特許第6614835号(P6614835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6614835通信装置、ヘッドマウントディスプレイ、画像処理システム、通信方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614835
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】通信装置、ヘッドマウントディスプレイ、画像処理システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/025 20060101AFI20191125BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   H04N7/025
   H04N5/66 Z
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-141596(P2015-141596)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-28350(P2017-28350A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】内舘 光
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−168133(JP,A)
【文献】 特開2005−027121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/025−7/088
H04N 5/66
H04N 7/18
H04N 21/00
G09G 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得し、第2の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第2の映像データを取得し、映像データ以外の通信データを取得する、取得手段と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否か、及び前記第2の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ、前記第2の映像データ、及び前記通信データの多重化方法を設定する設定手段と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の映像データの有効区間である場合と比較して、前記第1の映像データの有効区間ではない場合において、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように、前記多重化方法が設定されることを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信される前記多重化されたデータは、
前記多重化方法を示す情報と、
前記第1の映像データの同期信号と、
前記第1の映像データ及び前記通信データのうちの少なくとも1つと、
を含むデータの繰り返しによって構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信データは、前記通信装置に接続された頭部装着型装置の位置と姿勢との少なくとも一方を示す情報を含むことを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
制御データを外部装置から受信する受信手段をさらに備え、
前記設定手段は、さらに前記制御データに応じて前記多重化方法を設定することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記多重化方法が、
前記第1及び第2の映像データの有効区間である場合に選択される通常モードと、
前記第1の映像データの有効区間であり前記第2の映像データの有効区間ではない場合に選択される第1の映像データ優先モードと、
前記第1の映像データの有効区間ではなく前記第2の映像データの有効区間である場合に選択される第2の映像データ優先モードと、
前記第1の映像データの有効区間ではなく前記第2の映像データの有効区間でもない場合に選択される通信データ優先モードと、
から選択されることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の映像データ優先モードにおいては、前記通常モードと比較して、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように多重化が行われ、
前記第2の映像データ優先モードにおいては、前記通常モードと比較して、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように多重化が行われ、
前記通信データ優先モードにおいては、前記通常モード、前記第1の映像データ優先モード、及び前記第2の映像データ優先モードと比較して、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように多重化が行われる
ことを特徴とする、請求項に記載の通信装置。
【請求項8】
少なくとも一期間において、前記第1の映像の有効区間と前記第2の映像の有効区間がずれていることを特徴とする、請求項乃至の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の映像のフレームレートと前記第2の映像のフレームレートとが異なることを特徴とする、請求項乃至の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
請求項乃至の何れか1項に記載の通信装置を備えるヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1の映像及び第2の映像を撮像する撮像手段と、
前記第1及び第2の映像を用いて生成された合成映像を画像処理装置から受信する受信手段と、
前記合成映像を表示する表示手段と、を備え、
前記通信装置は前記多重化されたデータを前記画像処理装置に送信する
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
前記合成映像は、前記第1の映像に仮想画像が重畳された画像であり、
前記第2の映像は、第1の映像への前記仮想画像の重畳位置を決定するために前記画像処理装置によって用いられる
ことを特徴とする、請求項10に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
前記受信手段は、前記合成映像と制御データとが多重化された多重化データを受信し、
前記ヘッドマウントディスプレイはさらに、前記多重化データから前記合成映像と前記制御データとを分離する分離手段を備え、前記設定手段は、さらに前記制御データに応じて前記多重化方法を設定することを特徴とする、請求項10又は11に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか1項に記載のヘッドマウントディスプレイと、
前記ヘッドマウントディスプレイから前記多重化されたデータを受信し、前記第1及び第2の映像を用いて前記合成映像を生成し、前記合成映像を前記ヘッドマウントディスプレイに送信する画像処理装置と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項14】
前記画像処理装置は、前記第2の映像に変化がないと判断した場合に制御信号を前記ヘッドマウントディスプレイへと送信し、
前記設定手段は、前記制御信号の受信に応じて、前記送信されるデータにおける前記第2の映像のデータ幅が小さくなるように、前記多重化方法を設定することを特徴とする、請求項13に記載の画像処理システム。
【請求項15】
通信装置が行う通信方法であって、
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得する工程と、
第2の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第2の映像データを取得する工程と、
映像データ以外の通信データを取得する工程と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否か、及び前記第2の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ、前記第2の映像データ、及び前記通信データの多重化方法を設定する工程と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する工程と、
を有することを特徴とする通信方法。
【請求項16】
コンピュータに、
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得する工程と、
第2の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第2の映像データを取得する工程と、
映像データ以外の通信データを取得する工程と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否か、及び前記第2の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ、前記第2の映像データ、及び前記通信データの多重化方法を設定する工程と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項17】
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得し、映像データ以外の通信データを取得する、取得手段と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ及び前記通信データの多重化方法を設定する設定手段と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する送信手段と、を備え、
前記設定手段により、前記第1の映像データの有効区間である場合と比較して、前記第1の映像データの有効区間ではない場合において、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように、前記多重化方法が設定されることを特徴とする、通信装置。
【請求項18】
通信装置が行う通信方法であって、
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得する工程と、
映像データ以外の通信データを取得する工程と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ及び前記通信データの多重化方法を設定する工程と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する工程と、を有し、
前記第1の映像データの有効区間である場合と比較して、前記第1の映像データの有効区間ではない場合において、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように、前記多重化方法が設定されることを特徴とする、通信方法。
【請求項19】
コンピュータに、
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得する工程と、
映像データ以外の通信データを取得する工程と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ及び前記通信データの多重化方法を設定する工程と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する工程と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記第1の映像データの有効区間である場合と比較して、前記第1の映像データの有効区間ではない場合において、前記送信されるデータにおける前記通信データのデータ幅が大きくなるように、前記多重化方法が設定されることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、ヘッドマウントディスプレイ、画像処理システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現実世界と仮想世界とをリアルタイムにシームレスに融合させる技術として、複合現実感、いわゆるMR(Mixed Reality)技術が知られている。MR技術の1つに、ビデオシースルーHMD(Head Mounted Display)を利用して、ビデオカメラ等で撮像された撮像映像にCG(Computer Graphics)が重畳された合成映像をHMD装着者が観察する技術が知られている。この撮像映像は、HMD装着者の瞳位置から観察される被写体と略一致する被写体を含むように撮像される。合成映像の生成はHMDと通信可能な外部のサーバが行うことができ、この場合、撮像映像はHMDからサーバへと送信され、合成映像はサーバからHMDへと送信される。
【0003】
また、HMD装着者の頭部の動きに対応させてCGを適切に表示するために、頭部の動きを検知するセンサを搭載したHMDシステムも知られている(特許文献1)。このようなシステムでは、撮像映像に加えて、その他の通信データ(例えば頭部の動きを検知するセンサのデータ等)が、HMDからサーバへと送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3724157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、HMDから外部機器への伝送路の帯域幅の範囲内で撮像映像と通信データとを伝送する必要がある。このため、従来のHMDシステムでは、撮像映像のデータ量と通信データのデータ量との合計が伝送路の帯域幅を超える場合、撮像映像又は通信データのデータ量(ビットレート等)を低下させる必要があり、合成映像の品質低下を招いていた。
【0006】
本発明は、撮像映像と通信データとの双方を送信する際に帯域を有効活用し、伝送品質の低下を抑制することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の通信装置は以下の構成を備える。すなわち、
第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得し、第2の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第2の映像データを取得し、映像データ以外の通信データを取得する、取得手段と、
前記第1の映像データの有効区間であるか否か、及び前記第2の映像データの有効区間であるか否かに応じて、前記第1の映像データ、前記第2の映像データ、及び前記通信データの多重化方法を設定する設定手段と、
前記設定された多重化方法に従って多重化されたデータを送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、撮像映像と通信データとの双方を送信する際に帯域を有効活用し、伝送品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る画像処理システムの構成例を示すブロック図。
図2図1における多重化部112の構成例を示すブロック図。
図3図2におけるモード選択部204の動作を示すフローチャート。
図4図2におけるリード制御部205の動作を説明するタイミングチャート。
図5図2における信号生成部206の動作を説明するタイミングチャート。
図6図2におけるMUX部207における多重化動作を説明する図。
図7】実施形態2に係る画像処理システムの構成例を示すブロック図。
図8】実施形態3に係るコンピュータの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る画像処理システムの構成を示す。図1に示すように、この画像処理システムは、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)100と、伝送部200と、映像合成部300とを備える。HMD100は、入力される複数の映像データと通信データを多重化信号として映像合成部300へと伝送し、映像合成部300から受信した映像データを表示する。映像合成部300は、HMD100より受信した映像データの内容に応じてCGデータを生成し、生成したCGデータを映像データに重畳してHMD100へと伝送する。伝送部200は、HMD100と映像合成部300とを接続し、多重化信号をHMD100から映像合成部300へと伝送し、映像データを映像合成部300からHMD100へと伝送する。もっとも、HMD100は、狭義のヘッドマウントディスプレイには限られず、任意の頭部装着型装置でありうる。
【0011】
頭部にHMD100を装着することで、体験者は外界の映像にCGが重畳された映像を見ることができ、現実世界と仮想世界がリアルタイムに融合した複合現実感を体感することができる。HMD100には、右撮像部101、左撮像部102、第1のマーカ撮像部103、第2のマーカ撮像部104、位置検知部105、右表示部106、及び左表示部107等の外部装置が接続されている。
【0012】
右撮像部101及び左撮像部102は体験者の視線方向に合わせてHMD100に取り付けられている。右撮像部101及び左撮像部102は外界の映像を撮像することができる。第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104も、外界の映像を撮像することができる。第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104は、外界に配置されたシンボル(以下、MRマーカ)を撮像するためにHMD100に取り付けられている。第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104にて撮像された映像データは、後述する映像合成部300へと伝送され、右撮像部101及び左撮像部102により撮像された映像への仮想画像の重畳位置を決定するために用いられる。例えば、映像合成部300は映像データからMRマーカの位置検出及びMRマーカのID情報検出を行うことができる。MRマーカが検出された位置及びMRマーカのID情報に応じて、HMD100の位置・姿勢データを生成する。そして、生成されたHMD100の位置・姿勢データに応じて、右撮像部101及び左撮像部102により撮像された映像に重畳されるCGデータの選択及び重畳位置の決定が行われる。
【0013】
右撮像部101、左撮像部102、第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104としては、例えばCMOSイメージセンサ等を用いることができる。右撮像部101、左撮像部102、第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104には、それぞれ同じイメージセンサを用いてもよいし、フレームレートと解像度との少なくとも一方が異なるイメージセンサを用いてもよい。本実施形態では、右撮像部101及び左撮像部102に使用するイメージセンサと、第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部に使用するイメージセンサとは、解像度及びフレームレートが異なるものとする。
【0014】
位置検知部105はHMD100又はHMD100を装着する体験者の頭部の位置と姿勢との少なくとも一方を検知するものであり、例えばジャイロセンサ、加速度センサ又は地磁気センサ等を用いることができる。以下では、位置と姿勢との少なくとも一方のことを位置・姿勢データと呼ぶ。なお、姿勢にはHMD100の向きも含まれる。一実施形態においては、位置検知部105は位置と姿勢との双方を含む位置・姿勢データを生成する。位置検知部105が検知したデータは伝送部200を経て映像合成部300へと伝送され、CG重畳位置を調整するために使用することができる。位置検知部105が検知したデータは、例えば、位置・姿勢データの初期値として用いることができる。具体的には、位置・姿勢データの初期値に基づいてMRマーカ画像を第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104の撮影した画像に投影し、その誤差を最小化するようにして繰り返し演算により位置・姿勢データを求めてもよい。また、位置検知部105が検知したデータは、第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104の撮影範囲内にMRマーカがない場合に、CG重畳位置を調整するために使用することができる。
【0015】
右表示部106及び左表示部107は、HMD100を装着した体験者に映像を提供するものであり、例えば有機ELパネル又は液晶パネル等を用いることができる。映像合成部300により合成した映像は、伝送部200を通じてHMD100へと伝送され、右表示部106及び左表示部107が映像を表示することで、体験者に映像が提供される。
【0016】
次に、HMD100の内部構成について説明する。HMD100は、画像処理部110、CPU111、多重化部112、送信部113、及び受信部114を有している。右撮像部101、左撮像部102、第1のマーカ撮像部103及び第2のマーカ撮像部104からHMD100に入力される映像信号は、それぞれ画像処理部110を経て多重化部112へと入力される。
【0017】
画像処理部110は、入力された映像信号に対して、各撮像デバイスに合わせた画像処理(例えば、色補間処理、ホワイトバランス処理及びガンマ補正処理等)を行う。
【0018】
撮像部101〜104は、フレーム画像を連続して撮像することにより、複数のフレーム画像で構成される映像データを生成する。このため、画像処理部110へと入力される映像データは、フレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しにより構成される。
【0019】
CPU111は、位置検知部105から取得した位置・姿勢データに基づいて、映像合成部300への通信データを生成する演算処理装置である。生成された通信データは多重化部112へと送信される。このように、一実施形態において、HMD100から映像合成部300へと送信される通信データには、HMD100の位置と姿勢との少なくとも一方を示す情報が含まれる。しかしながら、CPU111に入力され、映像合成部300へと送信されるデータは、位置・姿勢データには限られない。例えば、CPU111は位置検知部105以外の外部装置に接続されていてもよく、音声データ、GPS情報又は温度湿度情報等のデータを取得することができる。CPU111は、これらのデータに基づいて通信データを生成し、映像合成部300へと送信することができる。
【0020】
多重化部112は右撮像部101(又は左撮像部102)からの映像データと、第1のマーカ撮像部103(又は第2のマーカ撮像部104)からの映像データと、CPU111からの通信データと、の合計3系統の入力データを時分割多重化する。時分割多重化により生成された1つの転送信号は、送信部113へと送信される。本実施形態では、多重化部112には右撮像部101からの映像データと第1のマーカ撮像部103からの映像データとが入力されるが、構成はこれに限定されない。例えば、撮像部101〜104からの映像データが同じ多重化部へと入力されてもよい。
【0021】
送信部113は、多重化部112により多重化されたデジタル信号を伝送部200を介して映像合成部300へと送信する機能を有する通信インタフェースである。通信インタフェースとしては、例えばPCI−express、LAN、又はその他の高速シリアル通信を用いることができる。受信部114は、映像合成部300からの映像データ信号を伝送部200を介して受信する。受信部114により受信された映像データ信号は、右表示部106および左表示部107へと送信され、表示部106、107によって表示される。上記の多重化部112、送信部113、及び受信部114は、通信装置として機能しうる。
【0022】
映像合成部300は、HMD100から送信された多重化データを受信する。そして、映像合成部300は、受信した多重化データを、右撮像部101(又は左撮像部102)からの映像データと、第1のマーカ撮像部103(又は第2のマーカ撮像部104)からの映像データと、CPU111からの通信データと、に分離する。そして、映像合成部300は、右撮像部101(又は左撮像部102)からの映像データと、第1のマーカ撮像部103(又は第2のマーカ撮像部104)からの映像データと、を用いて合成映像を生成する。例えば、分離されたデータに基づいて右撮像部101(又は左撮像部102)からの映像データにはCGが重畳される。そして、映像合成部300は、CGが重畳された合成映像データを再度伝送部200を介してHMD100へと送信する。映像合成部300は、HMD100とは別個の情報処理装置でありうる。
【0023】
このように、図1のシステムではHMD100に取り付けられた撮像部101〜104によって撮影された映像データが伝送部200を介して映像合成部300へと伝送される。そして、映像データに基づいて検出されたMRマーカ位置及び位置・姿勢データに基づいて、映像データに仮想画像(例えばCGデータ)が合成される。CGデータが合成された合成映像データは再び伝送部200を介してHMD100へと送信され、表示部106、107に表示される。こうして、体験者に現実世界と仮想世界がリアルタイムに融合した複合現実感を提供することができる。
【0024】
(多重化部112の説明)
次に、多重化部112の構成について詳細に説明する。図2は、多重化部112の詳細なブロック図である。以下では、右撮像部101(又は左撮像部102)からの映像データを第1の映像データと呼び、第1のマーカ撮像部103(又は第2のマーカ撮像部104)からの映像データを第2の映像データと呼ぶ。また、映像データは、画像情報の他に、映像の開始を示す垂直同期信号、水平同期信号、及び有効区間を示す有効区間信号を含んでいるものとする。有効区間信号は、この信号を含む映像データが、フレーム画像データが入力される有効区間におけるデータであるか、フレーム画像データが入力されない区間におけるデータであるかを示す。有効区間においては映像データはフレーム画像データを含み、有効区間以外においては映像データはフレーム画像データを含まない。
【0025】
図2に示すように多重化部112は、第1の映像データと第2の映像データと通信データとをそれぞれ格納するFIFOバッファ(First In First Out、以下単にFIFOと呼ぶ)201〜203を有している。多重化部112はさらに、モード選択部204、リード制御部205、信号生成部206と、MUX部207とを有する。
【0026】
FIFO201〜203は映像データ又は通信データを格納するバッファである。有効区間においてはFIFO201〜203にデータが格納され、格納されたデータはリード制御部205より発行されるリード信号に応じて入力順に出力される。上記のように、FIFO201は、第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得する。また、FIFO202は、第2の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第2の映像データを取得する。さらに、FIFO203は、映像データ以外の通信データを取得する。
【0027】
モード選択部204は、第1の映像データの有効区間であるか否か、及び第2の映像データの有効区間であるか否かに応じて、第1の映像データ、第2の映像データ、及び通信データの多重化方法を設定する。本実施形態においてモード選択部204は、第1の映像データの有効区間信号と、第2の映像データの有効区間信号に応じて多重化モードを選択する。モード選択部204は、有効区間信号に基づいて、現在、映像データの有効区間にあるか否かを判定できる。
【0028】
図3は、モード選択部204の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS301においてモード選択部204は、第1の映像データが有効区間にある場合には変数DE1に1をセットし、第2の映像データが有効区間にある場合には変数DE2に1をセットする。
【0029】
ステップS302でモード選択部204は、第1の映像データが有効区間にありかつ第2の映像データも有効区間にあるかどうかを判定する、条件が満たされる場合、ステップS303でモード選択部204は通常モード(以下、Mode0)を選択する。そうではない場合、ステップS304でモード選択部204は第1の映像データが有効区間にありかつ第2の映像データは有効区間にないかどうかを判定する。条件が満たされる場合、ステップS305でモード選択部204は第1の映像データ優先モード(以下、Mode1)を選択する。そうではない場合、ステップS306でモード選択部204は第1の映像データが有効区間になくかつ第2の映像データが有効区間にあるかどうかを判定する。条件が満たされる場合、ステップS307でモード選択部204は第2の映像データ優先モード(以下、Mode2)を選択する。そうではない場合、すなわち第1の映像データと第2の映像データのどちらも有効区間にない場合、ステップS308でモード選択部204は通信データ優先モード(以下、Mode3)を選択する。このようにモード選択部204は、第1の映像データ及び第2の映像データの有効区間にあるか否かに応じて多重化モードを切り替える。
【0030】
後述するように、Mode1においては、Mode0と比較して、送信されるデータにおける通信データのデータ幅が大きくなるように多重化が行われる。また、Mode2においては、Mode0と比較して、送信されるデータにおける通信データのデータ幅が大きくなるように多重化が行われる。さらに、Mode3においては、Mode0〜2と比較して、送信されるデータにおける通信データのデータ幅が大きくなるように多重化が行われる。
【0031】
リード制御部205は、多重化モードに応じてFIFO201へのリード要求を行う。図4のタイミングチャートを参照してリード制御部205の動作の一例を説明する。図4には、リード制御部205を駆動する基準クロック及び多重化モードを示す2Bitのmode信号が示されている。図4にはさらに、第1の映像データを格納するFIFO201へのリード要求信号、第2の映像データを格納するFIFO202へのリード要求信号、通信データを格納するFIFO203へのリード要求信号が示されている。
【0032】
多重化モードがMode0又はMode1の時には、第1の映像データを格納するFIFOへのリード要求が発行される。また、多重化モードがMode0又はMode2の時には、第2の映像データを格納するFIFOへのリード要求が発行される。一方で、通信データを格納するFIFOへのリード要求は、多重化モードがMode1の時には3基準クロック毎に1クロックの間発行され、Mode2の時には2基準クロック毎に1クロックの間発行される。また、多重化モードがMode3の時には、通信データを格納するFIFOへのリード要求は基準クロック毎に毎回発行される。通信データを格納するFIFOへのリード要求の発行頻度は、後述するMUX部207により生成される多重化信号における通信データの多重化幅に応じて決定され、詳細は後述する。
【0033】
信号生成部206は、第1の映像データを格納するFIFO201からの第1のリードデータと、第2の映像データを格納するFIFO202からの第2のリードデータと、通信データを格納するFIFO203からの第3のリードデータを受け取る。そして、モード選択部204により選択された多重化モードに応じて、多重化信号を生成するための多重化用データを生成する。
【0034】
図5のタイミングチャートを参照して信号生成部206の動作の一例を説明する。図5には、信号生成部206を駆動する基準クロック及び多重化モードを示す2Bitのmode信号が示されている。図5にはさらに、第1のリードデータ、第2のリードデータ、第3のリードデータ、並びに信号生成部206で生成される第1の多重化用データ、第2の多重化用データ及び第3の多重化用データが示されている。
【0035】
前述のように、本実施形態にでは第1の映像データと第2の映像データとはフレームレート及び解像度が異なっている。以下では、第1の映像データのピクセルクロックは148.5MHz、第2の映像データのピクセルクロックは74.25MHzであるものとして説明する。また、映像データは1ピクセル当たり24Bitであるものとする。さらに、第1のリードデータにより基準クロック(148.5MHz)ごとに1ピクセルの情報が転送され、第2のリードデータにより基準クロック2クロック毎に1ピクセルのデータが転送されるものとする。
【0036】
信号生成部206は、Mode0又はMode1の時、24Bitの第1リードデータを第1の多重化用データとして出力する。また、Mode0又はMode2の時、12Bitの第2のリードデータを第2の多重化用データとして出力する。
【0037】
第3のリードデータは、通信データを格納するFIFOへのリード要求に応じて36Bit幅で入力され、信号生成部206によって多重化モードに応じて時分割される。すなわち、第3のリードデータは、Mode1の時は12Bit幅、Mode2の時は24Bit幅、Mode3の時は36Bit幅となるように時分割され、第3の多重化用データとして出力される。第3のリードデータと第3の多重化用データとのデータ幅は任意に決定することができる。例えば、第1〜第3の多重化用データのデータ幅の合計が所定値を超えないように、第3の多重化用データのデータ幅を決定することができる。このように信号生成部206は、多重化モードに応じて第1の多重化用データ、第2の多重化用データ及び第3の多重化用データを生成及び出力する。第3のリードデータと第3の多重化用データとのデータ幅は多重化幅等に応じて任意に決定することができる。
【0038】
MUX部207は、多重化モードに応じて信号生成部206で生成された第1〜第3の多重化用データを時分割多重化する。図6には、MUX部207により生成される多重化信号の例を多重化モードごとに示す。HMD100から映像合成部300へは、図6に示されるデータが繰り返し送信される。図6に示すように、HMD100から映像合成部300へと送信される多重化されたデータは、多重化方法を示す情報と、第1及び第2の映像データの同期信号とを含む。本実施形態において、多重化方法を示す信号は、上記の多重化モードを示すMode信号である。第1及び第2の映像データの同期信号は、例えば、第1の映像データについての水平同期信号及び垂直同期信号、並びに第2の映像データについての水平同期信号及び垂直同期信号を含んでいてもよい。このような構成により、第1及び第2の映像データの非同期な送信が可能となる。例えば、第1及び第2の映像データのフレームレートが異なる場合等、第1及び第2の映像データの有効区間が非同期であっても、第1及び第2の映像データを少ないレイテンシで映像合成部300へと送信することができる。また、多重化されたデータは、第1の映像データ、前記第2の映像データ、及び前記通信データのうちの少なくとも1つを含んでいる。これらは、多重化モードに従って選択される。
【0039】
モード選択部204によって設定された多重化方法に従って、MUX部207により多重化された多重化データは、前述の送信部113及び伝送部200を介して映像合成部300へと転送される。映像合成部300は、受信した時分割多重信号をMode信号に応じてデマルチプレクスすることにより、第1の映像データと、第2の映像データ、及び通信データを得ることができる。このように、MUX部207は、多重化モードごとに多重化方式を切り替えることにより、データ転送効率を向上させている。
【0040】
本実施形態では、4種類の多重化モードのうち1つが選択されたが、構成はこれに限定されない。例えば、第1の映像データと第2の映像データのどちらも有効区間にない場合には通信データ優先モードを選択し、それ以外の場合には映像優先モードを選択することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0041】
一実施形態において、第1及び第2の映像データの有効区間である場合と比較して、第1又は第2の映像データの有効区間ではない場合において、送信されるデータにおける通信データのデータ幅が大きくなるように、多重化方法は設定される。上記の例においても、第1及び第2の映像データの有効区間である場合(Mode0)より、第1又は第2の映像データの有効区間ではない場合(Mode1〜3)の方が、通信データのデータ幅は大きい。図6のMode0は説明を簡単にするために制御データを挿入していないが、第1及び第2の映像データのデータ幅の合計よりも送信可能なデータ幅が大きければ、残りの部分に通信データを挿入してもよい。
【0042】
一実施形態において、少なくとも一期間において、前記第1の映像の有効期間と前記第2の映像の有効期間はずれている。例えば、第1の映像のフレームレートと第2の映像のフレームレートとは異なっていてもよく、この場合第1の映像の有効期間と第2の映像の有効期間とは同期しない。また、第1の映像のフレームレートと第2の映像のフレームレートとが一緒である場合でも、前記第1の映像の有効期間の開始と前記第2の映像の有効期間の開始をずらすことができる。このような構成によれば、第1の映像の有効期間と第2の映像の有効期間とが揃っている場合と比較して、第1又は第2の映像データの有効区間ではない場合(Mode1〜3)の出現間隔が短くなる。このため、通信データの送信レイテンシを小さくすることが可能となる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態においては、第1の映像データ及び第2の映像データが有効区間にあるか否かに応じて多重化モードが切り替えられる。こうして、映像データと通信データとを多重化する際に、映像データの有効区間にない間は多重化データに占める通信データの比率を向上させる。こうして、複数の映像データのフレームレート又は解像度が異なる場合であっても、高効率にデータ転送を行うことができるため、映像データ及び通信データの伝送量やビットレートが低下することを抑えることができる。このため、リアルタイム性が要求されるデータ転送においても、映像の品質を落とさずかつレイテンシを抑えて通信することが可能となる。
【0044】
上記の本実施形態において、HMD100は、第1の映像データ、第2の映像データ、及び通信データを映像合成部300へと送信した。しかしながら、本実施形態の方法は、HMD100が第1の映像データ及び通信データを送信する場合にも応用可能である。この場合、FIFO201は第1の映像のフレーム画像データが入力される有効区間とフレーム画像データが入力されない区間との繰り返しを通じて第1の映像データを取得する。また、FIFO203は映像データ以外の通信データを取得する。そして、モード選択部204は、第1の映像データの有効区間であるか否かに応じて、第1の映像データ及び通信データの多重化方法を設定する。このような構成によれば、第1の映像データが有効区間にあるか否かに応じて多重化モードが切り替えられる。このため、映像データと通信データとを多重化する際に、映像データの有効区間にない間は多重化データに占める通信データの比率を向上させ、高効率にデータ転送を行うことができる。
【0045】
[実施形態2]
図1は、実施形態2に係る画像処理システムの構成を示す。本実施形態において、多重化部702は外部装置から制御データを受信する。例えば、HMD100は図1に示す構成に加えて多重分離部701を含むことができる。多重分離部701には、多重化データが、映像合成部300から伝送部200及び受信部114を介して入力される。多重分離部701は、入力された多重化信号を合成映像データと制御データへと分離する。そして、映像データは表示部106,107に入力され、制御データは多重化部702に入力される。多重化部702には、第1及び第2の映像データ及びCPU111からの通信データに加え、多重分離部701から制御データが入力される。多重化部702は、これらの入力信号を用いて多重化信号を生成する。
【0046】
多重化部702は、モード選択部204に制御データが入力されることを除き、図2に示す多重化部112と同様の構成を有しており、同様の構成についての説明は省略する。
【0047】
モード選択部204は、第1及び第2の映像データの有効区間信号に加えて、映像合成部300からの制御データに応じて多重化方法を設定する。このような構成により、映像合成部300の制御により多重化モードを切り換えることが可能となる。例えば、HMD100の動きがないためにマーカ撮像部103,104からの映像データ(第2の映像データ)に変化がない場合、映像合成部300はCGが重畳される位置を変える必要はない。本実施形態においては、このような場合、モード選択部204は第2の映像データの帯域を減らし、通信データの帯域を増やすように多重化モードを切り替える。このような構成により、帯域利用の効率化及び通信データの送信レイテンシの低下を図ることが可能となる。
【0048】
本実施形態におけるモード選択部204の動作について説明する。まず、モード選択部204は、多重分離部701から得られた制御データが有効信号を含んでいるかどうかを判断する。モード選択部204は、有効信号を含む制御データの受信に応じて、HMD100から映像合成部300へと送信されるデータにおける第2の映像のデータ幅が小さくなるように多重化方法を設定する。例えば、モード選択部204は、第2の映像データの帯域を減らすように第1映像優先モードを選択することができる。そうではない場合、ステップS301〜S308と同様の処理が行われる。
【0049】
映像合成部300は、第2の映像に変化がないと判断した場合に制御信号をHMD100へと送信することができる。例えば映像合成部300は、第2の映像データの変化が小さい場合、例えば第2の映像データに含まれる連続したフレーム画像間の画素値差分を用いて得られる評価値が閾値以下となる場合、有効信号を制御データとしてHMD100へと送信することができる。
【0050】
一方で、位置検知部105からの位置・姿勢データに変化があることを検知した場合に、映像合成部300は有効信号の送信を中断することができる。映像合成部300に第2の映像データが入力されていない場合でも、多重化データに対する通信データの割合が大きいため、位置検知部105からの位置・姿勢検知データは少ないレイテンシで映像合成部300へと転送される。このため、HMD100に動きがあった場合、すぐに第2の映像データの転送を開始することが可能となる。
【0051】
以上、説明したように、本実施携帯においては、映像合成部300からの制御データと、第1の映像データ及び第2の映像データの有効区間とに応じて、多重化モードが選択される。このため、高効率にデータ転送を行うことが可能となる。
【0052】
[実施形態3]
上述の実施形態においては、例えば図1等に示される各処理部はそれぞれに対応するハードウェアによって実現される。しかしながら、HMD100が有する一部又は全部の処理部が、コンピュータにより実現されてもよい。本実施形態では、上述の各実施形態に係る処理の少なくとも一部がコンピュータにより実行される。
【0053】
図8はコンピュータの基本構成を示す図である。図8においてプロセッサ810は、例えばCPUであり、コンピュータ全体の動作をコントロールする。メモリ820は、例えばRAMであり、プログラム及びデータ等を一時的に記憶する。コンピュータが読み取り可能な記憶媒体830は、例えばハードディスク又はCD−ROM等であり、プログラム及びデータ等を長期的に記憶する。本実施形態においては、記憶媒体830が格納している、各部の機能を実現するプログラムが、メモリ820へと読み出される。そして、プロセッサ810が、メモリ820上のプログラムに従って動作することにより、各部の機能が実現される。
【0054】
図8において、入力インタフェース840は外部の装置から情報を取得するためのインタフェースである。また、出力インタフェース850は外部の装置へと情報を出力するためのインタフェースである。バス860は、上述の各部を接続し、データのやりとりを可能とする。
【0055】
映像合成部300も、図8に示すコンピュータを用いて実現することができる。
【0056】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0057】
100:HMD、112:多重化部、113:送信部、201〜203:FIFO、204:モード選択部、206:信号生成部、207:MUX
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8