(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の入隅部を構成する第一外壁と第二外壁のうち、前記第一外壁の前記入隅部近傍に形成された開口部に設けられ、かつ前記第一外壁の表面よりも突出する建具と、前記第二外壁と、の間に形成される隙間に対して差し込まれ、
前記隙間に差し込まれるとともに前記第二外壁に固定される差込本体と、
前記差込本体に保持されて前記差込本体と共に前記隙間に差し込まれる不燃材と、
前記隙間内において前記差込本体と前記建具との間に設けられる、シーリング材充填用の下地となる第一バックアップ材と、を備えることを特徴とする入隅カバー部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、サッシ等が入隅部を構成する他方の外壁に接近して設けられると、サッシ等と他方の外壁との間の隙間が狭くなり、この隙間における耐火や止水に係る処理が行いにくい場合がある。
しかしながら、隙間における耐火や止水に係る処理を行いやすくするために、窓や出入口等の位置を入隅部から離してしまうと、離した分だけ、入隅部を構成する一方の外壁の有効面積が狭くなり、外観や内部設計に影響が出ることになる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、窓や出入口が入隅部に寄せて設けられた場合であっても、サッシ等と外壁との間の隙間における耐火や止水に係る処理を容易かつ確実に行えるようにするための入隅カバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、入隅カバー部材10,20であり、例えば
図1〜
図7に示すように、建物の入隅部1を構成する第一外壁2と第二外壁3のうち、前記第一外壁2の前記入隅部1近傍に形成された開口部5に設けられ、かつ前記第一外壁2の表面よりも突出する建具6と、前記第二外壁3と、の間に形成される隙間S1に対して差し込まれ、
前記隙間S1に差し込まれるとともに前記第二外壁3に固定される差込本体11,21と、
前記差込本体11,21に保持されて前記差込本体11,21と共に前記隙間S1に差し込まれる不燃材14,24と、
前記隙間S1内において前記差込本体11,21と前記建具6との間に設けられる、シーリング材15a,25a充填用の下地となる第一バックアップ材15,25と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、不燃材14,24が、差込本体11,21に保持されて差込本体11,21と共に隙間S1に差し込まれるので、不燃材14,24を隙間S1内に設けることができる。また、隙間S1に差し込まれた差込本体11,21は第二外壁3に固定されるので、この差込本体11,21によって不燃材14,24を隙間S1内に差し込んだ状態で支持することができる。その結果、隙間S1における耐火性を向上させることができる。
また、シーリング材15a,25a充填用の下地となる第一バックアップ材15,25が、隙間S1内において差込本体11,21と建具6との間に設けられるので、第一バックアップ材15,25を下地としてシーリング材15a,25aを充填すれば、差込本体11,21と建具6との間の止水性を向上させることができる。
これによって、建具6が入隅部1に寄せて設けられ、第二外壁3と建具6との間の隙間S1が狭い場合であっても、この隙間S1における耐火や止水に係る処理を容易かつ確実に行うことができる。そして、このように入隅カバー部材10,20が隙間S1に設けられることによって、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火・止水のラインを途切れることなく繋げることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1,
図2,
図5に示すように、請求項1に記載の入隅カバー部材10,20において、
前記差込本体11,21は、
前記第二外壁3に固定される下地部12,22と、
前記下地部12,22の表面に重なり合うようにして設けられる表面側部13,23と、を有しており、
前記下地部12,22と前記表面側部13,23との間に前記不燃材14,24が挟み込まれて保持されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第二外壁3に固定される下地部12,22と、下地部12と重なり合うようにして設けられる表面側部13,23との間に不燃材14,24が挟み込まれて保持されているので、不燃材14,24を隙間S1内に差し込んだ状態で確実に支持することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項2に記載の入隅カバー部材10において、
前記下地部12は前記第二外壁3側に位置し、
前記表面側部13は前記建具6側に位置し、
前記表面側部13は前記下地部12と重なり合う箇所(固定板部13a)を備え、当該重なり合う箇所は前記下地部12と共に前記第二外壁3に固定されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、表面側部13は下地部12と重なり合う箇所(固定板部13a)を備え、当該重なり合う箇所は下地部12と共に第二外壁3に固定されるので、下地部12と表面側部13とを同時に第二外壁3に固定することができ、作業効率が良い。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項3に記載の入隅カバー部材10において、
前記差込本体11の、前記隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、前記建具6における前記第一外壁2の表面からの突出寸法よりも長く設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、差込本体11の、隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、建具6における第一外壁2の表面からの突出寸法よりも長く設定されているので、差込本体11は、隙間S1に差し込まれた時に、窓枠部7よりも、第一外壁2の表面から前方に突出した状態となる。そのため、例えばこの差込本体11が窓枠部7の突出寸法と同等かそれよりも短い奥行寸法であった場合に比して、隙間S1内に差し込みやすく、第二外壁3にも固定しやすくなる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の入隅カバー部材10において、
前記建具6を構成し、かつ端部が前記第二外壁3に取り付けられるシャッターボックス部8と、
前記差込本体11の上端面と、の間に形成される上側の隙間に設けられる、シーリング材16a充填用の下地となる第二バックアップ材16を、さらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、シーリング材16a充填用の下地となる第二バックアップ材16が、シャッターボックス部8と差込本体11の上端面との間に形成される上側の隙間に設けられるので、第二バックアップ材16を下地としてシーリング材16aを充填すれば、シャッターボックス部8と差込本体11の上端面との間の止水性を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項5に記載の入隅カバー部材10において、
前記第一バックアップ材15を下地として充填されるシーリング材15aの上端部と、前記第二バックアップ材16を下地として充填されるシーリング材16aの前記隙間S1側の端部は、互いに接した状態となることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、第一バックアップ材15を下地として充填されるシーリング材15aの上端部と、第二バックアップ材16を下地として充填されるシーリング材16aの隙間S1側の端部は、互いに接した状態となるので、差込本体11の建具6側(横)からシャッターボックス部8側(上)までの止水ラインを確実に途切れることなく繋げることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば
図3〜
図7に示すように、請求項2に記載の入隅カバー部材20において、
前記下地部22は、
前記第二外壁3に固定される第一板部22a(固定板部22a)と、
前記第一板部22aから前記建具6側に突出する第二板部22b(本体板部22b)と、を備えており、
前記表面側部23は、
前記下地部22の表面に固定される第三板部23a(固定板部23a)と、
前記第三板部23aから前記建具6側に突出する第四板部23b(本体板部23b)と、を備えており、
前記第二板部22bと前記第四板部23bは互いに対向して配置され、これら第二板部22bと第四板部23bとの間に前記不燃材24が挟み込まれていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、第一板部22aから建具6側に突出する第二板部22bと、第三板部23aから建具6側に突出する第四板部23bとの間に不燃材24が挟み込まれるので、不燃材24を、第二板部22bと第四板部23bの突出方向に沿って配置することができる。すなわち、不燃材24を、第二外壁3から建具6にかけて設けることが可能となる。
これによって、第二外壁3と建具6との間の耐火ラインを確保することができるので、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火のラインを途切れることなく繋げることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば
図3〜
図7に示すように、請求項7に記載の入隅カバー部材20において、
前記表面側部23は、
前記第四板部23bの上縁から前記第一外壁2に向かって突出する上面板部23dと、
前記第四板部23bの下縁から前記第一外壁2に向かって突出する下面板部23eと、を備えており、
前記上面板部23dおよび前記下面板部23eにおける前記入隅部1側の角部には切欠部23d2,23e2が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、上面板部23dおよび下面板部23eにおける入隅部1側の角部には切欠部23d2,23e2が形成されているので、差込本体21を隙間S1内に差し込んだ時に、切欠部23d2,23e2の位置に隙間を形成することができる。これによって、切欠部23d2,23e2を利用して通気や水抜きを行うことができるので、差込本体21の内側における乾燥状態を維持することができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、例えば
図3〜
図7に示すように、請求項8に記載の入隅カバー部材20において、
前記上面板部23dおよび前記下面板部23eの、前記隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、前記建具6における前記第一外壁2の表面からの突出寸法と略等しく設定されていることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、上面板部23dおよび下面板部23eの、隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、建具6における第一外壁2の表面からの突出寸法と略等しく設定されているので、上面板部23dおよび下面板部23eにおける突出方向先端の位置と、建具6の突出方向先端の位置とが揃った状態となる。これによって、上面板部23dと下面板部23eとの間に設けられる第四板部23bの表面と、建具6の突出方向先端面とが面一の状態となるので、入隅カバー部材20でカバーした場合における入隅部1の外観性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、窓や出入口が入隅部に寄せて設けられた場合であっても、サッシ等と外壁との間の隙間における耐火や止水に係る処理を容易かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1,
図2において符号1は、住宅等の建物におけるコーナー部分に形成される入隅部を示す。この入隅部1は、互いに交差して配置された第一外壁2と第二外壁3とによって構成されるものであり、平面視において直角な状態となっている。
なお、第一外壁2と第二外壁3と間には、これら第一外壁2と第二外壁3の固定面を確保できる複数の調整材2a,3aが介在している。そのため、第一外壁2と第二外壁3同士は互いに強固に固定されている。
【0028】
第一外壁2および第二外壁3は、縦横の芯材を組んで形成された枠体と、当該枠体の表裏面に取り付けられた面材と、を有する木質の建築用壁パネルの屋外側面に透湿防水シート4が貼り付けられて構成されている。後述する建具6は、この透湿防水シート4の上から第一外壁2(第二外壁3)に固定される。
【0029】
第一外壁2には、入隅部1の近傍に位置するようにして開口部5が形成されている。本実施形態の開口部5は、窓として利用されるものであるが、これに限られるものではなく、玄関や勝手口等の出入口として利用されるものであってもよい。
なお、本実施形態の開口部5は、いわゆる腰高窓であり、第一外壁2の中程から上、ほぼ成人の腰の高さに設けられている。ただし、窓についても上記の腰高窓に限定されるものではなく、掃出し窓や高窓等でもよい。
【0030】
第一外壁2には、開口部5の周囲に対して、窓枠部7と、シャッターボックス部8と、を有する建具6が取り付けられている。
窓枠部7は、開口部5の形状・大きさに対応して矩形枠状に形成され、開口部5を開閉する窓障子(図示せず)が収められている。
シャッターボックス部8は、窓枠部7の上端部に一体的に設けられており、内部には、窓障子の更に外側において開口部5を開閉するとともに窓障子を覆う、巻き取り式のシャッター8aが収納されている。
【0031】
窓枠部7についてより詳細に説明すると、この窓枠部7は、窓障子用のレール7aと、シャッター8aを昇降させるためのシャッターレール7bと、を有する。これら窓障子用のレール7aとシャッターレール7bは一体的に形成されている。
そして、窓枠部7は、第一外壁2の表面よりも前方に突出しており、突出方向先端側にシャッターレール7bが位置し、その内側に窓障子用のレール7aが位置している。
上述のように開口部5が入隅部1近傍に形成されているため、これに伴って窓枠部7も入隅部1近傍に設けられることになる。そして、このように入隅部1近傍に設けられた窓枠部7と、第二外壁3との間には隙間S1が形成された状態となる。
【0032】
シャッターボックス部8は、このシャッターボックス部8と第二外壁3との間に設けられる端部カバー8bを含んで構成されている。
すなわち、シャッターボックス部8も、窓枠部7と同様に入隅部1近傍に設けられることになる。そのため、シャッターボックス部8と第二外壁3との間には隙間が形成されることになるが、この隙間は上記の端部カバー8bによって上方から覆われることになる。
なお、シャッターボックス部8は第一外壁2の表面に固定されており、端部カバー8bは、本体であるシャッターボックス部8に接続されるとともに、第一外壁2と第二外壁3の双方に跨って固定されている。
また、端部カバー8bを含むシャッターボックス部8は、内部に、図示しない耐火材が設けられた状態で構成されており、耐火性能を有する。
【0033】
以上のように建具6が設けられた第一外壁2と第二外壁3の表面には、
図2に示すように、耐火性能を有する外壁材9が取り付けられることになる。
外壁材9は、窓枠部7の端部やシャッターボックス部8の端部、後述する入隅カバー部材10の端部を被覆するようにして第一外壁2と第二外壁3の表面に取り付けられる。
【0034】
窓枠部7と第二外壁3との間に形成された隙間S1は、上方が、シャッターボックス部8の端部カバー8bによって覆われている。
そして、このような隙間S1には、隙間S1における耐火や止水に係る処理を行うための入隅カバー部材10が差し込まれている。
なお、隙間S1の幅(窓枠部7と第二外壁3との間の寸法)は、30mm〜50mm程度に設定されている。すなわち、隙間S1は、差し込まれる入隅カバー部材10自体の厚みと、開口部5の位置や建具6の形状やサイズに基づいて形成されている。
【0035】
入隅カバー部材10は、その上下長さや、差し込まれる部位の厚みおよび奥行き等の寸法設定が隙間S1に対応するように設定されている。
換言すれば、隙間S1は、シャッターボックス部8における端部カバー8bの下方であって、かつ窓枠部7と第二外壁3との間に形成されるものであるため、入隅カバー部材10も、これに対応している。なお、入隅カバー部材10における下端部の高さ位置は、窓枠部7における下端部の高さ位置と略等しい。
このような入隅カバー部材10は、差込本体11と、不燃材14と、シーリング材15a,16a充填用の第一バックアップ材15および第二バックアップ材16と、を備える。
【0036】
差込本体11は、隙間S1に差し込まれるとともに、第二外壁3に固定されるものである。
そして、この差込本体11は、第二外壁3に位置するとともに第二外壁3に固定される金属製の下地部12と、この下地部12に対して建具6側に位置するとともに、第二外壁3に固定される箇所が下地部12と重なり合う金属製の表面側部13と、を有する。これら下地部12と表面側部13は組み合わされて用いられる。
【0037】
また、この差込本体11の、隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法(平面視において第二外壁3の表面に沿う方向の長さ)は、窓枠部7における第一外壁2の表面からの突出寸法よりも長く設定されている。これにより、差込本体11は、隙間S1に差し込まれた時に、窓枠部7よりも、第一外壁2の表面から前方に突出した状態となる。すなわち、下地部12と表面側部13の双方の固定板部12a,13aが隙間S1の外側に位置した状態となる。
なお、シャッターボックス部8の奥行寸法(シャッターボックス部8前面から第一外壁2までの長さ)は、差込本体11の奥行寸法よりも長く設定されている。
【0038】
下地部12と表面側部13は、組み合わされて用いられる際に互いに重なり合う箇所と、離間し合う箇所とが形成されるようにして金属板が折曲加工されてなる。
なお、本実施形態では、下地部12と表面側部13が折曲加工されてなるものとしたが、これに限られるものではなく、押出成形によって形成されるものであってもよい。
【0039】
下地部12と表面側部13とが互いに重なり合う箇所は、差込本体11全体のうち入隅部1から最も離れた場所に位置しており、当該重なり合う箇所がリベット等の連結材によって連結され、このように連結された状態でビス等の固定材によって第二外壁3に一括で固定される。
下地部12と表面側部13とが互いに離間し合う箇所には、隙間S2が形成された状態となっており、この隙間S2には不燃材14が装着される。
【0040】
つまり、下地部12と表面側部13とが互いに重なり合う箇所は、差込本体11全体における固定部として機能し、下地部12と表面側部13とが互いに離間し合う箇所は、差込本体11全体における不燃材14の装着部として機能することになる。
【0041】
下地部12は、金属製の板材が折曲加工されてなり、固定板部12aと、突出板部12bと、本体板部12cと、支持板部12dと、を備える。
固定板部12aは、下地部12のうち第二外壁3の表面に接して固定される部位であり、すなわち、上記の表面側部13と重なり合う箇所となる。
突出板部12bは、固定板部12aから建具6側に突出している。
本体板部12cは、突出板部12bの先端から隙間S1内に向かって延出しており、延出方向先端は第一外壁2に接した状態となる。
支持板部12dは、本体板部12cの延出方向先端から、固定板部12aおよび突出板部12b側に鋭角に折曲加工されており、その先端が第二外壁3に接した状態となっている。
【0042】
下地部12における本体板部12cと第二外壁3は平行に配置されている。すなわち、突出板部12bの突出寸法と、支持板部12dにおける本体板部12cと第二外壁3との間の寸法とが略等しく設定されている。
このような寸法設定であるため、本体板部12cは、支持板部12dによって支持されたような状態となり、かつ第二外壁3と平行に配置された状態となる。
【0043】
表面側部13は、金属製の板材が折曲加工されてなり、固定板部13aと、突出板部13bと、本体板部13cと、支持板部13dと、を備える。
固定板部13aは、下地部12の固定板部12aの表面に接して重なり合い、共に第二外壁3に固定される部位である。すなわち、上記の下地部12と重なり合う箇所である。
突出板部13bは、固定板部13aから建具6側に突出している。その突出寸法は、下地部12における突出板部12bの突出寸法よりも長く、隙間S1の幅寸法と略等しく設定されている。
本体板部13cは、突出板部13bの先端から、段差が形成されるようにして折曲加工され、隙間S1内に向かって延出した状態となっている。そして、このような本体板部13cと、建具6における窓枠部7(シャッターレール7b)との間には、隙間S1の一部である目地S1aが形成されることになる。また、下地部12における本体板部12cと平行に設けられている。
支持板部13dは、本体板部13cの延出方向先端から、建具6側に直角に突出しており、本体板部13cと窓枠部7との間に形成される目地S1aの目地底を構成している。
【0044】
不燃材14は、差込本体11に保持されて、差込本体11と共に隙間S1に差し込まれるものである。より詳細には、この不燃材14は、下地部12における本体板部12cと、表面側部13における本体板部13cと、の間に挟み込まれて保持されている。つまり、これら本体板部12c,13cは、差込本体11における不燃材14用挟込部として機能することになる。
これを可能とするため、下地部12における本体板部12cと、表面側部13における本体板部13cとの隙間S2は、不燃材14の厚みと略等しく設定されている。
このような不燃材14は、いわゆる窯業系サイディング材によって構成されている。この窯業系サイディング材は、セメントと木質系成分(繊維質)を混合して製造される板状体であり、断熱性に優れる。
【0045】
なお、本実施形態における本体板部13cの段差は、不燃材14の装着時において平面視台形状となるように形成されている。
そして、この段差は、本体板部13c自体の弾性力を向上させる役割を果たしており、不燃材14の装着性の向上に寄与している。すなわち、下地部12における本体板部12cと、表面側部13における本体板部13cとの間に不燃材14を装着させる際に、これら本体板部12c,13c同士の間隔を一時的に広げて不燃材14を差し込むことができる。さらに、不燃材14を差し込んだ後には、その弾力性によって不燃材14を強く挟むことができる。
【0046】
また、上述のように、下地部12における固定板部12aと、表面側部13における固定板部13aは互いに重なり合っているが、突出板部12b,13b同士も一部が互いに重なり合った状態となっている。
突出板部12b,13b同士も、固定板部12a,13a同士と同様に、リベット等の連結材によって連結されてもよい。
このように互いに重なり合う箇所があることによって、差込本体11自体の固定側端部における剛性を向上させることができるので望ましい。
【0047】
第一バックアップ材15は、シーリング材15a充填用の下地となるものであり、隙間S1内において差込本体11と建具6(窓枠部7のシャッターレール7b)との間に設けられている。
このような第一バックアップ材15は、合成繊維または合成ゴムによって構成されている。また、シーリング材15aに変色等の悪影響を及ぼさず、かつ、シーリング材15aと接着しないものである。
また、第一バックアップ材15は、表面側部13における支持板部13dによって隙間S1の奥側に移動しないように支持された状態となる。
第一バックアップ材15は、断面四角形状に形成され、かつ目地S1aの長さに対応する長さに設定されている。そして、表面側部13における本体板部13cと、窓枠部7におけるシャッターレール7bの双方に密着している。
なお、第一バックアップ材15は、支持板部13dに予め取り付けられた状態としてもよいし、差込本体11を隙間S1に差し込んだ後に目地S1aに設けるようにしてもよい。
【0048】
シャッターボックス部8の端部カバー8bと、差込本体11の上端面との間には、上側の隙間(図示せず)が形成されている。この上側の隙間は、差込本体11が窓枠部7と第二外壁3との間に形成された隙間S1に差し込まれた時に形成されるものである。
このような上側の隙間に対して、上側のシーリング材16a充填用の下地となる第二バックアップ材16が設けられている。そして、このように第二バックアップ材16が上側の隙間に差し込まれることで、第二バックアップ材16の表面と、端部カバー8bの下面と、表面側部13(本体板部13c、支持板部13d、突出板部13bの突出方向先端)の上面とによって上側の目地(図示せず)が形成される。
また、第二バックアップ材16も、第一バックアップ材15と同様に、合成繊維または合成ゴムによって構成されている。
【0049】
第二バックアップ材16は、平面視矩形状に形成されており、差込本体11の上端面とシャッターボックス部8の端部カバー8bにおける下面との間の間隔に対応する厚みに設定されている。
さらに、この第二バックアップ材16における第二外壁3側の辺は、第二外壁3に沿って配置され、窓枠部7側の辺は、表面側部13における本体板部13cに沿うように配置されている。また、隙間S1側の辺は、表面側部13における支持板部13dの位置と対応しており、その反対側の辺は、下地部12における突出板部12bおよび表面側部13における突出板部13bの位置と対応している。
【0050】
また、差込本体11は上下に長く形成され、第二バックアップ材16は水平に配置されるものであるため、差込本体11は、下地部12または表面側部13のいずれかの上端部に一体形成される水平な取付片(図示せず)を有するものとする。
水平に配置される第二バックアップ材16は、このような水平な取付片に対して固定されることで、差込本体11の上端部に設けられるものとする。
ただし、このような構造に限られるものではなく、差込本体11の上端面を閉じる端部用のキャップなどを採用して水平面を形成し、その上に、第二バックアップ材16を設けてもよい。
【0051】
シーリング材15aは、目地S1aに設けられた第一バックアップ材15を下地として充填され、上側のシーリング材16aは、上側の目地に設けられた第二バックアップ材16を下地として充填される。
ここで、上述のように、上側の隙間は、差込本体11が窓枠部7と第二外壁3との間に形成された隙間S1に差し込まれた時に形成されるものである。したがって、隙間S1における目地S1aは、その上端側が、上側の隙間と空間的に繋がった状態となっている。そのため、第一バックアップ材15を下地として充填されるシーリング材15aの上端部と、第二バックアップ材16を下地として充填される上側のシーリング材16aの隙間側の端部は、互いに接した状態となる。
シーリング材15a,16aが湿式シーリング材である場合には、双方のシーリング材15a,16aは一体化した状態となっており、乾式シーリング材である場合には、双方のシーリング材15a,16aは水密に接しているものとする。
【0052】
第二外壁3に取り付けられる外壁材9は、下地部12と表面側部13とが互いに重なり合う箇所を覆い隠すようにして、第二外壁3に取り付けられている。
また、このような外壁材9は、下地部12と表面側部13とが互いに重なり合う箇所を覆い隠す外壁材9Aと、それに隣り合う外壁材9Bと、を有する。
【0053】
外壁材9(9A,9B)は、板状の外壁材本体9aと、この外壁材本体9aの表面に意匠性を考慮して取り付けられた複数のタイル9bと、からなり、取付金具9cを介して第二外壁3に取り付けられている。
取付金具9cは、隣り合う外壁材9A,9Bの双方の対向する側端部に形成された切欠部に係合する構成となっている。
入隅部1側に位置する外壁材9Aは、入隅カバー部材10とその上方に位置するシャッターボックス部8の端部カバー8bに対応した形状となっている。
また、入隅部1側に位置する外壁材9Aと、差込本体11における表面側部13の突出板部13bとの間には目地(隙間)が形成され、この目地にはバックアップ材9dが設けられている。バックアップ材9dの表面側には、シーリング材9eが充填されている。なお、図示はしないが、シャッターボックス部8の端部カバー8bと外壁材9Aとの間にも目地が形成され、シーリング材が充填されている。
【0054】
次に、以上のような構成の入隅カバー部材10の施工手順について説明する。
まず、予め、第一外壁2に形成された開口部5には窓枠部7が設けられ、窓枠部7の上端部にはシャッターボックス部8が設けられた状態となっている。また、シャッターボックス部8の入隅部1側の端部には、端部カバー8bが設けられた状態となっている。
すなわち、この時点で、第二外壁3と窓枠部7との間には隙間S1が形成された状態となっている。
【0055】
また、差込本体11における下地部12と表面側部13は、それぞれの固定板部12a,13aがリベット等の連結材によって予め連結された状態となっている。
固定板部12a,13a同士を組み合わせた時点で、下地部12および表面側部13双方の突出板部12b,13b同士に突出長さの差があるため、下地部12における本体板部12cと、表面側部13における本体板部13cとの間が離間した状態となっている。
【0056】
入隅カバー部材10を隙間S1に差し込む際は、まず、このように組み合わされた下地部12および表面側部13の本体板部12c,13c同士の間に、不燃材14を差し込む。
続いて、下地部12における本体板部12cの裏側(第二外壁3側)から、この本体板部12cと不燃材14とをビス止めする。
【0057】
続いて、第一バックアップ材15を、表面側部13における支持板部13dに取り付けておく。また、第二バックアップ材16も同様に、差込本体11の上端面に取り付けておく。
このように第一バックアップ材15を予め支持板部13dに取り付けておけば、差込本体11の隙間S1への差し込みと同時に第一バックアップ材15の取付作業も完了するため、施工効率が良い。
また、第二バックアップ材16を予め差込本体11の上端面に取り付けておけば、第二バックアップ材16の厚みを考慮せずに、差込本体11を隙間S1に差し込むことができるので、施工効率に優れる。また、第二バックアップ材16が潰れないように差込本体11を設置するのと同時に、差込本体11とシャッターボックス部8における端部カバー8bとの間に、上側の隙間を形成することができる。
【0058】
続いて、差込本体11および不燃材14を隙間S1に差し込む。そして、ビス等の固定材によって、互いに重なり合った固定板部12a,13a同士を第二外壁3の表面に固定する。
この時、互いに重なり合った固定板部12a,13aを、これら固定板部12a,13a同士に予め形成された通し孔にビス等の固定材を通して第二外壁3に固定してもよいし、タッピングビス等の穿孔固定材によって固定板部12a,13a同士を貫通して第二外壁3の表面に固定してもよい。
なお、互いに重なり合った固定板部12a,13aを表面に固定する場合は、例えば千鳥状に固定位置をずらすなどして、固定強度を高めることが望ましい。
【0059】
続いて、取付金具9cを介して、外壁材9A,9Bを第二外壁3に取り付ける。そして、入隅部1側の外壁材9Aと入隅カバー部材10との間の目地(隙間)にバックアップ材9dを差し込む。
【0060】
続いて、隙間S1における目地S1aに対して第一バックアップ材15を下地としてシーリング材15aを充填する。さらに、上側の隙間における上側の目地に対して第二バックアップ材16を下地としてシーリング材16aを充填する。
この時、第一バックアップ材15を下地として充填されるシーリング材15aの上端部と、第二バックアップ材16を下地として充填されるシーリング材16aの隙間S1側の端部は、互いに接した状態となる。
また、入隅部1側の外壁材9Aと入隅カバー部材10との間の目地(隙間)に、バックアップ材9dを下地としてシーリング材9eを充填する。
【0061】
以上のようにして入隅カバー部材10を隙間S1に設ける施工を行うことができる。
そして、このように入隅カバー部材10を隙間S1に設けることによって、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火・止水のラインを途切れることなく繋げることができる。
【0062】
なお、以上のような入隅カバー部材10の取付方法において。第一バックアップ材15および第二バックアップ材16は予め差込本体11に取り付けておくものとしたが、これに限られるものではない。
すなわち、第一バックアップ材15および第二バックアップ材16を、差込本体11を隙間S1に差し込んで第二外壁3に固定した後に、差込本体11に取り付けるようにしてもよい。
より詳細に説明すると、隙間S1に差込本体11を差し込むことによって形成された目地S1aに、第一バックアップ材15を差し込む。そして、表面側部13の支持板部13dによって第一バックアップ材15を支持させる。この時、目地S1aが形成される。
また、隙間S1に差込本体11を差し込むことによって形成された上側の隙間に、第二バックアップ材16を差し込む。この時、第二バックアップ材16は第二外壁3に接した状態となるため、第二外壁3が第二バックアップ材16用の支持部として機能する。この時、上側の目地が形成される。
なお、差込本体11の隙間S1への差し込み作業は、第二バックアップ材16の厚みを考慮した隙間を形成しながら行うものとする。
【0063】
本実施の形態によれば、不燃材14が、差込本体11に保持されて差込本体11と共に隙間S1に差し込まれるので、不燃材14を隙間S1内に設けることができる。また、隙間S1に差し込まれた差込本体11は第二外壁3に固定されるので、この差込本体11によって不燃材14を隙間S1内に差し込んだ状態で支持することができる。その結果、隙間S1における耐火性を向上させることができる。
また、シーリング材15a充填用の下地となる第一バックアップ材15が、隙間S1内において差込本体11と建具6との間に設けられるので、第一バックアップ材15を下地としてシーリング材15aを充填すれば、差込本体11と建具6との間の止水性を向上させることができる。
これによって、建具6が入隅部1に寄せて設けられ、第二外壁3と建具6との間の隙間S1が狭い場合であっても、この隙間S1における耐火や止水に係る処理を容易かつ確実に行うことができる。そして、このように入隅カバー部材10が隙間S1に設けられることによって、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火・止水のラインを途切れることなく繋げることができる。その結果、建具6が入隅部1に寄せて設けられた場合であっても、建具6と第二外壁3との間の隙間S1における優れた耐火性および止水性を確保できる。
【0064】
また、第二外壁3に固定される下地部12と、下地部12と重なり合うようにして設けられる表面側部13との間に不燃材14が挟み込まれて保持されているので、不燃材14を隙間S1内に差し込んだ状態で確実に支持することができる。
【0065】
また、表面側部13は下地部12と重なり合う固定板部13aを備え、当該固定板部13aは下地部12と共に第二外壁3に固定されるので、下地部12と表面側部13とを同時に第二外壁3に固定することができ、作業効率が良い。
【0066】
また、差込本体11の、隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、建具6における第一外壁2の表面からの突出寸法よりも長く設定されているので、差込本体11は、隙間S1に差し込まれた時に、窓枠部7よりも、第一外壁2の表面から前方に突出した状態となる。そのため、例えばこの差込本体11が窓枠部7の突出寸法と同等かそれよりも短い奥行寸法であった場合に比して、隙間S1内に差し込みやすく、第二外壁3にも固定しやすくなる。
【0067】
また、シーリング材16a充填用の下地となる第二バックアップ材16が、シャッターボックス部8と差込本体11の上端面との間に形成される上側の隙間に設けられるので、第二バックアップ材16を下地としてシーリング材16aを充填すれば、シャッターボックス部8と差込本体11の上端面との間の止水性を向上させることができる。
【0068】
また、第一バックアップ材15を下地として充填されるシーリング材15aの上端部と、第二バックアップ材16を下地として充填されるシーリング材16aの隙間S1側の端部は、互いに接した状態となるので、差込本体11の建具6側(横)からシャッターボックス部8側(上)までの止水ラインを確実に途切れることなく繋げることができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1実施形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0070】
本実施形態において開口部5の周囲には、窓枠部7を有する建具6が取り付けられている。すなわち、本実施形態の建具6は、シャッターボックス部8を有しない。
これに伴って、窓枠部7も、シャッターレールを有しない構成となっている。その代わりに、ケーシング7c等の化粧材によって、窓枠部7における入隅部1とは反対側の辺が化粧されているものとする。
【0071】
本実施形態において隙間S1に対して差し込まれる入隅カバー部材20は、
図3〜
図7に示すように、差込本体21と、不燃材24と、第一バックアップ材25と、を備える。
差込本体21は、隙間S1に差し込まれるとともに第二外壁3に固定される。不燃材24は、差込本体21に保持されて差込本体21と共に隙間S1に差し込まれる。さらに、第一バックアップ材25は、隙間S1内において差込本体21と建具6との間に設けられて、シーリング材25a充填用の下地となる。
【0072】
また、差込本体21は、第二外壁3に固定される金属製の下地部22と、下地部22の表面に重なり合うようにして設けられる金属製の表面側部23と、を有する。そして、下地部22と表面側部23との間に不燃材24が挟み込まれて保持されている。すなわち、これら下地部22と表面側部23は組み合わされて用いられる。
【0073】
下地部22と表面側部23は、組み合わされて用いられる際に互いに重なり合う箇所と、離間し合う箇所とが形成されるように加工または成形される。
【0074】
下地部22と表面側部23とが互いに重なり合う箇所は、各々の第二外壁3側の部分である。また、当該重なり合う箇所はリベット等の連結材によって連結されるか、溶接等により接合されている。
それ以外の箇所は、互いに離間し合った状態となっている。なお、下地部22と表面側部23とが互いに離間し合う箇所には、隙間S2が形成された状態となり、この隙間S2には不燃材14が装着される。すなわち、下地部22と表面側部23とが互いに離間し合う箇所は、差込本体21全体における不燃材24の装着部として機能することになる。
【0075】
下地部22は、金属製の板材がL型に折曲加工されてなり、第一板部である固定板部22aと、第二板部である本体板部22bと、を備える。つまり、下地部22は、L型ブラケットとして構成されている。
固定板部22aは、下地部22のうち、第二外壁3の表面に接して固定される部位である。
本体板部22bは、固定板部22aの入隅部1側端部から建具6側に突出しており、不燃材24を挟み込むために用いられる。なお、本体板部22bには、この本体板部22bを不燃材24に固定するためのビス等の固定材22cを通す孔が形成されているものとする。
なお、この下地部22は、表面側部23の長さ方向(上下方向)に間隔を開けて複数設けられている。
【0076】
表面側部23は、金属製であり、第三板部である固定板部23aと、第四板部である本体板部23bと、側板部23cと、上面板部23dと、下面板部23eと、を備える。
【0077】
固定板部23aは、表面側部23のうち、下地部22に重なり合う箇所であり、リベット等の連結材によって、下地部22における固定板部22aの表面に固定される。
なお、固定板部23aの入隅部1側端部には、建具6側に突出し、かつ下地部22における本体板部22bに接する突部が設けられている。
【0078】
本体板部23bは、固定板部23aの屋外側端部から建具6側に突出しており、不燃材24を挟み込むために用いられる。なお、この表面側部23における本体板部23bの建具6側への突出寸法は、下地部22における本体板部22bの建具6側への突出寸法よりも長く設定されている。
【0079】
側板部23cは、本体板部23bの建具6側端部から第一外壁2側に突出しており、窓枠部7の側面と対向した状態となる。
そして、この側板部23cと窓枠部7の側面との間には、隙間S1の一部である目地S1aが形成されることになる。
また、第一バックアップ材25は、側板部23cの建具6側面に取り付けられており、この第一バックアップ材25は、表面側部23と建具6との間に位置した状態となる。すなわち、この第一バックアップ材25は、入隅カバー部材20が隙間に差し込まれた時に、目地S1aの目地底を形成することになる。
【0080】
上面板部23dは、本体板部23bの上縁から第一外壁2に向かって突出するものであり、平面視において、この上面板部23dよりも下方に位置する表面側部23の各部位を覆うようにして設けられている(
図5参照)。
下面板部23eは、本体板部23bの下縁から第一外壁2に向かって突出するものであり、この下面板部23eによって表面側部23における各部位の下面前面を覆っている。
つまり、表面側部23は、上面板部23dと下面板部23eとによって上下端部が覆われた状態となっている。
【0081】
また、上面板部23dは、第一外壁2側端部から垂直上方(または鉛直上方)に突出する垂直板部23d1を有し、この垂直板部23d1は第一外壁2に対してビス等の固定材により固定される。
同様に、下面板部23eも、第一外壁2側端部から垂直下方(または鉛直下方)に突出する垂直板部23e1を有し、この垂直板部23e1は第一外壁2に対してビス等の固定材により固定される。
つまり、表面側部23は、その上下端部が第一外壁2に対してビス等の固定材により固定された状態となる。換言すれば、下地部22における固定板部22aと、表面側部23における垂直板部23d1,23e1とが、入隅カバー部材20自体を第一外壁2および第二外壁3に固定するための固定部として機能する。
【0082】
また、
図5〜
図7等に示すように、上面板部23dおよび下面板部23eにおける入隅部1側の角部には切欠部23d2,23e2が形成されている。
切欠部23d2,23e2は、平面視において、入隅部1から第一外壁2側および第二外壁3側に向かうように略L字状に切欠形成されている。
これら切欠部23d2,23e2は、表面側部23内部(すなわち、入隅カバー部材20内部)の通気や水抜きを行うために形成されている。
【0083】
なお、このような上面板部23dおよび下面板部23eは、上方または下方から見た場合に同様の形状となるように形成されている。
また、上面板部23dのうち垂直板部23d1が設けられる部位の入隅部1側には、切欠部23d2があるが、その反対側である建具6側にも切欠部23d3がある。そのため、垂直板部23d1が設けられる部位は幅が狭く設定されており、その突端に、同幅の垂直板部23d1が設けられた状態となっている。
下面板部23eのうち垂直板部23e1が設けられる部位も同様に、両側に切欠部23e2,23e3がある状態となっており、垂直板部23e1は幅狭に形成されている。
なお、このように上面板部23dおよび下面板部23eが、上方または下方から見た場合に同様の形状となるように形成されていれば、製造時における効率を高めることができるので好ましい。
【0084】
さらに、上面板部23dおよび下面板部23eの、隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、建具6における第一外壁2の表面からの突出寸法と略等しく設定されている。
このため、上面板部23dおよび下面板部23eにおける突出方向先端の位置と、建具6の突出方向先端の位置とが揃った状態となる。換言すれば、上面板部23dと下面板部23eとの間に設けられる本体板部23bの表面と、建具6の突出方向先端面とが面一の状態となる。
【0085】
なお、本実施形態の表面側部23において、固定板部23aと、本体板部23bと、側板部23cは押出成形によって形成されるものとする。
また、上面板部23dと下面板部23eは、垂直板部23d1,23e1が形成できるように、一枚の金属板が折曲加工されることによって形成されている。
さらに、上面板部23dと下面板部23eは、固定板部23aと本体板部23bと側板部23cに対して、ビス等の固定材により固定される。すなわち、固定板部23aと本体板部23bと側板部23cは、それぞれ隣り合う箇所の入隅部分に固定材を受ける受部を有しており、上面板部23dと下面板部23eは、当該受部に固定材を取り付けることによって固定板部23aと本体板部23bと側板部23cに対して固定される。
ただし、これに限られるものではなく、表面側部23全てを一枚の金属製板を折曲加工することによって形成してもよい。
【0086】
不燃材24は、窯業系サイディング材によって構成されている。そして、この不燃材24は、下地部22における本体板部22bと、表面側部23における本体板部23bとの間に挟み込まれて保持されている。さらに、上述したように、下地部22における本体板部22bは、ビス等の固定材22cによって不燃材24に固定されている。このため、双方の本体板部22b,23b間における保持状態は良好なものとなる。
本実施形態における不燃材24は、第二外壁3から建具6側に突出する双方の本体板部22b,23b間に挟み込まれるため、入隅カバー部材20が隙間S1に差し込まれた時には、平面視において、第一外壁2の表面と平行な状態(第二外壁3の表面と直交する状態)に配置されることになる。
【0087】
第一バックアップ材25は、上述したように、差込本体21の表面側部23における側板部23cに取り付けられている。なお、第一バックアップ材25は、隙間S1の奥側に移動しないように、側板部23cに対して接合されているものとする。
この第一バックアップ材25は、合成繊維または合成ゴムによって構成されている。また、シーリング材25aに変色等の悪影響を及ぼさず、かつ、シーリング材25aと接着しないものである。
【0088】
また、第一バックアップ材15は、断面四角形状に形成されている。
さらに、第一バックアップ材25は、
図3に示すように、側板部23cの上下端部に亘って設けられるとともに、その上下端部から第一外壁2側に突出して設けられる(すなわち、上下に長い略コ字状)。
なお、第一バックアップ材25の、第一外壁2側に突出する上下端部は、第一外壁2側には突出するものの、第一外壁2には到達しない程度の長さに設定されている。
【0089】
シーリング材25aは、目地S1aに設けられた第一バックアップ材15を下地として充填される。すなわち、第一バックアップ材25にそって上下に長い略コ字状となるように充填される。
なお、第一バックアップ材25の、第一外壁2側に突出する上下端部は、第一外壁2には到達しない程度の長さであるため、シーリング材25aも第一外壁2には到達しない。
【0090】
第二外壁3に取り付けられる外壁材9A,9Bのうち入隅部1側に位置する外壁材9Aは、下地部22の固定板部22aを覆い隠すようにして、第二外壁3に取り付けられている。
また、入隅部1側に位置する外壁材9Aと、差込本体21における表面側部23の本体板部23bとの間に形成される目地(隙間)にはバックアップ材9dが設けられ、その表面側にはシーリング材9eが充填されている。
【0091】
次に、以上のような構成の入隅カバー部材20の施工手順について説明する。
まず、予め、第一外壁2に形成された開口部5には窓枠部7が設けられた状態となっている。すなわち、この時点で、第二外壁3と窓枠部7との間には隙間S1が形成された状態となっている。
【0092】
また、差込本体21における下地部22と表面側部23は、それぞれの固定板部22a,23aがリベット等の連結材によって予め連結された状態となっている。
固定板部22a,23a同士を組み合わせた時点で、下地部22における本体板部22bと、表面側部23における本体板部23bとの間が離間した状態となっている。
【0093】
入隅カバー部材20を隙間S1に差し込む際は、まず、このように組み合わされた下地部22および表面側部23の本体板部22b,23b同士の間に、不燃材24を差し込む。
続いて、下地部22における本体板部22bの裏側(第一外壁2側)から、この本体板部22bと不燃材24とをビス22c止めする。
【0094】
続いて、第一バックアップ材25を、表面側部23における側板部23cに取り付けておく。このように第一バックアップ材25を予め側板部23cに取り付けておけば、差込本体21の隙間S1への差し込みと同時に第一バックアップ材25の取付作業も完了するため、施工効率が良い。
【0095】
続いて、差込本体21および不燃材24を隙間S1に差し込む。
そして、ビス等の固定材によって、下地部22の固定板部22aを第二外壁3の表面に固定する。
さらに、ビス等の固定材によって、表面側部23における上面板部23dおよび下面板部23eの垂直板部23d1,23e1を第一外壁2の表面に固定する。
なお、窓枠部7の形状によっては、差込本体21が隙間S1に向かって真っ直ぐ差し込めない場合があるが、そのような場合には、斜めに傾けて差し込んだり、上方から隙間S1に向かって差し込んだりしてもよい。
【0096】
続いて、
図4〜
図7に示すように、隙間S1における目地S1aに対して第一バックアップ材25を下地としてシーリング材25aを充填する。すなわち、上下に長い略コ字状をなすようにシーリング材25aを充填する。
【0097】
続いて、
図7に示すように、表面側部23の上面板部23dと、窓枠部7の上面との間に亘って防水テープ27を貼り付ける。この防水テープ27は、例えばアルミテープであり、上面板部23dにおける垂直板部23d1を覆い隠すとともに、垂直板部23d1の建具6側にある切欠部23d3を塞ぐようにして貼り付けられている。また、シーリング材25aのうち第一外壁2側端部も覆い隠すようにして貼り付けられている。
このように上面板部23dにおける垂直板部23d1の建具6側にある切欠部23d3を塞ぐことにより、建具6側への水の浸入を防ぐことができる。一方、下面板部23eにおける垂直板部23e1の建具6側にある切欠部23e3は塞がない状態としておき、もう一方の切欠部23e2と共に表面側部23内部の通気性を高めるようにする。
【0098】
続いて、取付金具9cを介して、外壁材9A,9Bを第二外壁3に取り付ける。そして、入隅部1側の外壁材9Aと入隅カバー部材20との間の目地(隙間)にバックアップ材9dを差し込む。そして、入隅部1側の外壁材9Aと入隅カバー部材20との間の目地(隙間)に、バックアップ材9dを下地としてシーリング材9eを充填する。
【0099】
以上のようにして入隅カバー部材20を隙間S1に設ける施工を行うことができる。
そして、このように入隅カバー部材20を隙間S1に設けることによって、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火・止水のラインを途切れることなく繋げることができる。
【0100】
本実施形態によれば、不燃材24が、差込本体21に保持されて差込本体21と共に隙間S1に差し込まれるので、不燃材24を隙間S1内に設けることができる。また、隙間S1に差し込まれた差込本体21は第二外壁3に固定されるので、この差込本体21によって不燃材24を隙間S1内に差し込んだ状態で支持することができる。その結果、隙間S1における耐火性を向上させることができる。
また、シーリング材25a充填用の下地となる第一バックアップ材25が、隙間S1内において差込本体21と建具6との間に設けられるので、第一バックアップ材25を下地としてシーリング材25aを充填すれば、差込本体21と建具6との間の止水性を向上させることができる。
これによって、建具6が入隅部1に寄せて設けられ、第二外壁3と建具6との間の隙間S1が狭い場合であっても、この隙間S1における耐火や止水に係る処理を容易かつ確実に行うことができる。そして、このように入隅カバー部材20が隙間S1に設けられることによって、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火・止水のラインを途切れることなく繋げることができる。その結果、建具6が入隅部1に寄せて設けられた場合であっても、建具6と第二外壁3との間の隙間S1における優れた耐火性および止水性を確保できる。
【0101】
また、第二外壁3に固定される下地部22と、下地部12と重なり合うようにして設けられる表面側部23との間に不燃材24が挟み込まれて保持されているので、不燃材24を隙間S1内に差し込んだ状態で確実に支持することができる。
【0102】
また、下地部22の固定板部22aから建具6側に突出する本体板部22bと、表面側部23の固定板部23aから建具6側に突出する本体板部23bとの間に不燃材24が挟み込まれるので、不燃材24を、下地部22の本体板部22bと表面側部23の本体板部23bの突出方向に沿って配置することができる。すなわち、不燃材24を、第二外壁3から建具6にかけて設けることが可能となる。
これによって、第二外壁3と建具6との間の耐火ラインを確保することができるので、開口部5のある第一外壁2から第二外壁3までの耐火のラインを途切れることなく繋げることができる。
【0103】
また、上面板部23dおよび下面板部23eにおける入隅部1側の角部には切欠部23d2,23e2が形成されているので、差込本体21を隙間S1内に差し込んだ時に、切欠部23d2,23e2の位置に隙間を形成することができる。これによって、切欠部23d2,23e2を利用して通気や水抜きを行うことができるので、差込本体21の内側における乾燥状態を維持することができる。
【0104】
また、上面板部23dおよび下面板部23eの、隙間S1への差し込み方向に沿う奥行寸法は、建具6における第一外壁2の表面からの突出寸法と略等しく設定されているので、上面板部23dおよび下面板部23eにおける突出方向先端の位置と、建具6の突出方向先端の位置とが揃った状態となる。これによって、上面板部23dと下面板部23eとの間に設けられる本体板部23bの表面と、建具6の突出方向先端面とが面一の状態となるので、入隅カバー部材20でカバーした場合における入隅部1の外観性を向上させることができる。