(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614929
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ビデオゲーム触覚技術
(51)【国際特許分類】
A63F 13/285 20140101AFI20191125BHJP
A63F 13/73 20140101ALI20191125BHJP
A63F 13/86 20140101ALI20191125BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
A63F13/285
A63F13/73
A63F13/86
G06F3/01 560
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-219493(P2015-219493)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2016-112403(P2016-112403A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2018年3月15日
(31)【優先権主張番号】14/567,174
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】リーン ウィリアム エス.
(72)【発明者】
【氏名】バーンバウム デイビット エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヘウベル ロバート ダブリュー.
【審査官】
佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−121610(JP,A)
【文献】
特開2014−160529(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0215024(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0274297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24、13/00 − 13/98
G06F 3/01、 3/048− 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータソフトウェアを使用することにより、第1の触覚出力装置を有する第1のユーザインターフェース装置である第1エンドポイントと相互作用するプレーヤーによるビデオゲームプレイを記録する方法であって、
ゲームプレイ中に前記第1エンドポイント上で生成される触覚効果の第1触覚トラックを記録する工程と、
前記ゲームプレイ中に生成される映像の映像トラックを記録する工程と、
前記映像トラックと共に前記第1触覚トラックを符号化して、再生トラックを生成する工程と、
前記再生トラックを第2エンドポイントに送信する工程であって、前記第2エンドポイントは、第2の触覚出力装置を有する第2のユーザインターフェース装置であり、前記第2の触覚出力装置は、前記第1の触覚出力装置とは異なる、工程と、
を含む方法。
【請求項2】
記録された前記第1触覚トラックは、前記第1の触覚出力装置の識別情報を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ゲームプレイ中に生成される音声の音声トラックを記録する工程と、
前記第1触覚トラック及び前記映像トラックと共に前記音声トラックを符号化して、前記再生トラックを生成する工程と、
を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ゲームプレイ中に前記プレーヤーによる前記第1エンドポイント上での入力作用の第2触覚トラックを記録する工程と、
前記第1触覚トラック及び前記映像トラックと共に前記第2触覚トラックを符号化して、前記再生トラックを生成する工程と、
を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1エンドポイントはゲームコントローラを有し、
前記入力作用は、ボタン、トリガー、バンパー、ジョイスティック、または方向指示パッドの内、少なくとも一つとの物理的な相互作用を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第2エンドポイントが前記第1エンドポイントと同じ前記触覚出力装置を含むか否かを判定する工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
符号化されたトラックを復号し、前記ゲームプレイトラックの視聴者への再生中に、前記第2エンドポイント上で前記第2の触覚出力装置を使用して前記第1触覚トラックを再生する工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
プロセッサにより実行される時に、前記プロセッサに対し、第1の触覚出力装置を有する第1のユーザインターフェース装置である第1エンドポイントと相互作用するプレーヤーによるビデオゲームプレイを記録させる命令の格納された、コンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記記録する工程は、
ゲームプレイ中に前記第1エンドポイント上で生成される触覚効果の第1触覚トラックを記録する工程と、
前記ゲームプレイ中に生成される映像の映像トラックを記録する工程と、
前記映像トラックと共に前記第1触覚トラックを符号化して、再生トラックを生成する工程と、
前記再生トラックを第2エンドポイントに送信する工程であって、前記第2エンドポイントは、第2の触覚出力装置を有する第2のユーザインターフェース装置であり、前記第2の触覚出力装置は、前記第1の触覚出力装置とは異なる、工程と、
を含む媒体。
【請求項9】
記録された前記第1触覚トラックは、前記第1の触覚出力装置の識別情報を有する、請求項8記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項10】
前記記録する工程は、
前記ゲームプレイ中に生成される音声の音声トラックを記録する工程と、
前記第1触覚トラック及び前記映像トラックと共に前記音声トラックを符号化して、前記再生トラックを生成する工程と、
を更に含む、請求項8記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項11】
前記記録する工程は、
前記ゲームプレイ中に前記プレーヤーによる前記第1エンドポイント上での入力作用の第2触覚トラックを記録する工程と、
前記第1触覚トラック及び前記映像トラックと共に前記第2触覚トラックを符号化して、前記再生トラックを生成する工程と、
を更に含む、請求項8記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項12】
前記第1エンドポイントはゲームコントローラを有し、
前記入力作用は、ボタン、トリガー、バンパー、ジョイスティック、または方向指示パッドの内、少なくとも一つとの物理的な相互作用を含む、請求項11記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
前記記録する工程は、前記第2エンドポイントが前記第1エンドポイントと同じ前記触覚出力装置を含むか否かを判定する工程を更に含む、請求項8記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項14】
前記記録する工程は、符号化されたトラックを復号し、前記ゲームプレイトラックの視聴者への再生中に、前記第2エンドポイント上で前記第2の触覚出力装置を使用して前記第1触覚トラックを再生する工程を更に含む、請求項8記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
プロセッサと、
前記プロセッサに接続され、ビデオゲームプレイを記録するために前記プロセッサにより実行される命令を格納するストレージデバイスと、
前記プロセッサに接続され、第1の触覚出力装置を備えるゲームコントローラと、を有し、
前記ビデオゲームプレイを記録することは、
ゲームプレイ中に前記ゲームコントローラ上で生成される触覚効果の第1触覚トラックを記録することと、
前記ゲームプレイ中に生成される映像の映像トラックを記録することと、
前記映像トラックと共に前記第1触覚トラックを符号化して、再生トラックを生成することと、
前記再生トラックを第2エンドポイントに送信することであって、前記第2エンドポイントは、第2の触覚出力装置を有する第2のユーザインターフェース装置であり、前記第2の触覚出力装置は、前記第1の触覚出力装置とは異なる、ことと、
を含むビデオゲームシステム。
【請求項16】
記録された前記第1触覚トラックは、前記第1の触覚出力装置の識別情報を有する、請求項15記載のビデオゲームシステム。
【請求項17】
前記記録することは、
前記ゲームプレイ中に生成される音声の音声トラックを記録することと、
前記第1触覚トラック及び前記映像トラックと共に前記音声トラックを符号化して、再生トラックを生成することと、
を更に含む、請求項15記載のビデオゲームシステム。
【請求項18】
前記記録することは、
前記ゲームプレイ中にプレーヤーが行う前記ゲームコントローラ上での入力作用の第2触覚トラックを記録することと、
前記第1触覚トラック及び前記映像トラックと共に前記第2触覚トラックを符号化して、再生トラックを生成することと、
を更に含む、請求項15記載のビデオゲームシステム。
【請求項19】
前記入力作用は、ボタン、トリガー、バンパー、ジョイスティック、または方向指示パッドの内、少なくとも一つとの物理的な相互作用を含む、請求項18記載のビデオゲームシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、符号化されたトラックを復号し、前記ゲームプレイトラックの視聴者への再生中に、前記第2ゲームコントローラ上で前記第2の触覚出力装置を使用して前記第1触覚トラックを再生することを更に含む、請求項18記載のビデオゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は、概して、触覚(ハプティック)効果を対象とし、特に、ビデオゲームのための触覚効果を対象とする。
【背景技術】
【0002】
多くのビデオゲームプレーヤーは、ゲームによる成果や体験を、映像形式で、他の者と追体験したり共有したりすることを望んでいる。例えば、ゲームプレイ映像を組み入れた作品に加えて、スキルの印象的な描写又は興味深いグリッチ(glitches)を強調するオンライン映像サービスにて利用可能なゲームプレイ映像の多くのビデオが存在する。その様な映像を入手するに際して最も簡単に利用可能な方法は、プレーヤーが、ビデオカメラを用いてテレビからの画像を記録することであるが、この方法はキャプチャ品質の問題や周囲のノイズを記録したりすることから大きな害を被り得る処理である。スクリーンキャプチャソフトウェアは、ゲームの音声及び動画像を保存するために使用することもできる。
【0003】
しかしながら、最近公表されたビデオゲーム機では、記録された再生映像を他のユーザと共有する機能を有する、再生記録及びプレイバック用の装置が追加されている。例えば、ソニー株式会社製の“プレイステーション PS4”システムでは、ユーザが、ユーザのゲームプレイをオンラインでブロードキャスト/ストリーミングするだけでなく、ゲームでのアクションの画面または映像をオンラインでアップロード及び共有することができる。例えば、“Twitch”の様なオンラインのプラットフォームでは、記録されたまたはストリーミングしている多くのゲームプレイ映像を一元的に管理すると共に、料金を支払った視聴者に対して、ビデオゲーム参加者同士が対戦するゲームプレイを、生でストリーム配信することさえ行われている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態は、例えば、ゲームコントローラの様なエンドポイントと相互作用するプレーヤーによるビデオゲームプレイを記録するビデオゲームシステムである。この記録の工程は、ゲームプレイ中に上記エンドポイント上で生成される触覚効果の触覚トラックを記録する工程と、上記ゲームプレイ中に生成される映像の映像トラックを記録する工程とを含む。上記記録の工程は、上記映像トラックと共に上記触覚トラックを符号化する工程を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態を実行することができるシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、ビデオゲームのプレイ中に触覚入力をキャプチャし、該キャプチャされた触覚入力を再生する際における、
図1のシステムの機能を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、事前に符号化された再生用触覚トラックを復号する際における、
図1のシステムの機能を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一実施形態は、ビデオゲームのプレイ中に生成される触覚効果をキャプチャし、その後、ストリーミングによるゲームプレイ中に“生”で、または、暫く経った後で、ビデオゲームプレイの視聴中に上記触覚効果を再生する。更に、別の実施形態は、ビデオゲームプレイ中のプレーヤーによるジェスチャ及びユーザ入力をキャプチャすると共に、生のまたは暫く経った後のビデオゲームプレイ視聴中に、触覚効果の形式で、上記ジェスチャ及びユーザ入力を再生する。これにより、視聴者は、再生中に、プレーヤーまたは“ゲーマー”がゲームプレイ中に感じた触覚効果を体験することができる。加えて/あるいは、視聴者は、“ゲーマー”がゲームプレイ中に行った入力及びジェスチャを“感じる”ことができる。上記触覚効果は、効果が最初に生成された、または、異なる種類のエンドポイント(エンドポイント)上での再生のために上記効果が変換されたのと同じエンドポイント(エンドポイント)/周辺機器(例えば、ゲームコントローラ)において、再生可能である。
【0007】
図1は、本発明の実施形態を実行することができるシステム10のブロック図である。システム10は、有線または無線により確立可能な通信リンクを介してエンドポイント80に接続されたサーバ70を有する。エンドポイント80は、
図1に示す様に、ビデオゲームコントローラであってもよいし、または、ビデオゲームと共に触覚効果を生成することができる如何なるタイプの装置であってもよい。サーバ70は、本明細書に開示された機能を実現する如何なる処理装置であってもよい。
【0008】
システム10は、情報通信を行うためのバス12または他の通信機構、及び情報処理を行うための、バス12に接続されたプロセッサ/コントローラ22を有する。プロセッサ22は、汎用または特定用途の如何なるタイプのプロセッサであってもよい。システム10は、情報及びプロセッサ22による実行の対象となる命令を格納するためのメモリ14を更に有する。メモリ14は、ランダムアクセスメモリ(“RAM:Random Access Memory”)、リードオンリメモリ(“ROM:Read Only Memory”)、例えば、磁気または光ディスクの様な静的記憶装置、あるいは、幾つかの他のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体の、如何なる組み合わせからも構成することができる。
【0009】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、プロセッサ22によりアクセス可能な如何なる媒体をも利用可能であり、揮発性媒体及び不揮発性媒体の双方、着脱式媒体及び非着脱式媒体の双方、通信媒体及び記憶媒体を含むことができる。通信媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または、例えば、搬送波若しくは他の転送機構の様な、変調されたデータ信号内の他のデータを含んでもよく、当技術分野において周知である他の如何なる形態の情報提供媒体を含むものとしてもよい。記憶媒体は、RAM、フラッシュメモリ、ROM、“EPROM:Erasable Programmable Read−Only Memory”、“EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory”、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル(着脱式)ディスク、“CD−ROM:Compact Disk Read−Only Memory”、または、当技術分野において周知である他の如何なる形態の記憶媒体を含むものとしてもよい。
【0010】
一つの実施形態では、メモリ14は、プロセッサ22により実行された時に機能を提供するソフトウェアモジュールを格納する。このモジュールは、システム10のためにオペレーティングシステム(OS:Operating System)の機能を提供するオペレーティングシステム15を有する。より詳細については後述するが、このモジュールは、ビデオゲームと連携して触覚効果を記録及び/または再生するゲームプレイ触覚記録/再生モジュール16を更に有する。システム10は、主として、例えば、Immersion社の提供するHaptic Studio(登録商標)ソフトウェアまたはビデオゲーム関連ソフトウェアの様な、一または複数の追加アプリケーションモジュール18を有し、追加機能を提供するであろう。
【0011】
システム10は、例えば、ネットワークインタフェースカードの様な通信装置20を更に有し、例えば、赤外線、無線通信、Wi−Fi、またはセルラーネットワーク通信の様な移動無線ネットワーク通信を提供する。他の実施形態では、通信装置20は、例えば、イーサネット(登録商標)接続またはモデムの様な有線ネットワーク接続を提供する。通信装置20は、エンドポイント80がサーバ70との間で通信可能な様に接続されることを可能とすると共に、サーバ70を、例えば、インターネット90の様な外部ネットワークと通信可能な様に接続する。
【0012】
一つの実施形態では、エンドポイント80は、例えば、ボタン、バンパー、ジョイスティック、トリガー、方向指示パッド、運転用ハンドル等の周知のユーザインタフェース装置を有するゲームコントローラである。エンドポイント80は、一または複数の駆動回路86に接続された一または複数の触覚出力装置88を有する。エンドポイント80は、ビデオゲームのプレーヤーが、例えば、ボタンを押す、トリガーを引く等の動作によりエンドポイント80と接触した時にジェスチャを感じるジェスチャセンサ81を更に有する。
【0013】
触覚出力装置88は、触覚効果を生成する如何なるタイプの装置であってもよい。一つの実施形態では、触覚出力装置88は、振動を生じさせるタイプの触覚効果を生成するアクチュエータである。かかる目的で使用されるアクチュエータは、例えば、偏心質量がモータにより変動する“ERM:Eccentric Rotating Mass”、バネに付与される質量が往復駆動する“LRA:Linear Resonant Actuator”、または、例えば、圧電性物質、電気活性高分子、若しくは形状記憶合金の様な“スマート材料”の様な、電磁アクチュエータを含むものとしてもよい。また、触覚出力装置88は、例えば、静電摩擦(“ESF:ElectroStatic Friction”)装置、または、超音波表面摩擦(“USF:Ultrasonic Surface Friction”)装置、または、超音波触覚振動子を用いて音響放射圧を誘起する装置の様な装置であってもよい。他の装置は、触覚回路基板及び柔軟性または可変性を有する表面部材を用いることができ、また、例えば、エアジェット等を用いた空気の吹き付けの様な発射型の触覚出力を提供することもできる。
【0014】
更に、触覚出力装置88は、エンドポイント80と同一または類似のエンドポイント上で、プレーヤーの物理的相互作用を模倣するために、エンドポイント80のユーザインタフェースを、“動かす”またはその他の方法で触覚効果を生じさせる、如何なるタイプの装置であってもよい。例えば、プレーヤーがエンドポイント80であるゲームコントローラ上のボタンを押すと、同じタイプまたは類似のゲームコントローラの形態を有するエンドポイント80は、例えばモータの様な触覚出力装置88を用いて、エンドポイント80のボタンも同様に押し下げるであろう。
【0015】
上述した様に、エンドポイント80は、ゲームコントローラ、または、如何なるタイプの周辺機器、ハンドヘルドデバイス若しくはモバイルデバイス(例えば、携帯電話、“PDA:Personal Digital Assistant”、スマートフォン、コンピュータタブレット、ゲーム機等)であってもよく、あるいは、ユーザインタフェースを提供すると共に、一または複数の触覚出力装置を有する触覚効果システムを有する他の如何なるタイプの装置であってもよい。上記ユーザインタフェースは、ボタン、ジョイスティック等に加えて、タッチセンサ式の表面部材であってもよく、または、エンドポイント80は、上記“ユーザインタフェース”が装置自体の柔軟性/屈曲性のある部分である場合において、物理的に操作された時に触覚効果を生成する柔軟性/屈曲性のある装置であってもよい。
【0016】
プロセッサ22は、制御信号を駆動回路86に出力する。ここで、この駆動回路86は、触覚出力装置88に対して所要の電流及び電圧(すなわち、“動力信号”)を供給して所望の触覚効果を生じさせるために使用される電子部品及び電気回路を有する。
【0017】
図1では、分離したシステムとして図示されているが、エンドポイント80及びサーバ70は、物理的に単体のシステムに統合されるものとしてもよく、または、
図1に示される如何なる機能も、エンドポイント80から分離される、若しくは、エンドポイント80内に含まれるものとしてもよい。
【0018】
ゲームプレイ中に触覚効果を生成するビデオゲームでは、例えば振動等の様々な触覚効果が、主として、ゲームコントローラ上で生成されるであろう。一つの実施形態では、これらの触覚効果、すなわち、ビデオゲームプレーヤーまたは“ゲーマー”の“感じる”触覚効果を、ゲームプレイ映像内で再生可能な様に、記録する。従って、ゲームプレイ映像の“視聴者”は、類似のゲームコントローラを保持している間、ゲーマーの感じている触覚効果を感じることができる。別の実施形態では、ゲームプレイ映像内で再生可能な様に、ゲームプレイ中に、プレーヤーによる入力(すなわち、プレーヤーによる、例えばボタン押下操作等のゲームコントローラとの相互作用)を、記録する。
【0019】
更に、記録された触覚効果は、ビデオゲームのプレイ中に再生することができる。一つの実施形態では、かかる再生処理により、視聴者は、プレーヤーが使用したエンドポイントと同一のまたは異なるエンドポイントを保持している間中、上記プレーヤーが感じたのと同じ触覚効果を感じることができる。従って、触覚効果を実行したビデオゲームは、視聴期間中に視聴者が持つ適切な周辺機器に適応している間、視聴者による視聴に対して、上記触覚効果を正確に反映させ/キャプチャすることができる。
【0020】
別の実施形態では、上記再生処理により、視聴者は、プレーヤーが感じることではなく、プレーヤーがすることを感じる様に、ゲームプレイ中のプレーヤーによるエンドポイントとの相互作用を感じることができる。このことは、指導/学習のために有用となり得る。
【0021】
図2は、実施形態に従い、ビデオゲームのプレイ中に触覚入力をキャプチャし、該キャプチャされた触覚入力を再生する際における、
図1のシステム10の機能を示すフローチャートである。一つの実施形態では、
図2(及び後述の
図3)のフローチャートに示す機能を、メモリ内または他のコンピュータ読み取り可能な若しくは有形の媒体内に記憶され、プロセッサにより実行されるソフトウェアにより遂行する。他の実施形態では、上記機能は、(例えば、“ASIC:Application Specific Integrated Circuit”、“PGA:Programmable Gate Array”、“FPGA:Field Programmable Gate Array”等を用いて)ハードウェアにより、または、ハードウェア及びソフトウェアの幾つかの組み合わせにより、実行されるものとしてもよい。
図2及び
図3に示す機能は、
図1に示した同一のシステム10により実行することもできるし、または、
図1に示した異なるシステム10(例えば、触覚効果の記録についてはあるシステム10が行い、上記触覚効果の再生については異なるシステム10が行う等)により実行することもできる。
【0022】
201では、ゲームプレイの触覚効果のキャプチャを開始する。該ゲームプレイの触覚効果のキャプチャの開始は、音声/映像のゲームプレイキャプチャと同時にかつ重なって発生し得る。上記開始の処理は、プレーヤーからの入力に応じて始動することができ、例えば、全てのゲームプレイ中、または、ローリングウィンドウ中(例えば、ゲームプレイの前の5分間は常に記録され利用可能となる)、または、如何なる周知の開始方法を用いても、ゲームプレイが発生する時には必ず、自動的に開始することができる。一つの実施形態では、上記開始は、例えば、プレーヤーが“殺される”時等、ゲームプレイにおける重大な出来事の最中に自動的に発生する。
【0023】
202では、一つの実施形態では、プレーヤーの感じる触覚効果を記録する。例えば、
図1のゲームコントローラ80の様な、複数のタイプの触覚出力装置88を複数の位置に有するゲームコントローラでは、記録された触覚効果は、出力装置により生成された触覚効果に加えて、各触覚出力装置の識別情報/位置情報を含むであろう。記録された触覚効果は、外部プロセッサ若しくはゲーム機(例えば、ゲーム機70)の様な装置から受信される触覚コマンドに基づき、コントローラ内に記録することができ、または、記録された触覚効果は、コンテンツ若しくはゲームにより生成される触覚コマンドに基づき、コンソール内に記録することもできる。
【0024】
上記触覚効果は、触覚パラメータを含む触覚効果信号として記録可能である。一般的には、特定の触覚効果を定義付ける高水準のパラメータは、大きさ、頻度及び継続時間を含む。また、ストリーミング動力コマンドの様な低水準のパラメータは、特定の触覚効果を決定するために用いることができるであろう。触覚効果は、該触覚効果が生成される時に上述のパラメータの幾つかに変化があった場合、または、ユーザの相互作用に基づいて上述のパラメータに変化があった場合には、“動的(ダイナミック)”であるとみなされるものとしてもよい。方向性は、例えば、トリガーが押し出されたか否かまたは引き込まれたか否か等の様に、別のパラメータであってもよい。他のパラメータは、例えば、立ち上がり及び減衰の長さ/割合の様な、上記触覚効果の包絡線(エンベロープ)に関するものであってもよい。
【0025】
203では、別の実施形態において、または、202の触覚トラックから分離した触覚トラックとして、記録されている上記触覚効果は、プレーヤーによる入力の作用に基づくものである。ジェスチャセンサ81は、例えば、ボタンを押す、トリガーを引く、ゲームパッドに圧力を掛ける、コントローラを動かすまたは方向付けを行う等の、プレーヤーによるエンドポイント80との相互作用を感知する。この感知は、作用の力、作用の頻度/タイミング等を含むものとしてもよい。感知データを、別のエンドポイント80上でのプレーヤーの相互作用を再生中にシミュレートするであろう、対応する触覚効果に変換する。
【0026】
202または203の何れかにおける記録処理(あるいは、他の実施形態では、双方のタイプの記録処理を実行可能である)の後に、204において、記録された触覚効果を、触覚出力装置及び/または202及び203にて分離したトラック毎に、触覚トラックの形式で、符号化/結合する。一つの実施形態では、再生エンドポイントにおける各触覚出力装置毎に、分離した触覚効果トラックを生成するであろう。この触覚効果トラックは、再生用に使用されるであろう将来の触覚出力装置の種類/属性(プロパティ)に応じて、変化し得る。幾つかの実施形態では、例えば、同一のゲームコントローラを使用する場合等には、再生エンドポイント上の触覚出力装置は、記録エンドポイント上の対応する触覚出力装置と同一であるであろう。他の実施形態において、異なるエンドポイントを使用する場合には、上記触覚出力装置の数/種類/位置等は、二つのエンドポイント間で異なっていてもよい。
【0027】
例えば、ボタンを押すまたはトリガーを引くゲームプレーヤーを記録することにより、ボタン/トリガーを引き込んで押し出すであろう視聴者のコントローラ用に生成される触覚効果を生成し、触覚効果としての入力を提供することができる。ボタンが、十分な力、速度、または、最大到達距離で押下された場合には、その後、上記触覚効果は、視聴者に対し、引くことと押すことの双方を提供するものとしてもよい。しかしながら、トリガー/ボタンが軽く引かれまたは押された場合には、一つの方向にのみ効果を生じることにより、ボタン/トリガーに加えられた力を更に上記視聴者に示すものとしてもよい
【0028】
204と関連して、205では、ゲームプレイのプレーヤーは、完成に先立つ“生成後の編集”段階において、キャプチャされた如何なる触覚効果をも変更/除去すること、または、新たな触覚効果を挿入することが可能である。プレーヤーが追加して利用可能な効果は、ゲームの前後関係を考慮して、キャプチャされた効果、ジャンル/ゲームの種類、解除された実績/アワード、及び記録されたゲームでの動きに基づくものであってもよい。例えば、交戦地帯を駆けるポニーを追加するというオプションは、ゲームの状況に合わないことから、おそらくあり得ないであろう。
【0029】
206では、一または複数の触覚トラックを、周知の符号化方式を用いて、音声/映像トラックと共に符号化する。その結果、触覚トラックのタイミングは、音声/映像トラックと同期するであろう。
【0030】
207では、触覚/音声/映像のトラックを含むであろうゲームプレイの再生のために、触覚を使用可能な再生装置における記録されたトラックとの互換性を確認する。再生装置が記録装置と同じ装置である場合には、100%の互換性が実現される。しかしながら、他の状況においては、再生装置が、記録装置とは相違することもあるであろう。かかる相違には、上記触覚出力装置の数/種類/位置等も含まれ得る。装置の種類の相違には、(例えば、調整パラメータに関連して、)アクチュエータが複数方向若しくは多重周波数に対応可能であるか否か、または、アクチュエータが装置内の何処に搭載可能であるかも含まれ得る。
【0031】
208では、207と関連して、再生装置が、記録装置内に有るよりも少ない数のアクチュエータ若しくは異なるアクチュエータを有するか否か、または、そうでなければ、最初に記録されたトラック内で参照されるよりも少ない数のアクチュエータ若しくは異なるアクチュエータを有するか否かを判定する。
【0032】
208においてYESの場合、
図3を用いてより詳細に開示する様に、再生中に、上記触覚トラックのミックスダウンを復号する。
【0033】
208においてNOの場合、
図3を用いてより詳細に開示する様に、再生中に、適切な触覚トラックを復号する。
【0034】
図2は、ゲームプレイと共に触覚効果を“自動的に”記録する態様を示すが、他の実施形態では、触覚オーサリングツールを用いて、手動で触覚効果を追加することができる。ゲームは、キャプチャされたゲームプレイに追加可能な触覚効果を伴った、プリセットのバッジ、ステッカ、顔文字、アイコン、アニメーション等を有するものとしてもよい。あるいは、上述した様に、これらを文脈に当てはめるものとしてもよい。加えて、ゲームは、プレーヤーが、隔離された環境において特定のゲーム機能を実行し、生成後の編集機能において追加するための音声、映像または触覚効果をキャプチャすることを可能とするものとしてもよい。
【0035】
図3は、実施形態に従い、事前に符号化された再生用触覚トラックを復号する際における、
図1のシステム10の機能を示すフローチャートである。
【0036】
301では、符号化された触覚トラックを受信する。
図2を用いて説明した様に、触覚トラックが符号化されたものとしてもよい。
【0037】
302では、上記触覚効果を生成したアクチュエータまたは触覚出力装置を特定する。プレーヤーが触覚効果を感じる実施形態では、各触覚出力装置の種類/位置等を特定する。プレーヤーからの入力が記録される実施形態では、該プレーヤーからの入力を受信したインタフェースの種類/位置等(例えば、左のボタン、右のトリガー等)を記録するであろう。
【0038】
303では、上記再生装置のアクチュエータまたは触覚出力装置の種類/位置等を特定する。
【0039】
304では、上記触覚出力装置が同一の装置であるか否かを判定する。殆どの状況では、これらの触覚出力装置は、上記再生装置及び記録装置が、例えば、同じ種類のゲームコントローラ等、同じ種類の装置である場合に限り、304において同一であると判定されるであろう。
【0040】
304においてYESの場合、305では、触覚トラックを復号すると共に、ゲームプレイ映像中のソース音声/映像トラックと共に、ソース触覚トラックを再生する。
【0041】
304においてNOの場合、306では、触覚出力装置の数/種類/位置の観点から、上記再生装置の機能を判定する。
【0042】
307では、306で判定された機能を担うために、触覚トラックを変調する。触覚トラックの変調処理は、多くの方法により実行することができる。一つの実施形態では、周波数に基づくことが可能である。例えば、ソース触覚効果が、再生アクチュエータに近い動作周波数を有するアクチュエータ上で生成された場合、その信号は、上記再生アクチュエータがソースとは大きく異なる動作周波数を有する場合と比較して、殆ど変更されないものとしてもよい。更に、多重周波数に対応したアクチュエータのために設計されたトラックは、(ソース材料と同質のアクチュエータを用いることなく、)マルチアクチュエータ装置において適切な周波数に対応可能なアクチュエータに向けて分離及び割当てがされる効果を有するものとしてもよい。
【0043】
また、上記効果は、アクチュエータの応答時間によって変調されるものとしてもよい。例えば、トリガーのアクチュエータは、高速な応答時間を有するものとしてもよく、また、LRA(Linear Resonant Actuator)に直接的に変換されるものとしてもよい。しかしながら、トリガーの効果信号は、所定の低ERM(Eccentric Rotating Mass)アクチュエータにおいて、周期的に隙間を有する効果から隙間のない信号の効果へ、及びその逆方向へ、変更される必要があるであろう。
【0044】
308では、ソース触覚トラックを復号する。
【0045】
309では、新たなトラックを描画して再生する。
【0046】
一つの実施形態では、上記触覚トラックは、時系列表(タイムライン)、及び、触覚効果がその時点で生成されるべきではないか、または、生成されるべきであるかを示す時系列表上の様々な点における“null”信号若しくは触覚信号を有する。別の実施形態では、上記触覚トラックは、事前に記憶された触覚効果信号または現時点の触覚効果信号の識別情報により示される、特定の触覚効果を再生するための特定の時間を指定する。
【0047】
開示の様に、実施形態は、ビデオゲームプレイの音声/映像トラックと結合される触覚トラックを記録する。一つの実施形態では、ユーザは、触覚を有さないゲームプレイ映像を記録する。その後、該ユーザは、触覚オーサリングツールを用いて、上記映像に対し、触覚効果を追加することができる。
【0048】
別の実施形態では、ユーザは、ゲームにより生成される触覚効果に基づいて触覚トラックも記録するゲームプレイ映像を記録する。この触覚トラックは、(もし、視聴者が同一の周辺機器を保持していた場合には)同一の触覚を感じさせるであろうし、あるいは、他のアクチュエータのために簡易化されるものとしてもよい。
【0049】
別の実施形態では、ユーザは、ゲームプレイ映像を記録し、触覚トラックは、プレーヤーのゲームプレイ中に、ユーザからの入力に基づいて生成される。プレーヤーが、触覚効果を使用可能な同一の周辺機器を用いる場合、視聴者は、ゲームのプレイ中にプレーヤーが押したボタンを感じるであろう。あるいは、上記触覚効果は、異なるアクチュエータのために変更することができる。
【0050】
別の実施形態では、ユーザは、生中継されているビデオゲームトーナメントにてプレイしている。視聴者は、(視聴者が彼らのカメラを誰に対してロックするかにもよるが、)触覚効果を有効化することにより、プレーヤーによる押下操作をリアルタイムで感じることができる。
【0051】
別の実施形態では、ユーザは、生中継されているビデオゲームをプレイしている。視聴者は、同一の周辺機器、または別のアクチュエータのために簡易化されたトラックを使用している時、プレーヤーと同じ効果を感じることができる。
【0052】
別の実施形態では、(ゲームプレイ及びプレーヤー入力の双方からの)効果の局所的なストリーミングを提供する。例えば、ゲームの観察者により特定の場所において保持されるゲームコントローラの様な、他のゲームコントローラは、ゲームのプレーヤーが感じるのと同じ触覚効果を感じさせることができる。
【0053】
開示の様に、実施形態は、ゲームプレイ中に生成される触覚効果、またはゲームプレイ中に加えられるプレーヤー入力の記録を可能とする。その結果として、上記ゲームプレイの再生中に、若しくは上記ゲームプレイ中に“生”で、視聴者は、プレーヤーが感じるのと同じ触覚効果を感じることができる、または、プレーヤーにより加えられる入力を感じることができる。
【0054】
幾つかの実施形態を、明細書において詳細に図示及び/または記載している。しかしながら、当然ではあるが、開示された実施形態の改良態様及び変形態様についても、本発明の主旨及び意図された範囲を逸脱しない限りにおいて、上述した教示内容に基づき、添付の請求の範囲内に包含されるであろう。