特許第6615045号(P6615045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

特許6615045通信装置、通信制御方法および通信システム
<>
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000002
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000003
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000004
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000005
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000006
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000007
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000008
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000009
  • 特許6615045-通信装置、通信制御方法および通信システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615045
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】通信装置、通信制御方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/18 20090101AFI20191125BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20191125BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20191125BHJP
   H04W 36/00 20090101ALI20191125BHJP
【FI】
   H04W36/18
   H04W4/00 110
   H04W24/06
   H04W36/00 110
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-94248(P2016-94248)
(22)【出願日】2016年5月10日
(65)【公開番号】特開2017-204682(P2017-204682A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】板津 多加夫
【審査官】 吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−022973(JP,A)
【文献】 特開2011−205479(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/047513(WO,A1)
【文献】 特開2007−019968(JP,A)
【文献】 特開2007−028630(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/035764(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0036573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方式により、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、第2の通信装置との通信を行う通信部と、
前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信状況の良否を判定する通信状況判定部と、
前記通信状況判定部によって、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信状況が良くないと判定された場合、地局との間での第2の通信方式による通信により、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャネルのうち、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する通信チャンネル検索部と、
前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信に利用する通信チャンネルを、前記一の通信チャンネルから、前記通信チャンネル検索部によって検索された前記切替先の通信チャンネルに切り替える通信切替部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信チャンネル検索部は、前記基地局との間での第2の通信方式による通信により、前記第2の通信装置との通信に利用可能な複数の通信チャンネルの各々の通信遅延時間を測定し、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信チャンネル検索部は、前記通信部が前記第2の通信装置との間での前記第1の通信方式による通信で利用中の通信チャンネルの通信遅延時間を測定し、測定された通信遅延時間を閾値として用い、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が前記閾値よりも短い通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信チャンネル検索部は、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が前記閾値よりも短い通信チャンネルが最初に見つかった時点で、当該通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信チャンネル検索部は、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が前記閾値よりも短く、且つ、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、前記切替先の通信チャンネルとして決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信遅延時間をpingコマンドにより測定する通信遅延測定部をさらに備え、
前記通信状況判定部は、前記通信遅延測定部によって測定された通信遅延時間に基づいて、前記第2の通信装置との通信における通信状況の良否を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の通信方式はWi−Fiであり、第2の通信方式はLTE−LAAである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
第1の通信装置による通信制御方法であって、
前記第1の通信装置の通信部が、第1の通信方式により、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、第2の通信装置との通信を行う通信工程と、
前記第1の通信装置の通信状況判定部が、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信状況の良否を判定する通信状況判定工程と、
前記第1の通信装置の通信チャンネル検索部が、前記通信状況判定部によって、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信状況が良くないと判定された場合、地局との間での第2の通信方式による通信により、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャネルのうち、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する通信チャンネル検索工程と、
前記第1の通信装置の通信切替部が、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信に利用する通信チャンネルを、前記一の通信チャンネルから、前記通信チャンネル検索部によって検索された前記切替先の通信チャンネルに切り替える通信切替工程と
を含むことを特徴とする通信制御方法。
【請求項9】
第1の通信装置、第2の通信装置および基地局を備えた通信システムであって、
前記第1の通信装置が、
第1の通信方式により、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、前記第2の通信装置との通信を行う通信部と、
前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信状況の良否を判定する通信状況判定部と
を備え、
前記第1の通信装置または前記第2の通信装置が、
前記通信状況判定部によって、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信における通信状況が良くないと判定された場合、地局との間での第2の通信方式による通信により、前記第1の通信方式に係る複数の通信チャネルのうち、前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する通信チャンネル検索部を備え、
前記第1の通信装置が、
前記第1の通信方式による前記第2の通信装置との通信に利用する通信チャンネルを、前記一の通信チャンネルから、前記通信チャンネル検索部によって検索された前記切替先の通信チャンネルに切り替える通信切替部をさらに備える
ことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御方法および通信システムに関し、特に、複数の通信チャンネルのうちのいずれか一のチャンネルを利用して通信を行うことができるようになされた通信装置、通信制御方法および通信システムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載機等の通信装置の中には、スマートフォン等の携帯端末との間で、特定の通信方式(例えば、Wi−Fi(登録商標)通信)を利用して、複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して通信を行うことで、携帯端末と連携することができるようになっているものがある。このように連携することで、例えば、携帯端末から車載機に対して動画をストリーミング再生したり、車載機のタッチパネルから携帯端末を操作したりすることができるようになる。
【0003】
このような車載機において、例えば、携帯端末との通信に現在利用している通信チャンネルと同一の通信チャンネルが、移動先の通信エリア内にある他の通信装置において既に利用されている場合がある。この場合、車載機は、同一の通信チャンネルを他の通信装置と共用することとなるため、他の通信装置が通信を行っている間、車載機は通信を待機しなければならなくなる。これにより、例えば、携帯端末から車載機に対してストリーミング再生していた動画が停止してしまったり、車載機から携帯端末に対する操作の応答に遅れが生じるといった問題が生じる。特に、同一の通信チャンネルを利用している通信装置の数が多いほど、遅延時間が長くなる傾向にある。
【0004】
そこで、従来、車載機が一の通信チャンネルを利用して携帯端末との通信を行っている際に、その一の通信チャンネルを利用した通信において電波干渉による性能低下が生じた場合、携帯端末との通信に利用可能な他の通信チャンネルの検索を行い、携帯端末との通信に利用する通信チャンネルを、検索された他の通信チャンネルに切り替えるといった手法が採用されている。
【0005】
例えば、下記特許文献1,2には、WLAN(Wireless LAN)装置と、周波数ホッピングにより通信を行うBT装置(Bluetooth(登録商標)対応の無線通信装置)とを備えた複合無線装置において、電源投入時に、受信するWLANチャネルを順次切り替えて、各WLANチャネルの通信品質情報を取得し、取得した各WLANチャネルの通信品質情報に基づいて、通信相手との間のWLAN通信で使用するWLANチャネルを決定したり、BT装置が周波数ホッピングに使用可能な周波数チャネルを決定したりする技術が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献1,2には、WLAN装置が使用中のWLANチャネルの品質が悪くなるなどして、WLAN装置が使用するWLANチャネルを変更する必要が生じた場合には、所定のプロトコルにしたがって、WLAN装置が使用するWLANチャネルを変更する技術が開示されている。また、下記特許文献1には、BT装置が通信品質の劣化を検出した場合、WLAN装置に対し、使用チャネルの変更、または通信の一時的な停止を指示して、BT装置が利用可能な良好なFHチャネルを増加させて通信品質を保証する技術が開示されている。
【0007】
なお、下記特許文献3には、端末機内に複数の通信モジュール(例えば、LTE、無線LAN、Bluetooth、GPS等)が共存する場合、これら複数の通信モジュールが相互干渉しないように、使用する周波数帯域を制御する技術が開示されている。
【0008】
また、下記特許文献4には、複数チャネルを用いて無線LAN通信を実行する無線LAN装置と、無線LAN通信で用いられる複数チャネルとは異なる他の複数チャネルを用いてBluetooth通信を実行する微弱電波無線装置とを備えた複合無線装置において、無線LAN装置の無線通信が終了した際、微弱電波無線装置が、無線LAN装置が通信停止直前まで使用していた周波数帯域を用いて通信を行うようにした技術が開示されている。
【0009】
また、下記特許文献5には、ライセンスバンド及び非ライセンスバンドを用いて無線基地局と通信を行うことが可能なユーザ端末において、非ライセンスバンドを使用してDL信号を送信する前にリスニング(LBT(Listen Before Talk))を実行して、他の通信システムとの干渉が検出された場合にはDL信号を送信せず、他の通信システムとの干渉が検出されない場合にはDL信号を送信する技術が開示されている。特に、下記特許文献5には、LBT結果が干渉検出(送信不適)であり、非ライセンスバンドを用いたUL送信を停止する場合であっても、LBT結果に関する情報をライセンスバンドを用いて無線基地局に報告するようにした技術が開示されている。これにより、無線基地局側において、UL送信指示をしたユーザ端末からUL送信が行われなかった原因を正確に把握できるようにしている。
【0010】
また、下記特許文献6には、ホッピングテーブルで示された複数のチャネルを所定期間ごとに変更しながら外部通信機器と無線通信を行う第1の無線通信部と、第1の無線通信部と同じ周波数帯域で通信方式の異なる無線通信を行う第2の無線通信部とを備えた無線装置において、第2の無線通信部が、複数のチャネルのそれぞれの電界強度を測定し、第1の無線通信部が、測定された電界強度が所定値より高いチャネルの使用を中止し、且つ、データを転送するデータスロットのみで構成されたタイムスロットで外部通信機器と無線通信を行うようにした技術が開示されている。これにより、第1の無線通信部は、データを連続して送信することができ、通信の遅延を極力防止して、良好な通信状態を維持することができるとともに、干渉を回避して良好な通信状態を維持することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−278764号公報
【特許文献2】特許第5474255号公報
【特許文献3】特表2013−537770号公報
【特許文献4】特開2011−146854号公報
【特許文献5】特開2015−179994号公報
【特許文献6】特許第4760750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述のように、一の通信チャンネルを利用した携帯端末との通信において電波干渉による性能低下が生じた際に、携帯端末との通信に利用可能な他の通信チャンネルの検索を行い、携帯端末との通信に利用する通信チャンネルを、検索された他の通信チャンネルに切り替える方法では、携帯端末との通信に利用可能な他の通信チャンネルを検索している間、それまで行っていた携帯端末との通信を一旦停止しなければならない。このため、切り替え先の他の通信チャンネルを検索している間、携帯端末との通信を行うことができず、携帯端末から車載機に対してストリーミング再生していた動画が停止してしまったり、車載機から携帯端末に対する操作の応答に遅れが生じるといった問題が生じていた。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、一の通信チャンネルを利用した通信において、電波干渉よる性能低下が生じた際に、その通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決するために、本発明の通信装置では、第1の通信方式に係る複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、第2の通信装置との間で第1の通信方式による通信を行っている際に、第2の通信装置との通信における通信状況の良否を判定するようにしている。そして、第2の通信装置との通信における通信状況が良くないと判定された場合、第2の通信方式による基地局との通信により、第1の通信方式に係る複数の通信チャネルのうち、第1の通信方式による第2の通信装置との通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索し、第1の通信方式による第2の通信装置との通信に利用する通信チャンネルを、一の通信チャンネルから検索された切替先の通信チャンネルに切り替えるようにしている。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した本発明によれば、第2の通信装置との通信を行っている際に、その通信において他の通信との電波干渉により通信性能が劣化した場合、第2の通信装置との通信に利用している通信方式(第1の通信方式)とは異なる他の通信方式(第2の通信方式)により、基地局に対して、切替先の通信チャンネルの検索が行われるようになる。すなわち、第2の通信装置との通信を継続したまま、切替先の通信チャンネルの検索を並行して行うことができる。したがって、本発明によれば、一の通信チャンネルを利用した通信において、電波干渉よる性能低下が生じた際に、その通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る車載機の機能構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る車載機による処理の一例を示すフローチャートである。
図3】通信チャンネル検索部による検索処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係る車載機による通信チャンネルの切り替え動作の一例を示す図である。
図5】通信チャンネル検索部による検索処理の変形例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る車載機及びスマートフォンの機能構成例を示すブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る車載機及びスマートフォンによる処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態に係るスマートフォンの機能構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る車載機及びスマートフォンの機能構成例を示すブロック図である。
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
〔車載機100aの機能構成例〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る車載機100aの機能構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1では、車載機100a(第1の通信装置)と、スマートフォン30a(第2の通信装置)と、基地局20とを備えて構成された通信システム10aを示している。車載機100aは、自動車等の車両に搭載される通信装置である。車載機100aは、Wi−Fi通信(第1の通信方式の一例)による無線通信機能と、LTE−LAA通信(第2の通信方式の一例)による無線通信機能とを有している。車載機100aは、Wi−Fi通信におけるアクセスポイント(以下、「AP」と示す)としての機能を有している。これにより、車載機100aは、自身のAPの通信エリア内にスマートフォン30aが存在するとき、Wi−Fi通信により、複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aと無線通信を行うことが可能である。
【0020】
スマートフォン30aは、ユーザ(車両の搭乗者)が所持する携帯端末である。スマートフォン30aは、Wi−Fi通信による無線通信機能を有している。また、スマートフォン30aは、Wi−Fi通信におけるステーション(以下、「STA」と示す)としての機能を有している。これにより、スマートフォン30aは、車載機100a(AP)の通信エリア内に自身が存在するとき、Wi−Fi通信により、車載機100aと無線通信を行うことが可能である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の車載機100aは、その機能構成として、通信部101、通信遅延測定部102、通信状況判定部103、通信チャンネル検索部104および通信切替部105を備えている。
【0022】
上記各機能ブロック101〜105は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック101〜105は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0023】
通信部101は、Wi−Fi通信により、複数の通信チャンネルのうちのいずれか一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aとの無線通信を行う。スマートフォン30aとの間で行われる無線通信として、例えば、スマートフォン30aからの動画のストリーミング再生、車載機100aのタッチパネル(図示省略)からのスマートフォン30aの操作等が挙げられる。但し、これらに限らない。
【0024】
通信遅延測定部102は、通信部101が利用している一の通信チャンネルを利用して、スマートフォン30aへpingコマンドを送信することにより、スマートフォン30aとの通信における通信遅延時間(本実施形態では、pingコマンドを発してから、その応答を受け取るまでにかかった時間を意味する)を測定する。
【0025】
通信状況判定部103は、通信部101によるスマートフォン30aとの通信における通信状況の良否を判定する。本実施形態では、通信状況判定部103は、通信遅延測定部102によって測定された通信遅延時間が所定の閾値thを超えた場合、通信部101によるスマートフォン30aとの通信における通信状況が良くないと判定する。反対に、通信状況判定部103は、通信遅延測定部102によって測定された通信遅延時間が所定の閾値thを超えていない場合、通信部101によるスマートフォン30aとの通信における通信状況が良いと判定する。なお、所定の閾値thは、適切な値が予めメモリ等に格納されている。
【0026】
通信チャンネル検索部104は、通信状況判定部103によってスマートフォン30aとの通信における通信状況が良くないと判定された場合、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、スマートフォン30aとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する。
【0027】
一例として、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定し、測定された通信遅延時間を閾値th2とする。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、複数の通信チャンネル(但し、現在利用中の一の通信チャンネルを除く)の各々の通信遅延時間を測定する。そして、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短く且つ、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する。
【0028】
変形例として、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定し、測定された通信遅延時間を閾値th2とする。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、複数の通信チャンネル(但し、現在利用中の一の通信チャンネルを除く)の各々の通信遅延時間を測定する。そして、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルが最初に見つかった時点で、当該通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する。
【0029】
上記処理において、現在利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を閾値th2とする理由は、少なくとも、現在利用中の一の通信チャンネルよりも通信状況の良好な他の通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定できるようにするためである。また、現在利用中の一の通信チャンネルの遅延時間を、LTE−LAA通信により測定する理由は、他の通信チャンネルの通信遅延時間を測定するときと通信方式についての条件を揃えることで、比較精度を高めるためである。
【0030】
通信切替部105は、通信状況判定部103によってスマートフォン30aとの通信における通信状況が良くないと判定された場合、通信部101がスマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルを、現在利用中の一の通信チャンネルから、通信チャンネル検索部104によって検索された切替先の通信チャンネルに切り替える。以降、通信部101によるスマートフォン30aとの通信には、切替先の通信チャンネルが利用される。
【0031】
〔車載機100aによる処理の一例〕
図2は、本発明の第1実施形態に係る車載機100aによる処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理は、例えば、車載機100aにおいて、通信部101によるスマートフォン30aとのWi−Fi通信が行われている間、繰り返し実行される。
【0032】
まず、通信遅延測定部102が、スマートフォン30aへpingコマンドを送信することにより、スマートフォン30aとのWi−Fi通信における通信遅延時間を測定する(ステップS202)。次に、通信状況判定部103が、ステップS202で測定された通信遅延時間が、所定の閾値thを超えたか否かを判定する(ステップS204)。
【0033】
ここで、通信遅延時間が所定の閾値thを超えていないと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS204:No)、車載機100aは、ステップS202以降の処理を再度実行する。
【0034】
一方、通信遅延時間が所定の閾値thを超えたと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS204:Yes)、通信チャンネル検索部104が、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、スマートフォン30aとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する(ステップS206)。なお、当該ステップS206の詳細については、図3を用いて後述する。
【0035】
そして、通信切替部105が、通信部101がスマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルを、現在利用中の一の通信チャンネルから、ステップS206で検索された切替先の通信チャンネルに切り替える(ステップS208)。そして、車載機100aは、図2に示す一連の処理を終了する。
【0036】
〔通信チャンネル検索部104による検索処理の一例〕
図3は、通信チャンネル検索部104による検索処理の一例を示すフローチャートである。具体的には、図3は、図2に示したフローチャートにおける、通信チャンネル検索部104による切替先の通信チャンネルの検索処理(ステップS206)の詳細の一例を示すものである。
【0037】
まず、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS302)。そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS302で測定された通信遅延時間を閾値th2に設定する(ステップS304)。
【0038】
次に、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネル(現在利用中の一の通信チャンネルを除く)のうちの一つを選択する(ステップS306)。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、ステップS306で選択した通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS308)。そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS308で測定した通信遅延時間を、車載機100aが備えるメモリに格納する(ステップS310)。
【0039】
その後、通信チャンネル検索部104は、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したか否かを判断する(ステップS312)。ここで、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定していないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS312:No)、通信チャンネル検索部104は、ステップS306以降の処理を再度実行する。
【0040】
一方、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS312:Yes)、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルがあるか否かを判断する(ステップS314)。
【0041】
ここで、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルがないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS314:No)、通信チャンネル検索部104は、図3に示す一連の処理を終了する。なお、ここで処理を終了した場合は、現在利用中の一の通信チャンネルよりも通信状況が良好な通信チャンネルが存在しないことを意味するため、車載機100aは、スマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルの切り替えを行わない。
【0042】
一方、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルがあると通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS314:Yes)、通信チャンネル検索部104は、測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短い通信チャンネルのうち、測定した通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する(ステップS316)。そして、通信チャンネル検索部104は、図3に示す一連の処理を終了する。
【0043】
〔車載機100aによる切り替え動作の一例〕
図4は、本発明の第1実施形態に係る車載機100aによる通信チャンネルの切り替え動作の一例を示す図である。
【0044】
図4(a)は、車載機100aによる通信チャンネルの切り替え動作が行われる前の、通信チャンネルの利用状態を示している。図4(a)に示す例では、車載機100a(AP)とスマートフォン30a(STA)とのWi−Fi通信において、複数の通信チャンネル1〜11のうち、通信部101によって任意に選択された通信チャンネル1が利用されている。
【0045】
図4(b)は、通信チャンネル1を利用した通信部101とスマートフォン30とのWi−Fi通信において、通信遅延時間が所定の閾値thを超えたときに、通信チャンネル検索部104によって、LTE−LAA通信によるpingコマンドを基地局20へ送信することによって測定された、複数の通信チャンネル1〜11の各々の通信遅延時間を示す。このように、複数の通信チャンネル1〜11の通信遅延時間が測定されると、通信チャンネル検索部104は、まず、通信部101とスマートフォン30との通信に現在利用されている通信チャンネル1の通信遅延時間(図4(b)の例では、「10ms」)を、他の通信チャンネル2〜11の通信遅延時間との比較に用いる閾値th2に設定する。そして、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネル2〜11のうち、通信遅延時間が閾値th2(通信チャンネル1の通信遅延時間)よりも短く、且つ、通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する。例えば、図4(b)に示す例では、通信チャンネル検索部104は、上記条件を満たす通信チャンネル4(通信遅延時間=「6ms」)を、切替先の通信チャンネルとして決定する。
【0046】
図4(c)では、車載機100aによる通信チャンネルの切り替え動作が行われた後の、通信チャンネルの利用状態を示している。図4(b)で説明したように、通信チャンネル検索部104によって、通信チャンネル4が切替先の通信チャンネルとして決定されると、図4(c)に示すように、通信切替部105によって、通信部101とスマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルが、通信チャンネル1から通信チャンネル4に切り替えられる。以降、車載機100aの通信部101とスマートフォン30aとの通信が、通信遅延時間が最も短い通信チャンネル4を利用して行われることとなり、通信状況が改善されることとなる。
【0047】
〔通信チャンネル検索部104による検索処理の変形例〕
図5は、通信チャンネル検索部104による検索処理の変形例を示すフローチャートである。具体的には、図5は、図2に示したフローチャートにおける、通信チャンネル検索部104による切替先の通信チャンネルの検索処理(ステップS206)の詳細の変形例を示すものである。
【0048】
まず、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、通信部101がスマートフォン30aとの間で利用中の一の通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS502)。そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS502で測定された通信遅延時間を閾値th2に設定する(ステップS504)。
【0049】
次に、通信チャンネル検索部104は、複数の通信チャンネル(現在利用中の一の通信チャンネルを除く)のうちの一つを選択する(ステップS506)。また、通信チャンネル検索部104は、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、基地局20へpingコマンドを送信することで、ステップS506で選択した通信チャンネルの通信遅延時間を測定する(ステップS508)。
【0050】
そして、通信チャンネル検索部104は、ステップS508で測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短いか否かを判断する(ステップS510)。ステップS510において、ステップS508で測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短くないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS510:No)、通信チャンネル検索部104は、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したか否かを判断する(ステップS512)。
【0051】
ここで、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定していないと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS512:No)、通信チャンネル検索部104は、ステップS506以降の処理を再度実行する。一方、全ての通信チャンネルについて通信遅延時間を測定したと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS512:Yes)、通信チャンネル検索部104は、図5に示す一連の処理を終了する。なお、ここで処理を終了した場合は、現在利用中の一の通信チャンネルよりも通信状況が良好な通信チャンネルが存在しないことを意味するため、車載機100aは、スマートフォン30aとの通信に利用する通信チャンネルの切り替えを行わない。
【0052】
ステップS510において、ステップS508で測定した通信遅延時間が閾値th2よりも短いと通信チャンネル検索部104が判断した場合(ステップS510:Yes)、通信チャンネル検索部104は、ステップS506で選択した通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定する(ステップS514)。そして、通信チャンネル検索部104は、図5に示す一連の処理を終了する。
【0053】
図5に示す処理によれば、全ての通信チャンネルの通信遅延時間を測定しなくとも、閾値th2よりも通信遅延時間が短い通信チャンネルが検出された時点で、その通信チャンネルを切替先の通知チャンネルとして決定することができる。このため、図3に示す処理と比較して、切替先の通信チャンネルの検索時間をより短くすることができる。すなわち、より早く通信チャンネルの切り替えを行うことができる。但し、通信遅延時間がより短い通信チャンネルを検索することができるという観点からすれば、図5に示す処理よりも、図3に示す処理のほうが優位である。
【0054】
以上説明したとおり、本発明の第1実施形態によれば、車載機100aがスマートフォン30aとの通信を行っている際に、その通信において他の通信との電波干渉により通信性能が劣化し、通信遅延時間が閾値thを超えた場合、スマートフォン30aとの通信に利用しているWi−Fi通信とは異なるLTE−LAA通信により、基地局20に対して、切替先の通信チャンネルの検索が行われるようになる。すなわち、車載機100aとスマートフォン30aとの間のWi−Fi通信を継続したまま、切替先の通信チャンネルの検索を並行して行うことができる。したがって、本発明の第1実施形態によれば、一の通信チャンネルを利用した通信において、電波干渉よる性能低下が生じた際に、その通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索することができる。
【0055】
特に、本発明の第1実施形態によれば、単に機器間のデータの往復にかかる時間を計測するためのpingコマンドを用いて、スマートフォン30aとの通信における通信遅延時間を測定し、この通信遅延時間に基づいて、スマートフォン30との通信における通信状況の良否を判定するようにしている。このため、スマートフォン30aとの通信における通信状況の良否を判定するための、通信部101とスマートフォン30aとの通信に及ぼす影響を最小限のものとすることができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、図6および図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態からの変更点についてのみ説明することとし、その他の点については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0057】
〔車載機100bの機能構成例〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る車載機100b及びスマートフォン30bの機能構成例を示すブロック図である。図6では、車載機100b(第1の通信装置)と、スマートフォン30b(第2の通信装置)と、基地局20とを備えて構成された通信システム10bを示している。車載機100bは、通信チャンネル検索部104の代わりに検索指示/結果取得部106を備える点で、第1実施形態の車載機100aと異なる。また、スマートフォン30bは、通信部31、通信チャンネル検索部32および検索結果通知部33を備える点で、第1実施形態のスマートフォン30aと異なる。
【0058】
車載機100bの検索指示/結果取得部106は、通信状況判定部103によってスマートフォン30bとの通信における通信状況が良くないと判定された場合、切替先の通信チャンネルの検索指示をスマートフォン30bへ送信する。また、検索指示/結果取得部106は、スマートフォン30bの検索結果通知部33により通知された、切替先の通信チャンネルの検索結果を受信する。
【0059】
スマートフォン30bの通信部31は、車載機100bの通信部101との間でWi−Fi通信を行う。また、通信部31は、車載機100bから送信されてきた、切替先の通信チャンネルの検索指示を受信する。また、通信部31は、切替先の通信チャンネルの検索結果を車載機100bへ送信する。
【0060】
スマートフォン30bの通信チャンネル検索部32は、通信部31が切替先の通信チャンネルの検索指示を受信すると、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、車載機100bとスマートフォン30bとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する。なお、通信チャンネル検索部32による切替先の通信チャンネルを検索処理の詳細については、第1実施形態で説明した通信チャンネル検索部104による検索処理と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
スマートフォン30bの検索結果通知部33は、通信チャンネル検索部32による切替先の通信チャンネルの検索結果を、通信部31を介して車載機100bへ通知する。
【0062】
〔車載機及びスマートフォンによる処理の一例〕
図7は、本発明の第2実施形態に係る車載機100b及びスマートフォン30bによる処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理は、例えば、車載機100bの通信部101と、スマートフォン30bの通信部31との間でWi−Fi通信が行われている間、繰り返し実行される。
【0063】
まず、車載機100bにおいて、通信遅延測定部102が、スマートフォン30bへpingコマンドを送信することにより、スマートフォン30bとのWi−Fi通信における通信遅延時間を測定する(ステップS702)。次に、通信状況判定部103が、ステップS702で測定された通信遅延時間が、所定の閾値thを超えたか否かを判定する(ステップS704)。
【0064】
ここで、通信遅延時間が所定の閾値thを超えていないと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS704:No)、車載機100bは、ステップS702以降の処理を再度実行する。
【0065】
一方、通信遅延時間が所定の閾値thを超えたと通信状況判定部103が判定した場合(ステップS704:Yes)、検索指示/結果取得部106が、切替先の通信チャンネルの検索指示を、スマートフォン30bへ送信する(ステップS706)。
【0066】
スマートフォン30bにおいて、ステップS706で送信された検索指示を通信部31が受信すると(ステップS708)、通信チャンネル検索部32が、LTE−LAA通信による基地局20との通信により、車載機100bとスマートフォン30bとの通信に利用可能な切替先の通信チャンネルを検索する(ステップS710)。なお、当該ステップS710の詳細については、第1実施形態(図3および図5)と同様であるため、説明を省略する。そして、検索結果通知部33が、ステップS710による切替先の通信チャンネルの検索結果を、通信部31を介して車載機100bへ通知する(ステップS712)。
【0067】
そして、車載機100bにおいて、検索指示/結果取得部106が、ステップS712で通知された、切替先の通信チャンネルの検索結果を受信する(ステップS714)。さらに、通信切替部105が、通信部101がスマートフォン30bとの通信に利用する通信チャンネルを、現在利用中の一の通信チャンネルから、ステップS714で受信した検索結果によって特定される切替先の通信チャンネルに切り替える(ステップS716)。そして、車載機100bおよびスマートフォン30bは、図7に示す一連の処理を終了する。
【0068】
以上、本発明の第2実施形態で説明したように、スマートフォン30bから基地局20に対して切替先の通信チャンネルを検索するようにしてもよい。この場合も、第1実施形態と同様に、車載機100bとスマートフォン30bとの間のWi−Fi通信を継続したまま、切替先の通信チャンネルの検索を並行して行うことができる。したがって、本発明の第2実施形態によれば、一の通信チャンネルを利用した通信において、電波干渉よる性能低下が生じた際に、その通信を途切れさせることなく、切り替え先の他の通信チャンネルを検索することができる。特に、本発明の第2実施形態によれば、車載機100bがLTE−LAA通信による切替先の通信チャンネルの検索機能を有していなくても、当該検索機能をスマートフォン30bによって実現することができる。
【0069】
〔第3実施形態〕
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態からの変更点についてのみ説明することとし、その他の点については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0070】
図8は、本発明の第3実施形態に係るスマートフォン30cの機能構成例を示すブロック図である。図8に示す第3実施形態の通信システム10cは、スマートフォン30cがAPとして機能し、車載機100cがSTAとして機能する点が、第1実施形態の通信システム10a(車載機100aがAPとして機能し、スマートフォン30aがSTAとして機能する)と異なる。
【0071】
これに応じて、スマートフォン30cに、通信部301、通信遅延測定部302、通信状況判定部303、通信チャンネル検索部304、通信切替部305を設けている。これら各機能部301〜305は、第1実施形態で説明した車載機100aが備える各機能部101〜105と同様の機能を有するものである。
【0072】
すなわち、この第3実施形態では、スマートフォン30cが、第1実施形態で説明した車載機100aと同様に動作する。また、車載機100cが、第1実施形態で説明したスマートフォン30aと同様に動作する。よって、この第3実施形態の通信システム10cによれば、第1実施形態の通信システム10aと同様に動作し、第1実施形態の通信システム10aと同様の効果を奏することができる。
【0073】
〔第4実施形態〕
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、第2実施形態からの変更点についてのみ説明することとし、その他の点については第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0074】
図9は、本発明の第4実施形態に係る車載機100d及びスマートフォン30dの機能構成例を示すブロック図である。図9に示す第4実施形態の通信システム10dは、スマートフォン30dがAPとして機能し、車載機100dがSTAとして機能する点が、第2実施形態の通信システム10b(車載機100bがAPとして機能し、スマートフォン30bがSTAとして機能する)と異なる。
【0075】
これに応じて、スマートフォン30dに、通信部301、通信遅延測定部302、通信状況判定部303、通信切替部305、検索指示/結果取得部306を設けている。これら各機能部301〜303,305,306は、第2実施形態で説明した車載機100bが備える各機能部101〜103,105,106と同様の機能を有するものである。
【0076】
また、車載機100dに、通信部111、通信チャンネル検索部112、検索結果通知部113を設けている。これら各機能部111〜113は、第2実施形態で説明したスマートフォン30bが備える各機能部31〜33と同様の機能を有するものである。
【0077】
すなわち、この第4実施形態では、スマートフォン30dが、第2実施形態で説明した車載機100bと同様に動作する。また、車載機100dが、第2実施形態で説明したスマートフォン30bと同様に動作する。よって、この第4実施形態の通信システム10dによれば、第2実施形態の通信システム10bと同様に動作し、第2実施形態の通信システム10bと同様の効果を奏することができる。
【0078】
なお、上記各実施形態では、pingコマンドによって測定された通信遅延時間に基づいて、Wi−Fi通信の通信状況を判定するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、他の指標値(例えば、スループット測定値、RSSI測定値等)に基づいて、Wi−Fi通信の通信状況を判定するようにしてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態では、LTE−LAA通信によるpingコマンドによって測定された通信遅延時間に基づいて、切替先の通信チャンネルを決定するようにしているが、本発明はこれに限らない。例えば、他の指標値(例えば、スループット測定値、RSSI測定値等)に基づいて、切替先の通信チャンネルを決定するようにしてもよい。
【0080】
また、上記各実施形態では、第1の通信装置の一例として、車載機(第1,第2実施形態)またはスマートフォン(第3,第4実施形態)を用いているが、本発明はこれに限らない。また、上記各実施形態では、第2の通信装置の一例として、スマートフォン(第1,第2実施形態)または車載機(第3,第4実施形態)を用いているが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1の通信装置および第2の通信装置は、互いに無線通信を行うことができるものであれば、どのような通信装置であってもよい。例えば、第1の通信装置および第2の通信装置は、いずれも、車両に搭載される通信装置であってもよく、それ以外の通信装置であってもよい。また、第1の通信装置および第2の通信装置は、いずれも、特定の場所に固定的に設置される通信装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)であってもよく、携帯性を有する通信装置(例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機等)であってもよい。
【0081】
また、上記各実施形態では、第1の通信方式の一例としてWi−Fi通信を用いているが、本発明はこれに限らない。また、上記各実施形態では、第2の通信方式の一例としてLTE−LAA通信を用いているが、本発明はこれに限らない。少なくとも、第2の通信方式が、第1の通信方式による通信に利用可能な複数の通信チャンネルの各々の通信状況を確認できるものであれば、第1の通信方式と第2の通信方式との組み合わせは、どのようなものであってもよい。
【0082】
また、上記各実施形態(図3で説明した検索処理)において、複数の通信チャンネルのうち、通信遅延時間が閾値th2よりも短く、且つ、通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定するようにしているが、閾値th2を設定することなく、単に、通信遅延時間が最も短い通信チャンネルを、切替先の通信チャンネルとして決定するようにしてもよい。
【0083】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
10a,10b,10c,10d 通信システム
20 基地局
30a,30b,30c,30d スマートフォン
31,111 通信部
32,112 通信チャンネル検索部
33,113 検索結果通知部
100a,100b,100c,100d 車載機
101,301 通信部
102,302 通信遅延測定部
103,303 通信状況判定部
104,304 通信チャンネル検索部
105,305 通信切替部
106,306 検索指示/結果取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9