特許第6614984号(P6614984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6614984
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】電車線の電気区分構造及び電気区分方法
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/24 20060101AFI20191125BHJP
   B60M 1/28 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   B60M1/24 U
   B60M1/28 N
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-14236(P2016-14236)
(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-132369(P2017-132369A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】小島 智
(72)【発明者】
【氏名】西野 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山川 盛実
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修平
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−023611(JP,A)
【文献】 特開平11−139185(JP,A)
【文献】 特開2010−173545(JP,A)
【文献】 特開2010−177129(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0133055(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1413670(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空トロリ線と、当該トロリ線の上方においてこれに電力を供給する架空き電線とを含む電車線路において工事区間の電路を開離、接続するための電気区分構造であって、
工事開始に先立って切断された前記架空き電線の一方の切断端部と他方の切断端部のそれぞれに接続される連結金具と、
前記両連結金具間に接続される絶縁部材と、
一方の前記連結金具の下面に固着される導電性の水平の第1の端子板と、
他方の前記連結金具の下面に固着される導電性の水平の第2の端子板と、
前記第1の端子板と前記第2の端子板との間を電気的に接続、開離するように両端子板間に設けられる断路器と、
前記架空き電線の一方の切断端部側に基端が電気的に接続され、先端が前記第1の端子板に電気的に接続される第1のジャンパ線と、
前記架空き電線の他方の切断端部側に基端が電気的に接続され、先端が前記第2の端子板に電気的に接続される第2のジャンパ線と、
前記架空き電線の切断に対応して切断された架空トロリ線の端部間に介設されるセクションインシュレータと、を具備し、
前記断路器は、前記第1の端子板に、前記架空き電線と平行に配置される閉位置と、下方に開いた開位置との間で垂直回転面に沿って回転するように基端側において枢着され、先端側において地上からフック棒のフックを掛けて開閉操作可能なフック掛け部を有するブレードを具備することを特徴とする電車線の電気区分構造。
【請求項2】
前記第1の端子板は、前記一方の連結金具の下面に固着される固定板部と、当該固定板部から前記き電線の軸線に対して直交方向水平に延出する接続板部とを具備し、
前記第2の端子板は、前記他方の連結金具の下面に固着される固定板部と、当該固定板部から前記き電線の軸線に対して直交方向水平に前記第1の端子板の接続板部と反対方向に延出する接続板部とを具備し、
前記第1のジャンパ線の先端は、前記第1の端子板の接続板部に電気的に接続され、
前記第2のジャンパ線の先端は、前記第2の端子板の接続板部に電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電車線の電気区分構造。
【請求項3】
前記電車線路が、水平に並ぶ2本の前記き電線と、当該各き電線の下方に水平に並ぶ1本の前記トロリ線とを具備し、
前記第1の端子板は、前記一方の2本のき電線の切断端部にそれぞれ接続される2つの連結金具の下面に共通に固着される固定板部と、当該固定板部から前記き電線の軸線に対して直交方向両側へ水平に延出する一対の接続板部とを具備し、
前記第2の端子板は、前記他方の2本のき電線の切断端部にそれぞれ接続される2つの連結金具の下面に共通に固着される固定板部と、当該固定板部から前記き電線の軸線に対して直交方向両側へ水平に延出する一対の接続板部とを具備し、
前記2本のき電線の一方の切断端部側にそれぞれ接続される2本の前記第1のジャンパ線の先端は、前記第1の端子板の一対の接続板部のそれぞれに電気的に接続され、
前記2本のき電線の他方の切断端部側にそれぞれ接続される2本の前記第2のジャンパ線の先端は、前記第2の端子板の一対の接続板部のそれぞれに電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電車線の電気区分構造。
【請求項4】
前記連結金具は、前記き電線に接続される基端側の接続部と、前記絶縁部材の一端側を受け入れてこれに水平方向のボルトで接続されるクレビス部と、当該クレビス部から下方へ突出し垂直方向のボルトにより下面に前記第1の端子板又は前記第2の端子板の固定板部が接続される接続突部とを具備することを特徴とする請求項2又は3に記載の電車線の電気区分構造。
【請求項5】
前記第1の端子板は、前記ブレードを開位置に拘束するための第1のロック爪を具備し、
前記第2の端子板は、前記ブレードを閉位置に拘束するための第2のロック爪を具備し
前記ブレードのフック掛け部は、前記フック棒のフック部を挿入可能なフック挿入孔と、フック掛け部にロック位置と解放位置との間で揺動自在に枢支されロック位置に付勢される第1及び第2のラッチ部材とを具備し、
前記第1のラッチ部材は、前記ブレードが開位置にあるときロック位置にあって前記第1のロック爪に係合し、かつブレードを閉位置へ操作する際に前記フック部に掛かって解放位置へ揺動するようにロック位置においてその一部が前記フック挿入孔内に張り出し、
前記第2のラッチ部材は、前記ブレードが閉位置にあるときロック位置にあって前記第2のロック爪に係合し、かつブレードを開位置へ操作する際に前記フック部に掛かって解放位置へ揺動するようにロック位置においてその一部が前記フック挿入孔内に張り出すことを特徴とする請求項1に記載の電車線の電気区分構造。
【請求項6】
架空トロリ線と、当該トロリ線の上方においてこれに電力を供給する架空き電線とを含む電車線において、工事区間の電路を開離、接続するための電気区分を構成する方法であって、
工事の開始に先立って前記架空き電線を切断し、切断された前記架空き電線の一方の切断端部と他方の切断端部のそれぞれに連結金具を接続する工程と、
前記両連結金具間に絶縁部材を接続する工程と、
一方の前記連結金具の下面に、導電性の水平の第1の端子板を固着する工程と、
他方の前記連結金具の下面に、導電性の水平の第2の端子板を固着する工程と、
前記第1の端子板と前記第2の端子板との間に、請求項1に記載の断路器を接続する工程と、
前記架空き電線の一方の切断端部側に、第1のジャンパ線の基端を電気的に接続し、先端を前記第1の端子板に電気的に接続する工程と、
前記架空き電線の他方の切断端部側に、第2のジャンパ線の基端を電気的に接続し、先端を前記第2の端子板に電気的に接続する工程と、
前記架空トロリ線を切断し、切断された端部間にセクションインシュレータを介設する工程と、を含むことを特徴とする電車線の電気区分方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路の切替工事において、工事開始に先立って、電車線における工事区間の電路を区分するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、線路の切替工事では、予め工事区間の電源を区分しておく。電源区分は、き電線に工事用断路器を挿入すると共に、トロリ線にセクションインシュレータ(区分装置)を挿入して行う。工事開始前には断路器を閉じてトロリ線からの集電を可能とし、工事開始直前に断路器を開いて工事区間を電源から切り離す。これにより、間合い時間を作業に有効に利用することができる。この場合、例えば図15に示すように、断路器Dは、電柱Pなどの支持物に取り付けられる(非特許文献1参照)。同図において、B1,B2は、き電線の切断両端部から引き出した分岐線である。このため、支持物の設置用地の確保に大きな制約があり、また地上設備との絶縁確保のための関連設備の設置を含め、設備工事に大きな費用と時間を要するという問題点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三和テッキ株式会社、断路器[online]、[平成28年1月18日検索]、インターネット、〈http://www.tekki.co.jp/products/list/train/product_train08.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、支持物の設置用地の制約がなく、設備が簡易で、設置工事の費用と期間を大幅に短縮することができる電車線の電気区分構造と、電気区分方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の電車線の電気区分構造は、工事開始に先立って切断された架空き電線Fの一方の切断端部F1と他方の切断端部F2のそれぞれに接続される連結金具4と、両連結金具4間に接続される絶縁部材5と、一方の連結金具4の下面に固着される導電性の水平の第1の端子板9と、他方の連結金具4の下面に固着される導電性の水平の第2の端子板10と、第1の端子板9と第2の端子板10との間を電気的に接続、開離するように両端子板間に設けられる断路器1と、架空き電線の一方の切断端部F1側に基端が電気的に接続され、先端が第1の端子板9に電気的に接続される第1のジャンパ線11と、架空き電線の他方の切断端部F2側に基端が電気的に接続され、先端が第2の端子板10に電気的に接続される第2のジャンパ線12と、架空き電線Fの切断に対応して切断された架空トロリ線Tの端部T1,T2間に介設されるセクションインシュレータ2とを具備する。断路器1のブレード16は、基端側において第1の端子板9に枢着され、架空き電線Fと平行に配置される閉位置と、下方に開いた開位置との間で垂直回転面に沿って回転する。ブレード16の先端側には、地上からフック棒で操作可能なフック掛け部16aが設けられる。
本発明の区分方法は、工事の開始に先立って架空き電線Fを切断し、切断された架空き電線の一方の切断端部F1と他方の切断端部F2のそれぞれに連結金具4を接続する工程と、両連結金具4間に絶縁部材5を接続する工程と、一方の連結金具4の下面に導電性の水平の第1の端子板9を固着する工程と、他方の連結金具の下面に導電性の水平の第2の端子板10を固着する工程と、第1の端子板と第2の端子板との間に断路器1を接続する工程と、架空き電線の一方の切断端部F1側に第1のジャンパ線11の基端を接続し、その先端を第1の端子板9に接続する工程と、架空き電線の他方の切断端部F2側に第2のジャンパ線12の基端を接続し、その先端を第2の端子板10に接続する工程と、架空トロリ線Tを切断し、切断された端部T1,T2間にセクションインシュレータ2を介設する工程とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支持物の設置用地の制約がなく、設備が簡易で、設置工事の費用と期間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る電車線の電気区分構造の斜視図である。
図2図1の電気区分構造の正面図である。
図3図1の電気区分構造の平面図である。
図4図1の電気区分構造の一部の正面図である。
図5図1の電気区分構造の一部の平面図である。
図6図1の電気区分構造における断路器部分の分解斜視図である。
図7図1の電気区分構造の構築過程の斜視図である。
図8】本発明に係る電車線の電気区分構造の他の実施形態の斜視図である。
図9図8の電気区分構造の一部の正面図である。
図10図8の電気区分構造の一部の平面図である。
図11図8の電気区分構造における断路器部分の分解斜視図である。
図12】本発明に係る電車線の電気区分構造のさらに他の実施形態を示す正面図である。
図13図12の電気区分構造に用いられる断路器と端子板を示す正面図である。
図14図13の断路器と端子板の底面図である。
図15】従来の電気区分に使用される断路器の設置状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3に示すように、電車線は、架空トロリ線Tと、当該トロリ線Tの上方においてこれに電力を供給しつつ吊支するき電吊架線(以下、「き電線」という。)Fとを具備する。き電線Fの一端側が電源に接続されている。工事区間の電路を開離、接続するための電気区分構造は、工事開始に先立って切断された架空き電線Fの2つの切断端部F1,F2間に介設される断路器1と、同様に切断されたトロリ線Tの2つの切断端部T1,T2間に介設されるセクションインシュレータ2とを具備する。
【0009】
き電線Fの一方の切断端部F1と他方の切断端部F2のそれぞれに、引き留めクランプ3が圧縮接続される。各引き留めクランプ3のアイ部3aに連結金具4が接続される。両連結金具4間に、角棒状の合成樹脂製絶縁部材5が接続される。
【0010】
図4ないし図6に示すように、連結金具4は、基端側のアイ型接続部4aと、先端側のクレビス部4bと、クレビス部4bから下方へ突出した4つ接続突部4cとを具備する。アイ型接続部4aは、引き留めクランプ3のアイ部3aに垂直ボルト6で接続される。クレビス部4bは、それぞれ絶縁部材5の一端側を受け入れて、これに水平方向のボルト7で接続される。接続突部4cの下面には、垂直方向のボルト8により、それぞれ導電性の第1又は第2の端子板9,10が水平に接続される。
【0011】
第1の端子板9は、連結金具4の下面に固着される固定板部9aと、これに連続して第2の端子板10側へ延びる断路器支持部9bと、固定板部9aからき電線Fの軸線に対して直交方向水平に延出する接続板部9cとを具備する。
【0012】
第2の端子板10は、連結金具4の下面に固着される固定板部10aと、これに連続して第1の端子板9側へ延びる断路器支持部10bと、固定板部10aからき電線Fの軸線に対して直交方向水平に、第1の端子板9の接続板部9cと反対方向に延出する接続板部10cとを具備する。
【0013】
第1のジャンパ線11が、基端側においてクランプ金具13でき電線F1の下面に固着される。ジャンパ線11の先端側の端子11aは、端子板9の接続板部9cの下面に垂直ボルト14で接続される。第2のジャンパ線12は、基端側においてクランプ金具13でき電線F2の下面に固着される。ジャンパ線12の先端側の端子12aは、端子板10の接続板部10cの下面に垂直ボルト15で接続される。
【0014】
断路器1は、第1の端子板9と第2の端子板10との間を電気的に接続、開離するように両端子板9,10間に設けられる。断路器1は、第1の端子板9の下面に枢支されたブレード16と、第1の端子板9と第2の端子板10の下面に突設された接触子17,18とを具備する。第1の端子板9の下面には、軸受け19が突設され、これにき電線Fの軸先直交方向水平の枢ピン20でブレード16の基端が枢支される。ブレード16は、先端側において地上からフック棒で開閉操作可能なフック掛け部16aを有し、き電線Fと平行に配置される閉位置と、下方に開いた開位置との間で垂直回転面に沿って回転する。ブレード16は、閉位置において接触子17,18間を接続し、開位置において接触子17,18間を開く。
【0015】
図1ないし図2に示すように、セクションインシュレータ2は、切断された架空トロリ線の端部T1,T2間に介設され、両端部T1,T2間を絶縁しつつ接続する。セクションインシュレータ2は、トロリ線の端部T1,T2に接続される接続金具21と、両接続金具21間に介設される角棒状の絶縁体22と、各接続金具21から互いに所定の先端間距離を保って対向方向へ延出するアークホーン23とを具備する。電気車のパンタグラフは、絶縁体22の下面を摺動する。
【0016】
この区分構造を構成する場合には、工事の開始に先立って架空き電線Fを切断し、切断された架空き電線Fの一方の切断端部F1と他方の切断端部F2のそれぞれに、引き留めクランプ3を圧縮接続し、この引き留めクランプ3のアイ部3aに連結金具4をボルト6にて接続する。両連結金具4間に予め絶縁部材5をボルト7で接続しておく。これで、き電線の切断端部F1,F2間は、図7に示すように、絶縁部材5と連結金具4を介して接続される。一方、第1の端子板9、第2の端子板10をベースに、断路器1を組み立てておき、その第1の端子板9、第2の端子板10を2つの連結金具4の下面にそれぞれボルト8で固着する。架空き電線Fの一方の切断端部F1の下面に第1のジャンパ線11の基端をクランプ金具13で接続し、その先端の端子11aを第1の端子板9の接続板部9cに、ボルト14で接続する。同様に、架空き電線の他方の切断端部側F2に第2のジャンパ12線の基端を引き留めクランプで13接続し、先端の端子12aを第2の端子板10の接続板部10cに接続する。また、架空トロリ線Tを切断し、切断された端部T1,T2間にセクションインシュレータ2を介設する。工事の開始の直前まで、断路器1を接続し、電気車の通行を可能とする。工事の開始の直前に断路器1を開いて、工事区間の電車線を電源側から切り離す。工事終了後は、ジャンパ線11,12を取り外し、引き留めクランプ3を切断し、き電線の切断端部F1,F2間を新線で接続する。また、トロリ線の切断端部T1,T2からセクションインシュレータ2を取り外し、両端部間に接続用の新たなトロリ線をダブルイヤーと称される金具を用いるなどして割り入れる。以上の電車線の復旧は容易に行える。
【0017】
図8ないし図11に示す他の実施形態は、2条のき電線Fの下に1条のトロリ線Tが架設される電車線に適用される。区分構造は、基本的に先の実施形態と同等であるから、図において同等の構成部分に同一の符号を付して説明を省略する。断路器1は、2条のき電線の切断端部F1,F2間を同時に接続、遮断する構造であり、2条のき電線の切断端部F1,F2のジャンパ線11,12が共通に接続される端子板29,30を具備する。
【0018】
第1の端子板29は、一方の2本のき電線の切断端部F1,F2にそれぞれ接続される2つの連結金具4の下面に共通に固着される固定板部29aと、当該固定板部29aからき電線Fの軸線に対して直交方向両側へ水平に延出する一対の接続板部29cと、断路器1を固定する断路器支持部29bとを具備する。第2の端子板30は、他方の2本のき電線の切断端部F1,F2にそれぞれ接続される2つの連結金具4の下面に共通に固着される固定板部30aと、当該固定板部30aからき電線Fの軸線に対して直交方向両側へ水平に延出する一対の接続板部30cと、断路器1を固定する断路器支持部30bとを具備する。
【0019】
図12ないし図14に示す他の実施形態においては、断路器1のブレード16を閉位置及び開位置の両位置において端子板29,30に拘束するためのロック機構が付設されている。区分構造は、基本的に先の実施形態と同等であるから、図において同等の構成部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0020】
図13,14によく示すように、第1の端子板29は、延出部29dを具備し、その下面にブレード16を開位置(フック掛け部16aが第1の端子板29の下面側に転倒する図12の仮想線位置)に拘束するための第1のロック爪31が固着される。同じく、第2の端子板30には、その下面にブレード16を閉位置(フック掛け部16aが第2の端子板30の下面側に転倒する図12の実線位置)に拘束するための第2のロック爪32が固着される。
【0021】
一方、ブレード16のフック掛け部16aは、フック棒のフック部を挿入可能なフック挿入孔16bを具備する。フック掛け部16aには、ブレード16の板面と平行に第1及び第2のラッチ部材33,34が、枢ピン35でロック位置と解放位置との間で揺動自在に枢支される。ラッチ部材33,34は、ロック位置において、それぞれ、その一部がフック挿入孔16b内に張り出すように配置され、ばね36,37でロック位置に回転付勢される。
【0022】
第1のラッチ部材33は、ブレード16が開位置にあるときロック位置にあって、第1のロック爪31に係合することにより、ブレード16を開位置に拘束するが、ブレード16をフック棒で閉位置へ操作する際に、張り出し部がフック部に掛かって解放位置へ揺動し、ロック爪31から外れてブレード16を解放する。
【0023】
第2のラッチ部材34は、ブレード16が閉位置にあるときロック位置にあって、第2のロック爪に係合することにより、ブレード16を閉位置に拘束するが、ブレード16をフック棒で開位置へ操作する際に、張り出し部がフック部に掛かって解放位置へ揺動し、ロック爪32から外れてブレード16を解放する。
【0024】
この実施形態の断路器によれば、図12に仮想線で示す開路状態においてブレード16が、第1の端子板29の下面に保持されるので、下方へ垂れ下がってセクションインシュレータ2の活線部に接近し、絶縁距離が不十分になるおそれがない。
【符号の説明】
【0025】
1 断路器
2 セクションインシュレータ
3 引き留めクランプ
4 連結金具
4a アイ型接続部
4b クレビス部
4c 接続突部
5 絶縁部材
6 垂直ボルト
7 水平ボルト
8 垂直ボルト
9 第1の端子板
9a 固定板部
9b 断路器支持部
9c 接続板部
10 第2の端子板
10a 固定板部
10b 断路器支持部
10c 接続板部
11 第1のジャンパ線
11a 端子
12 第2のジャンパ線
12a 端子
13 クランプ金具
14 垂直ボルト
15 垂直ボルト
16 ブレード
16a フック掛け部
17 接触子
18 接触子
19 軸受け
20 枢ピン
21 接続金具
22 絶縁体
23 アークホーン
29 第1の端子板
29a 固定板部
29b 断路器支持部
29c 接続板部
29d 延出部
30 第2の端子板
30a 固定板部
30b 断路器支持部
30c 接続板部
31 第1のロック爪
32 第2のロック爪
33 第1のラッチ部材
34 第2のラッチ部材
35 枢ピン
36 ばね
37 ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15