特許第6614678号(P6614678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6614678ウインドウ期間を用いた事象に対するタイムラグインジケータの識別する方法、システム及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614678
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ウインドウ期間を用いた事象に対するタイムラグインジケータの識別する方法、システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20191125BHJP
【FI】
   G06Q10/04
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-515189(P2017-515189)
(86)(22)【出願日】2015年8月14日
(65)【公表番号】特表2017-531260(P2017-531260A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】IB2015056194
(87)【国際公開番号】WO2016046660
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2018年5月11日
(31)【優先権主張番号】14/496,002
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】リー、リー
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シュエン
(72)【発明者】
【氏名】ドン、ウエイ、シャン
(72)【発明者】
【氏名】マー、チュン、ヤーン
(72)【発明者】
【氏名】シーン、ソーンホウ
【審査官】 上田 威
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−150869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0138577(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0262027(US,A1)
【文献】 特開2013−130946(JP,A)
【文献】 特開2011−076409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力インタフェースとプロセッサとを備えるシステムにより被予測事象のタイムラグインジケータを識別する方法であって、
前記入力インタフェースを用いて、前記被予測事象とは異なる事象である要因の指標を含む情報を受け取ることと、
前記プロセッサを用いて、事象発生時刻及び要因発生時刻を含む履歴情報を、前記事象発生時刻の中の最初の事象発生時刻と最後の事象発生時刻との間の期間にわたって解析し、当該解析に基づいて、前記事象が前記要因と統計的に相関するウインドウ期間を識別することと、
前記プロセッサを用いて、前記ウインドウ期間の持続時間にわたって前記要因及び前記事象の発生を示すデータを収集することと、
前記プロセッサを用いて、前記収集されたデータのうちの候補要因の中から最も相関する要因を選択し、当該選択された要因に対する前記事象のタイムラグ従属性を識別することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記プロセッサを用いて、前記タイムラグ従属性に基づいて、前記要因の発生後の事象の発生を予測することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記履歴情報を解析することが、
前記最初の事象発生時刻以外の前記事象発生時刻とそれぞれの事象発生時刻の直前のそれぞれの要因発生時刻との間の持続時間に基づいて第1の平均持続時間を計算することと、
更に、前記最後の事象発生時刻以外の前記事象発生時刻とそれぞれの事象発生時刻の直後のそれぞれの要因発生時刻との間の持続時間に基づいて第2の平均持続時間を計算することと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウインドウ期間を識別することが、
前記最初の事象発生時刻と前記最後の事象発生時刻との間の持続時間と、前記第1の平均持続時間と、前記第2の平均持続時間とに基づいて前記ウインドウ期間を計算すること
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の平均持続時間を計算することが、前記それぞれの事象の前の事象の明確な終了時刻に更に基づく、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサを用いて、前記データ内の各事象の前の前記ウインドウ期間にわたる前記要因の発生回数を総計すること基づいて、総計データを生成することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記タイムラグ従属性を識別することが、前記総計データに基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記タイムラグ従属性を識別することが、サンプルデータに基づいて前記事象と前記要因との間の相関を定量化することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
被予測事象のタイムラグインジケータを識別するシステムであって、
前記被予測事象とは異なる事象である要因の指標を含む情報を受け取るように構成された入力インタフェースと、
事象発生時刻及び要因発生時刻を含む履歴情報を、前記事象発生時刻の中の最初の事象発生時刻と最後の事象発生時刻との間の期間にわたって解析し、当該解析に基づいて、前記事象が前記要因と統計的に相関するウインドウ期間を識別し前記ウインドウ期間の持続時間にわたって前記要因及び前記事象の発生を示すデータを収集し;そして、前記収集されたデータのうちの候補要因の中から最も相関する要因を選択し、当該選択された要因に対する前記事象のタイムラグ従属性を識別するように構成されたプロセッサと
を備えた前記システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記タイムラグ従属性に基づいて、前記要因の発生後の事象の発生を予測するようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記最初の事象発生時刻以外の前記事象発生時刻とそれぞれの事象発生時刻の直前のそれぞれの要因発生時刻との間の持続時間に基づいて第1の平均持続時間を計算するように動作可能であり、更に、前記最後の事象発生時刻以外の前記事象発生時刻とそれぞれの事象発生時刻の直後のそれぞれの要因発生時刻との間の持続時間に基づいて第2の平均持続時間を計算するように動作可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記最初の事象発生時刻と前記最後の事象発生時刻との間の持続時間と、前記第1の平均持続時間と、前記第2の平均持続時間とに基づいて前記ウインドウ期間を計算する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記それぞれの事象の前の事象の明確な終了時刻に更に基づいて前記第1の平均持続時間を計算するように動作可能である、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記データ内の各事象の前の前記ウインドウ期間にわたる前記要因の発生回数を総計することに基づいて総計データを生成するように動作可能である、請求項9〜13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記総計データに基づいて前記タイムラグ従属性を識別するように動作可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、サンプルデータに基づいて前記事象と前記要因との間の相関を定量化する、請求項に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムが入力インタフェースとプロセッサとを備えるシステム上で実行されたときに請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法を前記システムに実施させるように適合された、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事象予測に関し、より詳細には、ウインドウ期間を用いた事象に対するタイムラグインジケータの識別に関する。
【背景技術】
【0002】
事象予測は、履歴データ及びその他のデータに基づいて未来の事象を予測することに向けられたデータ解析のアプリケーションである。典型的には、頻繁かつ規則的間隔で起こる事象は、まれにかつ不規則に起こる事象よりも予測が容易である。なぜなら、時間的パターンを用いた従来の連関規則マイニングは、このような不規則事象を予測する見込みがないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、被予測事象のタイムラグインジケータを識別する方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、被予測事象のタイムラグインジケータを識別する方法は、被予測事象とは異なる事象である要因の指標を含む情報を受け取ることと、プロセッサを用いて、事象が要因と統計的に相関するウインドウ期間を識別することと、ウインドウ期間の持続時間にわたって要因及び事象の発生を示すデータを収集することと、データを解析することに基づいて要因に対する事象のタイムラグ従属性を識別することとを含む。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、被予測事象のタイムラグインジケータを識別するシステムは、被予測事象とは異なる事象である要因の指標を含む情報を受け取るように構成された入力インタフェースと、事象が要因と統計的に相関するウインドウ期間を識別し、ウインドウ期間の持続時間にわたって要因及び事象の発生を示すデータを収集し、データの解析に基づいて要因に対する事象のタイムラグ従属性を識別するように構成されたプロセッサとを備える。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータプログラム製品は、プロセッサで処理されたときに該プロセッサに被予測事象のタイムラグインジケータを識別する方法を実装させる命令を含む。該方法は、被予測事象とは異なる事象である要因の指標を含む情報を受け取ることと、事象が要因と統計的に相関するウインドウ期間を識別することと、ウインドウ期間の持続時間にわたって要因及び事象の発生を示すデータを収集することと、データを解析することに基づいて要因に対する事象のタイムラグ従属性を識別することとを含む。
【0007】
追加の特徴及び利点は、本発明の技術によって実現される。本発明の他の実施形態及び態様は、本明細書で詳細に説明され、特許請求する発明の一部とみなされる。本発明をその利点及び特徴と共に一層よく理解するために、説明及び図面を参照されたい。
【0008】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分にある特許請求の範囲で具体的に指摘しかつ明確に特許請求している。ここで、本発明の好ましい実施形態を、例示のみの目的で、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態によるタイムラグインジケータの識別に基づく事象予測を行うシステムのブロック図である。
図2】本発明の実施形態によるウインドウ期間の識別及び使用に基づいて事象に対するタイムラグインジケータを識別する方法のプロセスフローである。
図3】本発明の実施形態によるウインドウ期間を識別するために用いられる例示的なデータ集合を示す。
図4】本発明の一実施形態によるウインドウ期間を示す。
図5】本発明の別の実施形態によるウインドウ期間を示す。
図6】本発明の実施形態による2つの例示的な候補要因の中から要因を識別するために用いられるサンプリング表を示す。
図7】本発明の実施形態によるタイムラグ従属性を識別するために用いられるサンプリング表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記のように、まれかつ不規則な事象は予測が難しい。これらの事象は、ランダムであり、明白な時間パターンを有さない。加えて、それらの発生は、不確定性に関連付けられ、しばしば他の要因により条件付けられる。従って、共起型関係を探す伝統的な連関規則マイニング又は関連性解析では、まれかつ不規則な事象の予測には限界があり得る。これらの事象は、2つのタイプのパターンに高度に従属し、それに関する情報を事前に知ることができる。1つのタイプのパターンは、タイミングである。例えば、一箱のバターが購入から1ヶ月以内に賞味期限切れになるとすると、それにより、新たな一箱のバターがいつ購入されるかの予測が支援される。他方のタイプのパターンは、被予測事象に関連した付加的要因である。例えば、自動車窃盗は、盗まれた自動車がしばしば強盗の犯行に用いられるので、強盗の予測に関連した要因となり得る。共起又は同時発生のみを用いて関係を確立するとすれば、要因が実際には無関係の事象に関連付けられる場合がある。他方、たとえある要因が事象の予測に影響を及ぼす場合であってもその要因が識別されない場合がある。本発明者は、要因と事象との間の統計的関係がウインドウ期間内で正確に識別される(それと同時に、誤った相関を軽減する)ことを見いだした。本明細書で詳述されるシステム及び方法の実施形態は、妥当なウインドウ期間を識別すること、及び該ウインドウ期間を用いて事象予測で使用するためのタイムラグインジケータを識別することに関する。すなわち、実施形態は、注目事象と相関する注目事象以外の事象である要因からのタイムラグに基づく事象予測式の開発を詳述する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態によるタイムラグインジケータの識別に基づく事象予測を行うシステム110のブロック図である。システム110は、ソース130からの情報を受け取るための入力インタフェース112を含む。情報は、無線受信することができ、又はネットワーク120を通して受け取ることができる。情報は、事前知識、調査情報、又は専門知識、履歴事象情報、又は妥当な要因情報を含むことができる。情報は、注目要因を指示し、又はこれを用いて注目要因を識別することができる。詳細に後述するように、情報の一部又は全部を用いて、事象102と注目要因103との間の統計的相関が識別可能なウインドウ期間101を識別する。次いで情報の一部又は全部を用いて、事象102を予測するためのタイムラグインジケータ(要因に適用される規則)を識別する。すなわち、1つの実施形態によれば、ウインドウ期間101及びタイムラグインジケータを、受け取った情報の中で要因103として識別される(既知の)要因103に対して決定することができる。別の実施形態によれば、2つ以上の(潜在的)要因103を、ウインドウ期間101を決定し、候補要因103のうちどれが事象に最も密接に相関するか判断することにより、試行することができる。両実施形態をさらに詳細に後述する。データの一部又は全部を、1つ又は複数のプロセッサ115による処理において用いるためにシステム110の1つ又は複数のメモリ装置113内に格納することができる。プロセッサ115は、ウインドウ期間101を識別して、サンプリングされたデータがウインドウ期間101中にメモリ装置113内に収集及び格納されるようにすることができる。タイムラグ従属性もまたプロセッサ115によって識別され、メモリ装置113内に知識ベースが構築されるようにすることができ、これはまた、実時間事象102及び実時間要因103のデータベースも維持することができる。出力インタフェース117は、更なる処理のためのウインドウ期間101及びタイムラグインジケータ情報(事象予測規則)を含むデータの出力を容易にし、又はプロセッサ115による処理に基づく事象予測情報の出力を容易にする。出力は、ディスプレイ若しくは無線伝送を通してオペレータに対して行われ、又はネットワークを通して別のシステムに対して行うことができる。システム110の構成要素(112、113、115、117)は、共通バスを通してデータを共有することができ又はそれ以外の方法で相互接続することができる。
【0012】
図2は、本発明の実施形態によるウインドウ期間101を識別すること及び使用することに基づいて事象102に対するタイムラグインジケータを識別する方法のプロセスフローである。ブロック210において、事前知識、調査情報、又は専門知識、履歴事象情報、又は関連要因情報のいずれか又は全てを含む情報を受け取る。事前知識は、事象102に関する情報及び1つ又は複数の潜在要因103に関する情報を含む。調査情報及び専門知識は、例えば候補要因103の選択を支援することができる。履歴事象情報及び関連要因情報は、詳細に後述するように、ウインドウ期間101の決定に用いられる。ブロック210で受け取る情報は、予測を行う(ブロック250)のに必要な現在又は実時間の情報を付加的に含むことができる。上記のように、受け取った情報は(ブロック210)は、2つの実施形態の一方に属することができる。
【0013】
1つの実施形態によれば、情報は、事前知識、調査、専門知識、又はソース130から受け取った他の情報に基づいて、要因103を識別する。この実施形態によれば、ブロック220においてウインドウ期間101を決定することは、後で詳述するように(既知)要因103に対するものである。ひとたびウインドウ期間が決定されると、ブロック230においてウインドウ期間101内の要因103及び事象102のサンプルを収集することが、解析を促進する(ブロック235の処理は行われない)。この解析は、ブロック240において要因103に対する事象102のタイムラグ従属性(従って事象予測規則)を識別することを促進する。ブロック250において、事象102を予測することは、識別されたタイムラグ従属性(事象予測規則)並びに要因103の履歴又は実時間発生に関する情報(ブロック210)に基づく。すなわち、1つの実施形態によれば、バリデーションは、履歴的に入手可能なデータに対して行うことができる。代替的な実施形態において、バリデーションは、実時間データを用いて行うことができる(すなわち、タイムラグ従属性を新たに発生した要因に適用する)。実時間バリデーションは、ウインドウ期間101の持続時間に依存して実用性が高まる又は低下する場合がある(すなわち、バリデーションのために実時間情報を用いることは、ウインドウ期間101が比較的長い場合には非実用的であり得る)。ブロック260において予測をバリデーションすることに基づいて、ブロック270において情報に追加することは、相関する要因103及び事象102に関する知識ベースに追加することを含む。
【0014】
代替的な実施形態によれば、情報は、2つ又はそれ以上の候補要因103(又は要因103の集合)を識別する。ブロック220においてウインドウ期間101を決定すること及びブロック230においてウインドウ期間101内のサンプルを収集することは、全ての候補要因103に対して行われる。次いでブロック235において注目要因103が識別される。ひとたび要因103がブロック235において識別されると、ブロック240においてタイムラグ従属性(及び対応する事象予測規則)を識別するプロセス及びそれに続くプロセス(250−270)は、上述の実施形態の場合と同じである。プロセスの各々は、以下詳述する。ウインドウ期間101の決定(ブロック220)を最初に詳述する。
【0015】
図3は、本発明の実施形態によりウインドウ期間101を識別するために用いられる例示的なデータの集合を示す。例示的なタイムライン310を(履歴)事象102Y及び要因103Xの発生時刻と共に示す。上述のように、所与の事象102(例えば住居強盗)に対する要因103(例えば自動車窃盗)を既知の要因103とすることができる。代替的に、1より多くの候補要因103をタイムライン310上で用いることができる。すなわち、要因103Xは、注目事象Y(例えば住居強盗)と潜在的に相関し得る1より多くのタイプの要因(例えば、自動車窃盗、銃窃盗)とすることができる。事象集合102Y1、Y2、Y3、Y4の発生時刻(例えば、4件の住居強盗の時刻)が図3のタイムライン310上に表示され、1つ又は複数の要因103の発生時刻(例えば、11件の自動車窃盗の時刻、又は7件の自動車窃盗及び4件の銃窃盗の時刻)は、事象102Y1とY4との間に散在する他の全てのマークで示される。所与の事象102Yと該事象102の直後の要因103Xとの間のタイムギャップはGFで表示され、所与の事象102Yと該事象102の直前の要因103Xとの間のタイムギャップはGPで表示される。事象102が更に後述するハードエンド(hard end)を有する代替的な実施形態によれば、所与の事象102Yと、要因103Xと次いで事象102Yとに先立つハードエンドとの間のタイムギャップがGPである。所与の事象102Yの集合{Y1,Y2,...,Yi}及び所与の要因103Xの集合{X1,X2,...,Xj}に関して、GF及びGpの総数はi−1である(持続時間が事象Yで開始及び終了する場合)。図3に示す例において、iは4、jは11であり、GF及びGPの総数は、示したようにi−1、すなわち3である。ウインドウ期間101を計算するために用いられる値a104、b105、c106、及びd107は、GF及びGPのi−1個の値の集計統計量(summary statistics)に基づき、正規分布を仮定すると以下の通りである。
【数1】

Tyn及びTymは、2つの事象の発生時刻であり、Tynが後の事象である。値a104、b105、c106、及びd107の各々は、加算又は減算される標準偏差を有することができる。標準偏差値は、事前知識に基づいて決定することができる。a104、b105、c106、及びd107を用いたウインドウ期間の決定を、以下、図4及び図5を参照して2つの異なる実施形態について説明する。
【0016】
図4は、本発明の1つの実施形態によるウインドウ期間101を示す。図4に示す実施形態によれば、後で更に説明するようにc106は存在しない(ハードエンドは存在しないのでc=0)。事象102間(ソフトスタートからソフトエンドまで)の総時間は、式3で示されるように、d107で与えられる。式1で示されるように、事象102とその直後の要因103との間の平均間隔又はギャップ(平均GF)は、a104で与えられる。要因103の発生が、計算すべき値であるウインドウ期間101を開始する。式2で示されるように、要因103とその後の事象102との間の平均間隔又はギャップ(平均GP)は、b105で与えられる。値a104、b105、及びd107は、利用可能な履歴データを用いて計算されるので(式1、式2、式3を用い、ここで式2は、c106が存在しない、すなわちc=0の場合、b105を与える)、ウインドウ期間101は、
d−(a+b) [式4]
に従って計算することができる。
【0017】
図5は、本発明の別の実施形態によるウインドウ期間101を示す。図5に示す実施形態は、持続時間c106を含み、これは事象102の明確な終了(ハードエンド)を表す。例えば、被予測事象102がバターの購入の場合、以前購入したバターの賞味期限がc106を与えることになるであろう。図4に示す実施形態で示されるように、ウインドウ期間101に対する拡張として機能する、この明確な終了は、特定の事象102には適用されない場合がある。図3に関する考察において言及したように、注目事象102がハードエンドを有する場合、GPはb+cである。この場合、式2は、b105とc106との合計を与え、ウインドウ期間101は、
d−(a+b+c) [式5]
によって与えられる。ひとたびウインドウ期間が既知になると、後述するように、要因103に対する事象102のタイムラグ従属性の解析及び決定(図2、ブロック240)のために、事象102及び要因103発生のサンプルが、受け取った情報(図2、ブロック210)から又は実時間で収集される(図2、ブロック230)。1つの実施形態によれば、ブロック240でタイムラグ従属性を決定する前に、要因103が、候補要因103の中から最も密接に相関する要因103として選択される。この実施形態を最初に論じる。
【0018】
図6は、本発明の実施形態による2つの例示的な候補要因103の中から要因103を識別するために用いられるサンプリング表610を示す。図6は、ソース130から受け取られた情報内の中で1つより多くの(潜在的)要因103が識別される実施形態による、ブロック235での処理を示す。図6では説明の目的で2つの候補要因103(要因1及び要因2)が示されているが、更なる候補要因103を考えることができる(ブロック220におけるウインドウ期間101の決定、及びブロック235における注目事象102に最も密接に相関する候補要因103を識別するための処理において)。サンプリング表610は、3つのウインドウ期間101−1、101−2、101−3にわたる注目事象102並びに候補要因103である要因1及び要因2の発生数を含む。ウインドウ期間101同士の間の時間は、間隔a104である。候補要因103の要因1及び要因2の発生数を総計表620において総計する。総計表620は、サンプルを取得したウインドウ期間101内で第1の候補要因103である要因1の方が第2の候補要因103である要因2よりも多くの回数発生したことを示す。これに基づいて、第1の候補要因103である要因1の方が事象102により密接に相関することから、これが事象102の予測において用いられる要因103として識別される。図2に示すプロセスフローのこの段階(ブロック235完了後)において、ウインドウ期間101が識別され、単一の要因103もまた識別されたことになる(要因103は開始時点から既知であった又はブロック235において決定された、そのいずれかである)。要因103に対する事象102のタイムラグ従属性の識別(ブロック240)を次に詳述する。
【0019】
図7は、本発明の実施形態によるタイムラグ従属性を識別するために用いるサンプリング表710を示す。単一の要因103が事象102に相関するものとして既知である場合、図6に示すサンプリング表610及び総計表620は生成されない。しかしながら、サンプリング表610において収集されたサンプルを用いてタイムラグ従属性を決定することができる。説明の目的で、サンプリング表610並びにサンプリング表610及び要因103の要因1に対応する相関表ではなく、1つの注目要因103(例えば図6を参照した考察に従って識別された要因103の要因1)に関連付けられたサンプリング表710及び相関表720を論じる。図7に示す例において、ウインドウ期間101を7日間と仮定する。従って、サンプリング表710に示された各事象日に対して、事象102の日及びそれ以前の7日間の各日に対して要因103の発生(「1」で示される)が示される。サンプリング表710に示された要因103発生に基づいて、この例における7日間のウインドウ期間101の各日における要因103と事象102との間の相関を示す相関表720が生成される。相関は、図7に示すように、例えばピアソン(Pearson)のR相関を用いて定量化することができる。代替的な実施形態において、別のタイプの相関(例えばクラメール(Cramer)のV相関)を用いることができる。ウインドウ期間101についての相関表720に示された相関の中で最も高い相関を用いてタイムラグ従属性を決定する。この例示的な事例では、7日間のウインドウ期間101内で「5日前」が最高相関値を示したので、タイムラグ従属性は5日間と決定される。タイムラグインジケータ(要因103発生)に基づいて、事象予測は、
factor_occurrence+a+time_lag [式6]
によって与えられる。要因103の発生時刻から持続時間a104及び上記相関表720を参照して論じたタイムラグが、事象102の予測発生を示す。上述の例の場合、事象102の5日前が要因103と事象102との間の最高相関をもたらした。従って、式6中のtime_lagは、この例示的な事例において5となる。a104の値は、ウインドウ期間101を決定するプロセスの間に式1を用いて決定されているはずである(図2、ブロック220)。
【0020】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明のみを目的としたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含むことを意図する。更に、本明細書内で使用する場合に、「備える、含む」及び/又は「備えている、含んでいる」という用語は、そこに述べた特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を明示しているが、1つ又は複数の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことは理解されるであろう。
【0021】
以下の特許請求の範囲における全ての「手段又はステップと機能との組み合わせ(ミーンズ又はステップ・プラス・ファンクション)」要素の対応する構造、材料、動作、及び均等物は、その機能を、明確に特許請求された他の請求要素との組み合わせで実行するためのあらゆる構造、材料、又は動作を含むことが意図されている。本発明の説明は、例証及び説明を目的として提示されたものであるが、網羅的であること又は本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。本発明の範囲及び思想から逸脱しない多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及び実際の用途を最も良く説明するようにまた企図される特定の用途に適するような種々の修正を伴う種々の実施形態に関して本発明を当業者が理解するのを可能にするように、選択しかつ説明したものである。
【0022】
本明細書に示されるフロー図は、単に1つの例である。本発明の思想から逸脱することなく、この図又はその中に記載されたステップ(又は動作)に対する多くの変形が存在し得る。例えば、ステップを異なる順序で実行することができ、又はステップを追加、削除若しくは修正することができる。これらの変形の全てが特許請求される発明の一部とみなされる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、当業者は、現在及び未来の両方において、以下の請求項の範囲内に入る種々の改善及び強化を行うことができる。これらの請求項は、最初に記載された発明に対する適正な保護を維持するものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0024】
101:ウインドウ期間
102:事象
103:要因
104:a
105:b
106:c
107:d
110:システム
112:入力インタフェース
113:メモリ装置
115:プロセッサ
117:出力インタフェース
130:ソース
610、710:サンプリング表
620:総計表
720:相関表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7