特許第6614683号(P6614683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6614683無線通信装置および無線アンテナ判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6614683
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】無線通信装置および無線アンテナ判定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/29 20150101AFI20191125BHJP
   H04B 17/19 20150101ALI20191125BHJP
【FI】
   H04B17/29 400
   H04B17/19
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-230815(P2018-230815)
(22)【出願日】2018年12月10日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 純
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−074293(JP,A)
【文献】 特開2018−157498(JP,A)
【文献】 特開2007−134983(JP,A)
【文献】 特開平11−017630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/29
H04B 17/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線アンテナを接続した第1無線通信部と第2無線アンテナを接続した第2無線通信部との2つの無線通信部を備える無線通信装置であって、
前記第2無線通信部に、前記第1無線アンテナの判定を行うための試験用電波を前記第2無線アンテナから送信する手段を備え
かつ、前記第1無線通信部に
前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定する試験用受信機と、
前記第1無線アンテナを、通常運用に用いる第1送信機および第1受信機と前記試験用受信機とのいずれかに切り替えて接続する切替スイッチと、
を備え、
かつ、前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いている場合における前記試験用電波の受信電波強度の値を基準値としてあらかじめ登録している記憶部を備え、
かつ、
前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、
前記第2無線アンテナから前記試験用電波を送信させるとともに、前記切替スイッチを制御して、前記第1無線アンテナを前記試験用受信機に接続して、前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定し、測定した該受信電波強度と前記記憶部にあらかじめ登録されている前記基準値との差異がアンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、
前記試験用電波として複数の周波数を用いた複数の試験用電波を順次前記第2無線アンテナから送信させるとともに、
前記切替スイッチにより前記第1無線アンテナに接続した前記試験用受信機は、前記第2無線アンテナから送信された前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度を順次測定し、
かつ、
測定した前記受信電波強度と前記基準値との差異の代わりに、前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する場合、
前記記憶部に、前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いている場合における前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する特徴判定基準値としてあらかじめ登録しておき、
かつ、
前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を取り出すために、前記試験用受信機において測定した前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の変化率として取得し、
取得した互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の変化率と前記記憶部にあらかじめ登録されている互いに隣り合う周波数に関する前記特徴判定基準値との差異が、いずれも、アンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた判定規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであると判定した場合、前記切替スイッチを制御して、前記第1無線アンテナを、前記試験用受信機から切り離して、通常運用時に使用する前記第1受信機および前記第1送信機に接続し、
一方、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナではないと判定した場合、前記第1無線アンテナを、前記試験用受信機に接続した状態のままとして、通常運用時に使用する前記第1受信機および前記第1送信機には未接続の状態を維持する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第2無線アンテナから送信する前記試験用電波の周波数帯は、試験対象となる前記第1無線アンテナを接続する前記第1無線通信部が通常運用時に使用する無線電波の周波数帯とは異なる帯域である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第2無線アンテナを接続する前記第2無線通信部は、特定小電力920MHz帯無線通信部であり、前記第1無線アンテナを接続する前記第1無線通信部は、LTE方式携帯無線通信部である、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
第1無線アンテナを接続した第1無線通信部と第2無線アンテナを接続した第2無線通信部との2つの無線通信部を備えた無線通信装置における無線アンテナ判定方法であって、
前記第1無線アンテナの判定を行うための試験用電波を前記第2無線アンテナから送信するステップと、
前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定する試験用受信ステップと、
前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いている場合における前記試験用電波の受信電波強度の値を基準値としてあらかじめ登録する記憶ステップと、
を有し、
かつ、
前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、
前記第2無線アンテナから前記試験用電波を送信させるとともに、前記試験用受信ステップにより、前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定し、測定した該受信電波強度と前記記憶ステップによりあらかじめ登録されている前記基準値との差異がアンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする無線アンテナ判定方法。
【請求項8】
前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、
前記試験用電波として複数の周波数を用いた複数の試験用電波を順次前記第2無線アンテナから送信させるとともに、前記試験用受信ステップにより、前記第2無線アンテナから送信された前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度を順次測定し、
かつ、
測定した前記受信電波強度と前記基準値との差異の代わりに、前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線アンテナ判定方法。
【請求項9】
前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する場合、
前記記憶ステップにより、前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いている場合における前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する特徴判定基準値としてあらかじめ登録しておき、
かつ、
前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を取り出すために、前記試験用受信ステップにより測定した前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波における受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが前記複数の周波数それぞれの前記試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の変化率として取得し、
取得した互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の変化率と前記記憶ステップによりあらかじめ登録されている互いに隣り合う周波数に関する前記特徴判定基準値との差異が、いずれも、アンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた判定規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線アンテナ判定方法。
【請求項10】
前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであると判定した場合、前記第1無線アンテナを、通常運用時に使用する第1受信機および第1送信機に接続し、
一方、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナではないと判定した場合、前記第1無線アンテナを、通常運用時に使用する前記第1受信機および前記第1送信機には未接続の状態を維持する、
ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の無線アンテナ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線アンテナ判定方法に関し、特に、添付品(正規の無線アンテナ)ではない無線アンテナが誤接続されていることを検知する無線通信装置および無線アンテナ判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線信号を扱う無線通信装置においては、原則として、無線電波を送受信する無線アンテナを該無線通信装置固有の添付品(正規の無線アンテナ)として準備している。しかし、無線通信装置を使用するユーザは、添付品の無線アンテナ(正規の無線アンテナ)を、より高出力・より高感度の無線アンテナに取り換えてしまい、電波法等の法令に違反して使用してしまう事態が発生する場合がある。このように、無線通信装置に正規の無線アンテナ以外の無線アンテナが誤って接続された場合には、運用を開始する前に、該誤接続を的確に検知して、不法な無線電波が放射されることを確実に防止することが必要である。
【0003】
現状の無線アンテナにおける誤接続防止方法としては、特許文献1の特開2011−164745号公報「無線通信装置およびアンテナ」に記載のような無線アンテナに固有の番号の電流を流すアンテナ識別部を該無線アンテナに接続する方法や、あるいは、アンテナ端子の形状変更による誤接続防止方法や装置銘板等への無線アンテナに関する注意喚起の記載による方法などが提案されている。しかしながら、これらの方法においては、次のような課題がある。
【0004】
第1の課題は、前記特許文献1のように、識別用の固有番号の電流を無線アンテナに流すアンテナ識別部を無線アンテナに接続するという方法は、無線アンテナの小型化を難しくするとともに、製造コストの上昇を招くという課題がある。
【0005】
第2の課題は、無線アンテナの接続用として市販されている同軸ケーブル用コネクタは、JIS規格等で形状が規格化されていて、大量に生産されるものであり、誤接続防止方法を実現するために、各無線通信装置に専用の無線アンテナ端子形状の無線アンテナを実装しようとして、無線アンテナ用のコネクタ形状を変更すると、製造コストについて大きなデメリットとなってしまうという問題がある。
【0006】
第3の課題は、装置銘板等への注意喚起の記載という方法では、人為的なミスを完全に防ぐとこは不可能であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−164745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、本発明に関連する現状の技術に関しては、無線通信装置に添付品として標準装備される正規の無線アンテナ以外の無線アンテナが該無線通信装置に誤接続された状態で、運用開始しようとしていても、かかる誤接続を的確に検知して、電波法等の法令に違反するような無線電波を放出することを確実に防止することができない状況にある。
【0009】
つまり、電波法等の法令を遵守しなければならない無線通信装置においては、違法無線電波の放出の原因とならないように、該無線通信装置に添付された認証済みの無線アンテナすなわち正規の無線アンテナを当然使用すべきである。しかし、現実には、無線通信装置の多様化により、様々な無線アンテナが市販品として存在しているため、無線通信装置のユーザの不注意から、正規の無線アンテナ以外の無線アンテナを該無線通信装置に誤って接続してしまうリスクが生じるという環境下にある。
【0010】
一方、現状の誤接続防止対策においては、前述したように、前記特許文献1に記載のようなアンテナ識別部をさらに備えるという方法では、無線アンテナの小型化、製造コストの面で難点があり、また、無線通信装置の添付品となる正規の無線アンテナの端子形状を特徴的なものにするという方法も、製造コスト上の大きな問題があり、取扱説明書や装置銘板上に注意喚起を記載するという方法も人為的なチェックのみでは信頼性に欠けるという問題がある。
【0011】
(本開示の目的)
本開示の目的は、かかる事情に鑑み、無線通信装置に正規の無線アンテナ以外の無線アンテナが誤接続された場合には、運用開始前に、無線アンテナの誤接続を検知して無線電波放出が不可能な状態に自動的に設定することが可能な無線通信装置および無線アンテナ判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するため、本発明による無線通信装置および無線アンテナ判定方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0013】
(1)本発明による無線通信装置は、
第1無線アンテナを接続した第1無線通信部と第2無線アンテナを接続した第2無線通信部との2つの無線通信部を備えた無線通信装置であって、
前記第2無線通信部に、前記第1無線アンテナの判定を行うための試験用電波を前記第2無線アンテナから送信する手段を備え
かつ、前記第1無線通信部に
前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定する試験用受信機と、
前記第1無線アンテナを、通常運用に用いる第1送信機および第1受信機と前記試験用受信機とのいずれかに切り替えて接続する切替スイッチと、
を備え、
かつ、前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いている場合における前記試験用電波の受信電波強度の値を基準値としてあらかじめ登録している記憶部を備え、
かつ、
前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、
前記第2無線アンテナから前記試験用電波を送信させるとともに、前記切替スイッチを制御して、前記第1無線アンテナを前記試験用受信機に接続して、前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定し、測定した該受信電波強度と前記記憶部にあらかじめ登録されている前記基準値との差異がアンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする。
【0014】
(2)本発明による無線アンテナ判定方法は、
第1無線アンテナを接続した第1無線通信部と第2無線アンテナを接続した第2無線通信部との2つの無線通信部を備えた無線通信装置における無線アンテナ判定方法であって、
前記第1無線アンテナの判定を行うための試験用電波を前記第2無線アンテナから送信するステップと、
前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定する試験用受信ステップと、
前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いている場合における前記試験用電波の受信電波強度の値を基準値としてあらかじめ登録する記憶ステップと、
を有し、
かつ、
前記第1無線アンテナとして正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、
前記第2無線アンテナから前記試験用電波を送信させるとともに、前記試験用受信ステップにより、前記第2無線アンテナから送信された前記試験用電波の受信電波強度を測定し、測定した該受信電波強度と前記記憶ステップによりあらかじめ登録されている前記基準値との差異がアンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、前記第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線通信装置および無線アンテナ判定方法によれば、主に、以下のような効果を奏することができる。
【0016】
正規の無線アンテナ以外の無線アンテナが誤接続されていることを運用開始前に確実に検知して該無線アンテナの接続を遮断することを可能にしているので、電波法等の法令に違反した無線電波が放出される事態を抑止することができる。
【0017】
すなわち、試験対象の第1無線アンテナが正規の無線アンテナではないと判定された場合は、該第1無線アンテナは第1受信機および第1送信機とは未接続の状態のままにすることができる。したがって、第1無線通信部は、無線電波を送信する第1送信機がアンテナ未接続状態にすることができるので、たとえ、何らかの無線電波を送信しようとしても、無線電波強度が著しく低い無線電波しか送信することができない状態であり、結果として、電波法等の法令に違反する無線電波を送信するリスクを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る無線通信装置の基本的な内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図2図1に示した無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明に係る無線通信装置の図1とは異なる他の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図4図3の無線通信装置の試験用受信機における試験用電波の受信電波強度の周波数特性曲線の一例を説明するための説明図である。
図5図3に示した無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図5のステップS4Aにおいて実行される第1無線アンテナに関するアンテナ判定試験手順の一例を示すフローチャートである。
図7図6のステップS30において実行される第1無線アンテナに関するアンテナ判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による無線通信装置および無線アンテナ判定方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことは言うまでもない。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、運用開始前に、無線通信装置固有の添付品として認証済みの正規の無線アンテナとは異なる別個の無線アンテナが該無線通信装置に接続されている状態を確実に検知して、前記別個の無線アンテナからの無線電波の放出を抑止する仕組みを備えていることを主要な特徴としている。而して、例えば、別個の無線アンテナとして、添付品の正規の無線アンテナよりもより高出力の性能を有するものを接続している場合のように、送信電力をより大きく増幅して、規定以上の送信電力の無線電波を放出してしまい、電波法等の法令に違反する通信状態が発生してしまうというリスクを回避させることができる。
【0021】
つまり、本発明は、電波法等の法令違反の発生を防止するために、無線通信装置の起動時に、実際の運用に先立って、無線アンテナの無線電波の送信レベルを試験し、あらかじめ定めた規定レベルの無線電波を送信する正規の無線アンテナを用いていることを確認することができた場合に、初めて、該無線通信装置の運用を開始する。一方、該規定レベルの無線電波を送信していない場合には、該無線通信装置の運用を開始させないということを主要な特徴としている。而して、正規の無線アンテナ以外の無線アンテナを誤接続して不適切な無線電波を放出してしまう事態を抑止し、電波法等の法令違反の発生を未然に防ぐことを可能としている。
【0022】
より具体的には、本発明は、2つの無線アンテナと試験用受信機とを備える無線通信装置において、運用開始前に、1方の無線アンテナからテスト用の無線電波を送信し、他方の無線アンテナおよび試験用受信回路にて当該テスト用の無線電波を受信する。そして、受信した当該テスト用の無線電波の受信電波強度があらかじめ規定された受信電波強度ではなかった場合には、認証済みの正規の無線アンテナが接続されていない状態にあると判断して、該無線アンテナからの無線電波の放出を抑止し、運用を開始させないことを、主要な特徴としている。つまり、受信した当該テスト用無線電波の受信電波強度があらかじめ規定された受信電波強度ではなかった場合には、当該無線アンテナを運用に用いる正規の送受信機側に切り替え接続しないで、無線電波の送受信動作を行うことができない状態に設定することを、主要な特徴としている。
【0023】
さらに、本発明においては、延長ケーブルを経由して無線アンテナが接続されている場合を考慮して、運用開始前に、テスト用の無線電波の周波数を変化(例:900MHz→910MHz→920MHz)させて、それぞれの受信電波強度を測定する。そして、測定したそれぞれの受信電波強度の変化量が、あらかじめ定めた規定通りの変化量ではなかった場合には、該無線アンテナを運用に用いる正規の送受信回路側に切り替え接続しないで、無線電波の送受信動作を行うことができない状態に設定することも、主要な特徴としている。
【0024】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る無線通信装置の基本的な内部構成についてその一例を、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る無線通信装置の基本的な内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【0025】
本発明に係る無線通信装置は、2つの無線通信部を備え、運用開始前に、他方の無線通信部の無線アンテナから送信した試験用電波を一方の無線通信部の無線アンテナにて受信して、受信した試験用電波の受信電波強度を測定する構成を有している。このため、一方の無線通信部には、受信した試験用電波の受信電波強度を測定する試験用受信機と試験用電波を試験用受信機に引き込むための切替スイッチとを備えている。
【0026】
そして、試験用受信機にて測定した試験用電波の受信電波強度を、一方の無線通信部の無線アンテナが正規の無線アンテナであった場合の受信電波強度を示す基準値と比較し、該基準値との差異が、規定誤差範囲(規定値)としてあらかじめ定めた範囲内に収まっていた場合には、一方の無線通信部の無線アンテナが正規の無線アンテナであると判断して、該無線アンテナを接続した運用状態に切り替えて運用を開始する。
【0027】
一方、試験用受信機にて測定した試験用電波の受信電波強度と前記基準値との差異が、前記規定誤差範囲(規定値)を超えていた場合には、一方の無線通信部の無線アンテナは正規の無線アンテナではないと判断して、該無線アンテナを運用状態に切り替える動作を行わない。つまり、正規の無線アンテナではない無線アンテナを使用して通信を行うことを抑止する。
【0028】
図1に示す無線通信装置1においては、第1無線アンテナ61を接続した第1無線通信部10と、第2無線アンテナ62を接続した第2無線通信部20との2つの無線通信部を備えている。ここで、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを、第2無線通信部20の第2無線アンテナ62から送信した試験用電波を第1無線通信部10の第1無線アンテナ61にて受信することにより判定する構成例を示している。
【0029】
なお、図1には、無線通信装置1は、一般家庭の電力情報の収集および制御を行う通信システムにおいて携帯電話網を利用する無線通信装置の場合であって、携帯電話網との間の無線通信を行う無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する場合を例にして示している。すなわち、試験対象となる第1無線アンテナ61を接続する第1無線通信部10として、携帯電話網用の無線基地局100との間の無線通信を行うLTE(Long Term Evolution)方式携帯無線通信部の場合を例示している。
【0030】
また、試験用電波を送信する第2無線通信部20として、宅内の電力制御を行うHEMS(Home Energy Management System)端末200との間の無線データ通信を行う特定小電力920MHz帯無線通信部を用いる場合を例に示している。特定小電力920MHz帯の無鉛電波は、携帯電話網で使用する無線周波数帯である2GHz帯の無線電波に対して近い周波数帯を使用しているので、試験対象となる第1無線アンテナ61を判定するための試験用電波として好適に利用することができる。
【0031】
そして、第1無線通信部10は、内部に、正規の運用に用いるための第1受信機11、第1送信機12、第1データ処理回路13の他に、試験用電波の受信電界強度を測定する試験用受信機51、第1無線アンテナ61との接続をT側(試験用受信機51へ接続)、S側(正規の運用側の第1受信機11、第1送信機12への接続)のいずれかに切り替える切替スイッチ50を備えている。さらに、LTE方式携帯無線通信部として用いる場合には、UIM(User Identity Module)14も備えている。
【0032】
第1無線通信部10は、LTE方式携帯無線通信部の場合、通常運用時には、第1無線アンテナ61・第1受信機11・第1送信機12にて、無線基地局100との間で送受信するデータに関する電気信号と無線電波との間の変調・復調を行う。第1データ処理回路13は、送受信するデータに関して携帯電話網で使用されるLTE方式にてスクランブル・デスクランブルなどのデータ処理を行うとともに、制御部30との間でデータを送受信する。また、UIM14は、自無線通信装置1のID情報などが記憶されているモジュールであり、携帯電話網への位置登録要求時などにおいて自無線通信装置1を特定するための情報として使用される。
【0033】
さらに、第1受信機11は、第1無線アンテナ61にて受信した携帯電話網の無線基地局100からの無線電波の受信電波強度を数値化して、制御部30に通知する機能も合わせ持っている。そして、第1受信機11は、制御部30から受信周波数が指定されると、指定された特定の受信周波数の受信電波強度をモニタする機能も有している。
【0034】
なお、運用開始前に使用される試験用受信機51も、第1受信機11と同様の機能を有しているが、受信することが可能な受信周波数帯は、第1受信機11の場合とは異なり、第2無線通信部20の第2無線アンテナ62から送信されてくる試験用電波の周波数帯である。つまり、第2無線通信部20として特定小電力920MHz帯無線通信部を使用している場合には、試験用受信機51は、試験用電波の周波数帯として920MHz帯の受信周波数の受信電波強度を測定することになる。
【0035】
また、切替スイッチ50は、制御部30からの制御信号によってS側とT側との間を切り替えるスイッチであり、通常運用時には、S側に切り替えて、第1無線アンテナ61の接続先を第1受信機11および第1送信機12とし、運用開始前の試験用電波の受信時においては、T側に切り替えて、第1無線アンテナ61の接続先を試験用受信機51とする。
【0036】
次に、第2無線通信部20は、内部に、第1無線通信部10と同様、正規の運用に用いるための第2受信機21、第2送信機22、第2データ処理回路23を備えている。しかし、第2無線通信部20は、試験対象となる第1無線アンテナ61を接続している第1無線通信部10の場合とは異なり、試験用受信機や切替スイッチは備えていない。また、第2無線通信部20を特定小電力920MHz帯無線通信部として用いる場合には、第1無線通信部10とは異なり、UIM(User Identity Module)も備えていない。
【0037】
第2無線通信部20は、特定小電力920MHz帯無線通信部の場合、第1無線通信部10の場合と同様、第2無線アンテナ62・第2受信機21・第2送信機22にて、HEMS端末200との間で送受信するデータに関する電気信号と無線電波との間の変調・復調を行う。さらに、第2無線アンテナ62・第2送信機22にて、第1無線アンテナ61の試験用電波を送信する。第2データ処理回路23は、HEMS端末200との間で送受信するデータに関してIEEE802.15.4g規格にて規定されたデータ処理を行い、制御部30との間でデータを送受信する。
【0038】
図1に示す無線通信装置1は、さらに、各回路の動作を制御し、データの送受信動作を制御する制御部30と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部31と、AC電源からの電源電力を各種のDC電圧に変換して内部の各回路に電力供給するAC/DC部40とを備えている。
【0039】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、メモリによって構成され、メモリ上のプログラムに従って、第1無線通信部10(LTE方式携帯無線通信部)と第2無線通信部20(特定小電力920MHz帯無線通信部)とを制御し、双方の無線通信部間で転送する通信データに関する仲介や、運用開始前に実施する試験対象の第1無線アンテナに関する試験(正規の無線アンテナであるか否かを判定するための試験)も行う。
【0040】
本実施形態においては、記憶部31には、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであった場合の受信電波強度を基準値311としてあらかじめ登録している。そして、制御部30は、無線アンテナ判定用の試験を行った結果として、試験用受信機51から試験用電波の受信電波強度の測定結果が通知されてくると、該測定結果と記憶部31にあらかじめ登録されている基準値311との比較を行う。
【0041】
該測定結果と基準値311との差異が、規定誤差範囲(規定値)としてあらかじめ定めた範囲内に収まっていた場合には、第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナであると判断する。そして、切替スイッチ50に対してアンテナ切替制御信号を出力して、T側からS側に接続状態を切り替えさせ、第1無線アンテナ61を第1受信機11、第1送信機12に接続した運用状態に切り替えて運用を開始する。以降、制御部30は、携帯電話網の無線基地局100から受け取った無線電波の受信電波強度を運用中の状態にある第1受信機11から受信することになる。
【0042】
これに対して、該測定結果と基準値311との差異が、前記規定誤差範囲(規定値)を超えていた場合には、第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナではないと判断して、第1無線アンテナ61を切替スイッチ50のT側に接続した状態をそのまま継続させ、第1無線アンテナ61を運用状態に切り替える動作は行わない。
【0043】
(本発明の実施形態の動作の説明)
次に、本発明に係る無線通信装置の一例として図1に示した無線通信装置1の動作について、その一例を、図2のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図2は、図1に示した無線通信装置1の動作の一例を示すフローチャートであり、第1無線通信部10に接続した第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを制御部30が判定する動作の一例を示している。つまり、無線通信装置1の第1無線アンテナ61と第2無線アンテナ62との2つの無線アンテナのうち、特定小電力で動作する第2無線通信部20よりも高い電力を必要とする携帯電話用のLTE方式に従って動作する第1無線通信部10側の第1無線アンテナ61を試験対象の無線アンテナとしている場合について示している。
【0044】
なお、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判別するためのデータとして、記憶部31には、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであった場合の受信電波強度が基準値311としてあらかじめ登録されている。制御部30は、第1無線アンテナ61の判定を行う際に、記憶部31に登録されている該基準値311を読み出して判定処理に利用することになる。
【0045】
図2のフローチャートにおいて、無線通信装置1の電源がオンになり、無線通信装置1内の各回路が動作可能な状態になると(ステップS1)、制御部30は、当該無線通信装置1の初期化動作として、運用開始前に実施する第1無線アンテナ61の試験時におけるパラメータの設定等を行う。すなわち、試験用受信機51の受信時間や第2無線通信部20の試験用電波の送信時間や使用周波数、送信電力などの試験用の各種パラメータの設定等を行う(ステップS2)。ここで、試験用の各種パラメータの設定値に関しては、第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定用として基準値311を決定したときと同様の測定条件となるような値に調整される。
【0046】
次に、制御部30は、第1無線通信部10の切替スイッチ50に対してアンテナ切替制御信号を出力して、切替スイッチ50をT側に接続して、試験対象の第1無線アンテナ61を試験用受信機51に接続する(ステップS3)。しかる後、制御部30は、第2無線通信部20の第2データ処理回路23に対して試験用電波に関する送信指示を出力することにより、第2無線通信部20に接続された第2無線アンテナ62から試験用電波を送信する動作が実行される(ステップS4)、該送信用電波の送信時間や使用周波数、送信電力に関しては、ステップS2における初期化処理において、あらかじめ設定されている。
【0047】
次いで、制御部30は、第1無線通信部10の試験用受信機51から試験用電波の受信を完了した旨の通知を受け取ったか否かを監視する(ステップS5)。
【0048】
受信を完了した旨の通知を受け取っていない場合には(ステップS5のNo)、制御部30は、初期化していたカウンタのカウントアップを行い(ステップS6)、しかる後、カウンタの値があらかじめ定めた規定回数を超えたか否かを確認する(ステップS7)。カウンタの値が規定回数以下であった場合には(ステップS7のNo)、ステップS5に戻って、試験用電波の受信完了通知を監視する動作を繰り返す。
【0049】
一方、カウンタの値が規定回数を超えた場合には(ステップS7のYes)、ステップS12に移行して、制御部30は、第1無線アンテナ61の判定動作に失敗し、アンテナ判定試験は異常であると判定する。そして、制御部30は、切替スイッチ50をT側に接続したままの状態を継続して、試験対象の第1無線アンテナ61を、通常運用に使用する第1受信機11および第1送信機12には未接続の状態を維持する(ステップS12)。
【0050】
また、ステップS5において、試験用受信機51から受信を完了した旨の通知を受け取った場合には(ステップS5のYes)、制御部30は、試験用受信機51において測定された試験用電波の受信電波強度を取り出して、記憶部31にあらかじめ登録されている基準値311との間の差異Δを次の式により算出する(ステップS8)。
差異Δ=√(受信電波強度−基準値)
【0051】
そして、算出した差異Δが、規定誤差範囲としてあらかじめ定めた規定値の範囲内に収まっている否かを判定する(ステップS9)。差異Δが、規定誤差範囲としてあらかじめ定めた規定値の範囲内に収まっていた場合には(ステップS9のYes)、試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナであると判定して、切替スイッチ50に対してアンテナ切替制御信号を出力し、切替スイッチ50をT側からS側に切り替えさせる(ステップS10)。
【0052】
その結果、第1無線アンテナ61は通常運用において使用する第1受信機11、第1送信機12に接続された状態になる。而して、無線通信装置1は無線基地局100との間でLTE方式の無線信号を送受信する通常の運用状態に移行される(ステップS11)。以降、制御部30は、携帯電話網の無線基地局100から受け取った無線電波の受信電波強度を運用中の状態にある第1受信機11から受信することになる。
【0053】
これに対して、差異Δが、規定誤差範囲としてあらかじめ定めた規定値の範囲内に収まっていなかった場合には(ステップS9のNo)、試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナではないと判定して、第1無線アンテナ61を切替スイッチ50のT側に接続した状態をそのままにし、第1無線アンテナ61を運用状態に切り替える動作は行わない(ステップS12)。つまり、第1無線アンテナ61を通常運用において使用する第1受信機11、第1送信機12には未接続の状態を維持する。
【0054】
(本実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、以下のような効果が得られる。
【0055】
試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナではないと判定された場合は、該第1無線アンテナ61は第1受信機11および第1送信機12とは未接続の状態のままになる。したがって、無線通信装置1の第1無線通信部10は、無線電波を送信する第1送信機12がアンテナ未接続状態になっているので、たとえ、何らかの無線電波を送信しようとしても、無線電波強度が著しく低い無線電波しか送信することができない状態であり、結果として、電波法等の法令に違反する無線電波を送信するリスクを回避することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、第1無線通信部10内に試験用受信機51を追加して備えるとともに、試験対象の第1無線アンテナ61のアンテナ判定用として用いる第2無線アンテナ62からの試験用電波の周波数帯を、第1無線通信部10の通常運用において使用する無線電波の本来の周波数帯とは異なる周波数帯(本来の周波数帯と近い周波数帯ではあるものの)としていることも特徴の一つとしている。
【0057】
一般的には、無線アンテナは使用周波数帯に合わせて特性調整がなされるので、第2無線アンテナ62が第1無線アンテナ61と同目的で使用する無線アンテナとした場合には、無線アンテナ製品ごとの差異が生じ難くなることが予想される。このため、第1無線通信部10の通常運用において使用する無線電波の本来の周波数帯とは異なる無線周波数帯の無線電波を、第2無線アンテナ62から送信する試験用電波として用いて、無線アンテナの特性調整の範囲外に設定している。而して、無線アンテナ製品ごとの差異・ばらつき・個性が出易くなり、試験対象の第1無線アンテナ61のアンテナ判定を容易にすることができる。
【0058】
さらに、副次的な効果として、本実施形態における無線アンテナ判定機能は、無線通信装置1の電源ONした以降、自動的に受信電波強度を測定して判定を行うことが可能であるので、無線通信装置1の製造時の検査において使用しても、検査工数の上昇は極めて少なくて済む。したがって、製造時における正規の無線アンテナの接続不良などの検出を目的とした検査においても有効に利用することができる。
【0059】
(本発明の他の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る無線通信装置の前述した図1の場合とは異なる構成例について、その一例を、図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、本発明に係る無線通信装置の図1とは異なる他の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【0060】
図3に示す無線通信装置1Aは、図1の無線通信装置1の場合とは異なり、第2無線アンテナ62が延長ケーブル25付きの無線アンテナとして第2無線通信部20に接続されている場合を示している。そして、無線通信装置1Aの制御部30Aは、図1の無線通信装置1の場合の制御部30とは異なり、試験用電波として、複数の周波数を順次用いて、それぞれの周波数における受信電波強度を取得して、取得した受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づいて、試験対象の第1無線アンテナが正規の無線アンテナであるか否かを判定する機能を有している。そして、制御部30Aは、複数の周波数のうち指定した周波数の試験用電波の送信を第2無線通信部20に対して指示するとともに、該指定した周波数の試験用電波に関する受信電波強度を測定することを第1無線通信部10の試験用受信機51Aに対して指示する。
【0061】
また、図3に示す第2無線通信部20の第2データ処理回路23Aは、図1の第2データ処理回路23とは異なり、複数の周波数のうち制御部30Aから指定された周波数の試験用電波を第2無線アンテナ62から送信させることを可能にしている。また、図3に示す第1無線通信部10の試験用受信機51Aは、図1の試験用受信機51の場合に対して、複数の周波数ごとの試験用電波に関する受信電波強度を測定することが可能な機能を追加して有し、制御部30Aからの周波数切替制御信号に基づいて指定された周波数の受信電波強度を測定することを可能にしている。
【0062】
また、図3に示す記憶部31Aには、図1の記憶部31における基準値311の代わりに、受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づく判定基準となる特徴判定基準値312があらかじめ登録されている。
【0063】
ここで、図1および図2に示した実施形態においては、試験用電波として特定小電力920MHz帯内の一つだけの周波数を使用して、その受信電波強度レベルに基づいて第1無線アンテナ61の無線アンテナ判定を行うので、試験用電波を送信する側の第2無線アンテナ62と該試験用電波を受信する側の試験対象の第1無線アンテナ61とのそれぞれの位置が固定されていることが必要である。つまり、図3の無線通信装置1Aの場合のように、第2無線アンテナ62として延長ケーブル25付きの無線アンテナが使用されていて、第2無線アンテナ62の位置が変動してしまう場合には、試験用電波の送信側の第2無線アンテナ62と受信側の第1無線アンテナ61との間の位置関係が変動してしまい、試験用受信機51が測定する受信電波強度レベルが変動してしまう。
【0064】
したがって、図3の無線通信装置1Aの場合のように、試験用電波の送信側の第2無線アンテナ62と受信側の第1無線アンテナ61との間の位置関係が変動する場合には、図1および図2に示した実施形態のように、一つだけの周波数の試験用電波における受信電波強度の値を用いる無線アンテナ判定方法では正しい判定結果を得ることができない。
【0065】
試験用電波の送信側の第2無線アンテナ62と受信側の第1無線アンテナ61との間の位置関係が変動する場合のかくのごとき問題を解決するために、本他の実施形態においては、一つだけの試験用電波における受信電波強度に基づく判定方法を変更して、複数の試験用電波による受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を用いた判定方法を採用する。すなわち、複数の異なる周波数の試験用電波を用いて、それぞれの受信電波強度を測定し、測定した複数の周波数それぞれにおける受信電波強度により描いた周波数特性曲線から得られる特徴を用いて、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判定する無線アンテナ判定方法を採用する。
【0066】
試験用電波の送信側の第2無線アンテナ62と受信側の第1無線アンテナ61との間の距離が変動して、受信電波強度の値そのものが変動したとしても、複数の周波数それぞれの試験用電波に関する受信電波強度の周波数特性曲線の特徴については維持される。したがって、受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を用いることにより、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを正しく判定することができる。
【0067】
図4は、図3の無線通信装置1Aの試験用受信機51における試験用電波の受信電波強度の周波数特性曲線の一例を説明するための説明図である。図4(A)は、試験用電波として900MHz、910MHz、920MHzの3つの周波数を用い、試験用電波の送信元の第2無線アンテナ62と試験対象の第1無線アンテナ61との距離が近い距離から遠い距離まで3段階に変動した場合の受信電波強度の値の一例を登録しているテーブルである。また、図4(B)は、図4(A)の受信電波強度の値を用いて作成した受信電波強度の周波数特性曲線を示している。
【0068】
図4(A)、図3(B)に示すように、試験用電波の受信電波強度の値そのものに関しては、第2無線アンテナ62と第1無線アンテナ61との間の距離(通信距離)により変動するものの、試験用電波の受信電波強度の周波数ごとの変化に関しては、通信距離の如何によらず、略類似した変化を示しており、受信電波強度の周波数特性曲線の特徴は、試験対象の第1無線アンテナに関する特徴を示しているものと解釈することができる。
【0069】
(本発明の他の実施形態の動作の説明)
次に、本発明に係る無線通信装置の異なる例として図3に示した無線通信装置1Aの動作について、その一例を、図5のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図5は、図3に示した無線通信装置1Aの動作の一例を示すフローチャートであり、第1無線通信部10に接続した第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを制御部30Aが判定する動作の一例を示している。
【0070】
なお、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判別するためのデータとして、記憶部31Aには、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであった場合の受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を示す特徴判定基準値312があらかじめ登録されている。すなわち、記憶部31Aには、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナを用いている場合における複数の周波数それぞれの試験用電波の受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが複数の周波数それぞれの試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する特徴判定基準値としてあらかじめ登録されている。制御部30Aは、第1無線アンテナ61の判定を行う際に、記憶部31Aに登録されている該特徴判定基準値312を読み出して判定処理に利用することになる。
【0071】
また、図5のフローチャートにおいて、図2のフローチャートの場合と同様の処理を行うステップについては、同じステップ符号を付して、ここでの重複する説明は割愛する。すなわち、図5のステップS1〜ステップS3およびステップS10〜ステップS12は、図2のフローチャートと同様の処理を行うものであり、ここでの重複する詳細な説明は割愛する。なお、ステップS2において初期化する試験用の各種パラメータの設定値に関し、図5においては、第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定用として特徴判定基準値312を決定したときと同様の測定条件となるような値に調整される。
【0072】
図5のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS3の準備処理を完了すると、制御部30Aは、次に、図6に示す試験対象の第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定試験を実行する(ステップ4A)。図6は、図5のステップS4Aにおいて実行される第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定試験手順の一例を示すフローチャートであり、複数の周波数の試験用電波を用いたアンテナ判定試験の動作例を示している。すなわち、図6は、受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を取得するために、複数の異なる周波数の試験用電波を用いて、試験対象の第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定試験を行う動作の一例を示している。
【0073】
図6のフローチャートにおいて、まず、アンテナ判定試験用の各種パラメータの設定を行う(ステップS21)。すなわち、ループ処理回数をカウントするカウンタctを‘0’に初期化する。また、試験用電波に使用する試験周波数freqとして、例えば、周波数900MHz、910MHz、920MHzの3種類を設定し、試験回数numに‘3’を設定する。さらに、3回のそれぞれの試験結果である受信電波強度を記録するための記録領域ReadValを‘0’に初期化する。
【0074】
制御部30Aは、周波数切替制御信号を第2無線通信部20の第2データ処理回路23Aおよび第1無線通信部10の試験用受信機51Aそれぞれに対して出力して、第2データ処理回路23Aおよび試験用受信機51Aそれぞれに今回の試験周波数freq(ct)を設定する(ステップS22)。初回の試験時には、カウンタctは‘0’に初期化されているので、試験周波数freq(ct)は、第1番目の周波数900MHzが設定される。
【0075】
制御部30Aからの周波数切替制御信号を受け取ると、第2データ処理回路23Aは、該周波数切替制御信号により指定された周波数の試験用電波を、図5のステップS2において設定されている試験用のパラメータに基づいて、第2無線アンテナ62から送信する(ステップS23)。
【0076】
次いで、制御部30Aは、第1無線通信部10の試験用受信機51Aから試験用電波の受信を完了した旨の通知を受け取ったか否かを監視する(ステップS24)。
【0077】
受信が完了した旨の通知を受け取った場合には(ステップS24のYes)、制御部30Aは、試験用受信機51Aにおいて測定された試験用電波の受信電波強度を取り出して、カウンタctが示す試験回数の測定結果として、受信電波強度を記録するための記録領域ReadVal(ct)に記録する(ステップS27)
【0078】
一方、ステップS24において、受信が完了した旨の通知を受け取っていない場合は(ステップS24のNo)、制御部30Aは、初期化していたカウンタのカウントアップを行い(ステップS25)、しかる後、カウンタの値があらかじめ定めた規定回数を超えたか否かを確認する(ステップS26)。カウンタの値が規定回数以下であった場合には(ステップS26のNo)、ステップS24に戻って、試験用電波の受信完了通知を監視する動作を繰り返す。
【0079】
一方、カウンタの値が規定回数を超えた場合には(ステップS26のYes)、現在設定している試験周波数freqの試験用電波に関する受信電波強度の収集動作を断念して、ステップS28に移行して、制御部30Aは、次の試験周波数freqの試験用電波に関する試験を行うために、初期化していたカウンタctに‘1’を加える(ステップS28)。その結果、カウンタctの値が、全ての試験周波数を示す回数分(すなわち試験回数numから‘1’減算した値)を超えたか否かを確認する(ステップS29)。カウンタctの値が、全ての試験周波数を示す回数分に達していない場合には(ステップS29のNo)、ステップS22に復帰して、次の試験周波数freqの試験用電波に関する試験を行う動作を繰り返す。
【0080】
そして、カウンタctの値が、全ての試験周波数を示す回数分を超えた場合には(ステップS29のYes)、今まで収集した各周波数の試験用電波に関する受信電波強度の受信特性曲線の特徴に基づくアンテナ判定処理を行うために、図7のフローチャートに示すアンテナ判定処理を実行する(ステップS30)。図7は、図6のステップS30において実行される第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定処理手順の一例を示すフローチャートであり、複数の試験周波数を用いた試験用電波における受信電波強度に基づいて、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判定するアンテナ判定処理の一例を示している。すなわち、図7は、複数の異なる周波数の試験用電波による受信電波強度の測定結果に基づいて、受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を取得して、試験対象の第1無線アンテナ61に関するアンテナ判定処理を実施する動作の一例を示している。
【0081】
図7のフローチャートにおいて、制御部30Aは、まず、アンテナ判定処理の開始に当たって、設定パラメータの設定および初期化を行う(ステップS31)。すなわち、判定計算用に用いる係数Kを例えば‘1000’に設定する。また、記憶部31Aにあらかじめ登録される特徴判定基準値312を読み出すことにより、試験用電波の3つの試験周波数freqのうち、互いに隣り合う周波数、すなわち、低周波数(900MHz)における受信電波強度と中間周波数(910MHz)とにおける受信電波強度の差が3つの受信電波強度の総和に対して占める比率Diff_1、および、高周波数(920MHz)における受信電波強度と中間周波数(910MHz)とにおける受信電波強度の差が3つの受信電波強度の総和に対して占める比率Diff_2のそれぞれに対して、‘−63’、および、‘32’を設定する。
【0082】
また、測定した受信電界強度に基づいて算出した周波数特性曲線の特徴を示す比率(変化率)の値と特徴判定基準値312との差異を判定するためのパラメータである判定規定値Jadを例えば‘10’に設定する。さらに、アンテナ判定処理の判定結果の引き渡し用の変数CHK_RESULTを、正規の無線アンテナではない異常状態であることを意味する‘0’に初期化する。さらに、ループ処理回数をカウントするカウンタctを‘0’に初期化する。また、試験周波数900MHz、910MHz、920MHzの3種類の試験用電波を用いた場合として、試験回数numに‘3’を設定する。3つの試験用電波における受信電波強度の総和を設定する変数SumValを‘0’に初期化する。
【0083】
次に、制御部30Aは、図6のステップS27において試験結果として記録した記録領域ReadValの中から、カウンタctに該当する記録領域ReadVal(ct)の受信電波強度を受信電波強度の総和を設定するための変数SumValに加算して、変数SumValに再設定した後、カウンタctに‘1’を加算する(ステップS32)。しかる後、カウンタctの値が、全ての試験周波数を示す回数分(すなわち試験回数numから‘1’減算した値)を超えたか否かを確認する(ステップS33)。カウンタctの値が、全ての試験周波数を示す回数分に達していない場合には(ステップS33のNo)、ステップS32に復帰して、次の試験周波数freqの試験用電波に関する試験結果を記録した記録領域ReadVal(ct)の受信電波強度を変数SumValに加算する動作を繰り返す。
【0084】
そして、カウンタctの値が、全ての試験周波数を示す回数分を超えた場合には(ステップS33のYes)、変数SumValには、測定結果として3回の全ての試験周波数freqの試験用電波に関する受信電波強度の総和が設定されたことになる。そこで、次に、制御部30Aは、測定結果の各試験周波数freqにおける受信電波強度に関する特徴を示す変化率を算出する(ステップS34)。すなわち、まず、測定結果の各試験周波数freqにおける受信電波強度ReadVal(ct)が総和SumVal(受信電波強度の総和)に対して占める比率v1、v2、v3を次の3つの式により算出する。
【0085】
v1=ReadVal(0)/SumVal×K
v2=ReadVal(1)/SumVal×K
v3=ReadVal(2)/SumVal×K
ここで、v1は、低試験周波数(900MHz)における受信電波強度が総和(SumVal)に対して占める比率を計数Kにより補正した値であり、v2は、中間試験周波数(910MHz)における受信電波強度が総和(SumVal)に対して占める比率を計数Kにより補正した値であり、v3は、高試験周波数(920MHz)における受信電波強度が総和(SumVal)に対して占める比率を計数Kにより補正した値である。なお、係数KはステップS31にて設定した固定値例えば‘1000’である。
【0086】
次いで、制御部30Aは、算出した各試験周波数freqにおける受信電波強度に関する比率v1、v2、v3を用いて、測定した受信電波強度の特徴を示す変化率として、低周波数と中間周波数との受信電波強度の差が総和(SumVal)に対して占める比率Tdiff_1、および、高周波数と中間周波数との受信電波強度の差が総和(SumVal)に対して占める比率Tdiff_2を次の2つの式により算出する。
Tdiff_1=v1−v2
Tdiff_2=v3−v2
【0087】
測定した受信電波強度の特徴を示す変化率としてTdiff_1およびTdiff_2を算出すると、制御部30Aは、試験対象の第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナが用いられていた場合の受信電波強度の特徴を示す変化率(すなわち特徴判定基準値)との差異を算出する動作を行う。まず、測定結果である低周波数と中間周波数との受信電波強度の差が総和に対して占める比率Tdiff_1と、正規の無線アンテナを用いた場合の特徴判定基準値のうちステップS31において変数Diff_1に設定されている低周波数と中間周波数との受信電波強度の差が総和に対して占める比率との差異を、次の式を用いて算出する(ステップS35)。
差異Δ1=√(Tdiff_1−Diff_1)
【0088】
そして、算出した差異Δ1が、ステップS31において設定した判定規定値Jadの値 ‘10’よりも小さいか否かを確認する(ステップS36)。算出した差異Δ1が判定規定値Jadの値 ‘10’以上に大きい値であった場合には(ステップS36のNo)、両者の特徴は不一致であり、試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナではないと判定して、判定結果の引き渡し用の変数CHKANT_RESULTは、判定NGを示す初期値の‘0’のままにして処理を終了して、図5のステップS5Aの処理に戻る(ステップS40)。
【0089】
これに対して、算出した差異Δ1が判定規定値Jadの値 ‘10’よりも小さい値であった場合には(ステップS36のYes)、低周波数と中間周波数との受信電波強度に関する測定結果の特徴は、第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナが用いられている場合と同様の特徴を示しているものと判定する。そして、次に、測定結果である高周波数と中間周波数との受信電波強度の差が総和に対して占める比率Tdiff_2と、正規の無線アンテナを用いた場合の特徴判定基準値のうちステップS31において変数Diff_2に設定されている高周波数と中間周波数との受信電波強度の差が総和に対して占める比率との差異を、次の式を用いて算出する(ステップS37)。
差異Δ2=√(Tdiff_2−Diff_2)
【0090】
そして、算出した差異Δ2が、ステップS31において設定した判定規定値Jadの値 ‘10’よりも小さいか否かを確認する(ステップS38)。算出した差異Δ2が判定規定値Jadの値 ‘10’以上に大きい値であった場合には(ステップS38のNo)、両者の特徴は不一致であり、試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナではないと判定して、判定結果の引き渡し用の変数CHKANT_RESULTは、判定NGを示す初期値の‘0’のままにして処理を終了して、図5のステップS5Aの処理に戻る(ステップS40)。
【0091】
これに対して、算出した差異Δ2が判定規定値Jadの値 ‘10’よりも小さい値であった場合には(ステップS38のYes)、低周波数と中間周波数との受信電波強度に関する測定結果の特徴のみならず、高周波数と中間周波数との受信電波強度に関する測定結果の特徴についても、正規の無線アンテナが用いられている場合と同様の特徴を示しているものと判定する。したがって、判定結果の引き渡し用の変数CHKANT_RESULTには、初期値の‘0’(異常)を‘1’(良:試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナである旨を示す値)に書き換えて設定して、処理を終了し、図5のステップS5Aの処理に戻る(ステップS39)。
【0092】
以上のように、複数の周波数それぞれの試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴に基づいて、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判定する場合、まず、記憶部31Aには、第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナを用いている場合における複数の周波数それぞれの試験用電波の受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが複数の周波数それぞれの試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する特徴判定基準値312としてあらかじめ登録しておく。
【0093】
そして、アンテナ試験結果から複数の周波数それぞれの試験用電波における受信電波強度の周波数特性曲線の特徴を取り出すために、試験用受信機51Aにおいて測定した複数の周波数それぞれの試験用電波における受信電波強度のうち、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の差を算出し、算出した各受信電波強度間の差それぞれが複数の周波数それぞれの試験用電波の受信電波強度の総和に対して占める比率を、互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の変化率(例えばTdiff_1、Tdiff_2)として取得する。
【0094】
しかる後、取得した互いに隣り合う周波数に関する各受信電波強度間の変化率(例えばTdiff_1、Tdiff_2)と記憶部31Aにあらかじめ登録されている互いに隣り合う周波数に関する特徴判定基準値312(例えば読み出して設定した変数Diff_1、Diff_2)との差異(例えば差異Δ1、差異Δ2)が、いずれも、アンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた判定規定値Jadよりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判定する。そして、いずれの差異(例えば差異Δ1、差異Δ2)も、全て、判定規定値Jadよりも小さい範囲内に収まっていた場合には、第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナが正しく使用されていると判定する。しかし、いずれかの差異(例えば差異Δ1)が、一つでも、判定規定値Jad以上の大きい差異になっていた場合には、第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナ以外の別個の無線アンテナが用いられている異常状態と判定する。
【0095】
図6のフローチャートに示す試験実施手順、図7のフローチャートに示す試験結果の判定処理手順の双方を終了すると、図5のフローチャートのステップS4Aの動作が終了して、次のステップS5Aの動作に移行する。ステップS5Aにおいては、図7のステップS39またはステップS40において設定された判定結果の引き渡し用の変数CHKANT_RESULTを参照し、試験の判定結果として‘1’(良)が設定されていて、試験対象の第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであると判定しているか否かを確認する(ステップS5A)。
【0096】
変数CHKANT_RESULTに‘1’(良)が設定されていた場合には(ステップS5AのYes)、複数の周波数の試験用電波における測定結果の受信電波強度に関する周波数特性曲線の特徴に基づいた判定結果として、試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナであると判定された場合である。したがって、制御部30Aは、切替スイッチ50をT側からS側に切り替えさせて、第1無線アンテナ61を通常運用において使用する第1受信機11、第1送信機12に接続させて(ステップS10)、無線通信装置1Aを通常の運用状態に移行させる(ステップS11)。
【0097】
これに対して、変数CHKANT_RESULTに‘0’(異常)が設定されていた場合には(ステップS5AのNo)、試験対象の第1無線アンテナ61は正規の無線アンテナではないと判定された場合であり、第1無線アンテナ61を切替スイッチ50のT側に接続した状態をそのままにし、第1無線アンテナ61を運用状態に切り替える動作は行わない(ステップS12)。つまり、第1無線アンテナ61を通常運用において使用する第1受信機11、第1送信機12には未接続の状態に維持する。
【0098】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0099】
1 無線通信装置
1A 無線通信装置
10 第1無線通信部(LTE(Long Term Evolution)方式携帯無線通信部)
11 第1受信機
12 第1送信機
13 第1データ処理回路
14 UIM(User Identity Module)
20 第2無線通信部(特定小電力920MHz帯無線通信部)
21 第2受信機
22 第2送信機
23 第2データ処理回路
23A 第2データ処理回路
25 延長ケーブル
30 制御部
30A 制御部
31 記憶部
31A 記憶部
40 AC/DC部
50 切替スイッチ
51 試験用受信機
51A 試験用受信機
61 第1アンテナ
62 第2無線アンテナ
100 無線基地局
200 HEMS(Home Energy Management System)端末
311 基準値
312 特徴判定基準値
【要約】
【課題】正規の無線アンテナ以外の無線アンテナが誤接続されたことを自動的に検知することが可能な無線通信装置を提供する。
【解決手段】運用開始に先立って、第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナを用いているか否かを判定する際に、第2無線アンテナ62から第1無線アンテナ61判定用の試験用電波を送信させるとともに、切替スイッチ50を制御して、第1無線アンテナ61を試験用受信機51に接続して、第2無線アンテナ62から送信された試験用電波の受信電波強度を測定し、測定した該受信電波強度と記憶部31に基準値としてあらかじめ登録されている第1無線アンテナ61として正規の無線アンテナを用いている場合における試験用電波の受信電波強度の値との差異がアンテナ判定用の値としてあらかじめ定めた規定値よりも小さい範囲内に収まっているか否かに基づいて、第1無線アンテナ61が正規の無線アンテナであるか否かを判定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7