特許第6615004号(P6615004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615004
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
   F02D 19/08 20060101AFI20191125BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20191125BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20191125BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20191125BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20191125BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20191125BHJP
   F02M 26/02 20160101ALI20191125BHJP
   F02D 41/02 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   F02D19/08 B
   F02D19/02 F
   F02D21/08 301C
   F02D21/08 311B
   F02D23/00 E
   F02D23/00 J
   F02B37/00 302F
   F02B37/00 302G
   F02M21/02 K
   F02M21/02 P
   F02M21/02 301A
   F02M21/02 311D
   F02M26/02
   F02D41/02 330D
   F02D41/02 330E
   F02D41/02 330K
   F02D41/02 305
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-37851(P2016-37851)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2016-194292(P2016-194292A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年12月3日
(31)【優先権主張番号】特願2015-73261(P2015-73261)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】片山 智史
(72)【発明者】
【氏名】佐古 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 良胤
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 新吾
(72)【発明者】
【氏名】若林 努
【審査官】 丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−332891(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0196702(US,A1)
【文献】 特開2003−097306(JP,A)
【文献】 特開2006−105140(JP,A)
【文献】 特開2014−136978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D13/00−28/00
F02D41/00−45/00
F02B33/00−41/10
F02B43/00−45/10
F02B51/00−51/06
F02M21/00−21/12
F02M27/00−27/08
F02M31/00−33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムにおいて、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管において混合気を圧縮するコンプレッサを有する過給機を備え、
前記吸気本管において前記コンプレッサの上流側に燃料を供給する燃料供給部を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する改質気筒用吸気支管へ燃料を供給する第1エジェクタ装置と、前記吸気本管から分岐され前記通常気筒へ導かれる混合気を通流する通常気筒用吸気支管へ燃焼用空気を供給する第2エジェクタ装置とのうち、何れか一方から成るエジェクタ機構を備え、
前記エジェクタ機構と前記燃料供給部とを働かせて、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定し、且つ前記通常気筒での混合気の空気過剰率を前記改質気筒での混合気の空気過剰率よりも高く設定する空気過剰率制御手段を備えるエンジンシステム。
【請求項2】
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムにおいて、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する外部出力気筒を備えた外部出力エンジンを備え、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記外部出力気筒へ導くように構成され、
前記改質気筒以外の前記改質エンジンの気筒である通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管において混合気を圧縮するコンプレッサを有する過給機を備え、
前記吸気本管において前記コンプレッサの上流側に燃料を供給する燃料供給部を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する改質気筒用吸気支管へ燃料を供給する第1エジェクタ装置と、前記吸気本管から分岐され前記通常気筒へ導かれる混合気を通流する通常気筒用吸気支管へ燃焼用空気を供給する第2エジェクタ装置とのうち、何れか一方から成るエジェクタ機構を備え、
前記エジェクタ機構と前記燃料供給部とを働かせて、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定し、且つ前記通常気筒での混合気の空気過剰率を前記改質気筒での混合気の空気過剰率よりも高く設定する空気過剰率制御手段を備えるエンジンシステム。
【請求項3】
前記第2エジェクタ装置は、前記通常気筒用吸気支管の上流側から供給される混合気を下流側へ噴射するノズルと、当該ノズルから噴射された混合気を受け入れて前記通常気筒用吸気管の下流側へ分散供給するディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間で燃焼用空気供給管から供給される燃焼用空気を吸引する吸引口と、前記燃焼用空気供給管を通流する燃焼用空気の流量を制御する燃焼用空気流量制御弁とを備え、
前記空気過剰率制御手段は、前記燃料供給部を制御する形態で、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定する請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記エジェクタ機構は、前記第1エジェクタ装置のみから構成されている請求項1又は2の何れか一項に記載のエンジンシステム。
【請求項5】
前記第1エジェクタ装置は、前記改質気筒用吸気支管の上流側から供給される混合気を下流側へ噴射するノズルと、当該ノズルから噴射された混合気を受け入れて前記改質気筒用吸気支管の下流側へ分散供給するディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間で燃料供給管から供給される燃料を吸引する吸引口と、前記燃料供給管を通流する燃料の流量を調整する燃料流量制御弁とを備え、
前記空気過剰率制御手段は、前記燃料流量制御弁の開度を制御する形態で、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定する請求項4に記載のエンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する燃焼室を有する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気を燃焼室にて燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステム、及び燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多気筒エンジンにおいて、燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する燃焼室を有する通常気筒を少なくとも1つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を燃焼室にて不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも通常気筒へ導くエンジンが知られている(特許文献1を参照)。尚、当該エンジンにおいては、改質気筒へ供給される混合気を燃料過濃状態に設定するべく、通常、改質気筒へ混合気を導く改質気筒用吸気管へ燃料を追加供給する燃料噴射手段を備えた構成が採用されている。
改質気筒において、例えば、メタンを主成分とする燃料を含む過濃混合気を不完全燃焼させることで、水素等の燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスを生成することができる。そして、当該改質ガスを通常気筒へ導くことで、例えば、エンジンが低負荷域で回転数が低く安定性が十分に確保し難い場合に、通常気筒の燃焼室での火花伝播速度を上昇させ、燃焼の安定性を改善できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2009/0308070号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の多気筒型エンジンでは、燃焼安定性の改善等を目的として、複数の気筒のうち一部の気筒を、混合気を改質ガスへ改質する改質気筒とする。このため、複数の気筒のすべてを通常気筒とする場合に比べ、出力域によっては、その出力が低くなる場合がある。このため、通常気筒及び改質気筒の双方へ過給した混合気を供給する過給機を備える構成を採用し、出力を補うことが1つの選択肢として考えられる。
過給機を備えた構成においては、改質気筒へ導かれる混合気の圧力が、過給機のコンプレッサ出口の過給圧(例えば、50kPa〜200kPa程度)まで昇圧するため、改質気筒用吸気支管にて燃料を追加供給する燃料噴射手段による燃料噴射圧は、当該過給圧よりも高くする必要がある。しかしながら、特に、一般の家庭に備えられるような小型のコジェネレーションシステムやガスヒートポンプシステムなどの原動機用として用いられる小型のエンジンでは、経済性や設置スペースの関係で、燃料供給手段たとえば燃料噴射弁から噴射する燃料を昇圧する圧縮機等の昇圧装置を備えることはできなかった。このため、上述した改質気筒を有する多気筒型エンジンにおいて、コンプレッサにて過給圧まで昇圧した混合気が通流する通常気筒用吸気支管に対し、圧縮機等の昇圧装置を用いない構成で、改質気筒用吸気支管へ燃料を追加するものは知られていなかった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常気筒と当該通常気筒へ供給する改質ガスを生成する改質気筒との双方を少なくとも1つ以上備え、過給機を備える構成において、簡易な構成を維持しつつも、改質気筒へ通常気筒よりも空気過剰率の低い混合気を供給可能なエンジンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する通常気筒を少なくとも一つ備えると共に、混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備え、前記改質気筒にて改質された改質ガスを少なくとも前記通常気筒へ導くエンジンシステムであって、その特徴構成は、
前記通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管において混合気を圧縮するコンプレッサを有する過給機を備え、
前記吸気本管において前記コンプレッサの上流側に燃料を供給する燃料供給部を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する改質気筒用吸気支管へ燃料を供給する第1エジェクタ装置と、前記吸気本管から分岐され前記通常気筒へ導かれる混合気を通流する通常気筒用吸気支管へ燃焼用空気を供給する第2エジェクタ装置とのうち、何れか一方から成るエジェクタ機構を備え、
前記エジェクタ機構と前記燃料供給部とを働かせて、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定し、且つ前記通常気筒での混合気の空気過剰率を前記改質気筒での混合気の空気過剰率よりも高く設定する空気過剰率制御手段を備える点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、吸気本管から分岐され改質気筒へ導かれる混合気を通流する改質気筒用吸気支管へ燃料を供給する第1エジェクタ装置と、吸気本管から分岐され通常気筒へ導かれる混合気を通流する通常気筒用吸気支管へ燃焼用空気を供給する第2エジェクタ装置とのうち、少なくとも何れか一方から成るエジェクタ機構を備えているから、エジェクタ機構として第1エジェクタ装置を採用する場合には、コンプレッサにて過給圧まで昇圧した混合気が通流する改質気筒用吸気支管に対し、燃料を吸引する形態で良好に供給でき、エジェクタ機構として第2エジェクタ装置を採用する場合には、コンプレッサにて過給圧まで昇圧した混合気が通流する通常気筒用吸気支管に対し、燃焼用空気を吸引する形態で良好に供給できる。
これにより、特に、一般の家庭に備えられるような小型のコジェネレーションシステムやガスヒートポンプシステムの原動機用として用いられる小型の多気筒型のエンジンで、出力を過給機にて補う構成を採用している場合に、燃料又は燃焼用空気を過給圧まで昇圧して供給するための圧縮機等を設けない比較的簡易な構成を維持しながらも、過給機としてのコンプレッサが設けられる吸気本管の下流側に、燃料又は燃焼用空気を良好に供給できる。
結果、空気過剰率制御手段は、エジェクタ機構と燃料供給部とを働かせて、改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定し、且つ通常気筒での混合気の空気過剰率を改質気筒での混合気の空気過剰率よりも高く設定でき、改質気筒にて良好に改質ガスを生成しながらも、生成した改質ガスを通常気筒へ導いて、通常気筒での燃焼安定性を改善する等の効果を良好に発揮できる。
【0008】
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記エジェクタ機構は、前記第1エジェクタ装置のみから構成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、エジェクタ機構は、吸気本管から分岐され改質気筒へ導かれる混合気を通流する改質気筒用吸気支管へ燃料を供給する第1エジェクタ装置から構成している。これにより、例えば、エジェクタ機構を、吸気本管から分岐され通常気筒へ導かれる混合気を通流する通常気筒用吸気支管へ燃焼用空気を供給する第2エジェクタ装置から構成する場合に比べ、エジェクタ機構を介して吸気支管へ吸引供給する流体(燃料又は燃焼用空気)の流量を少なくでき、当該エジェクタ機構での圧力損失を低減できる。
【0010】
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記第1エジェクタ装置は、前記改質気筒用吸気支管の上流側から供給される混合気を下流側へ噴射するノズルと、当該ノズルから噴射された混合気を受け入れて前記改質気筒用吸気支管の下流側へ分散供給するディフューザと、ノズルとディフューザとの間で燃料供給管から供給される燃料を吸引する吸引口と、前記燃料供給管を通流する燃料の流量を調整する燃料流量制御弁とを備え、
前記空気過剰率制御手段は、前記燃料流量制御弁の開度を制御する形態で、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、第1エジェクタ装置は、ノズルとディフューザと吸引口に加えて、吸引口に接続される燃料供給管を通流する燃料の流量を調整する燃料流量制御弁を備え、当該燃料流量制御弁の開度を制御するという比較的簡易な構成により、改質気筒への混合気の空気過剰率を調整できる。これにより、改質気筒にて生成される改質ガスに含まれる燃焼促進性ガスの含有量を比較的簡単に制御することができる。
結果、通常気筒へ供給される燃焼促進性ガスの供給量も制御することができる。これにより、例えば、通常気筒において、失火等が発生している場合には、燃焼促進性ガスの供給量を増加することで、通常気筒の燃焼室での火炎伝搬速度を速めて、燃焼の安定性を向上でき、通常気筒において、ノッキングが発生している場合には、燃焼促進性ガスの供給量を増加あるいは減少することで、ノッキングの発生を抑制できる。
【0012】
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記第2エジェクタ装置は、前記通常気筒用吸気支管の上流側から供給される混合気を下流側へ噴射するノズルと、当該ノズルから噴射された混合気を受け入れて前記通常気筒用吸気管の下流側へ分散供給するディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間で燃焼用空気供給管から供給される燃焼用空気を吸引する吸引口と、前記燃焼用空気供給管を通流する燃焼用空気の流量を制御する燃焼用空気流量制御弁とを備え、
前記空気過剰率制御手段は、前記燃料供給部を制御する形態で、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、第2エジェクタ装置は、ノズルとディフューザと吸引口に加えて、吸引口に接続される燃焼用空気供給管を通流する燃焼用空気の流量を調整する燃焼用空気流量制御弁を備え、当該燃焼用空気流量制御弁の開度を制御するという比較的簡易な構成により、通常気筒に導かれる混合気の空気過剰率を例えば1以上として、通常気筒での熱効率を高めることができる。
一方、空気過剰率制御手段は、吸気本管へ燃料を供給する燃料供給部を制御する形態で、改質気筒へ導かれる混合気の空気過剰率を、通常気筒へ導かれる混合気の空気過剰率とは別に調整できる。これにより、改質気筒にて生成される改質ガスに含まれる燃焼促進性ガスの含有量を制御できる。
結果、通常気筒へ供給される燃焼促進性ガスの供給量も制御することができる。これにより、例えば、通常気筒において、失火等が発生している場合には、燃焼促進性ガスの供給量を増加することで、通常気筒の燃焼室での火炎伝搬速度を速めて、燃焼の安定性を向上でき、通常気筒において、ノッキングが発生している場合には、燃焼促進性ガスの供給量を増加あるいは減少することで、ノッキングの発生を抑制できる。
【0014】
上記目的を達成するためのエンジンシステムは、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気の少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料よりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスへ改質する改質気筒を少なくとも一つ備えた改質エンジンを有するエンジンシステムであって、その特徴構成は、
燃料と燃焼用空気とを含む混合気を燃焼する外部出力気筒を備えた外部出力エンジンを備え、
前記改質気筒にて改質された改質ガスを、少なくとも前記外部出力気筒へ導くように構成され、
前記改質気筒以外の前記改質エンジンの気筒である通常気筒及び前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する吸気本管において混合気を圧縮するコンプレッサを有する過給機を備え、
前記吸気本管において前記コンプレッサの上流側に燃料を供給する燃料供給部を備え、
前記吸気本管から分岐され前記改質気筒へ導かれる混合気を通流する改質気筒用吸気支管へ燃料を供給する第1エジェクタ装置と、前記吸気本管から分岐され前記通常気筒へ導かれる混合気を通流する通常気筒用吸気支管へ燃焼用空気を供給する第2エジェクタ装置とのうち、何れか一方から成るエジェクタ機構を備え、
前記エジェクタ機構と前記燃料供給部とを働かせて、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定し、且つ前記通常気筒での混合気の空気過剰率を前記改質気筒での混合気の空気過剰率よりも高く設定する空気過剰率制御手段を備える点にある。
【0015】
即ち、本発明のエンジンシステムとしては、改質ガスを生成するための改質エンジンとは別に、外部出力用の外部出力エンジンを備える構成をも権利範囲に含むものである。
改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムであっても、これまで説明してきたエジェクタ機構及び燃料供給部を働かせて、改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定し、且つ通常気筒での混合気の空気過剰率を改質気筒での混合気の空気過剰率よりも高く設定する空気過剰率制御を、良好に実行できる。
【0016】
即ち、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記第2エジェクタ装置が、前記通常気筒用吸気支管の上流側から供給される混合気を下流側へ噴射するノズルと、当該ノズルから噴射された混合気を受け入れて前記通常気筒用吸気管の下流側へ分散供給するディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間で燃焼用空気供給管から供給される燃焼用空気を吸引する吸引口と、前記燃焼用空気供給管を通流する燃焼用空気の流量を制御する燃焼用空気流量制御弁とを備え、
前記空気過剰率制御手段は、前記燃料供給部を制御する形態で、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定する点を、更なる特徴構成としている。
【0017】
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記エジェクタ機構は、前記第1エジェクタ装置のみから構成されている点を、更なる特徴構成としている。
【0018】
また、改質エンジンと外部出力エンジンとを備えるエンジンシステムは、
前記第1エジェクタ装置が、前記改質気筒用吸気支管の上流側から供給される混合気を下流側へ噴射するノズルと、当該ノズルから噴射された混合気を受け入れて前記改質気筒用吸気支管の下流側へ分散供給するディフューザと、前記ノズルと前記ディフューザとの間で燃料供給管から供給される燃料を吸引する吸引口と、前記燃料供給管を通流する燃料の流量を調整する燃料流量制御弁とを備え、
前記空気過剰率制御手段は、前記燃料流量制御弁の開度を制御する形態で、前記改質気筒での混合気の空気過剰率を1より小さく設定する点を、更なる特徴構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図
図2】第2実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図
図3】第3実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図
図4】別実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図
図5】別実施形態に係るエンジンシステムの概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態に係るエンジンシステム100は、図1に示すように、エンジン本体40に、都市ガス13A等の燃料Fと燃焼用空気Aとを含む混合気Mを燃焼する通常気筒40a、40b、40cと、混合気Mの少なくとも一部を不完全燃焼させて燃料Fよりも燃焼速度の速い燃焼促進性ガスを含む改質ガスKへ改質する改質気筒40dとを備え、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導くエンジンシステムに関するものであり、更に、過給機を備える構成において、簡易な構成を維持しつつも、改質気筒40dへ通常気筒40a、40b、40cよりも空気過剰率の低い混合気Mを供給可能なエンジンシステムに関するものである。
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、図1に基づいて、第1実施形態に係るエンジンシステム100について説明する。
第1実施形態のエンジンシステム100は、ターボ過給式エンジンとして構成されており、少なくとも1つ以上(当該実施形態では3つ)の通常気筒40a、40b、40cと、少なくとも1つ以上(当該実施形態では1つ)の改質気筒40dとを備えている。更には、エンジンの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいてターボ過給式エンジンの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
【0022】
この種のエンジンシステム100は、詳細な図示は省略するが、吸気本管20から通常気筒40a、40b、40cの燃焼室(図示せず)へ吸気弁(図示せず)を介して吸気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、通常気筒40a、40b、40cの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路27(排気本管の一例)に押し出され、外部へ排出される。
尚、詳細については後述するが、吸気本管20から供給される新気は、改質気筒40dにも供給され、改質気筒40dでもピストンを押し下げて回転軸から回転動力を出力する。ただし、当該改質気筒40dにて排ガスとして生成される改質ガスKは、外部へ排出されることなく、そのすべてが改質ガス通流路28を介して吸気本管20へ戻され、通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dへ導かれることとなる。
【0023】
吸気本管20には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ21、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ14、及びミキサ14にて混合された混合気Mを圧縮する過給機30としてのコンプレッサ31、当該コンプレッサ31の昇圧により昇温した混合気Mを冷却するインタークーラ22、開度調整により通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dへの混合気Mの吸気量を調整可能なスロットル弁23が、その上流側から記載の順に設けられている。
即ち、吸気本管20において、ミキサ14で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、過給機30としてのコンプレッサ31にて圧縮された後に、インタークーラ22にて冷却され、スロットル弁23を介して所定の流量に調整されて、通常気筒40a、40b、40c、及び改質気筒40dの燃焼室へ導入される。
【0024】
ミキサ14に燃料Fを導く第1燃料供給路11には、ミキサ14の上流側の吸気本管20における燃焼用空気Aの圧力と第1燃料供給路11における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータ12、ミキサ14を介して通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第1燃料流量制御弁13が設けられている。即ち、第1燃料供給路11、差圧レギュレータ12、ミキサ14、及び第1燃料流量制御弁13が、燃料供給部として機能する。
【0025】
過給機30は、通常気筒40a、40b、40cに接続される排気路27に設けられるタービン32に、通常気筒40a、40b、40cから排出される排ガスEを供給し、タービン32に連結される状態で吸気本管20に設けられるコンプレッサ31により、通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室に吸気される混合気Mを圧縮するターボ式の過給機30として構成されている。即ち、当該過給機30は、排気路27を通流する排ガスEの運動エネルギによりタービン32を回転させ、当該タービン32の回転力により吸気本管20を通流する新気としての混合気Mを圧縮して、通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dの燃焼室へ供給する、所謂、過給を行う。
【0026】
エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、当該回転軸(図示せず)の回転数を計測する回転数センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、当該回転数センサにて計測されるエンジン回転数を目標回転数に維持するべく、当該回転数センサの計測結果に基づいてスロットル弁23の開度を制御する。
更に、エンジン本体40の回転軸(図示せず)には、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第1燃料流量制御弁13やスロットル弁23の開度を制御する。
【0027】
吸気本管20は、スロットル弁23の下流側において、通常気筒40a、40b、40cの夫々へ混合気Mを導く複数の通常気筒用吸気支管20a、20b、20cに接続されると共に、改質気筒40dへ混合気Mを導く改質気筒用吸気支管20dに接続されている。
改質気筒40dは、自身の燃焼室において、新気を不完全燃焼させて、燃料F(例えば、メタン)よりも燃焼速度の速い水素等の燃焼促進性ガスを含む改質ガスKを生成するように構成されている。ここで、水素は、メタン及び空気を混合して燃焼する場合、空気過剰率が1より小さい燃料過濃領域に、その発生量のピークがあることが知られている(「燃焼の基礎と応用(共立出版株式会社)」の第2章を参照)。
【0028】
尚、通常のエンジンにあっては、熱効率を高める観点から、通常気筒40a、40b、40cへ導かれる混合気Mの空気過剰率は1より大きい値(例えば、1.0〜1.6程度の値)に設定されており、当該第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっても、ミキサ14にて混合された混合気Mの空気過剰率は、1より大きい値となるように、制御装置50が、第1燃料流量制御弁13の開度を制御している。
このような状態において、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を1より小さい値にする場合、改質気筒用吸気支管20dに燃料Fを追加で供給する必要があり、過給圧(例えば、50〜200kPa程度の圧力)の混合気Mが通流する改質気筒用吸気支管20dに燃料Fを追加するためには、圧縮機(図示せず)等で過給圧まで昇圧した燃料Fを供給する必要がある。
しかしながら、本発明のエンジンシステム100は、家庭用のコジェネレーションシステムに適用する小型のものであるため、圧縮機を設けることはできない。
そこで、当該第1実施形態のエンジンシステム100にあっては、改質気筒用吸気支管20dに、上流側から供給される混合気Mを下流側へ噴射するノズル24aと、当該ノズル24aから噴射された混合気を受け入れるディフューザ24bと、ノズル24aとディフューザ24bとの間で燃料供給管29から供給され燃料Fを吸引する吸引口24cと、燃料供給管29を通流する燃料Fの流量を制御する第2燃料流量制御弁25(燃料流量制御弁の一例)とを有する第1エジェクタ装置24(エジェクタ機構の一例)を備えている。
当該第1エジェクタ装置24を備えることにより、圧縮機等を設けることのない簡易な構成を維持しつつ、改質気筒用吸気支管20dへ、燃料供給管29から燃料Fを引き込む形態で、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を1より小さい値に設定できる。
【0029】
つまり、制御装置50は、第1燃料流量制御弁13の弁開度と第2燃料流量制御弁25の弁開度との双方を制御する形態で、改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率を1より小さく設定し、且つ通常気筒40a、40b、40cでの混合気Mの空気過剰率を改質気筒40dでの混合気Mの空気過剰率よりも高く設定する空気過剰率制御手段として機能する。
尚、当該第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、制御装置50は、第2燃料流量制御弁25の開度を制御することにより、改質気筒40dへ導かれる混合気Mの空気過剰率を制御する。
【0030】
更に、改質気筒40dには、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が接続されており、当該改質ガス通流路28の下流端が、吸気本管20のスロットル弁23の下流側に接続されている。即ち、当該実施形態にあっては、改質ガスKは、そのすべてが通常気筒40a、40b、40c及び改質気筒40dに導かれるように構成されている。
【0031】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、図2に示すように、第1実施形態に係るエンジンシステム100に対して、エジェクタ機構の配置箇所、エジェクタ機構により供給するガスが異なると共に、それに伴う制御が異なる。そこで、以下では、第1実施形態と異なる構成を重点的に説明し、それ以外の構成については、説明を割愛することがある。
【0032】
第2実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、改質気筒用吸気支管20dには、第1実施形態でいうところの第1エジェクタ装置を備えず、通常気筒用吸気支管20a、20b、20cに第2エジェクタ装置24(エジェクタ機構の一例)を備える。
詳しくは、当該第2実施形態では、吸気支管は、通常気筒用吸気支管20aと通常気筒用吸気支管20bと通常気筒用吸気支管20cと、それらの上流側に接続され、通常気筒40a、40b、40cへ導かれる混合気Mのすべてを通流する上流側通常気筒用吸気支管33とから成っている。
第2エジェクタ装置24は、当該第2実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、当該上流側通常気筒用吸気支管33に設けられている。
つまり、第2エジェクタ装置24は、上流側通常気筒用吸気支管33の上流側から供給される混合気Mを下流側へ噴射するノズル24aと、当該ノズル24aから噴射された混合気Mを受け入れて上流側通常気筒用吸気支管33の下流側へ分散供給するディフューザ24bと、ノズル24aとディフューザ24bとの間で燃焼用空気供給管29から供給される燃焼用空気Aを吸引する吸引口24cと、燃焼用空気供給管29を通流する燃焼用空気Aの流量を制御する燃焼用空気流量制御弁25とを備えている。
【0033】
当該構成にあっては、制御装置50(空気過剰率制御手段の一例)は、改質気筒40dに導かれる混合気Mの空気過剰率を1より小さい値にすべく、第1燃料流量制御弁13の開度を制御する。
これに加えて、制御装置50は、例えば、通常気筒40a、40b、40cでの熱効率を高く維持すべく、通常気筒40a、40b、40cに導かれる混合気Mの空気過剰率を、1より大きい値となるように、燃焼用空気流量制御弁25の開度を制御する。
【0034】
〔第3実施形態〕
上記第1実施形態に係るエンジンシステム100にあっては、単一の多気筒エンジンにおいて、改質気筒40dにて改質された改質ガスKを通常気筒40a、40b、40cへ導く構成例を示した。
当該第3実施形態に係るエンジンシステム200は、図3に示すように、改質気筒40dにて混合気Mを改質して改質ガスKを生成するための改質エンジン200aに加えて、改質エンジン200aにて生成された改質ガスKが導かれる外部出力エンジン200bを備えて構成されている。尚、当該エンジンシステム200には、改質エンジン200a及び外部出力エンジン200bの運転状態を検出するセンサ等の測定結果が入力され、その入力信号に基づいて外部出力エンジン200bの運転を制御するハードウェア群とソフトウェア群とから構成されているエンジンコントロールユニット(以下、制御装置50と呼ぶ)を備えている。
【0035】
第3実施形態に係るエンジンシステム200における改質エンジン200aは、第1実施形態に係るエンジンシステム100における運転状態検出部41を設けず、運転状態を判定する制御を実行しない点、改質気筒40dにて生成された改質ガスKを、改質エンジン200aの吸気本管20に戻していない点を除き、上述した第1実施形態に係るエンジンシステム100と実質的に同一の構成をしており、同一の制御を実行する。
以下、上記第1実施形態に係るエンジンシステム100と異なる構成及び制御に重点をおいて説明することとし、同一の構成及び制御については、その詳細な説明を省略することがある。
【0036】
外部出力エンジン200bは、図3に示すように、吸気本管70から複数の気筒80a、80b、80c、80d(外部出力気筒の一例)の燃焼室(図示せず)へ吸気弁(図示せず)を介して吸気した新気を、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて回転軸(図示せず)から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室から排気弁(図示せず)を介して排気路に押し出され、外部へ排出される。
【0037】
吸気本管70には、燃焼用空気Aを浄化するエアクリーナ71、燃焼用空気Aに燃料Fを適切な比率(空燃比)で混合するベンチュリー式のミキサ64、開度調整により複数の気筒80a、80b、80c、80dへの混合気Mの吸気量を調整可能なスロットル弁73が、その上流側から記載の順に設けられている。
即ち、吸気本管70において、ミキサ64で燃料Fと燃焼用空気Aとを混合して生成された混合気Mは、スロットル弁73を介して所定の流量に調整されて、複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ導入される。
【0038】
ミキサ64に燃料Fを導く第2燃料供給路61には、ミキサ64の上流側の吸気本管70における燃焼用空気Aの圧力と第2燃料供給路61における燃料Fの圧力差を一定に保つ差圧レギュレータ62、ミキサ64を介して複数の気筒80a、80b、80c、80dの燃焼室へ供給される燃料Fの供給量を調整する第3燃料流量制御弁63が設けられている。
【0039】
外部出力エンジン200bのエンジン本体80の回転軸(図示せず)には、当該回転軸の回転数を計測する回転数センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、当該回転数センサにて計測されるエンジン回転数を目標回転数に維持するべく、当該回転数センサの計測結果に基づいてスロットル弁73の開度を制御する。
更に、エンジン本体80の回転軸には、当該回転軸のトルクを計測するトルク計測センサ(図示せず)が設けられており、制御装置50は、例えば、回転数センサにて計測されるエンジン回転数と、トルク計測センサにて計測されるトルクに基づいて計算されるエンジン出力が、目標出力となるように、第3燃料流量制御弁63やスロットル弁73の開度を制御する。
【0040】
吸気本管70は、スロットル弁73の下流側において、複数の気筒80a、80b、80c、80dへ混合気Mを導く複数の吸気支管70a、70b、70c、70dに接続されている。
当該吸気本管70においてスロットル弁73の下流側で複数の吸気支管70a、70b、70c、70dの上流側には、改質エンジン200aの改質気筒40dにて生成された改質ガスKを通流する改質ガス通流路28が連通接続されている。当該構成により、上述の吸気支管70a、70b、70c、70dのすべてに対して、改質ガスKが略均等に通流することになる。
以上の如く構成されたエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aにおいて、第1実施形態にて説明した空気過剰率制御手段が第1エジェクタ装置24及び燃料供給部を働かせて第1実施形態と同一の制御を実行することで、外部出力エンジン200bの運転状態毎に発生する異常燃焼や、燃焼の不安定を改善することが可能となる。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記第1、2実施形態では、通常気筒40a、40b、40cを3つとし、改質気筒40dの数を1つとした。しかしながら、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
また、上記第3実施形態でも同様に、通常気筒の数は、1つ以上であればいくつであっても構わないし、改質気筒の数も、1つ以上であればいくつであっても、本発明の機能を良好に発揮できる。
ただし、第3実施形態に係るエンジンシステム200にあっては、改質エンジン200aは、改質ガスKの生成用のエンジンであるので、改質気筒の数は、多いほうが好ましい。また、改質エンジン200aは、その軸出力を取り出して発電等に用いる構成としても良い。
【0042】
(2)上記実施形態は、改質気筒40dの排気ポートに接続される改質ガス通流路28は、吸気本管20に接続される構成を有すると共に、改質ガスKを、通常気筒40a、40b、40cと改質気筒40dとの双方に導く例を示した。
しかしながら、例えば、改質ガス通流路28は、改質気筒40dの排気ポートと、通常気筒40a、40b、40cのみに新気を供給する通常気筒用吸気支管20a、20b、20cの夫々に接続される構成を採用しても構わない。
これにより、改質ガスKを改質気筒40dに導くことなく、通常気筒40a、40b、40cのみに導くことができ、より一層の熱効率の向上が期待できる。
【0043】
(3)上記第2実施形態において、第2エジェクタ装置24は、通常気筒用吸気支管20a、20b、20cの夫々に、備える構成を採用しても構わない。
【0044】
(4)上記実施形態では、過給機30として、ターボ式のものを備える例を示したが、スーパーチャージャ式のものとしても構わない。
第1実施形態を例にして説明を追加すると、図1に示す過給機30に替えて、図4に示すように、吸気本管20にコンプレッサ90を設けると共に、クランク軸の出力の一部が伝達されてコンプレッサ90を駆動する動力伝達手段91とを備える構成を採用しても構わない。
【0045】
(5)上記実施形態では、過給機30として、単一のコンプレッサ31と単一のタービン32とを備える、所謂、一段過給の例を示したが、別に、二段以上の多段過給としても構わない。
第1実施形態を例にして説明を追加すると、図1に示す過給機30に替えて、図5に示すように、排気路27に、排ガスEの流れ方向で、第2タービン32b、第1タービン32aを記載の順に備えると共に、吸気本管20に、混合気Mの流れ方向で、第1タービン32aに連結される第1コンプレッサ31aと、第2タービン32bに連結される第2コンプレッサ31bとを記載の順に備える構成を採用しても構わない。
【0046】
(6)上記第3実施形態においては、単一の改質エンジン200aと単一の外部出力エンジン200bとを備える構成例を示したが、改質エンジン200aを複数備える構成や、外部出力エンジン200bを複数備える構成を採用することもできる。
【0047】
(7)上記第3実施形態において、制御装置50は、単一の制御装置として示しているが、改質エンジン200a用の制御装置と、外部出力エンジン200bの制御装置とを、各別に備えることも可能である。
【0048】
(8)上記第3実施形態において、外部出力エンジン200bは、多気筒エンジンとして構成しているが、別に、単気筒であってもあっても構わない。
【0049】
(8)上記第3実施形態においては、改質ガス通流路28が、吸気本管70に接続される構成例を示した。しかしながら、当該改質ガス通流路28は、吸気支管70a、70b、70c、70dの少なくとも1つ以上に接続される構成、即ち、複数の気筒80a、80b、80c、80dの少なくとも1つ以上に改質ガスKが導かれる構成を採用しても構わない。
【0050】
(9)上記第3実施形態に示したエンジンシステム200の如く、上記第2実施形態に示したエンジンシステム100を改質エンジンとし、当該改質エンジンとは別に外部出力用の外部出力エンジンを備える構成を採用しても構わない。
【0051】
(10)上記第1、2実施形態にあっては、エンジンの回転軸のトルクを直接測定する構成例を示したが、当該構成に替えて、例えば、スロットル開度やブースト圧などから回転軸のトルクを推定するトルク推定手段を備える構成を採用しても構わない。
【0052】
(11)上記実施形態にあっては、燃料Fは、都市ガス13Aとしたが、本発明の本質的意味からは、ガス燃料に限らずガソリン等の液体燃料であっても構わない。
【0053】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のエンジンシステムは、通常気筒と当該通常気筒へ供給する改質ガスを生成する改質気筒との双方を少なくとも1つ以上備え、過給機を備える構成において、簡易な構成を維持しつつも、改質気筒へ通常気筒よりも空気過剰率の低い混合気を供給可能なエンジンシステムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
11 :第1燃料供給路
12 :差圧レギュレータ
13 :第1燃料流量制御弁
14 :ミキサ
20a、20b、20c:通常気筒用吸気支管
20d :改質気筒用吸気支管
24 :第1エジェクタ装置、第2エジェクタ装置
24a :ノズル
24b :ディフューザ
24c :吸引口
25 :燃焼用空気流量制御弁、第2燃料流量制御弁
27 :排気路
29 :燃焼用空気供給管、燃料供給管
30 :過給機
31 :コンプレッサ
32 :タービン
40a、40b、40c:通常気筒
40d :改質気筒
50 :制御装置
80a、80b、80c、80d:外部出力気筒
100 :エンジンシステム
200 :エンジンシステム
200a :改質エンジン
200b :外部出力エンジン
A :燃焼用空気
E :排ガス
F :燃料
K :改質ガス
M :混合気
図1
図2
図3
図4
図5