(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように外側ケーシングと内側ケーシングとの間に蒸気の流通する流路を形成する場合であっても、蒸気タービンの運転状況によっては、動翼の先端と内側ケーシングの内周面との間の隙間や静翼の先端とロータとの間の隙間が不用意に狭まってしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ロータ側と内側ケーシング側との間の隙間を適切な値に設定することができる蒸気タービン及び蒸気タービンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、蒸気タービンは、水平方向に延びる軸線回りに回転するロータ本体と、前記ロータ本体の外周面に設けられている複数の動翼と、を有するロータと、前記軸線を中心とする径方向の外側から前記ロータを覆い、前記ロータの外周面との間に蒸気が流通する第一主流路を形成している内側ケーシング本体と、前記第一主流路に前記蒸気を供給する内側導入口と、を有する内側ケーシングと、前記内側ケーシングの内周面に複数設けられ、前記複数の動翼とともに前記第一主流路内に配置されている複数の静翼と、前記内側ケーシングを前記径方向の外側から覆い、前記内側ケーシング本体の外周面との間に前記第一主流路と連通して排気蒸気が流通する第二主流路を形成している外側ケーシング本体と、前記内側導入口に前記蒸気を導入する外側導入口と、前記外側ケーシング本体の上部に設けられて前記第二主流路から前記排気蒸気を排出する上側排出口と、前記外側ケーシング本体の下部に設けられて前記第二主流路から前記排気蒸気を排出する下側排出口と、を有する外側ケーシングと、前記上側排出口から排出される前記排気蒸気の流量を調整する上側弁と、前記下側排出口から排出される前記排気蒸気の流量を調整する下側弁と、前記上側弁と前記下側弁とを独立して制御可能な制御部と、を有する蒸気タービン。
【0009】
このような構成によれば、上側弁と下側弁を独立に制御することによって、外側ケーシングの上部と下部とのうち一方により多くの排気蒸気を流すように制御をすることができる。蒸気タービンの運転状況に応じて外側ケーシングの上部又は下部に高温又は低温の排気蒸気をより多く流すことによって、外側ケーシングの変形を促してロータと内側ケーシングとの間のクリアランスを適切な値に設定することができる。
【0010】
上記蒸気タービンにおいて、前記外側ケーシングは、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部を有し、前記制御部は、前記排気蒸気が所定の温度より高温の場合には、前記外側ケーシングの上部と下部とのうち、前記フランジ部の変形に伴い前記ロータ側に移動した方により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁と前記下側弁とを制御し、排気蒸気が前記所定の温度より低温の場合には、前記外側ケーシングの上部と下部とのうち、前記フランジ部の変形に伴い前記ロータ側に移動した方とは反対の方により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁と前記下側弁とを制御してよい。
【0011】
このような構成によれば、排気蒸気を用いて、外側ケーシングにおける、外側ケーシングがロータ側に移動した方を膨張、または、外側ケーシングがロータ側に移動した方とは反対の方を収縮させることによって、ロータと内側ケーシングとの間の隙間を適切な値に設定することができる。
【0012】
上記蒸気タービンにおいて、前記外側ケーシング本体の温度を計測するケーシング温度センサと、前記フランジ部の温度を計測するフランジ部温度センサと、を有し、前記外側ケーシングは、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部を有し、前記外側ケーシング本体は、上側に配置され下方に向かって開口する第一開口部を有する上側ケーシング本体と、下側に配置され上方に向かって開口する第二開口部を有する下側ケーシング本体とを有し、前記フランジ部は、上側に配置され前記第一開口部から水平方向に張り出して前記架台により下方から支持されている上半フランジと、下側に配置され前記第二開口部から水平方向に張り出して前記上半フランジに締結されている下半フランジとを有し、前記制御部は、前記外側ケーシング本体の温度をTc、前記フランジ部の温度をTf、温度の第一閾値をTsh1、前記第一閾値Tsh1より高い温度の第二閾値をTsh2とすると、Tc−Tf<Tsh1の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tfの場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御してよい。
【0013】
このような構成によれば、各部の温度を参照して制御を行うことによって、より正確な制御が可能となる。
【0014】
上記蒸気タービンにおいて、前記外側ケーシング本体の温度を計測するケーシング温度センサと、前記フランジ部の温度を計測するフランジ部温度センサと、前記排気蒸気の温度を計測する排気温度センサと、を有し、前記外側ケーシングは、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部を有し、前記外側ケーシング本体は、上側に配置され下方に向かって開口する第一開口部を有する上側ケーシング本体と、下側に配置され上方に向かって開口する第二開口部を有する下側ケーシング本体とを有し、前記フランジ部は、上側に配置され前記第一開口部から水平方向に張り出して前記架台により下方から支持されている上半フランジと、下側に配置され前記第二開口部から水平方向に張り出して前記上半フランジに締結されている下半フランジとを有し、前記制御部は、前記外側ケーシング本体の温度をTc、前記フランジ部の温度をTf、温度の第一閾値をTsh1、前記第一閾値Tsh1より高い温度の第二閾値をTsh2、前記排気蒸気の温度をTse、温度の第三の閾値をTsh3とすると、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御してよい。
【0015】
このような構成によれば、排気蒸気の温度を判断基準に加えることにより、運転状態が切り替わった等の理由で排気温度の温度が想定とはことなった場合においても、的確な制御を行うことができる。
【0016】
上記蒸気タービンにおいて、前記外側ケーシング本体の温度を計測するケーシング温度センサと、前記フランジ部の温度を計測するフランジ部温度センサと、を有し、前記外側ケーシングは、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部を有し、前記外側ケーシング本体は、上側に配置され下方に向かって開口する第一開口部を有する上側ケーシング本体と、下側に配置され上方に向かって開口する第二開口部を有する下側ケーシング本体とを有し、前記フランジ部は、下側に配置され前記第二開口部から水平方向に張り出して前記架台により下方から支持されている下半フランジと、上側に配置され前記第一開口部から水平方向に張り出して前記下半フランジに締結されている上半フランジとを有し、前記制御部は、前記外側ケーシング本体の温度をTc、前記フランジ部の温度をTf、温度の第一閾値をTsh1、前記第一閾値Tsh1より高い温度の第二閾値をTsh2とすると、Tc−Tf<Tsh1の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tfの場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御してよい。
【0017】
上記蒸気タービンにおいて、前記外側ケーシング本体の温度を計測するケーシング温度センサと、前記フランジ部の温度を計測するフランジ部温度センサと、前記排気蒸気の温度を計測する排気温度センサと、を有し、前記外側ケーシングは、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部を有し、前記外側ケーシング本体は、上側に配置され下方に向かって開口する第一開口部を有する上側ケーシング本体と、下側に配置され上方に向かって開口する第二開口部を有する下側ケーシング本体とを有し、前記フランジ部は、下側に配置され前記第二開口部から水平方向に張り出して前記架台により下方から支持されている下半フランジと、上側に配置され前記第一開口部から水平方向に張り出して前記下半フランジに締結されている上半フランジとを有し、前記制御部は、前記外側ケーシング本体の温度をTc、前記フランジ部の温度をTf、温度の第一閾値をTsh1、前記第一閾値Tsh1より高い温度の第二閾値をTsh2、前記排気蒸気の温度をTse、温度の第三の閾値をTsh3とすると、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御してよい。
【0018】
上記蒸気タービンにおいて、前記内側ケーシング本体の外周面と前記外側ケーシング本体とにわたって形成された平板状の部材であって、前記第二主流路を上下に分割する閉止板を有してよい。
【0019】
このような構成によれば、上側弁と下側弁の切り替えによる、蒸気タービンの排気蒸気の流れを確実に切り替えることができる。
【0020】
上記蒸気タービンにおいて、前記第一主流路から前記第二主流路との間の前記排気蒸気の流路面積を周方向に均一に制限し、前記軸線と直交する主面を有する板状をなす邪魔板を有してよい。
【0021】
このような構成によれば、排気蒸気が狭い隙間を介して流れることによって、排気蒸気の流れがより周方向に均一な流れとなる。これにより、排気蒸気の周方向の流量に斑が生じるのを抑制することができる。
【0022】
本発明の第二の態様によれば、蒸気タービンの制御方法は、水平方向に延びる軸線回りに回転するロータ本体と、前記ロータ本体の外周面に設けられている複数の動翼と、を有するロータと、前記軸線を中心とする径方向の外側から前記ロータを覆い、前記ロータの外周面との間に蒸気が流通する第一主流路を形成している内側ケーシング本体と、前記第一主流路に前記蒸気を供給する内側導入口と、を有する内側ケーシングと、前記内側ケーシングの内周面に複数設けられ、前記複数の動翼とともに前記第一主流路内に配置されている複数の静翼と、前記内側ケーシングを前記径方向の外側から覆い、前記内側ケーシング本体の外周面との間に前記第一主流路と連通して排気蒸気が流通する第二主流路を形成している外側ケーシング本体と、前記内側導入口に前記蒸気を導入する外側導入口と、前記外側ケーシング本体の上部に設けられて前記第二主流路から前記排気蒸気を排出する上側排出口と、前記外側ケーシング本体の下部に設けられて前記第二主流路から前記排気蒸気を排出する下側排出口と、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部と、を有する外側ケーシングであって、前記外側ケーシング本体は、上側に配置され下方に向かって開口する第一開口部を有する上側ケーシング本体と、下側に配置され上方に向かって開口する第二開口部を有する下側ケーシング本体とを有し、前記フランジ部は、上側に配置され前記第一開口部から水平方向に張り出して前記架台により下方から支持されている上半フランジと、下側に配置され前記第二開口部から水平方向に張り出して前記上半フランジに締結されている下半フランジとを有する外側ケーシングと、前記上側排出口から排出される前記排気蒸気の流量を調整する上側弁と、前記下側排出口から排出される前記排気蒸気の流量を調整する下側弁と、を有する蒸気タービンの制御方法であって、前記外側ケーシング本体の温度をTc、前記フランジ部の温度をTf、温度の第一閾値をTsh1、前記第一閾値Tsh1より高い温度の第二閾値をTsh2とすると、Tc−Tf<Tsh1の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tfの場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御する。
【0023】
本発明の第三の態様によれば、蒸気タービンの制御方法は、上記蒸気タービンの制御方法において、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御する。
【0024】
本発明の第四の態様によれば、蒸気タービンの制御方法は、水平方向に延びる軸線回りに回転するロータ本体と、前記ロータ本体の外周面に設けられている複数の動翼と、を有するロータと、前記軸線を中心とする径方向の外側から前記ロータを覆い、前記ロータの外周面との間に蒸気が流通する第一主流路を形成している内側ケーシング本体と、前記第一主流路に前記蒸気を供給する内側導入口と、を有する内側ケーシングと、前記内側ケーシングの内周面に複数設けられ、前記複数の動翼とともに前記第一主流路内に配置されている複数の静翼と、前記内側ケーシングを前記径方向の外側から覆い、前記内側ケーシング本体の外周面との間に前記第一主流路と連通して排気蒸気が流通する第二主流路を形成している外側ケーシング本体と、前記内側導入口に前記蒸気を導入する外側導入口と、前記外側ケーシング本体の上部に設けられて前記第二主流路から前記排気蒸気を排出する上側排出口と、前記外側ケーシング本体の下部に設けられて前記第二主流路から前記排気蒸気を排出する下側排出口と、前記外側ケーシング本体から水平方向の一方側及び水平方向の他方側に張り出し、架台により下方から支持されているフランジ部と、を有する外側ケーシングであって、前記外側ケーシング本体は、上側に配置され下方に向かって開口する第一開口部を有する上側ケーシング本体と、下側に配置され上方に向かって開口する第二開口部を有する下側ケーシング本体とを有し、前記フランジ部は、下側に配置され前記第二開口部から水平方向に張り出して前記架台により下方から支持されている下半フランジと、上側に配置され前記第一開口部から水平方向に張り出して前記下半フランジに締結されている上半フランジとを有する外側ケーシングと、前記上側排出口から排出される前記排気蒸気の流量を調整する上側弁と、前記下側排出口から排出される前記排気蒸気の流量を調整する下側弁と、を有する蒸気タービンの制御方法であって、前記外側ケーシング本体の温度をTc、前記フランジ部の温度をTf、温度の第一閾値をTsh1、前記第一閾値Tsh1より高い温度の第二閾値をTsh2とすると、Tc−Tf<Tsh1の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tfの場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御する。
【0025】
本発明の第五の態様によれば、蒸気タービンの制御方法は、上記蒸気タービンの制御方法において、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tc−Tf<Tsh1、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2の場合に、前記上側弁及び前記下側弁を開け、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse<Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記上側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御し、Tsh2<Tc−Tf、かつ、Tc−Tse≧Tsh3の場合に、前記上側ケーシング本体と前記下側ケーシング本体とのうち前記下側ケーシング本体の側により多くの前記排気蒸気が流れるように前記上側弁及び前記下側弁を制御する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、上側弁と下側弁を独立に制御することによって、外側ケーシングの上部と下部とのうち一方により多くの排気蒸気を流すように制御をすることができる。蒸気タービンの運転状況に応じて外側ケーシングの上部又は下部に高温又は低温の排気蒸気をより多く流すことによって、外側ケーシングの変形を促してロータと内側ケーシングとの間のクリアランスを適切な値に設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の蒸気タービン1について図面を参照して詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
蒸気タービン1は、蒸気のエネルギーを回転動力として取り出す外燃機関であって、発電所における発電機等に用いられるものである。
図1に示すように、本実施形態の蒸気タービン1は、水平方向に延びる軸線O1回りに回転するロータ2と、ロータ2の軸線O1を中心とする径方向外側から覆う内側ケーシング3と、内側ケーシング3の内周面15aに設けられた複数の静翼4と、内側ケーシング3を径方向外側から覆う外側ケーシング5と、ロータ2の両端を回転可能に支持する軸受部13と、外側ケーシング5から排出される排気蒸気S2の流量を調整する上側弁7及び下側弁8と、蒸気の漏洩を防ぐシール部28,29と、制御部9と、を備えている。
【0029】
なお、以下の説明において、ロータ2の軸線O1の延在方向を軸線方向Daと呼び、ロータ2の軸線O1を中心とする径方向を単に径方向と呼び、ロータ2の軸線O1を中心とする周方向を単に周方向と呼ぶ。また、軸線方向Daであって、
図1の左側を軸線方向一方側Da1、
図1の右側を軸線方向他方側Da2と呼ぶ。また、軸線方向Daに直交する方向であって、
図1の紙面に沿う方向を上下方向Dvとし、
図1の紙面の上側を上方、紙面の下側を下方とする。
【0030】
ロータ2は、水平方向に延びる軸線O1を中心として回転可能に支持されている。ロータ2は、軸線O1回りに回転して軸線方向Daに延在するロータ本体10と、ロータ本体10の外周面に設けられている複数の動翼6と、を有している。
ロータ本体10は、動翼6が設けられた中間部分が内側ケーシング3の内部に収容されている。ロータ本体10の両端部は、外側ケーシング5の外部に突出している。ロータ本体10の両端部は、軸受部13によって回転可能に支持されている。
【0031】
複数の動翼6は、ロータ本体10の外周面に固定されている。複数の動翼6は、周方向に並んで配置されている。動翼6は、軸線方向Daに流れる蒸気S1の圧力を受けて軸線O1回りにロータ2を回転させる。動翼6は、径方向の外側を向く先端面6Aが内側ケーシング3の内周面15aと対向している。
【0032】
内側ケーシング3は、径方向外側からロータ2を覆っている。内側ケーシング3は、動翼6の先端面6Aとの間に隙間CL1を形成した状態で、径方向外側からロータ2を覆っている。内側ケーシング3とロータ本体10との間には、第一主流路11が形成されている。
【0033】
内側ケーシング3は、軸線方向他方側Da2に向かって徐々に拡径する円筒形状の内側ケーシング本体15と、第一主流路11に蒸気S1を供給する内側導入口16と、後述する第二主流路12に排気蒸気S2を排出する内側排出口17とを有している。内側ケーシング本体15の軸線方向一方側Da1には、ロータ2が挿通される内側挿通孔18が形成されている。
【0034】
内側導入口16は、第一主流路11の軸線方向一方側Da1(蒸気S1の流通方向の上流側)に形成されている。内側導入口16は、径方向外側から第一主流路11に蒸気S1を流入させる。内側導入口16は、内側ケーシング本体15の上部及び下部に、周方向に等間隔に形成されている。本実施形態の蒸気タービン1は、2つの内側導入口16を有している。
内側排出口17は、第一主流路11の軸線方向他方側Da2(蒸気S1の流通方向の下流側)に形成されている。内側排出口17は、第一主流路11から軸線方向他方側Da2に排気蒸気S2を排出する。内側排出口17は、内側ケーシング本体15の軸線方向他方側Da2の端部に形成された開口である。
【0035】
複数の静翼4は、内側ケーシング本体15の内周面15aに固定されている。複数の静翼4は周方向に並んで配置されている。静翼4は、径方向の内側を向く先端面4Aがロータ本体10の外周面10aと対向している。静翼4の先端面4Aとロータ本体10との間には、隙間CL2が形成されている。
第一主流路11には、動翼6と静翼4が軸線方向Daに交互に配置されている。動翼6と静翼4は、一対となって一個の「段」を構成しており、蒸気タービン1には、多数の段が設けられている。これらの段は、第一主流路11を上流側から下流側に向かうに従って、動翼6及び静翼4の翼高さ(軸線O1に直交する方向の翼の長さ)が、長くなるように構成されている。
【0036】
図1及び
図2に示すように、外側ケーシング5は、内側ケーシング3を径方向の外側から覆う外側ケーシング本体20と、フランジ部21と、内側導入口16に蒸気S1を導入する外側導入口22と、外側ケーシング本体20の上部に形成された2つの上側排出口23(
図1には一つのみ示す)と、外側ケーシング本体20の下部に形成された2つの下側排出口24(
図1には一つのみ示す)と、を有している。
【0037】
外側ケーシング本体20は、軸線方向Daの両端部に蓋部25,26を有する円筒形状である。外側ケーシング本体20の内周面20aと内側ケーシング本体15の外周面15bとの間には、第一主流路11と連通して排気蒸気S2が流通する第二主流路12が形成されている。
外側ケーシング本体20の軸線方向一方側Da1は、第一蓋部25によって閉塞されている。外側ケーシング本体20の軸線方向他方側Da2は第二蓋部26によって閉塞されている。第一蓋部25及び第二蓋部26には、ロータ2が挿通する第一外側挿通孔25A、及び第二外側挿通孔26Aが形成されている。
【0038】
外側導入口22の軸線方向Daの位置は内側導入口16の軸線方向Daの位置と同じである。外側導入口22は、内側導入口16の径方向外側に形成されている。外側導入口22は、径方向外側から内側導入口16に蒸気S1を流入させる。外側導入口22は、外側ケーシング本体20の上部及び下部に、周方向に等間隔に形成されている。
なお、内側導入口16及び外側導入口22の数は、2つに限ることはない。例えば、内側導入口16及び外側導入口22を1つとしてもよいし、内側導入口16及び外側導入口22を3つ以上としてもよい。
【0039】
図3に示すように、2つの上側排出口23と2つの下側排出口24とは、周方向に等間隔に形成されている。2つの上側排出口23と2つの下側排出口24とは、軸線O1を含む水平面に対して対称に配置されている。上側排出口23及び下側排出口24は、外側導入口22の軸線方向一方側Da1に形成されている。
上側排出口23は、軸線方向Daから見て、上側排出口23の中心軸と軸線O1を含み鉛直方向に沿う面Pとのなす角θ1が40°から50°となるように、形成されている。
下側排出口24は、軸線方向Daから見て、下側排出口24の中心軸と軸線O1を含み鉛直方向に沿う面Pとのなす角θ2が40°から50°となるように、形成されている。
【0040】
外側ケーシング5は、上下方向Dvに二分割されている。
外側ケーシング5は、上側に配置されている上側ケーシング31と、下側に配置されている下側ケーシング32とに分割されている。
上側ケーシング31は、下方に向かって開口する第一開口部31Bを有する上側ケーシング本体31Aと、上側ケーシング本体31Aの第一開口部31Bから水平方向に突出する上半フランジ33と、を有している。
下側ケーシング32は、上方に向かって開口する第二開口部32Bを有する下側ケーシング本体32Aと、下側ケーシング本体32Aの第二開口部32Bから水平方向に突出する下半フランジ34と、を有している。
換言すれば、フランジ部21は、上半フランジ33と下半フランジ34とを有している。上半フランジ33と下半フランジ34とは、例えばボルトによって締結されている。
【0041】
図2に示すように、本実施形態のフランジ部21は、上半フランジ33が下半フランジ34よりも大きい(長い)。
上半フランジ33(外側ケーシング5)は架台35上に載置されることで架台35によって支持されている。本実施形態の蒸気タービン1は、上半フランジ33を介して架台35によって支持されている。この支持方法を、上半フランジ支持と呼び、この構造を上半フランジ支持構造と呼ぶ。
上半フランジ33と架台35とは締結されていない。一方、ロータ2は、軸受部13によって回転可能に支持されているため、外側ケーシング5が上方又は下方に移動すると、隙間CL1及び隙間CL2の寸法が変動する。
【0042】
軸受部13は、ロータ2を軸線O1回りに回転可能に支持している。軸受部13は、ロータ本体10の両端部にそれぞれ設けられている。
シール部28,29は、軸線O1回りに回転するロータ本体10と、内側ケーシング3や外側ケーシング5との間から蒸気が流出しないように封止する。シール部28,29は、内側ケーシング3とロータ本体10との間をシールする内側シール部28と、外側ケーシング5とロータ本体10との間をシールする外側シール部29と、を有している。
内側シール部28は、内側ケーシング3の軸線方向一方側Da1に形成されている内側挿通孔18とロータ本体10との間をシールしている。内側シール部28は、内側導入口16を介して導入された蒸気S1が流出しないように封止している。
【0043】
外側シール部29は、ロータ本体10と第一外側挿通孔25Aとの間、及びロータ本体10と第二外側挿通孔26Aとの間をシールしている。外側シール部29は、外側ケーシング5の内部空間から排気蒸気S2が流出しないように封止している。
【0044】
上側弁7と上側排出口23とは、上側配管37によって接続されている。上側弁7が開状態である場合、排気蒸気S2は、上側配管37を介して排出される。下側弁8と下側排出口24とは、下側配管38によって接続されている。下側弁8が開状態である場合、排気蒸気S2は、下側配管38を介して排出される。
【0045】
本実施形態の上側弁7と下側弁8とは、独立して制御可能である。即ち、上側弁7を開状態としながら下側弁8を閉状態とすること、また、上側弁7を閉状態としながら下側弁8を開状態とすることが可能である。
図1には、上側弁7を閉状態とし、下側弁8を開状態とした蒸気タービン1を示している。
【0046】
また、上側弁7及び下側弁8の開度も自在に制御可能である。即ち、上側弁7を80%開度とし、下側弁8を10%開度とすることができる。
図1に示すように、上側弁7のみが閉状態である場合、排気蒸気S2は、下側配管38のみから排出される。即ち、排気蒸気S2は、下側ケーシング32側を積極的に流れ、排気蒸気S2の温度が下側ケーシング32に伝達される。排気蒸気S2の温度が下側ケーシング本体32Aの温度よりも高い場合は、下側ケーシング本体32Aは加熱される。排気蒸気S2の温度が下側ケーシング本体32Aの温度よりも低い場合は、下側ケーシング本体32Aは冷却される。
【0047】
図2に示すように、蒸気タービン1は、外側ケーシング本体20の温度を計測するケーシング温度センサ39と、フランジ部21の温度を計測するフランジ部温度センサ40と、を有している。
ケーシング温度センサ39によって計測された外側ケーシング本体20の温度Tcは、制御部9に送信される。フランジ部温度センサ40によって計測されたフランジ部21の温度Tfは、制御部9に送信される。
また、蒸気タービン1は、排気蒸気S2の温度を計測する排気蒸気温度センサ41を有している。
【0048】
次に、本実施形態の蒸気タービン1の制御方法について説明する。
まず、蒸気タービン1の制御について、以下の状況が考えられる。
(1)低温状態の蒸気タービンの起動時
低温状態の蒸気タービン1とは、長時間使用していない状態の蒸気タービン1である。低温状態の蒸気タービン1では、外側ケーシング本体20及びフランジ部21は低温であり、外側ケーシング本体20及びフランジ部21の温度が略同じである。
【0049】
外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも熱容量が小さいため、低温状態の蒸気タービン1の起動時では、外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも暖まりやすい。
また、外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも剛性が低いため、低温状態の蒸気タービン1の起動時では、外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも熱伸びが大きい。
【0050】
これにより、
図4に示すような現象が生じる。
図4に示すように、外側ケーシング本体20がフランジ部21よりも変形することによって、外側ケーシング本体20のフランジ部21との接続部は、
図4の点線で示す形状から
図4の実線で示す形状に変形する。外側ケーシング本体20の変形に伴い、フランジ部21も
図4に示すように変形する。この変形により、
図4に示すように、上半フランジ33が、架台35による支持点よりも支持点同士の間が上方に持ち上がるように変形する。
【0051】
上半フランジ支持構造の場合、このように上半フランジ33が変形することにより、外側ケーシング本体20が上方に移動する。外側ケーシング本体20が上方に移動することにより、外側ケーシング5に固定されている内側ケーシング3も上方に移動し、隙間CL1、CL2が不用意に狭まってしまう。具体的には、蒸気タービン1の軸線O1より下側の動翼6及び静翼4の隙間CL1、CL2が狭くなってしまう。
【0052】
(2)高温状態の蒸気タービンの定格運転時からの停止時
高温状態の蒸気タービン1とは、定格運転中の蒸気タービン1である。高温状態の蒸気タービン1では、外側ケーシング本体20及びフランジ部21は高温であり、外側ケーシング本体20及びフランジ部21の温度が略同じである。
【0053】
外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも熱容量が小さいため、高温状態の蒸気タービン1を定格運転時から停止させる際は、外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも冷えやすい。
また、外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも剛性が低いため、高温状態の蒸気タービン1の定格運転時からの停止時では、外側ケーシング本体20はフランジ部21よりも熱収縮が大きい。
【0054】
これにより、
図4に示すような現象とは逆に、上半フランジ33が、架台35による支持点よりも支持点同士の間が下方に下がるように変形する。
このように上半フランジ33が変形することにより、外側ケーシング本体20が下方に移動する。外側ケーシング本体20が下方に移動することにより、外側ケーシング5に固定されている内側ケーシング3も下方に移動し、隙間CL1、CL2が不用意に狭まってしまう。具体的には、蒸気タービン1の軸線O1より上側の動翼6及び静翼4の隙間CL1、CL2が狭くなってしまう。
【0055】
(3)定格運転時
定格運転時では、外側ケーシング本体20とフランジ部21とは、略同じ温度となっている。即ち、外側ケーシング本体20の熱伸びとフランジ部21の熱伸びとは略等しく、隙間CL1、CL2は正常となっている。
【0056】
本実施形態の蒸気タービン1では、(1)低温状態の蒸気タービン1の起動時、及び(2)高温状態の蒸気タービン1の定格運転時からの停止時の状況においては、
図1に示すように、上側弁7を閉状態とし、下側弁8を開状態とする。即ち、外側ケーシング5の上部(上側ケーシング31の側)と下部(下側ケーシング32の側)とのうち、下部側により多くの排気蒸気S2が流れるように上側弁7と下側弁8とを制御する。
【0057】
ここで、蒸気タービン1の起動中では、排気蒸気S2の温度は、所定の温度よりも高温である。所定の温度とは、例えば、外側ケーシング本体20の温度である。
これにより、(1)低温状態の蒸気タービン1の起動時においては、蒸気タービン1の起動中の高温の排気蒸気S2が下側ケーシング32側に流入する。これにより、下側ケーシング本体32Aが熱伸びにより膨張する。これにより、蒸気タービン1の下部の隙間CL1,CL2が狭くなることが抑制される。
【0058】
また、(2)高温状態の蒸気タービン1の定格運転時からの停止時においては、蒸気タービン1の停止動作中の低い温度の蒸気S1が下側ケーシング32側に流入する。この低い温度とは、上記した所定の温度よりも低い温度である。これにより、下側ケーシング本体32Aが熱収縮により収縮する。これにより、蒸気タービン1の上部の隙間CL1,CL2のみが狭くなってしまうことが抑制される。
【0059】
また、(3)定常運転時では、上側弁7及び下側弁8を開状態とする。これにより、蒸気タービン1の上部及び下部にバランスよく排気蒸気S2が供給される。
【0060】
上記実施形態によれば、上側弁7と下側弁8のうち一方のみを閉状態とすることによって、第二主流路12の上部と下部のうち一方に多くの排気蒸気S2が流れるようになる。蒸気タービン1の運転状況に応じて第二主流路12の上部又は下部に高温又は低温の排気蒸気S2をより多く流すことによって、外側ケーシング5の変形を促してロータ2と内側ケーシング3との間の隙間CL1,CL2を適切な値に設定することができる。
【0061】
なお、本実施形態のフランジ部21は、上半フランジ33の方が大きく、上半フランジ33が架台35によって支持されている上半フランジ支持構造としたが、
図5に示すように、上半フランジ33よりも下半フランジ34を大きくして、下半フランジ34が架台35によって支持される構成としてもよい。以下、この支持方法を、下半フランジ支持と呼び、この構造を下半フランジ支持構造と呼ぶ。
【0062】
下半フランジ支持の場合は、(1)低温状態の蒸気タービン1の起動時では、下半フランジ34が、架台35の支持点よりも支持点同士の間が下方に下がるように変形する。このように下半フランジ34が変形することにより、外側ケーシング本体20が下方に移動する。これにより、蒸気タービン1の軸線O1より上側の動翼6及び静翼4の隙間CL1、CL2が狭くなってしまう。
【0063】
また、下半フランジ支持の場合は、(2)高温状態の蒸気タービン1の定格運転時からの停止時では、下半フランジ34が、架台35の支持点よりも支持点同士の間が上方に持ち上がるように変形する。
【0064】
蒸気タービン1が下半フランジ支持構造の場合は、蒸気タービン1の制御部9は、(1)低温状態の蒸気タービン1の起動時、及び(2)高温状態の蒸気タービン1の停止時、の状況においては、
図6に示すように、上側弁7を開状態とし、下側弁8を閉状態とする。
これにより、(1)低温状態の蒸気タービン1の起動時においては、蒸気タービン1の起動中の高い温度の排気蒸気S2が上側ケーシング31側に流入する。これにより、上側ケーシング本体31Aが熱伸びにより膨張する。これにより、蒸気タービン1の上部の隙間CL1、CL2が狭くなってしまうことが抑制される。
【0065】
また、(2)高温状態の蒸気タービン1の定格運転時からの停止時においては、蒸気タービン1の停止動作中の低い温度の排気蒸気S2が上側ケーシング31側に流入する。これにより、上側ケーシング本体31Aが熱収縮により収縮する。これにより、蒸気タービン1の下部の隙間CL1、CL2のみが狭くなってしまうことが抑制される。
【0066】
上述したように、本実施形態の蒸気タービン1の制御部9は、排気蒸気S2が所定の温度より高温の場合には、外側ケーシング5の上部と下部とのうち、フランジ部21の変形に伴いロータ2側に移動した方により多くの排気蒸気S2が流れるように上側弁7と下側弁8とを制御する。
また、排気蒸気S2が所定の温度より低温の場合には、外側ケーシング5の上部と下部とのうち、フランジ部21の変形に伴いロータ2側に移動した方とは反対の方により多くの排気蒸気S2が流れるように上側弁7と下側弁8とを制御する。
【0067】
また、本実施形態では、2つの上側排出口23と、2つの下側排出口24とを設ける構成としたが、これに限ることはない。例えば、
図7に示すように、上側ケーシング31に3つの上側排出口23を設け、下側ケーシング32に3つの下側排出口24を設けてもよい。また、図示しないが、上側ケーシング31に1つの上側排出口23を設け、下側ケーシング32に1つの下側排出口24を設けてもよい。さらに、上側排出口23と下側排出口24の数は異なってもよい。例えば、2つの上側排出口23と3つの下側排出口24とを設けてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、上側弁7の開度、及び下側弁8の開度を、100%開度(全開)又は0%開度(全閉)として説明したが、必ずしも弁の開度を全開、全閉としなくてもよい。
即ち、上側ケーシング本体31A側を加熱したい場合は、より多くの排気蒸気S2が上側ケーシング本体31A側に流れればよい。換言すれば、上側弁7と開状態とし、下側弁8を閉状態とする代わりに、上側弁7を100%の開度とし、下側弁8を20%の開度としてもよい。
【0069】
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態の蒸気タービン1Bについて図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図8、
図9及び
図10に示すように、本実施形態の蒸気タービン1Bは、内側ケーシング本体15の外周面15bと外側ケーシング本体20の内周面20aとにわたって形成された平板状の部材である閉止板43を有している。閉止板43は、第二主流路12を上下に分割するように形成されている。
【0070】
閉止板43は、内側ケーシング3の軸線方向他方側Da2の端部よりも軸線方向他方側Da2には形成されていない。即ち、閉止板43は、第一主流路11から排出された蒸気S1の上下方向Dvの流れを妨げないように形成されている。
また、閉止板43には、複数の孔44が形成されている。孔44は、内側ケーシング3の軸線方向一方側Da1の端部よりも軸線方向一方側Da1に形成されている。孔44は、上記した位置に限ることはない。孔44を形成する範囲は適宜調整することができる。例えば、閉止板43の全面に孔44を形成することができる。また、孔44は必ずしも形成する必要はない。
【0071】
上記実施形態によれば、上側弁7と下側弁8の切り替えによる、蒸気タービン1の排気蒸気S2の流れを確実に切り替えることができる。
また、閉止板43に孔44を設けることによって、上側と下側の排気蒸気S2の流れを完全に閉止することが不適当な場合に適切に、排気蒸気S2の一部を流通させることができる。
【0072】
〔第三実施形態〕
以下、本発明の第三実施形態の蒸気タービン1Cについて図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図11及び
図12に示すように、本実施形態の蒸気タービン1Cは、軸線O1と直交する主面を有する板状をなす邪魔板42を備えている。
【0073】
邪魔板42の軸線方向Daの位置は、内側ケーシング3の軸線方向他方側Da2の端部の位置と略同じである。邪魔板42は、径方向の内側にロータ2及び内側ケーシング3が挿通される邪魔板貫通孔45が形成された円板状の部材である。邪魔板貫通孔45と内側ケーシング3との間には、所定の隙間Gが形成されている。
【0074】
上記実施形態によれば、排気蒸気S2が狭い隙間Gを介して流れることによって、排気蒸気S2の流れがより周方向に均一な流れとなる。これにより、排気蒸気S2の周方向の流量に斑が生じるのを抑制することができる。
【0075】
なお、邪魔板42の形状は、
図12に示すような形状に限ることはない。例えば、
図13に示すように、内側ケーシング3の外周面15bと外側ケーシング5の内周面20aとにわたって形成された周方向の幅の小さな複数の第二邪魔板42Bとしてもよい。複数の第二邪魔板42Bは、周方向に等間隔に設けられている。
【0076】
この形態によれば、第二邪魔板42Bが存在する箇所と第二邪魔板42Bが存在しない箇所とでは排気蒸気S2の流量の斑が生じるが、周方向全体の大きな範囲では、排気蒸気S2の流量の斑は抑制される。
【0077】
また、
図14に示す第三邪魔板42Cのように、隙間Gを複数の邪魔板孔47によって形成してもよい。第三邪魔板42Cは、内側ケーシング3の外周面と外側ケーシング5の内周面とにわたって形成された邪魔板本体部46と、邪魔板本体部46に一様に形成された邪魔板孔47と、を有している。第三邪魔板42Cは、パンチングメタル(パンチング板)によって形成してもよい。邪魔板孔47の形状は円形に限ることはない。
【0078】
〔第四実施形態〕
以下、本発明の第四実施形態の蒸気タービンについて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態の制御部9は、外側ケーシング本体20の温度Tc、フランジ部21の温度Tfを参照し、表1に示すような条件に基づいて上側弁7と下側弁8の制御を行う。
【0080】
本実施形態の制御部9は、外側ケーシング本体20の温度Tcからフランジ部21の温度Tfを減じた値(Tc−Tf)と、温度の閾値Tsh1及び閾値Tsh2とを比較して、その結果により、上側弁7と下側弁8の開閉の制御を行う。なお、外側ケーシング本体20の温度Tcを測定する位置は、上側ケーシング31であっても下側ケーシング32であってもよい。また、フランジ部21の温度Tfを測定する位置は、上半フランジ33であっても下半フランジ34であってもよい。
【0081】
次に、温度の閾値Tsh1、及び閾値Tsh2の設定方法について説明する。温度の閾値Tsh2は、閾値Tsh1より高い値である。
好ましい閾値は、蒸気タービン1の構造、蒸気タービン1の各部の寸法、蒸気圧力、温度等の各種条件によって異なる。閾値は蒸気タービン1の運転中(起動時、停止時等の過渡も含めて)の最小の隙間CL1,CL2の予測値に対し、静止部(内側ケーシング3、静翼4)と回転部(ロータ2)の接触を防止できるよう、製作誤差、及び、予測誤差分のマージンを加えて設定する。
過渡時の隙間予測については、例えば、非特許文献1、及び非特許文献2に方法や結果の例が開示されているので、当業者はこれらを参照して予測することが可能であろう。
【0082】
本実施形態の蒸気タービン1の制御方法について説明する。
蒸気タービン1の制御方法は、外側ケーシング本体20の温度Tcとフランジ部21の温度Tfとを計測する計測工程S11と、閾値Tsh1,Tsh2を設定する閾値設定工程S12と、表1のロジックに基づいて弁の開閉を判断する判断工程S13と、弁制御工程S14、S15と、を備えている。
測定工程S11では、制御部9にケーシング温度センサ39によって計測された外側ケーシング本体20の温度Tcと、フランジ部温度センサ40によって計測されたフランジ部21の温度Tfとが送信される。
閾値設定工程S12では、蒸気タービン1の構造等に基づいて閾値Tsh1、Tsh2が設定される。
【0083】
判断工程S13では、表1に記載されているロジックに基づいて上側弁7及び下側弁8の開閉が判断される。
ここで、蒸気タービン1が上半フランジ支持構造である場合について説明する。蒸気タービン1が上半フランジ支持構造の場合、蒸気タービン1の起動時は、外側ケーシング5が上方に持ち上がって、蒸気タービン1の下部の隙間CL1、CL2が小さくなる。また、蒸気タービン1が上半フランジ支持構造の場合、蒸気タービン1の定格運転時からの停止時は、外側ケーシング5が下方に移動し、蒸気タービン1の上部の隙間CL1、CL2が小さくなる。
【0084】
制御部9は、TcからTfを減じた値(Tc−Tf)と、閾値Tsh1及び閾値Tsh2とを比較する。
Tc−Tfが閾値Tsh1よりも小さい場合(Tc−Tf<Tsh1)、即ち、フランジ部21の温度が外側ケーシング本体20の温度よりも大きく、蒸気タービン1が定格運転時からの停止中である場合は、上側弁7を閉じるとともに、下側弁8を開ける制御を行う。即ち、上側ケーシング本体31Aと下側ケーシング本体32Aとのうち下側ケーシング本体32Aの側により多くの排気蒸気S2が流れるように上側弁7及び下側弁8を制御する。
これにより、温度の低い排気蒸気S2が下側ケーシング本体32Aを収縮させる。これにより、蒸気タービン1の上部の隙間CL1、CL2が狭くなってしまうことが抑制される。
【0085】
Tc−Tfが閾値Tsh1以上、閾値Tsh2以下である場合(Tsh1≦Tc−Tf≦Tsh2)、即ち、フランジ部21の温度と外側ケーシング本体20の温度とが、近い値である場合、上側弁7及び下側弁8を開状態とする。
これにより、排気蒸気S2は、蒸気タービン1の上部及び下部に均等に流れる。
【0086】
Tc−Tfが閾値Tsh1よりも大きい場合(Tsh2<Tc−Tf)、即ち、外側ケーシング本体20の温度Tcがフランジ部21の温度よりも大きく、蒸気タービン1が起動中である場合は、上側弁7を閉じるとともに、下側弁8を開ける制御を行う。即ち、上側ケーシング本体31Aと下側ケーシング本体32Aとのうち下側ケーシング本体32Aの側により多くの排気蒸気S2が流れるように上側弁7及び下側弁8を制御する。
これにより、温度の高い排気蒸気S2が下側ケーシング本体32Aを膨張させる。これにより、蒸気タービン1の下部の隙間CL1、CL2のみが狭くなってしまうことが抑制される。
【0087】
蒸気タービン1の制御方法では、上記処理を繰り返し(終了後、開始に戻る)、又は、一定時間間隔毎に行う。
【0088】
また、蒸気タービン1が下半フランジ34支持構造である場合も、同様に、表1のロジックに従って制御を行う。
【0089】
上記実施形態によれば、各部の温度を参照して制御を行うことによって、より正確な制御が可能となる。
【0090】
〔第五実施形態〕
以下、本発明の第五実施形態の蒸気タービンについて詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第四実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態の蒸気タービン1は、制御部9が排気蒸気S2の温度を参照して制御を行う。
【0091】
本実施形態の制御部9は、外側ケーシング本体20の温度Tc、フランジ部21の温度Tf、及び排気蒸気S2の温度Tseを参照し、表2に示すような条件に基づいて上側弁7と下側弁8の制御を行う。
【0093】
本実施形態の制御部9は、第四実施形態の蒸気タービンの制御に加えて、外側ケーシング本体20の温度Tcから排気蒸気S2の温度Tseを減じた値(Tc−Tse)と、温度の閾値Tsh3とを比較して、その結果により、上側弁7と下側弁8の開閉の制御を行う。
【0094】
温度の閾値Tsh3は、排気蒸気S2の温度のうち最も高温とされる温度と、排気蒸気S2の温度のうち最も低温とされる温度との中間の温度等に基づいて設定することができる。
なお、排気蒸気S2の温度Tseの計測位置は、図に示したような外側ケーシング5の外部よりも、外側ケーシング5の内部が好ましい。外側ケーシング5の外部で排気蒸気S2の温度Tseの計測する場合は、閾値Tsh3は、外側ケーシング5を出た後の熱逃げ等を考慮して設定する。
【0095】
本実施形態の蒸気タービンの制御方法について説明する。
本実施形態の蒸気タービンの制御方法は、外側ケーシング本体20の温度Tcとフランジ部21の温度Tfと排気蒸気S2の温度Tseとを計測する計測工程S21と、閾値Tsh1,Tsh2,Tsh3を設定する閾値設定工程S22と、表2のロジックに基づいて弁の開閉を判断する判断工程S23と、弁制御工程S24、S25、S26と、を備えている。
【0096】
ここでは、特に判断工程S23について説明する。本実施形態の判断工程S23は、第四実施形態の判断工程S13に加えて、Tc−TseがTsh3より小さい(Tc−Tse<Tsh3)か、Tc−TseがTsh3以上(Tc−Tse≧Tsh3)か、を判断基準に加える。
【0097】
Tc−TseがTsh3より小さいということは即ち、排気蒸気S2の温度Tseが
所定の温度よりも高温である。よって、排気蒸気S2は、上側ケーシング本体31A又は下側ケーシング本体32Aの加熱に用いられる。
Tc−TseがTsh3以上ということは即ち、排気蒸気S2の温度Tseが所定の温度よりも低温である。よって、排気蒸気S2は、上側ケーシング本体31A又は下側ケーシング本体32Aの冷却に用いられる。
【0098】
蒸気タービンの制御方法では、上記処理を繰り返し(終了後、開始に戻る)、又は、一定時間間隔毎に行う。
また、蒸気タービン1が下半フランジ34支持構造である場合も、同様に、表2のロジックに従って制御を行う。
【0099】
上記実施形態によれば、第四実施形態の蒸気タービンの効果に加えて、排気蒸気S2の温度Tseを判断基準に加えることにより、運転状態が切り替わった等の理由で排気温度S2の温度Tseが想定とはことなった場合においても、的確な制御を行うことができる。
【0100】
〔第六実施形態〕
以下、本発明の第六実施形態の蒸気タービン1Fについて図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図17に示すように、本実施形態の蒸気タービン1Fは、高圧タービン51と中圧タービン52とが一体となった蒸気タービンである。
【0101】
本実施形態の蒸気タービン1Fは、高圧タービン51と、中圧タービン52とを有している。
本実施形態の内側ケーシング3Fとロータ2との間には、高圧タービン51の主流路である高圧タービン主流路11Aと、中圧タービン52の主流路である中圧タービン主流路11Bとが形成されている。
【0102】
本実施形態の内側ケーシング3は、高圧タービン主流路11Aに蒸気S1を導入する高圧内側導入口54と、高圧タービン51から蒸気S1Bを排出する高圧内側排出口55と、中圧タービン主流路11Bに高圧タービン51から排出された蒸気S1Bを導入する中圧内側導入口16Fと、中圧タービン主流路11Bから排気蒸気S2を排出する中圧内側排出口17Fと、を有している。
【0103】
外側ケーシング5は、高圧内側導入口54の径方向外側に形成されている高圧外側導入口53と、高圧タービン51から排出される蒸気S1Bを排出する高圧外側排出口56と、高圧内側導入口54の径方向外側に形成され、高圧外側排出口56から排出された蒸気S1Bを中圧タービン主流路11Bに導入する外側中圧導入口22Fと、中圧タービン52から排出された排気蒸気S2を排出する上側排出口23及び下側排出口24と、を有している。
【0104】
高圧タービン51は、内側ケーシング本体15に形成されている高圧内側導入口54と、外側ケーシング本体20に形成されている高圧外側導入口53と、外側ケーシング本体20に形成されている高圧外側排出口56と、を有している。高圧外側排出口56は、内側ケーシング3よりも軸線方向一方側Da1に形成されている。
中圧タービン52は、内側ケーシング本体15に形成されている中圧内側導入口16F及び中圧内側排出口17Fと、外側ケーシング本体20に形成されている中圧外側導入口22Fと、を有している。
高圧タービン51の高圧外側排出口56と中圧タービン52の外側中圧導入口22Fとは配管70で接続されている。
【0105】
制御部9は、第一実施形態から第五実施形態の蒸気タービンと同様の方法で上側弁7及び下側弁8の制御を行う。例えば、蒸気タービン1Fが上半フランジ支持構造であり、蒸気タービン1の起動中において、上側ケーシング31Fが上方に移動した場合は、
図17に示すように、下側弁8を開状態として、高温の排気蒸気S2を下側ケーシング32F側に流入させる。
【0106】
上記実施形態によれば、複数のタービンのケーシングを一体化することによって、必要なケーシングの数を減らし、蒸気タービンを簡素化し、低コスト化を図ることができる。
【0107】
〔第二主流路12を流れる排気蒸気S2流量の周方向の偏り〕
上記各実施形態の蒸気タービンを適宜使うことにより、蒸気タービン1の上部、下部それぞれの第二主流路12を流れる排気蒸気流量の周方向の偏りの大小を調整することが可能である。
以下、排気蒸気流量の周方向の偏りが大きい順に説明する。
【0108】
(1)図には示さないが、上側排出口23と下側排出口24とをそれぞれ1つ設けた構成は、最も排気蒸気流量の周方向の偏りが大きい。
(2)
図3に示す、上側排出口23と下側排出口24とをそれぞれ2つ設けた構成は、上側排出口23と下側排出口24とをそれぞれ1つ設けた構成よりも排気蒸気流量の周方向の偏りが小さくなる。
(3)
図7に示す、上側排出口23と下側排出口24とをそれぞれ3つ設けた構成は、上側排出口23と下側排出口24とをそれぞれ2つ設けた構成よりも排気蒸気流量の周方向の偏りが小さくなる。
(4)
図12から
図14に示す、邪魔板42を設ける構成は、最も排気蒸気流量の周方向の偏りを小さくすることができる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の技術は、高圧タービン51と中圧タービン52に加えて、低圧タービンを一体とした蒸気タービン1にも適用可能である。