(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記製造情報が、前記診断用医療装置の種類、前記診断用医療装置の製造業者の識別情報、前記診断用医療装置の製造場所、前記診断用医療装置の失効データ、及び前記診断用医療装置の過去の使用日を含む、請求項3に記載の方法。
前記検出するステップ、前記問い合わせるステップ、前記判定するステップ、及び前記ロックを解除するステップが、前記電子インターフェイス装置を介して前記診断用医療装置に結合される医療測定システムによって少なくとも部分的に実行される、請求項16に記載の方法。
前記識別情報が、前記診断用医療装置の種類、前記診断用医療装置の製造業者の識別情報、前記診断用医療装置の製造場所、前記診断用医療装置の失効データ、及び前記診断用医療装置の過去の使用日を含む、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理の理解を促すために、次に図示されている実施形態に言及し、それらの実施形態を説明するために特定の用語が使用される。但し、本開示の範囲に対する如何なる限定も意図されないことが理解されよう。本開示が関係する技術分野の当業者であれば通常想到するように、記載される装置、システム、方法、及び本開示の原理の更なる任意の応用例に対する如何なる改変形態及び更なる修正形態も本開示内で完全に想定され、本開示に含まれる。具体的には、或る実施形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関して記載される特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせられても良いと完全に考えられる。しかし簡潔にするために、それらの組合せについての多数の繰返しが別々に説明されることはない。
【0012】
長年にわたり、特定の医療装置製造業者は、医療測定データをより良く解析するために医療測定システム上で実行され得る独自のプログラムを開発してきた。例えば、冠血流予備量比(FFR:fractional flow reserve)測定は、血管内の狭窄の重症度を評価するための独自のプログラムとして開発され得る。より詳細には、FFRとは、(狭窄の近位側で取られる)近位圧測定値に対する(狭窄の遠位側で取られる)遠位圧測定値の比率の計算である。FFRは狭窄の重症度の指標を提供し、その指標は、閉塞が脈管内の血流を処置が必要な程度まで制限するかどうかを判定できるようにする。健全な脈管のFFR正常値は1.00であるのに対し、約0.80未満の値は一般に重大であると見なされ、治療を要する。一般的な処置の任意選択肢は、血管形成術及びステント処置を含む。
【0013】
冠血流は、(大動脈において見られるような)近位で生じる圧力変動による影響のみならず、微小循環内で遠位に生じる変動の影響も同時に受ける点で独特である。従って、狭窄間の平均又はピーク圧力の下降を単純に測定することによって冠動脈狭窄の重症度を正確に評価することは不可能であり、なぜならば遠位の冠状動脈圧は、脈管の大動脈の末端から伝わる圧力の純粋な差分ではないからである。その結果、冠動脈内のFFRを効果的に計算するために、脈管内の脈管抵抗を減らす必要がある。現在は、アデノシン等の薬理学的な充血剤を投与して冠動脈内の抵抗を減らし、安定させる。これらの効能のある血管拡張剤は、(主に心臓のサイクルの収縮期に関連する微小循環抵抗を減らすことにより)抵抗の劇的な変動を減らし、比較的安定した最小限の抵抗値を得る。
【0014】
しかし、充血剤の投与は必ずしも可能であり又は望ましいわけではない。第1に、充血剤を投与する臨床的努力が重大であり得る。一部の国(特に米国)ではアデノシン等の充血剤は高価であり、静脈注射(IV)で与えられる場合は得るのに時間がかかる。その点に関して、IVで与えられるアデノシンは、一般に病院の薬局で個別的に混合される。アデノシンを調剤し、オペ領域に送るにはかなりの時間と労力を要する場合がある。こうした各種手配の困難は、FFRを使用する医師の決定に影響を与える場合がある。第2に、充血剤の投与を妨げる喘息、深刻なCOPD、低血圧、徐脈、低心駆出分画、亜急性心筋梗塞、及び/又は他の要因等、充血剤の使用に対して禁忌を示す患者もいる。第3に、多くの患者は充血剤の投与を不快と感じ、その不快さは単にFFR測定値を得るための手順の過程で充血剤の投与が複数回必要となる場合があることによって度合いが強まる。第4に、充血剤の投与は、さもなければ回避され得る中心静脈(例えば中心静脈鞘)へのアクセスも必要とし得る。最後に、全ての患者が充血剤に予想通りに反応するわけではなく、一部の例では充血剤の投与前にそれらの患者を識別するのが困難である。
【0015】
投与充血剤に関して上記で論じられた様々な問題に対処するために、瞬時血流予備量比(iFR:instantaneous wave-free ratio)測定として知られる別の独自の測定技法が開発されている。iFR測定は、充血剤を投与する必要無しにFFR測定と同様の作業を実現する。FFR及びiFRのより詳細な解説は、それぞれが参照によりその全体を本明細書に援用される、2012年1月19日に出願された「Interface Devices, Systems, and Methods for Use with Intravascular Pressure Monitoring Devices」という名称の米国仮特許出願第61/588,437号、及び2012年4月30日に出願された「Devices, Systems, and Methods for Assessing a Vessel」という名称の米国特許出願第13/460,296号に見ることができる。
【0016】
独自のプログラムは、それらが実行される医療測定システムの機能及び能力を高めることが分かる。しかし、それらの独自のプログラムの開発者でもある医療装置製造業者は、それらのプログラムを医療装置製造業者が作成した診断用医療装置に結合される医療測定システム上でのみ使用可能にしたい場合がある。独自のプログラムのアクセスを制限する理由の1つは、測定及び解析の精度に関する。他の医療装置製造業者は、医療測定システムに或る程度適合する診断用医療装置を作成するが、こうした他の診断用医療装置によって与えられる測定結果を確信することはできない。それらの測定結果が不正確である場合、独自のプログラムに不正確な解析を生じさせる可能性がある。独自のプログラムのアクセスを制限するもう1つの理由は、患者の安全に関する。この場合もやはり、独自のプログラムが、他の製造業者の診断用医療装置によって作られる不正確な測定値に基づいて不正確な解析結果をもたらす場合、患者の安全が危険に曝される可能性がある。例えば、(正確な診断用医療ツールが使用される場合)発見可能な健康上のリスクを有する患者が、今度は健康であるとして誤診される可能性がある。患者が誤診によって健康障害に苦しみ又は死亡した場合、(独自のプログラムの開発者である)医療装置製造業者は、診断を下す際に医療装置製造業者の診断用医療ツールが使用されていなくても法的責任があるという評決が下される可能性がある。
【0017】
上記で論じられたこれらの理由に基づき、こうした独自のプログラムの開発者でもある医療装置製造業者は、そのブランドの診断用医療装置が医療測定システムと共に利用される場合にのみ、これらの独自のプログラムを条件付きで使用可能にするだけの十分な理由がある。例えば、診断用医療装置(例えばプレッシャガイドワイヤ)の製造業者は、そのブランドのプレッシャガイドワイヤが検出される場合にのみ、FFR及びiFR等の独自のプログラムを使用可能にすることができる。一部の実施形態では、iFR等の独自のプログラムがサードパーティ(即ち医療測定システムの別の製造業者)の医療測定システム上にインストールされるが、それらのプログラムが診断装置の特定の製造業者に対してのみ機能するように設計されることが理解されよう。例えば、診断装置の製造業者Xが独自のプログラムをソフトウェアとして開発し得る。別の製造業者Yが、診断装置と通信する医療測定システムを製造する。製造業者Xは、独自のプログラムを含むソフトウェアが製造業者Yによって作られた医療測定システム上で実行され得るように、製造業者Yに所要のソフトウェアをライセンスすることができる。但し本開示によれば、診断装置の正しい識別特徴が検証されている場合にのみ、これらの独自のプログラムが実行される。例えば識別特徴は、製造業者の識別情報(例えば製造業者Xによる製造)、製造場所、失効日、過去の使用日等を含み得る。本開示の様々な態様によるシナリオの例が
図1〜
図8に関して以下でより詳細に論じられている。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、本開示の一実施形態による、狭窄を有する脈管100が示されている。その点に関して、
図1は脈管100の斜視図であるのに対し、
図2は
図1の断面線2−2に沿った脈管100の一部の概略的な部分的断面斜視図である。
図1を更に詳細に参照すると、脈管100は近位部102と遠位部104とを含む。近位部102と遠位部104との間の脈管100の長さに沿って内腔106が延びる。その点に関して、内腔106は脈管を通る流体の流れを可能にするように構成される。一部の例では、脈管100が血管である。一部の特定の例では、脈管100が冠動脈である。その場合、内腔106は血流が脈管100を通るのを促進するように構成される。
【0019】
図示の通り、脈管100は、近位部102と遠位部104との間に狭窄108を含む。狭窄108は、脈管100の内腔106を通る流体の流れを制限する任意の閉塞又は他の構造的機構を概して表す。本開示の実施形態は、冠動脈、末梢神経(これだけに限定されないが下肢、頸動脈、及び神経血管を含む)、腎臓、及び/又は静脈を限定無く含む多岐にわたる脈管の応用例で使用するのに適している。脈管100が血管である場合、狭窄108は、これだけに限定されないが線維性プラーク、線維脂質性(線維脂肪)プラーク、壊死性コアプラーク、石灰化(濃厚カルシウム)プラーク、血液プラーク、新鮮な血栓プラーク、成熟した血栓プラーク等のプラーク成分を含む、プラークが堆積した結果であり得る。概して、狭窄の組成は、評価されている脈管の種類に依存する。その点に関して、本開示の概念は、流量の減少を引き起こす事実上いかなる種類の閉塞又は他の狭小化にも適用され得ることが理解されよう。
【0020】
図2をより詳細に参照すると、脈管100の内腔106は、狭窄108の近位の直径110と狭窄の遠位の直径112とを有する。一部の例では、直径110及び112が互いにほぼ等しい。その点に関して、直径110及び112は、狭窄108と比べて、内腔106の健康な部分又は少なくともより健康な部分を表すことが意図される。従って、内腔106のこれらのより健康な部分は、ほぼ一定の円柱状の側面像を有するものとして図示されており、その結果、内腔の高さ又は幅が直径と呼ばれている。但し多くの事例において、内腔106のこれらの部分も、狭窄108よりも程度は小さいがプラークの堆積、非対称的な側面像、及び/又は他の不規則性を有し、従って円柱状の側面像を有さないことが理解されよう。その場合、直径110及び112が内腔の相対的な大きさ又は断面積を表し、円形の断面像を示唆しないことが理解されよう。
【0021】
図2に示されているように、狭窄108は、脈管100の内腔106を狭めるプラーク堆積114を含む。一部の例では、プラーク堆積114が均一の又は対称的な側面像を有さず、かかる狭窄の血管造影法による評価を信頼できないものにする。図示の実施形態では、プラーク堆積114が上部116と対向する下部118とを含む。その点に関して、下部118は上部116と比べて更に厚みがあり、狭窄108の内腔の近位部及び遠位部に対して非対称且つ不均一の側面像をもたらす。図示の通り、プラーク堆積114は、内腔106を流体が流れるために使用できる空間を減らす。具体的には、内腔106の断面積がプラーク堆積114によって減少する。上部116と下部118との間の最も狭い箇所では、狭窄108の近位の直径110及び狭窄108の遠位の直径112に対して小さくなった大きさ又は断面積を表す高さ120を内腔106が有する。プラーク堆積114を含む狭窄108は現実には例示的であり、決して限定的と解釈されるべきでないことに留意されたい。その点に関して、他の例では狭窄108は、内腔106を通る流体の流れを制限する他の形状及び/又は組成を有することが理解されよう。
図1及び
図2では脈管100が単一の狭窄108を有するものとして図示されており、以下の実施形態についての説明は主に単一の狭窄に関連して行われるが、本明細書に記載の装置、システム、及び方法は複数の狭窄域を有する脈管にも同様に適用されることが理解される。
【0022】
次に
図3を参照すると、本開示の一実施形態による、器具130及び132が内部に配置された状態の脈管100が示されている。概して、器具130及び132は、脈管内に配置されるように大きさ及び形状が決められる任意の形式の装置、器具、又はプローブであり得る。図示の実施形態では、器具130が広くガイドワイヤを表すのに対し、器具132は広くカテーテルを表す。その点に関して、器具130は器具132の中央内腔を通る。しかし他の実施形態では、器具130及び132が他の形式を取る。その点に関して、一部の実施形態では器具130及び132が同様の形式のものである。例えば一部の例では、両方の器具130及び132がガイドワイヤである。他の例では、両方の器具130及び132がカテーテルである。他方で、器具の一方がカテーテルであり、他方がガイドワイヤである図示の実施形態のように、一部の実施形態では器具130及び132が異なる形式のものである。更に一部の例では、
図3に示されている実施形態のように、器具130及び132が互いに同軸状に配置される。他の例では、器具の一方が他方の器具の中心から外れた内腔を通る。更に他の例では、器具130及び132が並列に延びる。一部の特定の実施形態では、器具の少なくとも1つが即時交換カテーテル等の即時交換装置である。かかる実施形態では、他の器具は、即時交換装置の出し入れを容易にするように構成されるバディーワイヤ又は他の装置である。また更に、他の例では、2つの別々の器具130及び132の代わりに単一の器具が利用される。その点に関して、一部の実施形態では単一の器具が両方の器具130及び132の機能(例えばデータ取得)の態様を実装する。
【0023】
器具130は、脈管100に関する診断情報を得るように構成される。その点に関して、器具130は、脈管に関する診断情報を得るように構成される1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素を含む。診断情報は、圧力、流量(速度)、像(超音波(例えばIVUS)、OCT、サーマル、及び/又は他の撮像技法を使用して得られる像を含む)、温度、及び/又はそれらの組合せのうちの1つ又は複数を含む。一部の例では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素が、器具130の遠位部に隣接して配置される。その点に関して、一部の例では1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素が、器具130の遠位端134から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満、及び/又は1cm未満に配置される。一部の例では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素の少なくとも1つが、器具130の遠位端に配置される。
【0024】
器具130は、脈管100内の圧力をモニタするように構成される少なくとも1つの要素を含む。圧力モニタ要素は、圧電抵抗圧力センサ、圧電圧力センサ、容量型圧力センサ、電磁気圧力センサ、流体カラム(流体カラムは、器具とは別の及び/又は流体カラムの近位の器具の一部に配置される流体カラムセンサと通信する)、光圧力センサ、及び/又はそれらの組合せの形式を取ることができる。一部の例では、圧力モニタ要素の1つ又は複数の特徴が、半導体及び/又は他の適切な製造技法を使用して製造される固体構成要素として実装される。適切な圧力モニタ要素を含む市販のガイドワイヤ製品の例は、これだけに限定されないが、Volcano Corporationからそれぞれ入手可能なPrimeWire PRESTIGE(登録商標)圧力ガイドワイヤ、PrimeWire(登録商標)圧力ガイドワイヤ、及びComboWire(登録商標)XT圧力及びフローガイドワイヤ、並びにSt. Jude Medical, Incからそれぞれ入手可能なPressureWire(商標)Certusガイドワイヤ、及びPressureWire(商標)Aerisガイドワイヤを含む。概して、器具130の大きさは、狭窄を通る流体の流れに著しく影響を及ぼすことなしに、狭窄108を通して配置され得るように決められ、狭窄を通る流体の流れに影響を及ぼすことは遠位圧読取値に影響を与えるであろう。従って一部の例では、器具130が0.018’’以下の外径を有する。一部の実施形態では、器具130が0.014’’以下の外径を有する。
【0025】
器具132も、脈管100に関する診断情報を得るように構成される。一部の例では、器具132が器具130と同じ診断情報を得るように構成される。他の例では、器具132が器具130と異なる診断情報を得るように構成され、その情報は追加の診断情報、更に少ない診断情報、及び/又は代替的診断情報を含み得る。器具132によって取得される診断情報は、圧力、流量(速度)、像(超音波(例えばIVUS)、OCT、サーマル、及び/又は他の撮像技法を使用して得られる像を含む)、温度、及び/又はそれらの組合せのうちの1つ又は複数を含む。器具132は、この診断情報を得るように構成される1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素を含む。その点に関して、一部の例では1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素が、器具132の遠位部に隣接して配置される。その点に関して、一部の例では1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素が、器具132の遠位端136から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満、及び/又は1cm未満に配置される。一部の例では、1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素の少なくとも1つが、器具132の遠位端に配置される。
【0026】
器具130と同様に、器具132も脈管100内の圧力をモニタするように構成される少なくとも1つの要素を含む。圧力モニタ要素は、圧電抵抗圧力センサ、圧電圧力センサ、容量型圧力センサ、電磁気圧力センサ、流体カラム(流体カラムは、器具とは別の及び/又は流体カラムの近位の器具の一部に配置される流体カラムセンサと通信する)、光圧力センサ、及び/又はそれらの組合せの形を取ることができる。一部の例では、圧力モニタ要素の1つ又は複数の特徴が、半導体及び/又は他の適切な製造技法を使用して製造される固体構成要素として実装される。斯様なトランスデューサは、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5などの血行動態モニタリングシステムと相性が良い。
【0027】
本開示の態様によれば、器具130及び132の少なくとも1つが、狭窄108の遠位の脈管100内の圧力をモニタするように構成され、器具130及び132の少なくとも1つが、狭窄の近位の脈管内の圧力をモニタするように構成される。その点に関して、脈管100内の圧力をモニタするように設計される少なくとも1つの要素の位置決めが、装置の構成に基づいて狭窄108の近位及び/又は遠位に必要に応じて配置され得るように、器具130、132の大きさ及び形状が決められる。その点に関して、
図3は、狭窄108の遠位圧を測定するのに適した位置138を示す。一部の例では、位置138が、(
図2に示す)狭窄108の遠位端から5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満、及び/又は2.5mm未満である。
図3は、狭窄108の近位圧を測定するのに適した複数の位置も示す。その点に関して、位置140、142、144、146、及び148は、一部の例で狭窄の近位圧をモニタするのに適した位置をそれぞれ表す。その点に関して、位置140、142、144、146、及び148は、20cm超から約5mm以下に及ぶ、狭窄108の近位端からの様々な位置にある。概して、近位圧測定は狭窄の近位端から離間される。従って一部の例では、狭窄の近位端から脈管の内腔の内径以上の距離において近位圧測定値が取られる。冠動脈の圧力測定値に関連して、脈管の近位部の範囲内にある狭窄の近位且つ大動脈の遠位の位置において近位圧測定値が概して取られる。但し、冠動脈の圧力測定値の一部の特定の例では、近位圧測定値が大動脈内の位置から取られる。他の例では、近位圧測定値が冠動脈の根本又は心門において取られる。一部の例では、近位圧測定値が大動脈圧と呼ばれる。
【0028】
次に
図4を参照すると、本開示の一実施形態によるシステム150が示されている。その点に関して、
図4はシステム150の概略図である。図示の通り、システム150は器具152を含む。その点に関して、一部の例では器具152は、上記の器具130及び132の少なくとも1つとして使用するのに適している。従って一部の例では、器具152は、器具130及び132に関して上述したのと同様の特徴を含む。
【0029】
図示の実施形態では、器具152が、遠位部154と遠位部に隣接して配置されるハウジング156とを有するガイドワイヤである。その点に関して、ハウジング156は、器具152の遠位端から約3cm離間されている。ハウジング156は、脈管に関する診断情報を得るように構成される1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素を収容するように構成される。図示の実施形態では、ハウジング156は、器具152が配置される内腔内の圧力をモニタするように構成される圧力センサを少なくとも含む。ハウジング156から、シャフト158が近位に延びる。
【0030】
トルク装置160が、シャフト158の近位部上に配置され、シャフトに結合される。器具152の近位端部162がインターフェイス170に結合される。具体的に一部の例では、近位端部162がインターフェイス170のプルバック装置171に結合される。一部の例では、プルバック装置171がインターフェイス170のハウジング内に組み込まれる。他の例では、プルバック装置171がインターフェイス170とは別のハウジング内にあるが、インターフェイス170の1つ又は複数の電子部品と通信する。一部の例では、インターフェイス170が患者インターフェイスモジュール(PIM:patient interface module)である。一部の例では、インターフェイス170のプルバック装置171及び/又は隣接する構成要素が、器具152とインターフェイス170との間のデータ及び/又は信号の通信を支援するための電気コネクタを含む。一部の例では、器具152がデータ及び/又は信号をインターフェイス170の1つ又は複数の構成要素と無線で通信する。その点に関して、器具152とインターフェイス170との間の物理接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はそれらの組合せを含む様々な通信経路が利用され得ることが理解されよう。
【0031】
インターフェイス170は、接続174を介してヘモダイナミックシステム172等の医療測定システムに通信可能に結合される。一部の例では、ヘモダイナミックシステム172がSiemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、又はPhilips Xper IM Physiomonitoring 5である。コネクタ164、ケーブル166、コネクタ168、インターフェイス170、及び接続174は一緒に、器具152の1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素と、ヘモダイナミックシステム172との間の通信を支援する。但し、この通信経路は実際には例示的であり、決して限定的であると解釈されるべきではない。その点に関して、器具152とインターフェイス170との間の物理接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はそれらの組合せを含む任意の通信経路が利用され得ることが理解されよう。その点に関して、ヘモダイナミックシステム172は、無線データ伝送用のアンテナを含む。同様に、インターフェイス170とヘモダイナミックシステム172との間の物理接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はそれらの組合せを含む任意の通信経路が利用され得ることが理解されよう。従って、器具152、インターフェイス170、及びヘモダイナミックシステム172間の通信を支援するために、
図4に示されていない追加の構成要素(例えばコネクタ、ルータ、スイッチ等)が含まれても良いことが理解されよう。
【0032】
一部の実施形態では、接続174が無線接続である。一部の例では、接続174がネットワークによる通信リンク(例えばイントラネット、インターネット、電気通信網、及び/又は他のネットワーク)を含む。その点に関して、一部の例では、器具152が使用されているオペ領域から離れてヘモダイナミックシステム172が位置することが理解されよう。ネットワークによる接続を接続174に含めることにより、ヘモダイナミックシステムが隣接する部屋、隣接する建物、又は別の州/国にあろうと、器具152と遠隔ヘモダイナミックシステム172との間の通信を円滑化することができる。更に一部の例では、器具152とヘモダイナミックシステム172との間の通信経路がセキュア接続であることが理解されよう。また更に、一部の例では器具152とヘモダイナミックシステム172との間の通信経路の1つ又は複数の部分を介して伝えられるデータが暗号化されることが理解されよう。
【0033】
システム150は、器具175も含む。その点に関して、一部の例では器具175が上記の器具130及び132の少なくとも1つとして使用するのに適している。従って一部の例では、器具175は、器具130及び132に関して上述したのと同様の特徴を含む。図示の実施形態では、器具175がカテーテル型の装置である。その点に関して、器具175は、脈管に関する診断情報を得るように構成される器具の遠位部に隣接する1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素を含む。図示の実施形態では、器具175は、器具175が配置される内腔内の圧力をモニタするように構成される圧力センサを含む。或る特定の実施形態では、器具175がその長さに沿って延びる流体カラムを含む圧力感知カテーテルである。かかる実施形態では、カテーテルの流体カラムに止血弁が流体結合され、止血弁に多岐管が流体結合され、構成要素を流体結合するために必要に応じて構成要素間にチューブが延びる。その点に関して、カテーテルの流体カラムは弁、多岐管、及びチューブを介して圧力センサと流体連通する。一部の例では、圧力センサがヘモダイナミックシステム172の一部であり、又はヘモダイナミックシステム172と通信する。他の例では、圧力センサが器具175とインターフェイス170との間に、又はインターフェイス170とヘモダイナミックシステム172との間に配置される別個の構成要素である。器具175は、接続177を介してインターフェイス170と通信する。更にそのインターフェイス170は、接続178を介して計算装置172に通信可能に結合される。
【0034】
器具152、インターフェイス170、及びヘモダイナミックシステム172間の接続と同様に、接続177及び178は、器具175の1つ又は複数のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタ要素、インターフェイス170、並びにヘモダイナミックシステム172間の通信を支援する。但し、ここでもこの通信経路は実際には例示的であり、決して限定的であると解釈されるべきではない。その点に関して、器具175とインターフェイス170との間の物理接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はそれらの組合せを含む任意の通信経路が利用され得ることが理解されよう。同様に、インターフェイス170とヘモダイナミックシステム172との間の物理接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はそれらの組合せを含む任意の通信経路が利用され得ることが理解されよう。従って、器具175、インターフェイス170、及びヘモダイナミックシステム172間の通信を支援するために、
図4に示されていない追加の構成要素(例えばコネクタ、ルータ、スイッチ等)が含まれても良いことが理解されよう。
【0035】
一部の実施形態では、接続178が無線接続である。一部の例では、接続178がネットワークによる通信リンク(例えばイントラネット、インターネット、電気通信網、及び/又は他のネットワーク)を含む。その点に関して、一部の例では、器具175が使用されているオペ領域から離れてヘモダイナミックシステム172が位置することが理解されよう。ネットワークによる接続を接続178に含めることにより、計算装置が隣接する部屋、隣接する建物、又は別の州/国にあろうと、器具175と遠隔ヘモダイナミックシステム172との間の通信を円滑化することができる。更に、一部の例では器具175とヘモダイナミックシステム172との間の通信経路がセキュア接続であることが理解されよう。また更に、一部の例では器具175とヘモダイナミックシステム172との間の通信経路の1つ又は複数の部分を介して伝えられるデータが暗号化されることが理解されよう。
【0036】
本開示の他の実施形態では、システム150の1つ又は複数の構成要素が含まれておらず、異なる配置/順序で実装され、且つ/又は代替的な装置/機構で置換されることが理解されよう。或いは、追加の構成要素及び/又は装置がシステム内に実装されても良い。概して、器具152、175の何れか又は両方とヘモダイナミックシステム172との間の通信経路は、中間ノードを有さなくても良く(即ち直接接続)、器具と計算装置との間に1つの中間ノードを有しても良く、又は器具と計算装置との間に複数の中間ノードを有しても良い。
【0037】
一部の実施形態では、インターフェイス170が無線トランシーバを含み、器具152及び175の一方又は両方からの圧力読取値を、システム150内の計算装置180等の他の装置に無線伝送するように構成される。例えばインターフェイス170は、遠位圧及び/又は遠位圧波形、近位(即ち大動脈)圧及び/又は近位圧波形を計算装置180に無線伝送することができる。一実施形態では、計算装置180が、多様式の医療データを取得し、処理し、表示するためのハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータシステムであるが、他の実施形態では、計算装置180は医療データを処理するために動作可能な他の任意の種類の計算システムであり得る。例えば一部の例では、計算装置180が、遠位圧及び/又は遠位圧波形を近位圧及び/又は近位圧波形と共に利用してFFRを計算し、iFRを計算し、近位圧と遠位圧との圧力差を計算し、患者に充血剤を投与することなしに圧力差計算を行うための適切な診断窓を識別し、識別された診断窓の間の圧力差を計算し、遠位圧及び/又は近位(即ち大動脈)圧に影響される他の任意の医療診断の特徴付けを計算し、且つそれらの組合せを行う。
【0038】
計算装置180がコンピュータワークステーションである実施形態では、システムが、マイクロコントローラ又は専用の中央処理装置(CPU:central processing unit)等のプロセッサ、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、光学読取専用メモリ(CD−ROM、DVD−ROM、Blu−Ray)等の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、グラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)等のビデオコントローラ、及びイーサネット(登録商標)コントローラや無線通信トランシーバ182等のネットワーク通信装置を少なくとも含む。一部の例では、計算装置180がポータブル(例えば携帯型、台車上の等)である。更に一部の例では、計算装置180が複数の計算装置を含むことが理解されよう。一部の例では、計算装置180が制御室内に又はカテーテルラボ自体の中に配置されている状態で、医療システム150が制御室を有するカテーテルラボ内に導入される。他の実施形態では、計算装置180が、医療施設内の集中情報技術領域又は敷地外の場所(即ちクラウド内)等、他の場所に配置され得る。
【0039】
一部の実施形態では、インターフェイス170自体がプロセッサ及びランダムアクセスメモリを含み、本明細書に記載のデータの取得及び解析に関連するステップを実行するようにプログラムされる。とりわけ一部の実施形態では、インターフェイス170が、器具152及び175の一方又は両方から圧力読取値を受け取って表示し、且つ/又は器具152及び175から得られた圧力測定値に基づいてFFR又は他の圧力差を計算(及び表示)するように構成される。従って、参照により援用されるものを含め、本開示のデータ取得、データ処理、器具の制御、及び/又は他の処理若しくは制御の側面に関係する任意のステップが、計算装置によってアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体上に又はその中に記憶される対応する命令を用いてインターフェイス170によって実施され得ることが理解されよう。一部の実施形態では、インターフェイス170が、参照によりその全体を本明細書に援用する米国特許第6,585,660号に記載の1つ又は複数の処理及び/若しくは信号調整機能、並びに/又は関連する構成要素/回路を含む。
【0040】
インターフェイス170が無線トランシーバを含み、更に器具152及び175から得られる圧力測定値に基づいてFFR、iFR、又は別の診断的特徴差を計算するように構成される実施形態では、インターフェイス170が診断的特徴をまず計算し、次いで前もって計算された結果を計算装置180及び/又はヘモダイナミックシステム172等の1つ又は複数の他の装置に無線伝送することができる。他の実施形態では、FFR、iFR、又は他の診断的特徴の計算をヘモダイナミックシステム172自体が行い得る。
【0041】
図4に示されている実施形態では、インターフェイス170がハウジング184を含む。ハウジング184は、インターフェイス170の電子部品を含む。一部の実施形態では、インターフェイス170の大きさが、携帯型であるように決められ、且つ/又は患者のベッド上に若しくはその付近に配置される(例えばベッドのレール又はIVポールに取り付けられる)ように決められる。その点に関して、一部の例ではインターフェイス170は、ハウジングの寸法がおおよそ幅15.75cm(6.3’’)、高さ8.853cm(3.54’’)、及び奥行き4.48cm(1.79’’)であるVolcano Corporationから入手可能なSmartMap(登録商標)Pressure Instrumentと同様の大きさである。例えばインターフェイス170は、幅が約5cm〜約25cm、高さが約5cm〜約25cm、及び奥行きが約1cm〜約10cmである。一部の例では、インターフェイス170は、インターフェイスの使用を補助するように構成されるディスプレイ及び1つ又は複数の仮想ボタン又は物理ボタンも含む。一部の代替的実施形態では、例えば参照によりその全体を本明細書に援用する、2013年3月15日に出願された「SMART INTERFACE CABLE FOR COUPLING A DIAGNOSTIC MEDICAL DEVICE WITH A MEDICAL MEASUREMENT SYSTEM」という名称の米国仮特許出願第61/788098号により、インターフェイス170自体が、回路を含む「スマート」ケーブルによって置換されても良く、又はプレッシャガイドワイヤ152自体に実装される回路によって完全に除去されても良い。
【0042】
本開示の様々な態様によれば、所与の医療装置製造業者(以下、製造業者Xと呼ぶ)からの1つ又は複数の独自のソフトウェア又はプログラム(例えばFFR又はiFR)が、ヘモダイナミックシステム172(又は別の適切な医療測定システム)上にインストールされる。ヘモダイナミックシステム172は、製造業者Xと異なる製造業者を有しても良いことに留意されたい。つまり、ヘモダイナミックシステム172を製造するエンティティは、1つ又は複数の独自のソフトウェアプログラムを設計するエンティティと異なるエンティティであり得る。プレッシャワイヤ152等の診断用医療装置がインターフェイス170に結合され、インターフェイス170は、例えばヘモダイナミックシステム172の大動脈入力を介してヘモダイナミックシステム172に結合される。
【0043】
インターフェイス170がヘモダイナミックシステム172によって検出されると、或いはFFR又はiFRプログラムが起動されると、ヘモダイナミックシステム172上のソフトウェアは、独自の信号が大動脈入力のセンス線を伝ってくるのをモニタし始める。一部の実施形態では、インターフェイス170がプレッシャワイヤ152の製造識別情報についてプレッシャワイヤ152に応答させることを可能にする、インターフェイス170上のボタンをオペレータが押す。例えば、インターフェイス170は、プレッシャワイヤ152のEPROMを介してプレッシャワイヤ152と電子的に通信することができる。一部の代替的実施形態では、インターフェイス170が必ずしもプレッシャワイヤ152と直接通信しなくても良い。例えば、インターフェイス170に接続されるヘモダイナミックシステム172がプレッシャワイヤ152と通信し、ワイヤが正しい製造識別情報を有するかどうか検証することができる。一部の実施形態では、プレッシャガイド152が無線周波数識別(RFID:radio-frequency identification)チップを含む。製造識別情報(又は製造業者の所在地、失効データ、過去の使用日等の他の種類の識別情報)が、RFIDチップとの通信によりプレッシャガイド152から抽出され得る。本実施形態では、プレッシャワイヤ152によって供給される製造識別情報に基づき、インターフェイス170が独自の信号を生成し、その独自の信号を解析するためにヘモダイナミックシステム172に送る。インターフェイス170は、独自の信号を循環ループ内で送ることができる。
【0044】
独自の信号は、圧力波データを受け取るために通常確保されているチャネル(即ち大動脈入力のセンス線)を介して送られることが理解されよう。ヘモダイナミックシステム172は、プレッシャワイヤ152によって集められる圧力波データを認めることを「予期」しているが、ヘモダイナミックシステム172上の(製造業者Xによって開発される)ソフトウェアは入力信号をモニタして独自の信号の有無を調べる。このようにして、本開示は、符号化メッセージを含む人工圧力データを送ることを含む。
【0045】
次に
図5A〜
図5Bを参照すると、本開示の様々な態様に従い、独自の信号が構築される多くの方法がある。一部の実施形態では、独自の信号が、一意のパターンを成す周波数変調信号又は周波数依存信号である。他の一部の実施形態では、独自の信号が、一意のパターンを成すパルス幅変調信号又はパルス幅依存信号である。経時的にプロットされた周波数依存独自信号又はパルス幅依存独自信号の一例が
図5Aに示されている。
【0046】
他の実施形態では、独自の信号が一意のパターンを成す振幅変調信号又は振幅依存信号であり得る。経時的にプロットされた振幅依存独自信号の一例が
図5Bに示されている。
【0047】
更に他の実施形態では、独自の信号が一意のパターンを成す容量性信号であり得る。経時的にプロットされた容量性独自信号の一例が
図5Cに示されている。
【0048】
独自の信号は、周波数変調信号、パルス幅変調信号、振幅変調信号、又は容量性信号の組合せでも良いことが理解されよう。特性の形式に関係無く、独自の信号は、ヘモダイナミックシステム172の大動脈入力センス線を経由して来る(プレッシャワイヤによって集められる)典型的な圧力データとは明確に異なる。独自の信号と大動脈入力センス線を経由して来る典型的な圧力データとの違いを示すために、
図5Dは経時的にプロットされた圧力データの一例のグラフを示す。
【0049】
或る実施形態では、特定のパルスが英数字を表すように独自の信号が構築され、それにより、プレッシャワイヤ152からの情報(例えばシリアル番号、製造日等)が、プログラム可能なプレッシャワイヤのEPROMからヘモダイナミックシステム172に大動脈入力センス線を介して伝えられることを可能にし得る。例えば、以下の表は0〜9の数字と特定の周波数を有する信号との間の変換又は対応関係を列挙する。
【0051】
上記の表によれば、ヘモダイナミックシステム172上のソフトウェアが独自の信号をモニタする。周波数が8.0Hzの信号が受け取られると、ヘモダイナミックシステム172は、プレッシャワイヤ152の特徴(例えばプレッシャワイヤの製造業者)を識別する符号を含む独自の信号の伝送の始まりとしてその信号を解釈する。その後、(0.5Hzの増分で3.0Hz〜7.5Hzに及ぶ)一意の周波数を有する別個の信号区分がヘモダイナミックシステム172によって受け取られる。ソフトウェアが別々に識別するのを補助するために、それらの信号区分間には一時停止又は他の適切な形式の区分があっても良い。例えば、7.0Hz、5.0Hz、4.5Hz、6.5Hz、3.0Hz、6.0Hzの信号区分が受け取られる場合、ソフトウェアはそれらの信号区分を843706の符号に変換する。当然ながら、この符号は受け取られる信号区分の数に応じて任意の長さとすることができる。この符号は、例えばプレッシャワイヤ152のシリアル番号、プレッシャワイヤ152の製造業者部品番号等、任意の数の事項を表すこともできる。
【0052】
ソフトウェアプログラムが停止信号(8.5Hz信号)を検出すると、そのソフトウェアプログラムは独自の信号の伝送が終わったことを理解する。次いでヘモダイナミックシステム172上のソフトウェアが、受け取られた独自の信号を解析する。例えばソフトウェアは、(受け取られた独自の信号に基づいて)変換された符号を、既にソフトウェア内に予めプログラムされている場合がある既定の符号と比較する。一部の例では、製造業者Xによって作成されたプレッシャワイヤの正しい(又は予期される)シリアル番号がソフトウェア内に予めプログラムされる。受け取られる独自の信号に基づき、伝送される符号が予めプログラムされたシリアル番号に一致することをソフトウェアが検出する場合、ソフトウェアは使用されているプレッシャワイヤが予期される(又は「正しい」)製造業者によって作られたことを知る。次いでソフトウェアは、ヘモダイナミックシステム172上で実行するためにFFR又はiFRプログラム(又はプレッシャワイヤに由来する他のパラメータ)のロックを解除する。つまり、FFR又はiFRプログラムは前もって隠され、又は他の方法でオペレータにとってアクセス不能とすることができる。しかし、ロックを解除した後、FFR又はiFRプログラムが利用可能であることがオペレータに対して明らかにされ得る。オペレータはインターフェイス170上のボタンを押して独自の信号の送信を停止し、プレッシャワイヤが感知した圧力信号をヘモダイナミックシステム172に送り始めることができる。
【0053】
単純にするために詳しく論じないが、一部の実施形態では、本開示は各プレッシャワイヤに固有の情報を使用する暗号化プロトコルも考慮することが理解されよう。そうすることにより、独自の信号がプレッシャワイヤ152毎に一意になり、従って解読し又はシミュレートするのがより困難になり得る。或いは、現在の日付又はオペレータによって手入力されるロック解除シーケンス等、独自の信号がプレッシャワイヤ152に関係しない他のデータに基づいても良い。
【0054】
本開示によって解決される問題の1つは、許可されていない診断用医療装置(例えばプレッシャワイヤ)の利用者を妨げることである。従来より、ヘモダイナミックシステム172等の医療測定システムとプレッシャワイヤ152等の遠隔診断用医療装置との間の識別確認は無い。つまり、如何なる製造業者の診断用医療装置も、FFR又はiFR等の独自のプログラムを実行する能力を有する医療測定システムと共に使用され得る。製造業者は他者によって作成された診断用医療装置の精度又は信頼性は保証できないため、このことは安全性のリスクを招き、製造業者の責任を高める。
【0055】
それに比べ、本開示の様々な態様によれば、所与の製造業者Xがヘモダイナミックシステムと共に他の製造業者によって作成された診断用医療装置の使用を妨げたい場合、製造業者Xは、正しい種類の及び/又は製造業者Xによって作成された診断用医療装置が検出される場合にのみ、FFR又はiFR等の独自のプログラム(又は診断用医療装置に由来する他のパラメータ)が使用できるようにされるよう、ヘモダイナミックシステム上にインストールされたソフトウェアを構成することができる。加えて、本明細書で開示される通信方式及び識別確認方式は、ヘモダイナミックシステム上のハードウェアを追加し又は修正することなしに実現される。必要に応じて、ヘモダイナミックシステム上のソフトウェアの更新だけが必要とされる。更に、日付、インターフェイスに入力される符号、又は他の何らかの予測可能なデータ片に基づいて変化する独自の信号が、本明細書で開示されるセキュリティ方法を危険に曝すのを更に遅らせることができる。
【0056】
一部の実施形態では、上記のロック解除はiFR等のより慎重に扱うべき(又はより貴重な)独自プログラムにしか該当しない場合があるのに対し、FFR等のより一般的なプログラムはロック解除無しに提供されても良いことが理解されよう。別の言い方をすれば、ヘモダイナミックシステム上にあるソフトウェアは、プレッシャワイヤに由来するいずれのパラメータが容易に提供されるべきか、及び正しい製造業者の識別情報の確認後にのみ、他のいずれのパラメータがロック解除されるべきかを決定することができる。
【0057】
図6は、本開示の一態様による方法300を示す単純化されたフローチャートである。一部の実施形態では、方法300が医療測定システムと遠隔診断用医療装置との間の電子インターフェイスの観点から実行される。
【0058】
方法300はステップ310を含み、ステップ310では診断用医療装置から識別情報が取得される。識別情報は、診断用医療装置の特徴を明らかにする。特定の実施形態では、その特徴は診断用医療装置の製造情報を含む。例えば製造情報は、診断用医療装置の製造業者の識別情報を含み得る。他の例として、製造情報は診断用医療装置の製造場所、診断用医療装置の失効データ、及び診断用医療装置の過去の使用日を含み得る。一部の実施形態では、診断用医療装置がプレッシャガイドワイヤを含む。
【0059】
方法300はステップ320を含み、ステップ320では、識別情報に応じて独自の信号が生成される。
【0060】
方法300はステップ330を含み、ステップ330では、医療測定システム上で実行される1つ又は複数のプログラムのロック解除を支援するために、独自の信号が医療測定システムに送られる。一部の実施形態では、医療測定システムがヘモダイナミックシステムを含む。
【0061】
方法300はステップ340を含み、ステップ340では、感知された測定値が診断用医療装置から受け取られる。一部の実施形態では、感知される測定値が血圧測定値を含む。
【0062】
方法300はステップ350を含み、ステップ350では、ロックが解除された1つ又は複数のプログラムによって解析されるために、医療測定システムに信号が送られる。この信号は、感知された測定値に対応する。一部の実施形態では、ロックが解除された1つ又は複数のプログラムが、血圧測定値に基づく瞬時血流予備量比(iFR)計算を含む。
【0063】
図7は、本開示の別の態様による方法400を示す単純化されたフローチャートである。一部の実施形態では、方法400がヘモダイナミックシステム等の医療測定システムの観点から実行される。
【0064】
方法400はステップ410を含み、ステップ410では、遠隔診断用医療装置の結合が電子インターフェイス装置によって検出される。一部の実施形態では、診断用医療装置がプレッシャガイドワイヤを含み、電子インターフェイス装置がプレッシャガイドワイヤとヘモダイナミックシステムとの間に結合される装置である。
【0065】
方法400はステップ420を含み、ステップ420では、電子インターフェイス装置から独自の信号が受け取られる。
【0066】
方法400はステップ430を含み、ステップ430では、遠隔診断用医療装置の識別特徴が独自の信号に基づいて確かめられる。一部の実施形態では、識別特徴が診断センサの種類、診断用医療装置の製造業者の識別情報、診断用医療装置の製造場所、診断用医療装置の失効データ、又は診断用医療装置の過去の使用日を含む。
【0067】
方法400はステップ440を含み、ステップ440では、遠隔診断用医療装置の識別特徴が所定の識別特徴に一致する場合、1つ又は複数のプログラムが実行のためにロック解除される。
【0068】
方法400はステップ450を含み、ステップ450では、感知された測定値が診断用医療装置から受け取られる。一部の実施形態では、感知される測定値が血圧測定値を含む。
【0069】
方法400はステップ460を含み、ステップ460では、感知された測定値に対して1つ又は複数のプログラムが実行される。一部の実施形態では、1つ又は複数のプログラムが、血圧測定値に基づく瞬時血流予備量比(iFR)計算を含む。
【0070】
方法400はステップ470を含み、ステップ470では、実行された1つ又は複数のプログラムの結果が表示される。一部の実施形態では、実行された1つ又は複数のプログラムの結果が記憶される。
【0071】
方法400は、僅かに異なる観点からプロセスフローを適応させるために修正され得ることが理解されよう。例えば一部の実施形態では、FFR又はiFR等の独自のプログラムが利用可能であることがオペレータ又は利用者に隠されない。オペレータは、これらの独自のプログラムが利用可能であることを医療測定システム上で、例えば1つ又は複数のグラフィカルアイコンとして見ることができる。オペレータは、例えばグラフィカルアイコンの1つをクリックし、医療測定システムと対話型操作を行うことによって独自のプログラムを実行しようと試みることができる。この対話型操作は、適切な又は「正しい」診断用医療装置が取り付けられていることを検証するために、電子インターフェイス装置に送られる電子メッセージを引き起こす。適切な診断用医療装置が取り付けられている場合、オペレータによって選択される独自のプログラムが実行され得る。適切な診断用医療装置が取り付けられていない場合、不適合な診断用医療装置が原因で独自のプログラムを実行できないこと(又は同様のメッセージ)を医療測定システムがオペレータに報告し返すことができる。医療測定システムは、現在使用されている「不適切な」診断用医療装置を、正しい製造業者からの「適切な」診断用医療装置と交換するようにオペレータを促すこともできる。このプロセスフローでは、保護された機能(例えばFFR又はiFR)の選択が遠隔診断用医療装置の確認及び検証を引き起こす。
【0072】
図8は、本開示の更に別の態様による方法500を示す単純化されたフローチャートである。一部の実施形態では、方法500が医療測定環境内のオペレータの観点から実行される。
【0073】
方法500はステップ510を含み、ステップ510では、診断用医療装置が医療測定システムに結合される。この結合は、診断用医療装置と医療測定システムとが電子インターフェイス装置を介して結合されるように行われる。一部の実施形態では、診断用医療装置がプレッシャガイドワイヤを含み、医療測定システムがヘモダイナミックシステムを含む。
【0074】
方法500はステップ520を含み、ステップ520では、独自の信号が医療測定システムに送られる。一部の実施形態では、
図7の代替的プロセスフローに関して上記で論じられたように、このステップは、医療測定システム上の「保護された」機能をオペレータが選択することによって引き起こされ得る。
【0075】
方法500はステップ530を含み、ステップ530では、医療測定システムから確認が受け取られる。この確認は、独自の信号に基づき診断用医療装置の識別特徴が所定の識別特徴に一致することが確かめられたことを確認する。一部の実施形態では、識別特徴が診断用医療装置の製造業者の識別情報、診断用医療装置の製造場所、診断用医療装置の失効データ、又は診断用医療装置の過去の使用日を含む。
【0076】
方法500はステップ540を含み、ステップ540では、1つ又は複数のプログラムの実行が引き起こされる。この1つ又は複数のプログラムは、確認に応答して医療測定システム上でロック解除されている。
【0077】
方法500はステップ550を含み、ステップ550では、感知された測定値が診断用医療装置から医療測定システムに送られる。1つ又は複数のプログラムの実行は、感知される測定値に基づいて行われる。一部の実施形態では、感知される測定値が血圧測定値を含み、1つ又は複数のプログラムが血圧測定値に基づく瞬時血流予備量比(iFR)計算を含む。
【0078】
図9は、本開示の別の態様による方法600を示す単純化されたフローチャートである。一部の実施形態では、方法600がヘモダイナミックシステム等の医療測定システムの観点から実行されるが、方法600は独自のプログラムを実行する利用者又はオペレータの試みによって引き起こされる。
【0079】
方法600はステップ610を含み、ステップ610では、プログラムを実行する試みが検出される。一部の実施形態では、プログラムが冠血流予備量比(FFR)計算又は瞬時血流予備量比(iFR)計算を含む。
【0080】
方法600はステップ620を含み、ステップ620では、診断用医療装置の識別情報に関する問合せが行われる。この問合せは、電子インターフェイス装置又は遠隔診断用医療装置の一方によって行われる。つまり問合せは、診断用医療装置と医療測定システムとの間に結合される電子インターフェイス装置を介して、又は診断用医療装置に直接行われ得る。一部の実施形態では、ステップ620の問合せが有線接続によって行われる。他の実施形態では、ステップ620の問合せが無線接続によって行われる。一部の実施形態では、診断用医療装置がRFIDチップを含み、問合せがRFIDチップとの通信によって行われる。
【0081】
方法600はステップ630を含み、ステップ630では、診断用医療装置の識別情報が既定の識別情報に一致するかどうかが判定される。一部の実施形態では、識別特徴が診断用医療装置の種類、診断用医療装置の製造業者の識別情報、診断用医療装置の製造場所、診断用医療装置の失効データ、及び診断用医療装置の過去の使用日を含む。
【0082】
方法600はステップ640を含み、ステップ640では、診断用医療装置の識別情報が既定の識別情報と一致する場合、プログラムが実行のためにロック解除される。
【0083】
本開示の様々な態様を例示するために、独自のプログラムの例としてFFR及びiFRが使用されたが、本開示はFFR又はiFRに限定されないことが理解されよう。また更に、医療測定システムとしてヘモダイナミックシステムが例示されたが、本開示はヘモダイナミックシステムに限定されることはない。本開示で論じられる概念は、様々な処理アルゴリズム又はソフトウェアプログラムの何れかを含む任意の種類の診断用医療装置又は医療測定システムに当てはまり得る。
【0084】
また当業者は、上記の機器、システム、及び方法が様々な方法で修正され得ることを理解されよう。従って当業者は、本開示によって包含される実施形態が、上記の特定の例示的実施形態に限定されないことを理解されよう。その点に関して、例示的実施形態が図示され、説明されてきたが、多岐にわたる修正、変更、及び置換が上記の開示内で考えられる。本開示の範囲から逸脱することなく、かかる改変形態が上記の内容に加えられ得ることが理解されよう。従って、添付の特許請求の範囲は、広く且つ本開示に一致するように解釈されるのが適切である。