(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のパレットレール(21,31)は水平方向に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられ、短レール(63)はパレット移動手段(61)の回転円周上での対向した一対の組が複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のパレット搬送装置。
複数のパレットレール(21,31)は水平方向に所定の間隔を開けて互いに直角又は所定の角度で設けられ、短レールはパレット移動手段の回転円周上に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のパレット搬送装置。
パレット送り補助手段(81)は、幅方向に延びる凹凸(82a,82b)が長手方向に交互に連続して形成されパレットレール(21,31)の端部及びそれに連続する短レール(63)に沿って無端で設けられて循環する補助循環ベルト(82)を備え、
前記凹凸(82a,82b)に係合可能な被凹凸(14a,14b)がパレット(11)の下面に形成され、
前記パレット送り補助手段(81)が上昇すると前記補助循環ベルト(82)の凹凸(82a,82b)に前記パレットの被凹凸(14a,14b)が係合して前記補助循環ベルト(82)の循環により前記パレット(11)を移動させ、
前記パレット送り補助手段(81)が下降すると前記凹凸(82a,82b)が前記被凹凸(14a,14b)から離間するように構成された請求項1記載のパレット搬送装置。
パレット送り補助手段(81)はパレット送り手段(41,51)に近い側の端部に支点を設け、前記支点を回転軸として他端が昇降することを特徴とする請求項1記載のパレット搬送装置。
パレットレール(21,31)の端部に連続するように前記パレットレール(21,31)の同一直線上及びパレット送り補助手段(81)に沿って設けられた補助レール(96)と、前記補助レール(96)を前記パレットレール(21,31)の端部に連続する第一位置と、前記第一位置より下方の第二位置の間で昇降させる補助レール昇降手段(97)とを更に備えた請求項1記載のパレット搬送装置。
補助レール(96)はパレットレール(21,31)に近い側の端部に支点(96a)を設け、前記支点(96a)を回転軸として他端が昇降することを特徴とする請求項7記載のパレット搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1及び
図2に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。
【0025】
このパレット搬送装置10は、ワーク6(
図4)を搭載したパレット11をトラック形の軌道で循環させて搬送し、その搬送経路に沿って設けられた工作機1〜4(
図1)の前でそのパレット11を停止させて、それらの工作機1〜4によりそのパレット11に搭載されたワーク6を加工させるような場合に用いられるパレットが循環する方式のパレット搬送装置である。
【0026】
なお、
図1では、本発明のパレット搬送装置10の両側に工作機1〜4が4台設けられる場合を示すけれども、これは一例であって、この工作機1〜4の台数は、加工を必要とするワーク6により異なり、パレット11の台数は、その工作機1〜4の台数に応じて適宜に増減されるものである。
【0027】
本実施の形態におけるパレット搬送装置10は、パレットを移動可能に搭載する複数のパレットレールとして、具体的には水平方向(Y軸方向)に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられた第一パレットレール21及び第二パレットレール31を備える場合について説明する。
【0028】
この第一及び第二パレットレール21,31は、パレット11を移動可能に搭載するものであり、それぞれが架台9上にX軸方向に真っ直ぐに延びて設けられ、循環式にパレット11が移動、搬送されるものである。
【0029】
両者は同一構造であるため、第一パレットレール21を代表して説明すると、この第一パレットレール21は、パレット11を水平状態で搭載するものであって、
図4に詳しく示すように、架台9上に直接固定されて設けられた支持板22と、その支持板22の上縁にねじ止めにより固定された市販の直線運動ガイドレール23を備える。
【0030】
一方、第一及び第二パレットレール21,31に搭載されるパレット11は、直線運動ガイドレール23を跨いで第一及び第二パレットレール21,31上を移動可能に構成された直線運動ブロック12と、その直線運動ブロック12にねじ止めされた台座13と、その台座13に設けられた係止部材14とを有する。
【0031】
この直線運動ブロック12は直線運動ガイドレール23と対に販売される市販のものであって、図示しないローラリテーナを備えるものが好ましい。このローラリテーナを備える直線運動ブロック12を用いることにより、その幅方向(Y軸方向)の移動や第一及び第二パレットレール21,31に対する傾動を禁止しつつパレット11が第一及び第二パレットレール21,31上を移動する抵抗を著しく軽減することができるものである。
【0032】
台座13の一方の側部にはワーク6を搭載する搭載具16がその上面に設けられる。この搭載具16は、ワーク6を台座13に固定して搭載するものであり、この搭載具16の構造はパレット11に搭載して加工しようとするワーク6の種類によって、適宜変更使用されるものである。そして、直線運動ブロック12は台座13の他方の側部に固定され、係止部材14は、この直線運動ブロック12と搭載具16の間の台座13に設けられる。
【0033】
このように、台座13の他方の側部に固定された直線運動ブロック12を、第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23に跨がせて移動可能に支持させることにより、パレット11は水平状態で第一及び第二パレットレール21,31に移動可能に搭載されることになる。
【0034】
ここで、
図1に示すように、パレット11における台座13は、そのX軸方向の長さLが各工作機1〜4が設置されているピッチPと同一又はそのピッチPより短く形成されることが好ましい。
【0035】
このため、第一及び第二パレットレール21,31上を複数のパレット11がワーク6を搭載した状態で所定のピッチPを空けて移動すると、水平状態の台座13の一方の側部が工作機1〜4側に突出することになり、複数のパレット11は各工作機1〜4に対峙し、搭載具16を介してその側部に搭載されたワーク6を工作機1〜4により加工可能に構成される。
【0036】
なお、台座13には、後述するパレット係止機構71における昇降ロッド72(
図6〜
図8)が進入する係止穴13aが他方の側部に形成される。この係止穴13aは昇降ロッド72の上端が進入可能なように、その上端外径より僅かに大きな径に形成される。また、係止部材14の詳細は後述する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態におけるパレット搬送装置10は、第一パレットレール21に搭載されたパレット11をその第一パレットレール21に沿って搬送させる第一パレット送り手段41と、第二パレットレール21に搭載されたパレット11をその第二パレットレール31に沿って搬送させる第二パレット送り手段51(
図1)を備える。
【0038】
この第一パレット送り手段41及び第二パレット送り手段51は同一構造であるで、以下に第一パレット送り手段41を代表して説明する。
【0039】
この第一パレット送り手段41は、パレット11と係合可能に構成され第一パレットレール21に沿って無端で設けられて循環する循環ベルト42と、この循環ベルト42を循環させる循環機構43(
図2)とを備える。
【0040】
図2に示すように、第一パレットレール21における支持板22には、その四隅に従動プーリ44が設けられ、循環ベルト42はこれらの四つの従動プーリ44を包囲するように掛け回される。
【0041】
また、この支持板22には、この循環ベルト42を循環させる循環機構であるサーボモータ43が設けられ、その回転軸43aに駆動プーリ45が取付けられる。駆動プーリ45は四つの従動プーリ44と同一面上に設けられ、その駆動プーリ45の近傍には、その駆動プーリ45に循環ベルト42を掛け回すようにその循環ベルト42を転向させる一対の転向プーリ46が支持板22に枢支される。
【0042】
そして図示しないコントローラからの指令によりサーボモータ43が駆動すると、回転軸43aが駆動プーリ45とともに回転し、駆動プーリ45に掛け回された循環ベルト42が四つの従動プーリ44を包囲した状態で循環するように構成される。
【0043】
循環ベルト42はいわゆる歯付きベルトである。この循環ベルト42は、
図2の拡大図に示すように、幅方向に延びる凹凸42a,42bが長手方向に交互に連続するベルトであって、その凹凸42a,42bに係合可能な被凹凸14a,14bがパレット11に形成される。被凹凸14a,14bはパレット11を構成する係止部材14に形成される。
【0044】
直線運動ブロック12と同じ下側に設けられた係止部材14は、循環ベルト42に重合して係合するように構成される。即ち、係止部材14に循環ベルト42が重合すると、この係止部材14に形成された被凹凸14a,14bに、循環ベルト42に形成された凹凸42a,42bが係合し、循環ベルト42から係止部材14が浮き上がって離間すると、循環ベルト42の凹凸42a,42bと係止部材14の被凹凸14a,14bとの係合が解除されるように構成される。
【0045】
パレット11における被凹凸14a,14bが循環ベルト42の凹凸42a,42bに係合すると、循環ベルト42と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止される。これにより、サーボモータ43を駆動させて、パレット11が係合された循環ベルト42を循環させると、パレット11がその循環ベルト42とともに移動し、循環ベルト42が沿う第一及び第二パレットレール21,31に沿ってそのパレット11は搬送されることになる。
【0046】
ここで、
図2の符号47は、従動プーリ44間の循環ベルト42が弛むことを防止して係止部材14から循環ベルト42が離間することを防止する支持材47であり、符号48は、その支持材47を支持板22に取付ける取付具48を示す。
【0047】
図1に示すように、第一及び第二パレットレール21,31の両端部には、パレット移動手段61がそれぞれ設けられる。
【0048】
このパレット移動手段61は、第一又は第二パレットレール21又は31のいずれか一方のパレットレールに搭載されたパレット11を第二又は第一パレットレール31又は21の他方のパレットレールにまで移動するものである。
【0049】
本実施の形態においては、第一パレットレール21に搭載されたパレット11を第二パレットレール31にまで移動する場合と第二パレットレール31に搭載されたパレット11を第一パレットレール21にまで移動する場合が該当する。
【0050】
また、このパレット移動手段61は、
図1に一点鎖線で示すように、所定の間隔を開けて設けられた第一及び第二パレットレール21,31の中間線m上の鉛直軸を回転軸として回転可能な回転板62と、その回転板62の周囲の回転円周上の接線Tに平行に設けられた1又は2以上の短レール63と、その回転板62を回転させるインデックスユニット64(
図6〜
図8)とを備える。
【0051】
なお、本実施の形態においては、短レール63はパレット移動手段61を構成する回転板62の回転円周上で対向した一対の組が2つ設けられている場合として説明する。
【0052】
図6〜
図8に示すように、インデックスユニット64は、方形箱型を有する本体部64aの上面略中央部分から鉛直線を回転中心Oとして上方に突出する回転ロッド64bを有し、この回転ロッド64bの回転中心Oを第一及び第二パレットレール21,31の中間線m(
図1)上に位置させてその本体部64aが架台9に取付けられる。
【0053】
回転板62はこの回転ロッド64bの上端に水平状態でネジ止めされ、図示しないコントローラからの指令により回転ロッド64bを回転可能に構成され、その回転により、
図11の実線矢印で示すように、回転板62は所定の角度回転するように構成される。
【0054】
図1に戻って、回転板62の周囲には1又は2以上の短レール63が設けられる。この実施の形態における短レール63は、パレット移動手段61における回転板62の回転円周上で対向した一対の組が2組設けられ、合計で4つの短レール63が用いられる場合を示す。
【0055】
具体的に、4本の短レール63が用いられるこの実施の形態における回転板62は、上面視で十字形を成して形成され、その周囲に突出する4カ所の突出端の回転中心Oから等しい位置、回転板62の回転円周上で対向した二対の短レール63の組として90度毎に4カ所設けられる。
【0056】
これらの短レール63は、第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23と同一のものが用いられ、この短レール63の長さWは、パレット11のX軸方向の長さLと同一又はそれよりも長く形成される。
【0057】
対向した二対の組を構成する4つの短レール63が設けられるこの実施の形態では、回転中心Oを対称点として対称位置にある二つの短レール63が第一及び第二パレットレール21,31の直線運動ガイドレール23に連続するように、インデックスユニット64の本体部64aが架台9に固定される。
【0058】
即ち、第一パレットレール21における直線運動ガイドレール23に連続する短レール63を、回転板62の回転中心Oを中心として180度回動させると、その短レール63は第二パレットレール31における直線運動ガイドレール23に連続するように配置される。
【0059】
そして、第一及び第二パレットレール21,31の直線運動ガイドレール23に短レール63が連続した場合に、その短レール63は、第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23から移動したパレット11を搭載し、又は、短レール63に搭載されたパレット11をそれらの直線運動ガイドレール23に移動可能に構成される。
【0060】
ここで、
図1に示すように、第一及び第二パレットレール21,31と、それに連続する短レール63との間には、回転板62が回転するときに、それらが接触して回転板62の回転を阻害しないように所定の隙間dが設けられる。
【0061】
図6〜
図8に示すように、回転板62には、その回転板62の周囲に設けられた短レール63にパレット11が搭載された状態で、パレット11の移動を禁止するパレット係止機構71が短レール63毎に設けられる。
【0062】
この実施の形態におけるパレット係止機構71は、回転板62に設けられて短レール63に搭載されたパレット11の係止穴13aに上端が進入可能に形成された昇降ロッド72と、その上端が係止穴13aに進入する方向に昇降ロッド72を付勢する弾性体73と、その弾性体73の付勢力に抗して上端が係止穴13aから離脱する方向に昇降ロッド72を移動させるシリンダ74,75とを備える。
【0063】
回転板62には昇降ロッド72が貫通する貫通孔13bが形成され、昇降ロッド72はその貫通孔13bを貫通して鉛直方向に移動可能に設けられ、その上端が係止穴13aに進入した状態で係止穴13aの周囲の台座13の下面に下方から接触するフランジ72aが昇降ロッド72に設けられる(
図7及び
図8)。
【0064】
弾性体であるコイルスプリング73はそのフランジ72aと回転板62の間に圧縮された状態で介装され、コイルスプリング73の伸張しようとする付勢力により、昇降ロッド72を上方に付勢するものとする。
【0065】
そして、回転板62の下面には支柱76が下方に向かって突出して設けられ、その支柱76の下端には揺動片77の略中央が枢支される。揺動片77は回転板62の半径方向に延びて枢支され、その外側端部が昇降ロッド72の下端に枢支される。
【0066】
シリンダは、短レール63が第一パレットレール21に連続した時に、揺動片77の内側端部に出没ロッド74aの上端が対向するように架台9に取付けられた第一シリンダ74と、短レール63が第二パレットレール31に連続した時に、揺動片77の内側端部に出没ロッド75aの上端が対向するように架台9に取付けられた第二シリンダ75とを備える。
【0067】
図6に示すように、揺動片77の内側端部に出没ロッド74a,75aが対向するシリンダ74,75がそのロッド74a,75aを突出させると、それにより揺動片77が揺動し、その揺動片77の外側端部に下端が枢支された昇降ロッド72が弾性体であるコイルスプリング73の付勢力に抗して下方に移動する。すると、その上端がパレット11に設けられた係止穴13aから離脱するように構成される。そして、係止穴13aから昇降ロッド72の上端が離脱すると、短レール63に搭載されたパレット11の自由な移動が可能になるように構成される。
【0068】
一方、
図7に示すように、シリンダ74,75がそのロッド74a,75aを本体73b,75b内部に没入させると、昇降ロッド72がコイルスプリング73の付勢力により上方に移動し、その上端がパレット11に設けられた係止穴13aに進入する。これにより短レール63に搭載されたパレット11の自由な移動を禁止するように構成される。
【0069】
従って、このパレット移動手段61では、
図6に示すように、第一シリンダ74によりその出没ロッド74aを突出させて、昇降ロッド72をコイルスプリング73の付勢力に抗して下方に移動させ、その状態で、第一パレットレール21から、それに連続する短レール63にパレット11を移動させて搭載する。
【0070】
その後、
図7に示すように、第一シリンダ74によりその出没ロッド74aを没入させることにより、昇降ロッド72をコイルスプリング73の付勢力により上方に移動させ、その上端をパレット11に設けられた係止穴13aに進入させる。これにより、その短レール63に搭載されたパレット11の移動を停止する。
【0071】
この状態で後述するパレット送り補助手段81を下降させた後、パレット11とともに回転板62を回転させることにより、パレット11が搭載された短レール63を第一パレットレール21に連続する第一位置から離して、第二パレットレール31に連続する第二位置まで回転させることができることになる。
【0072】
そして、パレット11が搭載された短レール63が第二位置まで回転した状態では、
図11に示すように、その短レール63は第二パレットレール31と連続することになる。
【0073】
その後、
図6に示すように、第二シリンダ75によりその出没ロッド75aを突出させて、昇降ロッド72をコイルスプリング73の付勢力に抗して再び下方に移動させ、その短レール63に搭載されたパレット11の移動を許容する。これにより、そのパレット11を第二パレットレール31に移動することが可能になるのである。
【0074】
図1及び
図2に示すように、このパレット搬送装置10は、第一又は第二パレットレール21,31に沿って搬送されたパレット11を第一又は第二パレットレール21,31から第一又は第二パレットレール21,31に連続する短レール63に移動させるか、あるいはその短レール63に搭載されたパレット11を短レール63に連続する第一又は第二パレットレール21,31に移動させるパレット送り補助手段81を備える。
【0075】
パレット送り補助手段81は、第一及び第二パレットレール21,31の両端部のそれぞれに設けられ、これらは同一構造である。よって、その内の1つを代表して説明する。
【0076】
この実施の形態におけるパレット送り補助手段81は、第一及び第二パレットレール21,31の端部及びその端部に連続する短レール63に沿って循環するように循環ベルト42に連続して設けられた補助循環ベルト82と、これらの補助循環ベルト82を循環させる補助循環機構83(
図2)を備える。
【0077】
補助循環ベルト82は、循環ベルト62と同様のいわゆる歯付きベルトであり、この補助循環ベルト82にも、幅方向に延びる凹凸82a,82bが長手方向に交互に連続して形成される(
図2の拡大図)。そして、パレット11の係止部材14に形成された被凹凸14a,14bが、この凹凸82a,82bにも係合可能に構成される。
【0078】
この実施の形態におけるパレット送り補助手段81は、第一及び第二パレット送り手段41,51に近い側の端部に支点を設け、その支点を回転軸として他端が昇降するものとして説明するものの、パレット送り補助手段81は水平に昇降するものであってもよい。
【0079】
図2及び
図6に示すように、第一及び第二パレットレール21,31における支持板22の両端部近傍に枢支柱90が架台9に立設され、支持板22に連続するような補助板91の第一及び第二パレット送り手段41,51に近い一端がこの枢支柱90に枢支される。
【0080】
この補助板91の上端には第一及び第二パレットレール21,31の端部及びこの第一及び第二パレットレール21,31に連続する短レール63に沿ってガイド材92がX軸方向に延びて水平に設けられる。
【0081】
このガイド材92は、第一及び第二パレットレール21,31の端部及びこの第一及び第二パレットレール21,31に連続する短レール63に沿う補助循環ベルト82を下方から支えるものである。
【0082】
また、ガイド材92の両側における補助板91には、ガイド材92の上面に乗ってX軸方向に移動する補助循環ベルト82を転向させる補助プーリ93が枢支される。
【0083】
また、この補助板91には、この補助循環ベルト82を循環させる補助循環機構であるサーボモータ83が設けられ、その回転軸83aに補助駆動プーリ84が取付けられる。
【0084】
補助駆動プーリ84は2つの補助プーリ93と同一面上に設けられ、その補助駆動プーリ84と補助プーリ93に補助循環ベルト82が掛け回される(
図2)。
【0085】
そして、図示しないコントローラからの指令によりサーボモータ83が駆動すると、補助駆動プーリ84に掛け回された補助循環ベルト82が循環し、二つの補助プーリ93間の補助循環ベルト82が水平なガイド材92の上面を移動して第一及び第二パレットレール21,31の端部及びこの第一及び第二パレットレール21,31に連続する短レール63に沿うように構成される。
【0086】
この補助循環ベルト82も循環ベルト42と同形の幅方向に延びる凹凸82a,82bが長手方向に交互に連続して形成されるので、係止部材14に補助循環ベルト82が重合すると、補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが係止部材14における被凹凸14a,14bに係合することになる。
【0087】
従って、この補助循環ベルト82を循環ベルト42と同一の速度で循環させると、循環ベルト42に係合して第一パレットレール21を移動するパレット11は、
図9の実線矢印で示す様に、第一パレットレール21の端部においてその循環ベルト42から補助循環ベルト82に係合が移る。
【0088】
図2に示すように、パレット11における被凹凸14a,14bが補助循環ベルト82の凹凸82a,82bに係合すると、補助循環ベルト82と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止される。このためパレット11が係合された補助循環ベルト82を循環させると、パレット11がその補助循環ベルト82とともに移動し、補助循環ベルト82が沿う短レール63又は第一及び第二パレットレール21,31に沿ってそのパレット11は搬送されることになる。
【0089】
従って、係止部材14が係合した補助循環ベルト82を更に循環させると、
図10に示すように、そのパレット11を第一パレットレール21の端部から、その第一パレットレール21に連続する短レール63にまで移動させることになる。そして、補助循環ベルト82を逆に循環させると、短レール63に搭載されたパレット11を第一又は第二パレットレール21又は31にまで移動させるように構成される。
【0090】
また、パレット搬送装置10は、
図2及び
図3に示すように、パレット送り補助手段81を昇降させる昇降手段95を備える。この実施の形態における昇降手段は、出没ロッド95aを上方に向けて本体95bが架台9に固定された流体圧シリンダ95であって、その出没ロッド95aの上端に補助板91の他端が枢支される。
【0091】
この流体圧シリンダ95は、出没ロッド95aを上方に突出した状態で、補助板91における補助循環ベルト82が短レール63に搭載されたパレット11の係止部材14に重合するように構成される。
【0092】
一方、
図3に示すように、係止部材14はパレットにおける台座13の下面に設けられているので、流体圧シリンダ95の出没ロッド95aをその下方にある本体95bに没入させると、その上端に他端が枢支された補助板91を含むパレット送り補助手段81が下降し、補助板91における補助循環ベルト82も下降するように構成される。
【0093】
パレット係止機構71により短レール63に搭載されたパレット11の自由な移動が禁止された状態で、そのパレット11の係止部材14における被凹凸14a,14bが補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bに係合すると、その短レール63が設けられた回転板62の自由な回転は禁止されることになる。
【0094】
けれども、
図3及び
図8に示すように、補助板91の他端を下降させてパレット送り補助手段81を下降させると、係止部材14に補助循環ベルト82が重合した状態で短レール63にまで移動したパレット11の係止部材14における被凹凸14a,14bから補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが離間する。
【0095】
これにより、補助循環ベルト82の凹凸82a,82bと係止部材14の被凹凸14a,14bとの係合は解除され、パレット11が搭載された短レール63を有するパレット移動手段61を構成する回転板62の水平回転を許容するように構成される。
【0096】
そして、
図2,
図6及び
図7に示すように、その回転板62の周囲に設けられた短レール63が第一及び第二パレットレール21,31に連続するようになると、流体圧シリンダ95の出没ロッド95を再び上方に突出させて、下降していた補助板91の他端を上昇させると、パレット11における係止部材14に補助循環ベルト82が重合し、補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが係止部材14における被凹凸14a,14bに再び係合するように構成される。
【0097】
次に、上記パレット搬送装置を用いたパレット搬送方法を説明する。
【0098】
上記パレット搬送装置10を用いたパレット搬送方法は、パレット11を循環する方式のものであって、第一パレットレール21に搭載されたパレット11を第一パレットレール21に沿って搬送する第一パレット搬送工程と、第一パレットレール21の端部に達したパレット11を第二パレットレール31に移動する第一パレット移動工程と、第二パレットレール31に搭載されたパレット11を第二パレットレール31に沿って搬送する第二パレット搬送工程と、第二パレットレール31の端部に達したパレット11を第一パレットレール21に移動する第二パレット移動工程と、を有する。
【0099】
この実施の形態では、
図1における上面視において、パレット11が反時計回りの軌道に循環するものとして、以下に各工程を説明する。
【0100】
<第一パレット搬送工程>
この工程では、第一パレットレール21に搭載されたパレット11を搬送する。
【0101】
この実施の形態におけるパレット11は、所定の加工が行われるワーク6を搭載するものであり、第一ガイドレール21に搭載されたパレット11にワーク6が搭載されるものとし、さらに、パレット11は、ワーク6を搭載する搭載具16を備えるので、ワーク6はこの搭載具16を介してパレット11に搭載されるものとする。
【0102】
パレット11の第一ガイドレール21への搭載は、パレット11の直線運動ブロック12を第一ガイドレール21における直線運動ガイドレール23の端部から搭載することにより行われる。
【0103】
このようにパレット11を第一ガイドレール21に搭載すると、パレット11に設けられた被凹凸14a,14bは第一ガイドレール21に沿って設けられた循環ベルト42の凹凸42a,42bに係合することになる。このため、その後、駆動機構であるサーボモータ43を駆動することによりその循環ベルト42を循環させることにより、第一ガイドレール21に沿ってそれらのパレット11を搬送することが可能になる。
【0104】
この搬送はパレット11が第一パレットレール21に沿って設けられた各工作機1,2に対峙するまで行われ、パレット11が各工作機1,2に対峙した状態でサーボモータ43aを停止させ、パレット11に搭載されたワーク6をそれらの各工作機1,2において加工を施すことになる。この時、各工作機1,2のピッチPと同一のピッチで複数のパレット11を搬送させることにより、複数の工作機1,2による加工を同時に行うことが可能となる。
【0105】
<第一パレット移動工程>
この工程では、第一パレットレール21の端部に達したパレット11を第二パレットレール31に移動させる。この移動は第一及び第二パレットレール21,31の一方の端部に設けられたパレット移動手段61により行われる。
【0106】
循環ベルト42に連続して補助循環ベルト82を設けたこの実施の形態では、前述の第一パレット搬送工程において、第一パレットレール21に沿ってパレット11を移動させ、そのパレット11が第一パレットレール21の端部に達する直前で、
図9の実線矢印で示すように、パレット11は循環ベルト42から、それに連続する補助循環ベルト82に係合することになる。このため、その補助循環ベルト82を循環ベルト42と同一の速度で循環させることにより、パレットは第一パレットレール21の端部にまで至ることになる。
【0107】
ここで、この実施の形態では、第一パレットレール21の端部及びその端部に連続する短レール63に沿って循環する補助循環ベルト82を循環ベルト42に連続して設けた。このため、補助循環ベルト82の循環を停止させてその補助循環ベルト82に係合したパレット11を第一パレットレール21の端部に留め置き、それと別に循環ベルト42を循環させれば、第一パレットレール21におけるパレット11をその第一パレットレール21に沿って移動させることができる。即ち、補助循環ベルト82を循環ベルト42に連続して設けることにより、この第一パレット移動工程と別に、第一パレットレール21では、パレット11を移動させることができることになる。
【0108】
この第一パレット移動工程では、パレット移動手段61におけるインデックスユニット64により回転板62を回転させて(
図6)、短レール63を第一パレットレール21に連続させ、この状態で補助循環ベルト82を循環させて、第一パレットレール21の端部に達したパレット11を第一パレットレール21から短レール63に移動させて、
図10に示すように、その短レール63に搭載させる。
【0109】
この時、
図6に示すように、第一シリンダ74によりその出没ロッド74aを突出させて、第一パレットレール21に連続する短レール63に対向する昇降ロッド72をコイルスプリング73の付勢力に抗して下方に移動させ、その状態で、第一パレットレール21から、それに連続する短レール63にパレット11を移動させて搭載する。
【0110】
その後、
図7に示すように、第一シリンダ74によりその出没ロッド74aを没入させることにより、昇降ロッド72をコイルスプリング73の付勢力により上方に移動させ、その上端をパレット11に設けられた係止穴13aに進入させる。これにより、パレット11をその後半円状に移動させる途中において、その短レール63に搭載されたパレット11の移動を停止することができる。
【0111】
そして、
図3に示すように、この状態で流体圧シリンダ95の出没ロッド95aをその下方にある本体95bに没入し、
図8に示すように、その上端に他端が枢支された補助板91を下降させ、パレット11と補助循環ベルト82との係合を解消させる。
【0112】
その後、インデックスユニット64は、
図11に示すように、回転板62を回転させて、パレット11が搭載された短レール63を第一パレットレール21に連続する第一位置から離して、第二パレットレール31に連続する第二位置まで回転させる。
【0113】
回転板62に90度毎に短レール63を設けたこの実施の形態では、90度回転させることにより、次の短レール63が第一パレットレール21に連続することになる。このため、90度回転させると、第一パレットレール21に連続する短レール63は、その第一位置から離れるに留まり、先の短レール63に搭載されたパレット11が第二パレットレール31に連続する第二位置まで移動することになる。
【0114】
従って、回転板62の回転円周上で対向した一対の組から成る短レール63を複数設けることにより、このパレット移動工程において必要な回転板62の回転角度は減少するので、パレット11の速やかな移動が可能となる。
【0115】
パレット11が搭載された短レール63が第二パレットレール31の直線運動ガイドレール23に連続した後、
図2に示すように、流体圧シリンダ95の出没ロッド95を上方に突出させて、下降していた補助板91の他端を上昇させる。これにより、パレット11における係止部材14に補助循環ベルト82が重合し、補助循環ベルト82に形成された凹凸82a,82bが係止部材14における被凹凸14a,14bに再び係合させる。
【0116】
補助板91の他端の上昇にあっては、パレット11の係止部材14の被凹凸14a,14bと補助循環ベルト82の凹凸82a,82bとが確実に係合できる位置となるように予め設定されたプログラムによりサーボモータ83の回転角度を制御する。
【0117】
このように、パレット11が搭載された短レール63が第二位置まで回転して、その短レール63が第二パレットレール31と連続した後、
図6に示すように、第二シリンダ75によりその出没ロッド75aを突出させて、昇降ロッド72をコイルスプリング73の付勢力に抗して下方に移動させてその上端を係止穴13aから離脱させ、その短レール63に搭載されたパレット11の移動を許容する。
【0118】
その後、
図11の破線矢印で示す様に、パレット11が係合された第二パレットレール31の端部における補助循環ベルト82を循環させ、パレット11をその補助循環ベルト82とともに移動させて、短レール63に搭載されたパレット11を第二パレットレール31にまで移動させる。
【0119】
このようにして、そのパレット11を第一パレットレール21の端部から第二パレットレール31に移動させる。
【0120】
<第二パレット搬送工程>
この工程では、第二パレットレール31に搭載されたパレット11を搬送する。前の第一パレット移動工程では、
図11に示すように、短レール63から第二パレットレール31に移動したパレット11は第二パレットレール31の端部に、それに沿って設けられた補助循環ベルト82に係合した状態で移動する。
【0121】
この第二パレット搬送工程では、第二パレットレール31に搭載されたパレット11を搬送するので、この補助循環ベルト82には、第二パレットレール31に沿って設けられた循環ベルト42が連続するために、この補助循環ベルト82及び循環ベルト42を同一の速度で循環させる。
【0122】
これにより、パレット11は第二パレットレール31の端部から反対方向に向かって移動を初め、
図12に示すように、その端部から離間すると補助循環ベルト82から循環ベルト42に新たに係合し、この循環ベルト42を循環させることによりパレット11を第二パレットレール31に沿って搬送することができる。
【0123】
この第二パレットレール31に沿った搬送は、パレット11が第二パレットレール31に沿って設けられた各工作機3,4に対峙するまで行われ、パレット11が各工作機3,4に対峙した状態でサーボモータ43aを停止させ、パレット11に搭載されたワーク6にそれらの各工作機3,4において加工を施すことになる。
【0124】
ここで、この実施の形態では、第二パレットレール31の端部及びその端部に連続する短レール63に沿って循環する補助循環ベルト82を循環ベルト42に連続して設けた。このため、循環ベルト42の循環と補助循環ベルト82の循環を別々に行い、
図11に示すように、補助循環ベルト82の循環により短レール63からパレット11を第二パレットレール31の端部に移動した後にその循環を停止させることにより、そのパレット11を第二パレットレール31の端部に維持させることができる。
【0125】
また、補助循環ベルト82の循環と別に循環ベルト42を循環させると、その循環ベルト42に係合するパレット11は第二パレットレール31を搬送されることになり、第二パレットレール31の端部に搭載されて補助循環ベルト82に係合するパレット11を移動させること無く、循環ベルト42が係合して第二パレットレール31に搭載されたパレット11を移動させることができる。
【0126】
そして、循環ベルト42が係合するパレット11と所定のピッチになったときに、補助循環ベルト82を循環させ、それに係合するパレット11を移動させて循環ベルト42に係合させるようにすれば、複数のパレット11を所定のピッチで第二パレットレール31上を搬送させることができる。
【0127】
このようにして、各工作機3,4(
図1)のピッチPと同一のピッチで複数のパレット11を搬送させるようにすれば、複数の工作機3,4による加工を同時に行うことが可能となる。
【0128】
<第二パレット移動工程>
この工程では、第二パレットレール31の端部に達したパレット11を第一パレットレール21に移動させる。この移動は第一及び第二パレットレール21,31の他方の端部に設けられたパレット移動手段61により行われる。その具体的な移動の手順は、先の第一パレット移動工程と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0129】
このように、上述した各工程が1回行われることにより、各パレット11をそれぞれ1個分づつ反時計方向にトラック形の軌道で搬送することができる。
【0130】
そして、このような各工程が1回行われる毎に、パレット搬送装置10の動作を停止した状態で、各工作機1〜4を作動させ、各パレット11に載った図示しない各ワーク6に対して所定の各種加工が並行して行われる。この各工作機1〜4の作動時、いずれかのパレット11に対してワーク6の搬入出が行われることになる。
【0131】
上述したように、本発明のパレット搬送装置10では、補助循環ベルト82が短レール63に搭載されたパレット11と係合するようなものである。このため、その補助循環ベルト82によりパレット11を確実に短レール63にまで案内できる。
【0132】
その一方、パレット搬送装置10は、パレット送り補助手段81を昇降させる昇降手段95を備える。このため、パレット送り補助手段81を下降させることにより、短レール63に搭載されたパレット11とパレット送り補助手段81の係合を解消させることができる。このため、回転板62を短レール63とともに回転させることにより、一方のパレットレール21の端部から他方のパレットレール31の端部にまで、パレット11を確実に半円状に移動させることができる。
【0133】
そして、その後、パレット送り補助手段81を上昇させると、短レール63に搭載されたパレット11に補助循環ベルト82が再び係合するので、パレット11とともに半円状に移動して他方のパレットレール31の端縁に接続した短レール63から、そのパレット11を他方のパレットレール31にまで確実に移動させることができる。
【0134】
これにより、本発明のパレット搬送装置10では、パレット11をトラック形の軌道において確実に循環させることが可能になる。
【0135】
ここで、パレット11とパレット送り補助手段81の係合及びその解消にあっては、パレット11を昇降させることも考えられるけれども、ワーク6を搭載するパレット11の重量は比較的大きくなり、それを昇降させることは動力の消費を招くと共に、ワーク6も昇降することから、その昇降に耐え得るようにする必要から、ワーク6を搭載する搭載具16の構造が複雑になることが考えられる。
【0136】
これに対して、本発明では、パレット送り補助手段81を昇降させるので、少ない動力でパレット11とパレット送り補助手段81の係合及びその解消を行うことができ、ワーク6を搭載する搭載具16の構造にあっても、ワーク6の昇降を考慮する必要がなくなり、その構造を比較的単純化させることができる。
【0137】
そして、パレット11には、ワーク6が台座13の一方の側部に搭載され、その台座13の他方の側部に直線運動ブロック12を固定するので、その直線運動ブロック12を第一及び第二パレットレール21,31に支持させることにより、ワーク6が搭載された台座13の一方の側部を常に外側に向けて、パレット11をトラック形の軌道で循環させることができる。このため、このパレット搬送装置10の両側に、ワーク6の加工機1〜4を設置させることが可能になる。
【0138】
また、このパレット搬送装置10では、パレット11を無端で設けられて循環する循環ベルト42に係合させ、第一パレットレール21及び第二パレットレール31に沿ってそのパレット11の搬送を行うので、パレット11の循環ベルト42に係合する位置を変化させることにより、その循環ベルト42に係合して第一パレットレール21又は第二パレットレール31に沿って搬送された先のパレット11との間隔、即ち先のパレット11との搬送ピッチを容易に変更することができる。
【0139】
よって、各工作機1〜4の変更又は加工対象物の変更等が成されて、ワーク6を搬送するピッチの変更が必要になっても、パレット11自体を変更することなく速やかにそのピッチの変更に対応させることが可能となる。
【0140】
なお、上述した実施の形態では、第一及び第二パレットレール21,31と、それに連続する短レール63との間に、それらが接触して回転板62の回転を阻害しないように所定の隙間d(
図1)を設ける場合を説明した。この隙間dは、パレット11を第一又は第二パレットレール21,31とそれに連続する短レール63との間を円滑に移動することができるようにできるだけ隙間を小さくするほうが望ましい。
【0141】
しかしながら、この隙間dの存在によりパレット11を第一又は第二パレットレール21,31と短レール63との間の移動が困難になる場合には、
図13に示すように、その間に補助レール96を設けても良い。
【0142】
補助レール96は、第一及び第二パレットレール21,31の端部に連続するように第一及び第二パレットレール21,31の同一直線上及びパレット送り補助手段81に沿って設けられるものであり、この補助レール96は、第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23や短レール63と同一のものが用いられ、この補助レール96の長さは、第一及び第二パレットレール21,31と、それに連続する短レール63との間の隙間をなくす長さに設定される。
【0143】
但し、補助レール96を用いる場合には、この補助レール96を第一及び第二パレットレール21,31の端部に連続する第一位置と、その第一位置より下方の第二位置の間で昇降させる補助レール昇降手段97を更に備える必要がある。
【0144】
図14及び
図15に示すように、この実施の形態における補助レール96はパレットレール21,31に近い側の端部に支点96aを設け、その支点96aを回転軸として短レール63に臨む他端が昇降するように構成される。
【0145】
具体的には、補助板91(
図13)の一端が枢支された枢支柱90の上端に、その補助板91の一端と共に補助レール96のパレットレール21,31に近い側の端部における支点96aを枢支する。補助レール昇降手段97は、出没ロッド97aを上方に向けて本体97bが架台9に固定された流体圧シリンダ97であって、その出没ロッド97aの上端に補助レール96の他端が枢支される。
【0146】
図14に示すように、この流体圧シリンダ97は、出没ロッド97aを上方に突出した状態で、補助レール96が第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23,33とそれに連続する短レール63との間の隙間を塞いでそれらを連続させるように構成される。
【0147】
一方、補助レール96の他端には、その下面に長手方向に延びる長孔96bが形成された係止板96cが取付けられ、この長孔96bに補助レール昇降手段である流体圧シリンダ97の出没ロッド97aの上端がピン96dを介して枢支される。そして、その出没ロッド97aをその下方にある本体97bに没入させると、
図15に示すように、その上端に設けられたピン96dが長孔96bの内部で移動しつつ、補助レール96の他端を下降させるように構成される。
【0148】
図14に示すように、補助レール96が第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23,33とそれに連続する短レール63との間の隙間を塞いでいると、この補助レール96の存在により、パレット11を第一又は第二パレットレール21,31からそれに連続する短レール63に移動させるか、又は短レール63から第一又は第二パレットレール21,31に移動させることが容易になる。
【0149】
一方、補助レール96が第一及び第二パレットレール21,31における直線運動ガイドレール23,33とそれに連続する短レール63との間の隙間を塞いでいると、短レール63の補助レール96側への移動が不能になるので、その短レール63が設けられた回転板62の自由な回転は禁止されることになる。
【0150】
けれども、
図15に示すように、短レール63に臨む補助レール96の他端を下降させると、短レール63の補助レール96側への移動が可能になるので、パレット11が搭載された短レール63を有する回転板62の回転は許容されることになる。
【0151】
よって、このような補助レール96及び補助レール昇降手段97を備えるようにすれば、第一又は第二パレットレール21,31からそれに連続する短レール63へのパレット11の移動、又は短レール63から第一又は第二パレットレール21,31へのパレット11の移動を確実にするとともに、回転板62の自由な回転も許容するものとなる。
【0152】
なお、上述した補助レール96及び補助レール昇降手段97を用いることなく、パレット11を第一又は第二パレットレール21,31とそれに連続する短レール63との間を円滑に移動するために、
図1で示した隙間dをできるだけ小さくする方法として、
図16に示すように、第一及び第二パレットレール21,31の端部と、それに連続する短レール63の端部の互いに対向する面を曲面加工することも可能である。この場合の曲面加工の曲率Rは、回転板62の回転円の曲率と同等に仕上げるのが望ましい。
【0153】
図16に示すように、短レール63の端部を、回転板62の回転円の曲率Rと同等に曲面加工し、その端部に対向することになる第一及び第二パレットレール21,31の端部も曲面加工することにより、第一又は第二パレットレール21,31とそれに連続する短レール63との間のX軸方向における隙間をなくすことが可能となる。そして、そのような隙間がなくなるにもかかわらず、それらの端縁を回転板62の回転円の曲率Rと同等に曲面加工することにより、回転板62の回転時に短レール63がパレットレール21,31と干渉することは回避され、回転板62の自由な回転が可能となる。
【0154】
また、上述した実施の形態では、循環式のパレット搬送装置におけるパレットを移動可能に搭載する複数のパレットレールとして、水平方向に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられた第一パレットレール21及び第二パレットレール31を備える場合について説明した。しかしながら、パレットを循環する方式に拘らなければ、複数のパレットレールとして水平方向に所定の間隔を開けて互いに直角又は所定の角度で設けることも可能であり、この場合における短レールは上述の対向した一対の組とする形態に限らず、パレット移動手段の回転円周上の接線T(
図1)に平行して複数設けられていれば良い。
【0155】
また、上述した実施の形態では、パレット送り手段41,51として、循環ベルト42と、この循環ベルト42を循環させる循環機構43とを備えるものを例示したけれども、この第一及び第二パレット送り手段41,51はこれに限らず、パレット11を第一及び第二パレットレール21,31に沿って搬送しうる限り、別の構成のものであっても良い。
【0156】
また、上述した実施の形態では、パレット移動手段61における回転板62の回転円周上で対向した一対の組から成る短レール63が2組設けられる場合を説明したけれども、この一対の組から成る短レール63は1組であっても良く、3組や4組及び5組以上設けるようにしても良い。一対の組から成る短レール63を多く用いるほど、パレット11を移動させる場合のパレット移動手段61における回転板62の回転角度を少なくすることができる。
【0157】
また、上述した実施の形態では、パレット移動手段61における回転板62は、上面視で十字形を成して形成された場合を説明したが、回転板62を上面視で円板状、多角形状、あるいは棒形状であってもよく、1又は2以上の複数の短レール63がパレット移動手段61の回転円周上の接線Tに平行して設けられていれば回転板62の形状に拘るものではない。
【0158】
また、上述した実施の形態では、パレット11が反時計回り方向の軌道に循環する場合を説明したが、反時計回り方向に限らず、各パレット11を時計回り方向に搬送することも可能である。
【0159】
また、上述した実施の形態では、パレット送り補助手段81及び補助レール96の片側を下げるように回転させて、それらを昇降させる場合を説明したけれども、これらを回転させることなく平行に昇降させても良い。
【0160】
また、上述した実施の形態では、台座13の一方の側部にはワーク6を搭載する搭載具16がその上面に設けられる場合を説明した。けれども、図示しないが、台座13に貫通孔を形成し、その貫通孔に搭載具16を設け、この貫通孔を介してワーク6を台座13に貫通して搭載するようにしても良い。