有し、かつ軟質および薄肉状の少なくともいずれかであっていてもよい。被覆部材26が弾性を有し、かつ軟質および薄肉状の少なくともいずれかであることで、被覆部材26を容易に変形させることが可能となる。
【0064】
図17は、壁パネルが設置される前の状態の凹部近傍を拡大した平面図である。
図18は、
図17のC−C’線における断面図である。
なお、
図17および
図18では、その後に載置される壁パネル36を破線で表している。
【0065】
図17および
図18に表したように、壁パネル36が設置されていない状態では、被覆部材26は、水平方向に延び、浴室の外側に向かって突出している。このとき、凹部1R上に突出している部分の長さL2は、壁パネルが設置された状態における側面S2と壁パネル36との間の距離D2よりも長い。このため、壁パネル36が設置された状態では、被覆部材26の第2端部262が壁パネル36に当接して変形することで、被覆部材26の上面が壁パネル36から浴槽1の内側に向けて下方に傾斜する。
【0066】
浴槽1への被覆部材26の取り付けおよび壁パネル36の設置については、洗い場床2への被覆部材25の取り付けおよび壁パネル31の設置と同様にして行われる。
【0067】
すなわち、まず、被覆部材26の第1端部261が凹部1Rの側面S1に固定される。被覆部材26は、例えば、両面テープや接着剤などによって固定される。あるいは、熱による溶着や、ステープルなどで固定されてもよい。
【0068】
次に、被覆部材26の第2端部262を、上方に変形させ、浴槽1に、例えばテープにより一時的に固定する。続いて浴槽1の上方から凹部1Rに向けて壁パネル36を移動させて載置する。このとき、被覆部材26の第2端部262は浴槽1の内側に向けて変形され、固定されているため、壁パネル36と被覆部材26との接触を避けることができる。
【0069】
その後、被覆部材26の第2端部262の変形を解除すると、側面S2と壁パネル36との隙間が被覆部材26で覆われるとともに、被覆部材26の先端が壁パネル36に当接する。既に述べた通り、被覆部材26の長さL2は、距離D2よりも長いため、被覆部材26が変形した状態で壁パネル36に当接し、被覆部材26の上面に傾斜が形成される。
【0070】
上述した説明では、壁パネル36を例に説明したが、他の壁パネル34および35も同様にして洗い場床2の上に設置される。
【0071】
次に、
図19を用いて、本実施形態の変形例に係る浴室の構造を説明する。
図19は、本実施形態の変形例に係る洗い場床の一部および壁の一部を拡大した断面図である。
なお、
図19では、被覆部材25の変形量が変化したときの様子を破線で表している。
【0072】
図19に表したように、本変形例では、被覆部材25が弾性を有する中空のチューブである。被覆部材25は、垂直方向に沿う面を有する。例えば、一方の面が、表皮材23の側面または側面S1に固定され、他方の面が、壁パネル36に接している。被覆部材25は、これらの間に変形した状態で設けられ、コーキング材CK1を覆っている。
【0073】
図19に表した例では、被覆部材25の断面の形状は台形であるが、円形や楕円形、多角形など、その形状は任意である。また、被覆部材25は中空に形成されているが、中実に形成されていても構わない。本変形例においても同様に、側面S1と壁パネル31との間の距離D1の変化に応じて、被覆部材25が変形する。
【0074】
また、本変形例に係る被覆部材25と同様の構造を有する被覆部材26を、浴槽1と壁3との間に設けることも可能である。
【0075】
なお、上述した実施形態では、洗い場床2が、支持材22、床面材21、クッション材201、および表皮材23から構成されている場合について説明したが、本実施形態は、このような構成以外の洗い場床に対しても適用可能である。例えば、洗い場床は、支持材22および床面材21の2つから構成されていても良い。この場合、被覆部材25は、床面材21の外周に固定される。
【0076】
上述した実施形態によれば、コーキング材CK1は、被覆部材25により覆われている。そして、凹部の側面S1と壁3との間の距離D1が、洗い場床2および壁3の熱膨張または熱収縮により変化した場合であっても、距離D1の変化に応じて被覆部材25が変形する。このため、距離D1が変化した場合でも、被覆部材25により覆われているコーキング材CK1が浴室100内の空間に向けて露出してしまう可能性を低減することができる。従って、止水のためにコーキング材CK1を設けた場合でも、裂け目が生じたコーキング材CK1が浴室100内の空間に向けて露出し、浴室の美観が低下してしまう可能性を低減することができる。
【0077】
また、被覆部材25は、第1端部251が洗い場床2に固定されているのに対して、第2端部252は壁3に固定されていない。このため、距離D1が過度に長くなった場合であっても、被覆部材25の両端が引っ張られ、被覆部材25が損傷する可能性を低減することができる。
【0078】
また、
図7および
図8に表したような屈曲部分を有する被覆部材25を固定する場合、
図11(a)に表したように、表皮材23と床面材21とを貼り合わせる前に、被覆部材25の第1端部251を表皮材23の底面に固定することが望ましい。こうすることで、被覆部材25の屈曲部分を表皮材23の側面23Sに当接させた状態で、第1端部251を表皮材23と床面材21との間に固定することができる。このため、第1端部251をより強固に固定するとともに、被覆部材25と側面23Sとの間に隙間が生じることを抑制できる。
【0079】
また、被覆部材25が弾性を有する場合、
図10に表したように、被覆部材25の第2端部252が、壁3の表面と交差する方向に延びていることで、第2端部252を壁3に当接させた際に、被覆部材25が壁3をより強く押圧する。被覆部材25が壁3をより強く押圧した状態で当接することで、被覆部材25と壁3との間に隙間を生じ難くし、被覆部材25による止水性を向上させることができる。
【0080】
被覆部材26に関しても同様に、コーキング材CK2は、被覆部材26により覆われるとともに、凹部の側面S2と壁3との間の距離D2の変化に応じて被覆部材26が変形する。このため、距離D2が変化した場合でも、被覆部材26により覆われているコーキング材CK2が浴室100内の空間に向けて露出してしまう可能性を低減することができる。従って、止水のためにコーキング材CK2を設けた場合でも、裂け目が生じたコーキング材CK2が浴室100内の空間に向けて露出され、浴室100の美観が低下してしまう可能性を低減することができる。
【0081】
また、被覆部材26は、第1端部261が浴槽1に固定されているのに対して、第2端部262は壁3に固定されていない。このため、距離D2が過度に長くなった場合であっても、被覆部材25の両端が引っ張られ、被覆部材25が損傷する可能性を低減することができる。
【0082】
コーキング材に生じる裂け目は、
図3および
図4に表したように、洗い場床2は、浴室設置面Sと略平行に設置されるのに対して、壁3(壁パネル)は、浴室設置面Sと直交する方向に立てて設置されている場合に、特に顕著となりうる。これは、
図3および
図4に表した浴室の構造においては、温度変化によりこれらの部材に熱膨張または熱収縮が生じた際、膨張(収縮)する方向が異なり、隙間の幅の変化量が大きくなりやすいためである。従って、本実施形態は、壁3が、浴槽1および洗い場床2の設置面に対して垂直方向に沿って設けられている場合に、特に有効である。
【0083】
上述した被覆部材25は、コーキング材CK1を覆っている部分の上面が、壁3から洗い場床2の内側に向けて下方に傾斜するように変形していることが望ましい。このような構造によれば、壁3から洗い場床2の内側に向けての水はけを良くし、排水性を高め、被覆部材25におけるカビの発生を抑制することができる。
【0084】
このとき、被覆部材25のコーキング材CK1を覆っている部分の上面は、洗い場床2の上面よりも上方に位置していることが望ましい。このような構造によれば、被覆部材25の上面から洗い場床2の上面に向けて水が流れやすくなるため、被覆部材25におけるカビの発生をより一層抑制することができる。
【0085】
被覆部材26についても同様に、被覆部材26のコーキング材CK2を覆っている部分の上面は、壁3から浴槽1の内側に向けて下方に傾斜するように変形していることが望ましい。このような構造によれば、壁3から浴槽1の内側に向けての水はけを良くし、排水性を高め、被覆部材26におけるカビの発生を抑制することができる。
また、被覆部材26のコーキング材CK2を覆っている部分の上面は、浴槽1のうち被覆部材26の第1端部261が固定された部分の上面よりも、上方に位置していることが望ましい。このような構造によれば、被覆部材26の上面から浴槽1の上面に向けて水が流れやすくなるため、被覆部材26におけるカビの発生をより一層抑制することができる。
【0086】
被覆部材26が弾性を有する場合、
図18に表したように、被覆部材26の第2端部262が、壁3の表面と交差する方向に延びていることで、第2端部262を壁3に当接させた際に、被覆部材26が壁3をより強く押圧する。被覆部材26が壁3をより強く押圧した状態で当接することで、被覆部材26と壁3との間に隙間を生じ難くし、被覆部材26による止水性を向上させることができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。