(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記挿入部は、前記開口と連結し、前記火炉側に延在し、前記除去器具を前記火炉側に案内する案内管を有し、前記案内管は前記火炉側に向かって径が大きくなる漏斗形状となっていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバーナユニット。
ボイラの火炉の壁面に設置され、石油コークスバーナと、風箱と、前記風箱の前記火炉の外側の面に設置された突き座と、前記突き座に開口を有する挿入部と、を有する石油バーナユニットの前記火炉側の先端部に付着したスラグを除去するスラグ除去方法であって、
前記挿入部にシール空気を供給するステップと、
前記シール空気が供給され、前記火炉が流入することを抑制した状態で、前記挿入部を塞いている蓋を開けるステップと、
前記挿入部に除去器具を挿入し、スラグ除去するステップと、
前記除去器具を前記挿入部から取り出すステップと、
前記挿入部を蓋で塞ぐステップと、
前記挿入部へのシール空気の供給を停止するステップと、を有し、
前記蓋を開けるステップは、シールエアが供給されていることを検出した場合のみに、前記蓋を開放可能とすることを特徴とするスラグ除去方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料として石油コークス(PC:Petroleum Coke)を燃焼させる石油コークスバーナを有するボイラがある。石油コークスバーナは、運転時にスラグが火炉の壁面やバーナに付着しやすい。石油コークスバーナを有するボイラは、バーナ及びバーナの周辺部に付着するスラグが多くなると、運転効率が下がった状態で運転することになる。また、バーナ及びバーナの周辺部に付着したスラグが燃料の供給や、空気の供給、点火の制御に障害となる恐れもある。または、メンテナンスのために運転を停止すると、運転できる期間が短くなり運転効率も低下する。さらには、バーナ及びバーナの周辺部に付着したスラグは、冷却されると硬化して凝固するので、メンテナンス時でのスラグ除去は容易ではなくなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、付着したスラグを除去することができ、運転効率を高くすることができるバーナユニット及びボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するためにバーナユニットは、火炉の壁面に設置されたバーナユニットであって、一方の先端部側が前記火炉内を向き、他方の基部側が前記火炉の外側へと延在し、前記火炉に石油コークスを噴射する石油コークスバーナと、前記石油コークスバーナの前記基部側の端部に接続し、前記石油コークスバーナに空気を供給する風箱と、前記風箱の前記火炉の外側の面に設置された突き座と、を有し、前記突き座は、前記風箱の外部から前記風箱の内部に前記先端部側に向けて除去器具を挿入可能な開口を有する挿入部と、前記挿入部を開閉する蓋部と、前記挿入部に前記風箱の外部から前記火炉に向けた空気の流れを形成するシールエア供給部と、を有することを特徴とする。
【0007】
バーナユニットの突き座は、シールエア供給部からシールエアを供給されることで、火炉内からの燃焼ガスや風箱内を流れる高温の空気が突き座内に逆流することを抑制できる。この状態で、蓋部を開け、スラグを除去する除去冶具を火炉方向に挿入し、石油コークスバーナ先端部及び石油コークスバーナの周辺部に付着したスラグを除去することができる。これにより、ボイラの運転中であっても、火炉内からの燃焼排ガスが風箱内に逆流することを抑制しつつ、スラグ除去作業を行うことができる。これにより、スラグの除去作業を行っている作業者に向かって、火炉内から高温のガスが漏えいすることを抑制できる。また、運転中にスラグが凝固することなく除去することで、スラグによるバーナの燃焼への影響を運転中に取り除くことができる。これにより、運転を停止してスラグを取り除く必要が無くなり、かつ、スラグを除去して運転を継続できるため、運転効率を高くすることができる。
【0008】
バーナユニットは、前記石油コークスバーナの鉛直方向下側に隣接して配置されたノズルをさらに有し、前記突き座は、前記風箱の前記火炉の外側の面の、前記ノズルの前記基部を延長させて囲われる領域に、前記挿入部が設けられていることが好ましい。バーナユニットは、石油コークスバーナの鉛直方向下側に配置されたノズルに対応する位置に突き座を配置することで、石油コークスバーナの先端のバーナノズルに付着し、鉛直方向下側に堆積するスラグを好適に除去することができ、石油コークスバーナの鉛直方向下側に配置されたノズルの一部がスラグによって遮られることを抑制できる。これにより、石油コークスバーナの鉛直方向下側に配置されたノズルから供給される空気量が低減することを抑制し、バーナの良好な燃焼状態を維持することで運転効率を高くすることができる。
【0009】
バーナユニットは、石油コークスバーナの鉛直方向下側に配置されたノズルをさらに有し、前記ノズルは、内部に点火装置が配置され、前記突き座は、前記風箱の前記火炉の外側の面の、前記ノズルの前記基部を延長させて囲われる領域に、前記挿入部が設けられていることが好ましい。バーナユニットは、点火装置が配置されたノズルに対応する位置に突き座を配置することで、点火装置にスラグが付着し、点火装置の点火動作に悪影響を与えることを抑制できる。これにより、点火装置での点火動作をより確実に実行することができる。点火動作をより確実に実行できることで、バーナユニットでの失火の発生を抑制でき、バーナユニットでの予期せぬ燃焼のバランスの変化が生じることができる。これにより、安定した運転を維持できることで、運転効率を高くすることができる。
【0010】
また、前記ノズルは、前記風箱から供給される空気の量を調整する可変抵抗を有し、前記可変抵抗の上流側の圧力を検出する第1圧力検出部と、前記可変抵抗の下流側の圧力を検出する第2圧力検出部と、前記第1圧力検出部で検出した値と前記第2圧力検出部で検出した値の差に基づいて、前記ノズルでのスラグの堆積状態を判定する判定部と、を有することが好ましい。バーナユニットは、検出した差圧に基づいて、スラグの堆積状態を判定することで、計測値から堆積状態を判定することができる。
【0011】
バーナユニットは、前記火炉の内部の圧力を検出する第3圧力検出部をさらに有し、前記判定部は、前記第1圧力検出部で検出した値と前記第2圧力検出部で検出した値の差が小さくなり、かつ、前記第1圧力検出部で検出した値と前記第3圧力検出部で検出した値の差が大きくなった場合、前記ノズルでスラグが堆積していると判定することが好ましい。バーナユニットは、検出した差圧に基づいて、スラグの堆積状態を判定することで、計測値から堆積状態を判定することができる。
【0012】
また、前記挿入部は、前記開口と連結し、前記火炉側に延在する管路であり、前記除去器具を前記火炉側に案内する案内管を有し、前記案内管は前記火炉側に向かって径が大きくなる漏斗形状となっていることが好ましい。バーナユニットは、案内管を配置することで、スラグの除去作業時に、除去器具が風箱や、周囲のノズルにあたることを抑制できる。また、除去器具を案内管で支持することができる。これにより、バーナユニットの意図しない位置の損傷を抑制でき、作業員の作業負荷を低減できる。
【0013】
また、前記蓋部は、蓋と、蓋の開閉を拘束する固定機構を備え、前記固定機構は、前記シールエア供給部からシールエアが供給されていることを検出した場合のみに、前記蓋を開放可能とすることが好ましい。固定機構が、シールエアが供給されている場合のみロックが解除できるようにすることで、シールエアが供給されていない状態で蓋が開くことを抑制できる。これにより、より安全に作業を行うことができる。
【0014】
上記の目的を達成するためにボイラは、火炉と、前記火炉の火炉壁に配置された上記のいずれかに記載のバーナユニットと、前記バーナユニットから火炉内に噴射された燃料と空気が燃焼されることで生成される燃焼ガスと熱交換を行って熱を回収する熱交換器と、を有することを特徴とする。ボイラは、運転中もスラグを除去できるバーナユニットを備えている。これにより、スラグを除去することができ、運転効率を高くすることができる。
【0015】
上記の目的を達成するためにスラグ除去方法は、ボイラの火炉の壁面に設置され、石油コークスバーナと、前記風箱の前記火炉の外側の面に設置された突き座と、前記突き座に開口を有する挿入部と、風箱とを有する石油バーナユニットの前記火炉側の先端部に付着したスラグを除去するスラグ除去方法であって、前記挿入部にシール空気を供給するステップと、前記シール空気が供給され、前記火炉が流入することを抑制した状態で、前記風箱の前記火炉の外側の面の挿入部を塞いでいる蓋を開けるステップと、前記挿入部に前記除去器具を挿入し、スラグ除去するステップと、前記除去器具を前記挿入部から取り出すステップと、前記挿入部を蓋で塞ぐステップと、前記挿入部へのシール空気の供給を停止するステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
スラグの除去方法は、シールエアを供給し、火炉の空気が逆流することを抑制した状態で、蓋部を開け、スラグを除去する除去冶具を火炉内に挿入することができる。これにより、ボイラの運転中であっても、火炉の空気が逆流することを抑制しつつ、作業を行うことができる。以上より、運転中であっても発生したスラグを除去することができる。また、運転中にスラグを除去することができることで、スラグの悪影響を運転中に取り除くことができる。これにより、運転効率を高くすることができる。
【0017】
スラグの除去方法は、前記バーナユニットが、前記石油コークスバーナの鉛直方向下側に配置されたノズルを有し、前記ノズルは、前記風箱に接続されているノズル供給される空気の量を調整する可変抵抗を有し、前記可変抵抗の上流側の圧力と、前記可変抵抗の下流側の圧力と、を検出し、検出した値の差に基づいて、前記ノズルでのスラグの堆積状態を判定するステップをさらに有することが好ましい。スラグの除去方法は、検出した差圧に基づいて、スラグの堆積状態を判定することで、計測値から堆積状態を判定することができる。
【0018】
また、前記スラグの堆積状態を判定するステップは、前記火炉の内部の圧力を検出し、前記可変抵抗の上流側の圧力と、前記可変抵抗の下流側の圧力との差が小さくなり、かつ、前記可変抵抗の上流側の圧力と、前記火炉の内部の圧力との差が大きくなった場合、前記ノズルでスラグが堆積していると判定することが好ましい。検出した差圧に基づいて、スラグの堆積状態を判定することで、計測値から堆積状態を判定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、突き座を設けることで、ボイラの運転中であっても、火炉内及び風箱内を流れる高温の空気が作業者に向かい漏出することを抑制しつつ、バーナ及びバーナの周辺部に付着したスラグの除去作業を行うことができる。これにより、ボイラの運転を停止させることなく、発生したスラグを除去することができ、運転効率を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0022】
図1から
図5、
図9は、紙面の上下方向が鉛直方向上下方向を示している。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものである。
図1は、本実施形態のボイラを示す概略構成図である。本実施形態のボイラ10は、油焚きボイラを石油コークス焚きが出来るボイラとしたボイラである。油焚きボイラは、流体燃料としての重油または、軽油、石炭のスラリーなどを燃料として用いる。油焚きボイラは、油バーナから液体燃料を噴霧媒体としての蒸気(または、高圧空気、高圧ガス、可燃性ガスなど)により微粒化させて噴霧し、火炉内で燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。また、石油コークス焚きボイラは、石油コークス(PC:Petroleum Coke)を燃料として用いる。石油コークス焚きボイラは、石油コークスを粉砕して微粒化し、微粒化した石油コークスを搬送空気(一次空気)で石油コークスバーナから火炉内に噴霧し、火炉内で燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
【0023】
本実施形態において、
図1に示すように、ボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有する。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
【0024】
燃焼装置12は、複数のバーナユニット20を有する。バーナユニット20は、火炉11の壁面に装着されている。バーナユニット20は、例えば、火炉11の四角筒の4隅に配置されている。また、バーナユニット20は、火炉11の四角筒の4つの面のそれぞれに配置してもよいし、対向する2面に配置してもよい。
【0025】
以下、
図1から
図4を用いてバーナユニット20について説明する。
図2は、バーナユニットを火炉側から見た概略構成図である。
図3は、バーナユニットを火炉の外側から見た概略構成図である。
図4は、バーナユニットの一部の側面図である。バーナユニット20は、複数の油バーナ21と、複数の石油コークスバーナ(PCバーナ)31と、風箱44と、上部空気ノズル46と、下部空気ノズル48と、複数の突き座70と、を有する。突き座70については後述する。
【0026】
複数の油バーナ21は、
図1及び
図2に示すように、バーナユニット20の延在方向と、火炉11の壁面の延在方向が直交するよう鉛直方向に並んでいる。油バーナ21は、一列で配置されている。油バーナ21は、隣接する油バーナ21と隙間を空けて配置されている。本実施形態のバーナユニット20は、4つの油バーナ21を配置した例としたが、その数は限定されない。
【0027】
油バーナ21は、油バーナガン54が燃料油供給配管22を介して燃料油供給源23に連結されており、燃料油供給配管22に燃料供給量を調整可能な流量調整弁24が設けられている。また、各油バーナ21の油バーナガン54は、蒸気供給配管25を介して蒸気供給源26に連結されており、蒸気供給配管25に蒸気供給量を調整可能な流量調整弁27が設けられている。
【0028】
油バーナ21は、
図4に示すように、先端部51と基部52とを有する。先端部51は、基部52の火炉11側の端部に配置されている。先端部51は、基部52の軸線方向に対して鉛直上下方向に噴出し方向が変わるよう、つまり、水平方向に軸線に直交するよう設けた図示しない軸を支点として先端部51からの噴出しの向きを回転可能な状態で基部52に支持されている。先端部51は、先端に向かうほどつまり基部52から離れるほど上部補助空気コンパートメント(空気通路)57と下部補助空気コンパートメント(空気通路)58の開口径が小さくなる。つまり先端部51は、絞りが設けられている。油バーナ21は、先端部51と基部52に延在して設けられた、油バーナガン54と燃焼用二次空気ノズル56と、上部補助空気コンパートメント57と、下部補助空気コンパートメント58と、と有し、さらにダンパー59と、点火トーチ60(
図2参照)と、を有する。油バーナガン54は、燃料である液体燃料を火炉11の内部に噴霧する。燃焼用二次空気ノズル56は、油バーナガン54の周囲の設けられた流路であり、火炉11の外側の端部が風箱44と接続している。燃焼用二次空気ノズル56は、風箱44から供給された燃焼用の空気を火炉11の内部に供給する。上部補助空気コンパートメント57は、燃焼用二次空気ノズル56の鉛直方向上側に配置されている。上部補助空気コンパートメント57は、火炉11の外側の端部が風箱44と接続されている。上部補助空気コンパートメント57は、風箱44から供給された空気を火炉11の内部に供給する。下部補助空気コンパートメント58は、燃焼用二次空気ノズル56の鉛直方向下側に配置されている。下部補助空気コンパートメント58は、火炉11の外側の端部が風箱44と接続されている。下部補助空気コンパートメント58は、風箱44から供給された空気を火炉11の内部に供給する。
【0029】
ダンパー59は、燃焼用二次空気ノズル56内に設けられている。ダンパー59は、流路抵抗を変化できる機構つまり、可変抵抗であり、例えば、回転することで流路を塞ぐ面積を変化させることができる板部材である。ダンパー59は、設置されている燃焼用二次空気ノズル56の流路抵抗を調整することで、燃焼用二次空気ノズル56から排出される燃焼用二次空気の量を調整する。なお、ダンパー59は、上部補助空気コンパートメント57と、下部補助空気コンパートメント58とにも設けてもよい。ダンパー59は、燃焼用二次空気ノズル56と、上部補助空気コンパートメント57と、下部補助空気コンパートメント58とに分離する前の部分の油バーナ21と風箱44との接続部に設けてもよい。
【0030】
点火トーチ60は、燃焼用二次空気ノズル56に配置されている。点火トーチ60は、油バーナガン54から噴射させる燃料を着火する。
【0031】
本実施形態では、複数のPCバーナ31は、
図2に示すように、油バーナ21の鉛直方向下側に隣接して配置されている。2つのPCバーナ31は、油バーナ21の間に配置され、1つのPCバーナ31は、鉛直方向最も下側の油バーナ21の下に配置されている。PCバーナ31の数量と、油バーナ21の数量と鉛直方向の最上側と最下側に設置されるバーナの種類を特定するものではなく、適宜選択されるものである。
【0032】
PCバーナ31は、
図4に示すように、先端部61と基部62とを有する。先端部61は、基部62の火炉11側の端部に配置されている。先端部61は、基部62の軸線方向に対して鉛直上下方向に噴出し方向が変わるよう、つまり、水平方向に軸線が直交するよう設けた図示しない軸を支点として回転可能な状態で基部62に支持されている。先端部61は、先端に向かうほど、つまり基部62から離れるほど開口径が小さくなる。つまり先端部61は、上部補助空気コンパートメント57と下部補助空気コンパートメント58に絞りが設けられている。PCバーナ31は、先端部61と基部62に延在して設けられた、燃料ノズル64と燃焼用二次空気ノズル66とを有する。燃料ノズル64は、燃料である石油コークスと石油コークスを搬送する搬送空気である一次空気とを火炉11の内部に噴霧する。燃焼用二次空気ノズル66は、燃料ノズル64の周囲に設けられた流路であり、火炉11の外側の端部が風箱44と接続している。燃焼用二次空気ノズル66は、風箱44から供給された空気を火炉11の内部に供給する。
【0033】
PCバーナ31は、
図1に示すように、石油コークス供給配管(PC供給配管)32を介して石油コークス供給源(PC供給源)33に連結されている。PC供給源33は、PC供給配管32を介してPCバーナ31に石油コークスを供給する。PC供給源33は、微粒化した石油コークスを空気搬送でPC供給配管32に供給する。例えば、石油コークスを貯留するバンクと、石油コークスを粉砕する粉砕機(ミル)と、を有し、バンクに貯留された石油コークスを粉砕機で粉砕して、微粒化した石油コークスを空気搬送でPC供給配管32に供給する。複数のPCバーナ31に石油コークスを供給してもよいし、PCバーナ31毎に別々に設けてもよい。
【0034】
風箱44は、油バーナ21及びPCバーナ31の装着位置に設けられている。風箱44は、燃焼用二次空気ノズル56、66、上部補助空気コンパートメント57及び下部補助空気コンパートメント58の火炉11の外側の端部と接続されている。風箱44は、空気ダクト29の一端部が連結されており、この空気ダクト29は、他端部に送風機30が装着されている。風箱44は、空気ダクト29から供給された空気が、燃焼用二次空気ノズル56、66、上部補助空気コンパートメント57及び下部補助空気コンパートメント58に流入する。
【0035】
上部空気ノズル46は、バーナユニット20の鉛直方向上側の端部に設けられている。本実施形態では、鉛直方向において一番上側に配置された油バーナ21の鉛直方向上側の位置に配置されている。下部空気ノズル48は、バーナユニット20の鉛直方向下側の端部に設けられている。本実施形態では、鉛直方向において一番下側に配置されたPCバーナ31の鉛直方向下側の位置に配置されている。上部空気ノズル46と下部空気ノズル48は、火炉11側の端部が、火炉11に露出し、火炉11の外側の端部が風箱44と接続されている。上部空気ノズル46と下部空気ノズル48は、風箱44から供給される空気を火炉11内に噴射する。
【0036】
バーナユニット20は、PC供給源33からPC供給配管32を通して、各PCバーナ31のPC燃料ノズル64に石油コークス及び一次空気が供給される。また、バーナユニット20は、空気ダクト29から排ガスと熱交換して加熱された燃焼用空気が風箱44を介して燃焼用二次空気ノズル66に燃焼用二次空気として供給され、かつ、上部補助空気コンパートメント57及び下部補助空気コンパートメント58に二次空気として供給される。PCバーナ31は、微粒化された石油コークスが一次空気とともに火炉11に噴射され、石油コークスと一次空気が噴射された空間の周囲に燃焼用二次空気を噴射することで、火炉11内で火炎を形成することができる。また、バーナユニット20は、風箱44を介して上部補助空気コンパートメント57及び下部補助空気コンパートメント58に追加空気を供給する。上部補助空気コンパートメント57及び下部補助空気コンパートメント58は、火炉11内に追加空気を噴射する。
【0037】
また、バーナユニット20は、各油バーナ21に、燃料油供給源23から燃料油供給配管22を通して燃料が供給されると共に、蒸気供給源26から蒸気供給配管25を通して蒸気が供給される。バーナユニット20は、空気ダクト29から排ガスと熱交換して加熱された燃焼用空気が風箱44に供給され、供給された燃焼用空気が燃焼用二次空気ノズル56に供給される。そのため、油バーナ21は燃料と蒸気を混合して微粒化した後、混合流体として火炉11内に噴射すると共に、燃焼用空気を火炉11内に噴射し、火炉11内で火炎を形成することができる。また、バーナユニット20は、上部空気ノズル46及び下部空気ノズル48からも風箱44から供給された加熱空気を火炉11内に追加空気として供給し、火炎を形成する燃料の燃焼を補助する。
【0038】
バーナユニット20は、燃料として石油コークスと液体燃料の両方を用いず、油バーナ21に液体燃料を供給し、PCバーナ31に石油コークスを供給せずに、油バーナ21から噴射する液体燃料のみで火炎を形成してもよい。また、バーナユニット20は、油バーナ21に液体燃料を供給せず、PCバーナ31に石油コークスを供給し、PCバーナ31から噴射する石油コークスのみで、火炎を形成してもよい。
【0039】
火炉11は、上部に煙道131が連結されており、この煙道131に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)132,133、再熱器134,135、節炭器(エコノマイザ)136,137,138が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0040】
従って、燃焼装置12から燃料と空気が火炉11内に供給され、火炉11内で燃料と空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道131に排出される。
【0041】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器136,137,138によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器132,133に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器132,133で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の途中で取り出した蒸気は、再熱器134,135に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0042】
次に、
図2から
図7を用いて突き座について説明する。
図5は、突き座の正面図で、風箱の火炉11の外側の面から見たものである。
図6は、
図5のA−A線断面図である。
図7は、突き棒の概略構成を示す斜視図である。本実施形態のバーナユニット20は、風箱44の背面28aつまり風箱の火炉11の外側の面に、突き座70、70a、70b、70cが設けられている。突き座70及び突き座70aは、油バーナ21を風箱44の背面28a側に伸ばした場合に囲われる領域に配置されている。本実施形態の突き座70は、点火トーチ60の近傍に配置されている。突き座70aは、上部補助空気コンパートメント57を伸ばした位置、つまり、油バーナガン54よりもPCバーナ31に近い位置に配置されている。突き座70及び突き座70aは、それぞれの油バーナ21に対応して配置されている。突き座70及び突き座70aは、油バーナ21を風箱44の背面28a側に伸ばした場合に囲われる領域に配置されている。本実施形態の突き座70は、点火トーチ60の近傍に配置されている。突き座70bは、上部空気ノズル46を、風箱44の背面28a側に伸ばした場合に囲われる領域に配置されている。突き座70cは、下部空気ノズル48を、風箱44の背面28a側に伸ばした場合に囲われる領域に配置されている。
【0043】
本実施形態のバーナユニット20の突き座70、70a、70b、70cの位置は、一例であり、必要に応じて設置する位置を変えることができる。バーナユニット20の突き座70、70a、70b、70cは、クリンカ(スラグ)を除去する必要がある種々の位置に設置することができる。
【0044】
突き座70、70a、70b、70cは、配置位置が異なるのみで同様の構造物であるので、代表して突き座70について説明する。突き座70は、バーナユニット20の火炉11側の面、具体的には、油バーナ21、PCバーナ31、上部空気ノズル46及び下部空気ノズル48の火炉11側の先端部に付着したスラグを除去する除去器具が挿入可能な構造物である。突き座70は、挿入部72と、蓋部74と、シールエア供給部76と、を有する。
【0045】
挿入部72は、案内管82を有する。案内管82は、風箱44及び燃焼用二次空気ノズル56に挿入されている。案内管82は、一部が風箱44から外側に出ており、風箱44の外側に出ている端部が開口84となる。案内管82は、他方の端部が燃焼用二次空気ノズル56の先端部51の部分に向けて開口するよう配置されている。案内管82は、他方の端部が、端部に向かって径が大きくなる漏斗形状となっている。案内管82の他方の端部の径が大きくなる漏斗形状であることで、後述する突き棒102の先端にあるかきとり部104の操作範囲が広くなり好ましい。案内管82は、管路で火炉11側の内部の空間と風箱44の外側の空間とが繋がった状態とする。
【0046】
蓋部74は、案内管82の開口84を開閉可能にする機構であればよく、例えば、蓋86と、回転軸88と固定機構89とを有する。蓋86は、開口84よりも大きい板状の部材であり、開口84を塞ぐ。回転軸88は、蓋86の一部を回転可能な状態で支持している。回転軸88は、蓋86が回転可能な状態の時に、蓋86の回転軸となる。固定機構89は、ボルトとねじ穴等、着脱可能な固定機構である。固定機構89は、蓋86が開口84を塞ぐ位置で、蓋86を固定する。回転軸88を設けることにより蓋86を外して別の場所に仮置きする必要が無く、蓋86が開口84を塞ぐ位置際には、重量物となる蓋86を容易に位置決めできるので好ましい。
【0047】
シールエア供給部76は、環路90とエアー供給源92と連結部94と、を有する。環路90は、リング上の管路であり、案内管82の風箱44から外側へと露出した部分の周囲に配置されている。環路90は、内周面が案内管82と一体となっている。環路90は、内周面に開口96が形成されている。環路90は、開口96で、環路90のリング状の空間と案内管82とが繋がっている。環路90は、案内管82の外周を覆っていればよく、円の環路、多角形となる環路等を用いることができる。開口96は、案内管82の壁面に垂直に設けられていなく、開口96の中心の軸線が環路90から案内管82に向かうにしたがって、火炉11に近づく方向に傾斜している。また、エアー供給源92は、シールエアを供給する空気源である。これによりエアー供給源92から供給されたシールエアは、案内管82の開口96から火炉11側へと押し込むようなシールエアの流れを発生させることで、開口84の蓋86を開放した際に、火炉11内の燃焼ガス及び風箱44内を流れる高温の空気が、開口84から外の空間へ漏出することを防止する。エアー供給源92は、火炉11の内部よりも高い圧力の空気を供給できればよく、例えば、ファンを用いることができる。エアー供給源92を送風機30と共通とし、空気ダクト29から供給される空気を供給してもよい。
【0048】
図7に示す突き棒102は、突き座70に挿入し、スラグの除去作業に用いる除去器具の一例である。突き棒(除去器具)102は、棒部103の一方の端部にかきとり部104が設けられ、他方の端部に操作部106が設けられている。棒部103は、風箱44の背面28aからバーナユニット20の各バーナ及びノズル(油バーナ21、PCバーナ31、上部空気ノズル46、下部空気ノズル48の先端までよりも長い棒である。また、棒部103は、開口84よりも径が小さい棒である。かきとり部104は、開口84よりも小さく、開口84を通過できる形状である。かきとり部104は、例えば、三角形の板であり、面積が最も広い面に棒部103が貫通している。かきとり部104は、三角形の板に限定されず種々の形状とすることができ、スラグに引っ掛って除去作業が容易になるよう鋭角部分があると好ましい。かきとり部104は、ノズルの先端、バーナの先端部に付着したスラグを付着している部分から取り外すことができればよい。操作部106は、作業員が突き棒102を持つ際に把持する部分である。操作部106は、作業員が手の指を挿入できるリング部や、手の形状に合わせた凹凸が形成されていることが好ましい。ボイラ10は運転中で火炉11の温度は高いままなので、スラグが硬化していない状態でスラグの除去作業ができるので、スラグの除去が容易になり好ましい。
【0049】
次に、
図8を用いて、スラグの除去方法について説明する。
図8は、スラグ除去方法の一例を示すフローチャートである。
図8の処理は、作業機械が自動で行っても、作業員が手動で行ってもよい。本実施形態では、作業員が処理を行う場合として説明する。
図8の処理は、ボイラ10の運転中に行うことができる。作業員は、スラグの除去が必要かを判定する(ステップS12)。本実施形態では、スラグの除去が必要かは、バーナユニット20の火炉11側の端部でのスラグの堆積状態に基づいて判定する。スラグの堆積状態は、火炉11内を撮影するカメラの画像、各種計測値(後述する圧力の差)及び運転時間と供給している燃料の性状の少なくとも1つに基づいて判定すればよい。作業員は、スラグの除去が必要ない(ステップS12でNo)と判定した場合、ステップS12に戻る。
【0050】
作業員は、スラグの除去が必要である(ステップS12でYes)と判定した場合、シールエアの供給を開始する(ステップS14)。具体的には、エアー供給源92から環路90へのシールエアの供給を開始する。シールエアの供給を開始することで、案内管82の内部には、開口84から火炉11に向けた空気の流れが形成されており、蓋86を開けも火炉11の燃焼ガスや風箱44内を流れる高温の空気が案内管82に流入し、開口84から外部へと排出されない状態となる。作業員は、シールエアの供給を開始したら、挿入部72を塞いでいる蓋86を開け(ステップS16)、挿入部72の開口84が見える状態にする。
【0051】
作業員は、蓋86を開けた後、除去器具を挿入し、スラグを除去する(ステップS18)。具体的には、除去器具として、本実施形態では突き棒102を挿入部72つまり開口84及び案内管82に挿入し、かきとり部104でバーナユニット20の火炉11側の先端に付着しているスラグを除去する。除去したスラグは、火炉11の内部の底部に落とす。
【0052】
作業員は、スラグを除去したら、除去器具を挿入部72から抜き取り(ステップS20)、蓋86を閉めて挿入部18を塞ぎ(ステップS22)、シールエアの供給を停止する(ステップS24)。
【0053】
本実施形態のボイラ10及びバーナユニット20は、突き座70を設けることで、ボイラ10の運転中においても、火炉11の温度は高いままなので、スラグが硬化していない状態でバーナユニット20の火炉11側の先端に付着したスラグを容易に除去することができる。ここで、石油コークスは、バナジウム分の割合が高く、灰融点を下げる成分を含むため、火炎が形成される領域の近傍にスラグが付着しやすい。本実施形態のボイラ10及びバーナユニット20は、このような石油コークスを燃焼させるPCバーナであっても、突き座70を設けることで、運転中もスラグを除去できるため、運転を継続しつつ、スラグを除去することができる。また、運転中にスラグを除去することができることで、スラグが燃料の供給や、空気の供給、点火の制御に障害となる影響を運転中に取り除くことができる。これにより、PCバーナを用いた場合でもスラグを除去して、運転効率が低下することを抑制しつつ、連続して運転することが可能となり、運転効率を高くすることができる。
【0054】
突き座70は、挿入部72に案内管82を設けることで、スラグの除去作業時に、突き棒102が風箱44や、周囲のノズルに接触することを抑制できる。また、突き棒102を案内管82で支持することができる。これにより、バーナユニットの意図しない位置の突き棒102による損傷を抑制でき、作業員の作業負荷を低減できる。突き座70は、案内管82の火炉11側の先端を先端に向かうにしたがって径が大きくなる漏斗形状とすることで、突き棒102のバーナの先端部付近での可動範囲を広くすることができ、作業性を向上させることができる。このように、突き座は、挿入部72に案内管82を設けることが好ましいが、案内管82を備えず開口84のみを設けてもよい。
【0055】
バーナユニット20は、突き座70を設けることで、点火トーチ60に付着したスラグを除去することができる。これにより、石油コークスの燃焼で生成されたスラグが、PCバーナ31の下にある油バーナ21の点火トーチ60に付着しても運転中に除去することができる。これにより、油バーナ21で失火が起きる恐れを低減できる。
【0056】
バーナユニット20は、PCバーナ31の鉛直方向下側に配置されたバーナのノズルに対応して配置された突き座70aを設けることで、石油コークスの燃焼で生成されたスラグが、PCバーナ31の下にある油バーナ21の空気を供給する通路、上部補助空気コンパートメント57を塞ぐことを抑制できる。これにより、油バーナ21の燃焼効率が低下すること、またボイラ10全体の空気バランスが崩れることを抑制できる。
【0057】
バーナユニット20は、突き座70cを設けることで、石油コークスの燃焼で生成されたスラグが付着し、下部空気ノズル48の空気を供給する通路を塞ぐことを抑制できる。バーナでの燃料の供給や、空気の供給、点火の制御に障害が出ることを防止することができる。これにより、ボイラ10全体の空気バランスが崩れることを抑制できる。また、バーナユニット20は、突き座70bを設けることで、温度が高い領域に配置され、石油コークスの燃焼で生成されたスラグが付着しやすい上部空気ノズル46を塞ぐことを抑制できる。これにより、ボイラ10全体の空気バランスが崩れることを抑制できる。
【0058】
また、突き座70は、シールエア供給部76でシールエアを供給することができる。これにより、火炉11内及び風箱44内を流れる高温の空気が案内管82を通過して開口84から外に排出されることを抑制できる。これにより、安全に作業を行うことができる。特に、本実施形態のように、油バーナ21とPCバーナ31の両方を備え、油バーナ21のみでの燃焼も可能なボイラ10では、火炉11の内部を正圧(大気圧よりも高い圧力)で運転するものもある。このように、火炉11の内部を正圧で運転するボイラ10であってもシールエア供給部76でシールエアを供給することで、蓋86を開けも火炉11の空気燃焼ガスや風箱44内を流れる高温の空気が開口84から外部へと排出されない状態となり、スラグ除去にあたり安全に作業を行うことができる。
【0059】
図9は、バーナユニットの他の例を示す概略構成図である。
図9に示すバーナユニット20aは、スラグの堆積状態を判定する機構を備えている以外、バーナユニット20と同様の構造である。以下バーナユニット20aに特有の点を説明する。バーナユニット20aは、バーナユニット20の各部に加え、複数の第1圧力検出部110と、複数の第2圧力検出部112と、第3圧力検出部114と、差圧検出部116と、判定部120と、を有する。
【0060】
複数の第1圧力検出部110と、複数の第2圧力検出部112と、第3圧力検出部114と、は、設置された位置の圧力を検出し、検出した値を判定部120に送る。第1圧力検出部110は、油バーナ21、PCバーナ31のそれぞれに配置されている。油バーナ21に設けられた第1圧力検出部110は、ダンパー59よりも空気流れ上流側、つまりダンパー59よりも風箱44側の燃焼用二次空気ノズル66に配置されている。PCバーナ31に設けられた第1圧力検出部110は、ダンパー69よりも空気流れ上流側、つまりダンパー69よりも風箱44側の燃焼用二次空気ノズル66に配置されている。第2圧力検出部112は、油バーナ21、PCバーナ31のそれぞれに配置されている。油バーナ21に設けられた第2圧力検出部112は、ダンパー59よりも空気流れ下流側、つまりダンパー59よりも火炉11側の燃焼用二次空気ノズル66に配置されている。PCバーナ31に設けられた第2圧力検出部112は、ダンパー69よりも空気流れ下流側、つまりダンパー69よりも火炉11側の燃焼用二次空気ノズル66に配置されている。第3圧力検出部114は、火炉11の内部に配置されている。差圧検出部116は、空気ダクト29の空気抵抗の前後の圧力の差を検出する。差圧検出部116は、差圧に基づいて空気ダクト29を介した空気の供給が行われているかを検出する。また、空気ダクト29からの空気供給は、差圧検出部116の下流側にて、別の風箱44へと分岐している場合もある。
【0061】
判定部120は、複数の第1圧力検出部110と、複数の第2圧力検出部112と、第3圧力検出部114と、差圧検出部116との検出結果に基づいて、油バーナ21またはPCバーナ31がスラグの影響を受けて、空気の流れに変化や障害が発生しているかを判定する。
【0062】
判定部120は、同じ油バーナ21または同じPCバーナ31に設けられた第1圧力検出部110と第2圧力検出部112との圧力の差に基づいて、ダンパー59、69の前後で生じる差圧(圧力差)を検出し、差圧が閾値(第1閾値)よりも小さい場合、スラグの影響で空気が流れにくくなっていると判定する。スラグによって先端の開口が塞がれている場合、空気が流れにくくなり、ダンパー前後の差圧が小さくなる。判定部120は、この関係に基づいて、第1圧力検出部110と第2圧力検出部112との圧力の差を検出することで、各バーナ単位での空気が流れにくくなっている状態か否かを判定する。
【0063】
判定部120は、第1圧力検出部110と第3圧力検出部114との圧力の差に基づいて、燃焼用二次空気ノズル56、66に流れる空気と火炉11内部の空気との差圧を検出し、差圧が閾値(第2閾値)よりも大きい場合、第1圧力検出部110が設置されたバーナユニット20aの油バーナ21およびPCバーナ31がスラグの影響で風箱44全体での空気が流れにくくなっていると判定する。スラグによって先端の開口が塞がれている場合、空気が流れにくくなり、風箱44側の空気の圧力が上昇する。判定部120は、この関係に基づいて、第1圧力検出部110と第3圧力検出部114との圧力の差に基づいて、バーナユニット20aの風箱44全体での空気が流れにくくなっている状態か否かを判定する。
【0064】
バーナユニット20aは、複数の第1圧力検出部110と、複数の第2圧力検出部112と、第3圧力検出部114とで検出した圧力に基づいて差圧を検出し、差圧に基づいて判定部120でスラグが堆積しているかを判定することで、スラグの除去が必要であるかを判定することができる。バーナユニット20aは、判定部120の判定結果に基づいて、上述した
図8のステップS12の判定処理を行うことで、バーナユニット20a及び火炉11に流れている空気の状態に基づいて、スラグの除去が必要であるかを判定することができる。これにより、スラグが空気の流れに与えている影響をより正確に判定してスラグの除去が必要であるかを判定することができる。スラグの堆積状態をより正確に把握できることで、運転効率が低下していることを正確に把握でき、運転効率が低下することを防ぎつつ、必要以上のスラグの除去作業の発生を抑制することができる。
【0065】
バーナユニット20aは、第1圧力検出部110と第2圧力検出部112との圧力の差に基づく、ダンパー59、69の前後で生じる差圧(圧力差)と閾値(第1閾値)を判定部120で比較する。第1閾値は例えば、定常時の1/10以下になると設定することで、各バーナ単位での燃焼用二次空気流量の流れが低下していると判断することができる。また、バーナユニット20aは、第1圧力検出部110と第3圧力検出部114との圧力の差に基づく、風箱44(燃焼用二次空気ノズル56、66)に流れる空気と火炉11内部との差圧と閾値(第2閾値)を判定部120で比較する。第2閾値は、例えば、定常時の5%以上に上昇時に計測している風箱44の二次空気流量に変化が生じていると見なし、10%以上に上昇した時には支障が生じていると判断することができる。さらに判定部120は、第1圧力検出部110と第2圧力検出部112の圧力差が第1閾値より小さくなり、かつ、第1圧力検出部110と第3圧力検出部114との圧力差が第2閾値より大きくなった場合に、スラグがより堆積していると判定することができる。
【0066】
バーナユニット20aは、判定部120の判定結果、具体的には、スラグが堆積したと判定したことを報知手段で作業者に通知することが好ましい。報知手段としては、画像を表示させるモニタ、音を発生させるスピーカ、光を出力するライト等を用いることができる。報知手段で作業者に通知することで、作業者は、スラグの除去が必要になったことを把握することができる。
【0067】
なお、バーナユニット20aは、上述したバーナユニット20の上部空気ノズル46と下部空気ノズル48を備えている場合、本実施径形態の第1圧力検出部110、第2圧力検出部112を上部空気ノズル46と下部空気ノズル48に設けてもよい。
【0068】
また、突き座は、シールエア供給部76の動作と、蓋部74の蓋86の固定機構89のロック機構と連動させ、インターロック機構としてもよい。具体的には、突き座は、シールエア供給部76の動作が検出できていない状態では、蓋部74の蓋86の固定機構89のロック機構を解除できない、つまり蓋を開けられない機構としてもよい。具体的には、シールエアの供給と停止を切り換える弁の開閉の状態を示す電気信号を蓋86のロック機構と接続し、開の状態を示す電気信号を検出した場合のみロック機構の解除が可能な機構を設ければよい。つまり、固定機構89は、シールエア供給部76からシールエアが供給されていることを検出した場合、蓋86を開けられる状態(作業者の操作により蓋86を開けることが可能な状態)とし、シールエア供給部76からシールエアが供給されていることが検出できない場合は、蓋86を開けられない状態(作業者が操作しても蓋86が開けられない状態)を維持する機構を設けてもよい。インターロック機能を設けることで、より安全に作業を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態のバーナユニットは、油バーナとPCバーナを備え、油(液体燃料)と石油コークスをそれぞれのバーナで燃焼させる組み合わせとしたがこれに限定されない。バーナユニットは、PCバーナのみを備えていればよい。具体的は、バーナユニットは、PCバーナのみを有していても、PCバーナと、石炭、バイオマス等の固形燃料を燃焼させるバーナとの両方を有していてもよい。