特許第6614882号(P6614882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6614882レーザラインジェネレータのための導光体ベースの光学システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614882
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】レーザラインジェネレータのための導光体ベースの光学システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20191125BHJP
   B41J 2/447 20060101ALI20191125BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20191125BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20191125BHJP
   H01S 5/02 20060101ALI20191125BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20191125BHJP
   G02B 26/02 20060101ALN20191125BHJP
   G02B 26/08 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
   G03F7/20 505
   B41J2/447 101C
   G02B6/42
   G02B6/32
   H01S5/02
   H01S5/40
   B41J2/447 101A
   !G02B26/02 E
   !G02B26/08 E
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-179121(P2015-179121)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-71357(P2016-71357A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2018年9月5日
(31)【優先権主張番号】14/500,902
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ワイ・マエダ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・デイヴィット・ストウ
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−050716(JP,A)
【文献】 特開2001−100314(JP,A)
【文献】 特開平08−220432(JP,A)
【文献】 特開平08−006263(JP,A)
【文献】 特開2000−310860(JP,A)
【文献】 特開2009−151313(JP,A)
【文献】 特開2005−234007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射面上に細長い均質なライン照射パターンを生成するためのレーザラインジェネレータシステムであって、
複数のダイオードレーザであり、各ダイオードレーザは、スロー軸方向に整列されているスロー軸を有するコヒーレント光を発するように構成されている、複数のダイオードレーザと、
光学システムであり、
前記複数のダイオードレーザによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている導光体であって、該導光体は、光学的に透明な誘電体材料を含み、また側壁、上壁および下壁を含み、該側壁が前記光学的に透明な誘電体材料を通じて前記上壁および前記下壁に衝突しないように伝播する前記コヒーレントレーザ光の内部全反射をもたらし、もって、強度変化が10%より小さい実質的に均質な光が前記導光体を出射するように、前記コヒーレント光が混合されるように構成されている、導光体と、
前記導光体と前記照射面との間に位置付けられており、前記均質光が、前記照射面上に前記スロー軸方向に延伸する細長い線幅を有する前記均質なライン照射パターンを形成するように、前記導光体を出射する前記均質化された光を結像するように構成されている少なくとも1つのスロー軸中継レンズと
を含む、光学システムと
を備える、レーザラインジェネレータシステム。
【請求項2】
照射面上に細長い均質なライン照射パターンを生成するためのレーザラインジェネレータシステムであって、
複数のダイオードレーザであり、各ダイオードレーザは、スロー軸方向に整列されているスロー軸を有するコヒーレント光を発するように構成されている、複数のダイオードレーザと、
光学システムであり、
前記複数のダイオードレーザによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている導光体であって、実質的に均質な光が前記導光体を出射するように、前記コヒーレント光を混合するように構成されている、導光体と、
前記導光体と前記照射面との間に位置付けられており、前記均質光が、前記照射面上に前記スロー軸方向に延伸する細長い線幅を有する前記均質なライン照射パターンを形成するように、前記導光体を出射する前記均質化された光を結像するように構成されている少なくとも1つのスロー軸中継レンズと
を含む、光学システムと
を備え、
前記複数のレーザダイオードはレーザダイオードバー上に一体的に配置されており、前記スロー軸方向において整列されており、前記導光体は、前記複数のレーザダイオードによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている平坦な入射面、平坦な出射面、および前記入射面と前記出射面との間に延伸する、対向する平坦な側壁、上壁および下壁を含む一体型固体構造を形成する光学的に透過性の誘電体材料を含み、前記対向する側壁は、前記コヒーレント光が前記導光体を通じて前記上壁および前記下壁に衝突しないように伝播するときに、前記コヒーレントレーザ光の内部全反射を生成するように構成されており、それによって、前記コヒーレント光は、前記出射面を通じて出射する前に均質光に変換される、
レーザラインジェネレータシステム。
【請求項3】
前記レーザダイオードバーは、40%よりも大きいフィルファクタを含む構成に配置されている少なくとも20個の前記レーザダイオードを含む、請求項2に記載のレーザラインジェネレータシステム。
【請求項4】
前記スロー軸方向における前記入射面の第1の幅は、前記スロー軸方向における前記出射面の第2の幅以上である、請求項3に記載のレーザラインジェネレータシステム。
【請求項5】
前記導光体の前記対向する平坦な側壁は、2:1以上のダウンテーパを含む、請求項4に記載のレーザラインジェネレータシステム。
【請求項6】
照射面上に細長い均質なライン照射パターンを生成するためのレーザラインジェネレータシステムであって、
複数のダイオードレーザであり、各ダイオードレーザは、スロー軸方向に整列されているスロー軸を有するコヒーレント光を発するように構成されている、複数のダイオードレーザと、
光学システムであり、
前記複数のダイオードレーザによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている導光体であって、該導光体は、光学的に透明な誘電体材料を含み、また側壁、上壁および下壁を含み、該側壁が前記光学的に透明な誘電体材料を通じて前記上壁および前記下壁に衝突しないように伝播する前記コヒーレントレーザ光の内部全反射をもたらし、実質的に均質な光が前記導光体を出射するように、前記コヒーレント光を混合するように構成されている、導光体と、
前記導光体と前記照射面との間に位置付けられており、前記均質光が、前記照射面上に前記スロー軸方向に延伸する細長い線幅を有する前記均質なライン照射パターンを形成するように、前記導光体を出射する前記均質化された光を結像するように構成されている少なくとも1つのスロー軸中継レンズと
を含む、光学システムと
を備え、
前記少なくとも1つのスロー軸中継レンズは、前記導光体を出射する前記均質化光を前記照射面上に投影するように構成および配置されており、それによって、前記ライン照射パターンを生成する第1のスロー軸レンズおよび第2のスロー軸レンズを含むケプラー式望遠鏡を含む、
レーザラインジェネレータシステム。
【請求項7】
前記第1のスロー軸レンズおよび前記第2のスロー軸レンズの各々は、少なくとも1つの非円柱状面を有する円柱レンズを含む、請求項6に記載のレーザラインジェネレータシステム。
【請求項8】
単一通過画像形成システムであって、
複数のダイオードレーザであり、各ダイオードレーザは、スロー軸方向に整列されているスロー軸を有するコヒーレント光を発するように構成されている、複数のダイオードレーザと、
第1の光学システムであり、
前記複数のダイオードレーザによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている導光体であって、前記導光体は、前記複数のレーザダイオードによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている平坦な入射面、平坦な出射面、および前記入射面と前記出射面との間に延伸する、対向する平坦な側壁、上壁および下壁を含む一体型固体構造を形成する光学的に透過性の誘電体材料を含み、前記対向する側壁は、前記コヒーレント光が前記導光体を通じて前記上壁および前記下壁に衝突しないように伝播するときに、前記コヒーレントレーザ光の内部全反射を生成するように構成され、実質的に均質な光が前記導光体を出射するように、前記コヒーレント光を混合するように構成されている、導光体と、
前記実質的に均質な光を受け取るように位置付けられており、前記実質的に均質な光が、前記スロー軸方向に延伸する細長い線幅を有するライン照射パターンを形成するように、前記導光体を出射する前記均質化された光を結像するように構成されている少なくとも1つのスロー軸中継レンズと
を含む、第1の光学システムと、
空間光変調器であり、
複数の光変調素子であって、2次元アレイに配置されており、各前記変調素子が前記ライン画像パターンの関連部分を受け取るように配置されている、複数の光変調素子と、
コントローラであって、前記コントローラによって生成される関連制御信号に応答して、各変調素子が調整可能であるように前記複数の変調素子を、第1の変調状態と第2の変調状態との間で個々に制御し、それによって、前記各変調素子が前記第1の変調状態にあるとき、前記各変調素子は関連する受け取った均質光部分を、関連する変調光部分が対応する所定の方向に方向付けられるように変調し、前記各変調素子が前記第2の変調状態にあるとき、前記各変調素子は、前記関連する変調光部分が前記対応する所定の方向に沿って通過するのを妨げられるように、前記関連する受け取った均質光部分を変調するようにするための、コントローラと
を含む、空間光変調器と、
前記第1の変調状態に配置されている前記各変調素子から前記変調光部分を受け取るように位置付けられており、前記変調光部分を集光して、前記集光された変調光部分が細長いスキャンライン画像を生成するように配置されている第2の光学システムと
を備える、単一通過画像形成システム。
【請求項9】
前記複数のレーザダイオードは、一体的に配置されており、40%よりも大きいフィルファクタを含む構成において前記スロー軸方向に整列されている少なくとも20個の前記レーザダイオードを備える、請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
単一通過画像形成システムであって、
複数のダイオードレーザを含むレーザダイオードバーであり、各ダイオードレーザは、スロー軸方向に整列されているスロー軸を有するコヒーレント光を発するように構成されている、レーザダイオードバーと、
第1の光学システムであり、
前記複数のダイオードレーザによって生成される前記コヒーレント光を受け取るように位置付けられている導光体であって、該導光体は、光学的に透明な誘電体材料を含み、また側壁、上壁および下壁を含み、該側壁が前記光学的に透明な誘電体材料を通じて前記上壁および前記下壁に衝突しないように伝播する前記コヒーレントレーザ光の内部全反射をもたらし、実質的に均質な光が前記導光体を出射するように、前記コヒーレント光を混合するように構成されている、導光体と、
前記実質的に均質な光を受け取るように位置付けられており、前記実質的に均質な光が、前記スロー軸方向に延伸する細長い線幅を有するライン照射パターンを形成するように、前記導光体を出射する前記均質化された光を結像するように構成されている少なくとも1つのスロー軸中継レンズと
を含む、第1の光学システムと、
空間光変調器であり、
複数の光変調素子であって、2次元アレイに配置されており、各前記変調素子が前記均質なライン画像パターンの関連部分を受け取るように配置されている、複数の光変調素子と、
コントローラであって、前記コントローラによって生成される関連制御信号に応答して、各変調素子が調整可能であるように前記複数の変調素子を、第1の変調状態と第2の変調状態との間で個々に制御し、それによって、前記各変調素子が前記第1の変調状態にあるとき、前記各変調素子は、前記関連する受け取った均質光部分を対応する所定の方向に方向付けることによって、関連する変調光部分を生成し、前記各変調素子が前記第2の変調状態にあるとき、前記関連する受け取った均質光部分は、前記各変調素子によって、前記対応する所定の方向に沿って通過するのを妨げられるようにするための、コントローラと
を含む、空間光変調器と、
前記第1の変調状態に配置されている前記各変調素子から前記変調光部分を受け取るように位置付けられており、前記変調光部分を集光して、前記集光された変調光部分が細長いスキャンライン画像を生成するように配置されているアナモフィック光学システムと
を含む、単一通過画像形成システムと、
スキャン構造であって、前記単一通過画像形成システムに対して、前記アナモフィック光学システムによって生成される前記細長いスキャンライン画像が、前記スキャン構造の結像面上に規定されている結像領域上に配置されるように位置付けられている、スキャン構造と
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関し、特に、高速画像生成のために高エネルギーライン照射パターンを利用する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザダイオードは、発光ダイオードに見られるものと同様の半導体ダイオードのp−n接合によって活性媒質が形成される、電気的に励起される半導体レーザである。ダイオードレーザバーは、半導体処理技法を使用して単一の基板上に作製される複数のレーザダイオードを含むデバイスであり、レーザダイオードは、小さい間隙によって分離されて直線上に配置され、レーザダイオード「アレイ」から発せられる光が、一連の直線状に構成された平行なビームを形成する。レーザダイオードバーは、単一のレーザダイオードによって生成することができるよりも多くのレーザ光を必要とする高出力レーザ用途に使用される。最近の世代の高出力レーザダイオードバー(たとえば、Jenoptikによって製造されている高出力レーザダイオードバーJDL−BAB−50−47−976−TE−120−2.0)は、50%のフィルファクタを有するレーザダイオードバーあたり47個のレーザダイオードを含む。
【0003】
多くのレーザダイオード用途は、レーザダイオードバーによって生成されるコヒーレント光を収集し、均一化することを必要とする。図10は、結像面上に均一な光照射パターンLIPを生成するために、複数のコヒーレント光ビームCLを混合(変換)するために2つのマイクロレンズアレイおよび集光レンズを利用する、従来の多重開口ビーム統合光学システム20を示す単純化された図である。従来の多重開口ビーム統合光学システム20は、相対的に少数のレーザダイオード(たとえば、19個のレーザダイオード)および20%〜30%のフィルファクタを有するレーザダイオードバーとともに使用するのには適しているが、最近の高出力レーザダイオード(たとえば、47個のレーザダイオードおよび50%のフィルファクタを有する)を使用する光学システム20を利用するのは困難である。光学システム20のマイクロレンズアレイは、0.2mm〜0.5mm幅であり、精密に位置合わせする必要がある複数の小型レンズから構成される。レーザダイオードバーのフィルファクタがより高くなる(すなわち、40%〜50%)結果として、発光器幅が小型レンズ幅のより大きい割合を占めることになり、それによって、光のいくらかが第2のマイクロレンズアレイにおいて隣接する小型レンズに当たるようになり、集光レンズによって照明領域上の適切な位置へと方向付けられなくなる可能性がある。この問題を回避するために、スロー軸コリメータテレスコープ(SAC−TEL)マイクロレンズアレイのような、追加のレンズアレイを使用しなければならない。しかしながら、この構成は、作製および精密に位置合わせされなければならない多数の個々の要素を必要とし、これによってシステム製造費用が非常に高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
均質光が目標照射面上にライン照射パターンを形成するように、生成されるコヒーレント(レーザ)光を効率的かつコスト効率的に収集および均質化する光学システムを含むレーザラインジェネレータシステム、たとえば、レーザダイオードバーが必要とされている。また、そのようなレーザラインジェネレータシステムを利用する単一通過画像形成システムおよび印刷/スキャン装置も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2つ以上のダイオードレーザによって生成されるコヒーレント(レーザ)光を収集し均質化するための導光体、および、目標照射面上に細長い均質なライン照射パターンを形成するように均質光を投影(合焦)するための少なくとも1つのスロー軸中継レンズを利用する光学システムを含むレーザラインジェネレータシステムに関する。導光体は、光学的に透過性の誘電体材料(たとえば、ガラスまたはプラスチック)を含む固体一体型光学素子であり、当該光学素子は、コヒーレント光がこの光学材料を通じて伝播するときに導光体壁に衝突するときはいつでも内部全反射を受けるように構成および位置付けされており、それによって、導光体に入射するコヒーレント光は混合(変換)されて、ライン照射パターンによって形成される領域全体にわたって実質的に均質な光(すなわち、平均強度の変化が10%以下である光)として導光体を出射する。スロー軸中継レンズは導光体と照射面との間に位置付けられ、所望の細長い均質なライン照射パターンを目標照射面上に形成するために、導光体を出射する均質光を画像形成する(すなわち、線幅を所望のサイズまで拡大し、ビーム広がりを所望の量まで調整し、結果もたらされる細長いライン照射パターンが全体的に均質光によって形成され、スロー軸方向において所望のライン幅を有するように、集光レンズから照射面までの作動距離を制御する)ように構成されている。複数のダイオードレーザによって生成されるコヒーレントレーザ光を均質化するために導光体を利用することによって、本発明は、使用されるレンズの数を低減して、精細なピッチのマイクロレンズアレイを必要とすることなく細長い均質なライン照射パターンの生成を容易にし、それによって、含まれる光学素子がより少なく、組み立て誤差に対してよりロバストで、組み立ておよび位置合わせが大幅により容易であるレーザラインジェネレータシステムが提供される。これらの要因によって、新規のレーザラインジェネレータシステムの全体的な製造費用が、従来の多重開口ビーム統合光学システムに対して推定で3分の1から5分の1に低減する。
【0006】
本発明の実際の実施形態によれば、ダイオードレーザの各々は、スロー軸方向およびファースト軸方向を有するコヒーレント光を発するように構成されており、レーザダイオードは、すべてのダイオードレーザによって生成される個々の光部分が導光体に入射するときに同じ向きを有するように、スロー軸方向において整列されている。ダイオードレーザバーは、ウェハ上に製造され、複数の直線状部分にダイシングされている端面発光レーザアレイから構成される。SA方向はウェハ面に平行であり、FA方向はウェハ面に垂直である。この結果としてまた、各個々のレーザの出力開口がより矩形になり、レーザ出力開口のFA幅が、SA幅よりもはるかにより小さくなる。レーザ開口幅によって出力ビーム広がり角がより小さくなり、また逆にもなる。そのため、開口幅の比を逆にすることによって、FA出力ビーム広がりがSA出力ビーム広がりよりも大きくなる。本発明の特定の実施形態によれば、レーザダイオードは、スロー軸方向において整列され、高(すなわち、40%よりも大きい)フィルファクタ構成に配置された多数(たとえば、20個以上)のレーザダイオード発光器を含む高出力レーザダイオードアレイ/バー上に一体的に配置され、テーパ状導光体は、スロー軸方向に細長く、すべてのレーザダイオードによって生成されるコヒーレント光を受け取るように位置付けられている平坦な入射面を含む。この構成によって、50%のフィルファクタで配置されている最大49個のレーザダイオードを含む、低コストで高出力のレーザダイオードバーを使用することが容易になる。導光体によってもたらされる光混合は、これらのレーザダイオードバー上で利用可能なダイオードレーザの数の増大とともに、コヒーレント光と関連付けられる干渉効果から光強度の不均一性を平均化する一助となり、それによって、照射面において相対的に均一な(均質な)ライン照射パターンが生成される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、テーパ状導光体は、入射面と平坦な出射面との間に延伸する、対向する平坦な側壁を含む一体型固体構造であり、入射面の(第1のまたは入射)幅(すなわち、スロー軸方向において測定される)は、出射面の(第2のまたは出射)幅以上である。特定の実施形態において、導光体はスロー軸方向においてテーパ状になっており、それによって、入射面のスロー軸入射幅は、出射面のスロー軸出射幅よりも2〜3倍大きい。高フィルファクタレーザ光アレイ/バー(すなわち、単一の基板上での半導体処理によって形成される複数のレーザダイオード(コヒーレント光源))を、ダウンテーパ状導光体と組み合わせて使用して高強度の均質なライン照射パターンを生成することは新規であり、非自明であると考えられる。すなわち、従来の照射システムにおいては、均一な光パターンを生成するために、テーパ状導光体および非テーパ状導光体が単独で、コヒーレントでない、非レーザ光源と組み合わせて利用されている、すなわち、干渉効果によって引き起こされる強度の不均一性が存在することに起因して、導光体はコヒーレントレーザ光源とともに使用されていない。非コヒーレント入力光を収集、混合、および成形することに加えて、テーパ状導光体は、従来のシステムにおいてまた、混合光の広がりを低減するのにも使用されており、そのため、導光体は、入射面が出射面よりも小さくなるように構成されている(すなわち、テーパ状導光体は従来、「アップテーパ」構成で使用されている)。本発明は実験を通じて、多数のレーザダイオード(たとえば、20個以上)を有するフィルファクタの高い(すなわち、40%〜50%)レーザダイオードバーと組み合わせて2×または3×ダウンテーパを使用することによって、導波路を出射する光が実質的に均質化されると判断した。その上、導波路に十分な強度を提供することによって、本発明は、平行な側壁(すなわち、スロー軸方向において)または平行な導波路を有する導光体が、多数のレーザダイオード(たとえば、20個以上)を有する高フィルファクタ(すなわち40%〜50%)レーザダイオードバーと組み合わさって、導波路を出射する光を実質的に均質化することを見出した。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、スロー軸中継レンズ機能は、協働して導光体を照射面に向けて出射する均質化された光を結像するように構成および配置されている2つのスロー軸レンズを含むケプラー式望遠鏡を使用して実装される。具体的には、ケプラー式望遠鏡は、均質化された光がスロー軸レンズによってスロー軸(幅)方向において所望のライン幅値まで拡大されるように(すなわち、均質化された光ビームの広がりが所望の広がりレベルまで調整されるように)構成されており、第2のスロー軸レンズから照射面までの作動距離が第2のスロー軸レンズの焦点距離に等しくなるように配置されており、それによって、均一な強度プロファイルおよび鮮明な端部を有するライン照射パターンが形成される。特定の実施形態において、それらスロー軸レンズの各々は、少なくとも1つの非円柱状面を有する円柱レンズであり、これは、端部の鮮明性およびスロー軸方向におけるライン幅にわたる強度プロファイルに関して優れたレーザライン性能をもたらす。代替的な実施形態において、各円柱レンズの非円柱状面は、円錐形状または多項式形状のうちの一方を有する。例示的な実際の実施形態において、スロー軸方向において整列された出射面を有する導光体が生成され、ケプラー式望遠鏡は、ライン照射パターンが、導光体の出射(第2の)幅に第1のスロー軸レンズの第1の焦点距離を乗算し、これを第2のスロー軸レンズの第2の焦点距離で除算した値に等しいライン幅を有するよう位置決めされ、配置された円柱状レンズを含む。この構成を、3:1ダウンテーパ状導光体(たとえば、12mmの入射幅および4mmの出射幅を有する)、2.76のケプラー式望遠鏡の第1の焦点距離/第2の焦点距離の比とともに使用して、また、976〜1020nmの範囲内の波長を有するコヒーレント光を生成するレーザダイオードバーを使用して、本発明者らは、約11mmのライン幅を有する優れたライン照射パターンを生成した。代替的な実施形態において、スロー軸レンズの各々が非円柱レンズであるケプラー式望遠鏡が利用される。
【0009】
別の実施形態において、レーザ光をファースト軸方向においてコリメートするために、1つまたは複数のファースト軸(FA)レンズが、レーザダイオードバーと照射面との間の光路内に配置される。当該技術分野において理解されるように、レーザダイオードバーによって、ファースト軸方向においてダイオードレーザビームがガウスであり、ガウスビーム伝搬法に従って合焦されるように、コヒーレントなラインが生成される。1つの特定の実施形態において、(第1の)FAレンズがレーザダイオードバーと導光体との間に配置され、FAレンズは、ファースト軸方向においてライン照明パターンLIPを均質化するために、レーザダイオードバーを出射したコヒーレント光を、導光体に入射する前にコリメートするように構成されている。照射面における均質光の合焦を補助するために、任意選択の第2のFAレンズがケプラー式望遠鏡と照射面と間に配置される。
【0010】
本発明はまた、上述した光ラインジェネレータシステムを利用する単一通過画像形成システム、ライン照射パターンを受け取るように配置されており、所定のスキャンライン画像データに従って均質光を変調するように制御される空間光変調器、および、変調された均質光を合焦して狭いスキャンライン画像を形成するアナモフィック光学システムにも関する。本発明の好ましい実施形態によれば、空間光変調器は、パッケージ形態ではDigital Light Processorと称される、Texas Instruments製のDLP(商標)チップを含む。
【0011】
本発明の特定の実際の実施形態によれば、スキャン/印刷装置は、上述した単一通過画像形成システムと、アナモフィック光学システムから集光された変調光を受け取るように配置されているスキャン構造(たとえば、画像形成ドラムシリンダ)とを含む。特定の実施形態によれば、結像面は、可変データリソグラフィ印刷に使用されるもののような湿潤溶液(湿し水)を保持するものであってもよい。
【0012】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様および利点が、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面に関連してよりよく理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態による、一般化されたレーザラインジェネレータシステムを示す上面斜視図である。
図2A図2(A)は、動作中の本発明の一実施形態によるレーザラインジェネレータシステムを示す単純化された上面図である。
図2B図2(B)は、動作中の本発明の一実施形態によるレーザラインジェネレータシステムを示す単純化された側面図である。
図3図3は、図2(A)および図2(B)のシステムによって生成されるレーザライン照射パターンの例示的なライン強度プロファイルを示す図である。
図4図4は、図2(A)および図2(B)のシステムによって生成されるレーザライン照射パターンの放射照度を示す図である。
図5図5は、図2(A)および図2(B)のシステムによって生成されるレーザライン照射パターンのスロー軸ビーム広がりを示す図である。
図6A図6(A)は、動作中の本発明の別の実施形態によるレーザラインジェネレータを示す単純化された上面図である。
図6B図6(B)は、動作中の本発明の別の実施形態によるレーザラインジェネレータを示す単純化された側面図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態によるレーザラインジェネレータシステムを利用した単一通過画像形成システムを示す上側正面斜視図である。
図8A図8(A)は、動作中の図7に示す空間光変調器の単一の光変調素子を示す斜視図である。
図8B図8(B)は、動作中の図7に示す空間光変調器の単一の光変調素子を示す斜視図である。
図8C図8(C)は、動作中の図7に示す空間光変調器の単一の光変調素子を示す斜視図である。
図9図9は、本発明の別の特定の実施形態による単純化されたスキャン/印刷装置を示す斜視図である。
図10図10は、従来の多重開口ビーム統合光学システムを示す単純化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、画像形成システムおよび関連装置(たとえば、スキャナおよびプリンタ)における改善に関する。以下の説明は、当業者が、特定の用途およびその要件の文脈において規定されているように、本発明を作成および使用することを可能にするために提示されている。本明細書において使用されている場合、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「上(top)」、「側部(side)」、「下側(lower)」、および「正面(front)」のような方向を示す用語は、説明を目的として相対位置を提示するように意図されており、絶対的な基準系を指定するようには意図されていない。加えて、「一体的に形成されている(integrally formed)」という語句は、本明細書においては、単一の成形または機械加工された構造の接続関係を説明するために使用されている。好ましい実施形態に対する様々な改変が、当業者には明らかとなり、本明細書において定義されている一般原理は他の実施形態に適用することができる。それゆえ、本発明は、図示および説明されている特定の実施形態には限定されず、本明細書において開示されている原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0015】
図1は、関連付けられるダイオードレーザ105−1〜105−4によって生成されるコヒーレント(レーザ)光ビームL1〜L4を収集し均質化するために導光体(光学素子)120を利用する光学システム110と、目標照射面107上に細長い均質なライン照射パターンLIPを形成するように、導光体120を出射する実質的に均質な光HLを投影(合焦)するための少なくとも1つのスロー軸中継レンズ130とを含む、一般化されたレーザラインジェネレータシステム100を示す上面斜視図である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、システム100は、既知の作成技法に従って半導体基板上に一体的に形成されているダイオードレーザ105−1〜105−4を含むレーザダイオードバー101を含む。図1の上部に示す拡大部分においてダイオードレーザ105−1によって示されているように、各ダイオードレーザ105−1〜105−4は、延伸幅Wを有し、ダイオードレーザ105−1〜105−4は、レーザダイオードバー101の一面上の水平(直交するX軸)方向においてピッチPだけ離間されている。ダイオードレーザ105−1〜105−4は、拡大部分に示されているように、各光ビームL1〜L4が、水平(X軸)方向に整列したスロー軸方向SAおよび垂直(Y軸)方向に整列したファースト軸方向FAを有するように、平行なZ軸方向において関連付けられるコヒーレント光ビームL1〜L4を発する。
【0017】
ダイオードレーザ105−1〜105−4は、すべてのダイオードレーザ105−1〜105−4によって生成される個々の光部分L1〜L4が、導光体120に入射するときに同じ向きを有するように(すなわち、図1の上部に示されているように、導光体素子に入射するときに光ビームL1およびL2のスロー軸方向が「水平」であり、光ビームL1およびL2のファースト軸方向が「垂直」であるように)、レーザダイオードバー101上で水平方向に整列して配置されている。説明を単純化するためにダイオードレーザバー101は4つのレーザダイオード105−1〜105−4を有して示されているが、レーザダイオードバー101は、40%よりも大きいフィルファクタ(すなわち、レーザダイオード幅WをピッチPで除算した値)で配置されている多数(たとえば、20個以上)のレーザダイオード(発光器)を含むことが理解される。好ましい実施形態によれば、レーザダイオードバー101は、50%以上のフィルファクタで配置されている最大49個のレーザダイオードを含む最近の世代の高出力レーザダイオードバーを含む。
【0018】
導光体120は、コヒーレント光ビームL1〜L4を受け取る(収集する)ようにレーザダイオードバー101に対してZ軸方向に位置付けられており、実質的に均質な光HL(すなわち、2%未満の強度変動を有する非コヒーレント光)が、Z軸方向に向けられている導光体120を出射するようにコヒーレント光を混合(均質化)するように構成されている固体光学素子である。導光体120は、既知の技法を使用して一体的に形成されている光学的に透過性の誘電体材料(たとえば、透過性/透明ガラスまたはプラスチック)を含み、平坦な入射面121と、平坦な出射面122と、対向する平坦な側壁123−1および123−2と、入射面121と出射面122との間に延伸する、対向する上壁124−1および下壁124−2とを含む。導光体120はレーザダイオードバー101に対して、平坦な入射面121がXY平面内に配置され、光ビームL1〜L4の放出(Z軸)方向に垂直であるように位置付けられる。平坦な出射面122は入射面121に平行である。側壁123−1および123−2は、光ビームL1〜L4が上記導光体120を通じて伝播するときにコヒーレントレーザ光の内部全反射を生成するように構成されている(たとえば、後述するように平行またはダウンテーパ状になっている)。具体的には、SA方向において、光が導光体構造120を通じて伝播するときに側壁に衝突するときはいつでも内部全反射を受け、それによって、多数のダイオードレーザ/光ビームによって生成されるさらなる光混合が、出射面122において実質的に均質な光を生成するためにコヒーレント光と関連付けられる干渉効果からの光強度の不均一性を平均化する役割を果たす。FA方向において、光はFAコリメータレンズによって、導光体の全長を通じて伝播し、それゆえ上壁および下壁に衝突しないように、導光体よりも小さくなるように成形される。コヒーレント光の均質化(混合)は図1において、入射面121と出射面122との間で段階的に陰影を付けることによって示されている(すなわち、相対的にコヒーレントな光は明るくまたは陰影なしで示されており、実質的に均質な光はより暗い陰影によって示されている)。
【0019】
本発明の一態様によれば、導光体120の側壁123−1〜123−2は、平行であるかまたはダウンテーパ状になっているかのいずれかである。すなわち、図1を参照すると、入射面121の(第1の)幅W1(すなわち、X軸方向において測定される)は、出射面122の第2の幅W2に等しいものとして示されており、それによって、側壁123−1および123−2はテーパ状になっていない(すなわち、平行である)。代替的に、図2は、入射面121Aの幅W1Aが、出射面122Aの第2の幅W2Aよりも大きい(すなわち、側壁123A−1および123A−2がダウンテーパ状になっている)導光体120Aを含むシステム100Aを示している。非テーパ状導光体120またはダウンテーパ状導光体120Aのいずれかをコヒーレント(すなわちレーザ)光源(たとえば、レーザライトバー)とともに使用することによって、本発明のレーザラインジェネレータシステムが、従来の構成に対して区別される。すなわち、テーパ状導光体および非テーパ状導光体は従来の照射システムにおいては単独で、コヒーレントでない、非レーザ光源と組み合わせて利用されており、本発明以前では、干渉効果によって引き起こされる強度の不均一性が存在することに起因して、導光体はコヒーレントレーザ光源と組み合わせては使用されていない。加えて、導光体が、均一に近い強度の光パターンを生成するために光を収集、混合、および成形するのに使用されていた用途において、テーパ状導光体は一般的に、非コヒーレント光の広がりを低減するために「アップテーパ」構成において使用されていた(すなわち、小さい方の端面が入射面であり、大きい方の端面が出射面であった)。この導光体を使用することによってシステム100の光路長は従来のマルチレンズ手法よりも増大するが、高密度コヒーレント光源(たとえば、最近の世代の高出力レーザダイオードバーに見られるものなど)を非テーパ状またはダウンテーパ状導光体と組み合わせることによって、製造費用および複雑度を最小限に抑えながら、優れて均質な光が生成される。
【0020】
再び図1を参照すると、スロー軸中継レンズ130が導光体120と照射面107との間に位置付けられており、画像の均質光HLが照射面107上に、X軸方向に延伸する所定の細長い線幅WLを有するライン照射パターンLIPを形成するように、導光体120を出射する均質光HLを結像するように構成されている。すなわち、スロー軸中継レンズ130の目的は、線幅WLが照射面107において所望のサイズを有するように均質光HLを拡大し、ビーム広がりを所望の量まで調整し、ライン照射パターンLIPが全体的に均質光によって形成され、X軸(すなわちスロー軸)方向において所望の線幅WLを有するように、照射面107までの作動距離を制御することである。照射面107上に均質化された光を結像するためにダイオードレーザ105−1〜105−4およびスロー軸中継レンズ130によって生成されるコヒーレントレーザ光を均質化するために導光体120を利用することによって、本発明は、使用されるレンズの数を低減して、精細なピッチのマイクロレンズアレイを必要とすることなく細長い均質なライン照射パターンLIPの生成を容易にし、それによって、レーザラインジェネレータシステム100は、含まれる光学素子がより少なく、組み立て誤差に対してよりロバストで、組み立ておよび位置合わせが大幅により容易である。これらの要因によって、レーザラインジェネレータシステム100の全体的な製造費用が、従来の多重開口ビーム統合光学システムに対して推定で3分の1から5分の1に低減する。
【0021】
図2(A)および図2(B)は、レーザダイオードバー101(上述)と、テーパ状導光体120A(上記)と、ケプラー式望遠鏡130Aと、任意選択のファースト軸(FA)レンズ115Aとを含む、本発明の特定の実施形態によるレーザラインジェネレータシステム100Aを示す。
【0022】
テーパ状導光体120Aは、平坦な入射面121Aと、平坦な出射面122Aと、平坦な側壁123A−1および123A−2と、平坦な上壁124A−1および下壁124A−2とを含む、上述したものと同様に形成される光学素子である。本発明によれば、テーパ状導光体120Aは、スロー軸方向SAにおいて2:1以上のダウンテーパを有し(すなわち、図2(A)に示されているように、入射面121Aの幅W1Aは、出射面122Aの幅W2Aの幅の少なくとも2倍であり)、ファースト軸方向FAにおいてはゼロテーパを含む(すなわち、図2(B)に示されているように、上面124A−1および下面124A−2は平行である)。この構成によって、ダイオードバー101Aからの光はスロー軸(SA)方向のみにおいて導光体壁に反射し、図3に示すものと同様の、照射面における光強度プロファイルを生成し、図4に示すものと同様の、照射面におけるライン照射パターンを生成する。ファースト軸(FA)方向においては、非テーパ状構成が設計されており、それによって、光は、導光体側壁に反射することなく導光体を通じて進行する。FA方向における光強度プロファイルはガウスであり、ガウスプロファイルの狭い幅は、レーザダイオードおよびFAコリメータレンズのFAビーム広がりの特性によって決定される。この構成によって、ダイオードバー101Aからの光は導光体を直に通過し、図4に示すものと同様の、照射面における放射照度を有し、図5に示すものと同様の、照射面における角度分布を有する実質的に均質な光を生成する。
【0023】
図2(A)および図2(B)に示す実施形態の一態様によれば、図1におけるレンズ130によって実施されるスロー軸中継レンズ機能は、それぞれ焦点距離f1およびF2を有するように構成されており、図2(A)に示されているように協働して導光体120Aを出射する均質化された光を照射面107A上に結像するように配置されているスロー軸円柱レンズ130A−1および130A−2を含むケプラー式望遠鏡130Aを使用して実施される。具体的には、ケプラー式望遠鏡130Aは、均質化された光がスロー軸レンズ130A−1および130A−2によってスロー軸(幅)方向において所望のライン幅値WLAまで拡大されるように(すなわち、均質化された光ビームの広がりが所望の広がりレベルまで調整されるように)構成されており、第2のスロー軸レンズ130A−2から照射面107Aまでの作動距離が第2のスロー軸レンズ130A−2の焦点距離f2に等しくなるように配置されており、それによって、均一な強度プロファイルおよび鮮明な端部を有するライン照射パターンLIPが形成される。特定の実施形態において、それらスロー軸円柱レンズ130A−1および130A−2の各々は、少なくとも1つの非円柱状面を有し、これは、端部の鮮明性およびスロー軸方向におけるライン幅にわたる強度プロファイルに関して優れたレーザライン性能をもたらす。代替的な実施形態において、各円柱レンズの非円柱状面は、円錐形状または多項式形状のうちの一方を有する。
【0024】
再び図2(A)および図2(B)を参照すると、レーザラインジェネレータシステム100Aはまた、レーザダイオードバー101と導光体120Aとの間の光学経路に配置されており、コヒーレントレーザ光を、導光体120Aに入射する前にコヒーレントレーザ光をファースト軸方向においてコリメートする役割を果たすファースト軸(FA)レンズ115Aをも含む。当該技術分野において理解されるように、レーザダイオードバーによって、ファースト軸方向においてダイオードレーザビームがガウスであり、ガウスビーム伝搬法に従って合焦されるように、コヒーレントなラインが生成される。FAレンズ115Aは、ファースト軸(FA)方向においてライン照射パターンLIPを均質化するために、レーザダイオードバー101Aを出射するコヒーレント光を、導光体120Aに入射する前にコリメートするように配置および構成されている。
【0025】
表1(下記)は、例示されている実際の実施形態によるシステム100Aに関するさらなる詳細を規定する光学設計指示を含む。ケプラー式望遠鏡130Aを図2(A)および図(B)に示されているように配置することによって、出射面122Aの出射(第2の)幅W2Aにスロー軸レンズ130A−1の焦点距離f1を乗算し、これをスロー軸レンズ130A−2の焦点距離f2で除算した値に等しい線幅WLAを有する(すなわち、WLA=W2Ax(f1/f2))ライン照射パターンLIPが、照射面107Aにおいて生成される。たとえば、導光体120Aが3:1ダウンテーパ状導光体(たとえば、12mmの入射幅W1Aおよび4mmの出射幅W2Aを有する)を有するように表1の仕様を使用し、2.76の第1の焦点距離/第2の焦点距離の比を有するケプラー式望遠鏡130Aを形成し、976〜1020nmの範囲内の波長λを有するコヒーレント光を生成するタイプのレーザダイオードバー(たとえば、アルミニウムインジウムガリウムヒ素リン化物(Al−In−Ga−As−P))を使用して、本発明者らは、約11mmの線幅WLAを有する優れたライン照射パターンを生成した。
【0026】
【表1】
【0027】
非円柱状面方程式(式1、下記にコピー)が、例示的な実施形態によるFAレンズ115Aの非円柱状面形状を説明する。
【0028】
【数1】
【0029】
式中、zは面だれであり、Cは表面曲率(1/R)であり、Rは表面曲率半径(1/C)であり、rは半径座標であり、kは表面の円錐定数であり、k>0は偏球を表し、k=0は球を表し、−1<k<0は偏球を表し、k=−1は放物線を表し、k<−1は双曲線を表す。
【0030】
図2(A)および図2(B)を参照して上述した特定の実施形態は例示であるように意図されており、特許請求される本発明の精神および範囲内にあるままで、他の任意選択の特徴(たとえば、後述するもの)が実装されてもよい。
【0031】
図6(A)および図6(B)は、上述したようにレーザダイオードバー101およびダウンテーパ状導光体120Bを利用するが、下記に記すいくつかの観点で異なっている別の特定の実施形態によるレーザラインジェネレータシステム100Bを示す。
【0032】
第1に、レーザラインジェネレータシステム100Bは、ケプラー式望遠鏡130Bが、円錐面を有する2つの非円柱レンズ130B−1および130B−2(すなわち、円柱レンズの代わりに)によって形成されるという点において、先行する実施形態とは異なる。非円柱レンズは、多量の光学収差を導入することなく、必要とされる拡大および結像を可能にする。この結果として、照射面においてより鮮明な端部でより均一な放射照度分布がもたらされる。
【0033】
第2に、レーザラインジェネレータシステム100Bは、レーザダイオードバー101と導光体120Bとの間の光路に配置される第1のファースト軸(FA)レンズ115Aと、ケプラー式望遠鏡130Bと照射面107Bとの間に配置される任意選択の第2のFAレンズ115Bの両方を含む。図2(A)および図2(B)を参照して図示および説明した実施形態におけるように、第1のFAレンズ115Aは、コヒーレントレーザ光を、導光体120Bに入射する前にファースト軸方向においてコリメートする役割を果たす。存在するとき、任意選択の第2のFAレンズ115Bは、照射面107Bにおける均質光の合焦を補助する役割を果たす。FA方向において、ビーム幅がFA方向において導光体の幅よりも常にはるかに小さいため、光は導光体の上面および下面に衝突しない。それゆえ、導光体は、FA方向においてテーパ状になっている必要はなく、上面および下面は研磨光学面である必要はない。
【0034】
上述したレーザラインジェネレータ光学システムはいずれも、図7図9を参照して後述するもののような、より複雑なシステムおよび装置内で利用されてもよい。
【0035】
図7は、本発明の実際の例示的な実施形態による単一通過画像形成システム200を示す斜視図である。画像形成システム200は、その表面が上記の説明と一致するように照射面107Cを形成する空間光変調器220上にライン照射パターンLIPを形成する均質光HLを生成するために、簡潔にするために破線のボックスによって示されており、上述した詳細のいずれかを含むラインジェネレータ光学システム100を利用する。画像形成システム200はまた、図7において単純化する目的でブロック型構造によって表されているアナモフィック(第2の)光学システム230をも含み、光学システム230は、後述するように空間光変調器から反射される変調光を受け取るように位置付けられており、変調光を集光して細長いスキャンライン画像SLを生成するように構成されている。実際には、アナモフィックシステム230は、一般的に、「SINGLE−PASS IMAGING SYSTEM USING SPATIAL LIGHT MODULATOR AND ANAMORPHIC PROJECTION OPTICS」と題する、共同所有の米国特許第8,472,104号明細書に記載されているような、複数の別個の円柱または非円柱レンズから構成される。
【0036】
空間光変調器220は、所定のスキャンライン画像データに従って均質光HLの部分を反射(変調)する目的を果たし、それによって、空間光変調器220は、アナモフィック光学システム230上に投影される変調光場MHLを生成する。空間光変調器220は、支持構造上の2次元アレイに配置されているミラー(変調素子)225と、スキャンライン画像データに応答して変調素子225に制御信号を送信するように構成されている制御回路であって、それによって、各変調素子225が「オン」状態と「オフ」状態との間で個々に制御される、制御回路とを含む。変調素子225は、各変調素子225のミラー(または、回折素子もしくは熱光学吸収素子のような他の光変調構造)が、均質光HLのうちの対応する部分を受け取る(たとえば、変調素子225−1が均質光部分HL−Gを受け取る)ように配置されており、現在の「オン」または「オフ」状態に従って、アナモフィック光学システム230に向かう所定の方向に沿って、受け取った対応する変調光部分を選択的に通過させるかまたは方向を変えるように位置付けられている。特に、各光変調素子225は、スキャンライン画像データIDの中の関連部分に応じて「オン」(第1の)変調状態と「オフ」(第2の)変調状態との間でスイッチングするように、個々に制御可能である。所与の変調素子(たとえば、変調素子225−1)が「オン」変調状態にあるとき、その変調素子は、その所与の変調素子が受け取った関連光部分(たとえば、光部分HL−G)をアナモフィック光学機器230に向けて(すなわち、反射光部分HL−G1によって示されるように)方向付けるように作動される。反対に、変調素子225−1が「オフ」変調状態にあるとき、その変調素子は、その所与の変調素子が受け取った関連光部分(たとえば、光部分HL−G)がアナモフィック光学システム230に到達するのを(すなわち、反射光部分HL−G2によって示されるように)妨げる(ブロックする、または方向を変える)ように作動される。図示されている例において、反射光部分HL−G2は、「オフ」変調素子から反射される他のすべての「無駄な」光WLとともに、ヒートシンク240に向けて方向付けられる。外部供給源(図示せず)からデバイスコントローラへ供給される画像データに従って、変調素子225を選択的に「オン」または「オフ」にすることによって、空間光変調器220は、連続的な均質光HLの部分を変調し(すなわち、通過させるまたは通過させない)、アナモフィック光学システム230へと通過する2次元変調光場MHLが生成されるようにする役割を果たす。
【0037】
本発明の一態様によれば、空間光変調器220の中の光変調素子225は、行および列から成る2次元アレイに配置され、アナモフィック光学システム230は、変調素子の各列を通過した光部分を、スキャンライン画像SLの水平方向に離間された対応する画像形成領域上へ集光するように構成されている。本明細書において使用される場合、各「列」は、実質的にスキャンライン画像SLに垂直である方向に配列された光変調素子を含み、各「行」は、実質的にスキャンライン画像SLに平行な方向に配列された光変調素子を含む。
【0038】
図8(A)〜図8(C)は、図7のミラー機構225−1をさらに詳細に示す斜視/ブロック図である。図8(A)は、第1の(たとえば、「オン」)変調状態にあるミラー機構225−1を示し、第1の変調状態において、受け取った光部分HL−Gは、第1の角度θ1でミラー212を離れる反射(変調)光部分HL−G1となる。「オン」変調状態を設定するために、SRAMメモリセル240は、あらかじめ書き込まれたデータ値を格納して、出力信号Dが、電極プレート231および高架電極227へ送られる高電圧(VDD)を含むとともに、出力信号Dバーが、電極プレート232および高架電極228へ送られる低電圧(グランド)を含むようにする。これらの電極は、静電引力によってミラーの位置を制御する。電極プレート231および232によって形成される電極対は、ヨーク222に作用するように位置付けられ、高架電極227および228によって形成される電極対は、ミラー212に作用するように位置付けられる。大抵の場合、同等のバイアス電荷が、ヨーク222の両側に同時に加えられる(たとえば、図8(A)に示されているように、バイアス制御信号227G−2が、電極プレート227および228ならびに高架電極231および232の両方に加えられる)。予期されるように中心位置へはじく代わりに、この同等のバイアスは、ミラー212と高架電極231/電極プレート227との間の引力が、ミラー212と高架電極232/電極プレート228との間の引力よりも大きいため(すなわち、前者の側が電極により近いため)、実際には現在の「オン」位置にミラー212を保持する。
【0039】
「オン」位置から「オフ」位置へミラー212を移動させるために、必要とされる画像データビットが、制御信号227G−1によってSRAMメモリセル240内へロードされる(図8(A)の下側部分を参照)。図8(A)に示されているように、すべてのSRAMセルが画像データをロードされると、バイアス制御信号はアサート停止され、それによって、SRAMセル240から電極プレート231および高架電極227へD信号が、およびSRAMセル240から電極プレート232および高架電極228へDバーが送信され、それによってミラー212が図8(B)に示されている「オフ」位置へ移動させられ、それによって受け取られた光部分HL−Gは、ミラー212を第2の角度θ2で離れる反射光部分HL−G2となる。一実施形態では、ミラー212の平らな上面は、図8(A)に示されている「オン」状態と図8(B)に示されている「オフ」状態との間において、約10〜12°の範囲内で傾く(角度的に移動する)。その後バイアス制御信号227G−2が、図8(C)に示されているように復元されると、ミラー212は、「オフ」位置に維持され、次に必要とされる移動をメモリセル240内へロードすることができる。電圧レベルをSRAMセルから直に駆動することができるようにミラーをアドレス指定するのに必要な電圧レベルを低減するため、また、バイアス電圧をチップ全体について同時に除去することができ、そのためすべてのミラーが同時に移動するため、このバイアスシステムが使用される。
【0040】
図8(A)〜図8(C)に示されているように、ミラー機構225G−1の回動ねじり軸によって、ミラー212は、DLPチップハウジングのx−y座標に対して斜めの軸を中心として回転する。このように斜めに傾けるには、光の出射角がDLPチップの表面に直交するように、画像形成システム内の空間光変調器から受け取った入射光部分が各ミラー機構225G上へ合成入射角で投影される必要がある。この要件は、画像形成システムを並べて配置することを困難にする。
【0041】
図9は、本発明の別の実施形態による単一通過画像形成システム200およびスキャン構造(たとえば、画像形成ドラムシリンダ)460を含むスキャン/印刷装置400を示す単純化された斜視図である。上述したように、画像形成システム200は、一般的に、均質光場HLを生成するためのレーザラインジェネレータシステム100、空間光変調器220、およびアナモフィック光学(たとえば、投影レンズ)システム230を含み、これらは本質的には上記に記載したように機能する。図9の右上部分を参照すると、画像形成ドラムシリンダ(ローラ)460は、アナモフィック光学システム230が、まとまってアナモフィック光学システム230を形成する工程直交光学サブシステム233および工程方向光学サブシステム237を用いて、空間光変調器220から受け取った変調光部分を、画像形成ドラムシリンダ460の結像面462上へ、特に、結像面462の結像領域467内へ結像して集光するように、画像システム200に対して位置付けられる。図示されている実施形態において、工程直交光学サブシステム233が、空間光変調器220を通過した光を水平方向において反転させるように(すなわち、変調光部分HL−B41、HL−B42およびHL−B43が、工程直交光学サブシステム233の右側から結像領域467の左側に向けて方向付けられるように)動作する。加えて、代替的な実施形態において、画像形成ドラムシリンダ460は、結像面462が、アナモフィック光学システム230によって規定されるスキャンライン(または焦線)と一致し、それによって、集光された光部分(たとえば、集光された光部分HL−C41、HL−C42およびHL−C43)が凝縮して結像領域467の関連部分内に単一の1次元スポット(光画素)SL−4を形成するように、または、結像面462が、アナモフィック光学システム230によって規定される焦線と一致し、それによって、光部分が、いくつかの結像線を含むスワスを形成するように(すなわち、光部分HL−C41によって形成される光部分画素が、光部分HL−C43によって形成される光部分画素から分離されるように)位置付けられる。本発明の好ましい実施形態において、画像形成ドラムシリンダ460の側面図を示す、図9の右上部分内の破線のバブルによって示されているように、結像面462は、スキャンラインSL−4においてビームHL−C41、HL−C42およびHL−C43によって生成される画像が、破線のバブル内に示されているように反転されるように、焦線FLの位置に設定される。装置400に関するさらなる詳細は、「ANAMORPHIC PROJECTION OPTICAL SYSTEM」と題する共同所有の米国特許第8,405.913号明細書に記載されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10