(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614850
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20191125BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20191125BHJP
B41J 2/47 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/01 Y
!B41J2/47 101M
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-153517(P2015-153517)
(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公開番号】特開2017-32823(P2017-32823A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】田尻 剛士
(72)【発明者】
【氏名】岸 丈博
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏俊
【審査官】
松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−171352(JP,A)
【文献】
特開2013−025128(JP,A)
【文献】
特開2011−059150(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102012660(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0149015(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0067013(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0119690(US,A1)
【文献】
特開2008−026701(JP,A)
【文献】
特開2006−154555(JP,A)
【文献】
特開2010−152008(JP,A)
【文献】
特開2008−139336(JP,A)
【文献】
特開2001−337538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 15/01
B41J 2/47
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色の画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記複数の画像形成手段により形成された前記画像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上の前記画像をシートに転写するためのニップ部を形成しており、前記中間転写体と異なる表面速度にて駆動されるベルト部材と、
前記中間転写体に形成された、色ずれ検出に使用されるカラーパターンを検出する検出手段と、
前記複数の画像形成手段が印刷ジョブに基づき連続して画像形成している間に、前記複数の画像形成手段によって異なる色の第1カラーパターンを形成し、前記検出手段によって前記第1カラーパターンを検出し、前記複数の画像形成手段により形成される基準色の画像と前記基準色と異なる他の色の画像との相対位置を前記検出手段により前記第1カラーパターンから検出された色ずれに基づき補正する制御手段と、を備え、
前記複数の画像形成手段が前記印刷ジョブに基づく画像形成中に、前記複数の画像形成手段が所定の坪量より小さい坪量のシートに転写される第1画像と前記所定の坪量より大きい坪量のシートに転写される第2画像を連続して形成する場合、前記制御手段は、前記複数の画像形成手段に前記印刷ジョブに基づく画像形成を中断させ、前記複数の画像形成手段によって異なる色の第2カラーパターンを形成し、前記検出手段によって前記第2カラーパターンを検出し、前記相対位置を前記検出手段により前記第2カラーパターンから検出された第2の色ずれに基づき補正し、
前記制御手段は、前記第2カラーパターンの形成後に、前記複数の画像形成手段に前記印刷ジョブに基づく画像形成を再開させ、
前記第1カラーパターンは前記第2カラーパターンと異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2カラーパターンは、前記中間転写体において、前記第1画像と前記第2画像との間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数の画像形成手段が前記第2画像を形成した後に前記画像形成を中断させて前記複数の画像形成手段に前記第2カラーパターンを形成させ、
前記第2カラーパターンは、前記中間転写体において、前記第2画像と第3画像との間に形成され、
前記第3画像は、前記印刷ジョブに基づく画像であって、前記第2画像の後に形成される画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体は、前記画像を搬送し、
前記中間転写体の搬送方向において前記第2カラーパターンの長さは、前記搬送方向において前記第1カラーパターンの長さより長いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画像形成装置の内部温度の変化量が所定量に達した場合、前記複数の画像形成手段の連続した画像形成中に、前記複数の画像形成手段によって前記第1カラーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、画像形成されたシートの数が所定数に達した後、前記複数の画像形成手段の連続した画像形成中に、前記複数の画像形成手段によって前記第1カラーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記複数の画像形成手段が複数のシートに画像を連続して形成している間の経過期間が所定期間に達した場合、前記複数の画像形成手段の連続した画像形成中に、前記複数の画像形成手段によって前記第1カラーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記画像形成装置の電源投入時からの経過期間が所定期間に達した後、前記複数の画像形成手段の連続した画像形成中に、前記複数の画像形成手段によって前記第1カラーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記画像形成装置の電源投入時から画像形成されたシートの数が所定数に達した場合、前記複数の画像形成手段の連続した画像形成中に、前記複数の画像形成手段によって前記第1カラーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記中間転写体の表面速度は、前記ベルト部材の表面速度よりも速いことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成される画像の位置補正制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、連続して画像形成を行うことによる昇温や、環境温度の変動等による部品の膨張収縮により、画像形成に使用する各色の画像の相対的な位置ずれ、つまり、色ずれが発生する。そのため、画像形成装置では、像担持体に色ずれ量を検出するためのテストパターンを形成し、このテストパターンの検出結果に基づき色ずれを低減させる色ずれ補正を行う。
【0003】
色ずれ補正は、画像形成装置を連続して動作させた時間や、画像を形成した記録材の枚数に基づき開始される。特許文献1は、画像を形成している間に色ずれ補正を行う際には、画像形成を一旦停止し、次の記録材との間隔(以下、紙間と呼ぶ。)を広げ、この広げた間隔の中にテストパターンを形成して色ずれ補正を行う構成を開示している。特許文献2は、連続して画像を形成している間に色ずれ補正を行う際には、紙間に収まる様なテストパターンを形成する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−25128号公報
【特許文献2】特開2006−171352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、色ずれ補正を行う度に、画像形成を中断するため画像形成の生産性が低下する。特許文献2に記載の構成では、画像形成を行いながら色ずれ補正を行う。ここで、2次転写ローラ等の2次転写部と中間転写ベルトとのニップ領域に記録材が進入すると、中間転写ベルトの速度が目標速度から変化する可能性がある。中間転写ベルトの速度が目標速度と異なった状態で色ずれ補正が実行された場合、高精度に画像の相対的な位置ずれを補正することができない。
【0006】
そこで、本発明は、適切なタイミングにおいて色ずれ補正を実行する画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、画像形成装置は、異なる色の画像を形成する複数の画像形成手段と、前記複数の画像形成手段により形成された前記画像が転写される中間転写体と、前記中間転写体上の前記画像をシートに転写するためのニップ部を形成しており、前記中間転写体と異なる表面速度にて駆動されるベルト部材と、前記中間転写体に形成された、色ずれ検出に使用されるカラーパターンを検出する検出手段と、
前記複数の画像形成手段が印刷ジョブに基づき連続して画像形成している間に、前記複数の画像形成手段によって異なる色の
第1カラーパターンを形成し、前記検出手段によって前記
第1カラーパターンを検出し、前記複数の画像形成手段により形成される基準色の画像と前記基準色と異なる他の色の画像との相対位置を前記検出手段により
前記第1カラーパターンから検出された色ずれに基づき補正する制御手段と、を備え、
前記複数の画像形成手段が前記印刷ジョブに基づく画像形成中に、前記複数の画像形成手段が所定の坪量より小さい坪量のシートに転写される第1画像と前記所定の坪量より大きい坪量のシートに転写される第2画像を連続して形成する場合、前記制御手段は、
前記複数の画像形成手段に前記印刷ジョブに基づく画像形成を中断させ、前記複数の画像形成手段によって異なる色の第2カラーパターンを形成し、前記検出手段によって前記第2カラーパターンを検出し、前記相対位置を前記検出手段により前記第2カラーパターンから検出された第2の色ずれに基づき補正し、
前記制御手段は、前記第2カラーパターンの形成後に、前記複数の画像形成手段に前記印刷ジョブに基づく画像形成を再開させ、前記第1カラーパターンは前記第2カラーパターンと異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、適切なタイミングにおいて色ずれ補正を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による画像形成装置の概略的な構成図。
【
図2】一実施形態による画像形成装置の制御構成図。
【
図3】坪量による駆動ローラのトルク変動を示す図。
【
図4】坪量による駆動ローラのトルク変動を示す図。
【
図8】一実施形態による露光処理のタイミングチャート。
【
図9】一実施形態による制御部での処理のフローチャート。
【
図10】一実施形態による露光処理のタイミングチャート。
【
図11】一実施形態による制御部での処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による画像形成装置101の概略的な構成図である。画像形成ステーションPa、Pb、Pc及びPdは、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像を中間転写ベルト7に形成する。なお、画像形成ステーションPa、Pb、Pc及びPdは、使用するトナーの色が異なるのみであり、その構成は同一であるので以下では纏めて説明する。まず、感光体1は、像担持体であり、画像形成時、回転駆動される。帯電部2は、感光体1を一様な電位に帯電させる。露光部3は、帯電された感光体1を光で走査・露光して感光体1に静電潜像を形成する。現像部4は、感光体1に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する。1次転写部5は、感光体1に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に転写する。クリーニング部6は、中間転写ベルト7に転写されず、感光体1に残留したトナーを除去する。
【0012】
中間転写ベルト7は、テンションローラ30、2次転写対向ローラ31及び駆動ローラ8により張架された像担持体であり、画像形成時、駆動ローラ8の回転に従属して回転される。中間転写ベルト7は、中間転写ベルト7が2次転写ベルト2に接触しているニップ領域35を有する。中間転写ベルト7の回転により、中間転写ベルト7に転写されたトナー像はニップ領域35へ搬送される。一方、記録材であるシートはカセット11から給紙され、搬送路に沿ってニップ領域35へ搬送される。センサ19がシートの先端を検出すると、シートの搬送は一旦停止される。その後、中間転写ベルト7のトナー像がニップ領域35に到達するタイミングにシートもニップ領域35に到達する様に、ローラ12によりシートの搬送が再開される。なお、ニップ領域35は、シートに画像が転写される転写位置に相当する。
【0013】
2次転写ベルト9は、複数のローラにより張架され、駆動ローラ32の回転に従属して回転駆動される。なお、駆動ローラ32と駆動ローラ8の駆動源は異なる。ここで、回転駆動される転写部材としては、2次転写ベルト9に限定されず、例えば、ローラであってもよい。中間転写ベルト7の表面の移動速度Vbは、シートへの転写特性を高くするために、2次転写ベルト9の表面の移動速度Vtrより高く設定される。つまり、Vb>Vtrである。
【0014】
2次転写ベルト9は、不図示の電源ユニットから転写電圧が印加され、中間転写ベルト7のトナー像をシートに転写する。また、クリーニング部10は、シートに転写されず中間転写ベルト7に残留したトナーを除去する。トナー像が転写されたシートは、搬送ベルト13により定着部14へ搬送される。定着部14は、シートを加熱・加圧してトナー像をシートに定着させる。その後、シートは、機外の排紙トレー15に排出される。また、画像形成装置101は、色ずれ補正時、中間転写ベルト7に形成されたテストパターンを検出する検出部100を備えている。検出部100は、中間転写ベルト7に光を照射するLEDと、中間転写ベルト7上のテストパターンからの反射光を受光する受光部を有し、検出部100は受光部に受光された光の強度に基づくセンサ出力値を制御部111(
図2)へ出力する。なお、テストパターンは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの検出用画像を含むパターンである。
【0015】
図2は、画像形成装置の制御構成図である。制御部111は、画像形成装置における画像形成の全体を制御する。また、制御部111は、色ずれ補正を行う必要があるか否かを判定する。制御部111が画像形成装置に色ずれ補正を実行させる場合、テストパターンを中間転写ベルト7に形成して検出部100から検出結果を取得し、この検出結果に基づき各色の画像の相対的な色ずれ量を求める。そして、制御部111は、求めた色ずれ量に基づき、色ずれが低減する様に、例えば、感光体1に静電潜像を形成するタイミング等を調整する。なお、
図2において、形成部110は、
図1に示す画像形成ステーションPa、Pb、Pc、及びPdである。記憶部112は、シートの属性情報を記憶する。記憶部112は、例えば、シートの坪量を記憶する。つまり、記憶部112は、シートと、当該シートの坪量の関係を示す情報を記憶している。
【0016】
図3は、坪量が128[g/m
3]のシートにトナー像を転写した際に、駆動ローラ8及び32のトルク変動を測定した結果を示している。また、
図4は、坪量350[g/m
3]のシートに画像を転写した際に、駆動ローラ8及び32のトルク変動を測定した結果を示している。なお、記録材のサイズは共にA3である。また、測定の際には、上述した様に、中間転写ベルト7の表面の移動速度Vbは2次転写ベルト9の表面の移動速度Vtrより速い速度に設定されている。
図3及び
図4において時刻T1は、シートの先端がニップ領域35に進入し始めた時刻を示している。
図3に示す様に、坪量が128[g/m
3]の場合には、シートがニップ領域35に進入した際にトルク変動は発生しない。しかしながら、
図4に示す様に、坪量が350[g/m
3]の場合には、シートがニップ領域35に進入後、中間転写ベルト7を駆動する駆動ローラ8には大きなトルク変動が発生している。このトルク変動によって、中間転写ベルト7が駆動ローラ8に対して滑ってしまう可能性がある。中間転写ベルト7に滑りが生じた場合には、中間転写ベルト7の表面の速度は目標速度とならない。
【0017】
図5は、坪量が128[g/m
3]で、A3サイズのシート5枚に連続して画像を形成した場合のイエロー(Y)に対するブラック(K)の色ずれ量の測定結果である。
図6は、坪量が350[g/m
3]で、A3サイズのシート5枚に連続して画像を形成した場合のイエロー(Y)に対するブラック(K)の色ずれ量の測定結果である。
図7は、坪量が350[g/m
3]で、A3サイズのシート10枚に連続して画像を形成した場合のイエロー(Y)に対するブラック(K)の色ずれ量の測定結果である。但し、
図7に示す測定の際には、6枚目と7枚目の紙間を、その他の紙間より大きくした。なお、画像形成装置においては、1枚目のシートがニップ領域35に進入する際には、3枚目の記録材に転写されるトナー像が中間転写ベルト7に担持されている。
【0018】
図5から、比較的、坪量の小さい128[g/m
3]のシートでは、5枚のシートに形成された画像の色ずれ量に大きな違いはない。一方、
図6に示す様に、坪量の大きい350[g/m
3]のシートでは、1枚目から3枚目と比較し、4枚目と5枚目の色ずれ量が大きくなっている。これは、シートがニップ領域35に進入することにより生じるトルク変動に起因している。また、
図7においては、6枚目と7枚目の紙間を広げたため、7枚目の色ずれ量は、1枚目の色ずれ量とさほど変わらなくなっている。これは、紙間を広げたことにより、7枚目の画像を中間転写ベルト7に形成する際には、トルク変動による中間転写ベルト7表面の移動速度Vbの変動が収まっているからである。そして、7枚目のシートがニップ領域35に進入する前に、9枚目のシートに転写する画像の中間転写ベルト7への転写も終了しているため、8枚目及び9枚目の色ずれ量も1枚目とさほど変わらなくなる。しかしながら、10枚目の画像の色ずれ量は、7枚目のシートのニップ領域35への進入による影響を受けて大きくなっている。なお、駆動ローラ8は、中間転写ベルト7は、その表面の移動速度が所定速度となる様に制御されている。つまり、中間転写ベルト7に担持された画像が転写されるシートの坪量に拘らず、所定の移動速度となるように駆動ローラ8は制御されている。
【0019】
そこで、画像形成装置は、連続して複数の画像が形成されている間に実行される色ずれ補正を、シートPの坪量によって切り替える。例えば、印刷ジョブで指定された画像形成を行うシート総ての坪量が閾値以下である場合、制御部111は、印刷ジョブを中断することなく、紙間においてテストパターンを形成して色ずれ補正を行う。つまり、シートに転写する画像を中間転写ベルト7に形成しながら、中間転写ベルト7上において、シートに転写する画像間の領域にテストパターンを形成して制御部111は色ずれ補正を行う。なお、色ずれ補正が必要であると制御部111が判定した後に、転写される画像の感光体1への画像形成が行われるシート総ての坪量が閾値以下であると、印刷ジョブを中断することなく色ずれ補正を行う構成であっても良い。一方、印刷ジョブで指定された、画像形成を行うシートの中に、閾値より大きい坪量のシートがある場合、制御部111は、印刷ジョブを中断して色ずれ補正を行う。具体的には、閾値より大きい坪量に転写されるべき画像が中間転写ベルト7に形成された後、印刷ジョブを中断してテストパターンを形成する。そして、テストパターンの検出結果に基づいて色ずれ補正が実施される。そして、色ずれ補正の終了後、制御部111は、印刷ジョブを再開する。以上の構成により、ニップ領域35にシートが進入した際の色ずれ補正の精度を維持する。以下では、この閾値を128[g/m
3]とするが閾値はこの特定の値に限定されない。より詳しくは、閾値は、ニップ領域35にシートが進入した際に生じる中間転写ベルト7の表面の移動速度の変動が色ずれ補正に影響を与え始める坪量により決定すれば良い。
【0020】
図8(A)及び(B)は、本実施形態による色ずれ補正における、各色の露光部3の動作を示すタイミングチャートである。なお、
図8(A)は、ユーザが指示する印刷ジョブで指定されたシートの坪量が128[g/m
3]以下の場合であり、
図8(B)は、印刷ジョブで指定されたシートに坪量が128[g/m
3]より大きいものが含まれる場合を示している。ここで、シートの種別と坪量の関係は予めシートの属性情報として記憶部112に記憶されている。また、
図8(A)及び(B)において、ハイレベルの期間は、感光体1に静電潜像を形成すべく露光を行っている期間を示している。さらに、ハイレベルの内、実線はシートに転写する画像を形成するために露光を行っている期間であり、点線はテストパターンを形成するために露光を行っている期間である。画像形成の開始により、各露光部3は、対応する感光体1の露光を開始する。なお、本実施形態では、
図1に示す様に、中間転写ベルト7の移動方向の上流側から、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順で感光体1が配置されている。従って、イエローと、シアンの露光部3が感光体1を露光するタイミングは、ピッチ時間だけずらされる。ここで、ピッチ時間とは、
図1の距離L、つまり、隣接して配置される2つの感光体1間の距離を、プロセススピード、つまり、中間転写ベルト7表面の移動速度Vbで割った時間である。
【0021】
所定条件に合致したことにより、色ずれ補正が必要であるとコントローラが判定すると、
図8(A)においては、印刷ジョブを中断することなく紙間において色ずれ補正のためのテストパターンの形成を行う。一方、
図8(B)に示す様に、印刷対象のシートに坪量が128[g/m
3]より大きいものが含まれる場合、印刷ジョブを一旦中断し、テストパターンの形成を行う。なお、このときのテストパターンは、印刷ジョブを中断することなく紙間に形成するテストパターンと同じであっても、異なるテストパターンであっても良い。異なるテストパターンとする場合には、例えば、中間転写ベルト7表面の移動方向においてより長いテストパターンとすることができる。より長いテストパターンとすることで色ずれ補正精度を向上させることができる。
図8(B)の場合においては、色ずれ補正が終了すると、再度、印刷ジョブ、つまり、シートに転写する画像の形成を再開する。
【0022】
図9は、本実施形態において制御部111が行う処理のフローチャートである。制御部111は、印刷ジョブに基づき画像形成を行っている間、色ずれ補正が必要であると判定すると
図9の処理を開始する。なお、制御部111は、色ずれ補正が必要であるか否かを、画像形成装置の状態が所定の条件に合致したか否かにより判定する。より具体的に述べると、画像形成装置は、前回の色ずれ補正からの内部温度の変化量や、印刷ジョブにおいて画像形成を行ってからの印刷枚数又は経過時間や、電源投入後からの累積印刷枚数又は累積経過時間等が所定値に達すると色ずれ補正を開始する。
【0023】
まず、制御部111は、印刷ジョブにおいて印刷を行うシートに閾値より大きい坪量のものが存在するかをS10で判定する。存在しないと、S14で紙間を利用しての色ずれ補正を行う。つまり、印刷ジョブを中断することなく色ずれ補正を行う。一方、閾値より大きい坪量のシートへの印刷が印刷ジョブに含まれると、制御部111は、S11で、閾値より大きい坪量のシートに転写すべき画像を形成した後に印刷ジョブを中断、つまり、画像形成処理を一時中断する。そして、制御部111は、S12で中間転写ベルト7にテストパターンを形成して色ずれ補正を行う。制御部111は、色ずれ補正の終了後、S13で印刷ジョブを再開、つまり、シートに形成すべき画像の形成を再開する。
【0024】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について、第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態においては、センサ19は、シートの坪量を検出する様に構成される。そして、制御部111は、センサ19の検出結果に基づき、印刷ジョブを中断することなく色ずれ補正を行うか、印刷ジョブを中断して色ずれ補正を行うかを決定する。
【0025】
図10は、本実施形態による色ずれ補正における、各色の露光部3の動作を示すタイミングチャートである。なお、図の表現は
図8と同様である。画像形成の開始により、各露光部3は、対応する感光体1の露光を開始する。所定の条件に合致したことにより、色ずれ補正が必要であるとコントローラが判定すると、制御部111は、センサ19が検出する次にニップ領域に進入するシートの坪量に基づき、印刷ジョブを中断する必要があるか否かを判定する。
図10においては、色ずれ補正の開始後、2枚のシートに形成する画像については形成を行っている。しかしながら、閾値より大きい坪量をセンサ19が検出したことにより、色ずれ補正の開始後、3枚目のシートに形成する画像の形成については中断し、色ずれ補正を行っている。制御部111は、色ずれ補正が終了すると、第一実施形態と同様に印刷ジョブを再開する。
【0026】
図11は、本実施形態において制御部111が行う処理のフローチャートである。制御部111は、印刷ジョブに基づき画像形成を行っている間、色ずれ補正が必要であると判定すると
図11の処理を開始する。まず、制御部111は、印刷ジョブ中に色ずれ補正を開始すると、S20で、センサ19が閾値より大きい坪量のシートを検出したか否かを判定する。検出していないと、制御部111は、印刷ジョブを中断することなく、S24で紙間にテストパターンを形成して色ずれ補正を行う。この場合、制御部111は、S25で色ずれ補正が終了したかを判定し、終了していないとS20から処理を繰り返す。ここで、紙間にテストパターンを形成する色ずれ補正は、少なくとも2つの紙間に形成されたテストパターンの検出結果を平均して、画像形成位置を補正する。そのため、制御部111は、検出部100が少なくとも2つの紙間に形成されたテストパターンを検出するまで、色ずれ補正が完了したと判定しない。一方、センサ19が閾値より大きい坪量のシートを検出する前に色ずれ補正が終了すると、制御部111は、処理を終了する。しかしながら、色ずれ補正の開始後のS20で閾値より大きい坪量のシートを検出した場合や、紙間に形成したテストパターンによる色ずれ補正が終了する前に、S20で閾値より大きい坪量を検出すると、制御部111は、S21で印刷ジョブを中断する。そして、制御部111は、S22で中間転写ベルト7にテストパターンを形成して色ずれ補正を行い、色ずれ補正が終了するとS23で印刷ジョブを再開する。
【0027】
なお、上記各実施形態においては、坪量に基づき印刷ジョブを中断して色ずれ補正を行うか、印刷ジョブを中断することなく色ずれ補正を行うかを決定していた。しかしながら、ニップ領域35にシートが進入する際に、中間転写ベルト7の回転に影響を与えるか否かを判定できる任意のシートに関する属性情報を用いる構成とすることができる。具体的には、属性情報としては、シートの坪量以外にも、シートの厚みや、剛性を示す情報を使用することができる。
【0028】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0029】
110:形成部、9:2次転写ベルト、111:制御部、100:検出部