(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る料金収受装置1及び料金収受方法を、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る料金収受装置1及び料金収受方法について説明する。ここで、料金収受装置1は、駅に設置される自動改札機を例にとって説明する。
【0011】
鉄道の利用者は、駅の入場及び出場時に、料金収受装置1の読取部11に所望の乗車券を翳す。読取部11が読み取れる乗車券は、利用区間情報や利用金額情報等を表す二次元コードが表示された二次元コード券2と、予納金額情報や定期区間情報等を表すICチップが内蔵されたICカード3である。
【0012】
利用区間情報とは、普通券や発着駅固定回数券である二次元コード券2の、利用が有効な駅区間を示す情報である。利用金額情報とは、普通券や発着固定回数券である二次元コード券2の購入金額に基づき、入場駅から出場駅までにかかる乗車運賃の限度額を示す情報である。予納金額情報とは、乗車運賃として、ICカード3に予め利用者がチャージ(予納)しておける電子マネーの金額を示す情報である。定期区間情報とは、定期券であるICカード3の、定期利用が有効な駅区間を示す情報である。なお、これらの情報を総称して、利用情報と称することとする。
【0013】
まず、
図1及び
図2を参照して、料金収受装置1の構成について説明する。料金収受装置1は、光学読取部12と、IC読取部13と、券種判定部14と、を有する読取部11と、通行判定部15と、ゲート部16と、案内部17と、精算部18と、を備える。
【0014】
料金収受装置1は、利用者により読取部11へ翳された乗車券を検出し、この乗車券の利用情報を読み取り、翳された乗車券が二次元コード券2かICカード3かの券種判定を行い、読み取った利用情報と入出場記録等の情報との照合の結果に基づき利用者の通行可否を判定する通行判定を行い、通行判定の結果に基づき利用者の駅への入場又は駅からの出場を制御する装置である。ここでは、これらの機能に係る構成を示す。
【0015】
読取部11は、利用者により翳された二次元コード券2又はICカード3を検出し、この二次元コード券2又はICカード3の利用情報を読み取るものである。読取部11に読み取られた利用情報は、通行判定部15に送信され、利用者の通行可否を判定する通行判定に用いられる。
【0016】
光学読取部12は、翳された二次元コード券2を検出し、翳された二次元コード券2の面を光学的に撮像するCCDカメラ等を有するものである。光学読取部12は、撮像した画像をデコードして二次元コード券2の利用情報を読み取る。デコードした二次元コードの情報は、券種判定部14に出力される。
【0017】
IC読取部13は、翳されたICカード3を検出し、翳されたICカード3のICチップと非接触通信を行うリーダライタである。IC読取部13は、ICチップから取得した情報をデコードしてICカード3の利用情報を読み取る。デコードしたICカード3の情報は、券種判定部14に出力される。なお、IC読取部13は、ICカード3のICチップから利用情報を読み取るだけでなく、ICチップへ清算した予納金額情報等の利用情報を書き込むこともできる。
【0018】
光学読取部12の読取範囲とIC読取部13の読取範囲とは、少なくとも一部が重複する(
図3参照)。利用客は、例えば
図1に示すように、二次元コード券2又はICカード3、又はこれらの両方を、読取部11に対して翳す。読取部11は、利用者が料金収受装置1の通路へ進入する際に翳し易いよう、料金収受装置1の通路の進行方向(
図1に示す矢印方向)に対して入口付近に設置される。
【0019】
券種判定部14は、(1)ICカード3のみが検出されたか、(2)二次元コード券2のみが検出されたか、(3)同時又は僅かな時間差を伴う所定の時間以内に、両方が検出されたか、(4)何れの乗車券も検出されていないか、のうち何れの状態にあるかに基づいて、翳された乗車券の券種を判定するものである。何れの券種の乗車券が翳されたかを示す判定結果を、券種判定結果と称する。
【0020】
(1)ICカード3のみが検出されると、券種判定部14は、ICカード3が翳されたとみなす判定をする。続いて、IC読取部13がICカード3から利用情報を読み取り、読み取ったICカード3の利用情報が通行判定部15へ送信される。
【0021】
(2)二次元コード券2のみが検出されると、券種判定部14は、二次元コード券2が翳されたとみなす判定をする。続いて、光学読取部12が二次元コード券2から利用情報を読み取り、読み取った二次元コード券2の利用情報が通行判定部15へ送信される。
【0022】
(3)二次元コード券2とICカード3との両方が検出されると、券種判定部14は、二次元コード券2とICカード3との両方が翳されたとみなす判定をする。続いて、二次元コード券2とICカード3とが翳されたという券種判定結果が、通行判定部15へ送信される。
【0023】
(4)なお、二次元コード券2とICカード3との何れの乗車券も検出されていない間、券種判定部14は、待機状態にある。
【0024】
通行判定部15は、利用者の通行可否の判定をするものである。
【0025】
通行判定部15は、上位装置と互いに通信可能に接続されている。上位装置の図示しない記憶部には、利用された乗車券の入出場記録や、ICカード3である場合は予納金額情報が、記憶されている。通行判定部15は、IC読取部13又は光学読取部12が読み取った利用情報と、上位装置の図示しない記憶部に記憶される入出場記録等の情報と、の照合を行う。
【0026】
通行判定部15は、照合の結果である照合結果に基づき、利用者の通行可否の判定をする。利用者の通行可否の判定結果を、通行判定結果と称する。第1の実施形態に係る料金収受装置1において下される通行判定結果は、通行許可判定と、通行不可判定と、エラー判定と、がある。
【0027】
通行判定部15は、通行判定結果に基づき、対応した指示を、ゲート部16及び案内部17へ送信する。
【0028】
照合の結果、IC読取部13又は光学読取部12が読み取った利用情報が、利用駅で入場又は出場可能な情報であるとき、通行判定部15は、利用者の通行を可とする通行許可判定を下す。入場又は出場可能な情報とは、乗車券の利用情報が、上位装置に記憶される入出場記録等と矛盾しないときである。例えば、利用区間情報と対応した駅区間で、また、ICカード3の場合、予納金額が必要な乗車運賃以上ある状態で、適切に利用される場合である。
【0029】
照合の結果、IC読取部13又は光学読取部12が読み取った利用情報が、利用駅で入場又は出場不可な情報であるとき、通行判定部15は、利用者の通行を不可とする通行不可判定を下す。入場又は出場不可な情報とは、乗車券の利用情報が、上位装置に記憶される入出場記録等と矛盾するときである。例えば、利用区間情報と対応した駅区間外で、また、ICカード3の場合、予納金額が必要な乗車運賃より不足した状態で利用されてしまう場合等である。
【0030】
二次元コード券2とICカード3との両方が翳されたという券種判定結果であるとき、通行判定部15は、照合することなく直ちに、利用者の通行を不可とするエラー判定を下す。
【0031】
すなわち、乗車券の利用情報に基づき、利用者に通行許可があると判定された場合、通行許可判定が下される。乗車券の利用情報に基づき、利用者に通行許可がないと判定された場合、通行不可判定が下される。
【0032】
エラー判定は通行不可判定の一種であるが、二次元コード券2とICカード3との両方が翳されたことが検出された段階で、後述するように直ちに利用者の通行を一度阻止し、利用者に何れの乗車券を利用したいのかを確認するよう促すことを目的とする。
【0033】
なお、通行判定部15は、ICカード3に対し後述する精算処理が必要な場合は、精算処理の指示を精算部18へ送信する。
【0034】
また、通行判定部15による通行判定結果は、上位装置にも送信され、利用された乗車券の入出場記録や、ICカード3である場合は予納金額情報が、上位装置の図示しない記憶部に記憶される。
【0035】
ゲート部16は、通行判定部15からの指示に基づき、料金収受装置1のゲートの開閉を行うものである。
【0036】
案内部17は、通行判定部15からの指示に基づき、利用者に向けて所定の案内を行うものである。案内部17は、例えば、案内表示部や音声案内部を有する。
図1に示すように、案内表示部は、利用者に向けて所定のメッセージを表示するディスプレイ等である。音声案内部は、利用者に向けて所定の警告音や音声メッセージを発信するスピーカ等である。
【0037】
なお、案内部17は、案内表示部や音声案内部の他にも、点滅することで異常を知らせるランプ等が追加される場合もあるし、案内表示部や音声案内部が省略される場合もある。
【0038】
通行許可判定に対応する指示を受信すると、ゲート部16はゲートを開き、案内部17は「ご利用ありがとうございました」等のメッセージを流す。これを、通行許可案内と称する。通行不可判定に対応する指示を受信すると、ゲート部16はゲートを閉じ、案内部17は通行不可の理由に応じて「乗車券をご確認下さい」、「ICカードをチャージして下さい」等のメッセージを流す。これを、通行不可案内と称する。通行不可判定の一種であるエラー判定に対応する指示を受信すると、ゲート部16はゲートを閉じ、案内部17は「ご利用したい乗車券1枚をお翳し下さい。」等のメッセージを流す。これを、エラー案内と称する。
【0039】
これらのゲート部16及び案内部17の動作により、利用者は、通行を阻止された場合に、自身が次に取るべき行動を把握することができる。例えば、エラー案内の際には、ゲートが閉じられ、案内部17に「ご利用したい乗車券1枚をお翳し下さい。」等のメッセージが流れることで、利用者は、二次元コード券2又はICカード3の何れか1枚のみを利用するように促される。利用者は、二次元コード券2とICカード3との両方を、例えば重ねた状態で翳してしまったことに気付き、使用意図のある方のみの乗車券を持ち直して翳すように行動できる。
【0040】
精算部18は、通行判定部15からの指示に基づき、精算処理を実行するものである。例えば、利用者がICカード3を定期区間外で利用して出場しようとした場合に、利用金額を予納金額から引き去る精算処理を実行する。また、このとき、精算部18は、ICカード3のICチップへ清算後の予納金額情報を書き込む。
【0041】
ここで、
図3を参照して、料金収受装置1の読取部11の読取範囲について説明する。
【0042】
図3は、読取部11の断面図を示す模式図である。光学読取部12による二次元コードの読取範囲は、CCDカメラの撮像可能領域内であり、かつ、光学読取部12から遠すぎない距離にある、円錐台の形状に広がる横線領域に該当する。IC読取部13によるICの読取範囲は、ICチップとの非接触通信可能領域内であり、半球の形状に広がる縦線領域に該当する。
【0043】
光学読取部12とIC読取部13とが共通の翳し位置を有している場合のように、光学読取部12とIC読取部13とが近接した位置にある場合、光学読取部12の読取範囲とIC読取部13の読取範囲とは、少なくとも一部が重複する。そこで、利用者が二次元コード券2とICカード3との両方を、同時又は僅かな時間差を伴う所定の時間以内に読取部11に翳してしまう場合があるため、料金収受装置1は、
図4に示すフローチャートに沿って通行可否の判定を実行する。
【0044】
図4は、料金収受装置1が行う通行可否の判定の流れを示すフローチャートである。料金収受装置1は、券種判定結果に基づき、後述するように、IC処理、二次元コード処理、エラー処理、の何れかを行う。
【0045】
まず、料金収受装置1の読取部11の券種判定部14は、ICカード3が検出されたか否かを判定する(ステップS11)。IC読取部13がICカード3を検出する(ステップS11でYES)、券種判定部14は、カウンタをN=0として計数する(ステップS12)。続いて、券種判定部14は、二次元コード券2が検出されたか否かを判定する(ステップS13)。光学読取部12が二次元コード券2も検出すると(ステップS13でYES)、エラー処理が実行される(ステップS14)。
【0046】
エラー処理とは、通行判定部15が直ちにエラー判定を下し、ゲート部16でゲートを閉じるとともに案内部17が「ご利用したい乗車券1枚をお翳し下さい。」等のメッセージを流すエラー案内を実行する、一連の処理である。
【0047】
二次元コード券2が検出されない場合(ステップS13でNO)、券種判定部14は、カウンタNが所定の数に達したか否かを判定する(ステップS15)。このフローチャートの例においては、所定の数を3とする。カウンタNが3に達していない場合(ステップS15でNO)、例えば、0.1秒等の時間T1遅延させる(ステップS16)。時間T1経過後、券種判定部14は、カウンタNに1を加え(ステップS17)、再び券種判定部14が、二次元コード券2が検出されるか否かを判定する(ステップS13)。
【0048】
カウンタNが3に達すると(ステップS15でYES)、すなわち、この例において0.1秒×3回=0.3秒の所定の時間経過しても二次元コード券2が検出されないと、IC処理が実行される(ステップS18)。
【0049】
IC処理とは、IC読取部13がICカード3から利用情報を読み取り、読み取ったICカード3の利用情報と、上位装置の図示しない記憶部に記憶される入出場記録等の情報との照合結果に基づき通行判定部15が通行許可判定又は通行不可判定を下し、その通行判定結果に基づき、ゲート部16の制御及び案内部17が通行許可案内又は通行不可案内を実行し、また、必要な場合に、精算部18が精算処理を実行する、一連の処理である。
【0050】
一方、カウンタNが3に達するまでの間に、二次元コード券2が検出されると、エラー処理が実行される(ステップS14)。
【0051】
ここで、0.3秒の遅延時間を持たせているのは、
図3から分かるようにIC読取範囲が二次元コード読取範囲よりも広いためである。すなわち、利用者がICカード3と二次元コード券2とを読取部11に近づけると、ICカード3の方が先に読取範囲に入り、二次元コード券2は遅れて読取範囲に入る。この遅れ時間を考慮して、例えば0.3秒の遅延時間を持たせているものである。
【0052】
IC読取部13がICカード3を検出しないと(ステップS11でNO)、券種判定部14は、二次元コード券2が検出されるか否かを判定する(ステップS19)。光学読取部12が二次元コード券を検出すると(ステップS19でYES)、券種判定部14は、カウンタをM=0として計数する(ステップS20)。続いて、券種判定部14は、ICカード3が検出されるか否かを判定する(ステップS21)。IC読取部13がICカード3も検出すると(ステップS21でYES)、エラー処理が実行される(ステップS14)。
【0053】
ICカード3の利用情報が検出されない場合(ステップS21でNO)、券種判定部14は、カウンタMが所定の数に達したか否かを判定する(ステップS22)。このフローチャートの例においては、所定の数を3とする。カウンタMが3に達していない場合(ステップS23でNO)、例えば、0.05秒等の時間T2遅延させる(ステップS23)。時間T2経過後、券種判定部14は、カウンタMに1を加え(ステップS24)、再び券種判定部14が、ICカード3が検出されるか否かを判定する(ステップS21)。
【0054】
カウンタMが3に達すると(ステップS23でYES)、すなわち、この例において0.05秒×3回=0.15秒の所定の時間経過してもICカード3が検出されないと、二次元コード処理が実行される(ステップS25)。
【0055】
二次元コード処理とは、光学読取部12がICカード3から利用情報を読み取り、読み取った二次元コード券2の利用情報と、上位装置の図示しない記憶部に記憶される入出場記録等の情報と、の照合結果に基づき通行判定部15が通行許可判定又は通行不可判定を下し、その通行判定結果に基づき、ゲート部16の制御及び案内部17が通行許可案内又は通行不可案内を実行する、一連の処理である。
【0056】
一方、カウンタMが3に達するまでの間に、二次元コード券2が検出されると、エラー処理が実行される(ステップS14)。
【0057】
ここで遅延時間を持たせているのは、二次元コード読取範囲がIC読取範囲よりも一時的に広くなったとき、IC読取部13がICカード3を検出する前に光学読取部12が二次元コード券2を検出することが考えられるためである。
【0058】
なお、券種判定部14がICカード3を検出せず(ステップS11でNO)、かつ二次元コード券2を検出しない間(ステップS19でNO)は、料金収受装置1の読取部11は、待機状態にある。
【0059】
以上説明した第1の実施形態に係る料金収受装置1によれば、二次元コード券2とICカード3との両方が同時又は僅かな時間差を伴う所定の時間以内に翳された場合に、エラー処理が実行される。このため、利用者は、二次元コード券2とICカード3との両方を手に持ったまま翳してしまったことに気付くことができ、使用意図のある方の乗車券だけを手に持ち直して再度翳すことが促される。よって、利用者の意図しない乗車券の利用を防ぐことができる。
【0060】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る料金収受装置1及び料金収受方法について説明する。第2の実施形態に係る料金収受装置1は、二次元コード券2とICカード3との両方が翳されたとみなされる券種判定結果であっても、エラー処理とせず、二次元コード券2の利用情報とICカード3の利用情報との組み合わせに基づいて利用者の通行可否を判定する併用処理を行う点で、第1の実施形態に係る料金収受装置1と異なる。
【0061】
第2の実施形態に係る料金収受装置1は、
図2に示す第1の実施形態に係る料金収受装置1と同様の構成であるが、二次元コード券2とICカード3との両方が翳されたとみなされるときの、通行可否の判定の処理が異なる。
【0062】
二次元コード券2とICカード3との両方の利用情報が検知されると、券種判定部14は、二次元コード券2とICカード3との両方が翳されたとみなす判定をする。続いて、続いて、IC読取部13がICカード3から利用情報を、光学読取部12が二次元コード券2から利用情報を読み取り、読み取ったICカード3の利用情報及び二次元コード券2の利用情報が、通行判定部15へ送信される。
【0063】
通行判定部15は、IC読取部13及び光学読取部12が読み取った利用情報と、上位装置の図示しない記憶部に記憶される入出場記録等の情報と、の照合結果に基づき、利用者の通行可否の判定をする。第2の実施形態に係る料金収受装置1において下される通行判定結果は、通行許可判定と、通行不可判定と、に加え、併用通行許可判定と、併用通行不可判定と、がある。
【0064】
併用通行許可判定は、通行許可判定の一種であり、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報と、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報と、の組み合わせに基づいて、利用者が通行可能であると判定された場合のことである。
【0065】
併用通行不可判定は、通行不可判定の一種であり、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報と、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報と、の組み合わせに基づいて、利用者が通行可能でないと判定された場合のことである。
【0066】
通行判定部15は、通行判定結果に基づき、対応した指示を、ゲート部16及び案内部17へ送信する。
【0067】
上記の一連の処理を、併用処理と称する。
【0068】
なお、通行判定部15は、ICカード3に対し後述する精算処理が必要な場合は、精算処理の指示を精算部18へ送信する。
【0069】
通行併用許可判定に対応する指示を受信すると、ゲート部16はゲートを開き、案内部17は「ご利用ありがとうございました」等のメッセージを流す。又は、案内部17は、二次元コード券2とICカード3との利用内訳が利用者に分かるよう案内されてもよい。ここで、利用内訳とは、併用処理の際に、何れの乗車券がどのようにして利用されたかを示すものである。例えば、二次元コード券2が駅Aから駅Bで使用され、ICカード3が駅Bから駅Cの不足金額を精算した場合に駅Cから出場する際、「二次元コード券とICカード(140円)のご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。これを、通行併用許可案内と称する(
図6参照)。
【0070】
通行併用不可判定に対応する指示を受信すると、ゲート部16はゲートを閉じ、案内部17は通行不可の理由に応じて「乗車券をご確認下さい」、「ICカードをチャージして下さい」等のメッセージを流す。これを、通行併用不可案内と称する。
【0071】
精算部18は、例えば、二次元コード券2が駅Aから駅Bで使用され、ICカード3が駅Bから駅Cの不足金額を精算した場合に駅Cから出場する際に、不足金額をICカード3の予納金額から引き去る精算処理を実行する。また、このとき、精算部18は、ICカード3のICチップへ清算後の予納金額情報を書き込む。
【0072】
図5は、第2の実施形態に係る料金収受装置1が行う通行可否の判定の流れを示すフローチャートである。第2の実施形態に係る料金収受装置1は、券種判定結果に基づき、IC処理、二次元コード処理、後述する併用処理、の何れかを行う。
【0073】
(ステップS26)以外の券種判定の流れは、第1の実施形態に係る料金収受装置1が行う券種判定の流れと同様である。同時又は僅かな時間差を伴う所定の時間以内に(ステップS13でYES、又はステップS21でYES)ICカード3及び二次元コード券2が検知されると、併用処理が実行される(ステップS26)。
【0074】
併用処理とは、IC読取部13がICカード3から利用情報を読み取り、また光学読取部12がICカード3から利用情報を読み取り、読み取った二次元コード券2の利用情報とICカード3の利用情報との組み合わせと、上位装置の図示しない記憶部に記憶される入出場記録等の情報との照合結果に基づき通行判定部15が通行併用許可判定又は通行併用不可判定を下し、その通行判定結果に基づき、ゲート部16の制御及び案内部17が通行併用許可案内又は通行併用不可案内を実行する、一連の処理である。
【0075】
ここで、
図6及び
図7を参照して、第2の実施形態に係る料金収受装置1が下す通行併用許可判定のパターンの例について説明する。
【0076】
図6は、駅への入場時に、通行併用許可と判定されるパターンを2つと、駅からの出場時に、通行併用許可と判定されるパターンを3つと、を示す表である。
【0077】
(入場時)
(パターン1)
照合の結果、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報が、利用駅で入場可能な情報であるとき、利用者の通行は可と判定される(通行併用許可)。この段階で、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2の利用により入場する。このため、「二次元コード券のご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。
【0078】
このとき、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報が、利用駅で入場可能な情報であるか否かは問わない。
【0079】
(パターン2)
照合の結果、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報が利用駅で入場不可な情報であっても、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報のうち、予納金額情報が当該利用駅から二次元コード券2の利用区間までの料金以上であるとき利用者の通行は可と判定される(通行併用許可)。
【0080】
この段階で、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、ICカード3の利用により入場する。このため、「ICカードのご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。
【0081】
(パターン3)
照合の結果、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報が利用駅で入場不可な情報であっても、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報のうち、定期区間情報が当該利用駅から二次元コード券2の利用区間までの区間を含むとき、利用者の通行は可と判定される(通行併用許可)。
【0082】
この段階で、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、ICカード3の利用により入場する。このため、「ICカードのご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。
【0083】
(出場時)
(パターン4)
照合の結果、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報のうち利用金額情報と、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報のうち予納金額情報と、を組み合わせた金額情報が、利用駅で出場可能な情報であるとき、利用者の通行は可と判定される(通行併用許可)。
【0084】
利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2と、二次元コード券2の利用金額で不足する金額を精算するためのICカード3と、の両方の利用により出場する。このため、「二次元コード券とICカード(140円)のご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。
【0085】
出場時、二次元コード券2の利用金額で不足する金額がある場合は、ICカード3の利用情報の予納金額情報からこの不足金額を精算する精算処理が実行される。
【0086】
(パターン5)
照合の結果、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報と、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報のうち定期区間情報と、を組み合わせた区間情報が、利用駅で出場可能な情報であるとき、利用者の通行は可と判定される(通行併用許可)。
【0087】
利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2と、定期区間内でのICカード3と、の両方の利用により出場する。このため、「二次元コード券とICカード(定期区間内)のご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。
【0088】
出場時、二次元コード券2の利用金額で不足する金額がない場合は、ICカード3に対し精算処理は実行されない。
【0089】
(パターン6)
照合の結果、光学読取部12が読み取った二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報と、IC読取部13が読み取ったICカード3の利用情報のうち予納金額情報と、を組み合わせた組み合わせ情報が、利用駅で出場可能な情報であるとき、利用者の通行は可と判定される(通行併用許可)。
【0090】
利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2と、二次元コード券2の利用金額で不足する金額を精算するためのICカード3と、の両方の利用により出場する。このため、「二次元コード券とICカード(140円)のご利用ありがとうございました。」等の、利用内訳が分かる案内が実行される。
【0091】
出場時、二次元コード券2の利用区間で不足する区間の金額がある場合は、ICカード3の利用情報の予納金額情報からこの不足金額を精算する精算処理が実行される。
【0092】
図7は、入場時及び出場時に通行併用許可と判定されるパターンの具体的な例を示す表である。
【0093】
(例1)
パターン1により入場し、パターン4により出場する例を示す。入場駅Aにて二次元コード券2の利用情報が入場駅Aで入場可能な情報であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2を利用して入場することとなる。
【0094】
続いて、二次元コード券2の利用金額情報で乗車できる区間内(駅Bまで)を超える駅Cで出場する場合、出場駅Cにて、二次元コード券2の利用情報のうち利用金額情報と、ICカード3の利用情報のうち予納金額情報とを組み合わせた金額情報が出場駅Cで出場可能な情報であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2とICカード3の両方を利用して出場することとなる。
【0095】
例1では、利用者が、出場駅Cで二次元コード券2の精算処理を別途行う必要がなく、料金収受装置1を通って出場する際に精算処理が同時に行え、利用者にとって便宜である。
【0096】
(例2)
パターン1により入場し、パターン5により出場する例を示す。入場駅Aにて二次元コード券2の利用情報が入場駅Aで入場可能な情報であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2を利用して入場することとなる。
【0097】
続いて、出場駅Cにて、二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報とICカード3の利用情報のうち定期区間情報とを組み合わせた区間情報が出場駅Cで出場可能な情報であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2とICカード3の両方を利用して出場することとなる。
【0098】
例2では、利用者が、二次元コード券2の乗車区間とICカード3の定期区間とが重複する駅である駅Bで下車して、ICカード3で入場し直すという手間を踏む必要がなく、駅Cで一度料金収受装置1を通って出場するだけで二次元コード券2とICカード3の両方を利用でき、利用者にとって便宜である。
【0099】
(例3)
パターン2により入場し、パターン6により出場する例を示す。入場駅Aにて、二次元コード券2の利用区間情報が入場駅Aで入場不可な情報であるが、ICカード3の利用情報のうち予納金額情報が、当該入場駅Aから、二次元コード券2の利用区間までの料金以上であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、ICカード3を利用して入場することとなる。
【0100】
続いて、出場駅Cにて、二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報とICカード3の利用情報のうち予納金額情報とを組み合わせた組み合わせ情報が出場駅Cで出場可能な情報であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2とICカード3の両方を利用して出場することとなる。
【0101】
例3では、利用者が、二次元コード券2の乗車区間が開始する駅である駅Bで下車して、二次元コード券2で入場し直すという手間を踏む必要がなく、駅Cで一度料金収受装置1を通って出場するだけで二次元コード券2とICカード3の両方を利用でき、利用者にとって便宜である。
【0102】
(例4)
パターン3により入場し、パターン5により出場する例を示す。入場駅Aにて、二次元コード券2の利用区間情報が入場駅Aで入場不可な情報であるが、ICカード3の利用情報のうち定期区間情報が、当該入場駅Aから二次元コード券2の利用区間までの区間を含むとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、ICカード3を利用して入場することとなる。
【0103】
続いて、出場駅Cにて、ICカード3の利用情報のうち定期区間情報と二次元コード券2の利用情報のうち利用区間情報とを組み合わせた区間情報が出場駅Cで出場可能な情報であるとき、利用者は、2枚翳された乗車券のうち、二次元コード券2とICカード3の両方を利用して出場することとなる。
【0104】
例4では、利用者が、ICカード3の定期区間と二次元コード券2の乗車区間とが重複する駅である駅Bで下車して、二次元コード券2で入場し直すという手間を踏む必要がなく、駅Cで一度料金収受装置1を通って出場するだけで二次元コード券2とICカード3の両方を利用でき、利用者にとって便宜である。
【0105】
以上説明した第2の実施形態に係る料金収受装置1によれば、二次元コード券2とICカード3との両方が同時又は僅かな時間差を伴う所定の時間以内に翳された場合に、併用処理が実行される。併用処理により、利用者の使用意図が推測できる場合については、2枚の乗車券が、利用者にとって便宜なように利用されることとなる。すなわち、乗車券何れか1枚のみの利用を意図している場合、エラー処理とは異なり、利用者は、立ち止まって使用意図のある方の乗車券だけを手に持ち直して再度翳す必要がなくなる。また、乗車券両方の利用を意図している場合、利用者は、乗り越し運賃の精算処理機に立ち寄る必要や、途中の駅で下車する必要がなくなる。よって、利用者の意図しない乗車券の利用を防ぐだけでなく、利用者にとって、二次元コード券2とICカード3との組み合わせに基づいた駅での入出場が可能となり、利便性が向上する。
【0106】
なお、第2の実施形態に係る料金収受装置1における併用処理のパターンは、ここに記載したもの以外にも複数パターン想定され得る。例えば、記載は省略しているが、入場時も、出場時も、二次元コード券2の利用情報が利用駅で入出場可能な情報であれば、出場時にも、二次元コード券2の利用により出場できることとなる。
【0107】
同様に、記載は省略しているが、入場時も、出場時も、二次元コード券2の利用区間情報は利用駅で入出場不可な情報であっても、ICカード3の予納金額情報が利用駅で入出場可能な情報であれば、出場時にも、ICカード3の利用により出場できることとなる。
【0108】
なお、上記第1の実施形態においては、二次元コード券2とICカード3を検出した段階で直ちにエラー判定としたが、二次元コード券2の利用情報とICカード3の利用情報とを読み取ってからエラー判定としてもよい。
【0109】
なお、本発明において二次元コードとは、例えば、QRコード(登録商標)や、バーコード等の一次元コードも含む。
【0110】
また、ここでは、鉄道の駅で用いられる料金収受装置1を例にとって説明したが、バスの乗車口で用いられる料金収受装置1等、その他使用場面で用いられてもよい。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。